【課題】LEDから出射した光が照明光として導光体から外部に出射する出射効率の低下を抑えながら、基板の後方に出射させることができる導光体および発光装置を提供すること。
【解決手段】導光体1は、導光部材5の一端側に配置される光入射面7と、光入射面7に対して導光部材5を挟んで他端側に配置される光反射面11と、光入射面7と光反射面11との間に配置される導光部材5の側面に配置され、光入射面7から導光部材5内に入射した光を外部に出射する光出射面としての側面14とを有する。導光部材5は、中実体にて構成されると共に、光散乱粒子を含有する光散乱導光部材として形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る導光体1および発光装置2の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(発光装置2の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る導光体1およびこの導光体1を備える発光装置2について、光軸Xを含む面における構成を示す断面図である。説明の便宜上、
図1に矢印Fで示す方向を前方(前側)とし、その反対方向である矢印Bで示す方向を後方(後側)とし、また、光軸Xと直交する方向を側方として、以下の説明を行うこととする。
図2は、導光体1を前方から見た正面図であり、
図3は、導光体1を後方から見た背面図である。なお、発光装置2を実際に使用する際には、
図1に示す発光装置2の前方を上方、あるいは下方等の所望の方向に向けて使用することができる。
【0017】
発光装置2は、導光体1と、光源としてLED3と、LED3が搭載されるLED基板4とを有している。LED3は、LED基板4に実装され、図示外の電源部から供給される電力により発光可能とされている。発光装置2は、LED3から出射された光を、導光体1を介して導光体1の周囲に出射することができるように構成されている。本実施の形態に係る発光装置2では、LED3は、複数の発光部(LEDチップ)を有し、各発光部は、蛍光材が混合された樹脂材により覆われている。したがって、LED3は、光出射部から全体として面発光に近い状態で光を出射することができる。
【0018】
導光体1は、光を透過することができる導光部材5と、光を反射させる光反射部材6とを有している。なお、
図1および後述の
図5等において、導光部材5の断面部は、光線L1A等の光線を見易くするため、ハッチングを省略している。導光部材5は、たとえば、無色透明のPMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)に後述する光散乱粒子が含有され光散乱導光部材として構成されている。なお、PMMAに換えて、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ベンジルメタクリレート等の樹脂により、導光部材5を形成することもできる。導光部材5は、光軸Xを回転軸として、
図1に示す断面を回転させた回転体を呈するものであり、光軸Xと直交する断面の面積が、後方から前方に向かって連続的に大きくなる形状を呈している。すなわち、導光部材5は、後方から前方に向かって直径が大きくなる、いわゆる円錐台状を呈している。
【0019】
導光部材5の後端部には、光入射面7が形成されている。導光部材5は、LED3と光入射面7との間に僅かな空気層8を有するように、LED基板4に対して取り付けられている。光入射面7の外周の縁部には、後方に向けて突起状に延設される凸条部9が形成されている。導光部材5は、凸条部9において、LED基板4に対して支持されている。そして、凸条部9が、LED基板4に対して、たとえば、接着剤により固着されることで、導光部材5は、LED基板4に対して固定された状態で取り付けられる。凸条部9は、光入射面7の外周の全域に亘って形成されていてもよく、また、部分的に形成されていてもよい。凸条部9を部分的に形成する場合には、導光部材5がLED基板4に安定して支持されるように光軸Xの周囲に均一間隔で形成することが好ましい。
【0020】
導光部材5の前端部には、光反射部材6が配置されている。光反射部材6は、たとえば、白色の高反射のポリカーボネート材により形成され、円盤状を呈している。導光部材5の前端部には、前端面から後方に凹む円形の凹部10が形成され、この凹部10内に光反射部材6が嵌合されている。光反射部材6は、後端面が光反射面11として形成されている。したがって、光反射部材6が凹部10に嵌合された状態で、導光部材5から光反射面11に入射した光は、再び導光部材5側に反射させられる。光反射面11の直径R1は、導光部材5の後端縁12の直径R2よりも大きい。つまり、導光体1は、光反射面11の外周縁13が、後端縁12よりも側方に競り出るように、構成されている。
【0021】
導光部材5には、光を多重散乱させることができる光散乱粒子が含有され、光散乱導光部材として構成されている。光散乱粒子は、たとえば、以下に説明するシリコーン粒子により形成することができる。導光部材5は、体積的に一様な散乱能が与えられた導光体であり、光散乱粒子としての球形粒子を多数含んでいる。導光部材5の内部に光が入射すると、その光はシリコーン粒子(光散乱粒子)によって散乱することになる。
【0022】
ここで、光散乱粒子(シリコーン粒子)の理論的な基礎を与えるMie散乱理論について説明する。Mie散乱理論は、一様な屈折率を有する媒体(マトリックス)中に該媒体と異なる屈折率を有する球形粒子(光散乱粒子)が存在するケースについてマックスウェルの電磁方程式の解を求めたものである。光散乱粒子に相当する光散乱粒子によって散乱した散乱光の角度に依存した強度分布I(Α、Θ)は下記(1)式で表される。Αは、光散乱粒子の光学的大きさを示すサイズパラメータであり、マトリックス中での光の波長λで規格化された球形粒子(光散乱粒子)の半径rに相当する量である。角度Θは散乱角で、入射光の進行方向と同一方向をΘ=180°にとる。
【0023】
また、(1)式中のi
1、i
2は(4)式で表される。そして、(2)〜(4)式中の下添字ν付のaおよびbは(5)式で表される。上添字1および下添字νを付したP(cosΘ)は、Legendreの多項式、下添字ν付のa、bは1次、2次のRecatti−Bessel関数Ψ
*、ζ
*(ただし、「*」は下添字νを意味する。)とその導関数とからなる。mはマトリックスを基準にした光散乱粒子の相対屈折率で、m=nscatter/nmatrixである。
【0024】
【数1】
【0025】
図4は、上記(1)〜(5)式に基づいて、単一真球粒子による強度分布I(Α、Θ)を示すグラフである。この
図4では、原点Gの位置に光散乱粒子としての真球粒子があり、
図4における下方から入射光が入射した場合の散乱光強度の角度分布I(Α、Θ)を示している。そして、原点Gから各曲線までの距離が、それぞれの散乱角方向の散乱光強度である。ひとつの曲線はΑが1.7であるときの散乱光強度、別の曲線はΑが11.5であるときの散乱光強度、さらに別の曲線はΑが69.2であるときの散乱光強度である。なお、
図4においては、散乱光強度を対数目盛で示している。このため、
図4では僅かな強度差として見える部分が、実際には非常に大きな差となる。
【0026】
この
図4に示すように、サイズパラメータΑが大きくなればなるほど(ある波長λで考えた場合は真球粒子の粒径が大きくなればなるほど)、
図4における上方(照射方向の前方)に対して指向性が高く光が散乱されていることがわかる。また、実際のところ、散乱光強度の角度分布I(Α、Θ)は、入射光波長λを固定すれば、散乱子の半径rと、媒体および光散乱粒子の相対屈折率mとをパラメータとして制御することができる。
【0027】
このような、単一真球粒子がN個含まれる導光部材5に光が入射すると、光は真球粒子により散乱される。散乱光は光散乱導光部材中を進み、他の真球粒子により再度散乱される。ある程度以上の体積濃度で粒子を添加した場合には、このような散乱が逐次的に複数回行われた後、光が光散乱導光部材から出射する。このような散乱光がさらに散乱されるような現象を多重散乱現象と呼ぶ。このような多重散乱においては、透明ポリマーでの光線追跡法による解析は容易ではない。しかし、モンテカルロ法により光の挙動を追跡し、その特性を解析することはできる。それによると、入射光が無偏光の場合、散乱角の累積分布関数F(Θ)は下記の(6)式で表される。
【0028】
【数2】
【0029】
ここで(6)式中のI(Θ)は、(1)式で表されるサイズパラメータΑの真球粒子の散乱強度である。強度I
oの光が導光部材5に入射し、距離yを透過した後、光の強度が散乱によりIに減衰したとすると、これらの関係は下記の(7)式で表される。
【0030】
【数3】
【0031】
この(7)式中のτは濁度と呼ばれ、媒体の散乱係数に相当するものであり、下記の(8)式のように粒子数Nに比例する。なお、(8)式中、σ
sは散乱断面積である。
【0032】
【数4】
【0033】
(7)式から長さLの導光部材5を散乱せずに透過する確率P
t(L)は下記の(9)式で表される。
【0034】
【数5】
【0035】
反対に光路長Lまでに散乱される確率P
s(L)は下記の(10)式で表される。
【数6】
【0036】
これらの式からわかるように、濁度τを変えることにより、光散乱導光部材内での多重散乱の度合いを制御することができる。
【0037】
以上の関係式により、光散乱粒子のサイズパラメータΑと濁度τとの少なくとも1つをパラメータとして、導光部材5内での多重散乱が制御可能である。
【0038】
ここで、導光部材5に含有されている光散乱粒子は、たとえば、平均粒径が2.4μmの透光性のシリコーン粒子とすることができる。また、光散乱粒子による散乱係数に相当する散乱パラメータである濁度τは、τ=0.49(λ=550nm)とすることができる。
【0039】
上述のように導光体1を構成することで、LED3から出射した光の導光体1内での光量の損失を抑えながら、かつ、配光角を広げることができ、発光装置2の配光特性を白熱電球の配光特性に近づけることができる。また、さらに、導光体1から出射される光の輝度斑の低減を図ることができる。上述の効果は、次のようなメカニズムで奏されると考えられる。
【0040】
先ず、光反射面11が備えられていることで、LED3から出射した光のうち、導光体1から後方側に出射する光の量を増やすことができると考えられる。つまり、
図5に示すように、LED3から出射し、導光部材5に入射した光の一部は、光線L1A、L1Bのように、光反射面11により、光軸Xと直交する方向よりも後側に向けて反射される。これにより、導光部材5の前端面に光反射面11を備えない場合に比べて、光反射面11を備える方が、導光部材5から出射する光の配光角を後方側に広げることができると考えられる。なお、光線L1Aは、P1,P2において、また光線L1Bは、Q1,Q2において光路が屈折しているが、これは、光線L1A、L1Bが、光散乱粒子により散乱された状態を示している。
【0041】
また、導光部材5は、光軸Xに直交する面の直径が光入射面7から光反射面11に向かって徐々に大きくなる円錐台を呈している。したがって、導光部材5の光出射面としての側面14は、側面14が仮に光軸Xと平行な場合に比べて、光反射面11で反射され側面14に入射する光の入射角が小さくなる方向に傾斜している。これにより、光反射面11で反射し側面14に入射する光は、側面14で全反射し導光部材5の中に戻る割合が減少し、導光部材5の外部に効率良く出射させることができると考えられる。
【0042】
つまり、光出射面である側面14が、
図6に仮想的に示す側面14Aのように光軸Xと平行な場合には、この側面14Aに全反射角で入射する光線L2A,L2Bが、導光部材5内へ光線L3A,L3Bとして反射されてしまう場合であっても、側面14のように光線L2A,L2Bの入射角が小さくなるように構成されることで、光線L4A,L4Bとして導光部材5の外側に出射させることができる。これにより、光反射面11で反射した光を、導光部材5の外部に効率良く出射させることができると考えられる。
【0043】
また、
図5に示すように、光反射面11の直径R1が、導光部材5の後端縁12の直径R2よりも大きく、光反射面11の周囲が後端縁12よりも側方に競り出していることで、導光体1から出射する光の配光角を後方に向かってより大きくすることができると考えられる。つまり、導光部材5の後端縁12の直径R2よりも光反射面11の直径R1を大きくすることで、直径R1が、直径R2以下の場合に比べて、光反射面11で後側に向けて反射された光が、導光部材5により遮光される割合が少なくなると考えられる。
【0044】
さらに、導光部材5には、光散乱粒子が含有されている。これにより、LED3から導光部材5に入射した光の導光部材5内での反射回数を少なくさせて導光部材5の外側に出射することができると考えられる。反射の回数を少なくすることで、反射による光量の損失を抑制することができる。たとえば、導光部材5に光散乱粒子が含有されていない場合は、たとえば、
図7に示すように、LED3から導光部材5に入射した光線L5は、光反射面11とLED3との間で反射を繰り返した後、導光部材5の外側に出射することがある。そのため、反射を繰り返す度に光量が損失される。
【0045】
これに対し、導光部材5内に光散乱粒子を含有させることで、たとえば、
図8に示す光線L6のように、光散乱粒子により光反射面11に入射する入射角が大きくなる方向に散乱させられる光線を発生させることができる。光反射面11に入射する光線の入射角が大
きくなることで、LED3から光入射面7に入射した光が導光部材5の外側に出射するまでに光反射面11とLED3との間で繰り返される反射の回数を減らすことができると考えられる。このように光反射面11とLED3との間で繰り返される反射の回数を減らすことで、反射による光量の損失を減らすことができる。すなわち、LED3から出射された光が導光体1から出射される割合である出射効率を大きくすることができる。
【0046】
また、LED3から導光部材5内に入射した光は、光散乱粒子により散乱させられるため、導光部材5から出射する光の輝度斑の低減が図られる。
図9から
図19に、無色透明なPMMA樹脂にて形成される導光部材5に、直径2.4μmの球体の光散乱粒子を含有させた場合と含有させない場合の配光角および輝度分布の比較を表すグラフを示す。各グラフにおいて、放射方向は輝度を示す。また、配光角0度の方向が発光装置2の前方に対応し、配光角180度の方向が後方に対応している。また、各配光角の輝度は、±2度の範囲における平均輝度が示されている。
【0047】
図9は、導光部材5に光散乱粒子を含有させない場合であり、導光部材5が無色透明の場合の配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は62%である。
図10は、導光部材5を濁度0.49(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は65%である。
図11は、導光部材5を濁度0.98(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は67%である。
図12は、導光部材5を濁度1.7(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は70%である。
図13は、導光部材5を濁度2.0(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は71%である。
図14は、導光部材5を濁度2.2(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は71%である。
図15は、導光部材5を濁度2.4(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は72%である。
図16は、導光部材5を濁度2.9(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は73%である。
図17は、導光部材5を濁度3.9(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は75%である。
図18は、導光部材5を濁度4.9(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は77%である。
図19は、導光部材5を濁度9.7(λ=550nm)の光散乱導光体とした場合における配光角および輝度分布を示す。この場合の、出射効率は79%である。
【0048】
図9から
図19に示すように、導光部材5の濁度τの値が高くなるほど、出射効率が大きくなる傾向がある。また、光散乱導光体の濁度を、0.3<τ<6.5の範囲とすることで、配光角の増大と輝度斑の低減を図ることができ、特に、光散乱導光体の濁度を、0.69<τ<5.1の範囲とすることで、導光体1から出射する光の配光と輝度斑が、より電球の配光および輝度斑に近いものとなる。さらに、光散乱導光体の濁度を、1.2<τ<3.2の範囲とすることで、
図12から
図16に示すように、導光体1から出射する光の配光角を大きくしながら輝度斑を少ないものとすることができる。
【0049】
図20の上段(A)は、光散乱導光体の濁度0.98(λ=550nm)のとき、すなわち
図11に示す輝度分布の導光部材5を有する導光体1の光の出射状態を示す図である。また、
図20の下段(B)は、導光部材5に光散乱粒子を含まないとき、すなわち
図9に示す輝度分布の導光部材5を有する導光体1の光の出射状態を示す図である。各図とも、白色部が出射する光を示し、白色部が多くなるほど出射する光の輝度が高くなっている。
図20(B)に示すように、導光部材5を無色透明とした場合には、導光体1の前部に光っている部分が集中しているように見える。これに対し、導光部材5を光散乱部材とした場合には、
図20(A)に示すように、
図20(B)に示す状態に比べて、導光体1が全体的に一様に光って見える。このように導光部材5を光散乱部材とすることで、発光装置2の配光特性を白熱電球の配光特性に近づけることができる。
【0050】
(本実施の形態の主な効果)
上述のように、導光体1は、導光部材5の一端側に配置される光入射面7と、光入射面7に対して導光部材5を挟んで他端側に配置される光反射面11と、光入射面7と光反射面11との間に配置される導光部材5の側面に配置され、光入射面7から導光部材5内に入射した光を外部に出射する光出射面としての側面14とを有し、導光部材5は、中実体にて構成されると共に、光散乱粒子を含有する光散乱導光部材として形成されている。
【0051】
導光体1をこのように構成することで、光入射面7から入射した光の一部が、光反射面11により光軸Xと直交する方向よりも後側に向けて反射される。そのため、導光部材5の前端面に光反射部材6を備えない場合に比べて、光反射部材6を備える方が、導光部材5から出射する光の配光角を後方側に広げることができる。また、導光部材5には、光散乱粒子が含有されている。これにより、LED3から導光体1内に入射した光が導光体1から出射される出射効率を大きくすることができる。また、LED3から導光部材5内に入射した光は、光散乱粒子により散乱される。そのため、導光部材5から出射する光の輝度斑の低減を図ることができる。
【0052】
また、導光体1の光出射面としての側面14は、光反射面11を含む面と成す角が鋭角である傾斜面となっている。すなわち、側面14は、光反射面11で反射され側面14に入射する光に対して入射角が大きくなる方向に傾斜している。そのため、光反射面11で反射し側面14に入射する光は、側面14で全反射し導光部材5の中に戻る割合が減少し、導光部材5の外部に効率良く出射させることができる。つまり、光反射面11で反射した光を、導光部材5の外部に効率良く出射させることができる。
【0053】
また、導光部材5には、光散乱粒子が全体的に含有され、導光部材5の全体が光散乱導光部材により構成されている。そのため、導光体1の光出射効率を高めることができる。
【0054】
なお、導光部材5を濁度τが0.3よりも大きく6.5よりも小さい光散乱導光体とすることで、配光角の大きさと輝度斑の低減を図ることができ、濁度τを1.2よりも大きく3.2よりも小さくすることで、導光体1から出射する光の配光角を大きくしながら輝度斑を少ないものとすることができる。
【0055】
導光部材5は、上述した形状に限らず、
図21の上段(A)、中段(B)、下段(C)に示す形状としてもよい。つまり、
図21(A)に示すように、側面14の光軸Xに対する傾斜角が、
図10等に示す導光部材5の側面14の光軸Xに対する傾斜角より大きくなるように構成してもよい。また、
図21(B)に示すように、光入射面7と側面14の傾斜面との間に円筒部15を配置してもよい。さらに、
図21(C)に示すように、光出射面としての側面14を球面の一部にて形成するように構成してもよい。
図21(A)(B)(C)に示すように導光体1を構成することで、後方側へ配光量をより増やすことが可能となる。
【0056】
(第2の実施の形態)
導光体1の導光部材は、
図22に示す導光部材21として構成してもよい。導光部材21は、光散乱導光部材により形成される光散乱導光層22と光散乱粒子を含まない透明部として形成される透明層23とを有し、光散乱導光層22と光入射面7との間に、透明層23が配置されている。なお、
図22では、導光部材21の断面部についてはハッチングを省略して表わしている。導光部材21をこのように構成することで、導光体1からの光の出射の状態を、
図23に示すように、見た目においてより白熱電球に近いものとすることができる。
図23は、導光部材21を有する導光体1の光の出射状態を示す図であり、白色部が出射する光を示し、白色部が多くなるほど出射する光の輝度が高い状態となっている。導光部材21を用いることで、口金から離れた位置に発光部(フィラメント)が配置されている白熱電球のように、見た目の光の出射の状態を、口金から離れた位置に光源が配置されているようにすることができる。
図24は、無色透明なPMMAに直径2.4μmの球形の光散乱粒子が含有され、濁度2.0の光散乱導光体から成る導光部材21における配光角および輝度分布を示すグラフである。なお、導光部材21は、たとえば、透明層23を一次側として成形した後、光散乱導光層22を二次側として透明層23と一体に成形する、いわゆる二色成形にて製造することができる。
【0057】
また、導光体1は、
図25に示すように、LED3から出射した光が導光部材5内に入射する光入射面を、光反射面11の側に向かって錐面状に凹む凹面を呈する光入射面25としてもよい。このように、光入射面25を円錐面とすることで、光反射面11で反射した光線の一部を、光線L7A,L7Bのように光入射面25で全反射させ、導光部材5の外部に出射させ易くすることができる。つまり、たとえば、光入射面を
図26に示す光入射面7のように平面とした場合には、光反射面11で反射され光入射面7に入射する光は、光入射面7を透過し再度LED3あるいはLED基板4に吸収され易くなる。これに対し、光入射面25を円錐面とすることで、光反射面11で反射され光入射面25に入射する光を光入射面25で側方に向けて全反射させ易くなる。これにより、導光部材5の外部に出射させ易くすることができると共に配光角を大きくすることができる。
【0058】
導光部材5は、
図27に示すように、側面14については、
図1等と同様に傾斜させることが好ましく、光入射面については、
図25に示すように、円錐面状の光入射面25とすることが好ましい。
図27に示すように導光部材5を構成することで、光反射面11で反射した光を導光部材5の外部に出射させる率を一層高くすることができることに加えて配光角を大きくすることができる。
【0059】
しかしながら、
図25に示すように、光出射面を光軸Xと平行な側面26としてもよい。すなわち、導光部材5を円柱体に構成してもよい。導光部材5を円柱体としても、光入射面25を円錐面とすることで、光反射面11で反射された光を導光部材5の外部に出射させ易くすることができ。これにより、出射効率を向上させることができると共に配光角を大きくすることができる。
【0060】
図28は、
図25に示す導光体1において、導光部材5を無色透明なポリカーボネートにて形成し、直径2.4μmの球体の光散乱粒子を含有させ、濁度2.38(λ=550nm)とした光散乱導光体とした場合における導光体1の配光角および輝度分布を示すグラフである。この場合の、出射効率は84%である。
【0061】
図29は、
図26に示す導光体1において、導光部材5を無色透明なポリカーボネートにて形成し、直径2.4μmの球体の光散乱粒子を含有させ、濁度2.38(λ=550nm)とした光散乱導光体とした場合における導光体1の配光角および輝度分布を示すグラフである。この場合の、出射効率は79%である。なお
図28,29のグラフにおいて、放射方向は輝度を示す。また、配光角0度の方向が発光装置2の前方に対応し、配光角180度の方向が後方に対応している。また、各配光角の輝度は、±2度の範囲における平均輝度が示されている。
【0062】
導光体1および発光装置2は、
図30に示す構成としてもよい。
図30に示す導光体1および発光装置2において、上述の実施の形態で説明した構成と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図30に示す導光体1および発光装置2は、光反射部材6の周囲に、導光部材5に連通することで、導光部材5内に入射した光を他端方向(前方)に向けて光を出射することができる導光部材である周囲導光部材30が設けられている。周囲導光部材30が設けられていることで、LED3から導光部材5に入射した光の一部が、たとえば、光線L7C,L7Dのように、周囲導光部材30の他端面すなわち前端面31から出射する。導光体1の輝度分布は、配光の中心側の輝度が小さくなり易い傾向がある。しかしながら、周囲導光部材30の前端面31から光が出射することで、導光体1の配光の中心側の輝度を向上させることができ、照度斑の低減を図ることができる。なお、LED3から導光部材5に入射した光の一部には、周囲導光部材30の側面32から出射する光もある。側面32は、側面26に連続する面である。なお、
図30に示す導光体1および発光装置2において、上述の実施の形態で説明した構成と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
図30に示す導光体1から出射する光の配光角および輝度分布を
図31に示す。また、
図30に示す導光体1から出射する光の照度分布を
図32に示す。
【0064】
図33に示すように、導光体1の前端面の前面を光反射部材6で覆った構成の導光体1から出射される光の配光角および輝度分布を
図34に示す。また、
図33に示す導光体1から出射する光の照度分布を
図35に示す。
図31と
図34との比較、および
図32と
図35との比較から判るように、光反射部材6の周囲に周囲導光部材30を設けることで、導光体1の前端面の前面を光反射部材6で覆う構成に比べて、導光体1の配光の中心側の輝度が高くなり、照度斑の低減が図られる。
【0065】
また、
図30に示す導光体1において、周囲導光部材30を備えることで、導光体1から出射する光の配光角、輝度分布および照度分布を、前端面31の面積や光出射面の形状に対応したものにすることができる。
【0066】
上述の各実施の形態では、光反射部材6の後方の面を光反射面11として形成しているが、光反射面11は、導光部材5の前端面に、たとえば、アルミを蒸着したり、あるいは、反射テープを貼着する等によっても形成することができる。