マンネンタケ10質量部から得た前記抽出成分に対して、カワラタケ3質量部以上10質量部以下及び薬用ニンジンを1質量部以上5質量部以下からそれぞれ得た前記抽出成分を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
マンネンタケ10質量部から得た前記抽出成分に対して、カワラタケ5質量部及び薬用ニンジンを3質量部からそれぞれ得た前記抽出成分を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示する組成物は、マンネンタケの抽出成分と、カワラタケの抽出成分と、薬用ニンジンの抽出成分と、を含有することができる。本組成物をヒトなどの動物に投与することにより、その自律神経系を活性化することができる。その結果、肉体的及び/又は精神的ストレスを軽減し、各種の不調を軽減し、改善することができる。
【0012】
本組成物の自律神経系の活性化に関する効果は、本組成物について抗ガン作用や血糖値低下作用等を見出した本発明者といえども予測はできなかった。本発明者は、ガンなどの治療効果や血糖値低下効果等に優れており、そのような効果を副作用なく発揮できることが本組成物の特徴であると考えていた。しかしながら、種々の検討を通じて、本組成物自体が自律神経系を活性化するという効果を有することを見出した。
【0013】
なお、本明細書において、自律神経系とは、内臓諸臓器の機能を調節する遠心性機序と内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の機序という2つの系からなり、交感神経系と副交感神経系とからなる。また、自律神経系の活性化とは、交感神経及び副交感神経のそれぞれの亢進と抑制とのバランスの回復又は向上並びに自律神経系の調整能力を回復又は向上させて、自律神経系のアンバランス、適応不足、又は自律神経の失調に起因する諸症状を改善することを意味することができる。
【0014】
本組成物は、ガン患者などの疾患や治療によって肉体的及び/又は精神的ストレスに曝されている患者に投与することで、自律神経系を活性化し、その予後やQOLを高めることができる。また、本組成物は、健常人ほかに投与しても、自律神経径を活性化して、肉体的及び/又は精神的ストレスに抗して、肉体及び精神の健全性を維持及び/又は向上することができる。
【0015】
本組成物は、自律神経失調症の予防又は治療にも用いることができる。すなわち、微熱、ほてり、多汗、冷え、だるさ、疲れがとれない、偏頭痛、肩こり、不眠、動悸、めまい、ふらつき、食欲不振、下痢、便秘、息苦しさといった肉体的症状のほか、気分が落ち込む、イライラ、やる気が出ない、ゆううつ、などの精神的な症状を改善することができる。
【0016】
以下、本組成物について詳細を説明する。
【0017】
(マンネンタケ及びカワラタケ)
マンネンタケとカワラタケとは、いずれも担子菌類のサルノコシカケ科に属している。なお、本明細書において、用いられる担子菌類の分類学上の同定は、今関六也、本郷次雄の共著「原色日本菌類図鑑」(保育社)に準拠している。
【0018】
マンネンタケとしては、各種公知のマンネンタケを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。マンネンタケにあっては、レイシ(Reishi Fungus; Ganoderma Lucidum)を例示することができる。この菌は、生来、樹木に好んで繁殖するものの、自生菌は稀少である。なお、人工栽培も可能である。この菌は、つやのある、ワックス状のかさ部分と軸部とを有しており、その軸の長さは、15cm程度にも到達される。子実体の色は、赤色、青色、黄色、白色、紫色、黒色を呈する。この菌は、切り株上や、病気で弱った木の基部付近で生長し、白い糸状体となる。
【0019】
また、カワラタケとしては、各種公知のカワラタケを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。カワラタケとしては、Coriolus Versicolorを例示することができる。この菌は、日本の西部、特に、信州地方(特に、長野県)、四国地方、九州地方に自生している。この菌は、生来、好材菌であり、特に広葉樹を好む。
【0020】
マンネンタケ及びカワラタケは、いずれも、天然に自生するものでもよく、また、人工的に栽培したもの、あるいは細胞培養によるものでもあってもよく、特に限定しない。好ましくは、天然自生のものである。
【0021】
本組成物は、マンネンタケ及びカワラタケについて、子実体及び/又は菌糸体培養物(菌糸体の他、培養液も含む)から得られる抽出成分を有効成分として含有することができる。好ましくは子実体である。また、子実体にあっては、室温で光を避けて風乾されたものが好ましい。特にマンネンタケにあっては、自生で成熟した黒色の子実体を用いるのが好ましい。また、カワラタケにあっては、夏に採取された自生の子実体であることが好ましく、室温で光を避けて風乾されたものがさらに好ましい。なお、子実体は、乾燥された固形物のほか、アルコール浸漬液、ペーストあるいはエキスとして入手することができる。
【0022】
(薬用ニンジン)
薬用ニンジンには、オタネ人参(Panax ginseng C. A. Meyer)の他、アメリカ人参(P. quinquefolium L.)、三七人参(田七人参、P. notogingseng)、竹節人参(チクセツニンジン)(珠子参、P. japonicus C. A. Meyer)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明においては、オタネニンジン及び/又はチクセツニンジンを用いることが好ましい。特に好ましくはチクセツニンジンである。これらのニンジンは、いずれもその根を用いる。
【0023】
チクセツニンジンなどの薬用ニンジンの根は、通常は、乾燥された状態で入手できる。あるいは、アルコール浸漬液、あるいはペースト、エキスとしても入手することができる。薬用ニンジンは、いわゆる植物体の根であってもよいが培養細胞であってもよい。培養細胞の場合には、好ましくは根由来の培養細胞である。
【0024】
(抽出成分の製造方法)
マンネンタケ、カワラタケ及び薬用ニンジンの各抽出成分は、これらを原料として、水、熱水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール又は、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、あるいはこれらの有機溶媒と水との混液などを抽出溶媒として用いて抽出して得ることができる。抽出溶媒としては、水(熱水)や水・アルコール混液を用いて抽出することが好ましい。
【0025】
これらの各種の抽出溶媒による抽出は、従来からの植物成分の抽出方法に準じて行うことができる。マンネンタケ及びカワラタケの抽出成分と、薬用ニンジンの抽出成分とは、それぞれ原料毎にあるいは2種以上の原料を組み合わせて抽出して、その後各抽出物を混合してもよいし、マンネンタケ、カワラタケ及び薬用ニンジンの各原料を一括して抽出してもよい。好ましくは、本組成物に含めようとする抽出成分の全原料を混合した上、これを熱水で抽出する。各原料は、抽出に際しては、粉砕して、細片状あるいは粉末状されることが好ましく、より好ましくは、細片状に破砕される。特に5mm角程度あるいはそれ以下の細片状に破砕されるのが好ましい。
【0026】
抽出原料における、マンネンタケ、カワラタケ及び薬用ニンジンとの配合比は、特に限定しないが、マンネンタケ10質量部に対して、カワラタケ3質量部以上10質量部以下及び薬用ニンジンを1質量部以上5質量部以下とすることができる。また、例えば、マンネンタケ10質量部に対して、カワラタケ5質量部及び薬用ニンジンを3質量部とすることができる。
【0027】
また、抽出原料としての、マンネンタケ、カワラタケ及び薬用ニンジンとの配合比は、上記以外であってもよく、例えば、マンネンタケ及びカワラタケの全質量20質量部に対して、薬用ニンジン0.2質量部以上20質量部であってもよい。より好ましくは、マンネンタケ及びカワラタケの全質量20質量部に対して、薬用ニンジン8質量部以上12質量部以下である。また、マンネンタケ及びカワラタケの全質量15質量部に対して、薬用ニンジン2質量部以上4質量部以下とすることもできる。なお、マンネンタケ及びカワラタケは、等量用いてもよいし、マンネンタケ2質量部に対してカワラタケ1質量部となるようにしてもよい。なお、上記した抽出原料の比は、いずれも乾燥物換算における比である。
【0028】
以下、特に、水抽出及び水・アルコール混液抽出について詳細に説明する。
【0029】
(水抽出)
抽出は常温の水で抽出してもよいし、熱水にて行ってもよい。例えば、原料を水に浸漬した遮光状態で5℃以上40℃以下、好ましくは10℃以上37℃以下でさらに好ましくは15℃以上25℃以下で保存(好ましくは静置)して水抽出液を得ることができる。このような抽出においては、長期(おおよそ2週間から一ヶ月程度、好ましくは3ヶ月以上、より好ましくは1年以上とすることができる。)で抽出することが好ましい。このような浸漬抽出の場合、密閉容器で行うことが好ましい。また、抽出原料に対する水の量は特に限定するものではないが、10質量部から30質量部の原料に対して、100質量部〜1000質量部程度の水で抽出するのが好ましい。
【0030】
熱水抽出の際の熱水の温度は、80℃〜100℃、好ましくは、90℃〜95℃とする。また、抽出時間は、好ましくは、少なくとも1時間、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは2.5時間以上とする。また、上限は3〜4時間とする。抽出操作は、環流凝縮器を用いて行うのが好ましい。なお、抽出原料に対する水の量は特に限定するものではないが、10質量部から30質量部の原料に対して、100質量部〜1000質量部程度の水で抽出するのが好ましい。
【0031】
水抽出の一例として以下の例が挙げられる。本開示において好ましい原料組成であるところの、マンネンタケ子実体:カワラタケ子実体:チクセツニンジン(根)の配合比(重量比)が、約10:約5:約3の抽出原料から本組成物を製造するには、例えば、マンネンタケ子実体10g、カワラタケ子実体5g、チクセツニンジン3gをそれぞれ採取し、混合し、5mm角程度の細片にまで粉砕し、この粉砕物に対して500〜1000mlの蒸留水を添加し、環流凝縮器を用いて3時間煮沸し、濾過後、本発明に用いる組成物(原液)とする。
【0032】
なお、熱水抽出操作は、大気開放型の容器、特に、ガラス製、ホーロー製、セラミックス製の他、金属部分を耐食性被膜で塗装あるいは加工した材料等を使用することが好ましい。また、好ましくは環流凝縮器を用いて行う。加熱抽出操作は、特に限定しないが、上記した原料対抽出液量の場合には、抽出液が当初の約60%になる程度とする。前記抽出原料に対する当初添加した抽出水量が800mlの場合には、好ましくは、抽出液量が約500mlとなるように行う。
【0033】
(水・アルコール混液抽出成分)
水・アルコール混液で抽出する場合、使用するアルコールは、エタノールを使用することが好ましい。水・アルコール混液を用いて抽出する場合、好ましくは、アルコール濃度が50v/v%以下であり、より好ましくは30〜40v/v%程度とする。最も好ましくは約35v/v%である。アルコール含有抽出液は、原料を水・アルコール混液に浸漬して常温で保存(好ましくは静置)すること等によっても得ることができる。好ましくは遮光状態で5℃以上40℃以下、好ましくは10℃以上37℃以下でさらに好ましくは15℃以上25℃以下で保存する。この場合、保存期間は、長期(おおよそ2週間から一ヶ月程度、好ましくは3ヶ月以上、より好ましくは1年以上とすることができる。)で抽出することができる。また、密閉容器で行うことが好ましい。また、抽出原料に対して用いる混液量も特に限定するものではないが、原料10質量部〜300質量部に対して混液を100質量部〜1000質量部とすることが好ましい。
【0034】
なお、加熱抽出することもできる。加熱する場合、好ましくは、50〜80℃であり、より好ましくは、75℃以下であり、さらに好ましくは70℃以下である。加熱抽出時間も特に限定はしないものの、10時間以上であることが好ましく、より好ましくは20時間以上であり、最も好ましくは30時間程度あるいはそれ以上である。なお、その後の組成物の成分調整を容易にするには、アルコール濃度が20v/v%以下であることが好ましい。
【0035】
したがって、20v/v%を超える濃度のアルコール溶液で抽出した場合は、抽出後に水で希釈して20v/v%となるようにすることが好ましい。また、加熱抽出の場合においても、抽出原料に対して用いる混液量も特に限定するものではないが、原料10質量部〜300質量部に対して混液を100質量部〜1000質量部とすることが好ましい。抽出のための容器は、熱水で抽出する場合と同様のものを使用することが好ましい。抽出操作は、環流凝縮器を用いて行うのが好ましい。
【0036】
マンネンタケ及びカワラタケを水・アルコール混液で抽出する場合の典型例として以下の操作を挙げることができる。細片状に破砕したマンネンタケ(好ましくは子実体であり、好ましくは細片状である)150gに、35v/v%エタノール溶液を加えて1000mlとし、この液を約70℃に維持して約30時間煎じる。あるいは暗室内にて室温で1ヶ月浸漬する。70℃で30時間経過後あるいは室温で1ヶ月経過後、全量が1000mlとなるように熱水(あるいは水)を加えることができる。なお、最終的にアルコール濃度が約20v/v%となることが好ましい。
【0037】
また、薬用ニンジンを水・アルコール混液で抽出する場合の典型例として以下の操作を挙げることができる。細片状に破砕した薬用ニンジン30gに35v/v%エタノール溶液を加えて1000mlとし、この液を約70℃に維持して約30時間煎じる。あるいは暗室内にて室温で1ヶ月浸漬する。70℃で30時間経過後あるいは室温で1ヶ月経過後、全量が1000mlとなるように熱水(あるいは水)を加えることができる。
【0038】
これらの抽出液としては、マンネンタケ及びカワラタケと薬用ニンジンとのそれぞれについて、水抽出液と水・アルコール混液抽出液の双方あるいはいずれかを使用することができる。
【0039】
また、マンネンタケ及びカワラタケと薬用ニンジンは、それぞれ単独に抽出することもできるが、双方を含む原料組成物を同じ抽出媒体で抽出して同時に抽出することもできる。同時抽出する場合においても、上記したマンネンタケ及びカワラタケあるいは薬用ニンジンにおける抽出条件を採用することができる。
【0040】
以下、同時抽出の典型例を以下に示す。5mm角以下、好ましくは0.5〜2mm程度の細片状に破砕したマンネンタケの子実体10〜15g、チクセツニンジンの根3gに対して、熱水800mlを加えて、前記した加熱範囲で抽出液残量が500mlになるように煎じる。好ましくは、30分程度で500mlとなるような加熱調整を行なう。あるいは暗室内にて室温で1ヶ月浸漬する。70℃で30時間経過後あるいは室温で1ヶ月経過後、必要に応じて全量を調整する。また、同様の形態及び組成の原料混合物(ただし、マンネンタケの子実体100〜150g、チクセツニンジンの根30gとする。)に35〜40v/v%エタノール溶液を加えて1000mlとし、この液を約70℃に維持して約30時間煎じる。あるいは暗室内にて室温で1ヶ月浸漬する。70℃で30時間経過後あるいは室温で1ヶ月経過後、全量が1000mlとなるように熱水(あるいは水)を加える。なお、最終的にアルコール濃度が約20v/v%となることが好ましい。 得られた抽出液は、必要に応じてろ過等して抽出残分が除去されてもよい。
【0041】
こうして得られた抽出液、例えば、水抽出液及び/又は水・アルコール混液抽出液は、そのまま本組成物の有効成分とすることもできるし、適宜希釈して本発明の有効成分として用いることもできる。必要に応じて濃縮して濃縮物とし、これを有効成分とすることもできる。また、さらに乾燥することにより、乾燥抽出成分が得られる。なお、本組成物の形態を考慮して、抽出液の濃縮時あるいは乾燥時に、製剤化あるいは抽出成分を安定化する添加剤を加えることもできる。特に、液状形態の剤型には、抽出液をそのまま、あるいは必要に応じて濃縮あるいは希釈して用いることが容易である。
【0042】
本組成物において、各種抽出成分の含有量は、特に限定しないが、抽出成分の乾燥重量として0.05重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上であり、さらに好ましくは0.5重量%以上である。また、好ましくは5重量%以下である。なお、これらの抽出成分は、抽出成分やその組成に基づいて人工的に製造されたものであってもよい。
【0043】
本組成物における有効成分である、マンネンタケの抽出成分、カワラタケの抽出成分及び薬用ニンジンの抽出成分は、製薬上許容される担体又は添加物と混合されて、投与に適した形態の組成物として使用される。組成物の形態は特に限定しないが、液剤、シロップ剤、懸濁剤、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、乳剤、トローチ、チュアブル剤、坐剤、点眼剤、注射剤、エアゾール剤、エリキシル剤等に製剤化することができる。また、使用時に、水分を添加して、液状体を回復できるような固形(粉末)剤とすることも好ましい。
【0044】
また、本組成物は、経口または非経口的に投与することができる。好ましくは、経口投与される。経口投与の場合の一般的な投与量を以下に示す。なお、投与量は、症状や個人の体力等に応じて適宜設定されるものである。
【0045】
本組成物の一般的な投与量(常用量)としては、例えば、体重1kgあたり、マンネンタケ及びカワラタケの全質量20mg〜2g(好ましくは200mg〜2g)及び薬用ニンジンの全質量10mg〜1g(好ましくは100mg〜1g)からの抽出成分を1日分とし、1日1回〜3回程度に分けて投与される。
【実施例1】
【0046】
0.5〜2ミリ角程度の細片状に破砕した天然のレイシの乾燥子実体100g、カワラタケの乾燥子実体50g、及びチクセツニンジンの乾燥根30gの原料混合物に35v/v%%エタノール溶液を加えて1000mlとし、この液を約70℃に維持して約30時間煎じた。煎じている間の抽出液の温度は、おおよそ70℃であった。30時間経過後、全量が1000mlとなるように熱水を加えた。なお、最終的なアルコール濃度は約20v/v%であった。この抽出液を凍結乾燥し、本組成物とした。本組成物約250mgを1カプセルに充填した。
【0047】
本組成物を、表1に示す、16名(女性11名、男性5名)のガン患者(年齢:41歳〜84歳、中位数は60歳(平均60,3、±11,3)、すい臓、肺、乳、結腸、胃、卵巣、前立腺、食道、口腔咽頭、多発性骨髄腫)に毎食後に1カプセル(1日3回)、経口でまたは湯で煎じて1ヶ月服用した。
【0048】
【表1】
【0049】
略語:: F: 女性 M: 男性 Pa: すい臓 Op: 口腔咽頭 Es: 食道 Mm: 多発性骨髄腫 Br: 胸(乳) Ov: 卵巣 Lu: 肺 Pr: 前立腺 Co: 結腸 St: 胃 S: 外科 C: 化学療法 R: 放射線療法 H: ホルモン療法
【0050】
病態の評価はKPS(カルノフスキーのパフォーマンススコア)を用いて評価した。病態の評価は、本組成物の投与期間直前と投与開始から1ヶ月後に行った。なお、およそ1週間ごとに医師が診察して主観的・客観的症状を調べた。そして、AからGまでの7段階のクラス(A:とても向上30%以上、B:よく向上20%、C:最小限度に向上10%、D:変化なし、E:最小限度に減少10%、F:もっと減少20%、G:すごく減少30%以上)の臨床判断を行った。また、投与期間前と一ヵ月後に血液検査(肝臓と腎臓機能、白血球数と赤血球数、その他の成分)も行った。
【0051】
自律神経系の評価は、本組成物の投与期間直前と投与開始から1ヶ月後に行った。評価は、心拍数の計測のほか、 HYPERLINK "http://ejje.weblio.jp/content/%E8%87%AA%E5%BE%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%8F%8D%E5%B0%84" \o "自律神経反射の英語" 自律神経反射起立耐性テストとして自律神経全体の変動性に関するCVRR(心電
図R‐R間隔変動係数)及び自律神経組織バランス(交感神経系指数)に関するLn L/Hを測定した。自律神経系の評価にあたり、10分間ベッドに横になった後、本組成物のカプセルを1カプセル服用して、また30分間横になった後に実施した。
【0052】
なお、心拍数等の測定は、自律神経組織の動的な機能の定量分析を可能にするMem-Calc方法(CROSSWELL Co., Inc.)による心拍数変化解析ソフトウェアを使って行った。また、自律神経反射起立耐性テストは、被験者は3分間着座に、3分間起立し、その後、再び30秒間着座するようにして行った。
【0053】
健康な志願者(女性4、男性2、年齢40から69歳、平均57.3 ±7.7)について、自律神経系についてガン患者と同様の投与形態で比較評価を実施した。
【0054】
結果を、表2〜表4に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
表2に示すように、ガン患者への本組成物の投与後の自律神経組織の機能は、座った姿勢でのCVRRは投与前に比較して増加した(2.75 ±1.57, 3.36±2.01)、そしてln L/Hもまた立った姿勢で増加し(1.02±1.04, 1.52±1.10)、著しく変化を見せた(p<0.05, p<0.05)。しかし心拍数は著しく変化することはなかった。
【0059】
また、表3に示すように、健康な志願者への本組成物投与後の自律神経組織の機能は、投与前に比較してCVRRは増加した(2.74±0.45, 3.35±0.68)、そしてln L/Hもまた増加し(0.10±0.93, 0.36±0.57)、著しく変化を見せた(p<0.01, p<0.05)。しかし心拍数は著しく変化することはなかった。
【0060】
さらに、表4に示すように、本組成物の投与後、KPSは16人中8人が増加し、残りは変化しなかった。20人の患者のうち2人がA (12.5%), 4人が B (25%), 2人がC (12.5%)そして 8人がD (50%)だった。しかし一人の患者も臨床判断では悪化を示さなかった。
【0061】
また、多くのガン患者において、便通改善、食欲の改善、意欲の回復、睡眠の改善、不安の低減、頭痛、うつの改善等が観察された。
【0062】
以上の結果から、ガン患者及び健常者において、休息時には自律神経組織全体(交感神経と副交感神経の両方)を活性化、立位時には副交感神経を活性化させることを示している。すなわち、本組成物は、ガン患者と健康な人においても生活の質を向上させることを示している。この自律神経組織の活性化は好循環を形成し、ガン患者においては予後の改善をもたらすことができ、健常者においては、生活の健全性を向上させることができる。
【0063】
さらに、ガン患者は、疾患自体のほか、手術、化学療法、放射線治療等のなどの治療によって肉体的及び精神的ストレスに曝されており、自律神経系が不安定となったり自律神経失調症に罹患することもあるが、本組成物は、そのような状況を改善することができる。したがって、本組成物は、ガン患者において自律神経系の活性化、自律神経失調症の治療又は予防のために用いることができる。
【0064】
以上の結果、本組成物を投与することで、ガン患者においても健常者においても、自律神経系の活性化という効果があることがわかった。すなわち、自律神経系の活性化は、ガン患者における本組成物によるガンの進展抑制に伴う付随的効果でなく、本組成物自身が有する効果であることがわかった。