【課題】 常温において十分な粘着力を有し、かつ、高温において前記粘着力を十分に保持できる粘着剤を得ることが可能な粘着剤組成物、前記粘着剤組成物を硬化した粘着剤、及び前記粘着剤からなる粘着剤層を備える粘着材を提供すること。
は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。]
前記単官能ウレタンアクリレート及び前記単官能エチレン性不飽和化合物の合計含有量に対して、前記単官能ウレタンアクリレートの含有量が3〜60質量%であり、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が40〜97質量%である、ことを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル重合開始剤の合計含有量に対して、前記単官能ウレタンアクリレートの含有量が3〜60質量%であり、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が35〜92質量%であり、前記ラジカル重合開始剤の含有量が0.01〜5質量%である、ことを特徴とする請求項3に記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。先ず、本発明の粘着剤組成物について説明する。本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1):
CH
2=CR
1−COO−R
2−NHCOO−R
3 ・・・(1)
[式(1)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は炭素数1〜9の二価の炭化水素基を示し、R
3は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。]
で表わされる単官能ウレタンアクリレートと、前記単官能ウレタンアクリレート以外の単官能エチレン性不飽和化合物と、を含有する。
【0014】
本発明に係る単官能ウレタンアクリレートは、下記一般式(1):
CH
2=CR
1−COO−R
2−NHCOO−R
3 ・・・(1)
で表わされる化合物である。本発明において、単官能とは、硬化性官能基を1つ有することを示し、前記単官能ウレタンアクリレートにおける前記硬化性官能基は(メタ)アクリロイルオキシ基(CH
2=CR
1−COO−)である。なお、本発明において、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を意味する。
【0015】
式(1)において、R
1は、水素原子又はメチル基であるが、粘着剤組成物のより速い硬化(粘着剤組成物を重合反応させて粘着剤とする速度)を求める場合には水素原子であることが好ましく、より遅い硬化を求める場合にはメチル基であることが好ましい。
【0016】
式(1)において、R
2は、炭素数1〜9の二価の炭化水素基を示し、前記炭素数1〜9の二価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数1〜9のアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;キシリレン基等のアラルキレン基などが挙げられる。中でも、得られる粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、炭素数1〜9のアルキレン基が好ましく、メチレン基又はエチレン基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
【0017】
式(1)において、R
3は、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。R
3としては、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもよく、炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、セチル基、イソセチル基、ステアリル基、ベヘニル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数2〜22のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、ドデセニル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノレイル基、ドコセニル基などが挙げられ、炭素数6〜22のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜22のアルキルアリール基としては、メチルフェニル基、ノニルフェニル基などが挙げられ、炭素数7〜22のアリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる。
【0018】
これらの中でも、R
3としては、得られる粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、炭素数6〜22の炭化水素基であることが好ましく、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、セチル基、イソセチル基、ステアリル基、ベヘニル基、フェニル基、シクロヘキシル基又はベンジル基であることがより好ましく、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、セチル基、イソセチル基、ステアリル基又はベヘニル基であることがさらに好ましい。前記R
3の炭素数が前記下限未満であると、硬化後の硬度が大きくなり、得られる粘着剤の粘度が大きくなって、粘着剤としての粘着力と優れた粘着力保持力とをいずれも発揮することが困難になる傾向にある。また、このようなR
3としては、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数9〜22のアルキル基であることが特に好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数9〜20のアルキル基であることがとりわけ好ましい。
【0019】
式(1)で表わされる単官能ウレタンアクリレートは、下記一般式(2):
CH
2=CR
1−COO−R
2−NCO ・・・(2)
[式(2)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は炭素数1〜9の二価の炭化水素基を示す。]
で表わされる化合物と、下記一般式(3):
R
3−OH ・・・(3)
[式(3)中、R
3は、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。]
で表わされる化合物とを、例えば、重合禁止剤の存在下、40〜100℃で1〜3時間反応させることにより合成することができる。
【0020】
ここで、式(2)中のR
2で表わされる炭素数1〜9の二価の炭化水素基、式(3)中のR
3で表わされる炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基としては、式(1)でこれらの基として挙げた基をそれぞれ挙げることができる。
【0021】
また、式(2)で表わされる化合物としては、合成化合物を用いてもよく、例えば、アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工株式会社製)、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズMOI、昭和電工株式会社製)等の市販品を用いてもよい。
【0022】
本発明において、このような式(1)で表わされる単官能ウレタンアクリレート(以下、場合により単に「単官能ウレタンアクリレート」という)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明に係る単官能エチレン性不飽和化合物は、前記単官能ウレタンアクリレート以外の化合物であって、硬化性官能基を1つ有する単官能の化合物であり、前記硬化性官能基が炭素−炭素二重結合を末端に有する基(エチレン性不飽和基)である不飽和化合物である。前記エチレン性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基が挙げられ、中でも、得られる粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
【0024】
前記単官能ウレタンアクリレート以外の単官能エチレン性不飽和化合物(以下、場合により単に「単官能エチレン性不飽和化合物」という)としては、例えば、下記一般式(4):
CH
2=CR
4−COO−(R
5O)
n−R
6 ・・・(4)
[式(4)中、R
4は水素原子又はメチル基を示し、R
5は炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、nは(R
5O)で表わされるアルキレンオキシ基の平均付加モル数であって0〜50を示し、nが2以上の場合複数あるR
5は互いに同一でも異なっていてもよく、R
6は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。]
で表わされる化合物、下記一般式(5):
CH
2=CR
7−COO−R
8−N−(R
9)
2 ・・・(5)
[式(5)中、R
7は水素原子又はメチル基を示し、R
8は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R
9は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基、炭素数7〜10のアルキルフェニル基及び炭素数7〜10のフェニルアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示し、複数あるR
9は互いに同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる化合物、及びその他の単官能モノマーを挙げることができる。
【0025】
ここで、式(4)中のR
6で表わされる炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、炭素数6〜22のアリール基、炭素数7〜22のアルキルアリール基及び炭素数7〜22のアリールアルキル基としては、式(1)でこれらの基として挙げた基をそれぞれ挙げることができる。またさらに、これらの基としては置換基を有していてもよく、前記置換基としては、ヒドロキシ基及びハロゲン基等が挙げられる。
【0026】
式(5)中のR
9で表わされる炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、フェニル基、炭素数7〜10のアルキルフェニル基及び炭素数7〜10のフェニルアルキル基としては、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、ヒドロキシ基及びハロゲン基等が挙げられる。また、R
9で表わされるアルキル基及びアルケニル基は、それぞれ、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であってもよい。
【0027】
また、前記その他の単官能モノマーとしては、エチレン、ノルボルネン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン塩、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ダイアセトンアクリルアミド、ポリジメチルシロキサンモノメタクリレート、側鎖に第4級アンモニウム塩基を有するビニル単量体、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、p−ヒドロキシスチレン、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル、2−ビニルピリジン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等を挙げることができる。
【0028】
本発明において、このような単官能エチレン性不飽和化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
これらの単官能エチレン性不飽和化合物としては、得られる粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、式(4)で表わされる化合物のうち、下記一般式(6):
CH
2=CR
4−COO−R
6 ・・・(6)
[式(6)中、R
4は水素原子又はメチル基を示し、R
6は水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜22のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜22のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数6〜22のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜22のアルキルアリール基及び置換されていてもよい炭素数7〜22のアリールアルキル基からなる群から選択されるいずれか1つを示す。]
で表わされる単官能アクリレートであることが好ましい。
【0030】
式(6)において、R
4は水素原子又はメチル基であるが、粘着剤組成物のより速い硬化を求める場合には水素原子であることが好ましく、より遅い硬化を求める場合にはメチル基であることが好ましい。
【0031】
式(6)において、R
6としては、得られる粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜14のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましい。また、前記置換されていてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
【0032】
本発明の粘着剤組成物が式(6)で表わされる単官能アクリレートを含有する場合、その含有量としては、前記単官能エチレン性不飽和化合物の全質量に対して50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。また、本発明の粘着剤組成物としては、前記単官能エチレン性不飽和化合物の全質量に対して、式(6)中のR
6が水素原子である化合物((メタ)アクリル酸)が1〜10質量%含有されていることが好ましい。
【0033】
本発明の粘着剤組成物としては、ラジカル重合開始剤をさらに含有することが好ましい。本発明において、ラジカル重合開始剤とは、前記単官能ウレタンアクリレートと前記単官能エチレン性不飽和化合物とをラジカル重合させ、前記粘着剤組成物の硬化を進行させる作用を有するものである。本発明において、前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、当分野に公知の光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることができる。
【0034】
例えば、前記光重合開始剤としては、特に制限されず、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。また例えば、前記熱重合開始剤としては、特に制限されず、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を用いることができる。
【0035】
本発明において、このようなラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
本発明の粘着剤組成物においては、前記単官能ウレタンアクリレートと前記単官能エチレン性不飽和化合物との含有比が質量比(単官能ウレタンアクリレートの質量:単官能エチレン性不飽和化合物の質量)で3:97〜60:40であることが好ましく、3:97〜30:70であることがより好ましい。前記単官能ウレタンアクリレートの含有比が前記下限未満である場合、又は、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有比が前記上限を超える場合には、得られる粘着剤の高温における粘着力保持力が低下する傾向にあり、他方、前記単官能ウレタンアクリレートの含有比が前記上限を超える場合、又は、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有比が前記下限未満である場合には、得られる粘着剤の常温における粘着力が低下する傾向にある。
【0037】
さらに、本発明の粘着剤組成物においては、前記単官能ウレタンアクリレート及び前記単官能エチレン性不飽和化合物の合計含有量に対して、前記単官能ウレタンアクリレートの含有量が、3〜60質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。また、本発明の粘着剤組成物が前記ラジカル重合開始剤をさらに含有する場合には、前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル重合開始剤の合計含有量に対して、前記単官能ウレタンアクリレートの含有量が、3〜60質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。前記単官能ウレタンアクリレートの含有量が前記下限未満である場合には、得られる粘着剤の高温での粘着力保持力が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られる粘着剤の常温での粘着力が低下する傾向にある。
【0038】
また、本発明の粘着剤組成物においては、前記単官能ウレタンアクリレート及び前記単官能エチレン性不飽和化合物の合計含有量に対して、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が、40〜97質量%であることが好ましく、70〜97質量%であることがより好ましい。また、本発明の粘着剤組成物が前記ラジカル重合開始剤をさらに含有する場合には、前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル重合開始剤の合計含有量に対して、前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が、35〜92質量%であることが好ましく、60〜92質量%であることがより好ましい。前記単官能エチレン性不飽和化合物の含有量が前記下限未満である場合には、得られる粘着剤の常温での粘着力が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られる粘着剤の高温での粘着力保持力が低下する傾向にある。
【0039】
さらに、本発明の粘着剤組成物が前記ラジカル重合開始剤をさらに含有する場合、前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル重合開始剤の合計含有量に対する前記ラジカル重合開始剤の含有量としては、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜3質量%であることがより好ましい。特に、前記ラジカル重合開始剤が光重合開始剤である場合、その含有量としては1〜3質量%であることが好ましい。また、前記ラジカル重合開始剤が熱重合開始剤である場合、その含有量としては0.05〜2質量%であることが好ましい。前記ラジカル重合開始剤の含有量が前記下限未満である場合には、硬化速度が遅くなって実用的ではなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られる粘着剤の常温での粘着力及び高温での粘着力保持力が低下する傾向にある。
【0040】
本発明の粘着剤組成物としては、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、本発明の粘着剤組成物及び得られる粘着剤の粘度を調節する目的で加えることができる。このような溶剤としては、本発明の粘着剤組成物及び本発明の粘着剤を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤を挙げることができる。前記溶剤の含有量は、前記粘着剤組成物の組成及び粘着剤の用途に応じて適宜調整することができる。
【0041】
また、本発明の粘着剤組成物としては、前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物、及び前記ラジカル重合開始剤や前記溶剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を含有していてもよい。このようなその他の成分としては、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、乳化分散剤等の添加剤や、その他のモノマー、樹脂等が挙げられる。前記粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂が挙げられる。
【0042】
また、前記その他のモノマーには、次式(7):
M−O−(R
10O)
x−R
11−(R
10O)
x−M ・・・(7)
[式(7)中、R
10はそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基を示し、xはそれぞれ独立に0〜50の整数を示し、R
11は単結合、炭素数1〜20のアルキレン基及びビスフェノールAからヒドロキシ基を除いた残基からなる群から選択されるいずれか1つを示し、Mはそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を示す。]
で表わされる2官能モノマー、及び3官能以上のモノマーが含まれる。前記3官能以上のモノマーとしては、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
ただし、これらのその他の成分の含有量(その他の成分が2種以上である場合にはそれらの合計含有量)としては、粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力をいずれもより大きくする観点から、前記粘着剤組成物の全質量(前記溶剤の含有量を除いた全質量)に対して、30質量%未満であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0044】
本発明の粘着剤組成物は、前記単官能ウレタンアクリレート、前記単官能エチレン性不飽和化合物、及び、必要に応じて前記ラジカル重合開始剤、前記溶剤、前記その他の成分を混合することによって得ることができる。前記混合は、混合中の粘着剤組成物の硬化を抑え、かつ、混合が容易である観点から、20〜40℃の温度において混合物が均一になるまで行うことが好ましい。
【0045】
次いで、本発明の粘着剤について説明する。本発明の粘着剤は、前記粘着剤組成物を硬化した物である。本発明の粘着剤は、前記本発明の粘着剤組成物に必要に応じて前記ラジカル重合開始剤を混合し、硬化させることで得ることができる。前記硬化の方法としては、光硬化及び熱硬化を採用することができる。
【0046】
前記光硬化に用いる光としては、紫外線及び太陽光が挙げられ、これらの中でも硬化速度の管理の容易性の観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線は、例えば、UV紫外線装置を用いて発生させることができ、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、高効率メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプを用いることができる。光の照射条件としては、前記粘着剤組成物の組成などに応じて適宜調整されるものであるため特に限定されないが、例えば、硬化速度の管理の容易性の観点から、100〜1000mJ/cm
2であることが好ましく、300〜700mJ/cm
2であることがより好ましい。
【0047】
前記熱硬化の条件としては、前記粘着剤組成物の組成などに応じて適宜調整されるものであるため特に限定されないが、例えば、硬化速度の管理の容易性の観点から、50〜90℃において1〜3時間加熱することが好ましく、60〜80℃において1.5〜2.5時間加熱することがより好ましい。
【0048】
また、前記粘着剤組成物に前記溶剤が含有されている場合には、粘着剤の常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、溶剤を除去することが好ましい。この場合、硬化後に溶剤を除去してもよいし、硬化と同時に除去してもよい。溶剤の除去方法としては、風乾でもよいが、短時間で溶剤を除去することができるといった観点から、40〜80℃において1〜30分間加熱乾燥することが好ましい。
【0049】
本発明の粘着剤は、常温において十分な粘着力を有し、かつ、高温において前記粘着力を十分に保持できる。本発明において、常温とは15〜25℃であり、高温とは60〜100℃である。
【0050】
また、前記粘着力は、例えば、JIS Z 0237:2009 10粘着力 方法1において、シートの幅を25mmに、ローラ荷重を5kgに、ローラの往復を片道1回に、圧着後のエージングを25℃において30分間に、引っ張り速度を50mm/minに、それぞれ変更して測定することができ、前記粘着力としては、18N/25mm以上であることが好ましく、22N/25mm以上であることがより好ましく、25N/25mm以上であることがさらに好ましい。
【0051】
さらに、前記保持力(粘着力保持力)は、例えば、JIS Z 0237:2009 13保持力 において、試験板をベークライトに、ローラ荷重を5kgに、ローラの往復を片道1回に、接着(粘着)面積を幅10mm×長さ20mmに、圧着後のエージングを25℃において24時間保持した後80℃において30分間に、荷重を500gに、試験温度を80℃に、それぞれ変更して測定されたズレ距離によって評価することができ、前記ズレ距離としては、1mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
【0052】
次いで、本発明の粘着材について説明する。本発明の粘着材は、前記粘着剤からなる粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の面上に積層された基材と、を備える。
【0053】
前記粘着剤層は前記粘着剤からなる層であり、前記粘着剤に前記溶剤が含有されている場合には当該溶剤が含有されていてもよいが、常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、本発明に係る粘着剤層としては該溶剤が含有されていないことが好ましい。また、粘着力に優れる観点から、前記粘着剤層の厚みとしては、1〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましい。
【0054】
前記基材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス製基材;繊維製基材;PET、PP、ABS等の樹脂製基材;SUS等の金属製基材を挙げることができ、前記基材の形態としては、フィルム;テープ;発泡シート、多孔質シート等のシート;織布、編布、不織布等の布帛;箔;及びこれらの積層体などが挙げられる。また、このような基材としては、前記粘着剤層と接する面に剥離処理が施されたものであってもよい。
【0055】
本発明の粘着材としては、例えば、前記粘着剤層の一方の面上に前記基材が積層された構成であっても、前記粘着剤層の両面上に前記基材が積層された構成(すなわち、前記粘着剤層が基材1と基材2との間に配置され、基材1と基材2とが前記粘着剤層により貼り合わされた構成)であってもよく、これらの構成が複数組み合わせられて積層された構成であってもよい。本発明の粘着材は、例えば、前記粘着剤層の一方の面上に、フィルム状、シート状又はテープ状の前記基材が積層された構成にすることにより、粘着テープとして使用することができる。
【0056】
本発明の粘着材は、例えば、本発明の粘着剤組成物を硬化させて本発明の粘着剤とし、その粘着剤を前記基材の少なくとも1つの面上に処理して粘着剤層を形成する方法(方法1)、又は、本発明の粘着剤組成物を前記基材の少なくとも1つの面上に処理し、その後、前記粘着剤組成物を硬化させて粘着剤層を形成する方法(方法2)により得ることができる。
【0057】
本発明の粘着剤組成物又は本発明の粘着剤を前記基材の表面に処理する方法としては、例えば、刷毛、ローラー、コーターを使用して塗布する方法が挙げられる。これらの中でも、前記基材の表面に均一な粘着剤層を形成できるといった観点から、コーターを使用して塗布する方法が好ましい。前記コーターとしては、コンマロールコーター、ダイロールコーター、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを使用することができる。
【0058】
本発明の粘着剤組成物又は本発明の粘着剤を前記基材に処理する際の粘度としては、処理のしやすさの観点から、50〜30000mPa・sであることが好ましい。前記基材に処理される粘着剤組成物又は粘着剤としては、その粘度を調整するために前記溶剤を含有していてもよい。なお、本発明において、粘度はE型粘度計により測定することができる。
【0059】
前記硬化の方法としては、前記本発明の粘着剤において述べたとおりである。また、形成された粘着剤層に前記溶剤が残留している場合は、常温における粘着力及び高温における粘着力保持力がいずれもより大きくなる観点から、溶剤を除去することが好ましい。前記粘着剤層から溶剤を除去する方法としては、前記本発明の粘着剤において述べたとおりである。
【0060】
本発明の粘着剤によれば、被着体同士を貼り合わせることができ、例えば、被着体1の表面に前記粘着剤を処理した後、被着体2を貼り合わせることによって、被着体1と被着体2とを貼り合わせることができる。また、例えば、被着体1の表面に前記粘着剤組成物を処理した後、前記粘着剤組成物を硬化させて粘着剤とし、被着体2を貼り合わせるか、或いは、被着体1の表面に前記粘着剤組成物を処理し、被着体2を積層した後に硬化させて粘着剤とすることによって、被着体1と被着体2とを貼り合わせることができる。前記処理の方法としては上記の塗布等を挙げることができ、被着体1、2の材質としては、前記基材の材質として挙げた、ガラス;繊維;PET、PP、ABS等の樹脂;SUS等の金属を挙げることができる。また、前記硬化の方法としては前記本発明の粘着剤において述べたとおりである。さらに、例えば、本発明の粘着材を、前記粘着剤層の両面に、フィルム状、シート状又はテープ状の基材が積層された構成(基材1/粘着剤層/基材2)とし、前記基材として前記粘着剤層に接する面に剥離処理が施された基材を用いることにより、一方の基材(基材1)を剥離して露出させた粘着剤層の一方の面を被着体1に貼り付け、その後、他方の基材(基材2)を剥離して露出した粘着剤層の他方の面を被着体2に貼り付けることで、被着体1と被着体2とを貼り合わせることができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
(合成例1)
メタノール1モル、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工株式会社製)1モル、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテルをセパラブルフラスコに入れ、空気を流しながら60℃で2時間加熱攪拌し、合成例1の単官能ウレタンアクリレート1モルを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がメチル基の化合物であった。
【0063】
なお、合成反応においては、反応率0%時の理論NCO%、反応率100%時の理論NCO%(=0%)、反応終了時のNCO%より、下記式:
反応率[%] = 100×{(反応率0%時の理論NCO%−反応終了時のNCO%)/(反応率0%時の理論NCO%−反応率100%時の理論NCO%)}
を用いて反応率を求め、反応率が98%以上となるまで反応を行なった。上記式において、反応終了時のNCO%は、得られた単官能ウレタンアクリレートの一定量に、反応率0%時の理論NCO量より過剰量のジブチルアミン一定量を加え、残存したNCO基をアミンと反応させた後、反応に用いられなかった過剰のアミンを塩酸エタノール溶液で逆滴定することによって測定した。
【0064】
(合成例2)
メタノールに代えてドデシルアルコールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がドデシル基の化合物であった。
【0065】
(合成例3)
メタノールに代えてデシルアルコールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がデシル基の化合物であった。
【0066】
(合成例4)
メタノールに代えて2−ヘキシルデシルアルコールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がイソセチル基の化合物であった。
【0067】
(合成例5)
メタノールに代えてシクロヘキサノールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がシクロヘキシル基の化合物であった。
【0068】
(合成例6)
メタノールに代えてドデシルアルコールを用い、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナートに代えて2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズMOI、昭和電工株式会社製)を用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1がメチル基であり、R
2がエチレン基であり、R
3がドデシル基の化合物であった。
【0069】
(合成例7)
メタノールに代えてベヘニルアルコールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がベヘニル基の化合物であった。
【0070】
(比較合成例1)
メタノールに代えてリグノセリルアルコールを用いたこと以外は合成例1と同様にして単官能ウレタンアクリレートを得た。得られた単官能ウレタンアクリレートは、式(1)において、R
1が水素原子であり、R
2がエチレン基であり、R
3がリグノセリル基の化合物であった。
【0071】
合成例1〜7及び比較合成例1に用いた化合物の組成をそれぞれ下記の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
(比較合成例2)
ポリオキシプロピレンビスフェノールA(分子量約580)1モルと、イソホロンジイソシアナート2モルとを、温度計、攪拌機及びコンデンサーを備えた4つ口フラスコに仕込み、窒素を流しながら90℃で2時間反応させ、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル、ウレタン反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート1モルを添加し、空気を流しながら70℃で2時間反応させた後、メチルエチルケトンオキシム1モルを添加し、窒素を流しながら70℃で1時間反応させて比較合成例2の化合物を得た。合成例1と同様の方法で、各工程のNCO%を測定することで反応の進行を確認した。
【0074】
(比較合成例3)
(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール1モル、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート(商品名:カレンズAOI、昭和電工株式会社製)1モル、ヒドロキノンモノメチルエーテルをセパラブルフラスコに入れ、空気を流しながら60℃で2時間加熱攪拌し、(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−アクリロイルオキシエチルウレタンを得た。得られた(R,S)−1,2−イソプロピリデングリセロール−3−アクリロイルオキシエチルウレタンをメタノールに溶解し、4N HClを加え室温で2時間攪拌して1,3−ジオキソラン部分を開環させた。その後、減圧乾燥を行なってグリセロール−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンを得た。合成例1と同様の方法で、各工程のNCO%を測定することで反応の進行を確認した。
【0075】
(実施例1)
合成例1で得られた単官能ウレタンアクリレート10質量部;単官能エチレン性不飽和化合物としてブチルアクリレート50質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸5質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部;酢酸エチル116質量部;熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部をフラスコに入れ、窒素を流しながら25±5℃で均一になるまで攪拌混合し、粘着剤組成物を得た。
【0076】
また、窒素を流しながら、得られた粘着剤組成物を60℃まで昇温して2時間反応させて粘着剤を得た。さらに、得られた粘着剤を、PETシート(商品名:ルミラー(型番75S10)、東レ株式会社製、内面コロナ処理)の一方の面上にバーコーター(隙間100μm)で塗布して粘着剤層を形成した後、乾燥機で60℃において5分間乾燥させ、PETシート及び粘着剤層を備える粘着材を得た。
【0077】
(実施例2〜12、比較例1〜6)
粘着剤組成物の組成を表2又は表3に示す組成にしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物、粘着剤及び粘着材をそれぞれ得た。
【0078】
(実施例13)
合成例2で得られた単官能ウレタンアクリレート10質量部;単官能エチレン性不飽和化合物としてブチルアクリレート50質量部、2−エチルヘキシルアクリレート50質量部、アクリル酸5質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート1質量部;光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・スペシャル製)3質量部をフラスコに入れ、25±5℃において均一になるまで攪拌混合し、粘着剤組成物を得た。
【0079】
また、得られた粘着剤組成物を、PETシート(商品名:ルミラー(型番75S10)、東レ株式会社製、内面コロナ処理)の一方の面上にバーコーター(隙間50μm)で塗布した後、500mJ/cm
2で紫外線を照射して粘着剤層を形成し、PETシート及び粘着剤層を備える粘着材を得た。
【0080】
実施例1〜13及び比較例1〜6で得られた粘着材について、下記の常温での粘着力試験、高温での保持力試験を行なった。
【0081】
1.常温での粘着力試験
下記の条件を変更した以外は、JIS Z 0237:2009 10粘着力 方法1に準じて試験を行ない、粘着力(常温粘着力、単位:N/25mm)を測定した。数値が大きいほど粘着力に優れるものと判断できる。変更した条件:シートの幅を25mmに、ローラ荷重を5kgに、ローラの往復を片道1回に、圧着後のエージングを25℃において30分間に、引っ張り速度を50mm/minに、それぞれ変更した。
【0082】
2.高温での保持力試験
下記の条件を変更した以外は、JIS Z 0237:2009 13保持力に準じて試験を行ない、おもりを取り付けてから30分後のずれた距離(ズレ距離、単位:mm)を測定した。ズレ距離が小さいほど保持力(粘着力保持力)に優れるものと判断できる。変更した条件:試験板をベークライトに、ローラ荷重を5kgに、ローラの往復を片道1回に、接着(粘着)面積を幅10mm×長さ20mmに、圧着後のエージングを25℃において24時間保持した後80℃において30分間に、荷重を500gに、試験温度を80℃に、それぞれ変更した。
【0083】
各試験結果を各実施例及び比較例の粘着剤組成物の組成と併せてそれぞれ下記の表2及び表3に示す。なお、表3において、「落下」とは、おもりを取り付けてから30分以内におもりが落下したことを示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】