【解決手段】加熱調理器1は、珪藻土を含む材料で構成され、固形燃料を燃焼するための空間を備えた七輪本体20の炉本体21と、炉本体21の外壁面よりも滑らかな表面に形成され、炉本体21の外側における少なくとも一部を覆うカバー30のカバー本体31と、炉本体21とカバー本体31の間に設けられ、ぞれぞれの底面を離間させる脚部と、カバー本体31の底面に穿設された底面通気孔と、カバー本体31の底面に設けられ、カバー本体31の底面と載置面とを離間させる脚部とを含み構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
まず、
図1〜
図4を用いて加熱調理器1の構成を説明する。
図1は、加熱調理器1を例示する斜視図である。
図2は、
図1の加熱調理器1を展開した状態を例示する展開斜視図である。
図3は、七輪本体20とカバー30との構成を例示する斜視図である。
図4は、カバー30における脚部38の形態を例示する図である。
図1及び
図2に例示するように、加熱調理器1は、天板10、七輪本体20、カバー30、通気キャップ40、網50、及び、火皿60を含み構成されている。
【0016】
[天板10]
図1及び
図2に例示するように、天板10は、既定の幅を備えた板状のリング体である。天板10は、例えば、金属、又は、セラミックスで構成され、七輪本体20の炉本体21における外壁面よりも滑らかな外壁面に形成されている。なお、本実施例の天板10は、セラミックスで構成されている。天板10は、セラミックスで構成された場合、例えば磁器または陶器であり、具体的には磁器で構成されている。磁器で構成された天板10の外壁面は、その表面に保護層15が形成されている。保護層15は、釉薬を塗布し形成したガラス質の層である。天板10の外壁面は、ガラス質で形成された保護層15により、炉本体21の外壁面よりも滑らかな壁面に形成されている。なお、天板10は、炉本体21の外壁面よりも滑らかな壁面に形成されるならば、保護層15を省くことができる。具体的には、天板10は、焼締めを行い、炉本体21の外壁面よりも滑らかな壁面となる場合保護層15を省くことができる。
これにより、使用者は、天板10の外壁面の表面(例えば上面12)に加熱調理した食材から出た焼汁100(水分、脂質又はこれらの混合物等を含む)が付着しても容易に取り除くことができる。つまり、天板10の外壁面は、焼汁100を取り除く(例えば拭き取る)ことができる滑らかさとなっている。
また、天板10は、七輪本体20の炉本体21における開口の縁を覆うよう、炉本体21の開口に着脱自在に設けられている。天板10は、炉本体21の開口の縁を覆うよう形成されているため、加熱調理した食材から出た焼汁100が炉本体21の開口の縁に付着することを防止する。天板10は、炉本体21の開口の縁を覆うことにより、多孔質な材料(珪藻土)で焼成された炉本体21に焼汁100が付着し内部に染み込むことを防止する。また、天板10は、着脱自在であるため、容易に取外し洗浄等を行うことができる。
【0017】
また、天板10の上面12の形状は、断面形状において、天板10の外側から内側に下り傾斜している。これにより、天板10は、焼汁100を炉本体21の燃焼室22内部に流すことができる。さらに天板10は、滑らかな外壁面と下り傾斜形状とが相まって、上面12に付着した焼汁100を効率的に燃焼室22内部に流すことができる。よって、天板10は、七輪本体20炉本体21における開口の縁の汚れを防止することができる。
また、天板10の形状は、既定の幅を備えた円形状または四角形状をした板状リング体であり、本実施例の天板10の形状は、円形状の板状リング体である。天板10は、製造しやすいシンプルな形状としている。
また、天板10における外径寸法は、215mm〜225mmの大きさであり、本実施例での外径寸法は220mmである。また、天板10における内径寸法は、125mm〜135mmの大きさであり、本実施例での内径寸法は130mmである。また、天板10における幅寸法は、40mm〜50mmの大きさであり、本実施例での幅寸法は45mmである。
【0018】
[七輪本体20]
図1及び
図2に例示するように、七輪本体20は、炉本体21、燃焼室22、排気口23、換気口24、帯バンド26、及び、脚部28を含み構成されている。
(炉本体21)
炉本体21は、固形燃料を燃焼するための空間である燃焼室22を備え、珪藻土を含む材料で構成された炉である。本実施例の炉本体21は、珪藻土で構成された調理用の炉であり、具体的には珪藻土を含む七輪やコンロである。
また、炉本体21は、上方に開口を備える柱体であり、開口と燃焼室22とが連続している。炉本体21は、例えば、円柱状または多角柱状である柱体であり、本実施例の炉本体21は、円柱状の柱体である。さらに具体的には、炉本体21は、底面と、開口を備える上方の面との2つの平面における大きさが異なる円柱状の柱体であり、言い換えると、円錐台である。また、炉本体21は、炉本体21の水平方向における断面形状が円形状である。
また、炉本体21は、エッジ部分にC面取りを施し、欠け防止を行っている。また、炉本体21は、網50を浮かせた状態を再現すべく、排気口23を一体的に形成している。
【0019】
また、炉本体21に含まれる珪藻土は、粘土質を多く含んでいるため粘りが強く形が形成しやすい。また、焼くと硬く締まる特徴を備えている。ここで、珪藻土とは、珪藻の化石を含む土壌成分であり、珪藻泥岩を含む概念である。なお、本実施例の炉本体21は、珪藻土製や珪藻泥岩製に限定するものではなく、上記鉱物と同程度以上の耐火性及び断熱性を有する耐火断熱部材で構成されてもよい。例えば、酸性白土、カオリン、ベントナイト、タルク、砂、及びパーライト並びにこれらに類似する不溶性の鉱物性物質であってもよい。さらには、保温性や断熱性、適度な強度など珪藻土や珪藻泥岩と同じ特性を有するものや、蓄熱性、耐熱性などの性質も含むものであれば、鉄、アルミニウム、あるいはこれら合金であってもよい。さらにセラミックスや土でも上記性質、特性を有するならばその材質は適宜に選択することができる。なお、本実施例の炉本体21は、珪藻土で成形されることが好ましい。炉本体21は、珪藻土で成形することにより、珪藻土の性質である、熱せられると発生する遠赤外線の熱的作用効果が期待でき、加熱調理する食材を比較的短時間で加熱調理することが期待できる。
また、炉本体21は、燃焼室22、排気口23、換気口24、帯バンド26、及び、脚部28を備えている。
【0020】
(燃焼室22)
図1及び
図2に例示するように、燃焼室22は、固形燃料70を燃焼するための空間である。燃焼室22は、円柱状に形成された炉本体21の内部に形成されている。また、燃焼室22は、その内部に火皿60を配置されている。燃焼室22は、炉本体21の内部に配置された火皿60の上に、固形燃料を配置する構造となっている。なお、固形燃料70は、例えば、木炭、練炭、アルコール等の有機物を固形化した燃料等を含む。
また、燃焼室22は、炉本体21の側面に穿設された換気口24と空間が連続している。
【0021】
(排気口23)
図1及び
図2に例示するように、排気口23は、炉本体21の側面に設けられ、炉本体21の開口と隣接する位置に設けられている開口である。排気口23は、炉本体21の側面における縁に既定の間隔をあけて複数設けられている。本実施例の排気口23は、例えば、等間隔に3か所または4か所に設けられている。また、排気口23は、固形燃料を燃焼したときに熱せられた空気等を燃焼室22内から炉本体21の外部に排出するために設けられている。
また、排気口23の大きさは、最小幅寸法が10mm以上の大きさに形成され、具体的には、10mm以上15mm以下の大きさに形成されている(具体的な寸法は後述)。
なお、本発明に係る排気口の一例である。
【0022】
(換気口24)
図1及び
図2に例示するように、換気口24は、炉本体21の側面に穿設された孔である。換気口24は、燃焼室22と連続しており、炉本体21の外部から燃焼室22内部に空気を供給することができる。
また、換気口24は、空気を通す大きさに形成されており、通気キャップ40で開閉することができる。これにより、換気口24は、燃焼室22に供給する空気量を調節して燃焼室22にある固形燃料の火力調節を行うことができる。なお、換気口24は、本発明に係る第1の換気口の一例である。
【0023】
(帯バンド26)
図1及び
図2に例示するように、帯バンド26は、金属部材で構成された帯状のベルトであり、例えば、真鍮、鉄、又は、銅により構成されている。帯バンド26は、炉本体21の胴部外側に配置され、炉本体21の割れや飛散を防止する。
【0024】
図3(A)は、七輪本体20における炉本体21の外側底面を例示する斜視図であり、
図3(B)は、カバー30におけるカバー本体31の内側底面を例示する斜視図である。
(脚部28)
図2及び
図3(A)に例示するように、脚部28は、七輪本体20における炉本体21の外側の底面に設けられた脚である。脚部28は、炉本体21の外側にカバー30のカバー本体31を配置した場合に、炉本体21とカバー本体31との間に位置し、炉本体21の外側底面とカバー本体31の内側底面とを離間させる。
脚部28は、炉本体21の外側底面と一体的に設けられてもよいし、カバー本体31の内側底面と一体的に設けられてもよいし、又は、七輪本体20とカバー30と異なる別部材として設けられてもよい。なお、本実施例の脚部28は、炉本体21の外側底面に複数設けられ、炉本体21と一体的に設けられている。脚部28は、炉本体21の底面の外縁部分に既定の間隔をあけて複数設けられている。本実施例の脚部28は、等間隔に3か所または4か所に設けられている。
また、脚部28は、七輪本体20とカバー30と異なる別部材とする場合、耐火性やクッション性を備える材料で構成されることが望ましい。
なお、脚部28は、本発明に係る離間部材の一例である。
このように、七輪本体20は、炉本体21、燃焼室22、排気口23、換気口24、帯バンド26、及び、脚部28を含み構成されている。
【0025】
図4(A)は、カバー30における脚部38の4点支持形態を例示する斜視図であり、
図4(B)は、カバー30における脚部38の3点支持形態を例示する斜視図である。
[カバー30]
図1〜
図4に例示するように、カバー30は、カバー本体31、換気口32、底面通気孔34、リブ36、及び、脚部38を含み構成されている。
(カバー本体31)
図1及び
図2に例示するように、カバー本体31は、七輪本体20における炉本体21の外壁面の少なくとも一部を覆うカバー体である。カバー本体31は、炉本体21の外壁面を覆うよう構成されているため、炉本体21への焼汁100の付着や衝撃による炉本体21の破損を防ぐことができる。なお、本実施例のカバー本体31は、排気口23近傍を除いた炉本体21の外壁面と底面とを覆っている。カバー本体31の側面は、炉本体21の側面と離間する形状に形成されている。
また、カバー本体31は、例えば、木材、金属、又は、セラミックスで構成され、七輪本体20における炉本体21の外壁面よりも滑らかな外壁面に形成されている。なお、本実施例のカバー本体31は、セラミックスで構成されている。カバー本体31は、セラミックスで構成された場合、例えば磁器または陶器であり、具体的には磁器で構成されている。磁器で構成されたカバー本体31の外壁面は、その表面に保護層35が形成されている。保護層35は、釉薬を塗布し形成したガラス質の層である。カバー本体31の外壁面は、ガラス質で形成された保護層35により、炉本体21の外壁面よりも滑らかな外壁面に形成されている。なお、カバー本体31は、炉本体21の外壁面よりも滑らかな壁面に形成されているならば、保護層35を省くことができる。具体的には、カバー本体31は、焼締めを行い、炉本体21の外壁面よりも滑らかな壁面となる場合保護層35を省くことができる。
これにより、使用者は、カバー本体31の外壁面の表面に加熱調理した食材から出た焼汁100が付着しても容易に拭き取ることができる。つまり、カバー本体31の外壁面は、焼汁100を拭き取ることができる滑らかさとなっている。なお、本実施例の保護層35は、保護層15と同様の釉薬により形成したものである。
また、カバー本体31は、換気口32、底面通気孔34、リブ36、及び、脚部38を備えている。
【0026】
(換気口32)
図1及び
図2に例示するように、換気口32は、カバー本体31の側面に穿設された孔である。換気口32は、通気キャップ40にて七輪本体20の換気口24を開閉する場合に、カバー本体31の壁面によって換気口24の開閉の妨げにならないよう設けられている。換気口32の大きさは、空気を通す大きさに形成され、七輪本体20の換気口24と略同じ大きさに設けてもよいし、または、七輪本体20の換気口24より大きく設けてもよい。また、換気口32の位置は、七輪本体20の換気口24と互いに重なる位置に配置されている。これにより、使用者は、カバー本体31の壁面により妨げることなく換気口32を介して、換気口24に通気キャップ40を配置することができる。
なお、換気口32は、本発明に係る第2の換気口の一例である。
【0027】
(底面通気孔34)
図3(B)及び
図4に例示するように、底面通気孔34は、カバー本体31の底面に穿設された貫通孔である。底面通気孔34は、空気を通す大きさに形成され、七輪本体20とカバー30とを組み合わせた場合に、炉本体21とカバー本体31とが離間する隙間(通気路50)と連続し繋がっている。加熱調理器1は、底面通気孔34を介して外部から空気を通気路50に取り込み排出することで、七輪本体20からカバー30に熱が移動することを防ぐことが期待できる。
なお、本発明に係る貫通孔の一例である。
【0028】
(リブ36)
図3に例示するように、リブ36は、カバー本体31の内側の底面に設けられた突起である。リブ36は、カバー本体31の内側に配置した炉本体21の脚部28と接触し、炉本体21の位置ずれを防止する。これにより、リブ36は、炉本体21とカバー本体31とが離間する隙間(通気路50)を塞ぐことなく確保することができる。
【0029】
(脚部38)
図4に例示するように、脚部38は、カバー本体31の外側の底面に設けられた突起である。脚部38は、カバー30の底面と、加熱調理器1を載置する載置面とを離間させるために設けられている。また、脚部38は、空気の通る程度にカバー30の底面と載置面と離間させ、かつ、載置面である例えばテーブル等を焦がすことのない距離を確保することが望ましい。これにより、鍋敷きが不要となる。
脚部38は、
図4(A)に例示するカバー30の底面の4ヶ所に設けられた4点支持式であってもよいし、
図4(B)に例示するカバー30の底面の3ヶ所に設けられた3点支持式であってもよい。なお、脚部38は、がたつきを抑えて安定性を向上させるためには、3点支持式であるほうが望ましい。なお、本発明に係る脚部の一例である。
このように、カバー30は、カバー本体31、換気口32、底面通気孔34、リブ36、及び、脚部38を含み構成されている。
【0030】
[通気キャップ40]
通気キャップ40は、難燃材、又は、セラミックスにより構成された蓋である。通気キャップ40は、炉本体21の換気口24を開閉自在に塞ぐ蓋である。通気キャップ40は、炉本体21の換気口24、及び、カバー本体31の換気口32が重なる位置となるよう炉本体21をカバー本体31に配置した状態で、換気口24を開閉自在に塞ぐ。
また、通気キャップ40の開閉形態は、抜差し式、又は、スライド式である。通気キャップ40の開閉形態が抜差し式である場合、通気キャップ40は、例えば、外形形状が円錐台形状に構成されている。使用者は、互いに重なる位置にある換気口24、及び、換気口32に通気キャップ40を抜差しすることで換気口24を開閉する。
また、通気キャップ40の開閉形態がスライド式である場合、通気キャップ40は、例えば、板状に構成されている。使用者は、通気キャップ40を引き戸のようにカバー本体31の壁面に沿わせてスライドさせ換気口24を開閉する。なお、通気キャップ40は、本発明に係る蓋部の一例である。
【0031】
[網50]
図1及び
図2に例示するように、網50は、格子状の目を備えた金属製の網材である。網50は、ステンレス鋼、又は、鉄で構成されている。網50は、炉本体21の開口近傍となる位置に載置される。
【0032】
[火皿60]
火皿60は、耐火性部材で構成された円形状の板部材であり、板厚方向に穿設された複数の貫通孔が設けられている。火皿60は、耐火性を備えた材料で構成され、例えば、金属またはセラミックスで構成されている。火皿60は、金属で構成される場合ステンレス鋼、又は鉄であり、セラミックスで構成される場合珪藻土である。火皿60は、炉本体21の内部に配置され、固形燃料の受け皿として機能する。
また、火皿60の厚み寸法は、例えば1mm〜40mmであり、具体的には15mm〜25mmであり、本実施例の厚み寸法は、20mmである。
このように、加熱調理器1は、天板10、七輪本体20、カバー30、通気キャップ40、網50、及び、火皿60を含み構成されている。
【0033】
次に、加熱調理器1の組み立てた状態を説明する。
図5は、加熱調理器1の組み立てた状態における断面図である。
図5(A)は、
図4(A)における加熱調理器1の断面図であり、
図5(B)は、
図4(B)における加熱調理器1の断面図である。
図5に例示するように、加熱調理器1は、カバー30、七輪本体20、火皿60、網50、及び、天板10の収納順に組合せ、カバー30及び七輪本体20の各換気口に通気キャップ40を配置している。
図5(A)及び
図5(B)に例示するように、加熱調理器1は、カバー本体31、及び、炉本体21の各底面及び各側面が互いに離間しており、これにより通気路50を構成している。通気路50は、空気の通る大きさであるならば、カバー本体31、及び、炉本体21の各底面及び各側面の一部が接触していてもよい。
また、加熱調理器1は、カバー本体31の開口近傍において、カバー本体31の開口と炉本体21とが互いに離間しており、これにより排出口51を構成している。排出口51は、空気の通る大きさであるならば、カバー本体31の開口と炉本体21との一部が接触してもよい。
このように、加熱調理器1は、カバー30の底面通気孔34から取り込まれる空気を通気路50内に引き込み、引き込まれた空気を排出口51から排出することで、カバー30と七輪本体20との間で空気を循環させることができる。
【0034】
次に、加熱調理器1の組み立てた状態における大きさを説明する。なお、かかる実施形態に示す寸法、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、とくに限定するものではない。
図5(A)に例示するように、加熱調理器1の高さ寸法Aは、例えば、200mm以下であり、具体的には170mm〜190mmであり、本実施例の加熱調理器1の高さ寸法Aは、180mmである。また、網50と火皿60と間の高さ寸法Bは、70mm〜90mmであり、本実施例の高さ寸法Bは、80mmである。また、火皿60と炉本体21と間の高さ寸法Cは、15mm〜35mmであり、本実施例の高さ寸法Cは、25mmである。また、炉本体21と加熱調理器1を載置する載置面との間の高さ寸法Dは、15mm〜35mmであり、本実施例の高さ寸法Dは、25mmである。また、カバー本体31の底面と載置面との間の高さ寸法Eは、10mm〜20mmであり、本実施例の高さ寸法Eは、15mmである。また、炉本体21の底面とカバー本体31の底面の間の隙間(底面における通気路50の幅寸法)寸法Fは、3mm〜5mmであり、本実施例の隙間寸法Fは、4mmである。
また、天板10と炉本体21との間の隙間(排気口23の高さ)寸法Gは、10mm〜20mmであり、本実施例の隙間寸法Gは、15mmである。また、炉本体21とカバー本体31との間の隙間寸法(排出口51の高さ寸法)Hは、2mm〜6mmであり、本実施例の隙間寸法Hは、4mmである。また、炉本体21の側面とカバー本体31の側面との間の隙間寸法(側面における通気路50の幅寸法)Iは、5mm〜15mmであり、本実施例の隙間寸法Iは、10mmである。
つまり、本実施例における炉本体21とカバー本体31との離間距離は、概ね4mm以上10mm以下の離間寸法となっている。
また、
図5(B)に例示するように、炉本体21の側壁の厚さ寸法aは、例えば、20mm〜30mmであり、本実施例の厚さ寸法aは、25mmである。また、炉本体21の側壁の厚さ寸法bは、例えば、30mm〜40mmであり、本実施例の厚さ寸法bは、35mmである。また、炉本体21の底の厚さ寸法cは、例えば、20mm〜30mmであり、本実施例の厚さ寸法aは、25mmである。
このように、本実施例の加熱調理器1の高さは、組み立てた状態で180mmであるため、コンパクトであり可搬性に優れている。また、加熱調理器1は、底面と載置面とが15mm離間しているため、載置面である例えばテーブル等を焦がすことなく、使用することができる。
【0035】
次に、加熱調理器1の作用効果を説明する。
図6は、加熱調理器1の作用を説明する模式図である。
図6(A)は、加熱調理器1の使用時における空気の移動方向、及び、遠赤外線の放射方向を説明する模式図であり、
図6(B)は、
図6(A)のA部を拡大した部分拡大図である。
図6(A)に例示するように、載置面に載置された加熱調理器1は、炉本体21の燃焼室22に配置された固形燃料70を燃焼させ、網50に載置された加熱調理用食材を加熱調理している。また、加熱調理器1は、固形燃料70を燃焼させることにより、炉本体21に熱を加える状態となっている。
【0036】
<通気路50の作用>
加熱調理器1は、炉本体21に熱を加えることにより、加熱調理器1の内側と外側とで温度差が生じる。加熱調理器1は、この温度差により、カバー本体31の底面通気孔34を介して、加熱調理器1の外側から炉本体21とカバー本体31との隙間である通気路50内に空気Yを流入させる。このとき、加熱調理器1は、脚部38によりカバー本体31の底を載置面から離間させている。そのため、加熱調理器1は、底面通気孔34を載置面に接触させずに効率的に空気Yを流入することができる。
底面通気孔34から流入した空気Yは、通気路50を通過して排出口51から流出する。
このように、加熱調理器1は、加熱熱調理を行い温度差が生じた場合に、空気Yを通気路50内に導き排出口51から流出することを連続的に行うことで、加熱調理器1のカバー30の外壁面から熱が放出されることを防止することができる。また、加熱調理器1は、脚部38によりカバー本体31の底を載置面から離間させることで、空気Yを効率的に通気路50内に流入させると共に、載置面に熱が伝わることを防止することができる。これにより、載置面の焦げを防止することができる。
【0037】
<換気口24、換気口32、及び、排出口23の作用>
また、加熱調理器1は、換気口24と換気口32とを重なる位置に配置している。加熱調理器1は、換気口24から通気キャップ40を取り外すことで、加熱調理器1の内側と外側と一続きとすることができる。加熱調理器1は、換気口24から通気キャップ40を取り外すことで、炉本体21の燃焼室22に空気Zを流入させる。
流入した空気Yは、火皿60の貫通孔、及び、燃焼室22を通過し、排出口23から排出される。排気口23近傍において、空気Yは、天板10の断面形状が炉本体21の外側から内側に下り傾斜した形状に形成されているため、天板10の壁面に沿って排気口23から排出されることが期待できる。また、空気Yは、排出口23の高さ寸法が15mmであるため、使用者により炉本体21の開口を塞がれても燃焼室22から排出される。
【0038】
<炉本体21の作用>
加熱調理器1は、燃焼室22において固形燃料70を燃焼させると共に、炉本体21を加熱している。炉本体21は、珪藻土で構成されているため、加熱することにより遠赤外線Rを放射する。放射した遠赤外線Rは、加熱調理器1の網50に載置された加熱調理用食材に当てられる。
これにより、加熱調理器1は、炉本体21から放射された遠赤外線Rにより、加熱調理用食材を効率的に加熱することができる。また、加熱調理器1は、加熱され熱風となった空気Zを排出口23から排出し、遠赤外線Rを加熱調理用食材に放射することで、加熱調理用食材を理想的な状態で加熱調理することができる。
【0039】
<天板10の作用>
また、
図6(B)に例示するように、加熱調理器1における天板10において、天板10の上面12には、加熱調理した加熱調理用食材から出た焼汁100が付着している。
天板10は、外壁面の表面にガラス質で形成された保護層15が形成されている。天板10は、保護層15により滑らかに形成されている。また、天板10は、断面形状において、天板10の外側から内側に下り傾斜している。
このように、天板10は、滑らかな外壁面の表面と断面形状における下り傾斜形状とが相まって、上面12に付着した焼汁100をより効率的に燃焼室22内部に流すことができ、また拭き取ることもできる。よって、天板10は、七輪本体20炉本体21における開口の縁の汚れを防止することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施例における加熱調理器1は、珪藻土を含む材料で構成され、固形燃料70を燃焼するための空間を備えた七輪本体20の炉本体21と、炉本体21の外壁面よりも滑らかな外壁面に形成され、炉本体21の外壁面の少なくとも一部を覆うカバー30のカバー本体31とを含み構成されている。具体的には、加熱調理器1は、カバー本体31の外壁面の表面に釉薬を塗布して形成したガラス質の保護層15を配置している。これにより、加熱調理器1は、多孔質な材料で焼成された炉本体21に焼汁100が付着し内部に染み込むことを防止することができる。
【0041】
また、加熱調理器1は、上方に開口を備える円柱体である炉本体21の底面と側面とをカバー本体31が覆っており、炉本体21とカバー本体31の間に設けられた脚部28によりぞれぞれの底面が離間している。これにより、加熱調理器1は、カバー30の外壁面に熱が放出されることを防止することができる。
さらに、加熱調理器1は、カバー本体31の底面に設けられた脚部38により、カバー本体31の底面と載置面とが離間している。これにより、加熱調理器1は、カバー本体31の底面から載置面に熱が伝わることを防止でき、よって載置面が焦げることを防止することができる。
また、加熱調理器1は、カバー本体31の底面に穿設された底面通気孔34を備え、炉本体21とカバー本体31との隙間である通気路50とが連続している。これにより、加熱調理器1は、カバー本体31の底面通気孔34から取り込まれる空気を通気路50内に引き込み、引き込まれた空気を排出口51から排出することで、カバー30と七輪本体20との間で空気を循環させることができ、炉本体21からカバー本体31に熱が伝わることを防ぐことができる。
【0042】
また、加熱調理器1は、炉本体21の開口の縁を覆う天板10をさらに含み、炉本体21の外壁面よりも滑らかな外壁面に形成されている。天板10の上面12は、断面形状において、天板10の外側から内側に下り傾斜している。
これにより、加熱調理器1は、天板10の滑らかな外壁面と下り傾斜形状とが相まって、上面12に付着した焼汁100を効率的に燃焼室22内部に流すことができる。よって、天板10は、七輪本体20炉本体21における開口の縁の汚れを防止することができる。
【0043】
また、加熱調理器1は、炉本体21の側面に設けられ、炉本体21の開口と隣接する位置に設けられた排気口23をさらに含み構成されている。これにより、加熱調理器1は、炉本体21の燃焼室22にある空気を効率的に排出することが期待できる。
【0044】
また、加熱調理器1は、炉本体21の側面に穿設され、炉本体21における固形燃料70を燃焼するための空間である燃焼室22にと連続して設けられた換気口24とカバー本体31の側面に穿設された換気口32と、換気口32を介して換気口24を開閉自在に塞ぐ通気キャップ40とさらに含み構成されている。これにより、加熱調理器1は、換気口24から通気キャップ40を着脱すことにより、炉本体21の燃焼室22に流入する空気量を調節し、火力調節を行うことができる。
【0045】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0046】
次に、上記実施例に係る変形例を説明する。
なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、上記実施例と異なる部分のみを説明する。
[変形例1]
上記実施例の加熱調理器1では、通気キャップ40の開閉形態が抜差し式である場合を説明したが、変形例1の加熱調理器2aは、開閉形態がスライド式(マグネット式)である場合を説明する。
まず、加熱調理器2aは、カバー30の換気口32の周縁に金属を配置し、通気キャップ40を磁石で構成した場合を説明する。
図7は、変形例1における加熱調理器2aを例示する斜視図である。
図7(A)は、加熱調理器2aを例示する斜視図であり、
図7(B)は、五徳を配置した加熱調理器2を例示する斜視図である。
図7(A)及び
図7(B)に例示するように、本変形例1における加熱調理器2aは、七輪本体20、カバー30、通気キャップ40、及び、五徳80を含み構成されている。
七輪本体20の炉本体21の形状は、多角形状である柱体であり、本変形例1の炉本体21は、四角柱状の柱体である。なお、炉本体21は、2つの平面における大きさが異なる四角柱状の柱体であってもよい。言い換えると、多角錐台であってもよい。
また、カバー30は、少なくとも一部が金属を含むよう構成されている。具体的には、カバー30のカバー本体31は、換気口32の周縁に強磁性を備えた金属(言い換えると磁石の付く金属)を配置されている。強磁性を備えた金属とは、例えば鉄、コバルト ニッケル、ステンレス鋼、または、これらを含む合金等である。なお、本変形例1のカバー本体31は、換気口32の周縁にステンレス鋼が配置されている。また、カバー本体31は、換気口32の周縁だけでなく全体に配置されてもよいし、強磁性を備えた金属で構成されてもよい。
加熱調理器2aは、カバー本体31の換気口32周縁に強磁性を備えた金属を配置することにより、磁石で構成された通気キャップ40を着脱自在に固定することができる。
また、通気キャップ40は、板状に形成された磁石であり、カバー本体31の換気口32の少なくとも一部を塞ぐように着脱自在に配置し、炉本体21の換気口24を塞ぐことができる。また、通気キャップ40は、板状に形成した耐熱性部材に磁石を配置したものであってもよい。このように通気キャップ40は、カバー本体31に着脱自在に固定することができるため、炉本体21の換気口24の開口を制限なく開口幅を適宜調節することができる。
また、
図7(B)に例示するように、加熱調理器2aは、七輪本体20の炉本体21の開口に着脱自在に固定したと五徳80を備えている。加熱調理器2aは、五徳80を備えることにより、網50を七輪本体20の炉本体21の開口から離間させて配置することができ、鍋やフライパン等の調理器具を載置することもできる。
【0047】
次に、加熱調理器2bは、カバー30の換気口32の周縁に磁石82を配置し、通気キャップ40を金属で構成した場合を説明する。
図8は、変形例1における加熱調理器2bを例示する斜視図である。
図8(A)は、加熱調理器2bを例示する斜視図であり、
図8(B)は、通気キャップ40を配置した加熱調理器2bを例示する斜視図である。
図8(A)及び
図8(B)に例示するように、加熱調理器2bは、カバー本体31の換気口32周縁に磁石82を配置し、通気キャップ40を強磁性を備えた金属で板状に構成する。これにより、通気キャップ40は、カバー本体31の換気口32周縁に着脱自在に固定することができる。
このように、
図7及び
図8に例示する加熱調理器2は、カバー本体31の換気口32周縁に強磁性を備えた金属、又は、磁石82を配置し、通気キャップ40を板状の磁石、又は、強磁性を備えた金属で構成することにより、カバー本体31の構成材質が強磁性を備えるか否かを考慮することなく、通気キャップ40を換気口32に磁力で付着するよう構成することができる。よって、加熱調理器2は、通気キャップ40をカバー本体31に着脱自在に固定することができるため、炉本体21の換気口24の開口を制限なく開口幅を適宜調節することができる。
なお、加熱調理器2は、カバー30の換気口32の周縁に磁石82を配置し、通気キャップ40を磁石で構成する組み合わせであってもよい。
【0048】
[変形例2]
上記実施例の加熱調理器1では、無地の天板10である場合を説明したが、変形例2の加熱調理器3は、装飾した天板10である場合を説明する。
図9は、変形例2における加熱調理器3を例示する斜視図である。
図9(A)は、装飾した円形リング形状の天板10を備えた加熱調理器3を例示する斜視図であり、
図9(B)は、装飾した四角形リング形状の天板10を備えた加熱調理器3を例示する斜視図である。
図9(A)及び
図9(B)に例示するように、本変形例2における加熱調理器3は、天板10の平面12に装飾を施された天板10を含み構成されている。
図9(A)に例示する加熱調理器3は、円形リング形状の天板10を備え、天板10の平面12に装飾を施されている。また、
図9(B)に例示する加熱調理器3は、四角形リング形状の天板10を備え、天板10の平面12に装飾を施されている。各天板10は、セラミックスで構成され、例えば磁器である。天板10は、例えば、伊万里焼き、姫谷焼き、又は、九谷焼き等の磁器を適宜選択することができる。
【0049】
[変形例3]
上記実施例の加熱調理器1では、通気キャップ40にて換気口24及び換気口32を開閉した場合を説明したが、変形例3の加熱調理器4は、通気キャップ40を使用せずに換気口24及び換気口32を開閉する場合を説明する。
図10は、変形例3における加熱調理器4を例示する斜視図である。
図10(A)は、骨壺90を備える加熱調理器4aを例示する斜視図であり、
図10(B)は、リブ92を備える加熱調理器4bを例示する斜視図である。
図10(A)及び
図10(B)に例示するように、本変形例3における加熱調理器4は、七輪本体20とカバー30とを組み合わせた状態で、相対的に回転させることができる。
具体的には、加熱調理器4は、炉本体21とカバー本体31とを回転させるため、回転させることができる適度の隙間が設けられている。これにより、加熱調理器4は、炉本体21とカバー本体31とを相対的に軸方向に回転させて、換気口24と換気口32との重ねる範囲を調節する。よって、加熱調理器4は、炉本体21に取り込む空気量を調節することで、火力調節を行うことができる。
また、
図10(A)に例示するように、加熱調理器4aは、燃焼室22の内部に炭壺90を配置できる構造となっている、これにより、使用者は、固形燃料70の設置準備や後始末を容易に行うことができる。
また、
図10(B)に例示するように、加熱調理器4bは、天板10とカバー30とにリブ92を備えている。加熱調理器4bは、リブ92を備えることにより、持ち運びやすくすることができる。
【0050】
[変形例4]
図11は、変形例4における加熱調理器5を例示する斜視図である。
変形例4の加熱調理器5は、天板10に五徳80を備えた構造としている。加熱調理器5は、天板10に五徳80を一体的に構成することにより、網50の設置する位置を天板10の上面12と略同じ位置に配置することができる。また、加熱調理器5は、網50を天板10に載置する構成となるため、網50を容易に着脱することができる。