【解決手段】ヒートポンプ4は、圧縮機13、凝縮器14、膨張弁15および蒸発器16が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、蒸発器16に通される熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器14に通される水を加温する。給水タンク3には、ヒートポンプ4を介して給水路9により給水可能であると共に、ヒートポンプ4を介さずに補給水路10により給水可能である。活性炭ろ過装置7は、ヒートポンプ4よりも上流側の給水路9に設けられ、水中に含まれる残留塩素を分解する。ヒートポンプ4の停止中、活性炭ろ過装置7のろ床洗浄が可能であると共に、このろ床洗浄中、補給水路10を介して給水タンク3へ給水する。
圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器に通される水を加温するヒートポンプと、
このヒートポンプを介して給水路により給水可能であると共に、ヒートポンプを介さずに補給水路により給水可能な給水タンクと、
前記ヒートポンプよりも上流側の給水路に設けられ、水中に含まれる残留塩素を分解する活性炭ろ過装置と
を備えることを特徴とする給水加温システム。
前記ヒートポンプの停止中、前記活性炭ろ過装置のろ床洗浄が可能であると共に、このろ床洗浄中、前記給水タンクへの給水要求があった場合には、前記給水路を介した給水は行わず、前記補給水路を介して前記給水タンクへ給水する
ことを特徴とする請求項1に記載の給水加温システム。
前記給水タンク内の水位に基づき、前記給水路を介して前記給水タンクへ給水するための給水ポンプまたは給水弁を制御すると共に、前記補給水路を介して前記給水タンクへ給水するための補給水ポンプまたは補給水弁を制御し、
前記活性炭ろ過装置は、前記ヒートポンプの停止中を条件にろ床洗浄を実行可能とされ、
前記ヒートポンプの他、前記給水ポンプまたは前記給水弁を制御する制御器は、前記ヒートポンプの停止中で且つ前記活性炭ろ過装置のろ床洗浄中、前記給水タンク内の水位に基づき前記給水ポンプまたは前記給水弁を制御するのではなく、前記活性炭ろ過装置からの給水要求に基づき前記給水ポンプまたは前記給水弁を制御し、その際、前記活性炭ろ過装置に通された洗浄水は、前記ヒートポンプへ供給されずに外部へ排水される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の給水加温システム1を示す概略図である。
【0016】
本実施例の給水加温システム1は、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムであり、ボイラ2への給水を貯留する給水タンク3と、この給水タンク3への給水を貯留する補給水タンク5と、この補給水タンク5から給水タンク3への給水を加温するヒートポンプ4と、このヒートポンプ4の熱源水を貯留する熱源水タンク6と、給水タンク3への給水中に含まれる残留塩素をヒートポンプ4に通す前に分解する活性炭ろ過装置7とを備える。
【0017】
ボイラ2は、蒸気ボイラであり、給水タンク3からの給水を加熱して蒸気にする。ボイラ2は、典型的には、蒸気の圧力を所望に維持するように、燃焼量を調整される。また、ボイラ2は、缶体内の水位を所望に維持するように、給水タンク3からボイラ2への給水用のポンプ8が制御される。ボイラ2からの蒸気は、各種の蒸気使用設備(図示省略)へ送られるが、蒸気使用設備からのドレン(蒸気の凝縮水)は、給水タンク3へ戻されてもよい。あるいは、蒸気使用設備からのドレンは、熱源水タンク6へ供給されてもよい。
【0018】
給水タンク3は、補給水タンク5から、ヒートポンプ4を介して給水路9により給水可能であると共に、ヒートポンプ4を介さずに補給水路10により給水可能である。給水路9に設けた給水ポンプ11と、補給水路10に設けた補給水ポンプ12との作動を制御することで、給水路9と補給水路10との内、一方または双方を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能である。
【0019】
給水ポンプ11は、本実施例では、モータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更可能とされる。給水ポンプ11の回転数を変更することで、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整することができる。このような給水ポンプ11のインバータ制御は、給水路9を介して給水タンク3へ給水する際に行われる。後述するように、活性炭ろ過装置7のろ床を洗浄する際にも給水ポンプ11を作動させるが、その際には、給水ポンプ11は一定出力でオンオフ制御すれば足りる。一方、補給水ポンプ12は、本実施例では、常にオンオフ制御される。
【0020】
補給水タンク5は、給水タンク3への給水を貯留する。補給水タンク5への給水として、本実施例では軟水が用いられる。すなわち、陽イオン交換樹脂等を用いた硬水軟化装置(図示省略)にて水中の硬度成分を除去された軟水は、補給水タンク5に供給され貯留される。補給水タンク5の水位に基づき硬水軟化装置からの給水を制御することで、補給水タンク5の水位は所望に維持される。なお、補給水タンク5の貯留水は、典型的には残留塩素を含んでいる。そして、その残留塩素は、活性炭ろ過装置7に通されて分解され、残留塩素を含まない水がヒートポンプ4に通される。
【0021】
ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、圧縮機13、凝縮器14、膨張弁15および蒸発器16が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機13は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器14は、圧縮機13からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁15は、凝縮器14からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器16は、膨張弁15からの冷媒の蒸発を図る。
【0022】
従って、ヒートポンプ4は、蒸発器16において、冷媒が外部から熱を奪って蒸発する一方、凝縮器14において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、本実施例では、ヒートポンプ4は、蒸発器16において、熱源水から熱をくみ上げ、凝縮器14において、給水路9の水を加温する。
【0023】
ヒートポンプ4は、さらに、凝縮器14と膨張弁15との間に、過冷却器17を備えるのが好ましい。過冷却器17は、凝縮器14より上流側の給水路9の水と、凝縮器14から膨張弁15への冷媒との間接熱交換器である。過冷却器17により、凝縮器14への給水で、凝縮器14から膨張弁15への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器14から膨張弁15への冷媒で、凝縮器14への給水を加温することができる。ヒートポンプ4の冷媒は、好適には、凝縮器14において潜熱を放出し、過冷却器17において顕熱を放出する。
【0024】
その他、ヒートポンプ4には、圧縮機13の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機13の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器14の出口側(凝縮器14と過冷却器17との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0025】
また、ヒートポンプ4は、その出力を変更可能とされてもよい。たとえば、圧縮機13のモータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更することで、ヒートポンプ4の出力を変更することができる。但し、以下においては、ヒートポンプ4は、圧縮機13のモータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力で運転される例について説明する。
【0026】
給水加温システム1は、さらに廃熱回収熱交換器18を備えるのが好ましい。廃熱回収熱交換器18は、過冷却器17より上流側の給水路9の水と、蒸発器16を通過後の熱源水との間接熱交換器である。従って、給水路9の水は、廃熱回収熱交換器18、過冷却器17および凝縮器14に、順に通される。一方、熱源水タンク6からの熱源水は、熱源供給路19を介して、蒸発器16および廃熱回収熱交換器18に、順に通される。そして、廃熱回収熱交換器18において、蒸発器16を通過後の熱源水により、過冷却器17への給水を加温することができる。
【0027】
熱源水タンク6は、熱源水を貯留する。熱源水とは、たとえば廃温水(工場などから排出される温水)である。なお、熱源水タンク6には、熱源水の供給路20が設けられると共に、貯水可能量を超える熱源水をあふれさせるオーバーフロー路21が設けられている。
【0028】
熱源水タンク6の熱源水は、熱源供給路19を介して、蒸発器16に通された後、廃熱回収熱交換器18に通される。熱源供給路19には、蒸発器16より上流側に熱源供給ポンプ22が設けられており、この熱源供給ポンプ22を作動させることで、熱源水タンク6からの熱源水を、蒸発器16と廃熱回収熱交換器18とに順に通すことができる。
【0029】
活性炭ろ過装置7は、ヒートポンプ4(より具体的にはその過冷却器17および凝縮器14)より上流側の給水路9に設けられる。給水路9に廃熱回収熱交換器18が設けられる場合、活性炭ろ過装置7は、好ましくは、廃熱回収熱交換器18より上流側の給水路9に設けられる。本実施例では、活性炭ろ過装置7は、給水路9の内、給水ポンプ11と廃熱回収熱交換器18との間に設けられる。なお、活性炭ろ過装置7の出口側には、フィルタ23を設けるのが好ましい。このような構成であるから、補給水タンク5から給水路9を介した給水タンク3への給水は、給水ポンプ11の作動により、活性炭ろ過装置7、フィルタ23、廃熱回収熱交換器18、過冷却器17および凝縮器14に、順に通される。
【0030】
活性炭ろ過装置7は、給水ポンプ11からの水が通され、水中に含まれる残留塩素を分解する。活性炭ろ過装置7は、本実施例では、活性炭が多数の粒状ろ材としてタンクに収容されており、そのようにして形成されたろ床に水を通すことで、水中の残留塩素が分解されて除去される。従って、活性炭ろ過装置7よりも下流に設けた各熱交換器(廃熱回収熱交換器18、過冷却器17および凝縮器14)の腐食を防止することができる。なお、活性炭ろ過装置7は、給水路9の一部として機能する通水路(図示省略)を備える他、後述する洗浄時の排水を行うための排水路24が接続されている。
【0031】
詳細は後述するが、活性炭ろ過装置7は、入口7aからの水をろ床に順方向へ通して出口7bへ排出する通水位置、入口7aからの水をろ床に逆方向へ通して排水路24へ排出する逆洗浄位置、および、入口7aからの水をろ床に順方向へ通して排水路24へ排出する順洗浄位置の少なくとも三位置を、バルブ(図示省略)により切替可能とされている。バルブは、活性炭ろ過装置7に付属の制御部(図示省略)により制御される。
【0032】
ところで、
図1において二点鎖線で囲んで示すように、ヒートポンプ4と廃熱回収熱交換器18とは、ユニット(以下、加温ユニット25という)として構成されてもよい。この加温ユニット25は、後述する出湯温度センサ26および熱源温度センサ27も備える。なお、図示例では、熱源供給ポンプ22は、加温ユニット25外に設けられるが、場合により加温ユニット25内に設けられてもよい。つまり、加温ユニット25が熱源供給ポンプ22を含む構成であってもよい。
【0033】
給水タンク3には、水位検出器28が設けられる。この水位検出器28は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、給水タンク3には、長さの異なる複数の電極棒29〜32が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持されている。本実施例では、給水ポンプ11制御用の給水開始電極棒29と給水停止電極棒30の他、補給水ポンプ12制御用の補給水開始電極棒31と補給水停止電極棒32が、給水タンク3に挿入されている。この際、詳細は後述するが、本実施例では、給水停止電極棒30、補給水停止電極棒32、給水開始電極棒29、補給水開始電極棒31の順に、下端部の高さ位置を低くして、給水タンク3に挿入されている。
【0034】
各電極棒29〜32は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。以下において、給水開始電極棒29が検出する水位を給水開始水位H1、給水停止電極棒30が検出する水位を給水停止水位H2、補給水開始電極棒31が検出する水位を補給水開始水位H3、補給水停止電極棒32が検出する水位を補給水停止水位H4という。
【0035】
熱源水タンク6には、熱源水の有無を確認するために、水位検出器33が設けられる。この水位検出器33は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、熱源水タンク6には、低水位検出電極棒34が差し込まれており、熱源水の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0036】
給水路9には、凝縮器14の出口側に、出湯温度センサ26が設けられる。出湯温度センサ26は、凝縮器14を通過後の水温を検出する。出湯温度センサ26の検出温度に基づき、給水ポンプ11が制御される。ここでは、給水ポンプ11は、出湯温度センサ26の検出温度を目標温度に維持するようにインバータ制御される。これにより、給水路9を介した給水タンク3への給水は、出湯温度センサ26の検出温度を目標温度に維持するように、流量が調整される。
【0037】
熱源供給路19には、蒸発器16の入口側に、熱源温度センサ27が設けられる。熱源温度センサ27は、蒸発器16へ供給される熱源水の温度を検出する。但し、熱源温度センサ27は、場合により、熱源水タンク6に設けられてもよい。詳細は後述するが、熱源温度センサ27の検出温度に基づき、ヒートポンプ4(より具体的には圧縮機13)の発停と、前記目標温度の変更が可能とされる。
【0038】
給水加温システム1は、制御器35により制御される。具体的には、本実施例では、加温ユニット25に制御器35が備えられ、その制御器35は、給水ポンプ11、ヒートポンプ4(特にその圧縮機13)、熱源供給ポンプ22、活性炭ろ過装置7(特にその制御部)の他、給水タンク3の水位検出器28、出湯温度センサ26および熱源温度センサ27などに接続されている。そして、これらセンサの検出信号や時間などに基づき、給水ポンプ11、ヒートポンプ4、熱源供給ポンプ22および活性炭ろ過装置7などを制御する。なお、補給水ポンプ12は、給水ポンプ11と同様に、加温ユニット25の制御器35を介して制御されてもよいが、図示例のように、加温ユニット25の制御器35を介さずに、給水タンク3の水位検出器28(補給水開始電極棒31,補給水停止電極棒32)に基づき直接に発停を制御されてもよい。
【0039】
以下、本実施例の給水加温システム1の制御(運転方法)について説明する。
前提として、活性炭ろ過装置7は、設定タイミングにおいて、ろ床の洗浄がなされる。そして、活性炭ろ過装置7がろ床洗浄中か否かにより、給水ポンプ11の制御方法が異なる。以下、まずは、活性炭ろ過装置7が非洗浄状態、言い換えれば通水位置(つまり給水ポンプ11の作動時には補給水タンク5からの給水中に含まれる残留塩素を分解して加温ユニット25へ送り出す状態)にある場合について説明する。
【0040】
この場合、給水タンク3への給水は、給水タンク3に設けた水位検出器28の検出信号に基づき、給水ポンプ11と補給水ポンプ12とを制御することでなされる。つまり、給水路9を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が給水開始水位H1を下回ると開始し、この給水開始水位H1よりも高い給水停止水位H2を上回ると停止する。また、補給水路10を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が補給水開始水位H3を下回ると開始し、この補給水開始水位H3よりも高い補給水停止水位H4を上回ると停止する。本実施例では、補給水開始水位H3は、給水開始水位H1よりも低く設定され、補給水停止水位H4は、給水開始水位H1よりも高いが給水停止水位H2よりも低く設定される。
【0041】
このような構成であるから、いま、給水停止電極棒30が水位を検知しているとすると、給水タンク3の水位が十分にあるとして、給水ポンプ11を停止すると共に、補給水ポンプ12も停止している。給水タンク3からボイラ2への給水により、給水タンク3の水位が下がり、給水開始電極棒29が水位を検知しなくなると、給水ポンプ11を作動させる。これにより、給水路9を介して給水タンク3に給水されるが、給水停止電極棒30が水位を検知すると、給水ポンプ11を停止する。一方、給水ポンプ11を作動させても、給水タンク3の水位を回復できず、給水タンク3の水位がさらに下がり、補給水開始電極棒31が水位を検知しなくなると、補給水ポンプ12も作動させる。これにより、補給水路10を介しても給水タンク3に給水されるが、給水タンク3の水位が回復して、補給水停止電極棒32が水位を検知すると、補給水ポンプ12を停止し、さらに水位が回復して、給水停止電極棒30が水位を検知すると、給水ポンプ11を停止する。なお、給水ポンプ11を作動させて、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源供給ポンプ22も作動させる。
【0042】
活性炭ろ過装置7が通水位置にある場合、ヒートポンプ4は、基本的には、給水路9を介した給水中(それに伴い熱源供給路19に熱源水を通水中)に作動するが、熱源温度センサ27の検出温度が設定温度以上になると、停止させるのがよい。つまり、活性炭ろ過装置7が通水位置にある場合において、給水路9を介した給水タンク3への給水中、ヒートポンプ4は、蒸発器16への熱源水温度が設定温度未満であれば作動し、蒸発器16への熱源水温度が設定温度以上になると停止するのがよい。ヒートポンプ4を停止させた状態では、給水タンク3への給水は、ヒートポンプ4では加温されないが、廃熱回収熱交換器18において熱源水により加温される。なお、ヒートポンプ4は、圧縮機13の作動の有無により、運転と停止が切り替えられる。そして、ヒートポンプ4の運転中、本実施例では、圧縮機13は、モータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力を維持される。
【0043】
活性炭ろ過装置7が通水位置にある場合、給水ポンプ11は、作動中、出湯温度センサ26の検出温度を目標温度に維持するように、回転数をインバータ制御される。目標温度は、熱源温度センサ27の検出温度に応じて変更される。具体的には、前述したとおり、熱源温度センサ27の検出温度が設定温度未満の場合、ヒートポンプ4を作動させるが、この際、出湯温度センサ26の検出温度を第一目標温度に維持するように、給水ポンプ11をインバータ制御する。一方、熱源温度センサ27の検出温度が設定温度以上の場合、ヒートポンプ4を停止させるが、この際、出湯温度センサ26の検出温度を第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、給水ポンプ11をインバータ制御する。
【0044】
このように、蒸発器16への熱源水温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4を停止させるので、圧縮機13の保護を図ることができる。但し、その場合でも、廃熱回収熱交換器18において、給水と熱源水とを熱交換して、熱源水からの熱回収を図ることができる。しかも、凝縮器14の出口側水温を第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、給水路9を介した給水流量を調整することで、給水路9を介した給水タンク3への給水流量をある程度以上に確保して、熱源水からの熱回収を有効に図ることができる。
【0045】
次に、活性炭ろ過装置7が洗浄動作を行う際について説明する。加温ユニット25が一日の運転を終了した際など、設定タイミングでろ床洗浄が開始される。
【0046】
たとえば、設定器(図示省略)を用いて予め制御器35に設定しておいた時刻になると、加温ユニット25は、運転を停止する。具体的には、給水ポンプ11、ヒートポンプ4および熱源供給ポンプ22を停止させる。加温ユニット25が運転を停止した旨は、制御器35から活性炭ろ過装置7(より具体的にはその制御部)に伝えられ、活性炭ろ過装置7の洗浄開始が指示される。これにより、活性炭ろ過装置7のろ床洗浄が開始される。
【0047】
但し、洗浄開始のタイミング(ここでは設定時刻)は、加温ユニット25に設定しておくのではなく、活性炭ろ過装置7に設定しておいてもよい。その場合、活性炭ろ過装置7において、設定時刻になると、加温ユニット25を停止させるか、加温ユニット25が停止するまで待機した後、ろ床洗浄が開始される。いずれにしても、加温ユニット25(特にヒートポンプ4)が停止したことを条件に、ろ床洗浄が開始される。なお、活性炭ろ過装置7は、ろ床の洗浄中、加温ユニット25に、洗浄中信号を送出する。これにより、加温ユニット25は、活性炭ろ過装置7においてろ床洗浄中である旨を把握できる。
【0048】
活性炭ろ過装置7は、ろ床の洗浄のために、逆洗浄工程、休止工程および順洗浄工程を順に実行する。以下、各工程について、順に説明する。
【0049】
逆洗浄工程では、活性炭ろ過装置7のバルブを前述した逆洗浄位置とした状態で、通水する。すなわち、給水ポンプ11を作動させ、給水ポンプ11からの水を、通水時とは逆方向へ流して、排水路24から排水する。逆洗浄工程により、ろ材は展開され、捕捉されていた懸濁物質は水と共に外部へ排出される。所定の逆洗浄時間の経過後、休止工程へ移行する。
【0050】
休止工程では、給水ポンプ11を停止して、ろ材を沈降させる。所定の休止時間の経過後、順洗浄工程へ移行する。
【0051】
順洗浄工程では、活性炭ろ過装置7のバルブを前述した順洗浄位置とした状態で、通水する。すなわち、給水ポンプ11を作動させ、給水ポンプ11からの水を、通水時と同方向へ流して、排水路24から排水する。順洗浄工程により、ろ材はリンスされる。所定の順洗浄時間の経過後、一連の洗浄動作を終了して、通水位置に戻される。
【0052】
このように、活性炭ろ過装置7は、ろ床の洗浄中、逆洗浄工程および順洗浄工程において、給水を必要とする。そのため、本実施例では、活性炭ろ過装置7は、給水の要否に応じて、加温ユニット25の制御器35を介して、給水ポンプ11を発停させる。具体的には、活性炭ろ過装置7への給水が必要の際、活性炭ろ過装置7は、加温ユニット25へ給水開始信号(給水ポンプ11の運転要求)を出し、それに伴い、加温ユニット25が給水ポンプ11を作動させる。一方、活性炭ろ過装置7への給水を停止する際、活性炭ろ過装置7は、加温ユニット25へ給水停止信号(給水ポンプ11の停止要求)を出し、それに伴い、加温ユニット25が給水ポンプ11を停止させる。
【0053】
このように、ヒートポンプ4の停止中で且つ活性炭ろ過装置7の洗浄中、給水ポンプ11は、給水タンク3内の水位に基づき制御されるのではなく、活性炭ろ過装置7からの給水要求に基づき制御される。この間、もし、給水タンク3の水位検出器28により、給水タンク3への給水要求がある場合、水位検出器28に基づき補給水ポンプ12を制御して、補給水路10を介して給水タンク3へ給水すればよい。
【0054】
具体的には、前述したとおり、活性炭ろ過装置7は、ろ床洗浄中、加温ユニット25の制御器35に、洗浄中信号を出している。従って、加温ユニット25では、活性炭ろ過装置7が洗浄中か否かを把握でき、ろ床洗浄中の場合には、給水タンク3の水位検出器28に基づき給水ポンプ11を制御するのではなく、活性炭ろ過装置7からの指示に基づき給水ポンプ11を制御する。そして、活性炭ろ過装置7のろ床洗浄が終了し、洗浄中信号を加温ユニット25が受信しなくなれば、加温ユニット25を再起動して、通常の通水動作へ移行可能とする。また、活性炭ろ過装置7におけるろ床洗浄中、必要であれば、補給水開始電極棒31と補給水停止電極棒32とを用いて、補給水ポンプ12を発停させることにより、補給水路10を介して給水タンク3へ給水することができる。
【0055】
本実施例の給水加温システム1によれば、給水路9の内、ヒートポンプ4より上流側に、活性炭ろ過装置7が設置される。従って、ヒートポンプ4へ供給される給水は、予め残留塩素が分解され、廃熱回収熱交換器18、過冷却器17および凝縮器14を腐食させるおそれがない。また、加温ユニット25の停止中、活性炭ろ過装置7のろ床洗浄を実施することができる。そして、活性炭ろ過装置7のろ床洗浄中、給水タンク3への給水要求があった場合には、給水路9を介した給水は行わず、補給水路10を介して給水タンク3へ給水することができる。
【0056】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)蒸発器16に通される熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器14に通される水を加温するヒートポンプ4と、(b)ヒートポンプ4を介して給水路9により給水可能であると共に、ヒートポンプ4を介さずに補給水路10により給水可能な給水タンク3と、(c)ヒートポンプ4よりも上流側の給水路9に設けられ、水中に含まれる残留塩素を分解する活性炭ろ過装置7とを備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0057】
たとえば、前記実施例において、過冷却器17と廃熱回収熱交換器18との内、一方または双方の設置を省略してもよい。
【0058】
また、前記実施例では、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整するために、給水ポンプ11をインバータ制御したが、給水ポンプ11をオンオフ制御しつつ、給水路9に設けた給水弁の開度を調整してもよい。その場合、加温ユニット25は、給水タンク3への給水中、給水弁の開度を調整し、活性炭ろ過装置7の洗浄中、給水弁の開閉を切り替える。
【0059】
また、前記実施例の場合、給水タンク3に、給水路9により給水可能であると共に、補給水路10により給水可能であれば、給水路9や補給水路10の具体的構成は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、給水路9と補給水路10とは、それぞれ補給水タンク5と給水タンク3とを接続するように並列に設けたが、給水路9と補給水路10との一端部(補給水タンク5側の端部)と他端部(給水タンク3側の端部)の一方または双方は、共通の管路としてもよい。言い換えれば、補給水路10の一端部は、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路9から分岐するように設けてもよいし、補給水路10の他端部は、給水タンク3に接続するのではなく、給水タンク3の手前において給水路9に合流するように設けてもよい。補給水路10の一端部を、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路9から分岐するように設ける場合、その分岐部より下流において、給水路9に給水ポンプ11を設ける一方、補給水路10に補給水ポンプ12を設ければよいが、分岐部よりも上流側の共通管路にのみポンプを設けて、分岐部より下流の給水路9と補給水路10に設けた各弁(給水弁,補給水弁)の開閉または開度を制御してもよい。
【0060】
また、前記実施例では、給水タンク3への給水を貯留するために補給水タンク5を設置したが、場合により補給水タンク5の設置を省略して、給水源から直接に給水路9および補給水路10に水を通してもよい。
【0061】
また、前記実施例では、給水路9および/または補給水路10を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能としたが、これら給水は、硬水軟化装置から直接に行ってもよい。たとえば、
図1において、給水路9および補給水路10の基端部をまとめて硬水軟化装置に接続し、給水ポンプ11の設置を省略する代わりに給水路9に設けた給水弁の開閉または開度を制御し、補給水ポンプ12の設置を省略する代わりに補給水路10に設けた補給水弁の開閉を制御したりしてもよい。
【0062】
また、前記実施例では、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムについて説明したが、給水タンク3の貯留水の利用先は、ボイラ2に限らず適宜に変更可能である。
【0063】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ4の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。
【0064】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4を運転する際、圧縮機13のモータの駆動周波数を一定に維持したが、場合により、圧縮機13の吐出圧を所定に維持するように制御してもよい。あるいは、給水タンク3内の水位、または蒸発器16への熱源水温度などに基づき、圧縮機13の出力を調整してもよい。
【0065】
また、ヒートポンプ4は、単段に限らず複数段とすることもできる。ヒートポンプ4を複数段にする場合、隣接する段のヒートポンプ同士は、間接熱交換器を用いて接続されてもよいし、直接熱交換器(中間冷却器)を用いて接続されてもよい。後者の場合、低段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と高段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が低段ヒートポンプの凝縮器であると共に高段ヒートポンプの蒸発器とされる。このように、複数段(多段)のヒートポンプには、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいはそれらの組合せのヒートポンプが含まれる。
【0066】
さらに、前記実施例では、ヒートポンプ4の圧縮機13は、電気モータにより駆動されたが、圧縮機13の駆動源は特に問わない。たとえば、圧縮機13は、電気モータに代えてまたはそれに加えて、蒸気を用いて動力を起こすスチームモータ(蒸気エンジン)に駆動されたり、ガスエンジンにより駆動されたりしてもよい。