【解決手段】ワイヤ20の巻き終わりの終端22からリール周り1周以内の第1部分23と巻き始めの始端21から第1部分23までの第2部分25との互いに接する部分に接合部26が形成される。接合部26により、巻き取られたワイヤ20が弾性によって緩んでしまうことを防止し、接合部26から終端22までの非接合部27により、終端22を鉄筋結束機のガイドに挿入できる。接合部26が形成されるのはワイヤ20の一部なので、緩み防止テープを不要にできると共にワイヤ20の巻取工程を簡略にできる。
前記接合部は、前記第1部分の内の前記終端から前記リール周り半周以内の部分と前記第2部分との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載のリール巻ワイヤ。
【背景技術】
【0002】
基礎配筋工事の結束作業では、従来の手作業に代わって鉄筋結束機が用いられることが多い。鉄筋結束機はワイヤを送り出して鉄筋を結束する装置である。作業者が、鉄筋結束機の円弧状に湾曲したノーズを鉄筋に掛けてレバーを引くと、鉄筋結束機は、ノーズに沿ってワイヤを送り出して鉄筋に巻き回し、巻き回したワイヤを爪が捩じりながらノーズの先端のカッタがワイヤを切断して鉄筋を結束する。
【0003】
鉄筋結束用のワイヤは、ワイヤがリールに巻き取られたリール巻ワイヤとして提供される。リール巻ワイヤは、一般に、きつく巻き取られたワイヤが弾性で緩まないように、ワイヤの外周面に緩み防止テープが接着される。作業者は、鉄筋結束機を使用する前に、リール巻ワイヤを鉄筋結束機に装着し、緩み防止テープを剥がしながらワイヤの巻き終わりの終端を鉄筋結束機の送りガイドに挿入する。しかし、送りガイドへワイヤを挿入しながら緩み防止テープを少しずつ剥がす作業は煩雑である。
【0004】
そこで、粘着性のあるコーティング剤を塗布したワイヤをリールに巻き取る技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示される技術では、ワイヤが粘着するので、リール巻ワイヤに接着する緩み防止テープを不要にできる。その結果、送りガイドへワイヤを挿入しながら緩み防止テープを少しずつ剥がす作業を不要にできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に開示される技術では、リール巻ワイヤを製造するワイヤの巻取工程において、コーティング剤が全長に塗布されたワイヤをリールに巻き取らなければならないので、工程が煩雑化するという問題点がある。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、緩み防止テープを不要にできると共に、ワイヤの巻取工程を簡略にできるリール巻ワイヤ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
この目的を達成するために請求項1記載のリール巻ワイヤは、鉄筋結束用のワイヤがリールに巻き取られており、ワイヤの巻き終わりの終端からリール周り1周以内の第1部分と第1部分からワイヤの巻き始めの始端までの第2部分との互いに接する部分が接合されている。第1部分と第2部分とが接合された接合部から終端までは非接合部である。接合部により、きつく巻き取られたワイヤが弾性によって緩んでしまうことを防止し、非接合部により、ワイヤの巻き終わりの終端を鉄筋結束機の送りガイドに挿入できる。非接合部を鉄筋結束機の送りガイドに挿入した後、接合部を破壊すれば、鉄筋結束機を使ってワイヤを送り出すことができる。その結果、巻き取られたワイヤの緩みを防ぐ緩み防止テープを不要にできる。
【0009】
接合部から終端までの非接合部があまりに長いと非接合部がばらけるが、非接合部は最長で終端からリール周り1周以内の長さなので、非接合部をばらけ難くできる。接合部が形成されるのはワイヤの一部なので、コーティング剤を全長に塗布したワイヤをリールに巻き取る先行技術に比べて、ワイヤの巻取工程を簡略にできる。よって、緩み防止テープを不要にできると共に、ワイヤの巻取工程を簡略にできる効果がある。
【0010】
請求項2記載のリール巻ワイヤは、接合部は、第1部分の内の終端からリール周り半周以内の部分と第2部分との間に形成されている。非接合部が長いと非接合部が折れ曲がり易いが、非接合部を最長で終端からリール周り半周以内の長さにできるので、請求項1の効果に加え、非接合部を折れ曲がり難くできる効果がある。
【0011】
請求項3記載のリール巻ワイヤによれば、接合部は第1部分と第2部分とが互いに溶融接着されている。接着剤や溶接材料等を用いて接合部が形成されていると、接合部を破壊したときに接着剤や溶接材料等の破片が生じる可能性がある。鉄筋結束機に破片が侵入すると鉄筋結束機の不具合の原因となる。これに対し、第1部分と第2部分とが互いに溶融接着されているので、請求項1又は2の効果に加え、接合部が破壊されたときに破片(屑)を生じ難くできる効果がある。
【0012】
請求項4記載のリール巻ワイヤによれば、接合部は引張せん断強さが5〜10Nなので、リール巻ワイヤは、鉄筋結束機に装着されるまで(搬送や保管の間)は接合部が接合された状態を維持し、鉄筋結束機に装着された後は非接合部を摘まんで引っ張れば接合部が破断する。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、搬送や保管、使用のときの取扱いを容易にできる効果がある。
【0013】
請求項5記載のリール巻ワイヤの製造方法によれば、巻取工程により鉄筋結束用のワイヤがリールに巻き取られる。接合工程により、ワイヤに巻き取りの張力が付与された状態で、リールに巻き取られたワイヤの互いに接する部分に電極が押し付けられる。通電によりワイヤが互いに溶融接着されるので、きつく巻き取られたワイヤが弾性によって緩んでしまうことを防止できる。その結果、巻き取られたワイヤの緩みを防ぐ緩み防止テープを不要にできる。コーティング剤を全長に塗布したワイヤをリールに巻き取る先行技術に比べて、ワイヤの巻取工程を簡略にできるので、緩み防止テープを不要にできると共に、ワイヤの巻取工程を簡略にできる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施の形態におけるリール巻ワイヤ10の斜視図である。リール巻ワイヤ10はリール11にワイヤ20が巻き付けられている。リール11は、ワイヤ20を巻き取る巻き芯12(
図2参照)と、巻き芯12の両端から張り出す鍔13とを備えている。リール巻ワイヤ10は、巻き芯12の中心に形成された穴14に鉄筋結束機(図示せず)の支持軸が挿入され、鉄筋結束機に回転自在に装着される。
【0016】
図2はリール巻ワイヤ10の模式図である。
図2では理解を容易にするため、リール11の鍔13の図示、ワイヤ20の長さ方向の中間部分の図示が省略されている(
図5において同じ)。
図2に示すようにワイヤ20は、巻き始めの始端21が巻き芯12又は鍔13(
図1参照)に固定され、始端21から巻き終わりの終端22へ向かって巻き芯12の周りに複数回巻き付けられている。
【0017】
ワイヤ20は、ワイヤ20の巻き終わりの終端22から巻き芯12の周り1周以内の第1部分23と、第1部分23の境界24から始端21までの第2部分25とからなる。第1部分23は、太さが、第2部分25と同じ太さであるが、
図2では理解を容易にするため、第1部分23は第2部分25より太い線で図示されている(
図5において同じ)。ワイヤ20の材質としては、なまし鉄線(番線)、亜鉛めっき鉄線等のめっき線、ポリエステル等の合成樹脂により金属線を被覆した被覆線などが挙げられる。ワイヤ20は、第1部分23と第2部分25との互いに接する部分に接合部26が形成されている。
【0018】
本実施の形態では、接合部26は、境界24から巻き芯12周り1周以内の部分(第2部分25の一部)と第1部分23とが互いに溶融接着されている。接合部26から終端22までの間は、接合されていない非接合部27が形成されている。接合部26から始端21までの間も接合されていない(非接合である)。接合部26は、終端22から巻き芯12周り半周以内の部分(第1部分23の一部)と第2部分25との間に形成されている。具体的には非接合部27は、長さが20〜40mmの範囲にある。
【0019】
接合部26は、引張せん断強さ(破断力)が5〜10Nの範囲にある。引張せん断強さは、ワイヤ20の長手方向に平行な引張せん断荷重により測定する。接合部26の引張せん断強さの測定方法は、接合部26より始端21側のワイヤ20と接合部26より終端22側のワイヤ20とをそれぞれ引張試験機のつかみ具で固定した後、ゆっくりとした一定速度で引張試験機を動かす。引張せん断強さ(破断力)は破断時の力の最高値である。
【0020】
ワイヤ巻リール10は、ワイヤ20の始端21が巻き芯12又は鍔13(
図1参照)に固定されており、第2部分25と接合する接合部26が第1部分23に形成されているので、始端21と接合部26とがワイヤ20を巻き芯12周りに固定する。接合部26により、巻き芯12にワイヤ20がきつく巻き付けられた状態を維持できるので、ワイヤ20の外周面に接着する緩み防止テープを不要にできる。
【0021】
緩み防止テープが接着された従来のリール巻ワイヤでは、リール巻ワイヤを鉄筋結束機に装着した後、緩み防止テープを剥がしながらワイヤの終端を鉄筋結束機の送りガイドに挿入する作業が煩雑である。その煩雑な作業を避けるために、緩み止めテープをはじめに全て剥がしてしまうと、リールに巻き付けられたワイヤが緩み、巻かれた部分に引き出される部分が食い込んだりワイヤが絡み合ったりしてワイヤの送り不良が発生することがある。
【0022】
これに対しリール巻ワイヤ10によれば、接合部26によって緩み防止テープを不要にできるので、ワイヤ20の終端22を鉄筋結束機(図示せず)の送りガイドに挿入するときに、緩み防止テープを剥がす作業を不要にできる。リール巻ワイヤ10の製造工程においては、緩み防止テープの接着作業を不要にできるので、緩み防止テープの資材費、緩み防止テープに付随して生じる廃棄物、及び、緩み防止テープの接着工程を廃止できる。
【0023】
リール巻ワイヤ10は、接合部26が破壊されない限り、リール11にワイヤ20がきつく巻かれた状態を維持できる。そのため、鉄筋結束機(図示せず)の送りガイドにワイヤ20の終端22を挿入するときも、接合部26が破壊されなければ、接合部26から始端21までがリール11にきつく巻かれた状態を維持できる。作業者は、非接合部27を摘まんで終端22を送りガイドに挿入した後、接合部26を破壊すれば、緩みのない状態を保ったまま引き続きワイヤ20をリール11から繰り出すことができる。よって、ワイヤ20の終端22を鉄筋結束機の送りガイドに挿入する作業を容易にできる。
【0024】
なお、接合部26から終端22までの非接合部27があまりに長いと、リール11に巻かれた非接合部27がばらけてしまい、搬送のとき等に非接合部27が他の部材に絡まったり挟まったりするおそれがある。しかし、非接合部27は最長で終端22からリール周り1周以内の長さなので、非接合部27をばらけ難くできる。その結果、非接合部27が他の部材に絡まったり挟まったりすることを防止できる。
【0025】
特にリール巻ワイヤ10は、接合部26が終端22からリール周り半周以内の部分(第1部分23の一部)と第2部分25との間に形成されている。非接合部27が長くなると、非接合部27が他の部材に絡まったり挟まったりするという問題の他に、非接合部27が折れ曲がり易くなるという問題が生じる。非接合部27(ワイヤ20)が折れ曲がると、折れ曲がった部分が、鉄筋結束機(図示せず)の送りガイド等に詰まってしまう。これに対し、非接合部27を最長で終端22からリール周り半周以内の長さにできるので、非接合部27を折れ曲がり難くできる。その結果、折れ曲がったワイヤ20が鉄筋結束機の内部に詰まってしまう不具合を抑制できる。
【0026】
接合部26は第1部分23と第2部分25とが互いに溶融接着されている。接着剤や溶接材料等を用いて接合部26が形成されていると、接合部26を破壊したときに接着剤や溶接材料等の破片が生じる可能性がある。鉄筋結束機(図示せず)に破片が侵入すると鉄筋結束機の不具合の原因となるが、接合部26が溶融接着により形成されているので、接合部26が破壊されたときに破片(屑)を生じ難くできる。
【0027】
接合部26は引張せん断強さが5〜10Nなので、リール巻ワイヤ10は、鉄筋結束機(図示せず)に装着されるまで(搬送や保管の間)は接合部26が接合された状態を維持し、鉄筋結束機に装着された後は、手の指で非接合部27を摘まんでワイヤ20の繰り出し方向へ引っ張れば接合部26が破断する。よって、搬送や保管、使用のときのリール巻ワイヤ10の取扱いを容易にできる。
【0028】
非接合部27は長さが20〜40mmの範囲にあるので、リール巻ワイヤ10を鉄筋結束機に装着した後、作業者は手の指で非接合部27を摘まんでワイヤ20を繰り出すことができる。さらに、非接合部27の長さが短いので、接合部26が支点となって非接合部27が折り曲げられてしまうことを抑制できる。
【0029】
次に
図3及び
図4を参照してリール巻ワイヤ10の製造方法について説明する。
図3はリール巻ワイヤ10の製造装置30の模式図であり、
図4は電極33が押し付けられたワイヤ20の模式図である。
図3に示すように製造装置30は、リール11にワイヤ20を巻き取り、巻き取ったワイヤ20に接合部26(
図1参照)を形成する装置である。製造装置30は、ワイヤ20の癖を直す矯正ローラ31と、矯正ローラ31とリール11との間に配置されたガイドローラ32と、ワイヤ20同士を接合する電極33とを備えている。ワイヤ20は、巻取工程において、リール11を回転させてワイヤ20を巻き取る巻取装置(図示せず)とガイドローラ32とにより張力が付与された状態で、リール11に巻き取られる。
【0030】
図4に示すように、ワイヤ20は密着整列してリール11に整然と巻き取られている(整列巻き)。電極33は、リール11の外側(片側)から抵抗溶接(片側スポット溶接)により接合部26(
図1参照)を形成するための部材である。片側スポット溶接は、ワイヤ20に押し付ける電極33とワイヤ20に電気的に接続されたバック電極(図示せず)との間に通電して、電極33が押し付けられたワイヤ20同士を溶融接着する方法である。電極33は、先端面の幅(
図4左右方向寸法)が、ワイヤ20を密着させて横に2本並べた幅よりも大きく設定されている。
【0031】
ワイヤ20に巻き取りの張力を付与した状態で、接合工程において、リール11に多層に巻かれた最外周層のワイヤ20の内、密着している2本に電極33を押し付けて電極33に通電する。電極33が押し付けられたワイヤ20が、ワイヤ20間に発生するジュール熱で互いに溶融接着され、電極33が押し付けられた部分に接合部26が形成される。接合部26を形成した後、接合部26からリール11周り1周以内のところでワイヤ20を切断して、リール巻ワイヤ10を製造する。ワイヤ20を切断したところが終端22(
図1参照)である。
【0032】
このリール巻ワイヤ10の製造方法によれば、緩み防止テープの接着工程を不要にできる。緩み防止テープを接着する場合には、ワイヤ20に巻き取りの張力を付与した状態で緩み防止テープを接着しなければならないので、製造装置が複雑化する。また、緩み防止テープの送り装置に詰まりが発生する等のトラブルが生じ易い。しかし、緩み防止テープの接着工程を不要にできるので、製造装置30を簡略にでき、装置のトラブルを削減できる。
【0033】
接合部26が形成されるのはワイヤ20の一部なので、コーティング剤を全長に塗布したワイヤをリールに巻き取る先行技術(特許文献1)に場合に比べて、ワイヤ20の巻取工程を簡略にできる。ワイヤ20を溶融接着して接合部26を形成するので、接着剤や溶接材料等を使って接合部を形成する場合に比べて、接着剤や溶接材料等の資材費やそれらに付随して生じる廃棄物を不要にできる。また、接着剤や溶接材料等を使って接合部を形成する場合には、接着剤や溶けた溶接材料がワイヤ20の表面の影響を受けて広がることがあるので、決められた位置に接合部26を精度良く形成できないおそれがある。これに対し、リール巻ワイヤ10はワイヤ20のごく一部を溶融接着して接合部26を形成するので、決められた位置に接合部26を精度良く形成できる。
【0034】
電極33は先端面の幅(
図4左右方向寸法)がワイヤ20を密着させて横に2本並べた幅よりも大きく設定されているので、最外周層に密着整列した2本以上のワイヤ20に電極33を押し当てることができる。よって、電極33を押し当てた部分に1つ以上の接合部26を形成できる。電極33の幅を大きくするにつれて、電極33を押し当てた部分に形成される接合部26の数を2つ以上に増やすことができる。その場合、接合部26は、リール11の周りの1周毎に現れるが、接合部26の引張せん断強さが5〜10Nの範囲であれば、鉄筋結束機(図示せず)がワイヤ20を繰り出すときに支障なく接合部26を破断できる。接合部26は破断のときに破片(屑)を生じないので、鉄筋結束機のトラブルも生じない。
【0035】
なお、ワイヤ20が番線やめっき線等の導電性を有する場合には抵抗溶接に何ら問題ない。しかし、ワイヤ20が被覆線の場合には、終端22付近の被覆を除去した後、被覆を除去した部分(導電性を有する部分)に電極33を押し当てて抵抗溶接を行なう。
【0036】
次に
図5を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、境界24から巻き芯12周り1周以内の部分(第2部分25の一部)と第1部分23との間に接合部26が形成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、境界24から巻き芯12周り1周を越えた部分(第2部分25の一部)と第1部分23との間に接合部41が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5は第2実施の形態におけるリール巻ワイヤ40の模式図である。
【0037】
図5に示すようにリール巻ワイヤ40は、第1部分23と第2部分25との互いに接する部分に接合部41が形成されている。接合部41は、境界24から巻き芯12周り4周から5周の間の部分(第2部分25の一部)と第1部分23とが抵抗溶接によって互いに溶融接着されている。接合部41から終端22までの間は、接合されていない非接合部42が形成されている。接合部41から始端21までの間も接合されていない(非接合である)。接合部41は、終端22から巻き芯12周り半周以内の部分(第1部分23の一部)と第2部分25との間に形成されている。具体的には、非接合部42は長さが20〜40mmの範囲にある。
【0038】
リール巻ワイヤ40によれば、第1部分23と第2部分25との互いに接する部分に接合部41が形成され、接合部41から終端22までの間に非接合部42が形成される。よって、第1実施の形態で説明したリール巻ワイヤ10と同様の作用効果を実現できる。
【0039】
境界24から巻き芯12周り4周から5周の間の部分(第2部分25の一部)と第1部分23との間に接合部41が形成されるので、整列巻きによって密着させたワイヤ20に電極33を押し付けなくても良い。巻乱れのあるワイヤ20であっても接合部41及び非接合部42を形成できるので、ワイヤ20の巻取工程を簡略にできる。
【0040】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第2部分25における接合部26,41の位置は一例であり、適宜設定できる。
【0041】
上記各実施の形態では、抵抗溶接によって接合部26,41を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、接着剤を用いた接着、半田などの溶接材料を用いた溶接等によって接合部26,41を形成することは当然可能である。その場合には、電極33に代えて、接着剤の塗布装置や溶接機を電極33の位置に配置する。接着剤としては、エチレン酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂系やシアノアクリレート系等の硬化速度の大きいものが用いられる。ワイヤ20が被覆線の場合には、接着剤によって接合部26,41を形成するのが好ましい。
【0042】
上記各実施の形態では、ワイヤ20に接続されたバック電極(図示せず)と電極33との間に通電する片側スポット溶接によってワイヤ20を溶融接着する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。バック電極を省略する代わりに電極33に正極と陰極とを設け、その正極と陰極とをワイヤ20に押し当てて通電すること(パラレル式の抵抗溶接)によって接合部26,41を形成することは当然可能である。
【0043】
上記各実施の形態では、ワイヤ20の1箇所に接合部26,41が形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。接合部26,41をワイヤ20の複数箇所に間隔をあけて形成することは当然可能である。
【0044】
上記第1実施の形態では、接合部26を形成した後にワイヤ20を切断してリール巻ワイヤ10を製造する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ワイヤ20を切断した後に接合部26,41を形成することは当然可能である。この場合、リール11にワイヤ20を巻き取った後、ガイドローラ32(
図3参照)と巻き芯12との間のワイヤ20をつかみ具(図示せず)でつかむ。つかみ具でワイヤ20に巻き取りの張力を付与した状態で、つかみ具と巻き芯12との間でワイヤ20を切断する。次いで、巻き芯12に巻き取られたワイヤ20に電極33を押し付けて接合部26を形成する。この場合も第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。