【解決手段】本発明の積層体は、表面層と蓄熱層が積層された積層体であり、蓄熱層の両面には金属層が積層されており、蓄熱層は、蓄熱材及び金属塩水和物を含むことを特徴とする。
前記蓄熱層が、相変化温度の異なる蓄熱層が、2層以上積層されたものであり、前記表面層に近い蓄熱層の相変化温度が最も低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の積層体で使用する蓄熱層は、蓄熱材及び金属塩水和物を含むものであり、片面または両面には金属層が積層されていることを特徴とするものである。
蓄熱層の片面または両面に金属層が積層されていることにより、空間内部側に金属層が積層されている場合は、蓄熱層と空間内部の冷熱、温熱を効率よく伝導し、吸熱効果、放熱効果を高め、外側に金属層が積層されている場合は太陽光や輻射熱を効率よく遮蔽することができる。さらに、蓄熱層に金属塩水和物を含むことにより、上記効果をよりいっそう高めて優れた省エネルギー化を実現できるとともに、耐熱性を向上させることができ蓄熱層の変質や蓄熱材の漏れを防止することができ、優れた省エネルギー化を長期間維持することができる。
【0014】
本発明の積層体で使用する蓄熱層は、蓄熱材及び金属塩水和物を含むものである。このような蓄熱層は、例えば、蓄熱材、金属塩水和物を樹脂で固定化したもの、蓄熱材及び金属塩水和物をカプセル化し樹脂で固定化したもの、カプセル化した蓄熱材と金属塩水和物を樹脂で固定化したもの等が挙げられる。
また、蓄熱層は、厚みが1mm以上10mm以下(さらには2mm以上7mm以下)であるものを好適に用いることができる。このような厚みであれば、十分な蓄熱性能が得られるとともに、薄膜化が実現できる。
【0015】
蓄熱材としては、例えば、無機潜熱蓄熱材、有機潜熱蓄熱材が挙げられ、これらの蓄熱材のうち1種または2種以上を用いることができる。本発明では、特に脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、脂肪酸トリグリセリド、ポリエーテル化合物等の有機潜熱蓄熱材を好適に用いることができる。有機潜熱蓄熱材は、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度(融点)の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能である。なお、本発明蓄熱層の相変化温度とは、用いる蓄熱材の相変化温度(融点)で決定されるものである。
【0016】
特に、本発明では、蓄熱材として、炭素数8以上36以下の脂肪族炭化水素、炭素数8以上36以下の長鎖アルコール、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルを用いること好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、n−デカン(融点−30℃)、n−ウンデカン(融点−25℃)、n−ドデカン(融点−8℃)、n−トリデカン(融点−5℃)、ペンタデカン(融点6℃)、n−テトラデカン(融点8℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、エイコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、例えば、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、例えば、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)、オクタデカン酸(融点70℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
【0017】
金属塩水和物としては、例えば、金属と酸との金属塩の水和物が挙げられる。
金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、特に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムから選ばれる1種以上が好適である。
酸としては、例えば、珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸等が挙げられ、特に珪酸、硼酸、燐酸、硫酸、炭酸から選ばれる1種以上、さらには硼酸、燐酸から選ばれる1種以上が好適である。
また、金属塩水和物は、金属塩・n水和物で表され、nは2以上20以下、さらには3以上17以下、さらには3以上11以下の整数であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた耐熱性を示し、短い時間で効率よく蓄熱することができる。nが2未満の場合、耐熱性が不十分な場合があり、nが20より大きい場合、長期に亘って優れた耐熱性、蓄熱性を維持することが困難な場合がある。
具体的には、リン酸二水素ナトリウム(2水和物)、リン酸水素マグネシウム(3水和物)、リン酸二水素マグネシウム(4水和物)、二リン酸四ナトリウム(10水和物)、リン酸水素二ナトリウム(12水和物)、四ホウ酸ナトリウム・10水和物、四ホウ酸ナトリウム・5水和物、四ホウ酸カリウム・4水和物、四ホウ酸カリウム・8水和物、四ホウ酸ストロンチウム・4水和物、メタホウ酸マグネシウム・8水和物、八ホウ酸二ナトリウム・4水和物、メタケイ酸ナトリウム・5水和物、炭酸ナトリウムカリウム・6水和物、シュウ酸マンガン・2水和物、硫酸アルミニウム・16水和物、硫酸アルミニウム・18水和物、硫酸カリウムアルミニウム・12水和物、硫酸銅・5水和物、硫酸コバルト・7水和物、硫酸ナトリウム・10水和物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
なお、金属塩水和物の代わりに、金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物を使用した場合、耐熱性の向上を図ることが難しい。
【0018】
金属塩水和物の粒子径は、特に限定されないが、本発明の効果発現の点で30μm以上600μm以下、さらには50μm以上250μm以下であることが好ましい。なお、粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けによって得られる値である。
【0019】
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、合成ゴム等の溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型、無溶剤型等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、特に、ポリオールーイソシアネート、アミンーエポキシ等の架橋構造を形成する樹脂を用いることが好ましく、このような樹脂を使用すれば、架橋構造内に蓄熱材が担持・保持されて固定化した蓄熱層が得られやすい。特に、ポリオールと金属塩水和物の組み合わせがよいものと思われ、ポリオールーイソシアネートを用いた場合、金属塩水和物が効率よく均一に分散するため好ましい。
【0020】
また上記成分とともに、粘土鉱物、界面活性剤、熱伝導性物質、相溶化剤、反応促進剤、難燃剤、顔料、骨材、粘性調整剤、可塑剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維類、香料、化学物質吸着剤、光触媒、吸放湿性粉粒体等の添加剤を混合することもできる。
【0021】
蓄熱材をカプセル化する場合は、蓄熱材と不飽和単量体を混合し、不飽和単量体を重合させることで蓄熱材をカプセル化することができ、該カプセルを上述した樹脂で固定化し、蓄熱層を得ることができる。
不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル単量体、芳香族ビニル単量体等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
また、蓄熱材と不飽和単量体とともに、金属塩水和物を混合することもでき、開始剤、界面活性剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤等の添加剤を混合することもできる。
【0022】
本発明では、蓄熱材の含有比率が高く、成形・加工しやすい点で、蓄熱材を樹脂で固定化した蓄熱層を用いることが好ましい。
また、蓄熱層における蓄熱材の含有比率は、蓄熱層全量に対して30重量%以上、さらには35重量%以上、さらには40重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
【0023】
また、金属塩水和物の混合量は、蓄熱材100重量部に対し、10重量部以上120重量部以下、好ましくは15重量部以上90重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上60重量部以下であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた蓄熱性、熱伝導性とともに、耐熱性に優れる成形体を得ることができる。
このように本発明の蓄熱層は、蓄熱材を多く含み、さらに金属塩水和物を含有することで、優れた蓄熱性を維持しつつ、優れた耐熱性を示し、かつ、優れた熱伝導性を示すことができる。
金属塩水和物が、10重量部より少ない場合、耐熱性の向上がみられなかったり、熱伝導性の向上もみられない恐れがある。金属塩水和物が、120重量部より多い場合、硬化不良を引き起こす場合がある。
【0024】
一般に、蓄熱材(特に有機潜熱蓄熱材)は、金属化合物との混合が困難であり両者を効率よく分散させることが難しい。本発明は、蓄熱材に対し、金属化合物として金属塩水和物を用い、樹脂を組み合わせることで、蓄熱材と金属塩水和物が効率良く混合することが可能となったものと思われる。
さらにこのような状態を維持したまま蓄熱層が形成され、優れた蓄熱性を有するとともに耐熱性にも優れる成形体を得ることができる。さらに、熱伝導性とともに、強度と柔軟性を兼ね備えた成形体を得ることができる。
【0025】
また本発明では用途に合わせて、蓄熱材を適宜選定することができる。例えば、居住空間に使用する場合は、蓄熱材の融点が15℃〜40℃付近のものを使用すればよい。この他、車輌等の内装材として用いる場合は蓄熱材の融点が15℃〜40℃付近のものを、冷蔵庫に用いる場合は蓄熱材の融点が0℃〜15℃付近のものを、冷凍庫に用いる場合は蓄熱材の融点が−30℃〜−10℃付近のものを、それぞれ使用すればよい。
また蓄熱材の選定においては、蓄熱材1種のみでもよいし、融点の異なる2種以上の蓄熱材を混合して選定することもできる。
【0026】
また、蓄熱層は、相変化温度の異なる蓄熱層が、2層以上積層されたものでもよい。相変化温度の異なる蓄熱層を積層することによって、幅広い熱の蓄熱が可能となり、より効率よく省エネ効果を発揮することができる。2層以上積層する場合、それぞれの蓄熱層の片面または両面に金属層が積層されたものでもよいし、蓄熱層を積層した後、積層された蓄熱層の片面または両面に金属層が積層されたものでもよい。
【0027】
本発明では特に、表面層に近い蓄熱層の相変化温度が最も低いことが好ましい。このように積層することにより、表面層側の内部空間(居住空間)の冷熱を表面層に近い蓄熱層に蓄えやすく、外部へ冷熱を拡散させにくくするとともに、表面層に近い蓄熱層以外の蓄熱層で外部の熱を蓄えて内部空間(居住空間)への移動を抑えることができ、冷房効率に優れ、優れた省エネルギー化を実現することができる。
本発明では、相変化温度の異なる蓄熱層を、2層積層することが好ましい。居住空間に使用する場合は、表面層に近い蓄熱層の相変化温度が15℃〜35℃付近、表面層から遠い蓄熱層の相変化温度が25℃〜40℃付近のものを使用すればよく、2つの蓄熱層の相変化温度の差が3℃以上、さらには5℃以上であることが好ましい。
また、車輌等の内装材として用いる場合は、蓄熱層の相変化温度が15℃〜35℃付近のものと、相変化温度が25℃〜40℃付近のものを使用することが好ましい。
また、冷蔵庫に用いる場合は蓄熱層の相変化温度が0℃〜15℃付近のものと、相変化温度が10℃〜25℃付近のもの、また、冷凍庫に用いる場合は蓄熱層の相変化温度が−30℃〜−10℃付近のものと、相変化温度が−20℃〜0℃付近のものを使用することができる。
【0028】
蓄熱層を2層積層する場合、蓄熱層の厚みは合計で1mm以上10mm以下(さらには2mm以上7mm以下)であることが好ましい。また各層の厚みは、異なっても、同じでもよく0.5mm以上5mm以下(さらには1mm以上3.5mm以下)であることが好ましい。
【0029】
本発明で用いる金属層は、例えば、銅、アルミニウム、鉄、真鍮、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等の金属材料を含む金属層が挙げられ、本発明では特に、銅、アルミニウム、鉄から選ばれる1種以上の金属材料を含む金属層を好適に用いることができる。
また金属層は、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の樹脂フィルム、織布や不織布、ガラスクロス等の材料と、上記金属材料とが積層されたものでもよい。例えば、樹脂フィルムに金属が蒸着された金属蒸着フィルム、樹脂フィルムやガラスクロスに金属箔が積層された金属フィルム、樹脂フィルム、織布や不織布、ガラスクロス中に金属粒子が埋没された複合金属シート等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併せて用いることができる。
また金属層の厚みは、0.01mm以上3mm以下(好ましくは0.02mm以上1.5mm以下、さらに好ましくは0.05mm以上1.0mm以下)のものが好ましい。このような厚みの金属層は、蓄熱、放熱の効率性、軽量化の面から好適に使用することができる。また、輻射熱反射効果、防炎効果の向上にも好適である。また、金属層表面は、なんらかの表面処理が施されたものでもよい。
【0030】
蓄熱層と金属層との積層は、特に限定されず、例えば、予め製造された蓄熱層を接着材等で金属層と積層する方法、蓄熱層を形成する成分(蓄熱層前駆体)を金属層に積層し、金属層上で蓄熱層を形成して得る方法等が挙げられる。
【0031】
本発明の積層体で使用する表面層は、例えば、木質板、スレート板、石膏ボード、ALC板、珪酸カルシウム板、サイディングボード等、あるいはコーティング膜等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。このような表面層は、熱伝導率が0.1W/(m・K)以上1.0W/(m・K)以下の、ある程度熱を伝導する表面層が好ましい。
表面層の厚みは、3mm以上15mm以下(さらには4mm以上10mm以下)であるものを好適に用いることができる。
また、このような表面層は、貫通孔を有するものでもよく、貫通孔を有することにより、蓄熱層と空間(居住空間)との熱伝導効率を向上させることができる。
また、表面層と蓄熱層の積層は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば表面層と予め製造された蓄熱層を接着材等で積層する方法、また、表面層の片面に蓄熱層を形成する成分(蓄熱層前駆体)を積層し、表面層上で蓄熱層を形成する方法等によって積層体を得ることができる。
【0032】
本発明の積層体について、実施するための形態の一つを
図1〜
図3に示す。
図1、2に示す表面層1−1は、厚さ6mmの珪酸カルシウム板である。
図1、2に示す蓄熱層2−1は、蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−1の厚みは3mmである。
図1、2に示す金属層3−1は、厚さ0.1mmのアルミニウムシートである。
図1、2のAは積層前、
図1、2のBは積層後の形態を示す。
【0033】
図3に示す表面層1−2は、厚さ6mmの石膏ボードである。
図3に示す蓄熱層2−2は、蓄熱材(パルミチン酸メチル(融点30℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・5水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−2の厚みは2mmである。
図3に示す蓄熱層2−3は、蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・5水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−3の厚みは2mmである。
図3に示す金属層3−1は、厚さ0.1mmのアルミニウムシートである。
図3Aは積層前、
図3Bは積層後の形態を示す。
【実施例】
【0034】
以下に実験例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実験例に限定されない。
【0035】
(実験例1)
図4に示すように、内寸が高さ280mm×幅280mm×奥行280mmとなるように発泡ポリスチレンフォーム(厚み30mm)を用いて枠組を組み立て、
図1に示す積層体を表面層が下側になるように設置し、試験体ボックスを作製した。なお、積層体上面と発泡ポリスチレンフォームの間には10mmの空間を設けた。さらに、表面層表面の温度、試験体ボックス中心の温度を測定するため熱電対を設置した。
実験では、該試験体ボックス上面220mmの位置から赤外線ランプを3.5時間照射し、表面層表面の温度、試験体ボックス中心の温度(空間温度)を測定した。
なお、本発明積層体の代わりに表面層のみをブランクとして測定した。
結果は、
図5に示すとおりであり、表面層表面の温度、空間温度ともに、ブランクに比べ温度上昇が抑えられた結果となった。例えば、1時間後のブランクとの表面層表面温度差は4.4℃、空間温度の温度差は1.2℃であった。
【0036】
(実験例2)
図1の積層体の代わりに、
図2の積層体を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて5.2℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.4℃低かった。
【0037】
(実験例3)
図1の積層体の代わりに、
図3の積層体を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて7.5℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて2.0℃低かった。
【0038】
(実験例4)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて2.8℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて0.9℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、硫酸カリウムアルミニウム・12水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0039】
(実験例5)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて1.9℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて0.7℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、硫酸アルミニウム・18水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0040】
(実験例6)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.2℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.1℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・5水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0041】
(実験例7)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.5℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.2℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、二リン酸四ナトリウム(10水和物)15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0042】
(実験例8)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて3.4℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.0℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))40重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物30重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:40重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0043】
(実験例9)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.6℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.3℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))60重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物10重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:60重量%)である。蓄熱層の厚みは3mmである。
【0044】
(実験例10)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて3.5℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて0.9℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは1.5mmである。
【0045】
(実験例11)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.7℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.5℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは5.0mmである。
【0046】
(比較例1)
図1において、次に示す蓄熱層を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.0℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.0℃低かった。
蓄熱層:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム(無水物)15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上で形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層の厚みは3.0mmである。
【0047】
(耐熱性試験)
実験例1〜11で得られた積層体について、下記の耐熱性試験を行った。
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に基づき、20分後の総発熱量を測定した。なお、コーンカロリーメーターとしては「CONE2A」(アトラス製)を用い、加熱強度は50kW/m
2とした。
結果は、実験例1〜11において、加熱時間20分での総発熱量が6.0MJ/m
2以下、という優れた耐熱性を示した。しかし、比較例1においては、総発熱量が6.0MJ/m
2を超える結果となった。