特開2017-143786(P2017-143786A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017143786-培養土 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-143786(P2017-143786A)
(43)【公開日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】培養土
(51)【国際特許分類】
   A01G 1/00 20060101AFI20170728BHJP
   C05G 3/00 20060101ALI20170728BHJP
【FI】
   A01G1/00 303C
   C05G3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2016-27864(P2016-27864)
(22)【出願日】2016年2月17日
(71)【出願人】
【識別番号】597166316
【氏名又は名称】いなほ化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】花田 修一
【テーマコード(参考)】
2B022
4H061
【Fターム(参考)】
2B022BA02
2B022BA04
2B022BA12
2B022BB01
4H061AA10
4H061EE42
4H061EE46
4H061EE61
4H061FF08
4H061GG18
4H061GG41
4H061HH13
4H061HH14
4H061KK03
4H061KK07
4H061KK09
4H061LL02
(57)【要約】
【課題】軽量で水の浸透性と保水性に優れ、苗の育生期間の短縮化を図ることができる培養土の提供を目的とする。
【解決手段】植物性繊維材と鉱物系資材と培土との混合物に肥料成分を添加してあることを特徴とする
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性繊維材と鉱物系資材と培土との混合物に肥料成分を添加してあることを特徴とする培養土。
【請求項2】
前記植物性繊維材はヤシガラを原料とするものであり、
前記鉱物系資材は焼成バーミキュライトであり、
前記培土は砂質の土を粘土と混合して熱処理したものであることを特徴とする請求項1記載の培養土。
【請求項3】
容積割合で、前記ヤシガラは50〜70%、前記焼成バーミキュライト10〜30%、前記培土は10〜30%であることを特徴とする請求項2記載の培養土。
【請求項4】
苗木の育成に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の培養土。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物のポット栽培に用いられる培養土に関し、特に苗木作りに適している。
【背景技術】
【0002】
野菜等の園芸において、従来からポット(セルポット)にて苗作りを行い、本圃に移植することが実施されている。
その場合に軽量な培養土であることが好ましく、例えば特許文献1には培地基材にヤシガラを用いたものが開示されている。
しかし、同公報に開示する混合培地は必ずしも保水性が充分とは言えないものである。
特許文献2には天然セルロース系繊維材に有機・燃焼灰系中和剤を混合したセル育苗用培地を開示する。
しかし、燃焼灰系の中和剤は一般的に入手できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−239416号公報
【特許文献2】特開2007−275051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、軽量で水の浸透性と保水性に優れ、苗の育成期間の短縮化を図ることができる培養土の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る培養土は、植物性繊維材と鉱物系資材と培土との混合物に肥料成分を添加してあることを特徴とする。
【0006】
ここで、植物性繊維材にはヤシガラを原料とするもの、水苔やシダなどが堆積されてできたピートモス、ココナッツを原料とするココナッツピート等が例として挙げられる。
そのうちヤシガラを原料とするものが好ましい。
【0007】
鉱物系資材には、蛭石とも称されるバーミキュライト原石を800〜1000℃の高温にて焼成加工して膨張させた焼成バーミキュライトの他に、パーライト,ゼオライト等が例として挙げられる。
そのうち、焼成バーミキュライトが好ましい。
培土は土をいい、本発明においては砂質の土に粘土を混合し、粒状にしたものが好ましく、この際に高温加熱処理し、雑菌や雑草種子を除去したものが好ましい。
【0008】
これらの成分は、容積割合で、前記ヤシガラは50〜70%、前記焼成バーミキュライト10〜30%、前記培土は10〜30%であるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る培養土は苗木の育成に適しており、苗木の育成期間を考慮して一般的な肥料に加えて、溶出速度を化学的又は物理的に調整した緩効性肥料を混合してあるのが好ましい。
苗木には、広葉樹及び針葉樹が含まれる。
例えば、杉苗の育成には日数がかかり、この間にわたって、水の浸透性と保水性が必要となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る培養土を用いると、苗木の成長が速く、現地に移植する際には培養土が軽量であるので労役の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は杉苗、(b)はウラジロ苗、(c)はエゴの木の苗、(d)はカエデの苗について、それぞれAが本発明に係る培養土を用いた場合(実施例)、Bが従来の培養土を用いた場合(比較例)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る培養土と従来の培養土を用いて、苗木の成長比較を行ったので以下、説明する。
【0013】
本発明に係る培養土の配合を次のように行った。
ヤシガラを原料とした植物性繊維材として日本地工株式会社製の商品名「スーパーココ2mm」を用いた。
これは、みかけ比重が0.15である。
焼成バーミキュライトとして、ニッタイ株式会社製の商品「バーミキュライト」を用いた。
このみかけ比重は0.152である。
培土として、いなほ化工株式会社の商品名「いなほ培土」を用いた。
このみかけ比重は1.2である。
なお、「いなほ培土」には肥料成分「チッソ」0.3〜0.4g/kg、「リン酸」0.3〜0.4g/kg、「カリ」0.3〜0.4g/kg含有している。
この「いなほ培土」のように砂質の土と粘土質の土を混合し、熱処理したものを用いると雑菌が少ない。
これらの資材を用いて容積%で、「スーパーココ2mm」60%,「焼成バーミキュライト」20%,「いなほ培土」20%の割合で混合する。
また、添加混合する肥料は「いなほ培土」に含まれる成分を考慮し、JA製の「やさい燐加安S540,15−14−10」及び塩化カリ(K=60%)を用いて、培養土1リットル当たり「チッソ」300mg,「リン酸」280mg,「カリ」340mg配合した。
また、ジェイカムアグリ株式会社の商品名「ロングトータル391,(ロングは登録商標)」培養土1リットル当たり10gの割合で添加混合した。
「ロングトータル391」は(N:13−P:9−K:11)のタイプである。
また、MgOが2.0%含まれる。
なお、肥料成分の量は対象となる苗木の種類に応じて調整するのが好ましい。
調整範囲は三要素のそれぞれが200〜400mg/リットルの範囲が好ましい。
表面をコーティングした緩効性肥料は、苗木の育成期間を考慮して選定される。
「ロングトータル391」の場合に5〜20g/リットルの範囲で使用するのが好ましい。
【0014】
比較に用いた培土は、容積にて赤玉土とピートモスとを1:1の割合に配合し、肥料成分量は本発明に係る培養土と同じにした。
【0015】
本発明に係る培養土と比較例の培養土をポットに詰め、小さな苗木を植え、成長を比較評価した結果を図1に示す。
図1の(a)は杉苗、(b)はウラジロ苗、(c)はエゴの木の苗、(d)はカエデの木の苗であり、小さな苗木を植え、2ヶ月間経過した状態である。
図で、左側のAは本発明に係る培養土を用いたものであり、右側のBは比較例である。
本発明に係る培養土を用いたAの方が明らかに成長が速く、苗の状態も良好であった。
なお、図1(a)の杉苗は左側のAと右側のBとの間の段差部が区切りである。
このように、明らかに段差ができる程に本発明に係る培養土の方が健全な苗木であり成長が速い。
図1