【解決手段】折り畳み可能なベビーカー1において、前輪が配置される一対の前脚フレーム11と、後輪が配置される一対の後脚フレーム12と、前脚フレーム11と後脚フレーム12に支持される着座部10と、着座部10の前後方向に対して直交する方向の両側において、前脚フレーム11と後脚フレーム12とが回動可能に支持される一対のフレーム取付部材29と、長尺で、かつ、可撓性を有するフロントガード部材31であって、各端部がフレーム取付部材29の各々に取り付けられ、着座部10の前方において着座部10を跨いで配置されるフロントガード部材31とを備える。ベビーカー1が折り畳まれた状態において、フロントガード部材31は、上方に位置して持ち手となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のベビーカーにおいて、ハンドルは、ベビーカーを押すなど操縦することを前提に設けられたものである。また、例えば、ハンドルには、ベビーカーを展開した状態にロックし折り畳みを禁止する開閉レバーなどの操作部も配置されている。このため、ハンドルは、操作部などが邪魔になって、ベビーカーを運ぶ際の持ち手として使うには使いづらい構成となっている。また、ハンドルは、剛体であり、可撓性を有するものでないため、肩にも掛けづらい。
【0005】
また、ベビーカーの中には、ベビーカーが折り畳まれた状態で肩掛けできるように、ベルトが付属されたものもある。しかし、ベルトを設けた場合には、ベビーカーを展開した状態において、ベルトが邪魔になる。
【0006】
本発明は、折り畳まれた状態において、容易に持ち運ぶことを可能にしたベビーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するベビーカーは、折り畳み可能なベビーカーにおいて、前輪が配置される一対の前脚フレームと、後輪が配置される一対の後脚フレームと、前記前脚フレームと前記後脚フレームに支持される着座部と、前記着座部の前後方向に対して直交する方向の両側において、前記前脚フレームと前記後脚フレームとが回動可能に支持される一対のフレーム取付部材と、長尺で、かつ、可撓性を有するフロントガード部材であって、各端部が前記フレーム取付部材の各々に取り付けられ、前記着座部の前方において前記着座部を跨いで配置される前記フロントガード部材とを備える。そして、前記ベビーカーが折り畳まれた状態において、前記フロントガード部材は、前記前輪および後輪に対して反対側となる上方に位置して持ち手となる。
上記構成によれば、ベビーカーが折り畳まれた状態において、フロントガード部材を持ち手として用いることができる。
【0008】
上記ベビーカーにおいて、前記一対のフレーム取付部材のうち少なくとも1つは、前記フロントガード部材の端部を着脱可能とする着脱部を備える構成としてもよい。
上記構成によれば、フロントガード部材は、操作者の好みや乳幼児の成長度合いに応じて取り外すことができる。
【0009】
上記ベビーカーにおいて、前記フレーム取付部材に取り付けられるハンドルをさらに備え、前記ハンドルは、前記フレーム取付部材において前記ベビーカーの後方に回動可能である構成としてもよい。
上記構成によれば、折り畳まれたベビーカーの全高を低くすることができる。ベビーカーをフロントガード部材を持ち手として使った際に、折り畳まれたベビーカーを持ち運びやすい高さとすることができる。
【0010】
上記ベビーカーにおいて、前記ベビーカーが折り畳まれた状態において、前記フロントガード部材の長手方向の中央部は、最も高い位置に位置する構成としてもよい。
上記構成によれば、フロントガード部材の位置が高くなり、フロントガード部材を手に持って、または、肩にかけて折り畳まれたベビーカーを持ち運びやすくなる。
【0011】
上記ベビーカーにおいて、前記着座部に対して前方に足載せ部をさらに備え、前記ベビーカーが折り畳まれた状態において、前記フロントガード部材は、鉛直方向に対して前記足載せ部側に傾いて位置する構成としてもよい。
上記構成によれば、折り畳まれたベビーカーと操作者との間には、足載せ部が介在することで、足載せ部が緩衝材として機能し、操作者に対する衝撃を緩和することができる。
【0012】
上記ベビーカーにおいて、前記後脚フレームには、前記後輪の上側に、開閉ステップが配置されている構成としてもよい。
上記構成によれば、折り畳まれたベビーカーを展開するとき、後脚フレームの開閉ステップを踏むことで、安定した状態で展開作業を行うことができる。
【0013】
上記ベビーカーにおいて、前記フロントガード部材は、着座部の前方において前記着座部を跨いで配置され、ベビーカーに対して着脱可能なフロントガード部材において、長尺で、かつ、可撓性を有するガード本体と、前記ガード本体の各端部に取り付けられ、前記着脱部に対して着脱されるバックルとを備え、前記ガード本体は、各端部に、前記バックルと接続される接続部を備え、前記バックルは、前記接続部が挿入される挿入口と、前記挿入口と連続し、前記挿入口から挿入された前記接続部が固定される固定部とを備え、前記ガード本体における前記接続部の基端と隣接する部分は、前記ガード本体の長手方向の中央部より肉厚な肉厚部を備え、前記肉厚部は、その肉厚を前記挿入口の部分の肉厚に揃える構成としてもよい。
上記構成によれば、肉厚部の厚さをバックルの取付部材の厚さに揃えるようにし、バックルの表面とガード本体の端部との間に段差が形成されないようにする。これにより、フロントガード部材の手触りを向上させることができる。
【0014】
上記ベビーカーにおいて、前記ガード本体は、前記長手方向の中央部において、短手方向において、前記中央部の両側より幅広な幅広部を備える構成としてもよい。
上記構成によれば、肩や掌との接触面が増え、肩や掌への負担を軽減することができる。
【0015】
上記ベビーカーにおいて、前記接続部は、厚さ方向に、離間した一対の接続片を備え、前記接続部は、前記一対の接続片の間に補強片を挟み込んだ状態で、前記挿入口から前記固定部に挿入され、前記固定部において、固定部材によって、前記バックルに対して固定される構成としてもよい。
上記構成によれば、ガード本体とバックルとの接続を、一対の接続片の間に補強片を介在させることで、強固にすることができる。したがって、フロントガード部材を持ち手として使用するときにも、接続部分の強度を、折り畳まれたベビーカーを持ち運ぶのに十分なものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、折り畳まれた状態において、容易に持ち運ぶことを可能にしたベビーカーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図15を参照して、本発明を適用した第1実施形態としてのベビーカーを説明する。
図1および
図2は、乳幼児などを乗せて使用するための一人乗りのベビーカー1であり、乳幼児などを寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用する。
図1および
図2に示すベビーカー1の状態は、後方からベビーカー1を操作する背面押しの状態を示し、以下の説明では、背面押しの状態を基準にして、進行方向を「前方」と定義し、進行方向に対して反対方向を後方(背面)と定義し、さらに進行方向に対して左右方向を左右と定義し、進行方向に対して上下方向を上下と定義する。なお、
図1では、クッション材等からなるシート部材や幌を割愛している。
【0019】
このベビーカー1は、一対の前脚フレーム11と、一対の後脚フレーム12と、乳幼児などが着座する着座部10を構成する着座フレーム13とを備えている。各前脚フレーム11は、全体がほぼ直線的な形状を有しており、一端部が折曲し、一端部にキャスター付きの前輪11aが配置されている。各後脚フレーム12は、全体がほぼ直線的な形状を有しており、一端部には、キャスター付きの後輪12aが配置されている。一対の前脚フレーム11は、左右方向に横断する前ステー14によって連結されており、一対の後脚フレーム12も、左右方向に横断する後ステー15によって連結されている。前ステー14には、着座している乳幼児等が足を掛けるステップ16が配置されている。
【0020】
一対の前脚フレーム11において、前輪11aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、フレーム取付部材29が取り付けられている。一対の後脚フレーム12も、後輪12aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、フレーム取付部材29が取り付けられている。前脚フレーム11の他端部と後脚フレーム12の他端部とは、フレーム取付部材29において、互いに回動可能に支持されている。そして、前脚フレーム11と後脚フレーム12が、互いに近接離間する方向に移動する。
【0021】
後脚フレーム12には、後輪12aの近傍であって後輪12aの上側に、開閉ステップ17が配置される。開閉ステップ17は、折り畳まれたベビーカー1を展開する際に、操作者がつま先を乗せるように軽く踏んで折り畳まれているベビーカー1を支持するために用いられる。
【0022】
左右の前脚フレーム11と後脚フレーム12の間には、前後方向に、側部フレーム18が配置されている。各側部フレーム18は、全体がほぼ直線的な形状を有しており、一端部が前脚フレーム11の他端部に近い位置において回動可能に支持され、他端部が後脚フレーム12の中間位置において回動可能に支持されている。
【0023】
着座フレーム13は、一対有し、各々の基端部が連結部材を介してフレーム取付部材29に対して回動可能に取り付けられている。一対の着座フレーム13の間には、着座部10を構成するシート部材が配置される。一対の着座フレーム13の先端部には、着座部10に着座した乳幼児等の足を支持する足載せ部13bを構成する足載せバー13aが回動可能に取り付けられる。足載せバー13aは、U字形状を有し、U字形状の各端部が着座フレーム13の先端部に回動可能に支持される。一対の着座フレーム13には、クッション材等からなるカバー部材が取り付けられて、着座部10と一連の足載せ部13bを構成する。足載せバー13aは、着座フレーム13に対する角度を多段階で調整することができる。一対の着座フレーム13は、前脚フレーム11の他端部に近い位置に側部フレーム18の一端部と同じ軸によって回動可能に支持されている。
【0024】
着座フレーム13の基端部には、背当てフレーム19が回動可能に支持される。背当てフレーム19は、シート部材が取り付けられて、着座部10と一連となり、着座部10に着座した乳幼児等の背当て部19dとなる。背当てフレーム19は、U字形状を有し、一対の縦フレーム19aと縦フレーム19aとを連結する連結フレーム19bとを備えている。連結フレーム19bは、背当て部19dの上側に位置し、着座部10に着座した乳幼児の頭部を支持するヘッドレスト19cが回動可能に支持されている。
【0025】
フレーム取付部材29には、ベビーカー1の後方に向かってハンドル20が配置されている。ハンドル20は、各フレーム取付部材29から延出する延出フレーム21と、延出フレーム21を連結する操作フレーム22とを備え、全体がU字形状を有している。延出フレーム21は、直線的な形状を有し、フレーム取付部材29を介してベビーカー1の後方に回動可能に支持されている。延出フレーム21の先端部は、回動支持部材23を介して操作フレーム22が連結されている。回動支持部材23において、操作フレーム22は、延出フレーム21に対してベビーカー1の前方に向かって回動可能に支持されている。操作フレーム22には、ベビーカー1の折り畳みをロックする操作部となる開閉レバー22aが配置されている。折り畳まれているベビーカー1は、開閉レバー22aが操作されることで、ロックが解除されて、展開可能となる。また、展開されているベビーカー1は、開閉レバー22aが操作されることで、ロックが解除されて、折り畳み可能となる。
【0026】
後脚フレーム12には、中程に、ハンドル20の回動支持部材23の係合凹部23aと係合するロック部材26を備えている。ロック部材26は、ベビーカー1が折り畳まれた状態において、先端部が係合凹部23aと係合することによって、ハンドル20と後脚フレーム12とが近接した状態から離れた状態に移動しないようにして、ベビーカー1が展開されないようにロックする。
【0027】
フレーム取付部材29の各々は、ベビーカー1の左右方向において、最も外側に位置する。これにより、着座部10は、内側に突出する部材がなくなり、着座部10における乗り心地が悪化することを抑制する。
また、フレーム取付部材29の各々には、フロントガード部材31が着脱可能に取り付けられる。具体的に、各フレーム取付部材29は、フロントガード部材31の端部に配置されたバックル38を構成する挿入部材46(
図3,4参照)が着脱される着脱部24を備えている。着脱部24は、ベビーカー1が展開された状態において、鉛直方向に対して斜め前方に突出し、その先端面に着脱口24aが構成され、着脱口24a(
図5参照)からフロントガード部材31のバックル38を構成する挿入部材46が挿入される。また、着脱部24には、バックル38のロック部46bが露出する操作開口部25が配置されている。
【0028】
図3および
図4に示すように、フロントガード部材31は、長尺で、可撓性を有するガード本体32と、ガード本体32の両端部の接続部36とを備える。接続部36には、バックル38が取り付けられる。ガード本体32は、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)とPE(ポリエチレン樹脂)の混合した合成樹脂などの可撓性を有する樹脂材料で形成されている。ガード本体32は、長尺で偏平なベルト状の部材であって、手触りを良好とするように表面は平坦若しくは短手方向に緩やかな曲面となるように構成されている。また、ガード本体32は、一例として、操作者が手で把持できる程度の幅を有する。ガード本体32の裏面は、中央部において、短手方向において延び、長手方向に対して互いに平行な複数の第1リブ33を備えている。また、ガード本体32の中央部は、短手方向においてその両側部分よりも幅広な幅広部34を備えている。第1リブ33は、幅広部34の裏面に配置されている。フロントガード部材31は、ベビーカー1の折り畳み時において、肩掛けベルトのような持ち手として機能する。幅広部34は、肩との接触面を幅広とすることで、肩への荷重を分散できるようにする。幅広部34は、手触りを良好とするように、その側縁部もなだらかな曲線となるように構成され、手触りを向上させている。また、フロントガード部材31は、手で持たれたり肩に掛けられることもあり、第1リブ33は、ガード本体32の長手方向に撓みやすくなることで、掌や肩の形状に倣って撓み、掌や肩への負担を軽減することができる。
【0029】
ガード本体32の両端部の裏面は、長手方向において延び、短手方向に対して互いに平行な第2リブ35を備えている。第2リブ35は、接続部36の近傍に配置されることで、着脱部24に固定された際に、着脱部24に対して捩じれやすくなる。これにより、ベビーカー1の手で持ったときや肩掛け時などにおいて、肩や掌に対する負担を軽減することができる。
【0030】
ガード本体32における接続部36の基端と隣接する部分は、ガード本体32の長手方向の中央部より肉厚な肉厚部37を備える。フロントガード部材31は、持ち手としても機能することから、着脱部24に接続されるバックル38もベビーカー1の重さを支持できるだけの強度を有する大きな部材となる。したがって、肉厚部37は、ガード本体32の肉厚を、バックル38の取付部材45の厚さに揃えるようにし、取付部材45の表面とガード本体32の端部との間に段差が形成されないようにしている。すなわち、肉厚部37の表面は、取付部材45の表面とほぼ面一となるように構成されている。これにより、肉厚部37と取付部材45との境界部分の手触りを向上させている。肉厚部37は、長手方向の中央側から接続部36に向かって漸次肉厚となるようななだらかな曲面で構成されている。
【0031】
図5および
図6に示すように、接続部36は、ガード本体32の厚さ方向において、互いに平行に離間した一対の接続片39と、一対の接続片39の間に挿入される補強片41とを備えている。一対の接続片39と補強片41とはほぼ同じ大きさであり、一対の接続片39には、中心軸線を一致させて取付孔42が配置され、補強片41にも、取付孔42と中心軸線を一致させて貫通孔43が配置されている。貫通孔43の周囲には、環状の位置決め突部44が配置され、位置決め突部44は、取付孔42に嵌合される。
【0032】
一対の接続片39は、補強片41が挿入された状態で、バックル38に組み付けられる。バックル38は、接続部36に対して取り付けられる取付部材45と、取付部材45に対して回動可能な挿入部材46とを備えている。
【0033】
取付部材45は、補強片41が間に挿入された一対の接続片39が挿入される挿入口45aと、挿入口45aと連続した空間部である固定部45bとを備えている。固定部45bには、取付孔42および貫通孔43と中心軸線を一致させる固定孔45cが配置されている。補強片41が間に挿入された一対の接続片39が挿入口45aから固定部45bに挿入されたとき、取付孔42、貫通孔43および固定孔45cには、カシメピンなどの固定部材48が挿入され、端部がカシメられることによって、固定部45b内に固定される。取付部材45の挿入口45aの周縁部と肉厚部37の表面がほぼ面一となり、段差がなくなる。また、取付部材45は、挿入口45aとは反対側に挿入部材46を回動可能に支持する一対の回動支持片45dを備えている。
【0034】
挿入部材46は、着脱部24に挿入される挿入部46aと、挿入部46aに配置されるロック部46bと、一対の回動支持片45dの間に挿入される回動支持部46cとを備えている。挿入部材46は、一対の回動支持片45dの間に回動支持部46cが挿入され、回動軸部材47が回動支持部46cの回動支持孔46dに挿入され、両端が回動支持片45dに支持されることによって、取付部材45に対して回動可能に取り付けられる。
【0035】
図7および
図8に示すように、挿入部材46は、フレーム取付部材29の着脱部24に対して、着脱部24の先端部に配置された着脱口24aから挿入される。ロック部46bは、挿入部46aに備えられた弾性片に配置されており、挿入部材46は、着脱部24に挿入されると、ロック部46bが弾性片が弾性変位することで操作開口部25に係合する。挿入部材46は、ロック部46bを押圧し操作開口部25との係合が解除されることによって着脱部24から取り外される。
【0036】
以上のように構成されたフロントガード部材31は、ガード本体32の部分を含む全体が縫製品の筒状カバー部材に挿入されて使用されるのではなく、ガード本体32が露出した状態で使用することができる。したがって、フロントガード部材31には、乳幼児や操作者の手が直接触れる部材となる。そこで、フロントガード部材31は、肉厚部37の厚さをバックル38の取付部材45の厚さに揃えるようにし、バックル38の取付部材45の表面とガード本体32の端部との間に段差が形成されないようにし、手触りを向上させている。また、ガード本体32の表面を平坦若しくは短手方向に緩やかな曲面となるように構成し、また、幅広部34の側縁部もなだらかな曲線となるように構成することで、手触りを良くしている。
【0037】
次に、以上のように構成されたベビーカー1の作用について説明する。
図1および
図2に示すように、ベビーカー1は、展開された状態において、操作者がハンドル20を介して押すことによって前進する。走行時には、フロントガード部材31が着座部10の前方に跨って配置され、着座している乳幼児などがフロントガード部材31につかまれるようになっている。
【0038】
図9に示すように、ベビーカー1を折り畳むときには、先ず、ハンドル20の開閉レバー22aが操作されることによってロックが解除される。ロックが解除されると、先ず、ハンドル20を構成する操作フレーム22は、延出フレーム21に対してベビーカー1の前方に向かって回動される。
図10に示すように、次いで、ハンドル20を構成する延出フレーム21は、ベビーカー1の後方に回動される。
図11に示すように、すると、前脚フレーム11と後脚フレーム12とが互いに近接する方向に移動され、さらに、前脚フレーム11とハンドル20が近接する方向に移動されて折り畳まれる。
図12に示すように、ハンドル20の回動支持部材23の係合凹部23aに対して、後脚フレーム12のロック部材26が係合される。これにより、ハンドル20と後脚フレーム12とは近接した状態から離れた状態に移動しないようにロックされ、結果として、ベビーカー1は、折り畳まれた状態にロックされる。
【0039】
以上のように折り畳まれたベビーカー1にあっては、フレーム取付部材29の着脱部24が鉛直方向に対して斜め前方、すなわち足載せ部13b側に突出し、その先端面が折り畳まれたベビーカー1の中で最も高い位置に位置し、その位置からフロントガード部材31が延出する。したがって、自ずと、フロントガード部材31の長手方向の中央部も、折り畳まれたベビーカー1の中で最も高い位置に位置する。
図13に示すように、操作者は、折り畳まれたベビーカー1において、フロントガード部材31を手で持ったり、肩に掛けたりして、ベビーカー1を持ち運ぶ。この際、足載せ部13bは、操作者側に位置される。操作者側に足載せ部13bを位置させたときには、ベビーカー1と操作者との間に足載せ部13bが介在することになり、足載せ部13bが緩衝材として機能する。
図14に示すように、また、操作者は、足載せ部13bの側に立つと、操作者とベビーカー1との間には、足載せ部13bが位置する。この場合、操作者は、を前輪11aや後輪12aで転がしながら、ベビーカー1を運ぶこともできる。この際、操作者とベビーカー1との間には足載せ部13bが介在するので、操作者に対してベビーカー1が当たっても、足載せ部13bによって衝撃を緩和することができる。
【0040】
図15に示すように、折り畳まれているベビーカー1を展開する場合には、先ず、開閉ステップ17を操作者がつま先を乗せるように軽く踏んで、折り畳まれているベビーカー1を支持する。次いで、ハンドル20の開閉レバー22aが操作されることによってロックが解除される。また、ハンドルの回動支持部材23の係合凹部23aと後脚フレーム12のロック部材26との係合が解除される。そして、ハンドル20の操作フレーム22が上側に引かれると、
図10に示す状態となる。すなわち、前脚フレーム11と後脚フレーム12とハンドル20とは互いに離間する方向に移動する。そして、ハンドル20を構成する延出フレーム21は、ベビーカー1の上方に回動され、操作フレーム22は、延出フレーム21に対して後方に回動される。そして、ベビーカー1は、展開した状態となると、展開状態にロックされる。
【0041】
以上のようなベビーカー1によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)ベビーカー1が折り畳まれた状態において、フロントガード部材31を持ち手として用いることができる。
(2)フロントガード部材31は、操作者の好みや乳幼児の成長度合いに応じて取り外すことができる。
(3)ハンドル20は、フレーム取付部材29に対してベビーカー1の後方に回動する。これにより、折り畳まれたベビーカー1の全高を低くすることができる。ベビーカー1をフロントガード部材31を持ち手として使った際に、折り畳まれたベビーカー1を持ち運びやすい高さとすることができる。
(4)ベビーカー1が折り畳まれた状態で、フロントガード部材31の長手方向の中央部が最も高くなる。したがって、手で持って、または、肩にかけて、折り畳まれたベビーカー1を持ち運びやすくなる。
(5)ベビーカー1が折り畳まれた状態で、着脱部24が最も高くなることで、フロントガード部材31の位置を高い位置に設定することができる。したがって、手で持って、または、肩にかけて、折り畳まれたベビーカー1を持ち運びやすくなる。
(6)ベビーカー1が折り畳まれた状態において、ベビーカー1と操作者との間に、足載せ部13bを介在させることで、足載せ部13bを緩衝材として機能させ、操作者に対する衝撃を緩和することができる。また、操作者の衣服と前輪11aや後輪12aと触れることも抑制され、衣服が汚れることを防ぐことができる。
(7)ロック部材26によって、ベビーカー1が折り畳まれた状態にロックすることができる。これにより、持ち運び時に、折り畳まれた状態にあるベビーカー1が展開してしまうことを抑制することができる。
(8)折り畳まれたベビーカー1を展開するとき、後脚フレーム12の開閉ステップ17を踏むことで、安定した状態で展開作業を行うことができる。
(9)フレーム取付部材29が左右方向において、最も外側に位置し、着座部10に突出していないことから、着座部10における乗り心地を向上させることができる。
【0042】
(10)フロントガード部材31は、肉厚部37の厚さをバックル38の取付部材45の厚さに揃えるようにし、バックル38の取付部材45の表面とガード本体32の端部との間に段差が形成されないようにする。これにより、フロントガード部材31の手触りを向上させることができる。したがって、このフロントガード部材31は、縫製品の筒状カバー部材で覆わなくても、手触りを悪化させることなく、着脱部24に取り付けて使用することができる。勿論、フロントガード部材31に筒状カバー部材を取り付けることを妨げるものではない。また、肉厚部37の表面は、取付部材45の表面とほぼ面一となるように構成されることで、肉厚部37と取付部材45との境界部分の隙間も小さくなり、異物が挟まることを抑えることができる。
(11)フロントガード部材31は、ガード本体32の長手方向中央部において第1リブ33を備えることで、長手方向に撓みやすくなり、掌や肩の形状に倣って撓み、掌や肩への負担を軽減することができる。
(12)フロントガード部材31は、ガード本体32の両端部に第2リブ35を備えることで、着脱部24に対して捩じれやすくなり、折り畳まれたベビーカー1の手で持ったときや肩掛け時などにおいて、肩や掌に対する負担を軽減することができる。
(13)フロントガード部材31は、長手方向中央部において、幅広部34を備えるので、肩や掌との接触面が増え、肩や掌への負担を軽減することができる。
(14)ガード本体32とバックル38との接続は、一対の接続片39の間に補強片41を介在させることで、強固にすることができる。したがって、フロントガード部材31を持ち手として使用するときにも、接続部分の強度を、折り畳まれたベビーカー1を持ち運ぶのに十分なものとすることができる。
【0043】
(第2実施形態)
以下、
図16〜
図18を参照して、本発明を適用した第2実施形態としてのベビーカーを説明する。
図16に示すように、このベビーカー101は、一対の前脚フレーム111と、一対の後脚フレーム112と、乳幼児などを寝かせた姿勢や座らせた姿勢で乗車させる着座部としての座板部材113とを備えている。各前脚フレーム111は、直線的な形状を有しており、その一端部には、キャスター付きの前輪111aが配置されている。各後脚フレーム112は、L字形状を有しており、その一端部には、キャスター付きの後輪112aが配置されている。一対の前脚フレーム111は、左右方向に横断する前ステー114によって連結されており、一対の後脚フレーム112も、左右方向に横断する後ステー115によって連結されている。
【0044】
一対の前脚フレーム111において、前輪111aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、フレーム取付部材としてのアームレスト116が回動可能に支持されている。一対の後脚フレーム112もまた、後輪112aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、アームレスト116の後端部が回動可能に支持されている。座板部材113は、一対の前脚フレーム111と一対の後脚フレーム112との間であって、前輪111aおよび後輪112aとアームレスト116との間の中間位置に配置されている。具体的に、前脚フレーム111と後脚フレーム112の間には、前後方向に、側部フレーム117が配置されている。各側部フレーム117は、L字状形状を有しており、前方端部は、前脚フレーム111の長手方向の中程に回動可能に支持され、後方端部は、前方端部より上方に位置して後脚フレーム112の長手方向の中程の折曲部に回動可能に支持されている。座板部材113は、左右の両側縁部がこのような側部フレーム117に対して弾性変位可能に支持されている。
【0045】
アームレスト116の先端部には、フロントガード部材31が着脱可能に取り付けられる。具体的に、各アームレスト116は、フロントガード部材31の端部に配置された挿入部材46が着脱される着脱部24を備えている。着脱部24は、ベビーカー101が展開された状態において、上方に突出し、その先端面からフロントガード部材31のバックル38が挿入される。なお、フロントガード部材31や着脱部24は、上述したベビーカー1のフロントガード部材31や着脱部24と同様な構成を有するため詳細は省略する。また、
図17及び
図18の例では、フロントガード部材31における、ガード本体32の部分を含む全体が縫製品の筒状カバー部材120で被覆されている。勿論、筒状カバー部材120を外して使用することも可能である。
【0046】
ベビーカー101は、一対の後脚フレーム112の折曲部のさらに外側に、ハンドル118が前後方向に回動可能に支持されている。
【0047】
次に、以上のように構成されたベビーカー101の作用について説明する。
ベビーカー101は、展開された状態において、操作者がハンドル118を介して押すことによって前進する。走行時には、フロントガード部材31が座板部材113の前方に跨って配置され、着座している乳幼児などがフロントガード部材31につかまれるようになっている。
【0048】
図17に示すように、ベビーカー1を折り畳むときには、先ず、ロックが解除され、後輪112aを支点にベビーカー101を後方に傾ける。すると、前脚フレーム111と後脚フレーム112とハンドル118とが互いに近接する方向に移動されて折り畳まれる。
図18に示すように、このとき、アームレスト116の着脱部24は、上方側に突出し、フロントガード部材31が延出する。したがって、自ずと、フロントガード部材31の長手方向の中央部も、折り畳まれたベビーカー1の高い位置に位置する。操作者は、折り畳まれたベビーカー1において、フロントガード部材31を手で持ったり、肩に掛けたりして、ベビーカー1を持ち運ぶことができる。また、操作者は、ベビーカー1の前輪11aや後輪112aを転がしながら、ベビーカー1を運ぶこともできる。
【0049】
以上のようなベビーカー101によれば、上記ベビーカーとしての(1)や(2)の効果やフロントガード部材31としての(10)〜(14)を得ることができるほかに、以下に列挙する効果が得られる。
(15)アームレスト116に、フロントガード部材31を取り付けることができる。
(16)ベビーカー1が折り畳まれた状態で、フロントガード部材31の長手方向の中央部が高い位置に位置するので、フロントガード部材31を持ち手として使いやすくなる。
【0050】
なお、上記ベビーカー1は、以下のように変更してもよい。
・フロントガード部材31において、ガード本体32の接続部36とバックル38の取付部材45との接続構造は、上述の例に特に限定されるものではない。例えば、一対の接続片39の間に挿入される補強片41は、独立した片ではなく、取付部材45の固定部45bに一体に形成された片であってもよい。これにより、一層、接続部36が取付部材45から外れにくくなる。
・フロントガード部材31において、ガード本体32の長手方向の中央部に設けられた幅広部34は備えていなくてもよい。例えば、ガード本体32は、長手方向に同じ幅であってもよいし、長手方向中央部が長手方向中央部の両側より幅狭であってもよい。また、ガード本体32の長手方向の幅が、場所によって様々な寸法を有していてもよい。例えば、ガード本体32の長手方向の両側縁部が蛇行した形状を有していてもよい。
・第2リブ35を構成するリブの本数は特に限定されるものではない。また、第2リブ35は備えていなくてもよい。
・第1リブ33を構成するリブの本数は特に限定されるものではない。また、第1リブ33は備えていなくてもよい。
・ガード本体32の両端部の肉厚部37は、少なくともガード本体32の両端部にあればよく、肉厚部37の厚さは、長手方向中央部の方向まで続いていてもよい。また、ガード本体32の長手方向の厚さは、肉厚部37以外は特に限定されるものではない。
・バックル38を構成する取付部材45と挿入部材46とは一体の部材であってもよい。例えば、取付部材45に対して挿入部材46は回動する構成でなくてもよい。
・フレーム取付部材29は、内側、すなわち着座部10の側に突出するように設けられていてもよい。
【0051】
・後脚フレーム12の開閉ステップ17は、特に設けなくてもよい。
・後脚フレーム12のロック部材26は、他のロック手段がある場合、特に備えていなくてもよい。
・足載せ部13bは特に備えていなくてもよい。フロントガード部材31や着脱部24は、鉛直方向に対して足載せ部13b側に突出するのではなく、鉛直方向に突出していてもよい。
・着脱部24の先端部は、折り畳まれたベビーカー1において、高い位置に位置していれば、一番高い位置に位置していなくてもよい。
・着脱部24に取り付けられたベビーカー1は、折り畳まれた状態において、フロントガード部材31の長手方向中央部が高い位置に位置していれば、一番高い位置に位置していなくてもよい。
・ハンドル20は、特に、ベビーカー1の後方に回動するものでなくてもよい。また、ハンドル20は、ベビーカー1の前方に回動させて、着座部10の乳幼児などと向かい合う対面押しをできるようにしてもよい。また、ハンドル20は、操作フレーム22が延出フレーム21に対して回動しなくてもよい。また、ハンドル20は、延出フレーム21と操作フレーム22とに分割されていなくてもよい。
・フロントガード部材31は、フレーム取付部材29に対して着脱可能でなくてもよい。また、フロントガード部材31は、少なくとも一方の端部がフレーム取付部材29に対して着脱可能であってもよい。すなわち、フロントガード部材31の両端部がフレーム取付部材29に対して着脱可能であってもよい。
・ガード本体32は、ガード本体32の部分が長さ調節可能であってもよい。
・ガード本体32は、可撓性を有するのであれば、その材料は特に限定されるものではなく、編みベルトなどであってもよい。
・折り畳み時において、フロントガード部材31が前輪11aおよび後輪12aに対して反対側となる上方に位置して持ち手として機能するのであれば、ベビーカー1の折り畳み構造は、特に限定されるものではない。
【0052】
上記実施形態、及び、その変形例によれば、更に、以下の技術的思想が導き出される。
(付記1)前記ベビーカーにおいて、前記ベビーカーが折り畳まれた状態において、前記着脱部の先端部は、最も高い位置に位置する。
上記構成によれば、フロントガード部材を手に持って、または、肩にかけて折り畳まれたベビーカーを持ち運びやすくなる。
(付記2)前記ベビーカーにおいて、前記ベビーカーが折り畳まれた状態において、前記前脚フレームと前記後脚フレームと前記ハンドルとは、互いに近接し、前記前脚フレームと前記後脚フレームと前記ハンドルとが互いに離間する方向への回動を規制するロック部材をさらに備える。
上記構成によれば、持ち運び時に、折り畳まれた状態にあるベビーカーが展開してしまうことを抑制することができる。
(付記3)前記ベビーカーにおいて、前記着座部の前後方向に対して直交する方向の両側において、前記フレーム取付部材は、最も外側に位置する。
上記構成によれば、フレーム取付部材が左右方向において、最も外側に位置し、着座部に突出していないことから、着座部における乗り心地を向上させることができる。
(付記4)
着座部の前方において前記着座部を跨いで配置され、ベビーカーに対して着脱可能なフロントガード部材において、長尺で、かつ、可撓性を有するガード本体と、前記ガード本体の各端部に取り付けられるバックルとを備え、前記ガード本体は、各端部に、前記バックルと接続される接続部を備え、前記バックルは、前記接続部が挿入される挿入口と、前記挿入口と連続し、前記挿入口から挿入された前記接続部が固定される固定部とを備え、前記ガード本体における前記接続部の基端と隣接する部分は、前記ガード本体の長手方向の中央部より肉厚な肉厚部を備え、前記肉厚部は、その肉厚を前記挿入口の部分の肉厚に揃えるように構成されているフロントガード部材。
上記構成によれば、肉厚部の厚さをバックルの取付部材の厚さに揃えるようにし、バックルの表面とガード本体の端部との間に段差が形成されないようにする。これにより、フロントガード部材の手触りを向上させることができる。
(付記5)
上記フロントガード部材において、前記ガード本体は、前記長手方向の中央部において、前記長手方向に対する短手方向に延び、長手方向に対して互いに平行な複数のリブを備える。
上記構成によれば、長手方向に対して撓みやすくなり、掌や肩の形状に倣って撓み、掌や肩への負担を軽減することができる。
(付記6)
上記フロントガード部材において、前記ガード本体は、各端部に、長手方向に延び、前記長手方向に対する短手方向に対して互いに平行な複数のリブを備える。
上記構成によれば、着脱部に対して短手方向に捩じれやすくなり、折り畳まれたベビーカーの手で持ったときや肩掛け時などにおいて、肩や掌に対する負担を軽減することができる。