【課題】着脱可能なワーク保持装置を備えた工作機械において、ワーク保持装置を繰り返し高精度に位置決めすることが可能であり、かつ、加工エリア内への接近性に優れた工作機械、を提供する。
【解決手段】工作機械は、ベッド12と、ベッド12により支持される基台41と、基台41に対して着脱可能に設けられ、主軸により回転するワークを保持する振れ止め装置とを備える。基台41は、振れ止め装置を位置決めするカプラーを有する。工作機械10は、振れ止め装置に替わって基台41に取り付けられ、カプラーを覆うように設けられるカバー体51を備える。カバー体51は、作業者が乗ることが可能な踏み板部53を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
主軸により回転するワークを保持するワーク保持装置を備えた工作機械が知られており、たとえば、そのようなワーク保持装置として、上述の特許文献1〜3に開示される振れ止め装置がある。
【0007】
このような振れ止め装置は、長尺でないワークを加工する際には邪魔になるため、振れ止め装置を工作機械に対して着脱可能な構造とすることが考えられる。一方、振れ止め装置を用いて長尺ワークを振れ止めする場合、振れ止め装置によりワークを保持する中心と、ワークの回転中心とが一致している必要がある。このため、振れ止め装置を着脱可能な構造とする場合、振れ止め装置を繰り返し高い精度で位置決めするための位置決め機構部を、工作機械に設ける必要がある。
【0008】
しかしながら、振れ止め装置を工作機械から取り外した状態でワークの加工を行なうと、ワーク加工に伴って生じる切屑や切削油が位置決め機構部に付着するおそれがある。この場合、振れ止め装置を再び工作機械に装着する際に、振れ止め装置を高精度に位置決めできないという問題が生じる。
【0009】
また、工作機械においては、ワークや工具の交換時または機内の清掃時などに、加工エリア内の主軸や刃物台等にアクセスする。このため、工作機械に加工エリア内への接近性を良好とする手段が備わっていることが求められおり、特に長尺ワークの加工を行なうような大型の工作機械で、そのような要求が強くなっている。
【0010】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、着脱可能なワーク保持装置を備えた工作機械において、ワーク保持装置を繰り返し高精度に位置決めすることが可能であり、かつ、加工エリア内への接近性に優れた工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に従った工作機械は、ベッドと、ワークを回転させる主軸と、ベッドにより支持される基台と、基台に対して着脱可能に設けられ、主軸により回転するワークを保持するワーク保持装置とを備える。基台は、ワーク保持装置を位置決めする位置決め機構部を有する。工作機械は、ワーク保持装置に替わって基台に取り付けられ、位置決め機構部を覆うように設けられるカバー体を備える。カバー体は、作業者が乗ることが可能な踏み板部を有する。
【0012】
このように構成された工作機械によれば、ワーク保持装置に替わってカバー体が位置決め機構部を覆うように設けられることによって、ワーク加工に伴って生じる切屑や切削油が位置決め機構部に付着することを防止できる。これにより、ワーク保持装置を繰り返し高精度に位置決めすることができる。また、カバー体に作業者が乗ることが可能な踏み板部を設けることによって、加工エリア内への接近性を良好にできる。
【0013】
また好ましくは、踏み板部は、水平方向に延在する平面部を含む。
このように構成された工作機械によれば、作業者が踏み板部に安定して乗ることができる。
【0014】
また好ましくは、カバー体は、位置決め機構を覆う本体部をさらに有する。踏み板部は、平面部の延在方向が水平方向となる第1状態と、平面部の延在方向が鉛直下方向成分を含む方向となる第2状態との間で変化するように、本体部に対して揺動可能に取り付けられる。
【0015】
このように構成された工作機械によれば、ワーク加工時に踏み板部を第2状態に変化させることによって、切屑が平面部に堆積することを抑制できる。
【0016】
また好ましくは、基台は、ワーク保持装置を固定する固定機構部をさらに有する。カバー体は、固定機構部により基台に固定される。
【0017】
このように構成された工作機械によれば、カバー体を基台に強固に固定することができる。
【0018】
また好ましくは、工作機械は、ワークの加工エリアを区画し、開閉可能に設けられる扉部をさらに備える。踏み板部は、扉部が開状態とされることによって生じる開口部と隣り合って設けられる。
【0019】
このように構成された工作機械によれば、作業者が機外から開口部を通じて踏み板部に乗り易くなる。
【0020】
また好ましくは、踏み板部は、主軸の回転中心軸よりも低い位置に設けられる。
このように構成された工作機械によれば、作業者が機外から踏み板部に乗り易くなる。
【0021】
また好ましくは、ワーク保持装置は、ワークの外周面を保持する振れ止め装置である。
このように構成された工作機械によれば、振れ止め装置を繰り返し高精度に位置決めすることが可能であり、かつ、加工エリア内への接近性に優れた工作機械を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上に説明したように、この発明に従えば、着脱可能なワーク保持装置を備えた工作機械において、ワーク保持装置を繰り返し高精度に位置決めすることが可能であり、かつ、加工エリア内への接近性に優れた工作機械を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における工作機械を示す正面図である。
図2は、
図1中の工作機械の加工エリア内の様子を示す斜視図である。
図1および
図2を参照して、まず、本実施の形態における工作機械10の全体構造について説明する。工作機械10は、ワークを回転させ、そのワークに工具を接触させることによって加工を行なう旋盤である。
【0026】
工作機械10は、その主要な構成として、ベッド12と、主軸台24と、刃物台26と、心押台28と、振れ止め装置31と、スプラッシュガード21と、扉部23とを有する。
【0027】
ベッド12は、主軸台24、刃物台26、心押台28および振れ止め装置31を支持するためのベース部材であり、工場などの据え付け面に設置される。ベッド12は、鋳鉄などの金属から形成されている。ベッド12は、スラントベッドタイプであり、振れ止め装置31等を支持する支持面が鉛直方向に対して傾斜している。
【0028】
主軸台24は、主軸(不図示)と、チャック25とを有する。主軸は、水平方向に延びるZ軸に平行な中心軸101を中心に回転可能に設けられている。チャック25は、主軸の先端に設けられ、ワークを把持可能なように構成されている。主軸は、チャック25に把持されたワークを回転させる。
【0029】
刃物台26は、複数の工具を装着可能なように構成されている。刃物台26は、いわゆるタレット形であり、複数の工具が放射状に取り付けられ、旋回割り出しを行なう。より具体的には、刃物台26は、旋回部27を有する。旋回部27は、Z軸に平行な中心軸102を中心に旋回可能に設けられている。中心軸102を中心にその周方向に間隔を隔てた位置には、工具を保持するための工具ホルダが取り付けられている。旋回部27が中心軸102を中心に旋回することによって、工具ホルダに保持された工具が周方向に移動し、加工に用いられる工具が割り出される。
【0030】
刃物台26は、図示しないサドル等によりベッド12上に支持されている。刃物台26は、サドル等に設けられた各種の送り機構や案内機構、サーボモータなどにより、Z軸方向と、Z軸に直交し、鉛直方向に対して傾斜するX軸方向と、Z軸およびX軸に直交するY軸方向とに移動可能に設けられている。刃物台26がX軸、Y軸およびZ軸方向に移動することによって、刃物台26に装着された工具によるワークの加工位置が3次元的に移動する。
【0031】
心押台28は、中心軸101の軸上において主軸台24と対向して設けられている。心押台28は、チャック25に長尺のワーク120が装着された場合に、主軸により回転するワーク120の端部を保持する機能を有する。心押台28は、Z軸方向において移動可能なように構成されている。
【0032】
振れ止め装置31は、Z軸方向において、主軸台24および心押台28の間に設けられている。振れ止め装置31は、チャック25に長尺のワーク120が装着された場合に、主軸により回転するワーク120の外周面を保持する機能を有する。振れ止め装置31は、油圧等によって開閉動作する把持アーム32を有する。振れ止め装置31は、Z軸方向において移動可能なように構成されている。
【0033】
扉部23は、スプラッシュガード21とともに加工エリア110を区画形成している。主軸台24、刃物台26、心押台28および振れ止め装置31は、加工エリア110内に設けられている。扉部23は、開閉可能に構成されている。扉部23は、工作機械10の機械正面側に設けられている。扉部23が開状態とされることによって、加工エリア110に通じる開口部が形成される。
【0034】
なお、
図1中には、水平方向にスライド可能な一対の扉部23を示したが、扉部が設けられる形態はこれに限定されない。たとえば、1枚の扉部が設けられてもよいし、揺動可能な扉部が設けられてもよい。
【0035】
続いて、振れ止め装置31の着脱構造について詳細に説明する。
図3は、
図2中の工作機械から振れ止め装置が取り外された状態を示す斜視図である。
図4は、
図3中の2点鎖線IVで囲まれた範囲を拡大して示す斜視図である。
【0036】
図3および
図4を参照して、振れ止め装置31は、工作機械10に対して着脱可能なように構成されている。
【0037】
工作機械10は、基台41をさらに有する。基台41は、ベッド12により支持されている。基台41は、ベッド12および基台41間におけるすべり案内によって、Z軸方向に移動可能に設けられている。
【0038】
基台41は、全体として、平板形状を有する。基台41は、ベッド12の支持面の傾きに対応するように、鉛直方向に対して傾斜して設けられている。基台41は、X軸−Z軸平面内で平板状に延在している。基台41は、主面41aを有する。主面41aは、基台41がベッド12と向かい合う側とは反対側に配置されている。振れ止め装置31は、基台41に対して着脱可能に設けられている。
【0039】
図5および
図6は、
図4中の基台に振れ止め装置を装着する際の様子を示す断面図である。
図5中には、
図4中のV−V線上に沿った位置に対応する基台および振れ止め装置の断面が示されている。
図6中には、
図4中のVI−VI線上に沿った位置に対応する基台および振れ止め装置の断面が示されている。
【0040】
図3から
図6を参照して、基台41は、複数のカプラー42を有する。カプラー42は、主面41a上に設けられている。複数のカプラー42は、主面41a上において互いに間隔を隔てて設けられている。カプラー42は、基台41に対して振れ止め装置31を位置決めする位置決め機構として、さらに、基台41に振れ止め装置31を固定する固定機構部として設けられている。
【0041】
カプラー42は、ブロック部45と、複数のピン部材43とを有する。ブロック部45は、主面41aから突出するように設けられている。ブロック部45は、主面41aから円柱状に突出する形状を有する。ブロック部45には、挿入孔44が形成されている。挿入孔44は、円形の開口断面を有し、主面41aから突出する先のブロック部45の端部で開口している。
【0042】
ピン部材43は、ブロック部45に内蔵されている。複数のピン部材43は、挿入孔44の中心軸に対して放射状に設けられている。ピン部材43は、先端部43pを有する(
図5を参照のこと)。先端部43pは、挿入孔44の中心軸に対向する側のピン部材43の端部である。ピン部材43は、先端部43pが挿入孔44の内部に突出するクランプ状態と、先端部43pが挿入孔44から退避するアンクランプ状態との間でスライド可能なように構成されている。
【0043】
ピン部材43をクランプ状態およびアンクランプ状態の間で動作させる手段は、特に限定されないが、たとえば、バネ力によってピン部材43をクランプ状態に動作させ、空圧によってピン部材43をアンクランプ状態に動作させる方法が挙げられる。
【0044】
振れ止め装置31は、底面31bを有する。底面31bは、基台41の主面41aと対面する。振れ止め装置31は、複数のプルスタッド36をさらに有する。プルスタッド36は、底面31bから突出するように設けられている。複数のプルスタッド36は、それぞれ、複数の挿入孔44に対応する位置に設けられている。プルスタッド36には、溝部37が形成されている。溝部37は、ピン部材43の先端部43pの形状に対応する凹形状を有する。
【0045】
基台41は、複数のガイド部材46(46A,46B)を有する。ガイド部材46は、主面41a上に設けられている。複数のガイド部材46は、主面41a上において互いに間隔を隔てて設けられている。ガイド部材46は、基台41に対する振れ止め装置31の装着時に、振れ止め装置31を適正な位置(プルスタッド36を挿入孔44に対向させる位置)に導く案内機構部として設けられている。
【0046】
ガイド部材46は、主面41aから突出する円柱状のピン形状を有する。ガイド部材46は、主面41aから突出する先に向かうほど先細りとなるテーパ形状を有する。主面41aからのガイド部材46Bの突出長さは、主面41aからのガイド部材46Aの突出長さよりも大きい。
【0047】
振れ止め装置31には、複数の挿入孔38が形成されている。挿入孔38は、円形の開口断面を有し、底面31bに開口している。複数の挿入孔38は、それぞれ、複数のガイド部材46に対応する位置に設けられている。
【0048】
基台41に対する振れ止め装置31の装着時、振れ止め装置31を、底面31bを主面41aに対面させた状態で基台41に向けて近接移動させる。この際、まず、ガイド部材46Bが挿入孔38に挿入され、次に、ガイド部材46Aが挿入孔38に挿入されることによって、振れ止め装置31が基台41に対して適正な位置に案内される。
【0049】
振れ止め装置31を基台41に向けてさらに近接移動させると、複数のプルスタッド36がそれぞれ複数の挿入孔44に挿入される。各カプラー42において複数のピン部材43をアンクランプ状態からクランプ状態に動作させることによって、振れ止め装置31の装着が完了する。
【0050】
なお、基台に対して振れ止め装置を位置決めする位置決め機構部の構造は、上記の構成に限られず、たとえば、ピン部材43に替えてボールが用いられてもよいし、テーパコーンを利用したものであってもよい。
【0051】
続いて、振れ止め装置31の非装着時における基台41のカバー構造について詳細に説明する。
図7は、
図3中の工作機械にカバー体が装着された状態を示す斜視図である。
図8は、
図7中のカバー体を示す斜視図である。
図9は、
図7中の工作機械の使用形態を示す斜視図である。
【0052】
図7から
図9を参照して、長尺でないワークを加工する場合、振れ止め装置31は、基台41から取り外される。この際、振れ止め装置31に替わって、カバー体51が、基台41に装着される。カバー体51は、基台41への装着状態において、複数のカプラー42を覆うように設けられている。
【0053】
カバー体51は、その構成部位として、本体部52と、複数のプルスタッド57とを有する。
【0054】
本体部52は、平板形状を有する。本体部52は、主面52aおよび底面52bを有する。底面52bは、基台41の主面41aと対面する。主面52aは、底面52bの裏側に配置されている。主面52aは、機械正面側であって、斜め上方向に面している。
【0055】
本体部52は、複数のカプラー42を覆うように設けられている。本体部52は、複数のカプラー42の鉛直上側に設けられている。本体部52は、Y軸方向において基台41と対向するように設けられている。本体部52は、複数のカプラー42がY軸方向において底面52bに投影されるように設けられている。
【0056】
本体部52には、複数の挿入孔55が形成されている。挿入孔55は、円形の開口断面を有し、底面52bに開口している。挿入孔55は、本体部52を貫通するように設けられている。複数の挿入孔55は、それぞれ、複数のガイド部材46に対応する位置に設けられている。
【0057】
プルスタッド57は、底面52bから突出するように設けられている。複数のプルスタッド57は、それぞれ、複数の挿入孔44に対応する位置に設けられている。プルスタッド57は、振れ止め装置31が有するプルスタッド36と同じ形状を有する。
【0058】
カバー体51は、振れ止め装置31と同じ形態によって基台41に装着される。すなわち、基台41に対するカバー体51の装着時、ガイド部材46Bが挿入孔55に挿入され、ガイド部材46Aが挿入孔55に挿入されることによって、カバー体51が基台41に対して適正な位置(プルスタッド57を挿入孔44に対向させる位置)に案内される。複数のプルスタッド57がそれぞれ複数の挿入孔44に挿入され、各カプラー42において複数のピン部材43をアンクランプ状態からクランプ状態に動作させることによって、カバー体51が、基台41に固定される。
【0059】
複数のカプラー42がカバー体51(本体部52)によって覆われることによって、長尺でないワークの加工時に切屑や切削油がカプラー42に付着することを防止できる。これにより、長尺ワークの加工のために振れ止め装置31を基台41に装着する際に、カプラー42を用いて、振れ止め装置31を高精度に位置決めすることができる。
【0060】
カバー体51は、踏み板部53をさらに有する。踏み板部53は、作業者が乗ることが可能なように構成されている。
【0061】
踏み板部53は、本体部52の主面52a上に設けられている。踏み板部53は、主面52aから板状に延出する形状を有する。踏み板部53は、主面52aから機械正面側に延出するように設けられている。踏み板部53は、平面部54を有する。平面部54は、水平方向に延在する平板形状を有する。平面部54は、主面41aから機械正面側に水平方向に延出するように設けられている。平面部54は、矩形形状の平面視を有する。踏み板部53の主面41aからの延出長さは、好ましくは、150mm以上であり、さらに好ましくは、200mm以上であり、さらに好ましくは、250mm以上である。
【0062】
踏み板部53は、扉部23が開状態とされることによって生じる開口部と隣り合って設けられている。踏み板部53は、主軸の回転中心軸(中心軸101)よりも低い位置に設けられている。踏み板部53は、基台41とともにZ軸方向に移動可能に設けられている。
【0063】
このように、カバー体51に作業者が乗ることが可能な踏み板部53を設けることによって、加工エリア110内への接近性を良好にできる。これにより、ワークや工具の付け替えなどの段取り作業や、加工エリア110内の清掃作業などを行ない易くなる。
【0064】
踏み板部53の構造は、作業者が乗ることが可能なものであれば、特に限定されない。たとえば、主面52a上にブロック形状の踏み板部が凸設されてもよいし、複数の踏み板部が段違いに設けられてもよい。
【0065】
以上に説明した、この発明の実施の形態1における工作機械10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における工作機械10は、ベッド12と、ワークを回転させる主軸と、ベッド12により支持される基台41と、基台41に対して着脱可能に設けられ、主軸により回転するワークを保持するワーク保持装置としての振れ止め装置31とを備える。基台41は、振れ止め装置31を位置決めする位置決め機構部としてのカプラー42を有する。工作機械10は、振れ止め装置31に替わって基台41に取り付けられ、カプラー42を覆うように設けられるカバー体51を備える。カバー体51は、作業者が乗ることが可能な踏み板部53を有する。
【0066】
このように構成された、この発明の実施の形態1における工作機械10によれば、長尺でないワークの加工時、振れ止め装置31に替わってカバー体51が基台41に装着されることによって、カプラー42への切屑や切削油の付着を防ぎ、振れ止め装置31を繰り返し高精度に位置決めすることができる。また、カバー体51に踏み板部53を設けることによって、作業者の加工エリア110内への接近性を良好にすることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、本発明におけるワーク保持装置が振れ止め装置31である場合について説明したが、本発明は、これに限られない。ワーク保持装置は、たとえば、工作機械に対して着脱可能に構成された心押台であってもよい。また、本実施の形態では、本発明における工作機械が旋盤である場合について説明したが、本発明はこれに限られず、たとえば、旋削機能とミーリング機能とを有する複合加工機に本発明を適用してもよい。
【0068】
(実施の形態2)
図10および
図11は、この発明の実施の形態2において、カバー体に設けられる踏み板部を示す側面図である。図中には、
図7中の矢印Xに示す方向から見た踏み板部が示されている。本実施の形態における工作機械は、実施の形態1における工作機械10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0069】
図10および
図11を参照して、本実施の形態では、踏み板部53が、平面部54の延在方向が水平方向となる第1状態(
図10中に示す状態)と、平面部54の延在方向が鉛直下方向成分を含む方向となる第2状態(
図11中に示す状態)との間で変化するように、本体部52に対して揺動可能に取り付けられている。
【0070】
より具体的には、踏み板部53は、軸部61をさらに有する。踏み板部53は、軸部61を支点にして、本体部52に対して揺動可能に取り付けられている。作業者が踏み板部53に乗る場合、踏み板部53は第1状態とされる。このとき、平面部54は、主面52aから水平方向に延出するように位置決めされる。ワークの加工を行なう場合、踏み板部53は第2状態とされる。このとき、平面部54は、主面52aと同じ方向に延在するように位置決めされる。
【0071】
このように構成された、この発明の実施の形態2における工作機械によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。加えて、ワークの加工時に踏み板部53を第2状態に変化させることによって、ワーク加工に伴う切屑が平面部54に堆積することを防止できる。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。