特開2017-139713(P2017-139713A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-139713(P2017-139713A)
(43)【公開日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20170714BHJP
【FI】
   H04R9/02 102A
   H04R9/02 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-21210(P2016-21210)
(22)【出願日】2016年2月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】多田 新
(72)【発明者】
【氏名】丹野 慶太
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BB04
5D012BD04
5D012FA01
5D012GA01
(57)【要約】
【課題】ボイスコイルを効率良く冷却することができる「スピーカ装置」を提供する。
【解決手段】円環状のマグネット7をトッププレート8とボトムプレート9で挟持して積層すると共に、トッププレート8とセンターポール10の間に磁気ギャップが確保されている磁気回路1を備え、磁気ギャップに配置されたボイスコイル2に通電することにより、振動板4が振動して駆動電流に応じた音が生成されるスピーカ装置において、振動板4やダンパー5を支持するフレーム6の底板部6aをトッププレート8の上面に固定し、このトッププレート8の上面に形成した連通溝11の長手方向両端部を除く開放面を底板部6aとフィルム12とで覆うことにより、底板部6aとトッププレート8との間に外側空間からボイスコイル2に向かう空気流通路が形成されるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状のマグネット、前記マグネットの上面に固着された円環状のトッププレート、前記マグネットの下面に固着されたボトムプレート、前記トッププレートの内側に磁気ギャップを介して対向配置されたセンターポールを有する磁気回路と、前記磁気ギャップ内に上下動可能に配置されたボビンと、前記ボビンに巻回されたボイスコイルと、前記ボビンを弾性的に支持する円環状のダンパーと、前記ボビンに連動して振動する振動板と、前記振動板および前記ダンパーの外周部を保持すると共に前記磁気回路に固定されたフレームとを備えたスピーカ装置において、
前記トッププレートの上面または下面に径方向に沿って延びる連通溝が形成されていると共に、前記連通溝の長手方向両端部を除く開放面がカバー部材によって覆われており、前記連通溝と前記カバー部材とで外側空間から前記ボイスコイルに向かう空気流通路が構成されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記カバー部材としてフィルムが用いられており、前記フィルムが前記連通溝の少なくとも内周側の開放面を覆うように前記トッププレートに貼り付けられていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記連通溝が前記トッププレートの上面に形成されていると共に、前記フレームが前記トッププレートの上面に固定されて、前記フレームの下面が前記カバー部材として用いられていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項4】
請求項1の記載において、前記ダンパーが空気を通さない材料で形成されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項5】
請求項1の記載において、前記連通溝が非通電時の前記ボイスコイルの中央部よりも上方位置に配置されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項6】
請求項1の記載において、前記連通溝が前記トッププレートの上面に形成されていると共に、前記トッププレートの内周面に前記連通溝の内側端部に連続して前記マグネットの内周面に向かって延びる縦溝部が形成されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項7】
請求項6の記載において、前記連通溝の溝深さをD1、前記縦溝部の溝深さをD2としたとき、これらがD1≧D2の関係に設定されていることを特徴とするスピーカ装置。
【請求項8】
請求項1の記載において、前記連通溝の外側端部が外側に向かって溝幅を広くする末広がり形状となっていることを特徴とするスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイスコイルに通電して振動板を振動させる動電型のスピーカ装置に係り、特に、スピーカ装置に備えられる磁気回路の放熱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は特許文献1に記載された従来例に係るスピーカ装置の断面図、図8は該スピーカ装置に備えられるトッププレートを下面側から見た説明図である。図7に示すように、このスピーカ装置は、磁気回路100と、磁気回路100の磁気ギャップに配置されたボイスコイル101と、ボイスコイル101が巻回されたボビン102と、ボビン102の上端部に連結された円錐形状の振動板103と、ボビン102を弾性的に支持するダンパー104と、振動板103およびダンパー104の外周部を保持するフレーム105とによって主に構成されている。
【0003】
磁気回路100は、円環状のマグネット106と、マグネット106の上面に固着された円環状のトッププレート107と、マグネット106の下面に固着されたボトムプレート108と、ボトムプレート108の中央部に立設されたセンターポール109とからなり、このセンターポール109の外周面とトッププレート107の内周面との間に磁気ギャップが介設されている。ただし、磁気ギャップ内を上下動するボイスコイル101との接触を避けるために、センターポール109の外周面とマグネット106の内周面との間には広い空間が確保されており、マグネット106の内径寸法はトッププレート107の内径寸法に対して十分に大きく設定されている。図8に示すように、トッププレート107の下面には外周端から内周端に至る溝部107aが十字状に4本形成されており、このトッププレート107をマグネット106の上面に固着することにより、溝部107aとマグネット106の上面とで外側空間からボイスコイル101に向かう空気流通路が形成されている。
【0004】
このように構成されたスピーカ装置においては、駆動電流をボイスコイル101に通電すると、ボイスコイル101とボビン102が一体的に図7の上下方向へ移動し、それに伴って振動板103が振動して駆動電流に応じた音が生成されるようになっている。その際、通電によって発熱したボイスコイル101の熱がセンターポール109の周囲の内部空間に滞留するが、トッププレート107の下面に内部空間と外部空間を連通する溝部107aが形成されているため、振動板103が図7の下方へ振動すると、内部空間に滞留していた熱気が溝部107aを通じて外部に排出される。また、振動板103が図7の上方へ振動すると、外気が溝部107aを通じて内部空間に入り込み、このような熱気の排気と外気の吸引が繰り返されて空気の流れが生じることにより、磁気回路100の昇温が抑えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−102994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されたスピーカ装置では、トッププレート107の下面に形成された溝部107aがマグネット106の内方側で大きく開放されているため、外気が溝部107aを通じて内部空間に入り込むときに、溝部107aの開放部分で内方に向かう流れと下方に向かう流れに分散されてしまうことになる。その結果、溝部107aを通過した外気の一部が下方に逃げて流速が落ちてしまい、ボイスコイル101に流速の速い強い風が当たらなくなるため、ボイスコイル101を効率良く冷却することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ボイスコイルを効率良く冷却することができるスピーカ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のスピーカ装置は、円環状のマグネット、前記マグネットの上面に固着された円環状のトッププレート、前記マグネットの下面に固着されたボトムプレート、前記トッププレートの内側に磁気ギャップを介して対向配置されたセンターポールを有する磁気回路と、前記磁気ギャップ内に上下動可能に配置されたボビンと、前記ボビンに巻回されたボイスコイルと、前記ボビンを弾性的に支持する円環状のダンパーと、前記ボビンに連動して振動する振動板と、前記振動板および前記ダンパーの外周部を保持すると共に前記磁気回路に固定されたフレームとを備えたスピーカ装置において、前記トッププレートの上面または下面に径方向に沿って延びる連通溝が形成されていると共に、前記連通溝の長手方向両端部を除く開放面がカバー部材によって覆われており、前記連通溝と前記カバー部材とで外側空間から前記ボイスコイルに向かう空気流通路が構成されていることを特徴としている。
【0009】
このように構成されたスピーカ装置では、磁気回路の構成部材であるトッププレートの上面または下面に空気流通路としての連通溝が形成されており、この連通溝の長手方向両端部を除く開放面がカバー部材によって覆われているため、振動板の振動に伴って外気が連通溝を通って内部空間に入り込むときに、空気の流れを分散させることなくボイスコイルに当てて効率良く冷却することができる。
【0010】
上記の構成において、カバー部材としてフィルムを使用することが可能であり、このフィルムが連通溝の少なくとも内周側の開放面を覆うようにトッププレートに貼り付けられていると、スピーカ装置の軽量化を図ることができる。
【0011】
また、上記の構成において、連通溝がトッププレートの上面に形成されていると共に、フレームがトッププレートの上面に固定されて、このフレームの下面がカバー部材として用いられていると、わざわざ別部品を追加しなくてもフレームによって連通溝の開放面を覆うことができる。
【0012】
また、上記の構成において、ダンパーが空気を通さない材料で形成されていると、振動板の振動に伴ってダンパーの下方の空気が空気漏れせずに体積変化するため、連通溝を通る外気の流速を大きくすることができる。
【0013】
また、上記の構成において、連通溝が非通電時のボイスコイルの中央部よりも上方位置に配置されていると、ボイスコイルの通電によってボイスコイルが上側に変位したときに、連通溝を通って吸引された外気がボイスコイルの中央付近に当たり、ボイスコイルが下側に変位して排気動作されるときに、ボイスコイル上における空気の流れる領域が長くなるため、ボイスコイルの冷却効果を高めることができる。
【0014】
また、上記の構成において、連通溝がトッププレートの上面に形成されていると共に、このトッププレートの内周面に連通溝の内側端部に連続してマグネットの内周面に向かって延びる縦溝部が形成されていると、連通溝を通って吸引された外気をボイスコイルの下側にも流すことができるため、ボイスコイルの冷却効果を高めることができる。この場合において、連通溝の溝深さをD1、縦溝部の溝深さをD2としたとき、これらがD1≧D2の関係に設定されていることが好ましい。
【0015】
また、上記の構成において、連通溝の外側端部が外側に向かって溝幅を広くする末広がり形状となっていると、連通溝と外部空間との間で空気の出入がスムーズに行われるため、騒音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスピーカ装置によれば、磁気回路の構成部材であるトッププレートの上面または下面に空気流通路としての連通溝が形成されており、この連通溝の長手方向両端部を除く開放面がカバー部材によって覆われているため、ボイスコイルを効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態例に係るスピーカ装置の斜視図である。
図2】該スピーカ装置の断面図である。
図3】該スピーカ装置の分解斜視図である。
図4】該スピーカ装置の動作を模式的に示す説明図である。
図5】カバー部材の変形例を示す説明図である。
図6】トッププレートに形成された連通溝の変形例を示す説明図である。
図7】従来例に係るスピーカ装置の断面図である。
図8】該スピーカ装置に備えられるトッププレートを下面側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図3に示すように、本実施形態例に係るスピーカ装置は、磁気回路1と、磁気回路1の磁気ギャップに配置されたボイスコイル2と、ボイスコイル2が巻回されたボビン3と、ボビン3の上端部側に連結された振動板4と、ボビン3の中央部を弾性的に支持するダンパー5と、振動板4およびダンパー5の外周部を保持するフレーム6とによって主に構成されている。
【0019】
磁気回路1は、磁界の向きが上下方向に沿うように着磁された円環状のマグネット7と、マグネット7の上面に固着された円環状のトッププレート8と、マグネット7の下面に固着されたボトムプレート9と、ボトムプレート9の中央部に立設されたセンターポール10とからなり、このセンターポール10の外周面とトッププレート8の内周面との間に磁気ギャップが介設されている。
【0020】
マグネット7とトッププレート8およびボトムプレート9はいずれも板状部材であり、これら3部材はボトムプレート9とトッププレート8間にマグネット7を挟持して積層体を構成している。ここで、トッププレート8はマグネット7上に接着固定されているが、マグネット7の内径寸法がトッププレート8の内径寸法に対して十分に大きく設定されているため、トッププレート8はマグネット7の内周面に対して内側へ突出した状態で積層されている。センターポール10はトッププレート8の内径寸法よりも若干小径な円柱状に形成されており、前述したように、このセンターポール10の外周面とトッププレート8の内周面との間に磁気ギャップが介設されている。
【0021】
トッププレート8の上面には外周端から内周端に至る連通溝11が円周方向に120度の間隔をおいて3本形成されており、これら連通溝11は断面凹状に形成されて上面を開放している。なお、トッププレート8の上面に形成される連通溝11の数は3本に限定されず、例えば、4本の連通溝11を円周方向に90度の間隔をおいて形成するようにしても良い。また、トッププレート8の内周面には連通溝11の内側端部から下方へ延びる縦溝部11aが形成されており、連通溝11の開放面から溝底面までの溝深さをD1、縦溝部11aの開放面から溝底面までの溝深さをD2とすると、これらはD1≧D2の関係に設定されている。さらに、トッププレート8の上面には円環状のフィルム12が貼り付けられており、このフィルム12によって連通溝11の中央付近から内周端に至る範囲に亘って開放面は覆われている。
【0022】
ボビン3は円筒状に形成されており、その上部開口は円椀状のキャップ3aによって塞がれている。このボビン3の上端部に円錐形状の振動板4の内周部が接着固定されており、振動板4の外周部はエッジ部4aを介してフレーム6の上端部に接着固定されている。この振動板4よりも下方位置において、ボビン3の中央部にダンパー5の内周部が接着固定されており、ダンパー5の外周部はフレーム6の中央付近に接着固定されている。ダンパー5は波形円盤状のコーン紙からなるが、例えばコーン紙に樹脂を含浸させる等の処理を施すことにより、このダンパー5は空気を通さない材料によって形成されている。
【0023】
フレーム6は円環状の底板部6aを有しており、このフレーム6と磁気回路1は底板部6aをトッププレート8の上面に載置した状態で接着剤を用いて一体化されている。底板部6aはトッププレート8の上面に形成された連通溝11の中央付近から外周端に至る範囲を覆っており、この底板部6aと前述したフィルム12とで連通溝11の長手方向両端部を除く全ての開放面を覆うことにより、フレーム6の底板部6aとトッププレート8との間に外側空間からボイスコイル2に向かう空気流通路が確保されている。すなわち、本実施形態例においては、連通溝11の開放面を覆うカバー部材がフレーム6の底板部6aとフィルム12とによって構成されている。なお、ボイスコイル2の放熱効果やダンピング効果を高めるために、磁気回路1の磁気ギャップに磁性流体を充填するようにしても良い。
【0024】
次に、上記のごとく構成されたスピーカ装置の動作について、図2図4を参照しつつ説明する。
【0025】
ボイスコイル2に駆動電流が通電されていない非通電状態にあるとき、図2図4(a)に示すように、ボビン3に巻回されたボイスコイル2は中立位置に保持されており、トッププレート8の上面に形成された連通溝11の内側端部はボイスコイル2の中央部よりも上方位置に対向している。
【0026】
この状態でボイスコイル2に駆動電流を通電すると、ボイスコイル2とボビン3が一体的に図2の上下方向へ移動し、それに伴って振動板4が振動して駆動電流に応じた音が生成される。その際、通電によって発熱したボイスコイル2の熱がセンターポール10の周囲の内部空間に滞留するが、トッププレート8の上面に内部空間と外部空間を連通する連通溝11が形成されているため、図4(b)に示すように、ボビン3が上側に変位することに伴って、外気が連通溝11を通って内部空間に吸引され、図4(c)に示すように、ボビン3が下側に変位することに伴って、内部空間に滞留していた熱気が連通溝11を通って外部に排出される。
【0027】
しかも、連通溝11の長手方向両端部を除く全ての開放面がフレーム6の底板部6aとフィルム12によって覆われているため、外気が連通溝11を通って内部空間に入り込むときに、空気の流れを分散させることなくボイスコイル2に強く当てることができ、それによってボイスコイル2の冷却効果を高めることができる。また、連通溝11が非通電時のボイスコイル2の中央部よりも上方位置に配置されているため、図4(b)に示すように、ボビン3が上側に変位して吸引動作されるときに、連通溝11を通って吸引された外気がボイスコイル2の中央付近に当たり、図4(c)に示すように、ボビン3が下側に変位して排気動作されるときに、内部空間から連通溝11に向かう空気がボイスコイル2の表面を流れる領域が広くなり、この点からもボイスコイル2の冷却効果を高めることができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態例に係るスピーカ装置では、磁気回路1の構成部材であるトッププレート8の上面に空気流通路としての連通溝11が形成されており、この連通溝11の長手方向両端部を除く開放面がフレーム6の底板部6aとフィルム12によって覆われているため、振動板4の振動に伴って外気が連通溝11を通って内部空間に入り込むときに、空気の流れを分散させることなくボイスコイル2に強く当てて効率良く冷却することができる。
【0029】
また、樹脂等の材料からなる薄いフィルム12をトッププレート8の上面内周側に貼り付けることにより、このフィルム12を連通溝11の内側部分の開放面を覆うカバー部材として用いているため、ボイスコイル2が下側に大きく変位してもダンパー5との衝突を回避した状態で連通溝11の内側部分の開放面を確実に覆うことができると共に、軽量な材料からなるフィルム12を用いることでスピーカ装置の軽量化を図ることができる。
【0030】
また、ダンパー5が空気を通さない材料によって形成されているため、振動板4の振動に伴ってボビン3が上下動するときに、ボビン3を弾性支持するダンパー5の下方の空気が空気漏れせずに体積変化することになる。その結果、連通溝11を通る空気の流速が大きくなるため、ボイスコイル2に強い風を当てて効率良く冷却することができる。
することができる。
【0031】
また、連通溝11が非通電時のボイスコイル2の中央部よりも上方位置に配置されているため、ボイスコイル2の通電によってボビン3が上側に変位したときに、連通溝11を通って吸引された外気をボイスコイル2の中央付近に吹き付けることができると共に、ボビン3が下側に変位して排気動作されるときに、ボイスコイル2上における空気の流れる領域を長くすることができ、この点からもボイスコイル2の冷却効果を高めることができる。
【0032】
また、トッププレート8の内周面に連通溝11の内側端部から下方へ向かう縦溝部11aが形成されており、この縦溝部11aがマグネット7の内周面に向かって延びているため、連通溝11を通って吸引された外気をボイスコイル2の下側にも流すことができ、その分だけボイスコイル2の冷却効果を高めることができる。
【0033】
なお、放熱効果の向上を目的として磁気ギャップに磁性流体を充填した場合、磁性流体は連通溝11の内側端面に対峙するだけで縦溝部11aの内部まで入り込まないため、この縦溝部11aは連通溝11を通って吸引された外気の吹き出し口として機能することになる。したがって、連通溝11の内側端面に対峙する磁性流体が外気の吸引によって吹き飛ばされてしまうことを防止でき、磁性流体による放熱効果を確実に維持することができる。
【0034】
また、上記実施形態例では、フレーム6の底板部6aとフィルム12の両方をカバー部材として用い、連通溝11の中央付近から外周端に至る範囲の開放面を底板部6aで覆うと共に、連通溝11の中央付近から内周端に至る範囲の開放面をフィルム12で覆うようにしているが、図5に示すように、フレーム6の底板部6aをトッププレート8の内周面と重なる位置まで内側へ延長し、この底板部6aによって連通溝11の長手方向両端部を除く全ての開放面を覆うようにしても良い。
【0035】
その際、底板部6aを円環状に内側へ延長することにより、連通溝11の内側端部を含めてトッププレート8の上面全体を底板部6aで覆うようにしても良く、あるいは、底板部6aに連通溝11よりも幅広な複数の延長部を形成し、これら延長部によって連通溝11の内側端部の開放面を覆うようにしても良い。このようにフレーム6の底板部6aによって連通溝11の内側端部を含む全ての開放面を覆うようにすると、フレーム6の底板部6aだけでカバー部材が構成されるため、わざわざフィルムのような別部品を追加しなくて済み、部品点数を削減して組立作業性を高めることができる。
【0036】
なお、上記実施形態例では、フレーム6の底板部6aをトッププレート8の上面に固定しているが、これに限らず、フレーム6を下側に延長してボトムプレート9に固定し、トッププレート8の上面の前面にフィルム12を貼り付けるようにしても良い。
【0037】
また、上記実施形態例では、溝幅を一定とするストレート形状の連通溝11を例示して説明したが、連通溝11の形状はこれに限定されず、図6に示すように、トッププレート8に外側端部を末広がり形状とした連通溝11を形成するようにしても良い。このように連通溝11の外側端部が外側に向かって溝幅を広くする末広がり形状となっていると、連通溝11と外部空間との間で空気の出入がスムーズに行われるため、騒音の発生を防止できるという付加的な作用効果を奏する。
【0038】
また、上記実施形態例では、トッププレート8の上面に連通溝11を形成した場合について説明したが、トッププレート8の下面に連通溝を形成することも可能である。この場合、連通溝の内側端部を除く大部分の開放面をマグネット7の上面によって覆うと共に、マグネット7の内周面から突出する連通溝の内側端部の開放面をフィルムで覆うことにより、上記実施形態例と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 磁気回路
2 ボイスコイル
3 ボビン
3a キャップ
4 振動板
5 ダンパー
6 フレーム
6a 底板部(カバー部材)
7 マグネット
8 トッププレート
9 ボトムプレート
10 センターポール
11 連通溝
11a 縦溝部
12 フィルム(カバー部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8