特開2017-144711(P2017-144711A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 財團法人工業技術研究院の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-144711(P2017-144711A)
(43)【公開日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】グラビア印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 3/38 20060101AFI20170728BHJP
   B41F 9/10 20060101ALI20170728BHJP
   B41F 9/16 20060101ALI20170728BHJP
   B41F 31/20 20060101ALI20170728BHJP
【FI】
   B41F3/38
   B41F9/10
   B41F9/16
   B41F31/20
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-98135(P2016-98135)
(22)【出願日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】105104764
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】石正宜
(72)【発明者】
【氏名】陸蘇財
(72)【発明者】
【氏名】▲チュン▼昇峰
(72)【発明者】
【氏名】張淑怡
(72)【発明者】
【氏名】林世明
(72)【発明者】
【氏名】魏▲ユウ▼杰
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034AA21
2C034CA04
2C034CA07
2C034CA09
2C034CA18
2C250DC10
(57)【要約】
【課題】本発明はグラビア印刷装置を提供し、印刷品質及び印刷効率の向上に貢献するだけではなく、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【解決手段】グラビア印刷装置は、グラビアシリンダ、インク供給ユニット、第一ブレード、第一スクレイパー、第二ブレードを備える。インク供給ユニットはインクを円周面に供給する。第一ブレードはグラビアシリンダの上方に設けられる。第一スクレイパーは第一ブレードに対応して設けられる。第二ブレードはグラビアシリンダの上方に可動に設けられる。第一ブレードは円周面のインクを掻き落として、円周面にインク層を形成する。第一スクレイパーは第一ブレードに蓄積されたインクを駆って円周面に逆流させる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸線に沿って回転するのに適し、円周面及び前記円周面に位置する少なくとも一つの凹みを有するグラビアシリンダと、
インクを前記円周面に供給するインク供給ユニットと、
前記グラビアシリンダの上方に設けられる第一ブレードと、
前記第一ブレードに対応して設けられる第一スクレイパーと、
前記グラビアシリンダの上方に可動に設けられ、前記第一ブレードの一方の側に位置する第二ブレードと、を備え、
前記第一ブレードは前記第一スクレイパーと前記第二ブレードの間に位置し、
第一状態である時、前記第二ブレードは前記円周面のインクと間隔を保持し、前記円周面にインク層を形成するように、前記第一ブレードは前記円周面のインクを掻き落として、
第二状態である時、前記インク層を掻き落として、一部のインクを前記凹みに入れるように、前記第二ブレードを前記円周面に衝突させて、
前記第一スクレイパーは前記第一ブレードに蓄積されたインクを駆って前記円周面に逆流させるグラビア印刷装置。
【請求項2】
前記第二ブレードに対応して設けられ、前記第一ブレードと前記第二ブレードの間に位置し、前記第二ブレードに蓄積されたインクを駆って前記円周面に逆流させるのに適する第二スクレイパーをさらに備える、
請求項1に記載のグラビア印刷装置。
【請求項3】
前記第二スクレイパーは、前記第二ブレードに固定される、又は、前記第二ブレードに回転可能に設けられる、
請求項2に記載のグラビア印刷装置。
【請求項4】
前記第二スクレイパーが回転可能に設けられる第二ステージをさらに備える、
請求項2に記載のグラビア印刷装置。
【請求項5】
前記第一スクレイパーは、前記第一ブレードに固定される、又は、前記第一ブレードに回転可能に設けられる、
請求項1に記載のグラビア印刷装置。
【請求項6】
前記第一スクレイパーが回転可能に設けられる第一ステージをさらに備える、
請求項1に記載のグラビア印刷装置。
【請求項7】
前記グラビアシリンダの側端に配置され、前記グラビアシリンダの側端に流れるインクをせき止める少なくとも一つの第三ブレードをさらに備える、
請求項1に記載のグラビア印刷装置。
【請求項8】
ロールツーロール製造工程に適用される、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のグラビア印刷装置。
【請求項9】
第一軸線に沿って回転するのに適し、円周面及び前記円周面に位置する少なくとも一つの凹みを有するグラビアシリンダと、
インクを前記円周面に供給するインク供給ユニットと、
前記グラビアシリンダの上方に設けられる第一ブレードと、
前記グラビアシリンダの上方に可動に設けられ、前記第一ブレードの一方の側に位置する第二ブレードと、
前記グラビアシリンダの上方に設けられ、且つ、前記第一ブレードの一方の側に位置する少なくとも一つのスクリューシリンダと、を備え、
第一状態である時、前記第二ブレードと前記スクリューシリンダはいずれも前記円周面のインクと間隔を保持し、前記円周面にインク層を均一に形成するように、前記第一ブレードは前記円周面のインクを掻き落とし、
第二状態である時、前記第二ブレードは前記インク層と間隔を保持し、前記スクリューシリンダは前記インク層に衝突し、
第三状態である時、前記インク層を掻き落として、一部のインクを前記凹みに入れるよう、前記第二ブレードを前記円周面に衝突させる、
グラビア印刷装置。
【請求項10】
前記第一ブレードに対応して設けられ、前記第一ブレードに蓄積されたインクを駆って前記円周面に逆流させるのに適する第一スクレイパーをさらに備える、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項11】
前記第一スクレイパーは、前記第一ブレードに固定される、又は、前記第一ブレードに回転可能に設けられる、
請求項10に記載のグラビア印刷装置。
【請求項12】
前記第一スクレイパーが回転可能に設けられる第一ステージをさらに備える、
請求項10に記載のグラビア印刷装置。
【請求項13】
前記第二ブレードに対応して設けられ、前記第一ブレードと前記第二ブレードの間に位置し、前記第二ブレードに蓄積されたインクを駆って前記円周面に逆流させるのに適する第二スクレイパーをさらに備える、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項14】
前記第二スクレイパーは、前記第二ブレードに固定される、又は、前記第二ブレードに回転可能に設けられる、
請求項13に記載のグラビア印刷装置。
【請求項15】
前記第二スクレイパーが回転可能に設けられる第二ステージをさらに備える、
請求項13に記載のグラビア印刷装置。
【請求項16】
前記スクリューシリンダは、前記インク層に衝突する時、前記グラビアシリンダは前記第一軸線に沿って回転し、且つ、前記スクリューシリンダは、前記第一軸線に平行な第二軸線に沿って回転する、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項17】
前記スクリューシリンダは、右スクリュー部と前記右スクリュー部に対向する左スクリュー部を備える、
請求項16に記載のグラビア印刷装置。
【請求項18】
前記グラビアシリンダは、第一端部と前記第一端部に対向する第二端部と、を備え、
前記右スクリュー部は、前記第一端部に対応し、前記左スクリュー部は、前記第二端部に対応する時、前記スクリューシリンダは、第一回転方向に沿って回転し、
前記左スクリュー部は、前記第一端部に対応し、前記右スクリュー部は、前記第二端部に対応する時、前記スクリューシリンダは、前記第一回転方向と相反する第二回転方向に沿って回転する、
請求項17に記載のグラビア印刷装置。
【請求項19】
前記スクリューシリンダは、対向して設けられる二つの左回転シリンダ又は二つの右回転シリンダを備え、
前記スクリューシリンダは、前記インク層に接触する時、前記二つの左回転シリンダ、又は、前記二つの右回転シリンダは相反する回転方向に回転する、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項20】
前記スクリューシリンダは、前記インク層に衝突する時、前記グラビアシリンダは、前記第一軸線に沿って回転し、且つ、前記スクリューシリンダは、固定して動かない、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項21】
前記スクリューシリンダは、右スクリュー部と前記右スクリュー部に対向する左スクリュー部を備える、
請求項20に記載のグラビア印刷装置。
【請求項22】
前記グラビアシリンダは、第一端部と前記第一端部に対向する第二端部と、を備え、
前記右スクリュー部は前記第一端部に対応し、前記左スクリュー部は前記第二端部に対応する時、前記スクリューシリンダは第三回転方向に沿って回転し、
前記左スクリュー部は前記第一端部に対応し、前記右スクリュー部は前記第二端部に対応する時、前記スクリューシリンダは前記第一回転方向と相反する第四回転方向に沿って回転する、
請求項21に記載のグラビア印刷装置。
【請求項23】
前記グラビアシリンダは、対向して設けられる左グラビアシリンダと右グラビアシリンダとを備える、
請求項9に記載のグラビア印刷装置。
【請求項24】
前記グラビアシリンダの回転方向が同じで、前記スクリューシリンダは前記インク層に衝突する時、前記左グラビアシリンダと前記右グラビアシリンダはそれぞれ相反する回転方向で回転し、且つ、前記スクリューシリンダは固定して動かない、
請求項23に記載のグラビア印刷装置。
【請求項25】
ロールツーロール製造工程に適用される、
請求項9〜24のいずれか1項に記載のグラビア印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものであり、特にグラビア印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス印刷技術は電子製造業(回路ボード、パネル、太陽エネルギー、または半導体の産業)が一般的に採用する工法は、電子デバイスに配線又はそのほかパターン化構造を製造するのに用いられる。グラビア印刷技術を例とすると、目標物のパターン化構造の印刷は一般的に凹みの形式でグラビアシリンダ(gravure cylinder)の表面に形成する。グラビア印刷製造工程を行う時、まず、インクをグラビアシリンダの表面にスプレーする必要があり、それから一部のインクは凹みに入る。続いて、凹み内のインクを露出させるように、グラビアシリンダの表面のインクを除去する。続いて、グラビアシリンダの表面とブランケットシリンダ(blanket cylinder)を接触させる。グラビアシリンダとブランケットシリンダは相対回転する工程において、凹み内のインクはブランケットシリンダの表面に転写される。その後、ブランケットシリンダの表面のインクが目標物に転写され、目標物にパターン化構造がインクで印刷される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、凹み内のインクを露出させるように、グラビアシリンダの表面のインクを除去する過程において、除去されるインクは外部に容易に垂れてしまい、回収・再利用ができない。また、凹み内のインクがブランケットシリンダの表面に転写された後、凹み内に、残留したインクを有している。グラビアシリンダの表面を湿潤したままにできない状況で、凹み内に残留したインクは容易に乾燥硬化してしまう。凹み内の硬化したインクを洗浄しない場合、印刷品質に影響する。一般的に、凹み内で硬化したインクは溶剤で洗浄する必要があり、且つ、装置も一時的に運転を停止する必要があり、製造工程が延びてしまう。
【0004】
したがって、現有するグラビア印刷技術は、印刷品質及び印刷効率が良くなく、原料の浪費及びコストが高いなどの欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態におけるグラビア印刷装置は、グラビアシリンダ、インク供給ユニット、第一ブレード、第一スクレイパー、及び第二ブレードを備える。グラビアシリンダは第一軸線に沿って回転するのに適し、円周面及び円周面に位置する少なくとも一つの凹みを有する。インク供給ユニットはインクを円周面に供給する。第一ブレードはグラビアシリンダの上方に設けられる。第一スクレイパーは第一ブレードに対応して設けられる。第二ブレードはグラビアシリンダの上方に可動に設けられ、第一ブレードの一方の側に位置し、第一ブレードは第一スクレイパーと第二ブレードの間に位置する。第一状態である時、第二ブレードは円周面のインクと間隔を保持し、円周面にインク層を形成するように、第一ブレードは円周面のインクを掻き落とす。第二状態である時、インク層を掻き落として、一部のインクを凹みに入れるように、第二ブレードを円周面に衝突させ、第一スクレイパーは第一ブレードに蓄積されたインクを駆って(drive)円周面に逆流させる。
【0006】
本発明の別の実施形態におけるグラビアシリンダは、グラビアシリンダ、インク供給ユニット、第一ブレード、第二ブレード、及び少なくとも一つのスクリューシリンダを備える。グラビアシリンダは第一軸線に沿って回転するのに適し、円周面及び円周面に位置する少なくとも一つの凹みを有する。インク供給ユニットはインクを円周面に供給する。第一ブレードはグラビアシリンダの上方に設けられる。第二ブレードはグラビアシリンダの上方に可動に設けられ、前記第一ブレードの一方の側に位置する。スクリューシリンダはグラビアシリンダの上方に設けられ、且つ、第一ブレードの一方の側に位置する。第一状態である時、第二ブレードとスクリューシリンダはいずれも円周面のインクと間隔を保持し、円周面にインク層を均一に形成するように、第一ブレードは円周面のインクを掻き落とす。第二状態である時、第二ブレードはインク層と間隔を保持し、スクリューシリンダはインク層に衝突する。第三状態である時、インク層を掻き落として、一部のインクを凹みに入れるように、第二ブレードを円周面に衝突させる。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明のグラビア印刷装置は、印刷品質及び印刷効率の向上に貢献するだけではなく、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0008】
上述に基づき、本発明のグラビア印刷装置は、ブレード、スクリューシリンダ又は前述の両者の組合せによって、インクをグラビアシリンダの円周面に均一に敷くことができる。また、ブレードに蓄積されたインクが外部に垂れることを防止し、グラビアシリンダの円周面を湿潤したままにするように、ブレードに対応して設けられるスクレイパーはブレードに蓄積されたインクを駆ってグラビアシリンダの円周面に逆流させる。これにより、本発明の実施形態のグラビア印刷装置によれば、印刷品質及び印刷効率の向上に貢献するだけではなく、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0009】
本発明の上述した特徴と利点を更に明確化するために、以下、幾つかの実施形態を挙げて図面と共に詳細な内容を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の第一実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図1B】本発明の第一実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図1C】本発明の第一実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図2】本発明の第二実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。
図3】本発明の第三実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。
図4】本発明の第四実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。
図5A】第五実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図5B】第五実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図5C】第五実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図5D】第五実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。
図6A】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6B】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6C】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6D】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6E】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6F】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6G】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
図6H】各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A図1Cは、本発明の第一実施形態のグラビア印刷装置をロールツーロール製造工程に適用した側面図である。図1Aを参照すると、本実施形態において、グラビア印刷装置100は電子デバイス印刷に応用できる。グラビア印刷装置100は、グラビアシリンダ110、インク供給ユニット120、第一ブレード130、第一スクレイパー140(first scraper)及び第二ブレード150を備える。詳細には、グラビアシリンダ110は、例えば、Z軸に平行な第一軸線A1に延伸し、且つ、例えばモーター(不図示)の駆動装置の駆動により第一軸線A1に沿って回転するのに適している。グラビアシリンダ110は、円周面111及び円周面111に位置する少なくとも一つの凹み112(複数個図示)を有し、そのうち、グラビアシリンダ110は、金属又は合金により製造され、且つ、表面を強化する効果が達成するように、円周面111はクロム(Cr)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、クロム含有ダイヤモンドライクカーボン又はその他の適したコーティング材料がコーティングされる。
【0012】
インク供給ユニット120は、グラビアシリンダ110の上方に設けられ、円周面111と間隔を保持できる。例えば、インク供給ユニット120は、ドット供給ユニットであって、第一軸線A1に平行な方向に沿って、往復移動して、スプレー方式でインク10を円周面111に均一に供給することができる。又は、インク供給ユニット120は、第一軸線A1の延伸する方向に沿って配列される複数のドット供給ユニットであって、これらのドット供給ユニットを第一軸線A1に平行な方向に沿って、往復移動させる必要は無く、インク10を円周面111に均一に供給することができる。又は、インク供給ユニット120は第一軸線A1に平行なライン供給ユニットであって、このライン供給ユニットを第一軸線A1に平行な方向に沿って、往復移動させる必要は無く、インク10を円周面111に均一に供給することができる。インク10の種類と性質は製造上の必要性に応じて決められ、タッチパネル構造のメタルメッシュ(metal mesh)やレイアウト(layout)の製造を例とし、インク10は導電性を具備する。しかしながら、本発明のグラビア印刷装置はタッチパネル構造のメタルメッシュやレイアウトの製造に限らず、回路ボード、太陽電池パネル、照明デバイス(例:有機発光ダイオード)、センサデバイス、又はそのほか電子デバイスの製造に応用でき、そのうちインクは導電性、絶縁性、断熱性、を具備することができ、製造上の必要性に応じて決められる。
【0013】
第一ブレード130は、グラビアシリンダ110の上方に設けられる。第一ブレード130は、例えば、Z軸に平行な方向に延伸し、円周面111と間隔を保持する。本実施形態において、第一ブレード130と第二ブレード150は、金属、合金(例:ステンレス)又は非金属(例:ゴム)などの材質で製造され、且つ、表面を強化する効果が達成するように、表面はクロム(Cr)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、クロム含有ダイヤモンドライクカーボン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はその他の適したコーティング材料がコーティングされる。第一スクレイパー140は第一ブレード130に対応して設けられ、金属、合金(例:ステンレス)又は非金属(例:ゴム)などの材質で製造される。摩擦係数を低減させるように、第一スクレイパー140の表面は、コーティング層(例:フッ化物コーティング層)がコーティングされる。図1Aに示すように、第一スクレイパー140の形状は、三角形、四角形、その他の多角形、円形、楕円形であることができるが、これに限定せず、ここでは三角形を例として説明する。第一ブレード130の表面と第一スクレイパー140の表面は上述のコーティング層がそれぞれコーティングされているので、軽微な衝突や摩擦では、第一ブレード130及び第一スクレイパー140はいずれも簡単に損傷しない。
【0014】
本実施形態において、第一スクレイパー140は、例えば、第一ブレード130に固定、一体成型、または枢接した(pivotally connected)、且つ、Z軸に平行な方向に延伸する。第二ブレード150は、グラビアシリンダ110の上方に可動に設けられ、円周面111に接触させるように、グラビアシリンダ110に近づけるのに適している、又は、円周面111と間隔を保持するように、グラビアシリンダ110から遠ざけるのに適している。図1Aに示すように、大部分の第一スクレイパー140は、第一ブレード130の掻き落とし面131から突出している。第二ブレード150は、第一ブレード130の一方の側に位置し、そのうち、第二ブレード150は、例えば、Z軸に平行な方向に延伸し、且つ、第一ブレード130は実質的に第一スクレイパー140と第二ブレード150の間に位置する。また、インク供給ユニット120はインク10を回転中のグラビアシリンダ110の円周面111にスプレーする時、インク10はグラビアシリンダ110の両側に流れる。このため、該側端に流れるインク10をせき止め、インク10を外部に容易に垂れさせないように、グラビア印刷装置100は少なくとも一つの第三ブレード160(一つを図示)をグラビアシリンダ110の側端に選択配置できる。本実施形態において、グラビア印刷装置は二つ以上の第三ブレードをグラビアシリンダの一つの側端に設ける、又はグラビアシリンダの対向する両側の側端に少なくとも一つの第三ブレードをそれぞれ設けることができる。
【0015】
図1Aに示す第一状態では、グラビアシリンダ110は第一軸線A1に沿って回転し、第一ブレード130は円周面111のインク10と接触し、第二ブレード150は円周面111のインク10と間隔を保持する。この時、円周面111にインク層11を均一に形成するように、第一ブレード130は掻き落とし面131を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク10を掻き落とす。また、第一スクレイパー140は円周面111に面する停止面141を備え、掻き落とし面131で交差する。掻き落とし面131に蓄積されたインク10は、停止面141の方へ流れて、且つ、停止面141に接触した後、せき止められる。第一ブレード130に固定される第一スクレイパー140を例とすると、せき止められたインク10は重力の作用を受けて、円周面111に逆流させる。第一ブレード130に枢接した第一スクレイパー140を例とすると、Z軸に平行な軸線に沿って第一ブレード130に対して適時回転し、停止面141が掻き落とし面131に蓄積されたインク10を押して円周面111に逆流させる。上記二つの第一ブレード130と第一スクレイパー140の結合によって、第一ブレード130に蓄積されたインク10が外部に垂れることを防止でき、インク10の使用率を向上させ、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。言及すべきこととして、第一ブレード130はグラビアシリンダ110に対して揺れ動くので、掻き落とし面131と円周面111との間に挟まれる角度を調整でき、この角度の調整範囲は約15°から75°の間にある。
【0016】
続いて、図1Aに示す第一状態から図1Bに示す第二状態に切り換わる時、第二ブレード150をグラビアシリンダ110に近づけて、円周面111に衝突させる。第二ブレード150とグラビアシリンダ110の表面はいずれも強化処理されており、軽微な衝突や摩擦では、第二ブレード150とグラビアシリンダ110はいずれも簡単に損傷しない。第二ブレード150は掻き落とし面151を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク層11を掻き落として、一部のインク10を凹み112に入れる。別の一部のインク10は掻き落とし面151に流れ、掻き落とし面151に蓄積される。言及すべきこととして、第二ブレード150はグラビアシリンダ110に対して揺れ動くので、掻き落とし面151と円周面111との間に挟まれる角度を調整でき、この角度の調整範囲は約15°から75°の間にある。
【0017】
本実施形態において、グラビア印刷装置100はロールツーロール製造工程に適用され、グラビアシリンダ110とブランケットシリンダ20を連動させる。ブランケットシリンダ20は、例えば、Z軸に平行な第一軸線A2に延伸し、且つ、例えばモーター(不図示)の駆動装置の駆動により第一軸線A2に沿って回転するのに適している。グラビアシリンダ110の回転方向とブランケットシリンダ20の回転方向は互いに相反する。回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク層11を掻き落として、インク10を凹み112に入れた後、凹み112内のインク10はグラビアシリンダ110の円周面111と接触するブランケットシリンダ20の円周面21に転写される。
【0018】
図1Cを参照すると、目標物30はX軸に平行な方向Dに沿って移動してブランケットシリンダ20の下方を通過する。凹み112内のインク10はブランケットシリンダ20の円周面21に転写された後、回転中のブランケットシリンダ20は円周面21のインク10を目標物30の目標面31に転写し、目標物30の目標面31にパターン化構造12を形成する。この時、円周面111と間隔を保持するように、第二ブレード150はグラビアシリンダ110から遠ざけるように移動できる。また、円周面111に薄い層を形成するように、第一スクレイパー140は掻き落とし面131に蓄積されたインク10を駆って円周面111に逆流させる。これにより、グラビアシリンダ110の円周面111を湿潤したままにでき、凹み112内に残留したインク10の乾燥硬化を防ぐことができる。換言すると、グラビア印刷装置100は装置の運転を一時的に停止して凹み内のインク10を清掃する頻度を減らし、印刷品質及び印刷効率を向上させることができる。
【0019】
ここで、説明すべきこととして、その他の実施形態において、グラビア印刷装置はブランケットシリンダ20を連動させないで、凹み内のインクを目標物の目標面に直接転写して、目標物の目標面にパターン化構造を形成することを選択することもできる。
【0020】
以下に、その他の実施形態を列挙して説明する。ここで説明すべきこととして、下記の実施形態は前述の実施形態の部品番号と部分的な内容を用い、同じ部品番号を用いて同じ又は相似する部品を表記し、同じ技術内容の説明は省略する。省略部分の説明については前述の実施形態を参照するものとし、下記の実施形態において繰り返し説明しない。
【0021】
図2は、本発明の第二実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。図2を参照すると、本実施形態におけるグラビア印刷装置100Aと第一実施形態におけるグラビア印刷装置100は概ね相似しており、両者の主な差異は、グラビア印刷装置100Aは、第二スクレイパー170をさらに備え、第二スクレイパー170は第二ブレード150に対応して設けられ、第一ブレード130と第二ブレード150の間に位置することである。詳しくは、第二スクレイパー170は、例えば、第二ブレード150に固定、一体成型、または枢接した、且つ、Z軸に平行な方向に延伸する。また、大部分の第二スクレイパー170は第二ブレード150の掻き落とし面151から突出し、停止面171はグラビアシリンダ110の円周面111に面することで、停止面171は掻き落とし面151で交差する。第二スクレイパー170は、金属、合金(例:ステンレス)又は非金属(例:ゴム)などの材質で製造され、且つ、摩擦係数を低減させるように、表面はコーティング層(例:フッ化物コーティング層)がコーティングされる。図2に示すように、第二スクレイパー170の形状は、三角形、四角形、その他の多角形、円形、楕円形であることができるが、これに限定せず、ここでは三角形を例として説明する。第二スクレイパー170の表面と第二ブレード150の表面は上述のコーティング層をそれぞれコーティングしているので、軽微な衝突や摩擦では、第二ブレード150及び第二スクレイパー170はいずれも簡単に損傷しない。
【0022】
例えば、第二ブレード150は掻き落とし面151を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク10を掻き落とす時、一部のインク10は凹み112に入り、別の一部のインク10は掻き落とし面151に流れて、掻き落とし面151に蓄積される。掻き落とし面151に蓄積されたインク10は、停止面171の方へ流れて、且つ、停止面171に接触した後、せき止められる。円周面111と間隔を保持するように、第二ブレード150はグラビアシリンダ110から遠ざけるように移動する時、第二ブレード150に固定される第二スクレイパー170を例とすると、せき止められたインク10は重力の作用を受けて、円周面111に逆流させる。第二ブレード150に枢接した第二スクレイパー170を例とすると、Z軸に平行な軸線に沿って第二ブレード150に対して適時回転し、停止面171が掻き落とし面151に蓄積されたインク10を押すことで円周面111に逆流させる。上記二つの第二ブレード150と第二スクレイパー170の結合によって第二ブレード150に蓄積されたインク10が外部に垂れることを防止でき、インク10の使用率を向上させ、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0023】
また、第二スクレイパー170は掻き落とし面151に蓄積されたインク10を駆って円周面111に逆流させ、円周面111に薄い層を形成した後、グラビアシリンダ110の円周面111を湿潤したままにでき、凹み112内に残留したインク10の乾燥硬化を防ぐことができる。換言すると、グラビア印刷装置100Aは装置の運転を一時的に停止して凹み内のインク10を清掃する頻度を減らし、印刷品質及び印刷効率を向上させることができる。
【0024】
図3は、本発明の第三実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。図3を参照すると、本実施形態におけるグラビア印刷装置100Bと第一実施形態におけるグラビア印刷装置100は概ね相似しており、両者の主な差異は、グラビア印刷装置100Bの第一スクレイパー140は第一ブレード130に接続されず、第一スクレイパー140は掻き落とし面131の一方の側に設けられることである。詳細には、グラビア印刷装置100Bは第一ステージ180をさらに備え、第一スクレイパー140は第一ステージ180に回転可能に設けられ、停止面141によって円周面111に面する。また、第一スクレイパー140は掻き落とし面131に選択可能に衝突する。
【0025】
例えば、円周面111にインク層11を均一に形成するように、第一ブレード130は掻き落とし面131を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク10を掻き落とす時、掻き落とし面131に蓄積されたインク10は、停止面141の方へ流れて、且つ、停止面141に接触した後、せき止められる。この時、停止面141が掻き落とし面131に蓄積されたインク10を押して円周面111に逆流させるように、第一スクレイパー140はZ軸に平行な軸線に沿って第一ステージ180に対して適時回転し、第一ブレード130に蓄積されたインク10が外部に垂れることを防止でき、インク10の使用率を向上させ、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0026】
図4は、本発明の第四実施形態のグラビア印刷装置の側面図である。図4を参照すると、本実施形態におけるグラビア印刷装置100Cと第三実施形態におけるグラビア印刷装置100Bは概ね相似しており、両者の主な差異は、グラビア印刷装置100Cは、第二スクレイパー170と第二ステージ181をさらに備え、第二スクレイパー170は第二ブレード150に対応して設けられ、第一ブレード130と第二ブレード150の間に位置することである。また、第二ステージ181は第一ブレード130と第二ブレード150の間に位置し、第二スクレイパー170は第二ステージ181に回転可能に設けられる。第二スクレイパー170は第二ブレード150に接続されず、第二スクレイパー170は掻き落とし面151の一方の側に設けられ、停止面171によって円周面111に面する。また、第二スクレイパー170は掻き落とし面151に選択可能に衝突する。
【0027】
例えば、第二ブレード150は掻き落とし面151を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク10を掻き落とす時、一部のインク10は凹み112に入り、別の一部のインク10は掻き落とし面151に流れて、掻き落とし面151に蓄積される。掻き落とし面151に蓄積されたインク10は、停止面171の方へ流れて、且つ、停止面171に接触した後、せき止められる。円周面111と間隔を保持するように、第二ブレード150はグラビアシリンダ110から遠ざけるように移動させる時、第二スクレイパー170はZ軸に平行な軸線に沿って第二ステージ181に対して適時回転し、停止面171が掻き落とし面151に蓄積されたインク10を押すことで円周面111に逆流させる。このように、第二ブレード150に蓄積されたインク10が外部に垂れることを防止でき、インク10の使用率を向上させ、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0028】
図5A図5Dは、第五実施形態のグラビア印刷装置がロールツーロール製造工程に応用された側面図である。図5Aを参照すると、本実施形態におけるグラビア印刷装置100Dと第一実施形態におけるグラビア印刷装置100は概ね相似しており、両者の主な差異は、グラビア印刷装置100Dは、少なくとも一つのスクリューシリンダ190をさらに備え(一つ図示)、且つ、第三ブレード160を配置するか、配置しないか選択でき、ここでは、第三ブレード160を配置しない場合を例に挙げて説明する。詳細には、スクリューシリンダ190はグラビアシリンダ110の上方に可動に設けられ、且つ、例えば、Z軸に平行な第二軸線A3に沿って延伸する。スクリューシリンダ190は第一ブレード130の一方の側に位置し、第一ブレード130はスクリューシリンダ190と第二スクレイパー150との間に位置する。スクレイパーの設置方式に関しては前述の実施形態における説明を参考にするものとし、ここでは繰り返さない。
【0029】
図5Aに示す第一状態では、グラビアシリンダ110は第一軸線A1に沿って回転し、第一ブレード130は円周面111のインク10と接触し、第二ブレード150とスクリューシリンダ190はいずれも円周面111のインク10と間隔を保持する。この時、円周面111にインク層11を均一に形成するあめに、第一ブレード130は掻き落とし面131を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク10を掻き落とす。続いて、図5Aに示す第一状態から図5Bに示す第二状態に切り換わる時、第二ブレード150はインク層11と間隔を保持し、スクリューシリンダ190はインク層11に衝突する。詳細には、スクリューシリンダ190は円周面111に接触せず、且つ、スクリューシリンダ190と円周面111との間の最短距離は、実質的に第一ブレード130と円周面111との間の最短距離に等しい。例えば、インク供給ユニット120はインク10を回転中のグラビアシリンダ110の円周面111にスプレーする時、インク10はグラビアシリンダ110の両側に流れる。スクリューシリンダ190は回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク層11に衝突し、グラビアシリンダ110の両側のインク10を駆ってグラビアシリンダ110の中間に逆流させ、インク10を容易に外部に垂れさせず、グラビアシリンダ110の円周面111に厚さが均一なインク層11を形成する。
【0030】
図5Bに示す第二状態から図5Cに示す第三状態に切り換わる時、第二ブレード150をグラビアシリンダ110に近づけて、円周面111に衝突させる。第二ブレード150は掻き落とし面151を経て回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク層11を掻き落として、一部のインク10を凹み112に入れる。本実施形態において、グラビア印刷装置100Dはロールツーロール製造工程に適用され、グラビアシリンダ110とブランケットシリンダ20を連動させる。ブランケットシリンダ20は、例えば、Z軸に平行な第一軸線A2に延伸し、且つ、例えばモーター(不図示)の駆動装置の駆動により第一軸線A2に沿って回転するのに適している。グラビアシリンダ110の回転方向とブランケットシリンダ20の回転方向は互いに相反する。回転中のグラビアシリンダ110の円周面111のインク層11を掻き落として、インク10を凹み112に入れた後、凹み112内のインク10はグラビアシリンダ110の円周面111と接触するブランケットシリンダ20の円周面21に転写される。
【0031】
図5Dを参照すると、目標物30はX軸に平行な方向Dに沿って移動してブランケットシリンダ20の下方を通過する。凹み112内のインク10はブランケットシリンダ20の円周面21に転写された後、回転中のブランケットシリンダ20は円周面21のインク10を目標物30の目標面31に転写し、目標物30の目標面31にパターン化構造12を形成する。この時、円周面111と間隔を保持するように、第二ブレード150はグラビアシリンダ110から遠ざけるように移動できる。
【0032】
ここで、説明すべきこととして、グラビアシリンダ110の両側のインク10を駆ってグラビアシリンダ110の中間に逆流させ、インク10を容易に外部に垂れさせず、グラビアシリンダ110の円周面111に厚さが均一なインク層11を形成するように、第二実施形態から第四実施形態までのグラビア印刷装置100Aから100Cはスクリューシリンダ190を選択配置できる。
【0033】
スクリューシリンダ190はグラビアシリンダ110の両側のインク10を駆ってグラビアシリンダ110の中間に逆流させる実施方式を具体的に説明するために、以下にスクリューシリンダ190の各実施態様及びスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用について列挙する。図6A図6Hは、それぞれ各種スクリューシリンダとグラビアシリンダを統合した正面図である。図6Aを参照すると、スクリューシリンダ190はインク層11に衝突する時、グラビアシリンダ110は第一軸線A1に沿って回転し、且つ、スクリューシリンダ190は第一軸線A1に平行な第二軸線A3に沿って回転する。本実施形態において、スクリューシリンダ190は二つの対向する右スクリュー部191と左スクリュー部192を備えることができ、そのうち右スクリュー部191のZ軸方向の長さが左スクリュー部192のZ軸方向の長さに実質的に同じであり、且つ、両者の境界線はグラビアシリンダ110の中心対称線(Z軸に垂直)に揃う。この中心対称線に基づき、グラビアシリンダ110を二つの対向する第一端部113と第二端部114に分けることができる。右スクリュー部191は第一端部113に対応し、左スクリュー部192は第二端部114に対応する。また、右スクリュー部191のZ軸方向の長さが第一端部113のZ軸方向の長さ以上である必要があり、左スクリュー部192のZ軸方向の長さが第二端部114のZ軸方向の長さ以上である必要がある。
【0034】
スクリューシリンダ190は金属又は合金により製造され、且つ、表面を強化する効果が達成するように、表面はクロム(Cr)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、クロム含有ダイヤモンドライクカーボン又はその他の適したコーティング材料をコーティングできる。本実施形態において、右スクリュー部191はワイヤ196をスクリューシリンダ190の一方の半分の表面に右回りに巻きつけ、右ねじ山を備える部分を指す。これに対し、左スクリュー部192はワイヤ196をスクリューシリンダ190の他方の半分の表面に左回りに巻きつけ、左ねじ山を備える部分を指す。ワイヤ196は不織布、糸、高分子材料製であることができるが、これに限定しない。これにより、ワイヤ196はグラビアシリンダ110の円周面111に接触する時、グラビアシリンダ110の損傷を避ける。ワイヤ196の直径は0.5mmから10mmの間にある。また、右スクリュー部191の右ねじ山と左スクリュー部192の左ねじ山はいずれも等間隔のねじ山である。その他の実施形態において、右スクリュー部の右ねじ山と左スクリュー部の左ねじ山は異なる間隔のねじ山、又は、異なる間隔のねじ山と等間隔のねじ山の組み合わせであることができ、そのねじ山の間隔(リードと称する)は必要に応じて増減可能である。また、右スクリュー部の右ねじ山と左スクリュー部の左ねじ山は切削方式でグラビアシリンダに形成することができ、ワイヤを巻きつけてなることに限定しない。
【0035】
本実施形態において、スクリューシリンダ190は第一回転方向R1に沿って回転し、グラビアシリンダ110の回転方向と第一回転方向R1はお互いに反対方向である。したがって、右スクリュー部191の右ねじ山は第一端部113のインク層11に接触する時、右ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、左スクリュー部192の左ねじ山は第二端部114のインク層11に接触する時、左ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0036】
図6Bを参照すると、図6Aに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190の左スクリュー部192は第一端部113に対応し、右スクリュー部191は第二端部114に対応する。ここで、スクリューシリンダ190は第二回転方向R2に沿って回転し、グラビアシリンダ110の回転方向と第二回転方向R2はお互いに反対方向である。ここで、説明すべきこととして、第二回転方向R2と図6Aに示す第一回転方向R1はお互いに反対方向である。したがって、左スクリュー部192の左ねじ山は第一端部113のインク層11に接触する時、左ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、右スクリュー部191の右ねじ山は第二端部114のインク層11に接触する時、右ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0037】
図6Cを参照すると、図6Aに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190は固定して動かず、グラビアシリンダ110は第三回転方向R3(図6Aに示す第一回転方向R1とお互いに反対方向である)に沿って回転する。したがって、右スクリュー部191の右ねじ山は第一端部113のインク層11に接触する時、右ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、左スクリュー部192の左ねじ山は第二端部114のインク層11に接触する時、左ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0038】
図6Dを参照すると、図6Bに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190は固定して動かず、グラビアシリンダ110は第四回転方向R4(図6Bに示す第一回転方向R2とお互いに反対方向である)に沿って回転する、第四回転方向R4は、図6Cに示す第三回転方向R3とお互いに反対方向である。したがって、左スクリュー部192の左ねじ山は第一端部113のインク層11に接触する時、左ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、右スクリュー部191の右ねじ山は第二端部114のインク層11に接触する時、右ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0039】
図6Eを参照すると、上述の実施形態におけるスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190は、第一左回転シリンダ193aと第二左回転シリンダ193bを備えることができる。第一左回転シリンダ193aは第一端部113に対応し、第二左回転シリンダ193bは第二端部114に対応する。第一左回転シリンダ193aは第一端部113のインク層11に接触し、且つ、第二回転方向R2に沿って回転する時、左ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、第二左回転シリンダ193bは第二端部114のインク層11に接触し、且つ、第一回転方向R1に沿って回転する時、左ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0040】
図6Fを参照すると、図6Eに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190は、対向して設けられる第一右回転シリンダ194aと第二右回転シリンダ194bを備えることができる。第一右回転シリンダ194aは第一端部113に対応し、第二右回転シリンダ194bは第二端部114に対応する。第一右回転シリンダ194aは第一端部113のインク層11に接触し、且つ、第一回転方向R1に沿って回転する時、右ねじ山は第一端部113の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。これに対して、第二右回転シリンダ194bは第二端部114のインク層11に接触し、且つ、第二回転方向R2に沿って回転する時、右ねじ山は第二端部114の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導く。
【0041】
換言すると、スクリューシリンダ190は二つの同じ回転方向のシリンダから構成される状況では、ねじ山の回転方向とシリンダの回転方向は互いに連動する必要があり、グラビアシリンダ110の対向する両側の側端に流れるインクをグラビアシリンダ110の中間に逆流させるよう導くことができる。
【0042】
図6Gを参照すると、図6Eに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190の数は一つであり、左回転シリンダであることができる。また、グラビアシリンダ110は対向して設けられる左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bを備え、そのうち、左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bは同じ軸線であり軸(即ち第一軸線A1)、且つ、お互いの間に間隙を有する。スクリューシリンダ190はインク層11に衝突する時、スクリューシリンダ190は固定して動かず、左グラビアシリンダ110aは第四回転方向R4に沿って回転し、右グラビアシリンダ110bは第三回転方向R3に沿って回転する。第四回転方向R4と第三回転方向R3の回転方向はお互いに反対方向である。この時、スクリューシリンダ190の左ねじ山は、左グラビアシリンダ110aの側端に流れるインクを左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部に逆流させるよう導き、右グラビアシリンダ110bの側端に流れるインクを左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部に逆流させるよう導く。インクが左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部の間隙内に流れ込まないように、左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部にストッパー161、162を設けることができ、ストッパー161は左グラビアシリンダ110aに対応して設けられ、ストッパー162は右グラビアシリンダ110b対応して設けられる。
【0043】
図6Hを参照すると、図6Gに示すスクリューシリンダ190とグラビアシリンダ110との連動と相互作用と異なり、本実施形態において、スクリューシリンダ190は右回転シリンダであることができる。スクリューシリンダ190はインク層11に衝突する時、スクリューシリンダ190は固定して動かず、左グラビアシリンダ110aは第三回転方向R3に沿って回転し、右グラビアシリンダ110bは第四回転方向R4に沿って回転する。この時、スクリューシリンダ190の右ねじ山は、左グラビアシリンダ110aの側端に流れるインクを左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部に逆流させるよう導き、右グラビアシリンダ110bの側端に流れるインクを左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部に逆流させるよう導く。インクが左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部の間隙内に流れ込まないように、左グラビアシリンダ110aと右グラビアシリンダ110bの対向部にストッパー161、162を設けることができ、ストッパー161は左グラビアシリンダ110aに対応して設けられ、ストッパー162は右グラビアシリンダ110b対応して設けられる。
【0044】
以上により、本発明のグラビアシリンダは、ブレード、スクリューシリンダ又は前述の両者の組合せによって、インクをグラビアシリンダの円周面に均一に敷くことができる。また、ブレードに蓄積されたインクが外部に垂れることを防止し、グラビアシリンダの円周面を湿潤したままにするように、ブレードに対応して設けられるスクレイパーはブレードに蓄積されたインクを駆ってグラビアシリンダの円周面に逆流させる。これにより、本発明の実施形態のグラビア印刷装置によれば、印刷品質及び印刷効率の向上に貢献するだけではなく、原料の浪費を減少でき、コストを低減できる。
【0045】
本発明は以上の実施例のように示したが、本発明は、これに限られるものではなく、当業者が本発明の精神の範囲から逸脱しない範囲において、変更又は修正することが可能であるが故に本発明の保護範囲は均等の範囲にまで及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るグラビア印刷装置は、電子デバイスの印刷技術に適用される。
【符号の説明】
【0047】
10 インク
11 インク層
12 パターン化構造
20 ブランケットシリンダ
21,111 円周面
30 目標物
31 目標面
100,100A,100B,100C,100D グラビア印刷装置
110 グラビアシリンダ
110a 左グラビアシリンダ
110b 右グラビアシリンダ
112 凹み
113 第一端部
114 第二端部
120 インク供給ユニット
130 第一ブレード
131,151 掻き落とし面
140 第一スクレイパー
141,171 停止面
150 第二ブレード
160 第三ブレード
161,162 ストッパー
170 第二スクレイパー
180 第一ステージ
181 第二ステージ
190 スクリューシリンダ
191 右スクリュー部
192 左スクリュー部
193a 第一左回転シリンダ
193b 第二左回転シリンダ
194a 第一右回転シリンダ
194b 第二右回転シリンダ
196 ワイヤ
A1 第一軸線
A2 軸線
A3 第二軸線
R1 第一回転方向
R2 第二回転方向
R3 第三回転方向
R4 第四回転方向
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H