【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、独立行政法人科学技術振興機構、「国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)(e−ASIA)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上の原料(f)とアルコール(a1)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)の存在下で反応させて、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程(P1)を有する、バイオディーゼルの製造方法。好ましくは、前記工程(P1)における反応を、マイクロ波を照射しつつ行う。
脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上の原料(f)とアルコール(a1)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)の存在下で反応させて、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程(P1)を有する、バイオディーゼルの製造方法。
脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上の原料(f)とアルコール(a1)との反応を、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)の存在下で行うための反応槽を備える、バイオディーゼル製造装置。
脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上の原料(f)とアルコール(a1)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)の存在下で反応させて、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得るための第1の反応槽と、
グリセリンと分岐鎖状アルコール(a2)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c3)の存在下で反応させて、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを得るための第2の反応槽と、
前記第1の反応槽及び前記第2の反応槽に接続され、前記第1の反応槽で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物と、前記第2の反応槽で得た分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルと、を混合して、第3の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得るための混合槽と、
を備える、バイオディーゼル製造装置。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chai,Z-Z.,Wang,Y.,Teng,Y-L.,Chong,K-M,Wang,J-W,Zhang,J-W and Yang,D-P.A two-step biodiesel production process from waste cooking oil via recycling crude glycerol esterification catalyzed by alkali catalyst,Fuel Processing Technology,137,2015,186-193.
【非特許文献2】Ma,F.and Hanna,M.A.Biodiesel production:a review,Bioresource Technology,70(1),1999,1-15.
【非特許文献3】Takebian-Kiakalaieh,A.,Amin,N.A.S.and Mazaheri,H.A review on novel processes of biodiesel production from waste cooking oil,Applied Energy,104,2013,683-710.
【非特許文献4】Fukuda,H.,Kondo,A.and Noda,H.REVIEW:Biodiesel Fuel Production by Transesterification of Oils, Journal of Bioscience and Bioengineering,92(5),2001,405-416.
【非特許文献5】Atadashi,I.M.,Aroua,M.K.and Aziz,A.A.High quality biodiesel and its diesel engine application:A review,Renewable and Sustainable Energy Reviews,14,2010 1999-2008.
【非特許文献6】Atapour,M.and Kariminia,H-R.Characterization and transesterification of Iranian bitter almond oil for biodiesel production,Applied Energy,88(7),2011,2377-2381.
【非特許文献7】Demirbas,A.Competitive liquid biofuels from biomass,Applied Energy,88(1),2011,17-28.
【非特許文献8】Likozar,B.and Levec,J.Transesterification of canola,palm,peanut, soybean and sunflower oil with methanol,ethanol,isopropanol,butanol and tert-butanol to biodiesel:Modelling of chemical equilibrium,reaction kinetics and mass transfer based on fatty acid composition,Applied Energy,123,2014,108-120.
【非特許文献9】Demirbas,A.Biodiesel from waste cooking oil via based-catalytic and supercritical methanol transesterification,Energy Conversion and Management,50(4),2009,923-927.
【非特許文献10】Freedman,B.,Pryde,E.H.and Mounts,LT.L.Variable affecting the yield of fatty esters from transesterification,Journal of the American Oil Chemists Society,61(10),1984,1638-1643.
【非特許文献11】Boz,N.,Degirmenbasi,N.and Kalyon,D.M.Esterification and transesterification of waste cooking oil over Amberlyst 15 and modified Amberlyst 15 catalysts,Applied Catalysis B:Environmental,165,2015,723-730.
【発明を実施するための形態】
【0018】
(バイオディーゼルの製造方法)
本発明のバイオディーゼルの製造方法は、脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上の原料(f)とアルコール(a1)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)の存在下で反応させて、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程(P1)を有する。
以下、原料(f)、アルコール(a1)、不均一触媒(c1)をそれぞれ(f)成分、(a1)成分、(c1)成分ともいう。
【0019】
前記の(c1)成分の存在下での(f)成分と(a1)成分との反応においては、例えば(f)成分が脂肪族カルボン酸としてモノカルボン酸である場合、下式(1)のように、モノカルボン酸と(a1)成分とのエステル化反応によって、脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル)が生成する。
【0021】
例えば(f)成分が油脂としてトリグリセリドである場合、下式(2)のように、トリグリセリドと(a1)成分とのエステル交換反応によって、脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル:主生成物)が生成するとともにグリセリン(副生成物)が副生する。
【0023】
(f)成分が脂肪族カルボン酸及び油脂の両方を含む場合、前記のエステル化反応とエステル交換反応とがいずれも進行して脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル)が生成する。
【0024】
・原料(f)
(f)成分としては、脂肪族カルボン酸及び油脂からなる群より選択される1種以上であれば、特に制限無く用いることができ、例えば廃油を用いてもよい。
(f)成分は、脂肪族カルボン酸のみからなるものでもよいし、油脂のみからなるものでもよいし、脂肪族カルボン酸と油脂とからなるものでもよい。
【0025】
・・脂肪族カルボン酸
(f)成分における脂肪族カルボン酸は、1つ以上のカルボキシ基(−COOH)を有する脂肪族化合物であり、飽和化合物でも不飽和化合物でもよいし、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環構造を含んでいてもよい。中でも、モノカルボン酸(R
fCOOH)が好適に用いられる。
前記モノカルボン酸(R
fCOOH)としては、例えば炭素数8〜24のアシル基(R
fCO)を有するものが挙げられる。
(f)成分に含まれる脂肪族カルボン酸は、1種でも2種以上でもよい。
【0026】
・・油脂
本発明において「油脂」とは、脂肪酸類のグリセリンエステルをいう。該脂肪酸類には、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸がいずれも含まれる。グリセリンエステルには、モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリドがいずれも含まれる。中でも、トリグリセリドが好適に用いられる。
上記の式(2)で表されるトリグリセリド(トリアシルグリセロール)における3つのアシル基部分(R
1CO、R
2CO、R
3CO)は、2つ以上が同一であってもよいし、3つがいずれも異なっていてもよい。また、3つのアシル基部分は、それぞれ不飽和結合を有していてもよい。
3つのアシル基部分(R
1CO、R
2CO、R
3CO)の炭素数は、それぞれ、8〜24が好ましく、12〜20がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。
(f)成分における油脂としては、例えば植物油、獣油等の生物由来油が挙げられる。植物油としては、菜種油、パーム油、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、コメ油、ヘンプ・オイルなどが挙げられる。獣油としては、魚油、豚脂、牛脂などが挙げられる。
(f)成分に含まれる油脂は、1種でも2種以上でもよい。
【0027】
・アルコール(a1)
(a1)成分には、好ましくは低級アルコールが用いられ、例えばバイオマス燃料を用いてもよい。
(a1)成分としては、例えば炭素数1〜6のアルコールが挙げられ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。
(a1)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
・不均一触媒(c1)
(c1)成分には、炭素系固体触媒を含むものが用いられる。
本発明において「炭素系固体触媒」とは、炭素を主成分(含有量が50質量%以上)とした固体触媒をいう。
炭素系固体触媒としては、例えば、炭素からなる物質又はその酸化物が挙げられる。
炭素からなる物質としては、グラフェン、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、活性炭などが挙げられ、これらの中でも、反応がより促進されやすいことから、グラフェンが好ましい。
炭素からなる物質の酸化物としては、酸化グラフェン、酸化グラファイト、酸化活性炭などが挙げられ、これらの中でも、反応がより促進されやすいことから、酸化グラフェンが好ましい。
炭素系固体触媒としては、バイオディーゼルの収率及び反応効率がより高められやすいことから、炭素からなる物質の酸化物がより好ましい。
【0029】
尚、本発明において「バイオディーゼルの収率」とは、エステル化反応又はエステル交換反応に用いられる(f)成分に対する、該反応により生成した脂肪酸アルキルエステルの質量比(脂肪酸アルキルエステル/(f)成分)を意味し、(f)成分の脂肪酸アルキルエステルへの転化率と同義である。
【0030】
(c1)成分に含まれる炭素系固体触媒は、1種でも2種以上でもよい。
(c1)成分は、炭素系固体触媒を少なくとも含むものであり、炭素系固体触媒とこれ以外の不均一触媒とからなるものでもよく、好ましくは炭素系固体触媒のみからなるものである。
【0031】
本発明に係るバイオディーゼルの製造方法としては、例えば、以下に示す第1〜3の実施形態が挙げられる。
【0032】
第1の実施形態:工程(P1)、すなわち、(f)成分と(a1)成分とを(c1)成分の存在下で反応させることによる製造方法。
【0033】
第2の実施形態:(f)成分が油脂である場合、工程(P1)及び下記工程(P2)による製造方法。
工程(P2):前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物と分岐鎖状アルコール(a2)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c2)の存在下で反応させて、第2の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程
【0034】
第3の実施形態:工程(P1)、下記工程(P3)、下記工程(P4)及び下記工程(P5)による製造方法。
工程(P3):グリセリンと分岐鎖状アルコール(a2)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c3)の存在下で反応させて、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを得る工程
工程(P4):前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物から脂肪酸アルキルエステルを分離する工程
工程(P5):前記工程(P4)で分離した脂肪酸アルキルエステルと、前記工程(P3)で得た分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルと、を混合して、第3の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程
【0035】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の製造方法においては、工程(P1)によって、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
【0036】
[工程(P1)]
例えば、(f)成分を貯蔵する原料貯蔵槽、及び(a1)成分を貯蔵するアルコール貯蔵槽に接続され、好ましくはマイクロ波照射手段を備えた反応槽を用い、以下のようにして工程(P1)の操作を行うことができる。
前記反応槽内に、前記原料貯蔵槽から(f)成分と、前記アルコール貯蔵槽から(a1)成分と、(c1)成分とを加え、これらを混合する。
【0037】
(f)成分が脂肪族カルボン酸である場合、(c1)成分の使用量は、脂肪族カルボン酸100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
(c1)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、バイオディーゼルの収率がより高められやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、充分なエステル化反応の促進効果が得られ、好ましい上限値を超えても、バイオディーゼルの収率向上は頭打ちの傾向にある。
【0038】
(f)成分が脂肪族カルボン酸である場合、(a1)成分の使用量は、脂肪族カルボン酸1モルに対して1〜12モルが好ましく、2〜8モルがより好ましい。
(a1)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、(f)成分とのエステル化反応が充分に進行しやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、未反応の(a1)成分が低減されやすい。
【0039】
(f)成分が油脂である場合、(c1)成分の使用量は、油脂100質量部に対して3〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
(c1)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、バイオディーゼルの収率がより高められやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、充分なエステル交換反応の促進効果が得られ、好ましい上限値を超えても、バイオディーゼルの収率向上は頭打ちの傾向にある。
【0040】
(f)成分が油脂である場合、(a1)成分の使用量は、油脂1モルに対して5〜20モルが好ましく、9〜15モルがより好ましい。
(a1)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、(f)成分とのエステル交換反応が充分に進行しやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、未反応の(a1)成分が低減されやすい。
【0041】
工程(P1)における反応温度は、配合成分の種類又は配合スケール等を勘案して適宜設定すればよく、例えば70〜90℃が好ましい。
工程(P1)における反応時間は、例えば1〜30分間が好ましい。
工程(P1)における反応は、(a1)成分を還流させながら行うことが好ましい。
【0042】
工程(P1)における反応は、マイクロ波を照射しつつ行うことが好ましい。
特に炭素系固体触媒は、高いマイクロ波吸収性を有する。このため、マイクロ波を照射することにより、反応場である触媒表面の温度がバルクに比べて高くなることで、反応がより促進され、バイオディーゼルの収率がさらに高められる。加えて、反応時間の短縮化も図られ、生産性がより向上する。
【0043】
マイクロ波の強度は、配合スケール又は装置の出力等を勘案して適宜設定すればよく、例えば100〜1000W程度の出力が好ましく、より好ましくは100〜600W程度の出力とされる。
マイクロ波の周波数は、マイクロ波発生装置等に応じて適宜設定すればよく、例えば0.9〜25GHzが好ましく、0.9〜6GHzがより好ましい。
マイクロ波の照射時間は、反応温度等を勘案して適宜設定すればよく、例えば10分間以下が好ましく、1〜6分間がより好ましい。
マイクロ波の照射は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
【0044】
以上説明した工程(P1)によって、脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル)を含有する第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
(f)成分が油脂である場合、脂肪酸アルキルエステル(主生成物)とともにグリセリン(副生成物)を含有する第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
【0045】
かかる第1の実施形態のバイオディーゼルの製造方法によれば、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c1)が用いられているため、バイオディーゼルと触媒との分離が容易であり、廃液処理などの煩雑さが軽減され、触媒の再利用も可能である。加えて、エステル化反応とエステル交換反応とを同時に進行させて脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル)を生成できる。このように本実施形態の製造方法は、従来よりも簡便な方法によってバイオディーゼルを製造でき、生産性がより高められる。さらに、(c1)成分の採用によって、エステル化反応又はエステル交換反応が促進されるため、生産性がより高められる。
【0046】
特に、炭素系固体触媒とマイクロ波照射とを組み合わせることで、エステル化反応又はエステル交換反応がよりいっそう促進されるため、反応時間の短縮化、加熱に要するエネルギーの削減も図れる。
【0047】
工程(P1)における反応を、マイクロ波を照射しつつ行った場合、エステル化反応におけるバイオディーゼルの収率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上となり得る。
工程(P1)における反応を、マイクロ波を照射しつつ行った場合、エステル交換反応におけるバイオディーゼルの収率は、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上となり得る。
バイオディーゼルの収率については、炭素系固体触媒に官能基(酸性基、塩基性基)を適宜導入することで、より高められる可能性がある。
【0048】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の製造方法においては、(f)成分が油脂である場合、工程(P1)及び工程(P2)によって、第2の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
工程(P2):前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物と分岐鎖状アルコール(a2)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c2)の存在下で反応させて、第2の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程
以下、分岐鎖状アルコール(a2)、不均一触媒(c2)をそれぞれ(a2)成分、(c2)成分ともいう。
【0049】
(f)成分が油脂である場合、工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物には、主生成物である脂肪酸アルキルエステルとともに、副生成物であるグリセリンが含まれている。
工程(P2)では、前記(c2)成分の存在下で、例えば下式で表される主反応のように、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物に含まれるグリセリンと(a2)成分とのエーテル化反応によって、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが生成する。この分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを含むことでバイオディーゼルの品質向上が図れる。
本発明においては、この分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを「バイオディーゼルの改質剤」ともいう。
尚、かかるエーテル化反応は、副反応を伴い、(a2)成分の分岐鎖(R
b)に由来するアルケンが副生する。
【0051】
前記主反応により生成する分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルは、モノアルキルグリセロールエーテル(モノ体)と、ジアルキルグリセロールエーテル(ジ体)と、トリアルキルグリセロールエーテル(トリ体)と、の混合物からなる。
分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルは、バイオディーゼルの品質向上の点から、ジ体又はトリ体の割合が高いものほど好ましい。
【0052】
・分岐鎖状アルコール(a2)
(a2)成分には、好ましくは低級アルコールが用いられ、例えばバイオマス燃料を用いてもよい。
(a2)成分としては、例えば炭素数3〜6のアルコールが挙げられ、iso−プロパノール、iso−ブタノール、tert−ブタノールが好ましく、エーテル化反応がより促進されやすいことから、tert−ブタノールがより好ましい。
(a2)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
・不均一触媒(c2)
(c2)成分には、炭素系固体触媒を含むものが用いられる。
(c2)成分としては、上述の(c1)成分と同様のものが挙げられる。炭素系固体触媒の中でも、エーテル化反応がより促進されやすいことから、炭素からなる物質の酸化物がより好ましい。
炭素からなる物質の中では、グラフェンが好ましい。
炭素からなる物質の酸化物の中では、酸化グラフェン、酸化グラファイト、酸化活性炭が好ましく、酸化グラフェンが特に好ましい。
(c2)成分に含まれる炭素系固体触媒は、1種でも2種以上でもよい。
(c2)成分は、炭素系固体触媒を少なくとも含むものであり、炭素系固体触媒とこれ以外の不均一触媒とからなるものでもよく、好ましくは炭素系固体触媒のみからなるものである。
【0054】
第2の実施形態の製造方法は、例えば、
図1に示すバイオディーゼル製造装置を用いて行うことができる。
【0055】
図1は、バイオディーゼル製造装置の一実施形態を示している。
図1に示すバイオディーゼル製造装置100は、炭素系固体触媒を含む不均一触媒の存在下で反応を行うための反応槽10を備える。
反応槽10は、(f)成分を貯蔵する原料貯蔵槽12と、(a1)成分を貯蔵する第1のアルコール貯蔵槽14と、(a2)成分を貯蔵する第2のアルコール貯蔵槽16と、に接続されている。
本実施形態では、原料貯蔵槽12に、(f)成分として油脂が貯蔵されている。
反応槽10は、さらに、マイクロ波発生装置(不図示)により、マイクロ波が照射されるように配置されている。
図1においては、反応時にマイクロ波が発生している状態が波線で表現されている。
【0056】
[工程(P1)]
工程(P1)では、バイオディーゼル製造装置100を用いて、上述した第1の実施形態の工程(P1)において(f)成分が油脂である場合と同様の操作を行う。
すなわち、反応槽10内に、原料貯蔵槽12から油脂と、第1のアルコール貯蔵槽14から(a1)成分と、(c1)成分とを加え、これらを混合してエステル交換反応を行う。これによって、脂肪酸アルキルエステル(主生成物)とグリセリン(副生成物)とを含有する第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
前記の油脂と(a1)成分との反応は、マイクロ波発生装置(不図示)によって、マイクロ波(波線)を反応槽10内の混合液に照射しつつ行うことが好ましい。これにより、かかるエステル交換反応が促進される。
【0057】
[工程(P2)]
工程(P2)では、第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が収容されている反応槽10内に、第2のアルコール貯蔵槽16から(a2)成分と、(c2)成分とを加え、これらを混合してエーテル化反応を行う。その際、(c2)成分は、(c1)成分と同一のものでもよいし異なるものでもよい。かかるエーテル化反応によって、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが生成する。
工程(P2)における反応は、マイクロ波発生装置(不図示)によって、マイクロ波(波線)を反応槽10内の混合液に照射しつつ行うことが好ましい。これにより、かかるエーテル化反応が促進される。
【0058】
(c2)成分の使用量は、(a2)成分100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
(c2)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率がより高められやすくなる。加えて、ジ体又はトリ体の割合の高い分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが得られやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、充分なエーテル化反応の促進効果が得られ、好ましい上限値を超えても、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率向上は頭打ちの傾向にある。
【0059】
尚、本発明において「分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率」とは、エーテル化反応に用いられるグリセリンに対する、該反応により生成した分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの質量比(分岐鎖状アルキルグリセロールエーテル/グリセリン)を意味し、グリセリンの分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルへの転化率と同義である。
【0060】
(a2)成分の使用量は、グリセリン1モルに対して1〜9モルが好ましく、2〜6モルがより好ましい。
(a2)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、グリセリンとのエーテル化反応が充分に進行しやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、未反応の(a2)成分が低減されやすい。
【0061】
工程(P2)における反応温度は、(a2)成分の種類又は配合スケール等を勘案して適宜設定すればよく、例えば90〜140℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。
工程(P2)における反応時間は、例えば60分間以上が好ましく、120分間以上がより好ましく、120〜300分間がさらに好ましく、240〜300分間が特に好ましい。反応時間を長くするほど、ジ体又はトリ体の割合の高い分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが得られやすくなる。
【0062】
工程(P2)における反応は、マイクロ波を照射しつつ行うことが好ましい。
特に炭素系固体触媒は、高いマイクロ波吸収性を有する。このため、マイクロ波を照射することにより、反応場である触媒表面の温度がバルクに比べて高くなることで、反応がより促進され、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率がさらに高められる。加えて、反応時間の短縮化も図られ、生産性がより向上する。
【0063】
マイクロ波の強度は、配合スケール又は装置の出力等を勘案して適宜設定すればよく、例えば100〜1000W程度の出力が好ましく、より好ましくは100〜600W程度の出力とされる。
マイクロ波の周波数は、マイクロ波発生装置等に応じて適宜設定すればよく、例えば0.9〜25GHzが好ましく、0.9〜6GHzがより好ましい。
マイクロ波の照射時間は、反応温度等を勘案して適宜設定すればよく、例えば60分間以上が好ましく、120分間以上がより好ましく、120〜300分間がさらに好ましく、240〜300分間が特に好ましい。
【0064】
マイクロ波の照射は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。中でも、副生するアルケンとグリセリンとの反応が進行して、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率が高められることから、マイクロ波の照射を減圧下で行うことが好ましい。
【0065】
以上説明した工程(P1)及び工程(P2)によって、脂肪酸アルキルエステル(バイオディーゼル)と分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルとが混合した第2の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
【0066】
かかる第2の実施形態のバイオディーゼルの製造方法によれば、上述した第1の実施形態による効果に加えて、脂肪酸アルキルエステルとともに分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが含まれるため、高いセタン価を有する等、より高品質のバイオディーゼルを製造できる。
また、かかるバイオディーゼルの製造方法では、工程(P1)で副生するグリセリンが分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの生成に消費されるため、グリセリン含有量が低減されたバイオディーゼルが製造される。
加えて、
図1に示すバイオディーゼル製造装置100を採用した製造方法によれば、工程(P1)及び工程(P2)の各操作を同一の反応槽内で行うことができるため、製造性にも優れる。
【0067】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の製造方法においては、工程(P1)、工程(P3)、工程(P4)及び工程(P5)によって、第3の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
工程(P3):グリセリンと分岐鎖状アルコール(a2)とを、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c3)の存在下で反応させて、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを得る工程
工程(P4):前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物から脂肪酸アルキルエステルを分離する工程
工程(P5):前記工程(P4)で分離した脂肪酸アルキルエステルと、前記工程(P3)で得た分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルと、を混合して、第3の脂肪酸アルキルエステル含有組成物を得る工程
以下、不均一触媒(c3)を(c3)成分ともいう。
【0068】
工程(P3)では、前記(c3)成分の存在下で、上式で表される主反応のように、グリセリンと(a2)成分とのエーテル化反応によって、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが生成する。
尚、かかるエーテル化反応においては、副反応を伴い、(a2)成分の分岐鎖(R
b)に由来するアルケンが副生する。
【0069】
前記(f)成分が油脂である場合、前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物から、前記工程(P1)における反応で副生するグリセリンを分離する工程(P6)をさらに有し、前記工程(P6)で分離したグリセリンを、前記工程(P3)で用いることが好ましい。
【0070】
・不均一触媒(c3)
(c3)成分には、炭素系固体触媒を含むものが用いられる。(c3)成分についての説明は、上述の(c2)成分についての説明と同様である。
【0071】
第3の実施形態の製造方法は、例えば、
図2に示すバイオディーゼル製造装置を用いて行うことができる。
【0072】
図2は、バイオディーゼル製造装置の他の実施形態を示している。
図2に示すバイオディーゼル製造装置200は、第1の反応槽20と第2の反応槽30と混合槽40とを備える。
第1の反応槽20は、(c1)成分の存在下で反応を行うための反応槽であり、側壁上方に排出口21(主生成物排出口)と、底壁に排出口23(副生成物排出口)とを有する。第1の反応槽20は、(f)成分を貯蔵する原料貯蔵槽22と、(a1)成分を貯蔵する第1のアルコール貯蔵槽24と、に接続されている。第1の反応槽20は、マイクロ波発生装置(不図示)により、マイクロ波が照射されるように配置されている。
第2の反応槽30は、(c3)成分の存在下で反応を行うための反応槽であり、側壁上方に供給口31と、底壁に排出口33とを有する。第2の反応槽30は、(a2)成分を貯蔵する第2のアルコール貯蔵槽32に接続されている。供給口31は、配管52を介して、第1の反応槽20の底壁に設けられた排出口23(副生成物排出口)に接続されている。第2の反応槽30は、マイクロ波発生装置(不図示)により、マイクロ波が照射されるように配置されている。
混合槽40は、供給口41及び供給口43を有する。供給口41は、配管54を介して、第1の反応槽20の側壁上方に設けられた排出口21(主生成物排出口)に接続されている。供給口43は、配管56を介して、第2の反応槽30の底壁に設けられた排出口33に接続されている。
本実施形態では、原料貯蔵槽22に、(f)成分として油脂が貯蔵されている。
図2においては、反応時にマイクロ波が発生している状態が波線で表現されている。
【0073】
[工程(P1)]
工程(P1)では、バイオディーゼル製造装置200を用いて、上述した第1の実施形態の工程(P1)と同様の操作を行う。
すなわち、第1の反応槽20内に、原料貯蔵槽22から油脂と、第1のアルコール貯蔵槽24から(a1)成分と、(c1)成分とを加え、これらを混合してエステル交換反応を行う。これによって、脂肪酸アルキルエステル(主生成物)とともにグリセリン(副生成物)を含有する第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
前記の油脂と(a1)成分との反応は、マイクロ波発生装置(不図示)によって、マイクロ波(波線)を第1の反応槽20内の混合液に照射しつつ行うことが好ましい。
【0074】
[工程(P4)、工程(P6)]
工程(P4)では、前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物から、脂肪酸アルキルエステルを分離する。
工程(P6)では、前記工程(P1)で得た第1の脂肪酸アルキルエステル含有組成物から、前記工程(P1)における反応で副生するグリセリンを分離する。
工程(P4)及び工程(P6)の操作は、例えば脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとの比重差を利用して行えばよい。一定時間の静置等によって、脂肪酸アルキルエステルが上層に、グリセリンが下層に分離する。
【0075】
[工程(P3)]
工程(P3)では、第1の反応槽20の下層に分離したグリセリンを、排出口23と供給口31とを接続する配管52内を通流させて第1の反応槽20から第2の反応槽30内へ回収し、ここに、第2のアルコール貯蔵槽32から(a2)成分と、(c3)成分とを加え、これらを混合してエーテル化反応を行う。その際、(c3)成分は、(c1)成分と同一のものでもよいし異なるものでもよい。かかるエーテル化反応によって、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが生成する。
工程(P3)における反応は、マイクロ波発生装置(不図示)によって、マイクロ波(波線)を第2の反応槽30内の混合液に照射しつつ行うことが好ましい。これにより、かかるエーテル化反応が促進される。
【0076】
(c3)成分の使用量は、(a2)成分100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましい。
(c3)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率がより高められやすくなる。加えて、ジ体又はトリ体の割合の高い分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが得られやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、充分なエーテル化反応の促進効果が得られ、好ましい上限値を超えても、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率向上は頭打ちの傾向にある。
【0077】
(a2)成分の使用量は、グリセリン1モルに対して1〜9モルが好ましく、2〜6モルがより好ましい。
(a2)成分の使用量が、前記の好ましい下限値以上であると、グリセリンとのエーテル化反応が充分に進行しやすくなる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、未反応の(a2)成分が低減されやすい。
【0078】
工程(P3)における反応温度は、(a2)成分の種類又は配合スケール等を勘案して適宜設定すればよく、例えば90〜140℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。
工程(P3)における反応時間は、例えば60分間以上が好ましく、120分間以上がより好ましく、120〜300分間がさらに好ましく、240〜300分間が特に好ましい。反応時間を長くするほど、ジ体又はトリ体の割合の高い分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが得られやすくなる。
【0079】
工程(P3)における反応は、マイクロ波を照射しつつ行うことが好ましい。
特に炭素系固体触媒は、高いマイクロ波吸収性を有する。このため、マイクロ波を照射することにより、反応場である触媒表面の温度がバルクに比べて高くなることで、反応がより促進され、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率がさらに高められる。加えて、反応時間の短縮化も図られ、生産性がより向上する。
【0080】
マイクロ波の強度は、配合スケール又は装置の出力等を勘案して適宜設定すればよく、例えば100〜1000W程度の出力が好ましく、より好ましくは100〜600W程度の出力とされる。
マイクロ波の周波数は、マイクロ波発生装置等に応じて適宜設定すればよく、例えば0.9〜25GHzが好ましく、0.9〜6GHzがより好ましい。
マイクロ波の照射時間は、反応温度等を勘案して適宜設定すればよく、例えば60分間以上が好ましく、120分間以上がより好ましく、120〜300分間がさらに好ましく、240〜300分間が特に好ましい。
【0081】
マイクロ波の照射は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。中でも、副生するアルケンとグリセリンとの反応が進行して、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率が高められることから、マイクロ波の照射を減圧下で行うことが好ましい。
【0082】
[工程(P5)]
工程(P5)では、工程(P4)で第1の反応槽20の上層に分離した脂肪酸アルキルエステルを、排出口21と供給口41とを接続する配管54内を通流させて第1の反応槽20から混合槽40内へ供給する。また、工程(P3)で得た分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを、排出口33と供給口43とを接続する配管56内を通流させて第2の反応槽30から混合槽40内へ供給する。
そして、混合槽40内で、それぞれ供給された脂肪酸アルキルエステルと分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルとを混合することにより、両者が混合した第3の脂肪酸アルキルエステル含有組成物が得られる。
【0083】
かかる第3の実施形態のバイオディーゼルの製造方法によれば、上述した第1の実施形態による効果に加えて、脂肪酸アルキルエステルとともに分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが含まれるため、高いセタン価を有する等、より高品質のバイオディーゼルを製造できる。
また、
図2に示すバイオディーゼル製造装置200を採用した製造方法によれば、工程(P1)における反応で副生するグリセリン(グリセリン回収品)の積極的な利用が図れる。
【0084】
上述のバイオディーゼル製造装置200を採用した製造方法では、工程(P3)で、工程(P1)における反応で副生するグリセリン(グリセリン回収品)が利用されているが、これに限定されず、グリセリン回収品を必ずしも利用せずに新たなグリセリンを用いて工程(P3)における反応が行われてもよい。但し、副生成物の利用の点からは、バイオディーゼル製造装置200を採用した製造方法が有用である。
【0085】
(バイオディーゼルの改質剤の製造方法)
上述の工程(P3)の操作により、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルが得られる。この分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルは、バイオディーゼルのセタン価を高められる等、バイオディーゼルの改質剤として好適なものである。
かかる分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルは、モノアルキルグリセロールエーテル(モノ体)と、ジアルキルグリセロールエーテル(ジ体)と、トリアルキルグリセロールエーテル(トリ体)と、を含有する。
【0086】
分岐鎖状アルキルグリセロールエーテル中、モノ体の割合は、モノ体とジ体とトリ体との混合物の総量(100質量%)に対し、好ましくは60〜80質量%程度である。ジ体の割合は、該混合物の総量(100質量%)に対し、好ましくは16〜30質量%程度である。トリ体の割合は、該混合物の総量(100質量%)に対し、好ましくは4〜10質量%程度である。
ジ体又はトリ体の割合が高いほど、バイオディーゼルは、例えば燃料としてアンチノック性などが良好となる。
【0087】
前記工程(P3)では、グリセリン(グリセリン回収品)と(a2)成分とを反応する際、炭素系固体触媒を含む不均一触媒(c3)が採用されていることにより、エーテル化反応が促進されるため、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率がより高められる。特に、炭素系固体触媒とマイクロ波照射とを組み合わせることで、エーテル化反応がよりいっそう促進されるとともに、反応時間の短縮化、加熱に要するエネルギーの削減も図れる。
【0088】
(c3)成分の存在下でのグリセリン(グリセリン回収品)と(a2)成分とのエーテル化反応を、マイクロ波を照射しつつ行った場合、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上とされる。
分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルの収率については、炭素系固体触媒に官能基(酸性基、塩基性基)を適宜導入することで、より高められる可能性がある。
【0089】
また、かかるエーテル化反応では、不均一触媒が用いられているため、反応液と触媒との分離が容易であり、後処理の煩雑さが軽減され、触媒の再利用も可能である。
さらに、炭素系固体触媒は、イオン交換樹脂製の固体酸触媒に比べて安価であり、コスト面でも有利である。
【実施例】
【0090】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0091】
<バイオディーゼルの製造>
以下に示す各反応により、原料(f)とアルコール(a1)とを、不均一触媒の存在下で反応させて脂肪酸アルキルエステルを合成し、バイオディーゼルを得た。
【0092】
使用した原料及び触媒を示す。
【0093】
・原料(f)
・・脂肪族カルボン酸
脂肪族カルボン酸には、下記の化学式で表されるオレイン酸(C
18H
34O
2)を用いた。
オレイン酸の性状:分子量282.46g/mol、純度90%、淡黄色透明のやや粘稠な液体、融点13〜14℃、沸点360℃、比重1.09g/mL。
【0094】
【化4】
【0095】
・・トリグリセリド
トリグリセリドには、菜種油を用いた。3つのアシル基部分(R
1CO、R
2CO、R
3CO)の大半はオレイン酸由来の基である。
トリグリセリドの性状:分子量 約830g/mol、淡黄色透明のやや粘稠な液体、融点17〜22℃、引火点317℃、比重0.906〜0.920g/mL。
トリグリセリドの構成脂肪酸:パルミチン酸3.6〜5.2%、ステアリン酸1.5〜1.8%、オレイン酸56.2〜61.5%、リノール酸20.7〜24.8%、リノレン酸8.9〜11.1%。
【0096】
・アルコール(a1):メタノール。
【0097】
・不均一触媒(c1)
炭素系固体触媒:酸化グラフェン(「GO」とも表記する)、sp
2結合の炭素原子のシート状物質。
【0098】
[酸化グラフェンの作製方法]
操作1)濃硫酸92mLとグラファイト2.0gと硝酸ナトリウム2.0gとを、氷浴で冷却しつつ30分間混合して混合物を得た。
操作2)操作1)で得た混合物に、過マンガン酸カリウム10gを添加し、35℃水浴で加温しつつ40分間混合して混合物を得た。
操作3)操作2)で得た混合物に、水92mLを添加し、95℃油浴で加熱しつつ15分間混合して混合物を得た。
操作4)操作3)で得た混合物に、水200mLを添加した。
操作5)操作4)の後、さらに、過酸化水素を添加した。
操作6)操作5)の後、3000rpmで5分間混合した。
操作7)操作6)の後、固液分離し、固相を、5%塩酸により3000rpmで5分間の洗浄操作を3回繰り返した。
操作8)操作7)の後、固液分離し、固相を、水により4000rpmで30分間の洗浄操作を3回繰り返した。
操作9)操作8)の後、超音波処理を4〜6時間行った。
操作10)操作9)の後、超遠心処理を、10000rpmで30分間行った。
操作11)操作10)の後、上澄みを採取し、オーブン乾燥させて酸化グラフェンを得た。
【0099】
・不均一触媒(比較成分)
・・固体酸触媒(1)
ヘテロポリ酸(12タングスト(VI)リン酸n水和物)(「PAH」とも表記する)。
ヘテロポリ酸の性状:分子式 H
3(PW
12O
40)・nH
2O、分子量2880.05(anhydrous basis)、白色粉末、水又はアルコールに溶解する。
【0100】
≪エステル化反応(1)≫
(実施例1〜6)
反応槽として容量100mLの三角フラスコに、表1に示す通り、オレイン酸とメタノールとを、オレイン酸:メタノール(OA:MeOH)=1:4(モル比)で加えた。また、オレイン酸100質量部に対して1質量部、3質量部、5質量部の不均一触媒(酸化グラフェン)をそれぞれ加えて、800rpmで撹拌した。
次いで、オレイン酸とメタノールと不均一触媒とが撹拌された前記反応槽を、マイクロ波発生装置内に配置し、該反応槽にファイバー式温度計と還流管とをそれぞれ装着した。
次いで、反応槽内に向けて、マイクロ波を、周期10s,出力500W,周波数2.45GHz(duty100%)の条件で1分間、3分間、5分間それぞれ照射した。その際、反応槽内の温度を75〜80℃に制御した。
【0101】
その後、反応液について、ガスクロマトグラフ−水素炎イオン化型検出器(GC−FID)により分析を行い、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。
GC−FIDの測定条件等を以下に示す。
【0102】
GC−FIDの測定条件
カラム:VF−WAXms
空気の供給圧:50kPa
水素の供給圧:50kPa
キャリアガスの供給圧:100kPa
インジェクション温度:270℃
検出器温度:310℃
インジェクション容量:0.5μL
カラム温度:240℃
【0103】
標準溶液の調製
内部標準物質:2,6−ジメチルナフタレン
溶媒:ヘキサン1mL
試料:50μL
【0104】
GC−FIDによる分析で得られたクロマトグラムにおける各成分の保持時間
2,6−ジメチルナフタレン:3.70分
パルミチン酸メチル:4.23分
ステアリン酸メチル:5.51分
オレイン酸メチル:5.76分
リノール酸メチル:6.23分
リノレン酸メチル:6.97分
【0105】
(比較例1〜6)
表1に示す通り、不均一触媒として酸化グラフェン(GO)をヘテロポリ酸(PAH)に変更した他は、実施例1〜6と同様にしてエステル化反応を行った。
その後、反応液についてGC−FIDにより分析を行い、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。
【0106】
【表1】
【0107】
各例の反応液についてのGC−FIDによる分析の結果を
図3〜4に示した。
図3のグラフは、エステル化反応における、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率に対するマイクロ波の照射時間の影響を示している。
図4のグラフは、エステル化反応における、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率に対する触媒の使用量の影響を示している。
【0108】
図3〜4に示す結果から、不均一触媒として酸化グラフェンが採用されている実施例1〜6は、ヘテロポリ酸が採用されている比較例1〜6に比べて、バイオディーゼル収率が高いことが確認できる。これより、酸化グラフェンは、ヘテロポリ酸よりも、触媒活性が高いと考えられる。
また、実施例1〜6では、酸化グラフェンの使用量が増えるに伴ってバイオディーゼル収率が高くなったが、比較例1〜6では、ヘテロポリ酸の使用量が増えてもバイオディーゼル収率に大きな差異は認められなかった。
【0109】
≪エステル化反応(2)≫
(実施例7〜34、比較例7)
表2に示すように、不均一触媒として酸化グラフェン(GO)を用いて、酸化グラフェンの使用量、オレイン酸とメタノールとのモル比(OA:MeOH)、マイクロ波の出力、マイクロ波の照射時間、及び反応槽内の温度をそれぞれ変更した他は、実施例1〜6と同様にしてエステル化反応を行った。
その後、反応液についてGC−FIDにより分析を行い、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。その結果を表2に示した。
【0110】
【表2】
【0111】
表2に示す結果から、炭素系固体触媒として酸化グラフェンとマイクロ波照射とを組み合わせた実施例7〜34においては、エステル化反応がよりいっそう促進され、短い反応時間、かつ、高収率でバイオディーゼルが得られていること、が確認できる。
【0112】
≪エステル化反応(3)≫
(実施例35)
反応槽として容量100mLの三角フラスコに、オレイン酸とメタノールとをオレイン酸:メタノール=1:8(モル比)で加えた。また、オレイン酸100質量部に対して1質量部の不均一触媒(酸化グラフェン)を加えて、800rpmで撹拌した。
次いで、オートクレーブ内に、オレイン酸とメタノールと不均一触媒とが撹拌された反応槽を配置し、該反応槽にファイバー式温度計と還流管とをそれぞれ装着した。
次いで、反応槽内の温度を、通常の加熱方法(外部加熱)により、約20分間で室温(20℃)から70℃へ昇温した。そして、70℃を5分間保持してエステル化反応を行った。
その後、反応液についてGC−FIDにより分析を行い、オレイン酸のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。その結果を表3に示した。
【0113】
【表3】
【0114】
表3に示す結果から、加熱方法としてマイクロ波照射を採用している実施例23は、通常の加熱方法(外部加熱)を採用している実施例35に比べて、バイオディーゼル収率が高いことが確認できる。
また、実施例35では、70℃で5分間の反応時間に加えて、反応槽内の温度を70℃へ昇温するまでに約20分間を要するが、実施例23では、反応槽内の温度を70℃へ昇温するまでの時間を要さず、反応時間の短縮化が図れる。
【0115】
≪エステル交換反応≫
(実施例36〜41)
反応槽として容量100mLの三角フラスコに、表4に示す通り、菜種油とメタノールとを菜種油:メタノール(菜種油:MeOH)=1:12(モル比)で加えた。また、菜種油100質量部に対して1質量部、3質量部、5質量部の不均一触媒(酸化グラフェン)をそれぞれ加えて、800rpmで撹拌した。
次いで、菜種油とメタノールと不均一触媒とが撹拌された前記反応槽を、マイクロ波発生装置内に配置し、該反応槽にファイバー式温度計と還流管とをそれぞれ装着した。
次いで、反応槽内に向けて、マイクロ波を、周期10s,出力500W,周波数2.45GHz(duty100%)の条件で1分間、3分間、5分間それぞれ照射した。その際、反応槽内の温度を75〜80℃に制御した。
【0116】
その後、反応液についてGC−FIDにより分析を行い、菜種油のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。
【0117】
(比較例8〜13)
表4に示す通り、不均一触媒として酸化グラフェン(GO)をヘテロポリ酸(PAH)に変更した他は、実施例36〜41と同様にしてエステル交換反応を行った。
その後、反応液についてGC−FIDにより分析を行い、菜種油のバイオディーゼルへの転化率を求め、バイオディーゼル収率を評価した。
【0118】
【表4】
【0119】
各例の反応液についてのGC−FIDによる分析の結果を
図5〜6に示した。
図5のグラフは、エステル交換反応における、菜種油のバイオディーゼルへの転化率に対するマイクロ波の照射時間の影響を示している。
図6のグラフは、エステル交換反応における、菜種油のバイオディーゼルへの転化率に対する触媒の使用量の影響を示している。
【0120】
図5に示す結果から、不均一触媒として酸化グラフェンが採用されている実施例36〜38は、マイクロ波の照射時間が長くなるに伴い、バイオディーゼル収率が高まっていることが確認できる。これに対し、ヘテロポリ酸が採用されている比較例8〜10では、マイクロ波の照射時間が長くなるに伴い、バイオディーゼル収率が低くなっていることが確認できる。
図6に示す結果から、不均一触媒として酸化グラフェンが採用されている実施例39〜41は、酸化グラフェンの使用量が増えるに伴い、バイオディーゼル収率が高まっていることが確認できる。これに対し、ヘテロポリ酸が採用されている比較例11〜13では、酸化グラフェンの使用量が増えるに伴ってバイオディーゼル収率は高くはならず、酸化グラフェン使用量の依存性が低い傾向にある。
【0121】
このように、かかる
図5〜6に示す結果では、エステル交換反応において、不均一触媒として炭素系固体触媒を採用し、これとマイクロ波照射とを組み合わせることにより、バイオディーゼル収率を高められる可能性が示唆されている。
【0122】
<バイオディーゼルの改質剤の製造>
以下に示すエーテル化反応により、グリセリンと分岐鎖状アルコール(a2)とを、不均一触媒の存在下で反応させて分岐鎖状アルキルグリセロールエーテルを合成し、バイオディーゼルの改質剤を得た。
【0123】
使用した原料及び触媒を示す。
【0124】
・分岐鎖状アルコール(a2):tert−ブタノール。
【0125】
・不均一触媒(c2)
炭素系固体触媒:酸化グラフェン(GO)。
【0126】
・不均一触媒(比較成分)
・・固体酸触媒(2)
触媒用イオン交換樹脂、商品名「Amberlyst−15」(ダウ・ケミカル社製)。母体構造:スチレン系、分類:強酸性、官能基:−SO
3H、最高操作温度:120℃、粒子サイズ:600〜850μm、比表面積:45m
2/gdry、平均細孔径:24nm。
【0127】
≪エーテル化反応(1)≫
(実施例42〜44)
反応槽として容量100mLの反応容器に、表5に示す通り、グリセリンとtert−ブタノールとを、グリセリン:tert−ブタノール=1:6(モル比)で加えた。また、tert−ブタノール100質量部に対して13.5質量部の不均一触媒(酸化グラフェン)を加えて、800rpmで撹拌した。
次いで、グリセリンとtert−ブタノールと不均一触媒とが撹拌された前記反応容器を、マイクロ波発生装置内に配置し、該反応容器にファイバー式温度計を装着した。
次いで、反応容器内に向けて、マイクロ波を、出力600W,周波数2.45GHzの条件で60分間、120分間、240分間それぞれ照射した。その際、反応容器内の温度を90℃に制御した。
以上の操作により、分岐鎖状アルキルグリセロールエーテル(tert−ブチルグリセロールエーテル:GTBE)を得た。
【0128】
その後、反応液について、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)、及び、ガスクロマトグラフ−水素炎イオン化型検出器(GC−FID)により分析を行い、グリセリンのGTBEへの転化率を求め、GTBE収率を評価した。
GC−MSの測定条件、GC−FIDの測定条件等を以下に示す。
【0129】
尚、かかるエーテル化反応により生成する分岐鎖状アルキルグリセロールエーテル(tert−ブチルグリセロールエーテル:GTBE)は、モノ体(モノ−tert−ブチルグリセロール:MTBG)とジ体(ジ−tert−ブチルグリセロール:DTBG)とトリ体(トリ−tert−ブチルグリセロール:TTBG)との混合物からなるものであった。
【0130】
GC−MSの測定条件
カラム:DB−5MS
インジェクション温度:250℃
検出器温度:230℃
インジェクション容量:0.5μL
トータル時間:60分
カラム温度:40℃(3分)→5℃/分→230℃(3分)→6℃/分→320℃(3分)
【0131】
GC−FIDの測定条件
カラム:CP−Sil8CB−MS
空気の供給圧:50kPa
水素の供給圧:50kPa
キャリアガスの供給圧:150kPa
インジェクション温度:250℃
検出器温度:310℃
インジェクション容量:0.5μL
トータル時間:60分
カラム温度:40℃(3分)→5℃/分→250℃(3分)→8℃/分→310℃(5分)
【0132】
標準溶液の調製
溶媒:メタノール
内部標準物質:2,6−ジメチルナフタレン
分岐鎖状アルキルグリセロールエーテル標準物質:3−tert−ブトキシ−1,2−プロパンジオール(MTBG)
溶媒/各標準物質=50(質量比)
【0133】
(比較例14〜16)
表5に示す通り、不均一触媒として酸化グラフェン(GO)をAmberlyst−15に変更した他は、実施例42〜44と同様にしてエーテル化反応を行った。
その後、反応液についてGC−MS及びGC−FIDにより分析を行い、グリセリンのGTBEへの転化率を求め、GTBE収率を評価した。
【0134】
≪エーテル化反応(2)≫
(実施例45〜48)
反応槽として容量100mLの反応容器に、表5に示す通り、グリセリンとtert−ブタノールとを、グリセリン:tert−ブタノール=1:6(モル比)で加えた。また、tert−ブタノール100質量部に対して13.5質量部の不均一触媒(酸化グラフェン)を加えて、800rpmで撹拌した。
次いで、グリセリンとtert−ブタノールと不均一触媒とが撹拌された前記反応容器を、マイクロ波発生装置内に配置し、該反応容器にファイバー式温度計を装着した。
次いで、反応容器内に向けて、マイクロ波を、出力600W,周波数2.45GHzの条件で60分間照射した。その際、反応容器内の温度を90〜140℃に制御した。
【0135】
その後、反応液についてGC−MS及びGC−FIDにより分析を行い、グリセリンのGTBEへの転化率を求め、GTBE収率を評価した。
【0136】
【表5】
【0137】
各例の反応液についてのGC−MS及びGC−FIDによる分析の結果を
図7〜8に示した。
図7のグラフは、エーテル化反応における、グリセリンのGTBEへの転化率に対するマイクロ波の照射時間の影響を示している。
図8のグラフは、エーテル化反応における、グリセリンのGTBEへの転化率に対する反応温度の影響を示している。
【0138】
図7に示す結果から、不均一触媒として酸化グラフェンが採用されている実施例42〜44は、Amberlyst−15(触媒用イオン交換樹脂)が採用されている比較例14〜16に比べて、いずれの照射時間においても、GTBE収率が高いことが確認できる。これより、酸化グラフェンは、触媒用イオン交換樹よりも、触媒活性が高いと考えられる。
【0139】
図8に示す結果から、不均一触媒として炭素系固体触媒を採用したかかるエーテル化反応において、反応温度を130℃に制御した場合、GTBE収率が特に高まること、が確認できる。