【解決手段】本発明にかかる光学機器は、光軸方向に互いに平行に配置されたリードスクリュー19a、19bを各々回転駆動するモータ11a、11bと、レンズが取り付けられており、リードスクリュー19a、19bの回転駆動によって鏡筒内を光軸方向に沿って移動可能な移動部材30と、モータ11a、11bを回転駆動させて移動部材30を光軸方向に沿って移動させる際に、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を吸収する吸収部材21a、21b、40と、を備える。
前記第1のナット部材は、前記第1のアーム部と当接する第1の当接部と、前記第1のアーム部が前記第1の当接部に当接した状態を維持するための第1のバネと、を備え、
前記第2のナット部材は、前記第2のアーム部と当接する第2の当接部と、前記第2のアーム部が前記第2の当接部に当接した状態を維持するための第2のバネと、を備える、
請求項7に記載の光学機器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる光学機器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる光学機器1は、保持枠10、モータ11a、11b、フォーカスシャフト12、13、位置検出センサ14、軸受15、レンズ枠16、固定枠17、ナット部材21a、21b、ナットシャフト27a、27b、移動部材30、連結部材40、ワッシャー41、及びビス42を備える。
【0014】
ここで、光学機器1が備える保持枠10、モータ11a、11b、フォーカスシャフト12、13、及び位置検出センサ14は、固定群5(つまり、保持枠10に固定される部材)を構成している。また、光学機器1が備える軸受15、レンズ枠16、固定枠17、ナット部材21a、21b、ナットシャフト27a、27b、移動部材30、連結部材40、ワッシャー41、及びビス42は、可動群6を構成している。
【0015】
図2および
図3はそれぞれ、本実施の形態にかかる光学機器(組み立てた状態)を示す正面図および上面図である。
図4は、
図2に示す光学機器の切断線IV−IVにおける断面図である。
図5は、
図4に示す光学機器の切断線V−Vにおける断面図である。
【0016】
図2、
図3に示すように、モータ11a、11bは、保持枠10の内周面に固定されている。また、位置検出センサ14は、保持枠10の内周面に固定されている。位置検出センサ14は、発光素子と受光素子とで構成されており、移動部材30が光軸方向(z軸方向)に移動した際に、移動部材30が備える羽根部材37が発光素子から照射された光を遮断することを受光素子で検出することで、移動部材30のz軸方向における位置を検出することができる(特に、
図2参照)。例えば、位置検出センサ14は、移動部材30のz軸方向における初期位置を検出することができるように構成されている。
【0017】
図2、
図4に示すように、フォーカスシャフト12、13は、保持枠10の上部および下部において、z軸方向に伸びるように保持枠10に固定されている。
図4に示すように、フォーカスシャフト12は、移動部材30が備える貫通穴32(
図6参照)に挿通されており、フォーカスシャフト13は、移動部材30が備える切り欠き部35(
図6参照)に挿通されている。つまり、移動部材30は、鏡筒内をフォーカスシャフト12、13に沿ってスライド可能に構成されている。
【0018】
図2、
図4に示すように、移動部材30には、固定枠17を用いてレンズ枠16が固定されている。例えば、本実施の形態にかかる光学機器1は交換レンズシステムであり、移動部材30を光軸方向(z軸方向)に沿って移動させることで、フォーカスや倍率を調整することができる。なお、本実施の形態にかかる光学機器は、交換レンズシステム以外にも、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ等のように固体撮像素子を用いた撮像装置(フィルムや8mmフィルムを用いたものも含む)に好適に用いることができる。
【0019】
図6〜
図8はそれぞれ、本実施の形態にかかる光学機器の可動群の詳細(特に、移動部材30の周辺)を示す斜視図、正面図、及び上面図である。
図6、
図7に示すように、移動部材30は、移動部材30の上側にスライド部31を備える。例えば、移動部材30は、スライド部31を含めて樹脂材料を用いて一体成形されていてもよい。スライド部31には貫通穴32が形成されており、貫通穴32にはフォーカスシャフト12が挿通される(
図4参照)。
【0020】
また、
図6、
図7に示すように、移動部材30のスライド部31の両側にはナット部材21a、21bが配置されている。ナット部材21aは、リードスクリュー19a(
図5参照)と係合する係合部22aを備える。係合部22aのリードスクリュー19a(
図5参照)と係合する面には、リードスクリュー19aの表面に形成されている螺子と螺合するように螺子26aが形成されている。また、ナット部材21aには、係合部22aを固定するためのバネ25aが設けられている。同様に、ナット部材21bは、リードスクリュー19b(
図5参照)と係合する係合部22bを備える。係合部22bのリードスクリュー19b(
図5参照)と係合する面には、リードスクリュー19bの表面に形成されている螺子と螺合するように螺子26bが形成されている。また、ナット部材21bには、係合部22bを固定するためのバネが設けられている。
【0021】
図5に示すように、リードスクリュー19a、19bは光軸方向(z軸方向)に互いに平行に配置されており(
図1参照)、このリードスクリュー19a、19bをモータ11a、11bを用いて各々回転駆動することで、ナット部材21a、21bをz軸方向に沿って移動させることができる。このとき、ナット部材21a、21bはそれぞれ、z軸方向に伸びるように配置されてたナットシャフト27a、27bに沿って移動する。また、2つのモータ11a、11bは、ナット部材21a、21bの各々が同一方向に同一量変位するようにリードスクリュー19a、19bを回転させる。
【0022】
また、
図6〜
図8に示すように、各々のナット部材21a、21bは、連結部材40を介して移動部材30のスライド部31と連結されている。つまり、連結部材40は、一端側においてナット部材21aと連結され、他端側においてナット部材21bと連結され、中央部側において移動部材30のスライド部31と連結されている。このような構成により、連結部材40を介して各々のナット部材21a、21bから移動部材30(スライド部31)にリードスクリュー19a、19bのトルクを伝達することができる。ここで、連結部材40は、ナット部材21a、21b、及び移動部材30のスライド部31と、xz平面と垂直な各々の回動軸を中心に回動可能にそれぞれ連結されている。ここで、xz平面は、換言するとリードスクリュー19a、19bを含む面である。
【0023】
更に具体的に説明すると、
図6〜
図8に示すように、ナット部材21a、21bは、y軸方向に伸びる突起部23a、23bをそれぞれ備える。また、連結部材40は、孔部45a、45b、45c(
図1、
図8参照)を備える。そして、ナット部材21aの突起部23aは連結部材40の孔部45aと回動可能に連結(挿通)されており、ナット部材21bの突起部23bは連結部材40の孔部45bと回動可能に連結(挿通)されている。また、連結部材40は、ワッシャー41、及びビス42を用いて移動部材30のスライド部31に回動可能に連結されている。このとき、ビス42は連結部材40の孔部45cに挿通される。
【0024】
図6、
図7に示すように、ナット部材21aおよび移動部材30は、光軸方向(z軸方向)に互いにスライド可能に構成されている。また、ナット部材21bおよび移動部材30は、光軸方向(z軸方向)に互いにスライド可能に構成されている。具体的には、
図6、
図7に示すように、移動部材30のスライド部31には、光軸方向(z軸方向)に伸びる凹部33a、33bが形成されている。また、各々のナット部材21a、21bには、光軸方向(z軸方向)に伸びる凸部24a、24bが形成されている。そして、ナット部材21aの凸部24aは、スライド部31の凹部33aと嵌合しつつ、光軸方向(z軸方向)にスライド可能に構成されている。また、ナット部材21bの凸部24bは、スライド部31の凹部33bと嵌合しつつ、光軸方向(z軸方向)にスライド可能に構成されている。よって、ナット部材21a、21b、および移動部材30(スライド部31)は、光軸方向(z軸方向)に沿って互いに独立に変位することができる。
【0025】
図9、
図10は、本発明の効果を説明するための上面図である。
図9に示すように、本実施の形態にかかる光学機器では、光軸方向(z軸方向)に互いに平行に配置された2本のリードスクリュー19a、19bを設け、これら2本のリードスクリュー19a、19bをモータ11a、11bを用いて各々回転駆動している。このとき、リードスクリュー19a、19bのトルクは、各々のナット部材21a、21b、及び連結部材40を介して移動部材30のスライド部31に伝達される。
【0026】
つまり、従来の技術では、単一のモータを用いて可動群(レンズ)を移動させていたため、十分なトルクを得られず、このため重量の重い可動群を安定的に動かすことは困難であった。これに対して本実施の形態にかかる発明では、2つのモータ11a、11bを用いているので、可動群を動かすためのトルクを増加させることができ、重量の重い可動群(移動部材30)であっても動かすことができる。
【0027】
このように、本実施の形態にかかる光学機器では2つのモータ11a、11bを用いて可動群(移動部材30)を動かしている。よって、
図9に示すように、2つのリードスクリュー19a、19bの送り量(つまり、ナット部材21a、21bの移動量)は、光軸方向(z軸方向)に沿って略同一となることが好ましい。
【0028】
しかしながら、リードスクリュー19a、19bに製造ばらつきがある場合は、各々のリードスクリュー19a、19bの送り量にばらつきが発生する。このため、
図10に示すように、2つのリードスクリュー19a、19bの送り量(つまり、ナット部材21a、21bの移動量)が、光軸方向(z軸方向)に沿ってずれてしまい、場合によってはこの送り量のずれは無視できない程度になる場合もある。
【0029】
そこで本実施の形態にかかる光学機器では、
図10に示すように、モータ11a、11bを回転駆動させて移動部材30を移動させる際に、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を吸収する吸収部材を設けている。例えば、本実施の形態では、吸収部材は、ナット部材21a、21bと連結部材40とを用いて構成することができる。このように、吸収部材を設けることで、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を吸収することができるので、鏡筒内に配置されたレンズをモータを用いて安定的に移動することができる。
【0030】
このとき、
図9に示すように、連結部材40が備える孔部45a、45bの形状を、連結部材40が伸びる方向(x軸方向)に長手方向が伸びている長穴形状とする。このような形状とすることで、連結部材40がx軸に対して傾く(
図10参照)ことを許容することができ、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を連結部材40を用いて吸収することができる。なお、この場合は、連結部材40の孔部45c(
図1参照)は円形状とすることができる。
【0031】
また、連結部材40の孔部45aを円形状とし、孔部45bおよび孔部45c(
図1参照)を長穴形状としてもよい。更に、連結部材40の孔部45bを円形状とし、孔部45aおよび孔部45c(
図1参照)を長穴形状としてもよい。
【0032】
また、本実施の形態では2つのモータ11a、11bを備える構成について説明したが、本発明にかかる光学機器では3つ以上のモータを備える構成としてもよい。この場合は、各々のモータに対応するリードスクリューおよびナット部材を設け、更に連結部材を用いて複数のナット部材を連結する。
【0033】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、鏡筒内に配置されたレンズをモータを用いて安定的に移動することが可能な光学機器を提供することができる。
【0034】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図11、
図12はそれぞれ、実施の形態2にかかる光学機器の可動群の詳細を示す斜視図および上面図である。なお、本実施の形態にかかる光学機器では、実施の形態1で説明した光学機器と比べて吸収部材の構成が異なる。具体的には、ナット部材51a、51bの構成、及び回動部材60を備える点が異なる。これ以外は実施の形態1で説明した光学機器と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0035】
図11、
図12に示すように、移動部材30のスライド部31の両側にはナット部材51a、51bが配置されている。また、移動部材30のスライド部31の上部には回動部材60が設けられている。回動部材60は、ナット部材51aと当接するアーム部61aと、ナット部材51bと当接するアーム部61bと、移動部材30のスライド部31とxz平面と垂直な回動軸を中心に回動可能に連結された連結部60と、を備える。本実施の形態では、ナット部材51aとアーム部61aとが当接し、且つナット部材51bとアーム部61bとが当接した状態で、回動部材60が回動することで、リードスクリュー19a、19b(
図9参照)の送り量の差を吸収することができる。本実施の形態では、ナット部材51a、51bと回動部材60とが吸収部材を構成している。
【0036】
図12に示すように、ナット部材51a、51bは、リードスクリュー19a、19b(
図5、
図9参照)とそれぞれ係合する係合部22a、22bを備える。また、ナット部材51aは、回動部材60のアーム部61aと位置54aにおいて当接する当接部53aと、アーム部61aが当接部53aに当接した状態を維持するためのバネ55aと、を備える。バネ55aは、ナット部材51aの位置56aとアーム部61aの位置65aとに取り付けられており、位置56aと位置65aとを引きつける力が働いている。また、ナット部材51bは、回動部材60のアーム部61bと位置54bにおいて当接する当接部53bと、アーム部61bが当接部53bに当接した状態を維持するためのバネ55bと、を備える。バネ55bは、ナット部材51bの位置56bとアーム部61bの位置65bとに取り付けられており、位置56bと位置65bとを引きつける力が働いている。
図11、
図12に示すように、ナット部材51a、51bの各々が備える当接部53a、53bはナット部材51a、51bからy軸方向に突き出た形状である。
【0037】
以上で説明した本実施の形態にかかる光学機器においても、リードスクリュー19a、19bの送り量の差をナット部材51a、51bと回動部材60とを用いて吸収することができる。つまり、回動部材60が回動することでナット部材51a、51bの移動量の違いを吸収することができる。
【0038】
このとき、
図12に示すように、アーム部61a、61bと当接する位置54a、54bのxz平面における断面形状を半円状とすることで、回動部材60が回動軸を中心に回動した際に、アーム部61a、61bと当接部53a、53bとが点で当接するようにすることができ、回動部材60が回動する際の動きを滑らかにすることができる。
【0039】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図13〜
図15はそれぞれ、実施の形態3にかかる光学機器の可動群の詳細を示す斜視図、断面図、及び下面図である。なお、本実施の形態にかかる光学機器では、実施の形態1で説明した光学機器と比べて吸収部材の構成、つまりナット部材71a、71bおよび連結部材72の構成が異なる。これ以外は実施の形態1で説明した光学機器と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0040】
図13〜
図15に示すように、移動部材30のスライド部31の両側にはナット部材71a、71bが配置されている。本実施の形態にかかる光学機器では、ナット部材71a、71bは、モータ11a、11bとリードスクリュー19a、19bとを含むモータユニットの中に組み込まれている。ナット部材71a、71bの各々の孔部の内周面には、リードスクリュー19a、19bの表面に形成されている螺子と螺合するように螺子が形成されている。よって、リードスクリュー19a、19bが各々回転することで、ナット部材71a、71bをz軸方向に移動させることができる。
【0041】
また、各々のナット部材71a、71bは、連結部材72を介して移動部材30のスライド部31と連結されている。つまり、連結部材72は、一端側においてナット部材71aと連結され、他端側においてナット部材71bと連結され、中央部側において移動部材30のスライド部31と連結されている。このような構成により、連結部材72を介して各々のナット部材71a、71bから移動部材30(スライド部31)にリードスクリュー19a、19bのトルクを伝達することができる。ここで、連結部材72は、ナット部材71a、71b、及び移動部材30のスライド部31と、xz平面と垂直な各々の回動軸を中心に回動可能にそれぞれ連結されている。ここで、xz平面は、換言するとリードスクリュー19a、19bを含む面である。
【0042】
更に具体的に説明すると、
図16に示すように、連結部材72は、孔部76a、76b、76cを備える。そして、
図13〜
図15に示すように、連結部材72は、孔部76aにおいてビス73aを用いてナット部材71aと回動可能に連結されている。また、連結部材72は、孔部76bにおいてビス73bを用いてナット部材71bと回動可能に連結されている。また、移動部材30のスライド部31は突起部75を備えており、この突起部75が連結部材72の孔部76cに挿通されることで、移動部材30のスライド部31と連結部材72とが回動可能に連結されている。ここで、連結部材72は、下側からビス73a、73bを用いてナット部材71a、71bと連結される。また、移動部材30のスライド部31は、上側から突起部75を用いて連結部材72と連結される。
【0043】
また、
図15、
図16に示すように、連結部材72が備える孔部76b、76cの形状を、連結部材72が伸びる方向(x軸方向)に長手方向が伸びている長穴形状とする。このような形状とすることで、連結部材72がx軸に対して傾く(
図10参照)ことを許容することができ、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を連結部材72を用いて吸収することができる。なお、この場合は、連結部材40の孔部76aは円形状とすることができる(
図16参照)。
【0044】
また、連結部材72の孔部76bを円形状とし、孔部76aおよび孔部76cを長穴形状としてもよい。更に、連結部材72の孔部76cを円形状とし、孔部76aおよび孔部76bを長穴形状としてもよい。
【0045】
以上で説明した本実施の形態にかかる光学機器においても、リードスクリュー19a、19bの送り量の差を吸収部材(ナット部材71a、71b及び連結部材72)を用いて吸収することができる。よって、鏡筒内に配置されたレンズをモータを用いて安定的に移動することができる。
【0046】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。