特開2017-144586(P2017-144586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-144586熱転写プリンタによる印刷方法、および熱転写プリンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-144586(P2017-144586A)
(43)【公開日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】熱転写プリンタによる印刷方法、および熱転写プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/36 20060101AFI20170728BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20170728BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20170728BHJP
【FI】
   B41J2/36 C
   B41J2/325 A
   B42D15/00 341C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-26194(P2016-26194)
(22)【出願日】2016年2月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福谷 惇史
【テーマコード(参考)】
2C065
2C066
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AC02
2C065AD07
2C065AF02
2C065DA09
2C066AA18
2C066AD01
2C066AD03
2C066CC04
2C066CC13
2C066CC14
2C066CD02
2C066CD12
(57)【要約】
【課題】より多くの多様な色調の画像に対応し得る、IRインク印刷を視認しづらいものとすることができる印刷方法を提供すること。
【解決手段】基本色画像(例えばYMC画像)のうちのIRインクで印刷するIR画像と重なる部分の濃度を下げる、および/または、基本色画像のうちのIR画像と重ならない部分の濃度を上げる、という補正を行う基本色画像補正工程と、IRインクを印刷媒体に熱転写することでIR画像を形成するIR印刷工程と、基本色インクを印刷媒体に熱転写することで、基本色画像補正工程により補正された基本色補正画像を形成する基本色印刷工程と、を備える印刷方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全不可視とはならないIRインク、および基本色インクを印刷媒体に熱転写する熱転写プリンタによる印刷方法であって、
基本色画像のうちの前記IRインクで印刷するIR画像と重なる部分の濃度を下げる、および/または、前記基本色画像のうちの前記IR画像と重ならない部分の濃度を上げる、という補正を行う基本色画像補正工程と、
前記IRインクを印刷媒体に熱転写することで前記IR画像を形成するIR印刷工程と、
前記基本色インクを印刷媒体に熱転写することで、前記基本色画像補正工程により補正された基本色補正画像を形成する基本色印刷工程と、
を備えることを特徴とする、熱転写プリンタによる印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の熱転写プリンタによる印刷方法において、
前記基本色画像補正工程は、前記基本色画像のうちの前記IR画像と重なる部分の濃度を下げるという補正を行う工程であることを特徴とする、熱転写プリンタによる印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱転写プリンタによる印刷方法において、
前記IR印刷工程を実施した後に前記基本色印刷工程を実施することを特徴とする、熱転写プリンタによる印刷方法。
【請求項4】
請求項3に記載の熱転写プリンタによる印刷方法において、
前記IR印刷工程を実施し、熱転写された前記IRインクの上に受容層を熱転写し、その後、前記基本色印刷工程を実施することを特徴とする、熱転写プリンタによる印刷方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の基本色画像補正工程を行うように制御構成されたコントローラを備えることを特徴とする、熱転写プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IRインクおよび基本色インクを印刷媒体に熱転写する熱転写プリンタによる印刷方法、および熱転写プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタを内蔵し、ゲーム内容に応じた情報を印刷してカードとして提供するカード販売装置があり、カードには、ゲームに登場するキャラクタ等の画像、およびバーコード等が印刷される(特許文献1)。
【0003】
バーコード、QRコード(登録商標)などを、ゲームに登場するキャラクタの画像とともにカードに印刷する場合、バーコード、QRコードなどを黒色インクなどの可視インクを用いてカードに印刷していることがある。この場合、バーコード、QRコードなどを印刷するスペースを、キャラクタの画像とは別にカード上に確保する必要があるので、少なくともその分、キャラクタの画像が小さくなってしまう。また、バーコード、QRコードなどが見えることは、カードの美観において好ましくないことがある。
【0004】
ここで、バーコード、QRコードなどを、不可視インクを用いてカードに印刷すれば、バーコード、QRコードなどが視認できないので、キャラクタの画像とバーコード、QRコードなどとを重ね合わせて印刷してもよくなり、バーコード、QRコードなどを印刷するスペースを、キャラクタの画像とは別にカード上に確保する必要がなくなる。
【0005】
不可視インクとして、IRインクと呼ばれるものがある。IRインクとは、近赤外光(または、赤外光)を吸収する、または反射する公知のインクのことである。しかしながら、一般的なIRインクは、不可視インク(Invisible ink)と言われるものの、完全不可視ではなく、例えば薄い黄褐色を呈する(IRインクには、可視光を反射させる成分が少なからず含まれていると考えられる)。そのため、カードなどにIRインクを単に印刷すると、IRインクで印刷した模様などを視認できてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−73895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、カードに印刷するキャラクタの画像が、濃い色調のものである場合、または、濃い色調のものになってもよい場合、次のように印刷すれば、完全不可視にならない上記IRインクを用いても、バーコード、QRコードなどを視認できないようにすることができる。
【0008】
バーコード、QRコードなどをIRインクで印刷した上に、IRインクで着色される分よりもカラーインク画像の濃度が高くなるように、印刷面全体にわたってY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の濃度を上げて印刷する。このようにすれば、実用上、問題とならない程度に、バーコード、QRコードなどを視認できないようにすることができる。
【0009】
しかしながら、この方法では、カードに印刷するキャラクタの所望の画像が薄い色調のものである場合には対応できない。すなわち、カードに印刷する多様な色調の全ての画像には対応することができない。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より多くの多様な色調の画像に対応し得る、IRインク印刷を視認しづらいものとすることができる印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、完全不可視とはならないIRインク、および基本色インクを印刷媒体に熱転写する熱転写プリンタによる印刷方法である。基本色画像のうちの前記IRインクで印刷するIR画像と重なる部分の濃度を下げる、および、前記基本色画像のうちの前記IR画像と重ならない部分の濃度を上げる、という補正のうちの少なくともいずれか一方の補正を行う基本色画像補正工程と、前記IRインクを印刷媒体に熱転写することで前記IR画像を形成するIR印刷工程と、前記基本色インクを印刷媒体に熱転写することで、前記基本色画像補正工程により補正された基本色補正画像を形成する基本色印刷工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によると、IRインクでの印刷による色を目立たないものとすることができ、基本色画像のうちのIR画像と重なる部分の濃度を下げる場合には、所望の基本色画像、およびその色調を忠実に再現し得る。基本色画像のうちのIR画像と重ならない部分の濃度を上げる場合には、所望の基本色画像よりも濃い色調のものになるものの、IR画像を含む印刷面全体にわたって基本色インクの濃度を上げて印刷する前記した方法に比べると、所望の基本色画像に近い色調の画像とすることができる。
すなわち、上記の構成によると、IRインク印刷を視認しづらいものとしつつ、多様な色調の画像に対して、従来の技術よりも所望の画像に近い色調の画像を得ることができる。
【0013】
また本発明において、前記基本色画像補正工程は、前記基本色画像のうちの前記IR画像と重なる部分の濃度を下げるという補正を行う工程であることが好ましい。
【0014】
この構成によると、所望の基本色画像の色調を忠実に再現し得る。
【0015】
さらに本発明において、前記IR印刷工程を実施した後に前記基本色印刷工程を実施することが好ましい。
【0016】
この構成によると、IRインクの上に基本色インクがのるため、基本色インクでIR画像を保護することができる。このため、擦れなどによるIR画像(IRインク)の剥がれを防止することができる。
【0017】
さらに本発明において、前記IR印刷工程を実施し、熱転写された前記IRインクの上に受容層を熱転写し、その後、前記基本色印刷工程を実施することが好ましい。
【0018】
この構成によると、基本色インクの転写をより確実なものとすることができる。
【0019】
なお、本発明は、前記した基本色画像補正工程を行うように制御構成されたコントローラを備える熱転写プリンタでもある。より多くの多様な色調の画像に対応し得る、IRインク印刷を視認しづらいものとすることができる熱転写プリンタとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、より多くの多様な色調の画像に対応し得る、IRインク印刷を視認しづらいものとすることができる印刷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るカードプリンタを示す概略の縦断面図である。
図2】インクリボンの一例を示す平面図である。
図3】入力画像の一例、本発明に係る一例としてのプリントデータ、およびその出力画像を示す図である。
図4】入力画像の一例、比較例に係るプリントデータ、およびその出力画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
まず、本発明の熱転写プリンタの一実施形態に係るカードプリンタ100の主要部の構成およびその動きについて、図1を参照しつつ説明する。
【0024】
(カードプリンタ100の主要部の構成およびその動き)
カードプリンタ100は、印刷媒体としてのカード50の表裏面に印刷を施す両面印刷可能なプリンタであり、ケース1の中に、カード50を厚み方向に積層して縦向きに収納する収納部としてのカセット2と、カセット2の一端側から縦向きに送り出されたカード50を横向きに方向転換する方向転換装置10と、横向きに方向転換されたカード50を水平な横方向に搬送する直線状の搬送路20と、搬送路20を搬送されるカード50の上面側に印刷を施す印刷部30と、カード50の表裏面(上下面)を反転させる反転装置40とを備えている。
【0025】
ケース1には、その前面側に印刷後のカード50を排出するカード排出口1aが設けられている。また、カセット2は、図1中に矢印Aで示すように、ケース1の前面側へ引き出し可能とされている。このように、カードプリンタ100は、その内部へのカード50の補給、印刷後のカード50の取り出しなどをケース1の前面側から行うことができる構成とされているので、ゲーム機の前面側に組み込まれるゲームカード用の両面プリンタとして好適である。
【0026】
カセット2に収納されたカード50は、図1中に矢印Bで示すように、カセット2の奥側の一端側から上方へ繰り出されて、搬送ローラ4に縦向きに挟持され、方向転換装置10に送り込まれる。センサ5aでカード50の通過が検出されると、方向転換装置10は、搬送ローラ11を左方へ90°旋回させて、これにより下向きとされたカード50を右方の印刷部30の方に向けて搬送路20に供給する。
【0027】
印刷部30は、インクリボン31のインクをサーマルヘッド32で加熱してカード50に転写する熱転写式のものである。カード50は、フィードローラ24に挟持された状態で、サーマルヘッド32とプラテンローラ33との間で印刷を開始され、フィードローラ24によって所定の印刷速度で右方の印刷方向に送給される。なお、インクリボン31は、供給側ボビン31aの外周に巻かれたロール状の形態とされており、この供給側ボビン31aから引き出され、サーマルヘッド32とプラテンローラ33との間を通過する。印刷に使用された後は、巻取ボビン31bによって巻き取られる。
【0028】
このようにして表面に印刷を施されたカード50は、次に、搬送路20を後退するように図1の左方へ搬送される。このとき、センサ5cでカード50が検出されると、位置決め爪23のカム部23bが回動して爪部23aが倒され、カード50が位置決め爪23部分を通過する。位置決め爪23部分を通過したカード50は、センサ5bで検出されたのち、方向転換装置10の搬送ローラ11の逆転によって反転装置40内に送り込まれる。
【0029】
反転装置40内に送り込まれたカード50は、反転装置40によって搬送方向と平行な軸方向の回りに180°回転させられることで表裏面が反転させられる。表裏面を反転されたカード50は、反転装置40の搬送ローラ46によって方向転換装置10の搬送ローラ11に送り込まれる。
【0030】
表裏面を反転して上面を裏面としたカード50は、搬送ローラ11から搬送路20に送り込まれ、印刷部30でその裏面に印刷を施される。表裏面に印刷を施されたカード50は、搬送ローラ21cでカッタ25部に搬送され、その前端側の掴み代部(不図示)をカッタ25で切断されたのち、カード排出口1aからケース1の前面側に排出される。
【0031】
図1中に示す各センサ5a,5b,5c,5d,5e,5fは、いずれも投光部と受光部とを有する非接触の光学式センサとされている。各センサ5a〜5fからの信号はコントローラ3に取り込まれ、方向転換装置10、印刷部30、反転装置40などのプリンタを構成する各機器の動作は、コントローラ3によって制御される。
【0032】
なお、カードプリンタ100のより詳細な各部の構成およびその動きについては、特開2015−81185号公報を参照されたい。
【0033】
(本発明の一実施形態に係る印刷方法)
本発明の一実施形態として、本発明では、例えば図2に示すようなインクリボン31を用いる。インクリボン31は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色の基本色インクに加えて、OP(透明なコート層)、IR(IRインク)、R(受容層)が塗布されたインクリボンである。IRインクは、前記したように、近赤外光(または、赤外光)を吸収する、または反射する公知のインクであり、且つ印刷後に完全不可視にならないインクである。IRインクは、例えば、薄い黄褐色を呈する。Y,M,Cは昇華性染料からなるインクであり、R(受容層)は、その昇華性染料を受容するためのものである。なお、OP、IR、Rは溶融性のものである。図2中の左側のY、M、C、およびOPは、カード50の表面に印刷され、残りの(図2中の左側の)IR、R、Y、M、C、およびOPは、カード50の裏面に印刷される。
【0034】
図3中の左側2枚の図は、コントローラ3に入力される、カード50の裏面に印刷する画像である。この両画像は、カード50の裏面に重ねて印刷される。YMCと記載されている側のY,M,Cインクで印刷される入力画像は、例えば、ゲームに登場するキャラクタの画像であり、IRと記載されている側のIRインクで印刷される入力画像は、例えば、QRコードである。図3においては、Y,M,Cインクで印刷される入力画像を単純にハッチングで示し、IRインクで印刷される入力画像は、単純に円環(リング)としている。円環(リング)部分に薄いハッチングを施しているのは、IRインクで印刷される模様(画像)を示すとともに、IRインクで印刷される部分が、薄い黄褐色など完全に不可視とはならないことを示すためである。
【0035】
コントローラ3には、印刷後にどのような色になるかについて、IRインクの色データが予め入力されている。コントローラ3は、入力されているIRインクの色データ、およびY,M,Cインクで印刷される入力画像データをもとに、出力画像においてIRインクによる印刷模様(印刷画像)が見えなくなるように、Y,M,C画像(基本色画像)のうちのIRインクで印刷するIR画像(本実施形態では、円環模様)と重なる部分の濃度を下げるという補正を行う(基本色画像補正工程)。この補正を行った結果を示すのが、図3中のプリントデータという部分に示す、Y,M,Cの補正画像データである。
【0036】
コントローラ3は、カードプリンタ100を構成する各機器を制御して、カード50の表面に、Y、M、C、およびOPを印刷する。その後、カード50を180°反転させて、カード50の裏面に、IR、R、Y、M、C、およびOPを印刷する。カード50の裏面印刷について、詳述する。まず、IRインクをカード50に熱転写することでIR画像を形成する(IR印刷工程)。次いで、熱転写されたIRインク(IR画像)の上にR(受容層)を熱転写する。その後、Y,M,Cインク(基本色インク)をカード50に熱転写する(基本色印刷工程)。このときY,M,Cインクで熱転写される画像は、基本色画像補正工程により補正された円環模様部分の濃度が他の部分よりも薄い基本色補正画像(図3中のプリントデータという部分に示す、Y,M,Cの補正画像データ)である。最後に、OPをカード50に熱転写する。印刷結果としての出力画像を図3中の右に示している。この出力画像は、図3中の最も左に示す入力画像と同じになっている。すなわち、この方法によると、IR画像が視認しづらく、且つ、所望の基本色画像、およびその色調を忠実に再現することが可能である。なお、IR画像が完全に視認できないものとならない場合もあるが、少なくともIR画像を視認しづらいものとすることができる。
【0037】
なお、前記した基本色画像補正工程は、カード50の裏面印刷、より詳細には、カード50の裏面にIRインクを熱転写するまでに行えばよい。
【0038】
図4は、比較例を示す。YMC画像と、完全不可視にならないIRインクの画像とを単に重ねて印刷すると、印刷後に呈するIRインクの色で、IRインクで印刷された模様(画像)が視認できてしまう。
【0039】
(他の実施形態)
基本色画像補正工程において、入力されているIRインクの色データ、およびY,M,Cインクで印刷される入力画像データをもとに、出力画像においてIRインクによる印刷模様(印刷画像)が見えなくなるように、Y,M,C画像(基本色画像)のうちのIRインクで印刷するIR画像と重ならない部分(図3に示す例では、IRの円環模様と重ならない部分)の濃度を上げる補正を行ってもよい。所望のYMC画像よりも濃い色調のものになるものの、IR画像を含む印刷面全体にわたってYMCインクの濃度を上げて印刷する方法に比べると、所望のYMC画像に近い色調の画像とすることができるからである。
【0040】
さらには、YMC画像のうちのIR画像と重なる部分の濃度を下げるとともに、IR画像と重ならない部分の濃度を上げる補正を行ってもよい。
【0041】
また、IRインクの色データがコントローラ3に入力されていない場合には、これまでの経験、試し印刷によって得られた結果などをもとに、YMC画像のうちのIR画像と重なる部分の濃度を下げる補正量や、IR画像と重ならない部分の濃度を上げる補正量を決定してもよい。
【0042】
この場合、IR画像が完全に視認できないものとならない場合もあるが、少なくともIR画像を視認しづらいものとすることができる。
【0043】
(変形例)
前記した実施形態では、プリンタが有するコントローラ3にて基本色画像補正工程を行っているが、プリンタの外部に、基本色画像補正工程を行う機能を有する機器を設けてもよい。例えば、画像データをプリンタに送信する外部コンピュータにIRインクの色データを格納し、当該外部コンピュータに基本色画像補正工程を行う機能を持たせてもよい。
【0044】
また、インクリボン31にタグなどのメモリーを取付け、当該メモリーにIRインクの色データを格納し、プリンタ内臓のコントローラまたは外部コンピュータにてこの色データを読み込んで基本色画像補正工程を行うように構成してもよい。
【0045】
前記した実施形態では、カード50の裏面にIRインクでIR画像を印刷している。当然ではあるが、カード50の表面にIRインクでIR画像を印刷してもよいし、カード50の表裏両面にIRインクでIR画像を印刷してもよい。
【0046】
Y,M,C画像(基本色画像)を印刷した上に、IRインクでIR画像を印刷してもよい。この場合、Y,M,C画像(基本色画像)を印刷した上に、R(受容層)を印刷し、その上にIRインクでIR画像を印刷することが好ましい。
【0047】
OP(透明なコート層)の印刷はなくてもよい。
【0048】
プリンタは、両面プリンタではなく片面プリンタであってもよいし、ゲームカード用のプリンタでなくてもよい。さらには、カラープリンタではなく、黒・濃い灰色・灰色・薄い灰色など濃さが複数階調存在するグレースケール印刷を行うプリンタであってもよい。さらには、基本色インクは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色の基本色インクに限られるものではない。
【0049】
印刷する画像は、キャラクタの画像だけでなく、人物、動物の画像であってもよいし、文字、数字などであってもよい。IRインクで印刷する画像は、QRコード以外にバーコードなどが挙げられる。さらには、その他の識別情報であってもよい。
【0050】
印刷媒体は、カードではなくロール紙などであってもよい。印刷媒体の材質は、紙であったり樹脂であったりする。
【0051】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1:ケース
2:カセット
3:コントローラ
10:方向転換装置
30:印刷部
31:インクリボン
40:反転装置
50:カード(印刷媒体)
100:カードプリンタ(熱転写プリンタ)
図1
図2
図3
図4