【解決手段】折畳式車両1は、連結部材61で連結された車椅子101を、バッテリ14及びインホイールモータM等による自走で移動させることも可能である。更に、折畳式車両1は、車椅子101に連結されていない単独の状態で、バッテリ14及びインホイールモータM等により自走することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術は、車輪他を備えた走行装置本体と、該装置本体を車椅子に取り付けるための装着補助具との組み合わせにてその主要部を構成したものであるので、車椅子から取り外された単独の状態にある走行装置本体を走行させることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、つなぎ合わされた車椅子の動力を補助することが可能であると共に車椅子から取り外された単独の状態で走行することが可能な小型電動車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、小型電動車両であって、単独で自走を可能にする電動機構と、車椅子を連結するための連結部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の小型電動車両であって、車椅子を積載するための積載部材を連結部材として備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の小型電動車両であって、車椅子の構成部材が載上される凹陥部が設けられた受け部材を積載部材として備え、受け部材の凹陥部に車椅子の構成部材が載上されると、車椅子の後輪が走行面から離間することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の小型電動車両であって、メインフレームと、メインフレームに取り付けられたボードと、メインフレームの上端部に取り付けられた座席と、一端がメインフレームに回動可能に支持されると共に他端に一対の後輪が回転可能に支持されたスイングアームとを備え、座席に座位で運転可能な第1座位運転状態、及び第1座位運転状態からメインフレームをスイングアーム側に回動させることにより座席と共に走行面に対し略平行に位置するボード上にて立位で運転可能な立位運転状態に切り替え可能であり、立位運転状態に切り替えられた際に、受け部材が一対の後輪間で立設すると共に受け部材の上側に凹陥部が位置することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の小型電動車両であって、受け部材がスイングアームに設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の小型電動車両であって、受け部材が座席に設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1に記載の小型電動車両であって、電動機構による自走を操作するためのハンドルと、ハンドルに車椅子の手押しハンドルを固定するための接合部材を連結部材として備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の小型電動車両であって、ハンドルに設けられたブレーキレバーと、ブレーキレバーが動かされると、車椅子の手押しハンドルに設けられた介助用ブレーキレバーを動かす連動機構とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7又は請求項8に記載の小型電動車両であって、メインフレームと、メインフレームに取り付けられたボードと、メインフレームの上端部に取り付けられた座席と、一端がメインフレームに回動可能に支持されると共に他端に一対の後輪が回転可能に支持されたスイングアームとを備え、座席に座位で運転可能な第1座位運転状態と、第1座位運転状態からメインフレームをスイングアーム側に回動させることにより座席と共に走行面に対し略平行に位置するボード上にて立位で運転可能な立位運転状態に切り替え可能なことを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項7又は請求項8に記載の小型電動車両であって、上端にハンドルが取り付けられたフロントフレームと、フロントフレームが回転可能に支持されたベースフレームと、ベースフレームに対して回動可能に支持されたメインフレームと、メインフレームの上端部に取り付けられた座席とを備え、座席に座位で運転可能な第1座位運転状態と、第1座位運転状態からメインフレームをフロントフレーム側に回動させることにより座席及びハンドルが近接した第2座位運転状態に切り替え可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の小型電動車両は、車椅子に連結されていない単独の状態で電動機構により自走することが可能であり、連結部材で連結された車椅子を電動機構による自走で移動させることも可能であることから、つなぎ合わされた車椅子の動力を補助することが可能であると共に車椅子から取り外された単独の状態で走行することが可能である。
【0018】
また、請求項1に係る発明の小型電動車両は、連結部材で連結された車椅子を電動機構による自走で移動させることが可能であることから、車椅子の介助者負担を軽減する。
【0019】
更に、請求項1に係る発明の小型電動車両は、車椅子に連結されていない単独の状態で電動機構により自走することが可能であることから、車椅子とは無関係の自走車両としても利用することで、高齢者に限らず、老若男女の多くの人が使用可能であり、費用節約に貢献する。
【0020】
請求項2に係る発明の小型電動車両は、車椅子を積載するための積載部材によって、車椅子をつなぎ合わせることができる。
【0021】
請求項3に係る発明の小型電動車両では、車椅子の構成部材が受け部材の凹陥部に載上されると、車椅子の後輪が走行面から離間し、電動機構により車椅子を移動させる際に車椅子の後輪を回転させる必要がないことから、安全性が確保される。
【0022】
請求項4に係る発明の小型電動車両では、座席と共に走行面に対し略平行に位置するボード上にて立位で運転可能な立位運転状態に切り替えられると、受け部材が一対の後輪間で立設すると共に凹陥部が受け部材の上側に位置することから、車椅子の構成部材が受け部材の凹陥部に載上され易くなり、車椅子の介助者負担がより軽減される。
【0023】
請求項5に係る発明の小型電動車両では、受け部材がスイングアームに設けられたことにより、立位運転状態に切り替えられた際に、受け部材が一対の後輪間で立設すると共に凹陥部が受け部材の上側に位置することが実現される。
【0024】
請求項6に係る発明の小型電動車両では、受け部材が座席に設けられたことにより、立位運転状態に切り替えられた際に、受け部材が一対の後輪間で立設すると共に凹陥部が受け部材の上側に位置することが実現される。
【0025】
請求項7に係る発明の小型電動車両では、そのハンドルに車椅子の手押しハンドルが接合部材で固定されることから、電動機構による自走のために行われるハンドルの操作によって車椅子の移動操作が行われる。
【0026】
請求項8に係る発明の小型電動車両では、ハンドルに設けられたブレーキレバーが動かされると、車椅子の手押しハンドルに設けられた介助用ブレーキレバーが制動機構により動かされるので、ハンドルのブレーキレバーでの制動操作によって車椅子の介助用ブレーキレバーでの制動操作が行われる。
【0027】
請求項9に係る発明の小型電動車両では、座席に座位で運転可能な第1座位運転状態又は座席と共に走行面に対し略平行に位置するボード上にて立位で運転可能な立位運転状態で、車椅子を移動させることができる。
【0028】
請求項10に係る発明の小型電動車両では、座席に座位で運転可能な第1座位運転状態又は座席及びハンドルが近接した第2座位運転状態で、車椅子を移動させることができる。
【0029】
また、請求項10に係る発明の小型電動車両は、第2座位運転状態に切り替えられると、座席及びハンドルが近接することによりサイズが小さくなることから、室内などの狭い空間内でも、車椅子の移動が行い易くなる。
【0030】
更に、請求項10に係る発明の小型電動車両では、第2座位運転状態に切り替えられると、座席及びハンドルが近接しており、車椅子の搭乗者と介助者が近くに位置することから、双方間で意思が伝え易くなり親和性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態に係る折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図2】折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図3】折畳式車両を折畳状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図4】折畳式車両を折畳状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図5】折畳式車両を立位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図6】折畳式車両を立位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図7】ベースフレームとメインフレーム機構との間に配設される第1ロック機構を模式的に示す説明図である。
【
図8】メインフレーム機構とスイングアームとの間に配設される第2ロック機構を模式的に示す説明図である。
【
図9】メインフレーム機構と座席との間に配設される第3ロック機構を模式的に示す説明図である。
【
図10】折畳式車両の折畳状態から座位運転状態又は座位運転状態から折畳状態に移行する動作を模式的に示す説明図である。
【
図11】折畳式車両の立位運転状態における第1ロック機構と第3ロック機構のロック状態を模式的に示す説明図である。
【
図12】第1連結部材が設けられた折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図13】第1連結部材が設けられた折畳式車両を立位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図14】立位運転状態にセットされた折畳式車両に車椅子が第1連結部材で連結された状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図15】立位運転状態にセットされた折畳式車両に第1連結部材又は第2連結部材で連結される車椅子の連結位置を車椅子の背面側から模式的に示す説明図である。
【
図16】第2連結部材が設けられた折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図17】第2連結部材が設けられた折畳式車両を立位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図18】立位運転状態にセットされた折畳式車両に車椅子が第2連結部材で連結された状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図19】第3連結部材が設けられた折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図20】第3連結部材が設けられた折畳式車両を座位運転状態にセットした状態を示す折畳式車両の正面斜視図である。
【
図21】座位運転状態にセットされた折畳式車両に車椅子が第3連結部材で連結された状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図22】折畳状態にセットされた折畳式車両に車椅子が第3連結部材で連結された状態を示す折畳式車両の側面図である。
【
図23】立位運転状態にセットされた折畳式車両に車椅子が第3連結部材で連結された状態を示す折畳式車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る折畳式車両について、本発明を具体化した実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。
【0033】
[1.折畳式車両]
先ず、本実施形態に係る折畳式車両の基本構成につき
図1乃至
図6に基づき説明する。
折畳式車両1はベースフレーム2を備えており、かかるベースフレーム2は、
図2、
図4、
図6に示すように、側面視で湾曲状に形成された一対の側板2A、2Aの間を平板2Bで一体に連結した形状を有している。
かかるベースフレーム2の前部にはフロントフレーム3が略水平方向に回動可能に取り付けられている。フロントフレーム3の上端にはハンドル4が固設されており、また、フロントフレーム3の前方には、取付部材5、5を介してカバー6が取り付けられている。
【0034】
また、フロントフレーム3の下端に車輪支持フレーム7が固着され、かかる支持フレーム7には、前輪8が回転可能に支持されている。前輪8の内部には、インホイールモータMが内蔵されており、かかるインホイールモータMは後述するバッテリ14により駆動される。つまり、折畳式車両1の自走は、インホイールモータM及びバッテリ14等によって行われる。尚、インホイールモータMについては公知であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0035】
ベースフレーム2の両側後部にはメインフレーム機構9が回動可能に支持されている。メインフレーム機構9は、各側板2Aの外面上部にて回動支持部2Cを介して回動可能に支持された第1フレーム部材10、及び、第1フレーム部材10と一定距離離間した平行な位置で各側板2Aの外面下部にて回動支持部2Dを介して回動可能に支持された第2フレーム部材11を有する。第1フレーム部材10と第2フレーム部材11とは、第1フレーム部材10の回動支持部2Cにおける回動中心と第2フレーム部材11の回動支持部2Dにおける回動中心とを通る線分Aと平行な関係を有するように、リンク部材12により連結されている。これより、第1フレーム部材10と第2フレーム部材11は、相互に平行リンク機構を構成する。
【0036】
平行な2つの第1フレーム部材10の間にはボード13が配置されており(
図2参照)、また、ボード13の下面側には、前輪8を回転駆動するインホイールモータMに接続されたバッテリ14が配置されている。ベースフレーム2における各側板2Aには、フットレスト15が取り付けられている。
尚、メインフレーム機構9の第1フレーム部材10とベースフレーム2との間には第1ロック機構L1が設けられているが、かかる第1ロック機構L1については後述する。
【0037】
メインフレーム機構9における第1フレーム部材10及び第2フレーム部材11の上端部には座席(シート部)16(以下、「座席16」という。)が取り付けられている。具体的に、座席16は、その下面に設けられた支持プレート17の前部における回動支持部10Aを介して2つの各第1フレーム部材10の上端部に回動可能に取り付けられている。また、支持プレート17の後部と第2フレーム部材11の上端部との間には、第3ロック機構L3が配設されている。かかる第3ロック機構L3によるロック機能及びその解除機能を介して座席16は、
図1、
図3に示す状態から更に反時計方向に回動することが可能となる。
尚、第3ロック機構L3については後述する。
【0038】
更に、各第2フレーム部材11の長手方向における略中央部にて、一対のスイングアーム18の一端が回動支持部11Aを介して回動可能に支持されおり、各スイングアーム18の他端には、車軸19が回転可能に支持されている(
図2参照)。車軸19の両端には一対の後輪20、20(
図6参照)が回転可能に支持されている。
尚、第2フレーム部材11とスイングアーム18との間には第2ロック機構L2が配設されている。かかる第2ロック機構L2については後述する。
【0039】
続いて、メインフレーム機構9の第1フレーム部材10とベースフレーム2との間に設けられた第1ロック機構L1について
図7に基づき説明する。
図7(a)、(b)において、メインフレーム機構9の第1フレーム部材10には、リンク部材であるストライカ21が支持部21Aを介して回動可能に支持されている。かかるストライカ21は、平面視で略U字状に形成された棒状部材であり、
図7(a)中、ストライカ21の下部は、後述するフック部材23のフック部23Aに係合される被係合部21Bとなる。
【0040】
また、ベースフレーム2の底部における平板2Bには、側面視でU字状のU字溝22Aが形成された受け部材22が固設されており、かかる受け部材22には、フック部23Aを有するフック部材23が支持部23Bにより回動可能に支持されている。フック部材23は、内蔵されたバネを介して常時反時計方向に付勢されている。
【0041】
更に、フック部材23には、解除レバー24の一端が連結されており、かかる解除レバー24の他端を適宜の方法によりバネの付勢力に抗して
図7(a)、(b)中右方向に引張すると、ストライカ21の被係合部21Bに係合しているフック部材23のフック部23Aは時計方向に回動される。これにより、ストライカ21の被係合部21Bとフック部材23のフック部23Aとの係合が解除される。
【0042】
前記のように構成された第1ロック機構L1において、ベースフレーム2に対してメインフレーム機構9をロックする場合、
図7(a)に示すように、ストライカ21の被係合部21Bを受け部材22のU字溝22Aに配置するとともに、フック部材23をバネの付勢力を介して反時計方向に回動させる。これにより、ベースフレーム2とメインフレーム機構9とは、
図7(a)に示す状態でロックされる。
また、ベースフレーム2とメインフレーム機構9とのロックを解除するには、解除レバー24を
図7(b)の右方向に引張し、ストライカ21の被係合部21Bとフック部材23のフック部23Aとの係合を解除すればよい。
【0043】
続いて、メインフレーム機構9の第2フレーム部材11とスイングアーム18との間に配設された第2ロック機構L2について
図8に基づき説明する。
図8において、第2フレーム部材11にて、スイングアーム18を回動可能に支持する回動支持部11Aよりも上方位置には、回動支持部11Bを介してロッド部材25の一端が回動可能に支持されている。かかるロッド部材25の他端には、棒状の被ストッパ部25Aが形成されている。
【0044】
回動支持部11Aを介して第2フレーム部材11に回動可能に支持されたスイングアーム18には、ロッド部材の被ストッパ部25Aが上方から係止されるストッパ部18Aが形成されている。
【0045】
前記のように構成された第2ロック機構L2において、第2フレーム部材11とスイングアーム18とをロックするには、第2フレーム部材11とスイングアーム18とを相対的に回動させた後、ロッド部材25の被ストッパ部25Aをスイングアーム18のストッパ部18Aに係止すればよい。また、かかる係止関係を解除するには、第2フレーム部材11とスイングアーム18とを相対的に回動させてスイングアーム18のストッパ部18Aからロッド部材25の被ストッパ部25Aを外せばよい。
【0046】
続いて、座席16の支持プレート17の後部と第2フレーム部材11の上端部との間に配設された第3ロック機構L3について
図9に基づき説明する。尚、
図9においては、理解を容易にするため支持プレート17を取り除いて示す。
ストライカ26は、2つの第2フレーム部材11の上端部に取り付けられた支持部材50間にかけ渡された直線状の棒状部材であり、
図9(a)中、後述するフック部材28のフック部28Aに係合される被係合部26Aとなる。
【0047】
また、座席16の底部には、側面視でU字状のU字溝27Aが形成された受け部材27が固設されており、かかる受け部材27には、フック部28Aを有するフック部材28が支持部28Bにより回動可能に支持されている。フック部材28は、内蔵されたバネを介して常時時計方向に付勢されている。
【0048】
更に、フック部材28には、解除レバー29の一端が連結されており、かかる解除レバー29の他端を適宜の方法によりバネの付勢力に抗して
図9(a)、
図9(b)中右方向に引張すると、ストライカ26の被係合部26Aに係合しているフック部材28のフック部28Aは反時計方向に回動される。これにより、ストライカ26の被係合部26Aとフック部材28のフック部28Aとの係合が解除される。
【0049】
前記のように構成された第3ロック機構L3において、座席16を第2フレーム部材11の上端にロックする場合、
図9(a)に示すように、ストライカ26の被係合部26Aを受け部材27のU字溝27Aに配置するとともに、フック部材28をバネの付勢力を介して時計方向に回動させる。これにより、座席16と第2フレーム部材11とは、
図9(a)に示す状態でロックされる。
また、座席16と第2フレーム部材11とのロックを解除するには、解除レバー29を
図9(a)、(b)の右方向に引張し、ストライカ26の被係合部26Aとフック部材28のフック部28Aとの係合を解除すればよい。
【0050】
尚、
図10に示すように、スイングアーム18の後端部(
図10中、右端部近傍)には、前記ストライカ21と同様の構成を有するストライカ30が回動支持部31を介して回動可能に支持されている。かかるストライカ30は、平面視で略U字状に形成された棒状部材であり、回動支持部31と反対側は、後述するように、第1ロック機構L1におけるフック部材23のフック部23Aに係合される被係合部32となる。
【0051】
続いて、折畳式車両1における折畳状態、座位運転状態及び立位運転状態と前記した各ロック機構との関係について説明する。
ここに、折畳式車両1は、
図1、
図2示すように、座位運転状態にあるものとする。
【0052】
折畳式車両1が座位運転状態にある場合、前記第1ロック機構L1及び第2ロック機構L2は、それぞれロック状態にある。
即ち、
図7(a)に示すように、第1ロック機構L1におけるストライカ21の被係合部21Bは、受け部材22のU字溝22Aに嵌合されるとともに、フック部材23のフック部23Aがストライカ21の被係合部21Bに係合されている。
また、
図8に示すように、第2ロック機構L2におけるロッド部材25の被ストッパ部25Aはスイングアーム18のストッパ部18Aに係止されている。
【0053】
この結果、第1ロック機構L1と第2ロック機構L2との協働により、ベースフレーム2とメインフレーム機構9とは、
図1、
図2、
図7(a)、
図8に示す状態でロックされて座位運転状態が保持され、運転者は座席16に腰かけて安全に座位運転(折畳式車両1の自走)を楽しむことができる。
【0054】
前記座位運転状態から
図3、
図4に示す折畳状態に移行するには、先ず、ベースフレーム2とメインフレーム機構9とのロックを解除すべく解除レバー24を
図7(b)の右方向に引張し、ストライカ21の被係合部21Bとフック部材23のフック部23Aとの係合を解除して第1ロック機構L1のロックを解除する。また、第2フレーム部材11とスイングアーム18とを相対的に回動させてスイングアーム18のストッパ部18Aからロッド部材25の被ストッパ部25Aを外して第2ロック機構L2のロックを解除する。
【0055】
この結果、メインフレーム機構9はベースフレーム2に対して回動自在な状態となるので、メインフレーム機構9をフロントフレーム3に近接するように回動させる。このとき、スイングアーム18は、第2ロック機構L2のロック解除により、メインフレーム機構9の回動に従って、フロントフレーム3に近接する。これにより、メインフレーム機構9及びスイングアーム18は、
図3、
図4に示す折畳状態となる。
【0056】
前記折畳状態において、スイングアーム18に回動支持されたストライカ30の被係合部32を第1ロック機構L1における受け部材22のU字溝22Aに嵌合するとともに、フック部材23のフック部23Aを係合する。
これにより、折畳状態においてメインフレーム機構9がフロントフレーム3から回動してしまうことを確実に防止することができ、折畳状態を安定的に保持できる。
尚、折畳状態でも、運転者は座席16に腰かけて安全に座位運転(折畳式車両1の自走)を楽しむことができる。
【0057】
更に、
図1、
図2に示す座位運転状態から
図5、
図6に示す立位運転状態に移行するには、前記の場合と同様、ベースフレーム2とメインフレーム機構9とのロックを解除すべく解除レバー24を
図7(b)の右方向に引張し、ストライカ21の被係合部21Bとフック部材23のフック部23Aとの係合を解除して第1ロック機構L1のロックを解除する。また、第2フレーム部材11とスイングアーム18とを相対的に回動させてスイングアーム18のストッパ部18Aからロッド部材25の被ストッパ部25Aを外して第2ロック機構L2のロックを解除する。更に、解除レバー29を
図9(a)、(b)の右方向に引張し、ストライカ26の被係合部26Aとフック部材28のフック部28Aとの係合を解除して第3ロック機構L3のロックも解除する。
【0058】
この結果、メインフレーム機構9はベースフレーム2に対して回動自在な状態となるので、
図10に示すように、メインフレーム機構9をフロントフレーム3から離間する方向(つまり、スイングアーム18側)に回動させる。このとき、スイングアーム18は、第2ロック機構L2のロック解除により、メインフレーム機構9の回動に従って、フロントフレーム3から離間していく。これにより、メインフレーム機構9及びスイングアーム18は、
図11に示すように、立位運転状態となる。立位運転状態では、
図5に示すように、ボード13及び座席16が走行面Gに対し略平行に位置する。
【0059】
かかる立位運転状態において、第1ロック機構L1におけるストライカ21の被係合部21Bを、受け部材22のU字溝22Aに嵌合するとともに、フック部材23のフック部23Aをストライカ21の被係合部21Bに係合する。また、スイングアーム18に回動支持されたストライカ30の被係合部32を、第3ロック機構L3における受け部材27のU字溝27Aに配置させるとともに、フック部材28をバネの付勢力を介して反時計方向に回動させることにより、第3ロック機構L3によりロックされる。
【0060】
これにより、立位運転状態においてベースフレーム2とメインフレーム機構9、及び、メインフレーム機構9とスイングアーム18を
図11に示す状態で相互に確実にロックすることができ、運転者はボード13上に載って安全に立位運転(折畳式車両1の自走)を楽しむことができる。
【0061】
尚、本実施形態では、ハンドル4の両サイドに設けられたブレーキレバー及びブレーキレバーとブレーキとの間の配線類、あるいはインホイールモータMを駆動させるための電源関係の配線等を省略しており、実施の際にはそれ等を適宜設定すればよいものである。
更に、本実施形態では、折畳式車両1を立位運転状態にセットするに際して、第3ロック機構L3を解除する必要があるが、前記したように平行リンク機構を構成する第1フレーム部材10及び第2フレーム部材11のベースフレーム2への取付位置並びに第1フレーム部材10及び第2フレーム部材11に対する座席16の取付条件を適宜設定すれば、第3ロック機構L3の解除を行うことなく、第1フレーム部材10及び第2フレーム部材11に座席16をロックした状態を維持したまま立位運転状態にすることも可能である。
【0062】
[2.連結部材]
次に、折畳式車両1に車椅子を連結させるための連結部材について説明する。本実施形態では、連結部材として、第1連結部材、第2連結部材、又は第3連結部材が折畳式車両1に設けられる。以下、第1連結部材、第2連結部材、及び第3連結部材について、順次説明する。
【0063】
[2.−1 第1連結部材]
先ず、第1連結部材について、
図12乃至
図15に基づき説明する。第1連結部材61は、
図12の側面視で略台形状に形作られた平板であり、各スイングアーム18の同じ位置にそれぞれ設けられる。第1連結部材61の上底62には、
図12の側面視で半円状に突き抜かれた凹陥部63が設けられている。第1連結部材61の下底64は、後輪20と直接向き合う側にあるスイングアーム18の外方側面に固定されている。
【0064】
図13に示すように、折畳式車両1が立位運転状態にセットされると、一対の第1連結部材61、61が、一対の後輪20、20間にまで移動する。一対の後輪20、20間においては、一対の第1連結部材61、61が、座席16の側面に沿ってそれぞれ立った状態にあり、座席16を介して互いに向かい合う。更に、一対の後輪20、20間においては、各凹陥部63、63が、各第1連結部材61、61の上側に位置すると共に、座席16を介して互いに向かい合う。
【0065】
図14に示すように、立位運転状態の折畳式車両1において、車椅子101の構成部材(例えば、後述するクロスパイプ又は連結パイプ等)が第1連結部材61の凹陥部63上に載せられると、車椅子101がその後輪102を走行面Gから離間された状態で積載される。これにより、立位運転状態の折畳式車両1で車椅子101を移動させることができる。ちなみに、符号103は、車椅子101の手押しハンドルである。
【0066】
尚、車椅子101が折畳可能な構造を有する場合には、
図15(a)に示すように、クロスパイプ104の長手方向中央から後輪102側に近づいた位置(矢印Xで示した位置)で、クロスパイプ104が第1連結部材61の凹陥部63上に載せられる。一方、車椅子101が折畳不可能な構造を有する場合には、
図15(b)に示すように、連結パイプ105の長手方向中央から後輪102側に近づいた位置(矢印Yで示した位置)で、連結パイプ105が第1連結部材61の凹陥部63上に載せられる。
【0067】
[2.−2 第2連結部材]
続いて、第2連結部材について、
図16乃至
図18に基づき説明する。第2連結部材71は、
図16の側面視で略M字形状に形作られた金属製のパイプであり、各後輪20、20側にある座席16の両側面の同じ位置にそれぞれ設けられる。第2連結部材71の前部は、座席16の長手方向中央からフロントフレーム3側に近づいた位置で座席16の側面に固定されている。一方、第2連結部材71の後部は、座席16の側面後端に固定されている。第2連結部材71の上側には、
図16の側面視で略逆V字状に形作られた凹陥部72が設けられている。
【0068】
図17に示すように、折畳式車両1が立位運転状態にセットされると、一対の第2連結部71、71が、一対の後輪20、20間にまで移動する。一対の後輪20、20間においては、一対の第2連結部71、71が、座席16の側面に沿ってそれぞれ立った状態にあり、座席16を介して互いに向かい合う。更に、一対の後輪20、20間においては、各凹陥部72、72が、各第2連結部材71、71の上側に位置すると共に、座席16を介して互いに向かい合う。
【0069】
図18に示すように、立位運転状態の折畳式車両1において、車椅子101の構成部材(例えば、前記のクロスパイプ104又は連結パイプ105等)が第2連結部材71の凹陥部72上に載せられると、車椅子101がその後輪102を走行面Gから離間された状態で積載される。これにより、立位運転状態の折畳式車両1で車椅子101を移動させることができる。
【0070】
尚、折畳可能な構造を有する車椅子101が第2連結部材71の凹陥部72上に載せられる位置や、折畳不可能な構造を有する車椅子101が第2連結部材71の凹陥部72上に載せられる位置については、上述した第1連結部材61とおおよそ同じである(
図15参照)。
【0071】
[2.−3 第3連結部材]
続いて、第3連結部材について、
図19乃至
図23に基づき説明する。第3連結部材81は、
図19及び
図20に示すように、ハンドル4の両端部にそれぞれ取り付けられる。第3連結部材81は、第1連結穴82及び第2連結穴83が設けられた本体84を有している。
【0072】
第1連結穴82は、ハンドル4の端部が嵌挿される大きさで本体84に設けられている。ハンドル4の端部は、第1連結穴82に挿入して嵌められると、本体84の上側から螺入された固定ネジ85によって本体84に止着される。これにより、各第3連結部材81、81がハンドル4の両端部にそれぞれに固定される。
【0073】
第2連結穴83は、車椅子101の手押しハンドル103(
図14、
図18参照)の端部が挿入可能な大きさで本体84に貫かれている。手押しハンドル103の端部は、第2連結穴83に差し入れられると、本体84の外側から螺入された固定ネジ86によって本体84に止着される。これにより、各第3連結部材81、81において、手押しハンドル103が固定される。
【0074】
このようにして、ハンドル4と手押しハンドル103が各第3連結部材81、81を介して接続されると、
図21乃至
図23に示すようにして、折畳式車両1と車椅子101がひと続きにされる。
【0075】
これにより、折畳式車両1は、車椅子101を押しながら移動させることができる。その移動の際に、折畳式車両1は、
図21に示す座位運転状態、
図22に示す折畳状態、又は
図23に示す立位運転状態のいずれかにセットされる。また、折畳式車両1においては、折畳式車両1と車椅子101がひと続きにされた状態を保持しながら、上述したようにして、
図21に示す座位運転状態、
図22に示す折畳状態、又は
図23に示す立位運転状態のいずれかに切り替えることが可能である。
【0076】
[3.纏め]
以上説明した通り、本実施形態に係る折畳式車両1は、車椅子101に連結されていない単独の状態で、バッテリ14及びインホイールモータM等により自走することが可能である。更に、折畳式車両1は、各連結部材61、71、81のいずれかで連結された車椅子101を、バッテリ14及びインホイールモータM等による自走で移動させることも可能である。従って、折畳式車両1は、つなぎ合わされた車椅子101の動力を補助することが可能であると共に車椅子101から取り外された単独の状態で走行することが可能である。
【0077】
また、折畳式車両1は、各連結部材61、71、81のいずれかで連結された車椅子101を、バッテリ14及びインホイールモータM等による自走で移動させることが可能であることから、車椅子101の介助者負担を軽減する。
【0078】
更に、折畳式車両1は、車椅子101に連結されていない単独の状態で、バッテリ14及びインホイールモータM等により自走することが可能であることから、車椅子101とは無関係の自走車両としても利用することで費用節約に貢献する。
【0079】
折畳式車両1では、車椅子101のクロスパイプ104又は連結パイプ105等が第1連結部材61の凹陥部63に載上されると、車椅子101の後輪102が走行面Gから離間する。従って、折畳式車両1は、バッテリ14及びインホイールモータM等による自走で車椅子101を移動させる際に、車椅子101の後輪102を回転させる必要がないことから、安全性が確保される。
この点は、第2連結部材71の凹陥部72についても同様である。
【0080】
折畳式車両1では、立位運転状態にセットされると、第2連結部材71が走行面Gに近くなり、第2連結部材71が一対の後輪20、20間で立設すると共に凹陥部72が第2連結部材71の上側に位置することから、車椅子101のクロスパイプ104又は連結パイプ105等が第2連結部材71の凹陥部72に載上され易くなり、車椅子101の介助者負担がより軽減される。
この点は、第1連結部材61の凹陥部63についても同様である。
【0081】
折畳式車両1では、そのハンドル4に対し車椅子101の手押しハンドル103が第3連結部材81で固定される場合には、バッテリ14及びインホイールモータM等による自走のために行われるハンドル4の操作によって、車椅子101の移動操作が行われる。その際の折畳式車両1は、
図21に示す座位運転状態、
図22に示す折畳状態、又は
図23に示す立位運転状態のいずれかの状態で、車椅子101を移動させることができる。
【0082】
また、
図22に示す折畳状態では、折畳式車両1のサイズが小さいことから、室内などの狭い空間内でも、折畳式車両1による車椅子101の移動が行い易い。更に、
図22に示す折畳状態では、座席16及びハンドル4が近接しており、折畳式車両1の運転者である介助者と車椅子101の搭乗者が近くに位置することから、双方間で意思が伝え易くなり親和性が向上する。
【0083】
ちなみに、本実施形態において、折畳式車両1は、「小型電動車両」の一例である。メインフレーム機構9は、「メインフレーム」の一例である。バッテリ14及びインホイールモータMは、「電動機構」の一例である。座位運転状態は、「第1座位運転状態」の一例である。折畳状態は、「第2座位運転状態」の一例である。第1連結部材61は、「連結部材」、「積載部材」、及び「受け部材」の一例である。第2連結部材71は、「連結部材」、「積載部材」、及び「受け部材」の一例である。第3連結部材81は、「連結部材」、「積載部材」、及び「接合部材」の一例である。車椅子101のクロスパイプ104は、「車椅子の構成部材」の一例である。車椅子101の連結パイプ105は、「車椅子の構成部材」の一例である。
【0084】
[4.変更例]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態において、第1連結部材61又は第2連結部材71は、立位運転状態のみにセットされる自走式の小型電動車両に設けられてもよい。
【0085】
また、第3連結部材81は、折畳状態、座位運転状態、又は立位運転状態のいずれか状態のみにセットされる自走式の小型電動車両に設けられてもよい。
【0086】
本実施形態において、折畳式車両1は、第1連結部材61、第2連結部材71、及び第3連結部材81にかえて、積載部材が設けられてもよい。かかる積載部材は、車椅子101を折畳式車両1につなぎ合わせるものであり、例えば、ボス(突起)、ピン、ベルト、フック、又はクランプ等がある。
【0087】
本実施形態において、ハンドル4に設けられたブレーキレバーが動かされると、車椅子101の手押しハンドル103に設けられた介助用ブレーキレバーを動かす連動機構を備えてもよい。そのような場合では、ハンドル4のブレーキレバーでの制動操作によって、車椅子101の介助用ブレーキレバーでの制動操作が行われる。
【0088】
本実施形態において、折畳式車両1の駆動源は、インホイールモータMに限定されるものではない。バッテリ14により駆動されるモータであれば、その他のモータであってもよい。