【解決手段】 モデルを三角形メッシュとして生成し、メッシュをボクセルのグリッドに変換し、属性値をボクセルの一部に割り当てることによって、3次元画像が高解像度色で表示される。ボクセルの当該部分に基づくラプラス補間が、他のボクセルの補間済み属性値を反復的に計算するために適用される。デイスプレイ上で、ボクセルが属性値に応じて着色された画像としてレンダリングされる。
前記ボクセルが境界ボクセルと境を接し、複数の画面画素としてレンダリングされ、前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てる工程を更に含み、レンダリング工程が、前記境界ボクセル内の対応する画面画素を用いて各画面画素に対して三線補間を実行することを含む、請求項1に記載の方法。
前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てて前記ボクセルに対して画素ごとの三線補間を実行することによって、レンダリング工程が実行される、請求項5に記載の方法。
前記ボクセルの前記属性値及び前記特定された属性値に応じた色を割り当てて前記ボクセルに対して画素ごとの三線補間を実行することによって、レンダリング工程が実行される、請求項10に記載の器具。
前記ボクセルが境界ボクセルと境を接し、複数の画面画素としてレンダリングされ、前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てる工程を更に含み、レンダリング工程が、前記境界ボクセル内の対応する画面画素を用いて各画面画素に対して三線補間を実行することを含む、請求項15に記載の方法。
前記補間済み画素属性を変換する工程が、各3次元三角形についてその各々の変形された2次元三角形の前記補間済み画素属性の三つ組の平均値を計算することを含む、請求項15に記載の方法。
与えられた2次元三角形を前記グラフィックスプロセッサに渡した後、前記与えられた2次元三角形を前記与えられた2次元三角形内の前記画素で充填する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
前記加重補間が、与えられた2次元頂点の前記画素属性の三つ組に、与えられた画素から前記与えられた2次元頂点までの距離に反比例する重量を適用する工程を含む、請求項20に記載の方法。
前記補間済み画素属性をボクセル座標に変換する工程が、前記三角形メッシュをボクセルの直方体の中に囲い入れることと、前記ボクセルのうち、前記補間済み画素属性を含むか又はそれに触れるボクセルを、前記表面のボクセルとして選択することとを含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、本発明の様々な原理が充分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これら詳細の全てが本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らないことは当業者にとって明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0028】
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部分と見なされるべきであり、いずれかの用語が、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0029】
定義
本明細書中の或る物体、例えば、三角形、頂点、画素に適用される「2次元」及び「3次元」という形容詞は、2次元及び3次元空間内の物体をそれぞれ参照する表記である。例えば、2次元頂点は、3次元空間内の三角形の頂点が2次元表面に対して投影された座標を参照し得る。
【0030】
概論
次に図面を参照し、
図1を最初に参照すると、この図は、開示される本発明の実施形態に従って構築され、動作する、生存被験体の心臓12に対して診断的又は治療的手技を実施するためのシステム10を絵で表したものである。システム10は、3次元表面15内のボクセルが特定されるように構成されている。システムは、患者の脈管系を通って、心臓12の腔又は脈管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。通常は医師である操作者16が、カテーテルの遠位先端部18を、心臓壁、例えば、アブレーション標的部位と接触させる。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って、電気的活性化マップが作成され得る。上述のCARTO(登録商標)3システムは、システム10の要素を具体化する一商用製品である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されてもよい。
【0031】
例えば電気的活性化マップの評価によって異常と判定された区域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する、遠位先端部18の1つ又は複数の電極に、高周波電流をカテーテル内のワイヤを介して流すことによって、アブレーションすることができる。エネルギーは、組織に吸収され、それを電気的興奮性が恒久的に失われる点(通常、約50℃)まで加熱する。支障なく行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理は、異なる心室に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0032】
カテーテル14は、通常、アブレーションを行うために、操作者16がカテーテルの遠位端の方向転換、位置決め、及び方向決めを所望通りに行うことを可能にする、好適な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置されたプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。プロセッサ22は、後述のような幾つかの処理機能を果たすことができる。
【0033】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18にあるいはその遠位先端部の付近に配置される1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通して、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12との間で搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を介して、心臓12へと搬送することができる。また、コンソール24に接続されている検知電極33は、アブレーション電極32の間に配設されて、ケーブル34への接続部を有する。
【0034】
ワイヤ連結部35は、コンソール24を、体表面電極30、及びカテーテル14の位置座標及び向き座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサ(図示せず)は、位置決定サブシステムの要素であってよい。参照により本明細書に組み込まれる、Govariらに発行された米国特許第7,536,218号において教示されているように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定してもよい。温度センサ(図示せず)、典型的には、熱電対又はサーミスタを、電極32のそれぞれの上に、又は電極32のそれぞれの付近に、載置することができる。
【0035】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギー等の任意の既知のアブレーション技術を使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合され得る。このような方法は、参照により本明細書に組み込まれる、本願発明の譲受人に譲渡された、米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0036】
一実施形態では、位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、所定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する磁気位置追跡の配置構成を含む。位置決めサブシステムは、本明細書において参照により組み込まれている米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に記載されている。
【0037】
上述したように、カテーテル14は、コンソール24に結合されており、これにより操作者16は、カテーテル14を観察し、その機能を調節することができる。コンソール24は、プロセッサ22、好ましくは適切な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結される。信号処理回路は、通常、カテーテル14内の遠位側に位置する上述した(図示せず)センサ及び複数の場所検知電極又は磁気センサによって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を解析するために使用される。プロセッサ22は、本明細書中で後ほど詳述する他の機能を実行する、モジュール及びサブシステムを含む。
【0038】
簡略化のために図示されないが、通常、システム10は、他の要素を備える。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含み得るが、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように連結される。上述の通り、システム10はまた、通常、患者の身体の外側に取り付けられた外部から貼付された参照用パッチ、又は心臓12内に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持されている、体内に置かれたカテーテルのいずれか、参照用位置センサを備える。アブレーション部位を冷却するための液体をカテーテル14を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。システム10は、画像データを外部MRIユニット等のような外部の画像診断モダリティから受信することができ、また、以下に説明される画像を生成及び表示するために、プロセッサ22に統合され得る又はプロセッサ22により起動され得る画像プロセッサを具備している。
【0039】
ここで
図2を参照すると、同図は、本発明の実施形態によるプロセッサ22の態様のブロック図である。プロセッサ22は、コンソール24(
図1)内に配置されるのが通例であるが、遠隔にある場合もあれば又は幾つかの場所に分散される場合もある。プロセッサ22に、追跡モジュール37のような追跡モジュールを用いて、上述の場所検知装置からの信号を、磁場生成コイル28(
図1)により画定される3次元基準系66内の位置座標に変換できる。プロセッサ22は、グラフィックスプロセッサ39に連結されている。グラフィックスプロセッサ39は、通例およそ2,000プロセッサを有する並列処理ユニットである。グラフィックスプロセッサ39の機能については、後述する。
【0040】
データ標本のボクセル表現。
以下に記述するプロシージャには、以下の3通りの段階が含まれる。
1.部分的なモデルからボクセルのグリッドを調製する段階。
2.ボクセルのグリッドに対してラプラス補間を実行する段階。
3.その結果を、通例は擬似コードで、レンダリングする段階。
【0041】
プロシージャには、関連のない3つの異なる補間が含まれる。これらの補間は、本明細書中では便宜上補間タイプ1〜3と呼ばれている。
補間タイプ1−三角形頂点の属性の補間
補間タイプ2−ボクセル属性の割り当てに対するラプラス補間
補間タイプ3−画像レンダリングに用いられる三線補間
【0042】
ここで、
図3を参照すると、同図は、本発明の実施形態による心臓のマップの調製方法に関する高レベルフローチャートである。本明細書中のこのフローチャート及び他のフローチャートには、プレゼンテーションを明確にするために、プロセスの工程が特定の線形的順序で示されている。しかしながら、かかる工程の多くは、並行して、非同期的に、又は異なる順序で行われてもよい点は明らかであろう。当業者であれば、プロセスを、例えば、状態図において、多数の相互に関連する状態又は事象としても代替的に表現できることを理解するであろう。更に、例示されているプロセスの工程の全てが、かかる方法の実施に必要とされるわけではない。
【0043】
初期工程41では、従来的にカテーテルを心臓に挿入して、それぞれの場所における電気生理学的属性の標本、例えば、電気的注釈を得る。これらの場所の3次元座標は、追跡モジュール37(
図2)を使用して特定できる。
【0044】
次に、工程43で、初期工程41で得られた場所から、心臓の少なくとも一部分をモデル化する表面の三角形メッシュを調製する。
【0045】
次に、工程45で、3次元グリッドが作成されるよう、メッシュを囲い入れる体積内にボクセルを画定する。この操作は、グラフィックスプロセッサ39によってほぼリアルタイムに実行される。グリッドのサイズはアプリケーションに依存する。例えば、グリッドサイズは128×128×128、256×256×256、512×512×512などであり得る。いずれの場合も、有限数の未知点が存在する。
【0046】
三角形メッシュからボクセルへの変換プロセスに関する説明により、本発明の原理に対する理解が促されるであろう。ほとんどのグラフィックス処理ユニットは、画面に対して三角形がレンダリングされるように最適化される。実際、一部の場合には、テキストさえもまず三角形に変換される。例えば、四辺形は2つの三角形から構築され得る。
【0047】
各三角形は3つの頂点を含み、それらの各頂点は属性の集合を有する。つまり、その空間内の位置(x,y,z)は不可欠な属性である。追加的な任意属性としては、輝度、色などのような品質を挙げることができる。ただし、これらの属性は値が異なるのが通例であるが、全ての頂点が同じ属性を有することが重要である。現在のアプリケーションにおける頂点の属性は、心内電極から得られるデータ(例えば、局所活性化時間、速度ベクトル、電圧)から導き出される。
【0048】
3つの頂点を線で接続することによって空の三角形が形成され、この空の三角形は、グラフィックス処理ユニットが実行するアルゴリズムによって塗り潰される。
【0049】
画面上に、三角形(その境界を含む)が、画素から形成される。これらの画素の属性は、画素と頂点との間の各々の距離に従って頂点の属性を補間すること(補間タイプ1)によって頂点から導き出される。この補間は通常、グラフィックス処理ユニットのハードウェアにより実行されるものであり、本開示の他項に記載されているラプラス補間(補間タイプ2)と混同しないようにする必要がある。
【0050】
工程45では、通常はメッシュの幾何中心を基準とした局所座標系内の各頂点の位置をその属性の1つとしてグラフィックス処理ユニットに対して用いることで、上記詳細を利用する。画面内の各画素は、補間タイプ1により、位置を割り当てられる。この値によって、画素がボクセルに包含されるかどうかが判定される。次に、識別されているボクセルが、3次元画像(すなわち、3次元のグリッド)として保存され、各ボクセルは上述されているようなアプリケーションに特異的な属性を有する。
【0051】
続いて、心臓内の標本化場所からのデータをグリッド内の対応するボクセルに関連付けることによって、ボクセルのセットの属性を割り当て、データが含まれているボクセルを「既知ボクセル」としてマークする。データ値が欠落しているボクセルは、「未知ボクセル」と呼ばれる。
【0052】
その後、工程47で、ラプラス補間(補間タイプ2)を実行して、既知ボクセルの属性に基づいてグリッド内の未知ボクセルの属性を割り当てる。これで、レンダリングの目的のために、メッシュの各頂点がボクセルのうちの1つにおいて見出されるようになる。工程47を実行するためのアルゴリズムの詳細については、後述する。この時点で、アルゴリズムのための入力が未知ボクセル及び既知ボクセルであることに留意することは重要である。後者は、第1の繰り返しにおける標本化場所に対応する。これで、アルゴリズムの出力はそれぞれ補間済み属性値を有するようになり、既知ボクセルのセットに追加される。換言すれば、アルゴリズムの開始時に既知の属性値を有するボクセルは比較的少ない。アルゴリズムが完了した際に、元々未知であったボクセルもそれぞれ、補間済み属性値を有する。しかしながら、この段階では、ボクセルは表示用に「着色」されていない。
【0053】
次に、最終の工程49では、メッシュ表面を含むボクセル(「境界ボクセル」と呼ばれる)が、表示用の3次元画像に変換される。各画素ごとに、その画素が含まれているボクセルに隣り合う8つのボクセルに対して三線補間(補間タイプ3)を実行する。変換は、局所座標系からシステム10の座標系への変形を伴う。三線補間(補間タイプ3)は従来通りであり、例えば、Wikipediaによってインターネット上に公開された文献「Trilinear Interpolation」に記載されている。この文献は、本明細書において参照により援用されている。
【0054】
従来のレンダリングは、標準技法である。上述したように、三角形の各画素は、その三角形が含まれている3頂点から導き出された補間値(補間タイプ1)を有する。各画素は、その補間値に基づいて色を割り当てられる。補間値を0〜1の値に正規化すると仮定した場合、色を0=赤;1=紫として割り当てることが可能であり、中間値は黄色、緑、シアン及び青の昇順に割り当てられる。例えば、補間値0.1は、赤と黄色との中間色として表示される。
【0055】
ラプラス補間により各ボクセルに属性値が割り当てられたことが想起される。これらの値は、上記の色に関連付けられ得る。しかしながら、ボクセルのレンダリング時に、ボクセル値をレンダリングするだけでは、色が粒状に分散して気に入らない画像になりかねないため、十分ではない。代わりに、先に述べた三線補間(補間タイプ3)が、グラフィックス処理ユニット内のハードウェアによって達成される。
【0056】
ここで
図4を参照すると、同図は、本発明の実施形態によるメッシュの点51の概略図である。点は、心臓12の心内膜表面と接触した際、電極33(
図1)によって位置合わせされる。通例は、上記に言及されているマッピング中に、プロセッサ22は最初に、磁場生成コイル28により画定された3次元基準系53内で測定される点51の3次元座標を記憶する。次いで、プロセッサ22は、本明細書において3次元頂点とも呼ばれる、点51の3次元座標を、線分55で接続して、接続された3次元三角形のセット、例えば、三角形57、59、61を生成する。本明細書において参照により援用されている、本願と同一譲受人に譲渡された「Dynamic Feature Rich Anatomical Reconstruction from a Point Cloud」と題した米国特許出願公開第2015/0164356号に記載の手技を用いることによって、メッシュ63を生成することが可能である。他の好適なアルゴリズムは、メッシュ63を生成するためのボール旋回アルゴリズムを含む。通例は、ボール旋回アルゴリズムを用いた場合、ボールのサイズは、後述するボクセルのサイズに対応するように設定される。代わりに、メッシュをドロネー三角形分割として生成してもよい。メッシュの要素はそれぞれ3次元座標を有する。
【0057】
或るアプリケーションでは、三角形メッシュ63によって心内膜表面がモデル化される。最終の工程49(
図3)において注記されているように、プロセッサ22(
図3)は、グラフィックスプロセッサ39を用いてメッシュ63をレンダリングしてモニタ29(
図1)上に表示される画像を生成する。
【0058】
ここで、
図4及び
図5を参照すると、
図5は、本発明の実施形態による、心臓のマップの調製方法のマップに関する詳細フローチャートである。初期工程65では、処理ユニットで、本明細書中でメッシュ63を含むと推測される3次元三角形メッシュが生成される。メッシュ63の生成には、3次元座標をメッシュ63の3次元の点51の順序付き三つ組として特定し、次いで、点51どうしを接続する線分55の等式を特定して、基準系53の内部に3次元三角形57、59、61を形成することが含まれる。
【0059】
囲い入れ工程67では、3次元のメッシュ63を、ボクセルからなる3次元体積の中に囲い入れる。通例は、必ずしも必須でないが、囲い入れる体積の縁部が、基準系53のxyz軸に平行であるように選択される。ボクセルの数及びサイズは、ユーザによる選択が可能である。ボクセルは典型的に立方体であり、かつ典型的にサイズが等しい。典型的な3次元体積には、128×128×128又は512×512×512ボクセルが含まれ得るが、本発明の実施形態は、これらの特定の値に限定されず、3次元体積用の他の便宜的なボクセル構成を選択することができる。
【0060】
図6における三角形選択工程69、152で、プロセッサ22は、3次元三角形(本明細書中で三角形57と仮定される)を選択し、三角形の頂点の3次元座標(三つ組(xA1,yA1,zA1)、(xA2,yA2,zA2)、(xA3,yA3,zA3)と仮定される)を位置合わせする。
【0061】
変換工程71では、グラフィックスプロセッサ39へのデータ入力の準備として、選択された3次元三角形を2次元三角形に変換する。選択された三角形の3次元頂点の3次元座標の各々は、2次元頂点のそれぞれの2次元座標と1対1の相関関係になる。2次元頂点の各々は、2次元画素座標と、対応する3次元頂点の画素属性の三つ組と、を有する。
【0062】
図6及び下掲の表1に、工程71で形成された相関関係を例証する。
【0064】
図6は、3次元三角形57を例証したものであり、その3つの3次元頂点が、基準系53内に描かれている。3次元三角形57に対応している2次元三角形73は、2次元基準系77を有する2次元画面75上に描いてある。工程71において生成された相関関係には、画面上に点を実際に配置する工程がいっさい含まれないこと、及び画面75が仮想画面であること、を指示するため、三角形73、画面75、及び基準系77は、破線で描かれている。したがって、実際の三角形73は全く存在していない。そのため、2次元三角形73が破線で描かれている。
【0065】
更に後述するように、工程71は、工程69で選択されたそれぞれ異なる3次元三角形に対して繰り返される。ただし、3次元三角形がそれぞれ異なり得る一方、変換後の2次元三角形が同じであり得るため、この場合、全ての3次元三角形に対して1つの共通2次元三角形が存在する。幾つかの実施形態において、共通2次元三角形の2次元頂点は、画面75が2次元三角形で充填されるように選択される。この事例において、かつ基準系53の内部の画面75が、隅(1,1)(1,−1)、(−1,−1)及び(−1,1)を有すると仮定するならば、その相関関係について表2が適用される。
【0067】
GP入力及び充填工程79では、プロセッサ22が2次元頂点及び2次元三角形の関連画素の三つ組を、グラフィックスプロセッサ39に渡す。グラフィックスプロセッサ39は、3つの2次元頂点を受け取った際に、三角形73が、各2次元画素がそれぞれの2次元画面座標(x
p,y
p)(p=1,2,3,...)を有する2次元画素で充填されるように、構成されている。
【0068】
加えて、グラフィックスプロセッサ39は、2次元頂点に関連付けられた各画素の三つ組属性を補間可能値として扱うように構成されている。ラプラス補間は、三つ組の各要素に適用される。
【0069】
[x
wp,y
wp,z
wp]の式は、等式1:
【0070】
【数2】
(式中、w
1、w
2、w
3は、2次元画素(x
p,y
p)から2次元頂点(x
s1,y
s1)、(x
s2,y
s2)、(x
s3,y
s3)までの距離d
1、d
2、d
3に反比例する正規化された重み係数である)によって与えられる。
【0072】
【数3】
であり、第2の例として、d
1=d
2=2次元
3の場合、
【0074】
工程79では、処理ユニットで、2次元画素(x
p,y
p)ごとに、それぞれの三つ組の値[x
wp,y
wp,z
wp]が等式1に従って判別され、2次元三角形73が2次元画素で充填される。
【0075】
関連付け工程97では、工程79で充填された画素の各三つ組の値[x
wp,y
wp,z
wp]を三角形57に関連付け、三角形の三つ組のセット{S}を形成し、グラフィックス処理ユニットが三つ組のセットを記憶する。等式(1)から、セット{S}の各三つ組が三角形57の内部の3次元の点に等しいことは、明らかになるであろう。
【0076】
判定工程99では、三つ組のセット(すなわち、与えられた3次元三角形の内部の3次元の点のセット)がメッシュ63内の全ての3次元三角形について記憶されているかどうかが、プロセッサ22によってチェックされる。3次元三角形が、そのようなセットなしに存在する場合には、フローチャートが工程69に戻る。それぞれの3次元の点のセットが、メッシュ63内の全ての三角形について記憶されている場合、フローチャートがボクセル化工程101に進む。
【0077】
ボクセル化工程101では、囲い入れ工程67で形成された3次元体積の各ボクセルに対して、工程97で記憶された三つ組のうちの少なくとも1つがボクセル内に含まれているか又はそのボクセルに触れているかが、プロセッサ22によってチェックされる。そのようなボクセルは、表面15(
図1)に含まれているボクセルであると推測されるため、境界ボクセルとして「マーク」又は選択される。3次元体積内の全ての他のボクセル(すなわち、工程97で記憶された三つ組を囲い入れていないか又はその三つ組に触れていないもの)は、表面15に含まれていないと推測される。
【0078】
プロセッサ22が、選択されたボクセルのボクセル座標を使用して、モニタ29上の表面15をレンダリングする(
図1)。
【0079】
ラプラス補間
ラプラス演算子∇
2は、ユークリッド空間上の関数の勾配の発散によって与えられる微分演算子である。fを2回微分可能な関数とした場合、fのラプラスは、デカルト座標x
i内の全ての非混在型の第2の偏導関数の合計となる。
【0081】
同等の条件で、fのラプラス(Laplacian of)は、デカルト座標x
i内の全ての非混在型の第2の偏導関数の合計となる。
【0083】
本明細書において参照により援用されている文献「Computational Statistics with Application to Bioinformatics」William H.Press,The University of Texas at Austin,CS 395T,Spring 2010に説明されているように、ラプラス補間は、所望される平滑度を最大限に強化する特性を有する。任意の数の次元においてyが∇
2y=0の条件を満たす場合、境界条件と交差しない如何なる球体に対しても、
【0085】
ラプラス補間は、あらゆる既知点においてy(x
i)=y
iを設定し、あらゆる未知点において∇
2y=0を解決することを含む。
【0086】
(a)計算アルゴリズム
ボクセル補間に合わせて適応されたアルゴリズムは、2つのパートに分類される。
既知のデータをマークする。
【0087】
条件が成立するまで、全てのボクセルデータに対して処理を繰り返す。
【0088】
第1のパートは、全ての未知データの場所を、単に空としてマークし、その値(例えば、強度、LAT、電圧)を含むボクセルとしてマークすることを含む。
【0089】
第2のパートは、2つの主要セクションを有する。(1)AVERAGE関数の計算によってラプラス方程式の条件を近似的に満たし、(2)全てのデータに対して計算を繰り返す。擬似コードは、リスト1に与えられている。
【0090】
(i)リスト1
全てのボクセルを空としてマークする
既知ボクセルを標本化データ値(強度、LATなど...)で充填する。
変更の対象となるボクセルが存在しなくなるまで繰り返す
//全てのボクセルに対して処理を繰り返す
各ボクセルに対して以下を実行:
AVERAGE関数を使用して、近隣ボクセルの平均を計算する
ボクセルが空である場合、
平均値で充填する。
それ以外の場合、
平均された値(A)を現在のボクセル値(V
i)と比較する
それらの値が、同じ(閾値限度内にある)場合、
何もしない
それ以外の場合、
差分(D=A−Vi)を現在のボクセル値に追加し、このボクセルを変更済みとしてマークする。新しい値は次式の通り:
V
i+1=V
i+D。
現在の繰り返しで変更されたボクセルが存在しない場合、終了する。
【0091】
(b)AVERAGE関数
現在の実施形態に用いられているAVERAGE関数は、リスト2に示すようにして計算される。
【0092】
(i)リスト2
空でない近隣からの全ての値を合計する。
空でない近隣が存在しない場合、
何もしない
それ以外の場合、
合計を空でない近隣の数で除算する
【0093】
リスト2の目的上、与えられたボクセルの近隣を、隣り合う(すなわち、対向する)ボクセルとする。空でないボクセル全部にデータ入力されたグリッドでは、与えられたボクセル(すなわち、左、右、頂部、底部、正面及び背面ボクセル)に直接に面する6つのボクセルから、合計が取得される。対角線的に位置決めされたボクセルは、近隣でない。本明細書において「左、右、頂部、底部、正面及び背面」という用語は、或るボクセルの場所を他のボクセルに対して見分けがつくようにするため、適宜に使用される。これらの用語は、グリッドの実際の構成に関して物理的な意味を有さない。
【0094】
リスト2のアルゴリズムの一変異形では、与えられた2次元頂点と近隣ボクセルとの間の距離に反比例する重量が、値に適用される。
【0095】
代替的実施形態
本実施形態において、心臓のような表面の3次元モデルは、ボクセルから構築され、画素の三角形メッシュの処理を必ずしも要するとは限らない。ボクセルモデルは、任意のモデリング技法により、調製できる。
【0096】
心臓にカテーテルを挿入したときに、例えば、上記の場所のCARTOシステムの検知機能を使用して、既知の場所での電気生理学的属性の示度が得られる。
【0097】
既知の場所は、モデルのボクセルに直接に投影されるか又は関連付けられていて、先に述べた反復的なラプラス補間アルゴリズムのいずれかに対する参照となることにより、グリッド内の他のボクセルの属性が特定される。近隣間のラプラス補間(補間タイプ2)及び先に述べたAVERAGE関数を用いることによって、他のボクセルの属性を特定することが可能である。計算を効率化する目的で、3次元モデルの表面が含まれているか又はその表面に触れるボクセルのみを、補間対象として選択する。
【0098】
アルゴリズムの典型的な進捗は、
図8の例に例証されている。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
ここで
図7を参照すると、同図は、本発明の実施形態による例示的な3次元表面にラプラス補間に対する上記反復的計算アルゴリズムの適用を例証する、一続きの画像である。画像81、83、85、87、89、91には、繰り返し5、15、25、50、200及び1675のそれぞれでのアルゴリズムの進捗が表されている。
【0100】
(実施例2)
ここで
図8を参照すると、同図には、本発明の一実施形態による、2つの心臓マップの一部分が例証されている。マップ93及びマップ95の両方は、心臓カテーテル検査中に得ることのできる電気データに等しい、電気データに対応している。マップされる関数内の空間変動は、擬似コードで表されるのが通例である。マップ93は、先に述べたアルゴリズムを使用して生成され、マップ95は、CARTO 3システムの市販プロシージャを使用して調製されたものである。離散化ゾーンは、マップ95上よりもマップ93上での方がくっきりと画定されることが、明白である。
【0101】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者が想到するであろう、先行技術にはない特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 三角形メッシュを含む表面を有する3次元モデルを生成する工程と、
前記メッシュをボクセルのグリッドに変換する工程と、
前記ボクセルの一部に属性値を割り当てる工程と、
前記ボクセルの前記一部に基づいてラプラス補間を使用して、前記ボクセルのうち他の補間済み属性値を反復的に計算する工程と、
前記ボクセルをデイスプレイ上の着色画像としてレンダリングする工程と、
を含む、方法。
(2) ボクセルの前記ラプラス補間が、その近隣ボクセルを用いた複数のラプラス補間を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ラプラス補間が、AVERAGE関数を前記複数のラプラス補間に適用する工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記ボクセルが境界ボクセルと境を接し、複数の画面画素としてレンダリングされ、前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てる工程を更に含み、レンダリング工程が、前記境界ボクセル内の対応する画面画素を用いて各画面画素に対して三線補間を実行することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) ボクセルのグリッドを含む心臓の一部の3次元モデルを生成する工程と、
前記心臓内の既知の場所での電気生理学的属性値を心内プローブから受け取る工程と、
前記既知の場所の前記属性値を前記グリッドの対応するボクセルに割り当てて、既知の属性を有するボクセルのセットを確立する工程と、
前記セットのメンバーの前記属性値をラプラス補間することにより、前記グリッド内の他のボクセルの前記属性値を反復的に特定して、補間済み属性値を前記他のボクセルに割り当てる工程と、
前記ボクセルの3次元画像をレンダリングする工程と、
を含む、方法。
【0103】
(6) 前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てて前記ボクセルに対して画素ごとの三線補間を実行することによって、レンダリング工程が実行される、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記グリッド中の前記ボクセルのうち、前記モデルの表面に触れるか又はその表面を含むボクセルを、補間のために選択する工程を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(8) ボクセルの前記ラプラス補間が、その近隣ボクセルを用いた複数のラプラス補間を含む、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記ラプラス補間が、AVERAGE関数を前記複数のラプラス補間に適用する工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 器具であって、
プロセッサであって、
ボクセルのグリッドを含む心臓の一部の3次元モデルを生成し、
前記心臓内の既知の場所での電気生理学的属性値を心内プローブから受け取るように構成された、プロセッサと、
グラフィックス処理ユニットであって、
前記既知の場所の前記属性値を前記グリッドの対応するボクセルに割り当てて、既知の属性値を有するボクセルのセットを確立し、
前記セットのメンバーの前記属性値をラプラス補間することにより、前記グリッド内の他のボクセルの前記属性値を反復的に特定して、
前記ボクセルの3次元画像をレンダリングするように構成された、グラフィックス処理ユニットと、
を備える、器具。
【0104】
(11) 前記ボクセルの前記属性値及び前記特定された属性値に応じた色を割り当てて前記ボクセルに対して画素ごとの三線補間を実行することによって、レンダリング工程が実行される、実施態様10に記載の器具。
(12) 前記グリッド中の前記ボクセルのうち、前記モデルの表面に触れるか又はその表面を含むボクセルを、補間のために選択する工程を更に含む、実施態様10に記載の器具。
(13) ボクセルの前記ラプラス補間が、その近隣ボクセルを用いた複数のラプラス補間を含む、実施態様10に記載の器具。
(14) 前記ラプラス補間が、AVERAGE関数を前記複数のラプラス補間に適用する工程を更に含む、実施態様13に記載の器具。
(15) 3次元レンダリングの方法であって、
3次元表面の三角形メッシュを画定する一群の3次元三角形を受け取る工程であって、前記群中の各3次元三角形が、それぞれの3次元座標を備えた3つの3次元頂点を有する、工程と、
各3次元三角形を、各々が前記3次元頂点に対応した3つの2次元頂点を有する、対応する2次元三角形に変形する工程であって、各2次元頂点がそれぞれの2次元画素座標と、対応する3次元頂点の前記3次元座標に対応する画素属性の三つ組(triplet)とを有する、工程と、
各2次元三角形をグラフィックスプロセッサに渡す工程であって、前記グラフィックスプロセッサが、各2次元頂点の前記画素属性の三つ組を補間可能値として扱う、工程と、
前記グラフィックスプロセッサで、各2次元三角形内部の画素について補間済み画素属性のそれぞれの三つ組を計算する工程と、
前記グラフィックスプロセッサで計算された前記補間済み画素属性を、ボクセルに変換する工程と、
属性値を前記ボクセルの一部に反復的に割り当てて、既知ボクセルのセットを確立する工程と、
前記既知ボクセルと他のボクセルとの間でラプラス補間を反復的に実行して、補間済み属性値を前記他のボクセルに割り当てる工程と、
前記ボクセルの3次元画像をレンダリングする工程と、
を含む、方法。
【0105】
(16) 前記ボクセルが境界ボクセルと境を接し、複数の画面画素としてレンダリングされ、前記ボクセルの前記属性値及び前記補間済み属性値に応じた色を割り当てる工程を更に含み、レンダリング工程が、前記境界ボクセル内の対応する画面画素を用いて各画面画素に対して三線補間を実行することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 異なる既知ボクセルを用いてAVERAGE関数を複数のラプラス補間に適用する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記補間済み画素属性を変換する工程が、各3次元三角形についてその各々の変形された2次元三角形の前記補間済み画素属性の三つ組の平均値を計算することを含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 与えられた2次元三角形を前記グラフィックスプロセッサに渡した後、前記与えられた2次元三角形を前記与えられた2次元三角形内の前記画素で充填する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記補間済み画素属性が、前記2次元頂点の各々の前記画素属性の三つ組に対する加重補間を含む、実施態様15に記載の方法。
【0106】
(21) 前記加重補間が、与えられた2次元頂点の前記画素属性の三つ組に、与えられた画素から前記与えられた2次元頂点までの距離に反比例する重量を適用する工程を含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記補間済み画素属性をボクセル座標に変換する工程が、前記三角形メッシュをボクセルの直方体の中に囲い入れることと、前記ボクセルのうち、前記補間済み画素属性を含むか又はそれに触れるボクセルを、前記表面のボクセルとして選択することとを含む、実施態様15に記載の方法。