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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-138001(P2017-138001A)
(43)【公開日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】航空機の壁パネル
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20170714BHJP
   B64D 11/00 20060101ALN20170714BHJP
   B64C 1/00 20060101ALN20170714BHJP
【FI】
   F16B37/04 N
   B64D11/00
   B64C1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-26848(P2017-26848)
(22)【出願日】2017年2月16日
(62)【分割の表示】特願2015-556180(P2015-556180)の分割
【原出願日】2014年1月31日
(31)【優先権主張番号】61/758,910
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/168,718
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】バード、ピーター ジョン レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ネチ、ヴェンカタ プラサンス スマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】芯材を有するパネル内への固定のために構成されたインサートを提供する。
【解決手段】一方の端部にワイドフランジ14、反対側の端部に犠牲カバー16及びねじ込みピン18、及び、その中に取り込まれるナット20を有する。パネルは、中に座繰り孔を形成し、開口部を接着剤で充填または被膜することで準備される。インサート12は、フランジがパネルの一方の面に対して配置され、犠牲カバー16及びねじ込みピン18が他方の面から突出するように、座繰り孔に嵌めこまれる。スクリュー固定具は、ねじ込みピン18に通され、接着剤が硬化する間、インサート12を適切な場所に保持する。続くスクリュー固定具及び犠牲カバー16の除去により、固定プロセスは完了し、適切な締め具を受けるためにインサート12内に取り込まれたナット20が露出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をパネルに取り付け、固定するための取付ポイントを提供するためのワイドフランジ付きインサートであって、
第1外径を有する中空軸部と、内径を有する内孔と、第1及び第2端部と、筒状のワイドフランジ本体の前記第1端部に形成された拡大されたフランジであって、前記第1外径よりも大きな第2外径を有する拡大されたフランジと、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の前記第1端部に形成された座繰りと、を含む筒状のワイドフランジ本体と、
第1及び第2端部を有する全体的に円筒形の犠牲カバーであって、前記犠牲カバーの第1端部が、前記筒状のワイドフランジ本体の第2端部に接続されている犠牲カバーと、
前記犠牲カバーの第2端部に接続されて延びるねじ込みピンと、
前記筒状のワイドフランジ本体の内径よりも小さな外径を有する中空軸部と、筒状ナットの端部に形成された拡大されたフランジと、を含む筒状ナットであって、前記筒状ナットは、前記筒状のワイドフランジ本体内に配置され、前記筒状ナットの拡大されたフランジは、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りに配置される、筒状ナットと、
前記筒状のワイドフランジ本体の第1端部に形成された拡大されたフランジに固定されて取り付けられた保持キャップであって、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔内に前記筒状ナットを保持するように構成された保持キャップと、
を備える、ワイドフランジ付きインサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年1月31日に出願された米国仮特許出願第61/758,910号、及び、2014年1月30日に出願された米国非仮特許出願第14/168,718号を基礎とし、それらの優先権を主張し、それらを参照により組み込む。
【0002】
本発明は、広くには、芯材を有するサンドイッチまたは複合パネルに固定されるインサートであって、当該パネルに様々な部品を取り付けることを可能にするインサートに関する。本発明は、特に、より強固に取り付けるとともに取付時間を著しく削減する、改善されたインサート構成及び固定方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
一般的な民間旅客機の機体内には、収容、エンターテイメント、食事サービス、休息及び乗務員及び乗客の快適さのために、様々な構造体が設けられている。これらの構造体または「モニュメント」は、最新の航空機に、繊維ガラススキン及びノーメックスまたはケブラー紙管、または、アルミニウムから作製されたハニカム構造の芯材を有するサンドイッチまたは複合パネルから構成される。
【0004】
モニュメントに部品、サービスサブアセンブリまたはセカンダリモジュールなどの物品を取り付ける手段を提供するために、必要に応じて、固定ポイントが、構造材パネルの特定の位置に接合されるが、これらの固定ポイントは、一般に、「インサート」として知られている。インサートは、これまで、手工具を用いて芯材に広い空洞を形成し、この空洞に接着剤を充填し、硬化の際にインサートと周囲の芯材及びスキンとの間に接合を形成することで、サンドイッチまたは複合パネルに接合されてきた。このような空洞は、インサートの直径よりも大きな直径を有し、より広い面積に亘って負荷を分散することで、空洞の直径が大きくない場合と比べて、パネルはより大きな負荷容量を提供する。
【0005】
パネルの芯材に大きな接合空洞を形成する必要をなくすため、サンドイッチまたは複合パネルにおける負荷分散を改善するため、接着要件を緩和するため、潜在的冷橋をなくすため、よりクリーンなプロセスを提供するため、及び、インサートの取り付けに要する製造プロセス時間を大幅に削減するため、改善されたインサート構成及び取付方法が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のワイドフランジ付きインサート(WFI)は、以前から知られているインサート構成及びこのようなインサートを芯材を有するパネルに固定するための方法の欠点を克服する。特に、当該ワイドフランジ付きインサートは、固定ポイントを強固に取り付けるためにパネルから芯材を取り除く必要をなくすことを目的としている。パネルの一方の面にある本発明のワイドフランジは、負荷を取り除き、それにより、インサートの周囲に接着剤を注入するための広い空洞を芯材に形成する必要をなくすように設計されている。その結果、アセンブリの接合及び硬化時間を大幅に省くことができるとともに、インサートの周囲の接着剤プラグがなくなるために、重量を軽くすることができ、冷蔵庫に保管されたギャレーのチルド室の潜在的な冷橋をなくすことができる。インサートをパネルに取り付けるための新しい製造プロセスは、本発明の一態様を含み、接合の間、キャップスクリューツールを用いてワイドフランジ付きインサートを適切な位置に保持することにより、さらに製造プロセス時間を削減する。
【0007】
ワイドフランジ付きインサートは、金属または非金属ボビンから成り、ボビンの一方の面は拡大されて、部品またはサブアセンブリが取り付けられるパネルの反対側(すなわち、負荷側)のスキンの表面に置かれるリム(フランジ)が形成される。インサートを取り付ける前に、ルーター(外形加工機)または穴鋸(取付スキン)を用いて、パネルの裏側のスキンから、反対側のスキン内面の深さまで「止まり」穴が開けられる。穴の周囲の内部領域から芯材を取り除かず、穴自体からのみ芯材を取り除く。
【0008】
ルーターまたは穴鋸は、取付スキンに穴を開けるパイロットドリルを中心に有し、ワイドフランジ付きインサートのフランジのない端部にねじ込みピン及びスナップオフスピゴットまたは犠牲カバーを収容して接合用治具の取り付けを可能にし、接合プロセスの間、インサート内に含まれる金属ねじナットが接着剤で汚れることを防止してもよい。ワイドフランジ付きインサートをパネルに接合する際、液体またはペースト状の熱硬化性接着剤を用いて、インサートのフランジの突出部、本体及び裏面及び/または穴及びフランジが置かれる側の周囲のスキンを覆うことができ、ワイドフランジ付きインサートはその後、穴に挿入される。あるいは、加熱により活性化される接着剤、あるいは、コンタクト接着剤を用いてもよい。
【0009】
ねじナットによって発揮される力は、ワイドフランジ付きインサートの後部に分散され、ナットは、インサート本体の貫通孔よりも大きな球状またはフランジ付きの端部を有し、ある程度の「フロート」を許容し、微小なずれを受け入れる。応力負荷は、ワイドフランジ付きインサートからフランジが置かれるスキンまで、芯材まで道筋を付けられた穴の接着剤を介して部分的に伝達され、突出部と接触して第2スキンにも伝達される。
【0010】
従って、本発明は、部品をパネルに取り付けて固定するための取付ポイントを提供するワイドフランジ付きインサートを提供する。当該ワイドフランジ付きインサートは、第1外径を有する中空軸部と、内径を有する内孔と、第1及び第2端部と、筒状のワイドフランジ本体の第1端部に形成されて第1外径よりも大きな第2外径を有する拡大されたフランジと、筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りと、を含む筒状のワイドフランジ本体を含む。全体的に円筒形の犠牲カバーの第1端部は、筒状のワイドフランジ本体の第2端部に接続され、ねじ込みピンが犠牲カバーの第2端部から接続されて延びる。筒状ナットもまた、筒状のワイドフランジ本体内に配置され、筒状のワイドフランジ本体の内径よりも小さな外径を有する中空軸部と、筒状ナットの端部に形成された拡大されたフランジとを備える。筒状ナットは、筒状のワイドフランジ本体内に配置され、筒状ナットの拡大されたフランジは筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りに配置される。筒状ナットを筒状のワイドフランジ本体の内孔内に保持するように構成された保持キャップもまた、筒状のワイドフランジ本体の第1端部に形成された拡大されたフランジに固定されて取り付けられる。
【0011】
本好適な態様において、犠牲カバーは、ワイドフランジ付きインサート本体に一体化されている。別の好適な態様において、犠牲カバーは、壊れやすい側壁を備える。別の好適な態様において、筒状ナットは、フローティングナットまたはノンフローティングナットであってもよい。
【0012】
本発明はまた、部品をパネルに取り付け、固定するための取付ポイントを提供するため、第1及び第2側を有するパネルにワイドフランジ付きインサートを固定する方法を提供する。本方法は、パネルの第1側にパイロット座繰り孔を開ける工程と、パネルの反対側の第2側にある座繰り孔上に保護シートを配置する工程と、座繰り孔を接着剤で充填する工程と、を含む。ワイドフランジ付きインサートが、接着剤で充填された座繰り孔に十分押し込まれることで、ねじ込みピン及び犠牲カバーが保護シートを貫通し、インサートフランジがパネルの第1側に接触し、雌ねじ固定具がねじ込みピンに締められてワイドフランジ付きインサートを適切な場所に固定し、その後、接着剤を硬化させる。雌ねじ固定具は、その後、ねじ込みピンから取り外され、犠牲カバー及びねじ込みピンは、筒状のワイドフランジ本体から取り外される。
【0013】
本好適な態様において、パネルは、複合パネルである。別の好適な態様において、犠牲カバーは、ワイドフランジ付きインサート本体に一体化されている。別の好適な態様において、座繰り孔を接着剤で充填する工程は、さらに、フランジの裏面に接着剤を塗布する工程を含む。
【0014】
別の好適な態様において、ねじ込みピンは、貫通ポイントを有する取り外し可能な保護スリーブで覆われており、ワイドフランジ付きインサートを接着剤で充填された座繰り孔に押し込む工程の間、ねじ込みピンを保護し、ワイドフランジ付きインサートを接着剤で充填された座繰り孔に押し込む工程の間、接着剤によりねじが汚れることを防止する。別の好適な態様において、ねじ込みピン上の保護スリーブは、ワイドフランジ付きインサートを接着剤で充填された座繰り孔に押し込む工程の後に取り除かれる。
【0015】
別の好適な態様において、犠牲カバー及びねじ込みピンを取り除く工程は、犠牲カバー及びねじ込みピンを折る、または、犠牲カバー及びねじ込みピンを切断する工程を含む。別の好適な態様において、パネルの第2側のあらゆる接着剤の残りは、犠牲カバー及びねじ込みピンを筒状のワイドフランジ本体から取り除く工程の後に、除去される。別の好適な態様において、犠牲カバー及びねじ込みピンを折るまたは切断することによってできるあらゆる鋭いエッジは、除去される。
【0016】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴および利点が、以下の詳細な説明を本発明の原理を一例として示している添付の図面と併せて検討することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のワイドフランジ付きインサートの斜視図である。
図2図1に示したワイドフランジ付きインサートの分解斜視図である。
図3図1に示したワイドフランジ付きインサートの断面斜視図である。
図4】芯材を有するパネルがワイドフランジ付きインサートを受けるための準備をされている過程を示す側面断面図である。
図5】芯材を有するパネルが、ワイドフランジ付きインサートを受けるための準備をされている過程を更に示す側面断面図である。
図6】準備された芯材を有するパネルに挿入されているワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
図7】硬化工程の前の、準備された芯材を有するパネル内の適切な場所にあるワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
図8】硬化工程中の、準備された芯材を有するパネル内の適切な場所にあるワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
図9】硬化工程完了後の、準備された芯材を有するパネル内の適切な場所にあるワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
図10】固定プロセスの最終工程を示す、芯材を有するパネル内の適切な場所にあるワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
図11】固定プロセスの完了時における、準備された芯材を有するパネル内の適切な場所にあるワイドフランジ付きインサートの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、改善されたインサート構成及びインサートを芯材を有するパネルに固定する方法を提供する。インサート構成は、適切に準備されたパネルへの固定を容易にする特徴と、インサートを介してパネルに取り付けられた物品の改善された取付ポイントを提供する特徴とを含む。
【0019】
本発明のワイドフランジ付きインサート12(WFI)を図1の斜視図、図2の僅かに拡大した分解斜視図、及び、図3の完全に組み立てられた断面図に示す。インサートは、ワイドフランジ本体14を備える。犠牲カバー16は、犠牲カバーから延びる一体化したねじ込みピン18を有し、最初にワイドフランジ本体に取り付けられる。ボールエンドまたはフランジ付きフローティングまたはノンフローティングナット20が、ボールエンドまたはフランジ付きフローティングまたはノンフローティングナットの広端部21がインサートの後部にある座繰り孔22に配置、支持された状態で、ワイドフランジ付きインサート本体内に配置され、ナットが、インサートフランジ自体に一体化されて接合された、または、溶接された保持キャップ24によってワイドフランジ付きインサート本体内に保持される。保持キャップは、図1から図3に示すようにフランジの全幅に亘って延びてもよいし、あるいは、単に、後部からワイドフランジ付きインサート本体に挿入されるような十分な寸法を有してもよい。インサートは、工業グレードのプラスティックから射出成形されてもよいし、あるいは、適切な金属または非金属材料から機械加工されてもよい。
【0020】
犠牲カバー16は、図3から明らかなように、断面積が削減され(壁が薄くなり)、ワイドフランジ付きインサート本体に一体化されて、後処理除去を容易にして、ねじナットに到達可能となる。ねじ込みピン18は、ワイドフランジ付きインサートの取付プロセスに不可欠な部分であり、図7に示すように、スクリューキャップツールを用いて硬化中に適切な場所にインサートを固定するのに用いられる。
【0021】
本発明は、更に、インサートを複合またはサンドイッチパネル26に取り付ける、または、固定する方法を提供する。図4に示すように、サンドイッチまたは複合パネルの第1面または第1側29に、パイロット座繰り孔28が開けられる。保護シート30が、反対側の第2側、表面板、または、座繰り孔の反対側にある負荷側31に配置され、その後、図5に示すように、座繰り孔が接着剤32で充填される。フランジの裏面33は、接着剤で更に被膜されてもよい。
【0022】
次の工程が図6に示される。次の工程では、ワイドフランジ付きインサート12が接着剤で充填、または、被膜された止まり穴28に押し込まれ、それにより、インサートフランジがサンドイッチまたは複合パネルスキン26の第1面または内面29で止まるとともに、ねじ込みピン18及び付随する犠牲カバー16によって保護シート30に穴が開く。ねじ込みピンは、一般的に、貫通ポイントを含む取り外し可能な保護スリーブで保護されており、ねじが接着剤によって汚れることを防止する。
【0023】
一旦、ワイドフランジ付きインサート12が、複合パネル26に形成された座繰り孔28の適切な場所に配置されると、ねじ込みピンの保護スリーブは、取り除かれ、スクリュー固定具34がねじ込みピンに締められて(図7)、接着剤が硬化する間に、ワイドフランジ付きインサート12が適切な場所に固定される(図8)。接着剤の硬化サイクルが完了した後、スクリュー固定具34は外され(図9)、別のワイドフランジ付きインサートを取り付ける際に再利用できる。
【0024】
図10に示すように、犠牲カバー16及びねじ込みピン18は、その後、折られるか、または、切断され、サンドイッチまたは複合パネル26は、ツールを用いて、あるいは、用いずに、仕上げ加工及び洗浄される。図11は、座繰り反対面のシートまたは負荷側が洗浄されてあらゆる接着剤の残りが除去されるプロセスの最終段階を示す。犠牲カバーを切り離した結果できるあらゆる鋭いエッジが、その後、仕上げ加工される。
【0025】
本発明のワイドフランジ付きインサート構成及び取付方法は、パネルの芯材に大きな接合空洞を設ける必要をなくし、サンドイッチまたは複合パネルの負荷分散を改善し、接着剤要件を緩和し、潜在的な冷橋をなくし、よりクリーンなプロセスを有し、製造プロセス時間を大幅に削減することができる。
【0026】
本発明の特定の形態について例示及び記載したが、種々の改良が、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で可能であることは、当業者であれば明らかであろう。特に、ワイドフランジ付きインサート及び接合プロセスは、様々な寸法及び様々な材料で形成された複合パネルに適用可能であり、ギャレー、座席などを含むが、これらに限定されない、様々な航空機内構造に適用可能である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によって限定を受けることを意図されていない。
[請求項1]
部品をパネルに取り付け、固定するための取付ポイントを提供するためのワイドフランジ付きインサートであって、
第1外径を有する中空軸部と、内径を有する内孔と、第1及び第2端部と、筒状のワイドフランジ本体の前記第1端部に形成された拡大されたフランジであって、前記第1外径よりも大きな第2外径を有する拡大されたフランジと、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の前記第1端部に形成された座繰りと、を含む筒状のワイドフランジ本体と、
第1及び第2端部を有する全体的に円筒形の犠牲カバーであって、前記犠牲カバーの第1端部が、前記筒状のワイドフランジ本体の第2端部に接続されている犠牲カバーと、
前記犠牲カバーの第2端部に接続されて延びるねじ込みピンと、
前記筒状のワイドフランジ本体の内径よりも小さな外径を有する中空軸部と、筒状ナットの端部に形成された拡大されたフランジと、を含む筒状ナットであって、前記筒状ナットは、前記筒状のワイドフランジ本体内に配置され、前記筒状ナットの拡大されたフランジは、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りに配置される、筒状ナットと、
前記筒状のワイドフランジ本体の第1端部に形成された拡大されたフランジに固定されて取り付けられた保持キャップであって、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔内に前記筒状ナットを保持するように構成された保持キャップと、
を備える、ワイドフランジ付きインサート。
[請求項2]
前記犠牲カバーは、前記ワイドフランジ付きインサート本体に一体化される、請求項1に記載のワイドフランジ付きインサート。
[請求項3]
前記犠牲カバーは、壊れやすい側壁を含む、請求項1に記載のワイドフランジ付きインサート。
[請求項4]
前記筒状ナットは、フローティングナットを含む、請求項1に記載のワイドフランジ付きインサート。
[請求項5]
前記筒状ナットは、ノンフローティングナットを含む、請求項1に記載のワイドフランジ付きインサート。
[請求項6]
部品をパネルに取り付け、固定するための取付ポイントを提供するため、第1及び第2側を有するパネルにワイドフランジ付きインサートを固定する方法であって、
部品を前記パネルに取り付け、固定するための取付ポイントを提供するためのワイドフランジ付きインサートを提供する工程であって、
前記ワイドフランジ付きインサートは、
第1外径を有する中空軸部と、内径を有する内孔と、第1及び第2端部と、筒状のワイドフランジ本体の前記第1端部に形成された拡大されたフランジであって、前記第1外径よりも大きな第2外径を有する拡大されたフランジと、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りと、を含む筒状ワイドフランジ本体と、
第1及び第2端部を有する全体的に円筒形の犠牲カバーであって、前記犠牲カバーの第1端部が、前記筒状のワイドフランジ本体の第2端部に接続されている犠牲カバーと、
前記犠牲カバーの第2端部に接続されて延びるねじ込みピンと、
前記筒状のワイドフランジ本体の内径よりも小さな外径を有する中空軸部と、筒状ナットの端部に形成された拡大されたフランジと、を含む筒状ナットであって、前記筒状ナットは、前記筒状のワイドフランジ本体内に配置され、前記筒状ナットの拡大されたフランジは、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔の第1端部に形成された座繰りに配置される、筒状ナットと、
前記筒状のワイドフランジ本体の第1端部に形成された拡大されたフランジに固定されて取り付けられた保持キャップであって、前記筒状のワイドフランジ本体の内孔内に前記筒状ナットを保持するように構成された保持キャップと、
を備える、ワイドフランジ付きインサートを提供する工程と、
前記パネルの第1側にパイロット座繰り孔を開ける工程と、
前記パネルの反対側の第2側の座繰り孔の上に保護シートを配置する工程と、
前記座繰り孔を接着剤で充填する工程と、
前記ワイドフランジ付きインサートを前記接着剤で充填された座繰り孔に十分に押し込み、前記ねじ込みピン及び犠牲カバーで前記保護シートを貫通させ、前記拡大されたフランジを前記パネルの第1側に接触させる工程と、
前記ねじ込みピンに雌ねじ固定具を締めて前記ワイドフランジ付きインサートを適切な場所に固定する工程と、
前記接着剤を硬化させる工程と、
前記ねじ込みピンから前記雌ねじ固定具を取り除く工程と、
前記筒状のワイドフランジ本体から前記犠牲カバー及びねじ込みピンを取り除く工程と、
を含む、方法。
[請求項7]
前記パネルは、複合パネルを含む、請求項6に記載の方法。
[請求項8]
前記座繰り孔を接着剤で充填する工程は、さらに、前記フランジの裏面を接着剤で被膜することを含む、請求項6に記載の方法。
[請求項9]
前記接着剤で充填された座繰り孔に前記ワイドフランジ付きインサートを押し込む工程の間、前記ねじ込みピンを保護するために、貫通ポイントを有する取り外し可能な保護スリーブで前記ねじ込みピンを覆う工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
[請求項10]
前記接着剤で充填された座繰り孔に前記ワイドフランジ付きインサートを押し込む工程の間、前記ねじが接着剤によって汚れることを防ぐために、貫通ポイントを有する取り外し可能な保護スリーブで前記ねじ込みピンを覆う工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
[請求項11]
前記接着剤で充填された座繰り孔に前記ワイドフランジ付きインサートを押し込む工程の後、前記ねじ込みピン上の前記保護スリーブを取り除く工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
[請求項12]
前記接着剤で充填された座繰り孔に前記ワイドフランジ付きインサートを押し込む工程の後、前記ねじ込みピン上の前記保護スリーブを取り除く工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
[請求項13]
前記犠牲カバー及びねじ込みピンを取り除く工程は、前記犠牲カバー及びねじ込みピンを折ることを含む、請求項6に記載の方法。
[請求項14]
前記犠牲カバー及びねじ込みピンを取り除く工程は、前記犠牲カバー及びねじ込みピンを切断することを含む、請求項6に記載の方法。
[請求項15]
前記筒状のワイドフランジ本体から前記犠牲カバー及びねじ込みピンを取り除く工程の後、前記パネルの第2側から、前記パネルの第2側上の接着剤のあらゆる残りを取り除く工程をさらに含む、請求項6に記載の方法。
[請求項16]
前記犠牲カバー及びねじ込みピンを折ることによりできるあらゆる鋭いエッジを取り除く工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
[請求項17]
前記犠牲カバー及びねじ込みピンを切断することによりできるあらゆる鋭いエッジを取り除く工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2017年3月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の壁パネルであって、
後部繊維ガラス層、前部繊維ガラス層、および、前記後部繊維ガラス層と前記前部繊維ガラス層との間のハニカム芯材層であって、これらを開口部が貫くように形成される、前記後部繊維ガラス層、前記前部繊維ガラス層、および、前記ハニカム芯材層と、
前記開口部内に塗られた接着剤の層と、
前記接着剤の層に接する第1環状部材であって、前記後部繊維ガラス層に隣接するフランジと、前記フランジから前記開口部を通じて前記前部繊維ガラス層へ前方に伸びる第1環状軸と、を有する前記第1環状部材と、
前記フランジの近傍に配置された拡大された端部と、前記第1環状軸の内孔に沿って伸びる第2環状軸と、を有する第2環状部材であって、前記パネルに負荷を伝達するために前記第2環状部材が前記第1環状部材および前記接着剤と協調するよう締め具を受けるように構成される前記第2環状部材と、
を備え、
前記第2環状部材は、前記開口部と前記パネルに取り付けられる構成要素との間のずれを許容するために前記第1環状軸内で放射状に移動するような大きさである、
航空機の壁パネル。
【請求項2】
前記フランジに取り付けられたキャップであって、前記第2環状部材を前記第1環状軸内に保持する前記キャップをさらに備える請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項3】
前記キャップは、前記フランジの周面に取り外し可能に取り付けられる、請求項2に記載の航空機の壁パネル。
【請求項4】
前記第2環状部材の前記拡大された端部は、前記第1環状軸の内径より大きい、請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項5】
前記第1環状部材は、前記接着剤により前記パネルに接合される、請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項6】
前記接着剤は、硬化される、請求項5に記載の航空機の壁パネル。
【請求項7】
前記第1環状部材または前記第2環状部材の環状軸は、筒状である、請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項8】
前記フランジは、前記パネルの前記後部繊維ガラス層に接する、請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項9】
前記第2環状部材の環状軸は、内側にねじ山がある、請求項1に記載の航空機の壁パネル。
【請求項10】
第1環状インサートおよび第2環状インサートを、これらを前記パネルに取り付ける間、保持するねじ込み具をさらに備える、請求項1に記載の航空機の壁パネル。