【解決手段】ヒートポンプ4は、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16および蒸発器17が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、蒸発器17に通される熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器15に通される循環液を加温する。第一熱交換器6は、凝縮器15との間で循環液を循環させ、その循環液で給水路9の水を加温する。ヒートポンプ4を作動させた状態で給水路9を介した給水中、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水路9を介した給水流量を調整する。
圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器に通される循環液を加温するヒートポンプと、
前記凝縮器との間で循環液を循環させ、その循環液で給水路の水を加温する第一熱交換器とを備え、
前記ヒートポンプを作動させた状態で前記給水路を介した給水中、前記凝縮器の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、前記第一熱交換器の出口側循環液温度と前記第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、前記給水路を介した給水流量を調整する
ことを特徴とする給水加温システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなシステムにおいて、たとえば、凝縮器の破損によってもヒートポンプの冷媒が給水タンクへの給水に混入することがないように、ヒートポンプの回路外に第一熱交換器を設け、この第一熱交換器と凝縮器との間で循環液を循環させ、循環液を介して第一熱交換器において給水を加温することが考えられる。
【0006】
ところが、第一熱交換器を設けて、循環液を介して給水を加温すると、循環液を介する分だけ給水の加温が行い難く、効率が劣ることになる。循環液を介して給水を加温する場合、第一熱交換器において可能な限り循環液と給水とを熱交換して、給水の加温を図る一方、循環液の冷却を図り、循環液の温度を下げることで、凝縮器などからの吸熱量を増す必要がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、凝縮器と第一熱交換器との間に循環液を循環させ、循環液を介して給水を加温する給水加温システムにおいて、給水の加温効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器に通される循環液を加温するヒートポンプと、前記凝縮器との間で循環液を循環させ、その循環液で給水路の水を加温する第一熱交換器とを備え、前記ヒートポンプを作動させた状態で前記給水路を介した給水中、前記凝縮器の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、前記第一熱交換器の出口側循環液温度と前記第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、前記給水路を介した給水流量を調整することを特徴とする給水加温システムである。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、凝縮器と第一熱交換器との間で循環液を循環させ、凝縮器において冷媒と循環液とを熱交換して循環液を加温し、第一熱交換器において循環液と給水とを熱交換して給水を加温する。このようにして、凝縮器における冷媒の凝縮熱を、循環液を介して給水の加温に用いることができる。また、ヒートポンプを作動させた状態で給水路を介した給水中、凝縮器の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整することで、熱源流体の温度に拘わらず、所望温度の循環液を得ることができる。そして、第一熱交換器の出口側循環液温度と第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、給水路を介した給水流量を調整することで、詳細は後述するが、循環液から給水への加温を促し、循環液の冷却を図ることで、ヒートポンプにおける循環液への加温を促すことができる。つまり、第一熱交換器において循環液を給水により所望に冷却することで、ヒートポンプにおいて冷媒から循環液への加温量を増すことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第一熱交換器から前記凝縮器への循環液と、前記凝縮器から前記膨張弁への冷媒とを熱交換する過冷却器と、前記第一熱交換器から前記過冷却器への循環液と、前記蒸発器を通過後の熱源流体とを熱交換する第二熱交換器とをさらに備え、前記循環液は、前記第二熱交換器、前記過冷却器、前記凝縮器および前記第一熱交換器を順に通されて循環され、前記給水路を介した給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度未満であれば、前記ヒートポンプを作動させた状態で、前記凝縮器の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、前記第一熱交換器の出口側循環液温度と前記第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、前記給水路を介した給水流量を調整し、前記給水路を介した給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度以上になると、前記ヒートポンプを停止させた状態で、前記凝縮器の出口側循環液温度を前記第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、前記第一熱交換器の出口側循環液温度と前記第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、前記給水路を介した給水流量を調整することを特徴とする請求項1に記載の給水加温システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、過冷却器において、凝縮器を通過後の冷媒により凝縮器への循環液を予熱したり、第二熱交換器において、蒸発器を通過後の熱源流体により過冷却器への循環液を予熱したりすることができる。また、蒸発器への熱源流体温度が設定温度未満であれば、ヒートポンプを作動させた状態で、凝縮器の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整することで、熱源流体の温度に拘わらず、所望温度の循環液を得ることができる。そして、第一熱交換器の出口側循環液温度と第一熱交換器の入口側水温との温度差が設定値になるように、給水路を介した給水流量を調整することで、詳細は後述するが、循環液から給水への加温を促し、循環液の冷却を図ることで、第二熱交換器やヒートポンプにおける循環液への加温を促すことができる。つまり、第一熱交換器において循環液を給水により所望に冷却することで、第二熱交換器において熱源流体から循環液への加温量を増すことができると共に、ヒートポンプにおいて冷媒から循環液への加温量を増すことができる。一方、蒸発器への熱源流体温度が設定温度以上になると、ヒートポンプを停止させるので、圧縮機の保護を図ることができる。但し、その場合でも、第二熱交換器において、循環液と熱源流体とを熱交換して、熱源流体からの熱回収を図ることができる。しかも、凝縮器の出口側循環液温度の制御目標温度を、第一目標温度よりも低い第二目標温度に切り替えることで、循環流量をある程度以上に確保して、熱源流体からの熱回収を有効に図ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記給水路を介した給水流量の調整は、前記給水路に設けた給水弁を開度調整することで行い、給水流量が上限流量を超えないように、前記給水弁の上限開度が予め設定されており、その上限開度を超えない範囲で、前記給水弁を開度調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、給水弁の上限開度が予め設定されているので、給水流量が上限流量を超えることがない。従って、たとえば、給水路に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては硬度漏れを防止することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記給水路を介した給水流量の調整は、前記給水路に設けた給水弁を開度調整することで行い、前記給水路に設けた流量計の検出流量が上限流量を超えない範囲で、前記給水弁を開度調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、給水路に設けた流量計の検出流量が上限流量を超えない範囲で、給水弁を開度調整するので、給水流量が上限流量を超えることがない。従って、たとえば、給水路に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては硬度漏れを防止することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記給水路を介した給水流量の調整は、前記給水路に設けた給水ポンプの駆動周波数ひいては回転数を、インバータを用いて調整することで行い、給水流量が上限流量を超えないように、前記給水ポンプの上限駆動周波数が予め設定されており、その上限駆動周波数を超えない範囲で、前記給水ポンプの回転数を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、給水ポンプの上限駆動周波数が予め設定されているので、給水流量が上限流量を超えることがない。従って、たとえば、給水路に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては硬度漏れを防止することができる。
【0018】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記給水路を介した給水流量の調整は、前記給水路に設けた給水ポンプの駆動周波数ひいては回転数を、インバータを用いて調整することで行い、前記給水路に設けた流量計の検出流量が上限流量を超えない範囲で、前記給水ポンプの回転数を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、給水路に設けた流量計の検出流量が上限流量を超えない範囲で、給水ポンプの回転数を調整するので、給水流量が上限流量を超えることがない。従って、たとえば、給水路に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては硬度漏れを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、凝縮器と第一熱交換器との間に循環液を循環させ、循環液を介して給水を加温する給水加温システムにおいて、給水の加温効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例の給水加温システム1を示す概略図である。
本実施例の給水加温システム1は、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムであり、ボイラ2への給水を貯留する給水タンク3と、この給水タンク3への給水を貯留する補給水タンク5と、この補給水タンク5から給水タンク3への給水が通される第一熱交換器6と、この第一熱交換器6との間で循環液を循環させるヒートポンプ4と、このヒートポンプ4の熱源水を貯留する熱源水タンク7とを備える。
【0024】
ボイラ2は、蒸気ボイラであり、給水タンク3からの給水を加熱して蒸気にする。ボイラ2は、典型的には、蒸気の圧力を所望に維持するように、燃焼量を調整される。また、ボイラ2は、缶体内の水位を所望に維持するように、給水タンク3からボイラ2への給水用のポンプ8が制御される。ボイラ2からの蒸気は、各種の蒸気使用設備(図示省略)へ送られるが、蒸気使用設備からのドレン(蒸気の凝縮水)は、給水タンク3へ戻されてもよい。あるいは、蒸気使用設備からのドレンは、熱源水タンク7へ供給されてもよい。
【0025】
給水タンク3は、補給水タンク5から、第一熱交換器6を介して給水路9により給水可能であると共に、第一熱交換器6を介さずに補給水路10により給水可能である。給水路9には給水ポンプ11が設けられ、補給水路10には補給水ポンプ12が設けられる。給水ポンプ11の作動により、給水路9を介した給水がなされ、補給水ポンプ12の作動により、補給水路10を介した給水がなされる。
【0026】
給水ポンプ11は、本実施例では、出口側圧力が設定圧力未満になると起動し、設定圧力以上になると停止する。この際、設定圧力にディファレンシャル(動作隙間)を設けてもよいことはもちろんである。また、給水ポンプ11は、モータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更して、出口側圧力を設定圧力に維持するように制御されてもよい。一方、補給水ポンプ12は、詳細は後述するが、本実施例では、給水タンク3の水位に基づき、オンオフ制御される。
【0027】
給水路9には、給水ポンプ11よりも下流(図示例では第一熱交換器6の入口側)に、給水弁13が設けられる。この給水弁13は、開度調整可能な電動弁(モータバルブ)から構成される。給水ポンプ11は、前述したとおり出口側圧力に基づき自動で発停するので、給水弁13を開くと給水ポンプ11が自動で起動し、給水弁13を閉じると給水ポンプ11が自動で停止する。給水弁13の開放時、給水弁13の開度を調整することで、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整することができる。給水弁13は、詳細は後述するが、本実施例では、給水タンク3の水位に基づき開閉が切り替えられ、開放中は所定に開度が調整される。
【0028】
このようにして、本実施例では、給水路9に設けた給水弁13の開閉と、補給水路10に設けた補給水ポンプ12の発停とを制御することで、給水路9と補給水路10との内、一方または双方を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能である。
【0029】
補給水タンク5は、給水タンク3への給水を貯留する。補給水タンク5への給水として、本実施例では軟水が用いられる。すなわち、陽イオン交換樹脂を用いた硬水軟化装置(図示省略)にて水中の硬度成分を除去された軟水は、補給水タンク5に供給され貯留される。補給水タンク5の水位に基づき硬水軟化装置からの給水を制御することで、補給水タンク5の水位は所望に維持される。但し、後述するように、硬水軟化装置は、たとえば、給水路9の内、給水ポンプ11の出口側に設けられてもよい。
【0030】
ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁16および蒸発器17が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機14は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器15は、圧縮機14からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁16は、凝縮器15からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器17は、膨張弁16からの冷媒の蒸発を図る。
【0031】
従って、ヒートポンプ4は、蒸発器17において、冷媒が外部から熱を奪って蒸発する一方、凝縮器15において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、本実施例では、ヒートポンプ4は、蒸発器17において、熱源水から熱をくみ上げ、凝縮器15において、循環液(第一熱交換器6との間の循環液)を加温する。
【0032】
ヒートポンプ4は、さらに、凝縮器15と膨張弁16との間に、過冷却器18を備えるのが好ましい。過冷却器18は、第一熱交換器6から凝縮器15への循環液と、凝縮器15から膨張弁16への冷媒との間接熱交換器である。過冷却器18により、第一熱交換器6から凝縮器15への循環液で、凝縮器15から膨張弁16への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器15から膨張弁16への冷媒で、第一熱交換器6から凝縮器15への循環液を加温することができる。ヒートポンプ4の冷媒は、好適には、凝縮器15において潜熱を放出し、過冷却器18において顕熱を放出する。
【0033】
その他、ヒートポンプ4には、圧縮機14の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機14の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器15の出口側(凝縮器15と過冷却器18との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0034】
また、ヒートポンプ4は、その出力を変更可能とされてもよい。たとえば、圧縮機14のモータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更することで、ヒートポンプ4の出力を変更することができる。但し、以下においては、ヒートポンプ4は、圧縮機14のモータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力で運転される例について説明する。
【0035】
第一熱交換器6は、ヒートポンプ4(特にその凝縮器15)との間で循環液を循環させると共に、その循環液により給水路9の水を加温する。この際、前述したように、ヒートポンプ4が過冷却器18を備える場合、循環液は過冷却器18にも通される。いずれにしても、第一熱交換器6は、ヒートポンプ4との間の循環液と給水路9の水との間接熱交換器である。
【0036】
本実施例の給水加温システム1は、さらに第二熱交換器19を備える。第二熱交換器19は、過冷却器18への循環液と、蒸発器17を通過後の熱源水との間接熱交換器である。
【0037】
循環液は、第二熱交換器19、過冷却器18、凝縮器15および第一熱交換器6を順に通されて、循環される。具体的には、次のようにして、循環回路20が構成される。すなわち、本実施例では、循環回路20は、循環液を貯留する循環タンク21を備え、循環タンク21から第二熱交換器19へは、第一循環路20aを介して循環液が供給され、第二熱交換器19から過冷却器18へは、第二循環路20bを介して循環液が供給され、過冷却器18から凝縮器15へは、第三循環路20cを介して循環液が供給され、凝縮器15から第一熱交換器6へは、第四循環路20dを介して循環液が供給され、第一熱交換器6から循環タンク21へは、第五循環路20eを介して循環液が戻される。そして、第一循環路20a(または他の循環路20b〜20e)には、循環ポンプ22が設けられている。循環ポンプ22を作動させると、循環タンク21からの循環液は、第二熱交換器19、過冷却器18、凝縮器15および第一熱交換器6を順に通されて、循環タンク21へ戻される。この際、循環液は、第二熱交換器19において、熱源水により加温され、過冷却器18および凝縮器15において、ヒートポンプ4の冷媒により加温され、第一熱交換器6において、給水路9の水を加温して自身は冷却を図られる。
【0038】
なお、循環液は、特に問わないが、本実施例では水である。この水として、本実施例では、補給水タンク5からの水が用いられる。具体的には、補給水タンク5から給水タンク3への給水路9には、給水ポンプ11の出口側において、循環タンク21への補水路23が設けられている。循環タンク21には、ボールタップ24が設けられており、循環タンク21内の水位は所望に維持される。つまり、循環液(循環タンク21の貯留液)が蒸発等により減れば、ボールタップ24の作用により、補水路23から自動的に補われる。
【0039】
循環ポンプ22は、本実施例では、モータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更可能とされる。循環ポンプ22の回転数を変更することで、循環回路20の循環流量を調整することができる。
【0040】
熱源水タンク7は、熱源水を貯留する。熱源水とは、たとえば廃温水(工場などから排出される温水)である。なお、熱源水タンク7には、熱源水の供給路25が設けられると共に、貯水可能量を超える熱源水をあふれさせるオーバーフロー路26が設けられている。
【0041】
熱源水タンク7の熱源水は、熱源供給路27を介して、蒸発器17に通された後、第二熱交換器19に通される。熱源供給路27には、蒸発器17より上流側に熱源供給ポンプ28が設けられており、この熱源供給ポンプ28を作動させることで、熱源水タンク7からの熱源水を、蒸発器17と第二熱交換器19とに順に通すことができる。
【0042】
給水タンク3には、水位検出器29が設けられる。この水位検出器29は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、給水タンク3には、長さの異なる複数の電極棒30〜33が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持されている。本実施例では、給水弁13の開閉制御用の給水開始電極棒30と給水停止電極棒31の他、補給水ポンプ12の発停制御用の補給水開始電極棒32と補給水停止電極棒33が、給水タンク3に挿入されている。この際、詳細は後述するが、本実施例では、給水停止電極棒31、補給水停止電極棒33、給水開始電極棒30、補給水開始電極棒32の順に、下端部の高さ位置を低くして、給水タンク3に挿入されている。
【0043】
各電極棒30〜33は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。以下において、給水開始電極棒30が検出する水位を給水開始水位H1、給水停止電極棒31が検出する水位を給水停止水位H2、補給水開始電極棒32が検出する水位を補給水開始水位H3、補給水停止電極棒33が検出する水位を補給水停止水位H4という。
【0044】
熱源水タンク7には、熱源水の有無を確認するために、水位検出器34が設けられる。この水位検出器34は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、熱源水タンク7には、低水位検出電極棒35が差し込まれており、熱源水の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0045】
循環回路20には、凝縮器15の出口側(つまり第四循環路20d)に、第一温度センサ36が設けられる。第一温度センサ36は、凝縮器15を通過後の循環液温度を検出する。給水路9を介した給水中、第一温度センサ36の検出温度に基づき、循環ポンプ22が制御される。ここでは、循環ポンプ22は、第一温度センサ36の検出温度を目標温度に維持するようにインバータ制御される。
【0046】
循環回路20には、第一熱交換器6の出口側(つまり第五循環路20e)に、第二温度センサ37が設けられる。第二温度センサ37は、第一熱交換器6を通過後の循環液温度を検出する。給水路9を介した給水中、第二温度センサ37の検出温度と、後述する第三温度センサ38の検出温度とに基づき、給水弁13が制御される。具体的には、給水路9を介した給水タンク3への給水は、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水弁13の開度調整により、流量が調整される。
【0047】
補給水タンク5から給水タンク3への給水路9には、第一熱交換器6の入口側(図示例では給水弁13の入口側)に、第三温度センサ38が設けられる。第三温度センサ38は、第一熱交換器6への給水温度を検出する。給水路9を介した給水中、前述したとおり、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度とに基づき、給水弁13が制御される。具体的には、給水路9を介した給水タンク3への給水は、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水弁13の開度調整により、流量が調整される。
【0048】
熱源供給路27には、蒸発器17の入口側に、熱源温度センサ39が設けられる。熱源温度センサ39は、蒸発器17へ供給される熱源水の温度を検出する。但し、熱源温度センサ39は、場合により、熱源水タンク7に設けられてもよい。詳細は後述するが、熱源温度センサ39の検出温度に基づき、ヒートポンプ4(より具体的には圧縮機14)の発停と、前記目標温度の変更が可能とされる。
【0049】
次に、本実施例の給水加温システム1の制御(運転方法)について説明する。以下に説明する一連の制御は、図示しない制御器を用いて自動でなされる。
【0050】
給水タンク3への給水は、給水タンク3に設けた水位検出器29の検出信号に基づき、給水弁13と補給水ポンプ12とを制御することでなされる。つまり、給水路9を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が給水開始水位H1を下回ると開始し、この給水開始水位H1よりも高い給水停止水位H2を上回ると停止する。また、補給水路10を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が補給水開始水位H3を下回ると開始し、この補給水開始水位H3よりも高い補給水停止水位H4を上回ると停止する。本実施例では、補給水開始水位H3は、給水開始水位H1よりも低く設定され、補給水停止水位H4は、給水開始水位H1よりも高いが給水停止水位H2よりも低く設定される。
【0051】
このような構成であるから、いま、給水停止電極棒31が水位を検知しているとすると、給水タンク3の水位が十分にあるとして、給水弁13を閉じると共に、補給水ポンプ12も停止している。給水タンク3からボイラ2への給水により、給水タンク3の水位が下がり、給水開始電極棒30が水位を検知しなくなると、給水弁13を開ける。これにより、給水路9を介して給水タンク3に給水されるが、給水停止電極棒31が水位を検知すると、給水弁13を閉じる。なお、前述したとおり、給水弁13の開閉に伴い給水ポンプ11が発停する。つまり、給水弁13の開放時には給水ポンプ11が作動し、給水弁13の閉鎖時(全閉時)には、循環タンク21への給水時を除き、給水ポンプ11は停止する。一方、給水路9を介した給水だけでは、給水タンク3の水位を回復できず、給水タンク3の水位がさらに下がり、補給水開始電極棒32が水位を検知しなくなると、補給水ポンプ12も作動させる。これにより、補給水路10を介しても給水タンク3に給水されるが、給水タンク3の水位が回復して、補給水停止電極棒33が水位を検知すると、補給水ポンプ12を停止し、さらに水位が回復して、給水停止電極棒31が水位を検知すると、給水弁13を閉じる。なお、給水弁13を開けて、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源供給ポンプ28も作動させる。
【0052】
ヒートポンプ4は、基本的には、給水路9を介した給水中(それに伴い熱源供給路27に熱源水を通水中)に作動するが、後述するように所定の場合に停止してもよい。ヒートポンプ4は、その圧縮機14の作動の有無により、運転と停止が切り替えられる。ヒートポンプ4の運転中、圧縮機14は、モータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力を維持される。
【0053】
循環ポンプ22は、給水路9を介した給水中(それに伴い熱源供給路27に熱源水を通水中)に作動する。つまり、給水路9を介した給水タンク3への給水中であれば、ヒートポンプ4の停止中でも循環ポンプ22の作動を継続させる。循環ポンプ22は、作動中、第一温度センサ36の検出温度を目標温度に維持するように、回転数をインバータ制御される。
【0054】
給水弁13は、開放中、第二温度センサ37および第三温度センサ38の各検出信号に基づき、開度が調整される。具体的には、第二温度センサ37の検出温度T2と第三温度センサ38の検出温度T3との温度差が設定値(T2−T3=一定)になるように、給水弁13の開度を調整して給水流量を調整する。なお、第二温度センサ37の検出温度(循環液の温度)は、第三温度センサ38の検出温度(給水源の水温)よりも常に高い。
【0055】
前述したように、本実施例の給水加温システム1では、給水タンク3内の水位に基づき、給水路9を介した給水タンク3への給水が制御されるが、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ39により蒸発器17への熱源水温度を監視し、その温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4を停止させるのがよい。その場合でも、給水タンク3内の水位に基づく給水条件が満たされる限りは、給水路9を介して給水タンク3へ給水する。
【0056】
より詳細には、本実施例では、次のように制御される。すなわち、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度(たとえば60℃)未満であれば、ヒートポンプ4を作動させた状態で、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度(たとえば75℃)に維持するように、循環ポンプ22をインバータ制御して、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値(たとえば5℃)になるように、給水弁13の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する(第一制御)。なお、ここでは、第一目標温度は、前記設定温度よりも高い温度とされる。また、前記設定値は、後述するように、本来は小さいほど好ましい。
【0057】
一方、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度(たとえば60℃)以上になると、第二制御に切り替える。第二制御では、ヒートポンプ4を停止させるが、循環ポンプ22は作動させたままとする。そして、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度よりも低い第二目標温度(たとえば60℃)に維持するように、循環ポンプ22をインバータ制御して、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値(たとえば5℃)になるように、給水弁13の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する。ここでは、第二目標温度は、前記設定温度と同一温度とされるが、場合により、前記設定温度よりも低い温度とされてもよい。
【0058】
このように、蒸発器17への熱源水温度が設定温度未満であれば、ヒートポンプ4を作動させた状態で、凝縮器15の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整することで、熱源水の温度に拘わらず、所望温度の循環液を得ることができる。そして、第一熱交換器6の出口側循環液温度と第一熱交換器6の入口側水温との温度差が設定値になるように、給水路9を介した給水流量を調整することで、循環液から給水への加温を促し、循環液の冷却を図ることで、第二熱交換器19やヒートポンプ4における循環液への加温を促すことができる。
【0059】
より詳細に説明すると、第一熱交換器6において、循環液と給水との熱交換を可能な限り図るとすれば、理想的には、第一熱交換器6の出口側循環液温度と第一熱交換器6の入口側水温との温度差が小さいほどよく、究極的には温度差がなくなる(温度差が0になる)のがよい。しかしながら、実際上、温度差を0にすることはできないので、温度差が設定値になるように制御している。このようにして、第一熱交換器6において循環液を給水により所望に冷却することで、第二熱交換器19において熱源水から循環液への加温量を増すことができると共に、ヒートポンプ4において冷媒から循環液への加温量を増すことができる。
【0060】
一方、蒸発器17への熱源水温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4を停止させるので、圧縮機14の保護を図ることができる。但し、その場合でも、第二熱交換器19において、循環液と熱源水とを熱交換して、熱源水からの熱回収を図ることができる。しかも、凝縮器15の出口側循環液温度の制御目標温度を、第一目標温度よりも低い第二目標温度に切り替えることで、循環流量をある程度以上に確保して、熱源水からの熱回収を有効に図ることができる。
【0061】
なお、第二制御から第一制御への切替えは、次のように行われる。すなわち、ヒートポンプ4を停止した状態で、第一温度センサ36の検出温度を第二目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整中(つまり第二制御中)、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度未満を設定時間(たとえば60秒)継続した場合には、第一制御に戻される。つまり、ヒートポンプ4を再起動して、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度に維持するように、循環ポンプ22をインバータ制御すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水弁13の開度を調整する第一制御に切り替えればよい。
【0062】
但し、第二制御から第一制御への切替えは、次のように行ってもよい。すなわち、ヒートポンプ4を停止した状態で、第一温度センサ36の検出温度を第二目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整中(つまり第二制御中)、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度よりも低い所定温度(たとえば58℃)未満になった場合には、第一制御に戻される。つまり、ヒートポンプ4を再起動して、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度に維持するように、循環ポンプ22をインバータ制御すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水弁13の開度を調整する第一制御に切り替えればよい。
【0063】
いずれにしても、蒸発器17への熱源水温度が所定に下がると、ヒートポンプ4を停止させた第二制御から、ヒートポンプ4を稼働させた第一制御に戻すことができる。このようにして、蒸発器17への熱源水温度に応じて、第一制御と第二制御との切り替えが行われる。
【0064】
ところで、本実施例では、給水路9を介した給水タンク3への給水流量の調整は、給水路9に設けた給水弁13を開度調整することでなされる。給水弁13の開放時、給水路9を介した給水タンク3への給水流量(つまり給水路9の通水流量)が上限流量を超えないように、給水弁13の上限開度を制御器に予め設定しておき、その上限開度を超えない範囲で、給水弁13を開度調整してもよい。その場合、たとえば、給水路9(給水ポンプ11の出口側)に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては軟水器からの硬度漏れを防止することができる。
【0065】
但し、給水弁13の開放時、給水路9を介した給水流量が上限流量を超えないようにするために、次のように構成してもよい。すなわち、
図1において二点鎖線で示すように、給水路9(補水路23との分岐部よりも下流の給水路9)の適宜の箇所に、流量計40を設置する。そして、給水弁13の開放時、流量計40の検出流量が上限流量を超えない範囲で、給水弁13を開度調整してもよい。
【0066】
また、前記実施例では、第一熱交換器6は、第二熱交換器19ならびに過冷却器18および凝縮器15との間で循環液を循環させ、第二熱交換器19では、循環液と熱源水とを熱交換したが、次のように構成してもよい。すなわち、第一熱交換器6は、過冷却器18および凝縮器15との間で循環液を循環させ、第二熱交換器19には、循環液の代わりに、第一熱交換器6への給水を通してもよい。つまり、補給水タンク5から給水タンク3への給水は、第二熱交換器19と第一熱交換器6を順に通される。そして、第二熱交換器19において、第一熱交換器6への給水と蒸発器17からの熱源水とを熱交換する。この場合、ヒートポンプ4の停止中、循環ポンプ22も停止させてもよい。なお、第二温度センサ37は、第一熱交換器6の出口側循環液温度を検出し、第三温度センサ38は、第一熱交換器6の入口側水温を検出する。そして、次のように制御すればよい。
【0067】
すなわち、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度未満であれば、ヒートポンプ4を作動させた状態で、第一温度センサ36の検出温度を第一目標温度に維持するように、循環ポンプ22をインバータ制御して、循環液の循環流量を調整すると共に、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水弁13の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する(第一制御)。一方、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ39の検出温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4および循環ポンプ22を停止して、第二制御に切り替える。第二制御では、第三温度センサ38の検出温度を第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、給水弁13の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整すればよい。
【0068】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、ヒートポンプ4と第一熱交換器6とを備え、ヒートポンプ4を作動させた状態で給水路9を介した給水中、凝縮器15の出口側循環液温度を第一目標温度に維持するように、循環液の循環流量を調整すると共に、第一熱交換器6の出口側循環液温度と第一熱交換器6の入口側水温との温度差が設定値になるように、給水路9を介した給水流量を調整するのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0069】
たとえば、前記実施例において、過冷却器18と第二熱交換器19との内、一方または双方の設置を省略してもよい。また、補給水ポンプ12を備えた補給水路10は、場合により省略可能である。
【0070】
また、前記実施例では、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整するために、給水弁13の開度を調整したが、給水弁13の設置を省略する代わりに、給水ポンプ11をインバータ制御してもよい。つまり、給水ポンプ11のモータの駆動周波数ひいては回転数を、インバータを用いて調整することで、給水流量を変更してもよい。この場合、給水タンク3の水位に基づき、給水ポンプ11の発停が制御される。つまり、給水開始電極棒30が水位を検知しなくなると、給水ポンプ11を起動し、給水停止電極棒31が水位を検知すると、給水ポンプ11を停止させる。そして、給水ポンプ11の作動中、前述したとおり、第二温度センサ37の検出温度と第三温度センサ38の検出温度との温度差が設定値になるように、給水ポンプ11がインバータ制御される。
【0071】
給水ポンプ11をインバータ制御する場合において、給水路9を介した給水流量が上限流量を超えないようにするために、次のように構成してもよい。つまり、給水流量が上限流量を超えないように、給水ポンプ11の上限駆動周波数を予め制御器に設定しておき、その上限駆動周波数を超えない範囲で、給水ポンプ11の回転数(周波数)を調整してもよい。その場合、たとえば、給水路9(給水ポンプ11の出口側)に硬水軟化装置が設置されている場合でも、給水と陽イオン交換樹脂床との最低接触時間を確保するために設定された上限線速度(LV値)を超える流量での通水が防止され、ひいては軟水器からの硬度漏れを防止することができる。
【0072】
但し、給水ポンプ11をインバータ制御する際に、給水路9を介した給水流量が上限流量を超えないようにするために、次のように構成してもよい。すなわち、給水路9(補水路23との分岐部よりも下流の給水路9)の適宜の箇所に、流量計40を設置する。そして、給水ポンプ11の作動時、流量計40の検出流量が上限流量を超えない範囲で、給水ポンプ11の回転数を調整してもよい。
【0073】
また、前記実施例では、循環回路20を流れる循環流量を調整するために、循環ポンプ22をインバータ制御したが、循環ポンプ22をオンオフ制御しつつ、循環回路20(たとえば循環ポンプ22の出口側)に設けた弁の開度を調整してもよい。
【0074】
また、前記実施例では、循環回路20の一部に循環タンク21を設けて、循環タンク21において大気に開放したが、循環タンク21の設置を省略して、循環回路20を大気に開放しない密閉回路としてもよい。その場合、第一熱交換器6の出口側と第二熱交換器19の入口側とを循環路で接続して、その循環路に循環ポンプ22を設置すればよい。
【0075】
また、前記実施例の場合、給水タンク3に、給水路9により給水可能であると共に、補給水路10により給水可能であれば、給水路9や補給水路10の具体的構成は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、給水路9と補給水路10とは、それぞれ補給水タンク5と給水タンク3とを接続するように並列に設けたが、給水路9と補給水路10との一端部(補給水タンク5側の端部)と他端部(給水タンク3側の端部)の一方または双方は、共通の管路としてもよい。言い換えれば、補給水路10の一端部は、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路9から分岐するように設けてもよいし、補給水路10の他端部は、給水タンク3に接続するのではなく、給水タンク3の手前において給水路9に合流するように設けてもよい。補給水路10の一端部を、補給水タンク5に接続するのではなく、給水路9から分岐するように設ける場合、その分岐部より下流において、給水路9に給水ポンプ11を設ける一方、補給水路10に補給水ポンプ12を設ければよいが、分岐部よりも上流側の共通管路にのみポンプを設けて、分岐部より下流の給水路9および/または補給水路10に設けた弁の開度を調整することで、給水路9や補給水路10を通る流量を調整してもよい。
【0076】
また、前記実施例では、給水タンク3への給水を貯留するために補給水タンク5を設置したが、場合により補給水タンク5の設置を省略して、給水源から直接に給水路9および補給水路10に水を通してもよい。
【0077】
また、前記実施例では、給水路9および/または補給水路10を介して、補給水タンク5から給水タンク3へ給水可能としたが、これら給水は、硬水軟化装置から直接に行ってもよい。たとえば、
図1において、給水路9および補給水路10の基端部をまとめて硬水軟化装置に接続し、給水ポンプ11の設置を省略する代わりに給水路9に設けた給水弁13の開度を調整し、補給水ポンプ12の設置を省略する代わりに補給水路10に設けた電磁弁の開閉を制御すればよい。
【0078】
また、前記実施例では、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムについて説明したが、給水タンク3の貯留水の利用先は、ボイラ2に限らず適宜に変更可能である。
【0079】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ4の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。
【0080】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4を運転する際、圧縮機14のモータの駆動周波数を一定に維持したが、場合により、圧縮機14の吐出圧を所定に維持するように制御してもよい。あるいは、給水タンク3内の水位、または蒸発器17への熱源水温度などに基づき、圧縮機14の出力を調整してもよい。
【0081】
また、ヒートポンプ4は、単段に限らず複数段とすることもできる。ヒートポンプ4を複数段にする場合、隣接する段のヒートポンプ同士は、間接熱交換器を用いて接続されてもよいし、直接熱交換器(中間冷却器)を用いて接続されてもよい。後者の場合、低段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と高段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が低段ヒートポンプの凝縮器であると共に高段ヒートポンプの蒸発器とされる。このように、複数段(多段)のヒートポンプには、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいはそれらの組合せのヒートポンプが含まれる。
【0082】
さらに、前記実施例では、ヒートポンプ4の圧縮機14は、電気モータにより駆動されたが、圧縮機14の駆動源は特に問わない。たとえば、圧縮機14は、電気モータに代えてまたはそれに加えて、蒸気を用いて動力を起こすスチームモータ(蒸気エンジン)により駆動されたり、ガスエンジンにより駆動されたりしてもよい。