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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-141597(P2017-141597A)
(43)【公開日】2017年8月17日
(54)【発明の名称】天井用取付金具及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/16 20060101AFI20170721BHJP
【FI】
   E04B5/55 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-23675(P2016-23675)
(22)【出願日】2016年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591287196
【氏名又は名称】森村金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】林 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優介
(72)【発明者】
【氏名】伊東 淳一
(72)【発明者】
【氏名】稲田 耕太
(57)【要約】
【課題】施工作業の安全性を確保しつつ負荷を軽減し、レベル調整等の施工性を改善すると共に、従来及び新規部材の増加を抑制して、不具合を低減しコストを削減する。
【解決手段】ベース金具1を、C形鋼51に折り曲げることにより巻着すると共に、本体金具2を、野縁54にその幅方向に対し捻るようにして掛着し、本体金具2の耳片23をベース金具1の導入部11を介し掛溝12に挿入することにより、本体金具2をベース金具1に対し上下方向にスライド自在に引っ掛け、本体金具2の上下方向に長いビス穴27を介しベース金具1を貫通してC形鋼51にねじ込まれたビス30を仮締めした状態で、ベース金具1に対し本体金具2を昇降させて野縁54のレベル調整を行い、野縁54の高さを決定して、ベース金具1と本体金具2とをC形鋼51にビス30を締め付けて固定すると共に、本体金具2をビス31で野縁54に固定する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の構造材であるC形鋼(51)に折り曲げて巻着されるベース金具(1)と、野縁(54)に捻るように掛着されて前記ベース金具(1)に対し昇降可能に引っ掛けられる本体金具(2)とから成り、
前記ベース金具(1)は、C形鋼(51)の外面に沿う幹板部(3)、下板部(4)、下抱部(5)、上板部(6)及び上抱部(7)と、C形鋼(51)の開放端に引っ掛けられる係止部(8,9)とを備えると共に、幹板部(3)の両側に連設されてC形鋼(51)から離反する方向へ向かう置受片(10)を備え、置受片(10)には、先端縁から幹板部(3)の方向へ導入部(11)が切れ込み、その奥端から上下方向へ延びる掛溝(12)が形成されたものであり、
前記本体金具(2)は、ベース金具(1)の幹板部(3)に重なり合う幹板部(21)と、その下部両側から表裏相反する方向へ向かい野縁(54)の両側外面に沿う跨脚片(22)と、幹板部(21)の上部両側から外側へ張り出して、ベース金具(1)の導入部(11)を介し掛溝(12)に上下方向にスライド可能に挿入される耳片(23)とを備え、跨脚片(22)から幹板部(21)に至る部分の下部には、野縁(54)を抱持する抱持切込(25)と、これに連通して野縁(54)に嵌合する嵌合切込(26)が形成されたものであり、
前記ベース金具(1)の幹板部(3)と前記本体金具(2)の幹板部(21)とは、重なり合った状態でビス(30)によりC形鋼(51)に固定される天井用取付金具。
【請求項2】
前記ベース金具(1)の下板部(4)には、幹板部(3)側と下抱部(5)側とを結ぶように、位置決めのためC形鋼(51)の外面に記された基準線(p)を露見させるスリット(13)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井用取付金具。
【請求項3】
前記本体金具(2)の幹板部(21)には、C形鋼(51)に固定するビス(30)の挿通用として上下方向に長いビス穴(27)が穿設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の天井用取付金具。
【請求項4】
前記ベース金具(1)の幹板部(3)及び前記本体金具(2)の幹板部(21)には、前記固定用ビス(30)のねじ込みのため、本体金具(2)の上下方向に長いビス穴(27)の横幅よりも小径の下穴(14,28)が穿設され、この下穴(14,28)よりも小径のビス(30)が所定のねじ込み位置に誘導されることを特徴とする請求項3に記載の天井用取付金具。
【請求項5】
請求項1に記載の天井用取付金具を使用して、建造物の構造材であるC形鋼(51)に天井板(55)を取り付ける施工方法であって、
前記ベース金具(1)を、C形鋼(51)に位置決めして折り曲げることにより巻着すると共に、前記本体金具(2)を、野縁(54)にその幅方向に対し捻るようにして掛着し、
前記本体金具(2)の耳片(23)を前記ベース金具(1)の置受片(10)に形成された導入部(11)を介し掛溝(12)に挿入することにより、本体金具(2)をベース金具(1)に対し上下方向にスライド自在に引っ掛けた状態で、ベース金具(1)に対し本体金具(2)を昇降させて野縁(54)のレベル調整を行い、ベース金具(1)と本体金具(2)とをC形鋼(51)にビス(30)を締め付けて固定し、本体金具(2)を野縁(54)にビス(31)で固定して、野縁(54)に天井板(55)を留め付ける天井の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建造物の天井において、吊りボルトを介することなく天井板を取り付ける取付金具及びその金具を使用した施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建造物の天井では、建造物の構造材であるC形鋼に吊りボルトの上部を固定して、吊りボルトの下部にハンガーを介し野縁受けと野縁とをクリップで縦横に組み合わせた状態で結合して、野縁の下面に天井板を留め付ける吊り天井が採用されている。
【0003】
このような吊り天井において、地震の揺れに伴う脱落被害を防止するために耐震性能を有する天井下地とする場合は、使用部材や強度について一定の水準が要求され、斜め上下方向にブレースを渡した下地材を構成したり、所定の部位にクリアランスを設ける等の設計上の配慮も要求される。例えば、下記特許文献1〜3においては、C形鋼から吊りボルトが容易に外れないようにするための吊り金具が提案されている。
【0004】
上記のような耐震性能を有する吊り天井は、多数の部材から構成され施工性が悪く、コストの増大や工期の長期化を招くという問題があり、また、品質管理項目が多岐に及ぶため、確認や不具合の是正に多大な労力を要するという問題もある。さらに、吊りボルトやブレースの長さ等の制約により、対応できない天井もある。
【0005】
その対策として、吊り天井に換えて、C形鋼に吊りボルト等を介さずに天井板を取り付ける直付天井とすることが考えられる。従来の直付天井としては、図13に示すように、C形鋼51に縦向きにした短いアングル材52の上部の一側をビスで固定し、アングル材52の下部の他側に野縁受け53をビスで固定し、野縁受け53に野縁54をクリップで取り付け、天井板55を留め付ける構造が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−109142号公報
【特許文献2】特開2015−31004号公報
【特許文献3】特開2015−209696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような直付天井の構造では、施工に際し、野縁受け53を支えながらレベル調整を行う必要があるほか、野縁54を野縁受け53等の下地材に一時的に引っ掛けておく仮置きができないため、作業員の負担が大きく、安全性にも懸念があり、施工性の更なる改善が要望されている。
【0008】
そこで、この発明は、施工作業の安全性を確保しつつ負荷を軽減し、レベル調整等の容易化を図り施工性を改善すると共に、従来及び新規部材の増加を抑制して、不具合を低減しコストを削減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明は、建造物の構造材であるC形鋼に巻着されるベース金具と、野縁に掛着されてベース金具に引っ掛けられる本体金具とから成り、ベース金具に対し本体金具を昇降させてレベル調整が可能となり、また、ベース金具には、C形鋼に記された基準線を露見させるスリットが形成され、本体金具には、固定用ビスの仮締め状態でレベル調整を可能とする上下方向に長いビス穴が形成され、このビス穴の横幅よりも小径の下穴がベース金具及び本体金具に穿設されて、この下穴よりも小径の固定用ビスが所定のねじ込み位置に誘導される天井用取付金具を提供することとしたのである。
【0010】
そして、前記ベース金具を、C形鋼に位置決めして折り曲げることにより巻着すると共に、前記本体金具を、野縁にその幅方向に対し捻るようにして掛着し、その後、前記本体金具の耳片を前記ベース金具の置受片に形成された導入部を介し掛溝に挿入することにより、本体金具をベース金具に対し上下方向にスライド自在に引っ掛けた状態で、ベース金具に対し本体金具を昇降させて野縁のレベル調整を行い、ベース金具と本体金具とをC形鋼にビスを締め付けて固定し、本体金具を野縁にビスで固定して、野縁に天井板を留め付けることとしたのである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る取付金具を使用すると、本体金具をベース金具に一旦引っ掛けてから、その後の作業を行うことができるので、施工作業の安全性を確保しつつ負荷を軽減することができ、ベース金具に対する本体金具の昇降に伴い野縁のレベル調整を容易に行って、天井板を所定高さで平坦面をなすように野縁に取り付けることができる。
【0012】
また、ベース金具をC形鋼に巻着する際、ベース金具のスリットからC形鋼に記された基準線を露見させて位置決めすることができるので、野縁等の下地材の通り位置を簡単に所定位置に揃えることができる。
【0013】
さらに、固定用ビスの下穴を本体金具に形成された上下方向に長いビス穴の横幅よりも小径とし、固定用ビスが所定のねじ込み位置に誘導されるようにしたので、C形鋼に対する取付金具の固定位置がずれることがなく、精度の高い施工が可能となる。
【0014】
これにより、施工効率が向上し、新たに製作する部材は、ベース金具と本体金具とから成る取付金具だけであって、従来の軽天材を使用することができるので、天井工事に要するコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施形態に係る取付金具とC形鋼及び天井板を示す分解斜視図
図2】同上のベース金具のC形鋼への巻着の初期工程を下方から示す斜視図
図3】同上の終了工程を下方から示す斜視図
図4】同上の本体金具の野縁への掛着の初期工程を示す斜視図
図5】同上の終了工程を示す斜視図
図6】同上のベース金具に本体金具を引っ掛けた状態を示す斜視図
図7】同上のビスを仮締めする工程を示す斜視図
図8】同上の野縁のレベル調整工程を示す斜視図
図9】同上の本体金具とベース金具のC形鋼への固定工程を示す斜視図
図10】同上の本体金具への野縁の固定工程を示す斜視図
図11】同上のC形鋼と野縁の結合状態を示す斜視図
図12】同上の取付金具を使用した直付天井の施工状態を示す斜視図
図13】従来の一般的な直付天井の構造を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図12に示すように、この発明に係る取付金具Aは、建造物の構造材であるC形鋼51に巻着されるベース金具1と、野縁54に掛着されてベース金具1に引っ掛けられる本体金具2とから構成される。
【0018】
上記C形鋼51は、直立するウェブ部51aの下端及び上端にそれぞれフランジ部51b及びリップ部51cが順次連設された重量形鋼であり、野縁54は、下面側となるウェブ部54aの両側端にそれぞれフランジ部54b及びリップ部54cが順次連設された軽天材である。野縁54のウェブ部54aには、仕上材であるスパンドレル等の天井板55がビスにより留め付けられる。
【0019】
ベース金具1は、薄い鋼板を材料とし、縦長の幹板部3の下端に下板部4及び下抱部5が順次連設され、幹板部3の上端に上板部6及び上抱部7がそれぞれ順次連設されると共に、下抱部5及び上抱部7の先端にそれぞれ係止部8,9が連設され、幹板部3の両側端に置受片10が連設されたものとなっている。
【0020】
置受片10には、先端縁から幹板部3の方向へ導入部11が切れ込み、その奥端から上下方向へ延びる掛溝12が形成されている。下板部4には、幹板部3側と下抱部5側とを結ぶように、スリット13が形成されている。
【0021】
幹板部3には、C形鋼51への固定に使用されるビスをねじ込むための下穴14が穿設されている。下穴14の直径は、後述する本体金具2の幹板部21の下穴28の直径よりも、さらに小さくなっている。
【0022】
このようなベース金具1は、C形鋼51への巻着前の状態において、予めプレス加工により、幹板部3に対して下板部4は一方へ直角に折り曲げられ、下板部4に対して下抱部5は上方へ直角に折り曲げられ、下抱部5に対して係止部8は幹板部3の方向へ直角に折り曲げられている。また、幹板部3に対して置受片10は下板部4と反対方向へ直角に折り曲げられている。
【0023】
幹板部3と上板部6の境界部、上板部6と上抱部7の境界部及び上抱部7と係止部9の境界部には、手作業での折り曲げが可能となるように、それぞれ両側縁及び中間部に切込が入れられている。
【0024】
本体金具2は、ベース金具1よりも厚い鋼板を材料とし、予めプレス加工により成形され、上下方向へ向けられる縦長の幹板部21と、幹板部21の幅が広がった下部両側から表裏相反する方向へ向かう跨脚片22と、幹板部21の上部両側から外側へ張り出した耳片23と、跨脚片22の上方で幹板部21の両側から一方へ直角に曲がったガイド片24とを備え、幹板部21に上下方向へ延びる2本のリブを形成したものとされている。
【0025】
両側のガイド片24の外面間の幅寸法は、ベース金具1の両側の置受片10の内面間の幅寸法よりも僅かに小さくなっている。
【0026】
跨脚片22の幹板部21側の基部には、下端から上方へ切れ込んだ抱持切込25が形成され、幹板部21の下部には、抱持切込25に連通して、跨脚片22の付根の下方から内側へ切れ込んだ嵌合切込26が形成されている。
【0027】
幹板部21には、幅方向中央部に上下方向に長い長円形のビス穴27が穿設され、その上方及び下方に、固定用ビスのねじ込みのための下穴28が穿設されている。下穴28の直径は、ビス穴27の横幅よりも相当小さく設定され、ビス穴27の横幅の1/2より小さくなっている。跨脚片22には、抱持切込25の側方に下穴28と同一径の下穴29が穿設されている。
【0028】
上記のような取付金具Aを使用して天井の工事を行う際には、図2に示すように、C形鋼51の下方のフランジ部51bの外面に、いわゆる墨打ちにより、基準線pを記しておき、ベース金具1の上板部6を幹板部3に対し下板部4と同方向へ直角に折り曲げ、基準線pを目印として、ベース金具1をC形鋼51に接近させる。
【0029】
そして、図3に示すように、係止部8をC形鋼51の下方のリップ部51cに引っ掛けて、スリット13から基準線pを露見させるように、C形鋼51に対しベース金具1を位置決めする。
【0030】
その後、ベース金具1の下抱部5、下板部4、幹板部3及び上板部6を、C形鋼51の下方のリップ部51c、フランジ部51b、ウェブ部51a及び上方のフランジ部51bの外面にそれぞれ沿わせ、上抱部7を下方へ、係止部9を内側上方へ順次折り曲げて、上抱部7と係止部9によりC形鋼51の上方のリップ部51cを挟み込むと、ベース金具1がC形鋼51に巻着される。
【0031】
また、図4に示すように、本体金具2の幹板部21を野縁54のウェブ部54aに対し直立させ、幹板部21を野縁54の幅方向に対し斜めにした状態で、本体金具2の抱持切込25に野縁54の両側のフランジ部54bが嵌まり込んだ状態とする。
【0032】
そして、図5に示すように、本体金具2を野縁54に対し捻るように回転させ、野縁54の幅方向に本体金具2の幹板部21の向きを一致させる。
【0033】
これにより、本体金具2が野縁54の両側のフランジ部54bに跨って、本体金具2の抱持切込25に野縁54の両側のフランジ部54bが抱持され、嵌合切込26が野縁54のリップ部54cに嵌合し、跨脚片22が野縁54のフランジ部54bの外面に沿い、本体金具2が野縁54に掛着される。この掛着状態では、本体金具2を持ち上げても、野縁54が落下することはない。
【0034】
次に、図6に示すように、本体金具2の耳片23を、ベース金具1の置受片10に形成された導入部11を介して掛溝12に挿入し、ベース金具1の幹板部3と本体金具2の幹板部21を重ね合わせ、置受片10の内面にガイド片24が沿うように、本体金具2をベース金具1に対し上下方向にスライド自在に引っ掛ける。
【0035】
この引っ掛けにより、本体金具2と野縁54がベース金具1に預けられた状態となり、野縁54から手を離しても、本体金具2と野縁54が落下することはない。
【0036】
そして、図7に示すように、六角形の頭部を有するタッピンねじであるビス30を使用し、ビス30のねじ部を、本体金具2の上下方向に長いビス穴27を介しベース金具1の幹板部3の下穴14に先端から突入させ、幹板部3を貫通してC形鋼51のウェブ部51aにねじ込み、ビス30を仮締めした状態とする。
【0037】
このとき、ビス30のねじ込みは、六角ソケットSを取り付けたインパクトレンチWで行うことにより、肉厚の大きいC形鋼51のウェブ部51aにビス30をねじ込むことができ、その際、ビス30の頭部が飛ぶような事故も防止される。
【0038】
この状態で、図8に示すように、例えば、レーザー水準器のレーザー光線d等を基準にして、メジャーMで計測しつつ、ベース金具1に対し本体金具2を昇降させて、野縁54のレベル調整を行い、野縁54の高さを決定して、仮締めしていたビス30を本締め状態まで締め付ける。
【0039】
続いて、図9に示すように、他の2本のビス30のねじ部を、本体金具2の幹板部21の上下の下穴28にそれぞれ先端から突入させ、上記と同様、幹板部3を貫通してC形鋼51のウェブ部51aにねじ込み、ビス30を締め付けることにより、ベース金具1と本体金具2とをC形鋼51に複数本のビス30で固定する。
【0040】
その後、図10に示すように、頭部がナベ型のビス31を使用して、そのねじ部を先端から本体金具2の跨脚片22の下穴29に突入させ、跨脚片22を貫通して野縁54のフランジ部54bにドライバーDでねじ込み、ビス31を締め付けることにより、本体金具2と野縁54とを固定する。
【0041】
以上のような工程により、図11に示すように、C形鋼51と野縁54とが取付金具Aを介して結合される。
【0042】
このようにして、直付天井の下地を構成した後、図12に示すように、野縁54の下面に仕上材としてスパンドレル等の天井板55を留め付ける。
【0043】
上記のように、この発明に係る取付金具Aを使用すると、本体金具2をベース金具1に一旦引っ掛けてから、その後の作業を行うことができるので、施工作業の安全性を確保しつつ負荷を軽減することができ、ベース金具1に対する本体金具2の昇降に伴い野縁54のレベル調整を容易に行って、天井板55を所定高さで平坦面をなすように野縁54に取り付けることができる。
【0044】
また、ベース金具1をC形鋼51に巻着する際、ベース金具1のスリット13からC形鋼51に記された基準線pを露見させて位置決めすることができるので、野縁54等の下地材の通り位置を簡単に所定位置に揃えることができる。
【0045】
さらに、ビス30の下穴14,28を、本体金具2に形成された上下方向に長いビス穴27の横幅よりも小径としたので、下穴14,28よりも小径のビス30が所定のねじ込み位置に誘導され、C形鋼51に対する取付金具Aの固定位置がずれることがなく、精度の高い施工が可能となる。
【0046】
これにより、施工効率が向上し、新たに製作する部材は、ベース金具1と本体金具2とから成る取付金具Aだけであって、従来の軽天材である野縁54を使用することができるので、天井工事に要するコストを削減することができる。
【0047】
また、天井の下地材を設置する空間の高さ寸法が小さい(所謂ふところがない)ために従来の下地構造では耐震仕様が満たせない場合でも、耐震性能を有する天井下地の施工が可能となり、安全性を確保することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ベース金具
2 本体金具
3 幹板部
4 下板部
5 下抱部
6 上板部
7 上抱部
8,9 係止部
10 置受片
11 導入部
12 掛溝
13 スリット
14 下穴
21 幹板部
22 跨脚片
23 耳片
24 ガイド片
25 抱持切込
26 嵌合切込
27 ビス穴
28,29 下穴
30,31 ビス
51 C形鋼
51a ウェブ部
51b フランジ部
51c リップ部
52 アングル材
53 野縁受け
54 野縁
54a ウェブ部
54b フランジ部
54c リップ部
55 天井板
A 取付金具
D ドライバー
M メジャー
S 六角ソケット
W インパクトレンチ
d レーザー光線
p 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13