特開2017-146034(P2017-146034A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017146034-給水加温システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-146034(P2017-146034A)
(43)【公開日】2017年8月24日
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
   F22D 5/26 20060101AFI20170728BHJP
   F22D 5/34 20060101ALI20170728BHJP
   F22D 1/18 20060101ALI20170728BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20170728BHJP
【FI】
   F22D5/26 Z
   F22D5/26 C
   F22D5/34 Z
   F22D1/18
   F24H1/00 611B
   F24H1/00 631A
   F24H1/00 611G
   F24H1/00 611S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-28648(P2016-28648)
(22)【出願日】2016年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】大沢 智也
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA13
3L122AA23
3L122AA34
3L122AB12
3L122AC11
3L122AC14
3L122BA44
3L122BB06
3L122BB14
3L122DA33
3L122EA09
3L122EA50
3L122EA52
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプ経由の温水だけでは足りない場合でも、給水タンクへの常温水の供給を抑制して、給水タンク内の水温低下を防止する。
【解決手段】ヒートポンプ4は、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁19および蒸発器20が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、蒸発器20に通される熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器18に通される水を加温する。給水タンク3には、廃熱回収熱交換器6と凝縮器18との双方を介した給水路9、廃熱回収熱交換器6のみを介した給水分岐路11、および廃熱回収熱交換器6と凝縮器18との双方を介さない補給水路10により給水可能である。廃熱回収熱交換器6は、蒸発器20を通過後の熱源流体により、給水路9および給水分岐路11の水を加温する。給水弁14、給水分岐弁16および補給水弁15を制御して、給水タンク3への給水を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器に通される水を加温するヒートポンプと、
前記凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに給水分岐路および補給水路により給水可能な給水タンクと、
前記凝縮器より上流側の前記給水路の水と、前記蒸発器を通過後の熱源流体とを熱交換する廃熱回収熱交換器とを備え、
前記給水路には、前記廃熱回収熱交換器より下流側に給水弁が設けられると共に、前記廃熱回収熱交換器より下流側で且つ前記給水弁および前記凝縮器より上流側から分岐して前記給水分岐路が設けられ、この給水分岐路に給水分岐弁が設けられ、
前記給水タンクへの給水の有無は、前記給水路については前記給水弁により切り替えられ、前記給水分岐路については前記給水分岐弁により切り替えられ、前記補給水路については前記補給水路に設けた補給水弁または補給水ポンプにより切り替えられる
ことを特徴とする給水加温システム。
【請求項2】
前記給水路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が給水開始水位を下回ると開始し、この給水開始水位よりも高い給水停止水位を上回ると停止し、
前記給水分岐路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が前記給水開始水位よりも低い給水分岐開始水位を下回ると開始し、前記給水開始水位よりも高いが前記給水停止水位よりも低い給水分岐停止水位を上回ると停止し、
前記補給水路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が前記給水分岐開始水位よりも低い補給水開始水位を下回ると開始し、前記給水開始水位よりも高いが前記給水分岐停止水位よりも低い補給水停止水位を上回ると停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の給水加温システム。
【請求項3】
前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度未満であれば、前記ヒートポンプを作動させた状態で、前記凝縮器の出口側水温を第一目標温度に維持するように、前記給水弁の開度を調整して、前記給水路を介した給水流量を調整し、
前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度以上になると、前記ヒートポンプを停止させた状態で、前記凝縮器の出口側水温を前記第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、前記給水弁の開度を調整して、前記給水路を介した給水流量を調整する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを用いた給水加温システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、ボイラ(2)の給水タンク(3)への給水を、ヒートポンプ(4)を用いて加温できるシステムが知られている。ヒートポンプ(4)は、圧縮機(12)、凝縮器(13)、膨張弁(14)および蒸発器(15)が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、蒸発器(15)に通される熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器(13)に通される水を加温する。給水タンク(3)には、凝縮器(13)を介して給水路(8)により給水可能であると共に、凝縮器(13)を介さずに補給水路(9)により給水可能である。給水路(8)には、さらに廃熱回収熱交換器(17)が設けられており、蒸発器(15)を通過後の熱源流体により凝縮器(13)への給水が予熱される。
【0003】
給水路(8)を介した給水タンク(3)への給水は、給水タンク(3)内の水位が給水開始水位(H1)を下回ると開始し、この給水開始水位よりも高い給水停止水位(H2)を上回ると停止する。補給水路(9)を介した給水タンク(3)への給水は、給水タンク(3)内の水位が給水開始水位よりも低い補給水開始水位(H3)を下回ると開始し、給水開始水位よりも高いが給水停止水位よりも低い補給水停止水位(H4)を上回ると停止する。
【0004】
従って、給水タンク(3)には、給水路(8)を介した給水が優先され、それでは足りない場合に、補給水路(9)を介した給水もなされる。給水路(8)を介した給水タンク(3)への給水中、ヒートポンプ(4)を運転することで、給水タンク(3)への給水を加温することができる。この際、凝縮器(13)の出口側水温(29)を目標温度に維持するように給水流量が調整される(出湯温度一定制御)。一方、補給水路(9)を介した給水は、廃熱回収熱交換器(17)やヒートポンプ(4)を介さないので、給水路(8)経由の給水よりも低温(常温)のまま給水タンク(3)へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−78827号公報(請求項1、請求項3、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、給水路を介した給水タンクへの給水は、廃熱回収熱交換器やヒートポンプで加温されるが、補給水路を介した給水タンクへの給水は、廃熱回収熱交換器やヒートポンプで加温されない。そのため、補給水路経由の給水が実行されると、給水タンク内の水温が低下することになる。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、給水路経由の給水だけでは足りない場合でも、廃熱回収熱交換器を有効活用して加温した水を給水タンクに供給することで、補給水路経由の給水を抑制して、給水タンク内の水温低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器が順次環状に接続されて冷媒を循環させ、前記蒸発器に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記凝縮器に通される水を加温するヒートポンプと、前記凝縮器を介して給水路により給水可能であると共に、前記凝縮器を介さずに給水分岐路および補給水路により給水可能な給水タンクと、前記凝縮器より上流側の前記給水路の水と、前記蒸発器を通過後の熱源流体とを熱交換する廃熱回収熱交換器とを備え、前記給水路には、前記廃熱回収熱交換器より下流側に給水弁が設けられると共に、前記廃熱回収熱交換器より下流側で且つ前記給水弁および前記凝縮器より上流側から分岐して前記給水分岐路が設けられ、この給水分岐路に給水分岐弁が設けられ、前記給水タンクへの給水の有無は、前記給水路については前記給水弁により切り替えられ、前記給水分岐路については前記給水分岐弁により切り替えられ、前記補給水路については前記補給水路に設けた補給水弁または補給水ポンプにより切り替えられることを特徴とする給水加温システムである。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、給水タンクには、廃熱回収熱交換器と凝縮器との双方を介する給水路と、廃熱回収熱交換器を介するが凝縮器を介さない給水分岐路と、廃熱回収熱交換器と凝縮器との双方を介さない補給水路とにより給水可能とされる。そして、給水路を介した給水の有無は給水弁により、給水分岐路を介した給水の有無は給水分岐弁より、補給水路を介した給水の有無は補給水弁または補給水ポンプにより切り替えられる。給水路からの給水では足りない場合、まずは給水分岐路からの給水を行うことで、廃熱回収熱交換器にて加温した給水を行うことができる。これにより、補給水路を介した給水を抑制して、給水タンク内の水温低下を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が給水開始水位を下回ると開始し、この給水開始水位よりも高い給水停止水位を上回ると停止し、前記給水分岐路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が前記給水開始水位よりも低い給水分岐開始水位を下回ると開始し、前記給水開始水位よりも高いが前記給水停止水位よりも低い給水分岐停止水位を上回ると停止し、前記補給水路を介した前記給水タンクへの給水は、前記給水タンク内の水位が前記給水分岐開始水位よりも低い補給水開始水位を下回ると開始し、前記給水開始水位よりも高いが前記給水分岐停止水位よりも低い補給水停止水位を上回ると停止することを特徴とする請求項1に記載の給水加温システムである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、給水開始水位、給水停止水位、給水分岐開始水位、給水分岐停止水位、補給水開始水位および補給水停止水位を所定に設定することで、優先度の高い方から、給水路経由の給水、給水分岐路経由の給水、および補給水路経由の給水の順に、優先度を付けた給水を簡易に実施することができる。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度未満であれば、前記ヒートポンプを作動させた状態で、前記凝縮器の出口側水温を第一目標温度に維持するように、前記給水弁の開度を調整して、前記給水路を介した給水流量を調整し、前記給水路を介した前記給水タンクへの給水中、前記蒸発器への熱源流体温度が設定温度以上になると、前記ヒートポンプを停止させた状態で、前記凝縮器の出口側水温を前記第一目標温度よりも低い第二目標温度に維持するように、前記給水弁の開度を調整して、前記給水路を介した給水流量を調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給水加温システムである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、蒸発器への熱源流体温度が設定温度未満であれば、ヒートポンプを作動させた状態で、凝縮器の出口側水温を第一目標温度に維持するように、給水路を介した給水タンクへの給水流量を調整することで、給水源の水温や熱源流体の温度に拘わらず、所望温度の温水を得ることができる。一方、蒸発器への熱源流体温度が設定温度以上になると、ヒートポンプを停止させるので、圧縮機の保護を図ることができる。但し、その場合でも、廃熱回収熱交換器において、給水と熱源流体とを熱交換して、熱源流体からの熱回収を図ることができる。しかも、凝縮器の出口側水温の制御目標温度を、第一目標温度よりも低い第二目標温度に切り替えることで、給水路を介した給水タンクへの給水流量をある程度以上に確保して、熱源流体からの熱回収を有効に図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給水加温システムによれば、給水路経由の給水だけでは足りない場合でも、廃熱回収熱交換器を有効活用して加温した水を給水タンクに供給することで、補給水路経由の給水を抑制して、給水タンク内の水温低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例の給水加温システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の給水加温システム1を示す概略図である。
【0017】
本実施例の給水加温システム1は、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムであり、ボイラ2への給水を貯留する給水タンク3と、この給水タンク3への給水を貯留する補給水タンク5と、この補給水タンク5から給水タンク3への給水を加温する廃熱回収熱交換器6およびヒートポンプ4と、このヒートポンプ4の熱源としての熱源水を貯留する熱源水タンク7とを備える。
【0018】
ボイラ2は、蒸気ボイラであり、給水タンク3からの給水を加熱して蒸気にする。ボイラ2は、典型的には、蒸気の圧力を所望に維持するように、燃焼量を調整される。また、ボイラ2は、缶体内の水位を所望に維持するように、給水タンク3からボイラ2への給水用のポンプ8が制御される。ボイラ2からの蒸気は、各種の蒸気使用設備(図示省略)へ送られるが、蒸気使用設備からのドレン(蒸気の凝縮水)は、給水タンク3へ戻されてもよい。あるいは、蒸気使用設備からのドレンは、熱源水タンク7へ供給されてもよい。
【0019】
給水タンク3には、補給水タンク5から、廃熱回収熱交換器6とヒートポンプ4との双方を介して給水路9により給水可能であると共に、廃熱回収熱交換器6とヒートポンプ4との双方を介さずに補給水路10により給水可能である。さらに、給水タンク3には、補給水タンク5から、廃熱回収熱交換器6を介するがヒートポンプ4を介さずに、給水分岐路11により給水可能である。具体的には、給水路9には、廃熱回収熱交換器6の出口側から分岐して、給水タンク3への給水分岐路11が設けられている。なお、図示例では、給水分岐路11は、下流において、補給水路10に合流されるが、補給水路10に合流されることなく給水タンク3へ配管されてもよい。
【0020】
給水路9と補給水路10とは、上流側において共通管路12とされており、その共通管路12に送水ポンプ13が設けられている。従って、補給水タンク5からの管路は、送水ポンプ13より下流において、給水路9と補給水路10とに分岐され、給水路9はさらに、廃熱回収熱交換器6の出口側で給水分岐路11とも分岐される。
【0021】
給水路9には、給水分岐路11との分岐部よりも下流に、給水弁14が設けられる。一方、補給水路10には、給水路9との分岐部よりも下流(図示例ではさらに給水分岐路11との合流部よりも上流)に、補給水弁15が設けられる。さらに、給水分岐路11には、給水路9との分岐部よりも下流(図示例ではさらに補給水路10との合流部よりも上流)に、給水分岐弁16が設けられる。
【0022】
給水弁14は、開度調整可能な電動弁(モータバルブ)から構成される。一方、補給水弁15および給水分岐弁16も、本実施例では電動弁から構成されるが、後述するように開閉のみを切替制御されるので、場合により電磁弁から構成されてもよい。給水路9を介した給水タンク3への給水は、給水の有無が給水弁14の開閉により切り替えられ、給水の流量が給水弁14の開度により調整される。一方、補給水路10を介した給水タンク3への給水は、給水の有無が補給水弁15の開閉により切り替えられ、給水分岐路11を介した給水タンク3への給水は、給水の有無が給水分岐弁16の開閉により切り替えられる。
【0023】
送水ポンプ13は、本実施例では、出口側圧力が設定圧力未満になると起動し、設定圧力以上になると停止する。この際、設定圧力にディファレンシャル(動作隙間)を設けてもよいことはもちろんである。また、送水ポンプ13は、モータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更して、出口側圧力を設定圧力に維持するように制御されてもよい。このような構成であるから、給水弁14、補給水弁15および給水分岐弁16の内、一または複数の弁を開けると、送水ポンプ13が作動して、給水路9、補給水路10および給水分岐路11の内、一または複数の流路を介して、給水タンク3へ給水することができる。一方、給水弁14、補給水弁15および給水分岐弁16の全てを閉じると、送水ポンプ13が停止する。
【0024】
補給水タンク5は、給水タンク3への給水を貯留する。補給水タンク5への給水として、本実施例では軟水が用いられる。すなわち、陽イオン交換樹脂等を用いた硬水軟化装置(図示省略)にて水中の硬度成分を除去された軟水は、補給水タンク5に供給され貯留される。補給水タンク5の水位に基づき硬水軟化装置からの給水を制御することで、補給水タンク5の水位は所望に維持される。
【0025】
ヒートポンプ4は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁19および蒸発器20が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機17は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器18は、圧縮機17からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁19は、凝縮器18からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器20は、膨張弁19からの冷媒の蒸発を図る。
【0026】
従って、ヒートポンプ4は、蒸発器20において、冷媒が外部から熱を奪って蒸発する一方、凝縮器18において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、本実施例では、ヒートポンプ4は、蒸発器20において、熱源水から熱をくみ上げ、凝縮器18において、給水路9の水を加温する。
【0027】
ヒートポンプ4は、さらに、凝縮器18と膨張弁19との間に、過冷却器21を備えるのが好ましい。過冷却器21は、凝縮器18より上流側の給水路9の水と、凝縮器18から膨張弁19への冷媒との間接熱交換器である。過冷却器21により、凝縮器18への給水で、凝縮器18から膨張弁19への冷媒を過冷却することができると共に、凝縮器18から膨張弁19への冷媒で、凝縮器18への給水を加温することができる。ヒートポンプ4の冷媒は、好適には、凝縮器18において潜熱を放出し、過冷却器21において顕熱を放出する。
【0028】
その他、ヒートポンプ4には、圧縮機17の入口側にアキュムレータを設置したり、圧縮機17の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器18の出口側(凝縮器18と過冷却器21との間)に受液器を設置したりしてもよい。
【0029】
また、ヒートポンプ4は、その出力を変更可能とされてもよい。たとえば、圧縮機17のモータの駆動周波数ひいては回転数をインバータで変更することで、ヒートポンプ4の出力を変更することができる。但し、以下においては、ヒートポンプ4は、圧縮機17のモータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力で運転される例について説明する。
【0030】
廃熱回収熱交換器6は、過冷却器21より上流側の給水路9の水と、蒸発器20を通過後の熱源水との間接熱交換器である。従って、補給水タンク5からの給水は、給水路9を介して、廃熱回収熱交換器6、過冷却器21および凝縮器18に、順に通される。また、給水路9には、廃熱回収熱交換器6と過冷却器21との間から分岐して、給水分岐路11が設けられており、廃熱回収熱交換器6を通過後の給水の一部は、給水分岐路11を介して給水タンク3へ供給可能とされる。一方、熱源水タンク7からの熱源水は、熱源供給路22を介して、蒸発器20および廃熱回収熱交換器6に、順に通される。そして、廃熱回収熱交換器6において、蒸発器20を通過後の熱源水により、給水路9や給水分岐路11を介した給水タンク3への給水を加温することができる。
【0031】
ところで、前述したとおり、給水分岐路11は、廃熱回収熱交換器6とヒートポンプ4(具体的にはその過冷却器21)との間の給水路9から分岐するよう設けられる。そして、この分岐部よりも下流において、給水路9に給水弁14が設けられる一方、給水分岐路11に給水分岐弁16が設けられる。言い換えれば、給水路9には、廃熱回収熱交換器6より下流側に給水弁14が設けられると共に、廃熱回収熱交換器6より下流側で且つ給水弁14およびヒートポンプ4より上流側から分岐して給水分岐路11が設けられ、この給水分岐路11に給水分岐弁16が設けられる。なお、図示例では、給水弁14は、凝縮器18の出口側に設けられるが、給水分岐路11との分岐部よりも下流の給水路9であれば、給水弁14の設置位置は特に問わない。
【0032】
熱源水タンク7は、熱源水を貯留する。熱源水とは、たとえば廃温水(工場などから排出される温水)である。熱源水タンク7には、熱源水の供給路23が設けられると共に、所定以上の熱源水をあふれさせるオーバーフロー路24が設けられている。
【0033】
熱源水タンク7の熱源水は、前述したとおり、熱源供給路22を介して、蒸発器20に通された後、廃熱回収熱交換器6に通される。熱源供給路22には、蒸発器20より上流側に熱源供給ポンプ25が設けられており、この熱源供給ポンプ25を作動させることで、熱源水タンク7からの熱源水を、蒸発器20と廃熱回収熱交換器6とに順に通すことができる。
【0034】
給水タンク3には、水位検出器26が設けられる。この水位検出器26は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、給水タンク3には、長さの異なる複数の電極棒27〜32が、その下端部の高さ位置を互いに異ならせて差し込まれて保持される。本実施例では、給水弁14を制御用の給水開始電極棒27および給水停止電極棒28と、給水分岐弁16を制御用の給水分岐開始電極棒29および給水分岐停止電極棒30と、補給水弁15を制御用の補給水開始電極棒31と補給水停止電極棒32とが挿入されている。この際、詳細は後述するが、本実施例では、給水停止電極棒28、給水分岐停止電極棒30、補給水停止電極棒32、給水開始電極棒27、給水分岐開始電極棒29および補給水開始電極棒31の順に、下端部の高さ位置を低くして、給水タンク3に挿入されている。
【0035】
各電極棒27〜32は、その下端部が水に浸かるか否かにより、下端部における水位の有無を検出する。以下において、給水開始電極棒27が検出する水位を給水開始水位H1、給水停止電極棒28が検出する水位を給水停止水位H2、給水分岐開始電極棒29が検出する水位を給水分岐開始水位H3、給水分岐停止電極棒30が検出する水位を給水分岐停止水位H4、補給水開始電極棒31が検出する水位を補給水開始水位H5、補給水停止電極棒32が検出する水位を補給水停止水位H6という。
【0036】
熱源水タンクには、熱源水の有無を確認するために、水位検出器33が設けられる。この水位検出器33は、その構成を特に問わないが、本実施例では電極式水位検出器とされる。この場合、熱源水タンク7には、低水位検出電極棒34が差し込まれており、熱源水の水位が設定を下回っていないかを監視する。
【0037】
給水路9には、凝縮器18の出口側に、出湯温度センサ35が設けられる。出湯温度センサ35は、凝縮器18を通過後の水温を検出する。図示例では、給水路9には、凝縮器18の出口側に給水弁14が設けられるが、出湯温度センサ35は、凝縮器18より下流であれば、給水弁14の入口側に設置されてもよいし出口側に設置されてもよい。いずれにしても、出湯温度センサ35の検出温度に基づき、給水弁14が制御される。ここでは、給水弁14は、出湯温度センサ35の検出温度を目標温度に維持するように開度調整される。これにより、給水路9を介した給水タンク3への給水は、凝縮器18の出口側水温を目標温度に維持するように、流量が調整される。
【0038】
熱源供給路22には、蒸発器20の入口側に、熱源温度センサ36が設けられる。熱源温度センサ36は、蒸発器20へ供給される熱源水の温度を検出する。但し、熱源温度センサ36は、場合により、熱源水タンク7に設けられてもよい。詳細は後述するが、熱源温度センサ36の検出温度に基づき、ヒートポンプ4(より具体的には圧縮機17)の発停と、前記目標温度の変更が可能とされる。
【0039】
次に、本実施例の給水加温システム1の制御(運転方法)について説明する。以下に説明する一連の制御は、図示しない制御器を用いて自動でなされる。すなわち、制御器は、ヒートポンプ4、給水弁14、補給水弁15、給水分岐弁16、熱源供給ポンプ25、給水タンク3の水位検出器26、熱源水タンク7の水位検出器33、出湯温度センサ35および熱源温度センサ36などに接続されており、以下の一連の制御を実行する。
【0040】
まず、給水タンク3への給水は、給水タンク3に設けた水位検出器26の検出信号に基づき、給水弁14、補給水弁15および給水分岐弁16を制御することでなされる。つまり、給水路9を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が給水開始水位H1を下回ると開始し、この給水開始水位H1よりも高い給水停止水位H2を上回ると停止する。また、給水分岐路11を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が給水分岐開始水位H3を下回ると開始し、この給水分岐開始水位H3よりも高い給水分岐停止水位H4を上回ると停止する。さらに、補給水路10を介した給水タンク3への給水は、給水タンク3内の水位が補給水開始水位H5を下回ると開始し、この補給水開始水位H5よりも高い補給水停止水位H6を上回ると停止する。なお、補給水開始水位H5は、給水開始水位H1よりも低く設定され、補給水停止水位H6は、給水開始水位H1よりも高いが給水停止水位H2よりも低く設定され、給水分岐開始水位H3は、給水開始水位H1よりも低いが補給水開始水位H5よりも高く設定され、給水分岐停止水位H4は、補給水停止水位H6よりも高いが給水停止水位H2よりも低く設定される。
【0041】
このような構成であるから、いま、給水停止電極棒28が水位を検知しているとすると、給水タンク3内の水位が十分にあるとして、給水弁14、補給水弁15および給水分岐弁16を閉じている。給水タンク3からボイラ2への給水により、給水タンク3内の水位が下がり、給水開始電極棒27が水位を検知しなくなると、給水弁14を開ける。これにより、給水路9を介して給水タンク3に給水されるが、給水停止電極棒28が水位を検知すると、給水弁14を閉じる。
【0042】
一方、給水弁14を開けても給水タンク3内の水位を回復できず、給水タンク3内の水位がさらに下がり、給水分岐開始電極棒29が水位を検知しなくなると、給水分岐弁16も開ける。これにより、給水路9と給水分岐路11とを介して、給水タンク3に給水されるが、給水分岐停止電極棒30が水位を検知すると、給水分岐弁16を閉じ、さらに給水停止電極棒28が水位を検知すると、給水弁14を閉じる。
【0043】
他方、給水分岐弁16を開けても給水タンク3内の水位を回復できず、給水タンク3内の水位がさらに下がり、補給水開始電極棒31が水位を検知しなくなると、補給水弁15も開ける。これにより、給水路9、給水分岐路11および補給水路10を介して、給水タンク3に給水されるが、補給水停止電極棒32が水位を検知すると、補給水弁15を閉じ、給水分岐停止電極棒30が水位を検知すると、給水分岐弁16を閉じ、さらに給水停止電極棒28が水位を検知すると、給水弁14を閉じる。
【0044】
なお、給水弁14を開けて(また所望により給水分岐弁16も開けて)、給水路9を介した(また所望により給水分岐路11も介した)給水タンク3への給水中、熱源供給ポンプ25も作動させる。
【0045】
このように、本実施例では、給水路9からの給水では足りない場合、まずは給水分岐路11からの給水を行うことで、廃熱回収熱交換器6にて加温した給水を行うことができる。つまり、優先度の高い方から、給水路9経由の給水、給水分岐路11経由の給水、および補給水路10経由の給水の順に、優先度を付けた給水を実施することができる。これにより、補給水路10を介した比較的低温の給水を抑制して、給水タンク3内の水温低下を防止することができる。
【0046】
ヒートポンプ4は、基本的には、給水路9を介した給水中(それに伴い熱源供給路22に熱源水を通水中)に作動するが、後述するように所定の場合に停止する。ヒートポンプ4は、その圧縮機17の作動の有無により、運転と停止が切り替えられる。ヒートポンプ4の運転中、圧縮機17は、モータの駆動周波数が一定に維持され、一定出力を維持される。
【0047】
給水路9を介した給水タンク3への給水中、出湯温度センサ35の検出温度を目標温度に維持するように、給水弁14の開度が調整される(出湯温度一定制御)。後述するように、状況に応じて、目標温度は変更される。
【0048】
前述したように、本実施例の給水加温システム1では、給水タンク3内の水位に基づき、給水路9を介した給水タンク3への給水が制御されるが、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ36により蒸発器20への熱源水温度を監視し、その温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4を停止させるのがよい。その場合でも、給水タンク3内の水位に基づく給水条件が満たされる限りは、給水路9を介して給水タンク3へ給水する。
【0049】
より詳細には、本実施例では、次のように制御される。すなわち、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ36の検出温度が設定温度(たとえば60℃)未満であれば、ヒートポンプ4を作動させた状態で、出湯温度センサ35の検出温度を第一目標温度(たとえば75℃)に維持するように、給水弁14の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する(第一制御)。なお、ここでは、第一目標温度は、前記設定温度よりも高い温度とされる。
【0050】
一方、給水路9を介した給水タンク3への給水中、熱源温度センサ36の検出温度が設定温度(たとえば60℃)以上になると、第二制御に切り替える。第二制御では、ヒートポンプ4を停止させる。その場合でも、給水タンク3内の水位に基づく給水条件が満たされる限りは、給水路9を介して給水タンク3へ給水するが、凝縮器18の出口側水温の制御目標温度を下げるのが好ましい。つまり、出湯温度センサ35の検出温度を第一目標温度よりも低い第二目標温度(たとえば60℃)に維持するように、給水弁14の開度を調整して、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する。なお、ここでは、第二目標温度は、前記設定温度と同一温度とされるが、場合により、前記設定温度よりも低い温度とされてもよい。
【0051】
このように、蒸発器20への熱源水温度が設定温度未満であれば、ヒートポンプ4を作動させた状態で、凝縮器18の出口側水温を第一目標温度に維持するように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整することで、給水源の水温や熱源水の温度に拘わらず、所望温度の温水を得ることができる。一方、蒸発器20への熱源水温度が設定温度以上になると、ヒートポンプ4を停止させるので、圧縮機17の保護を図ることができる。但し、その場合でも、廃熱回収熱交換器6において、給水と熱源水とを熱交換して、熱源水からの熱回収を図ることができる。しかも、凝縮器18の出口側水温の制御目標温度を、第一目標温度よりも低い第二目標温度に切り替えることで、給水路9を介した給水タンク3への給水流量をある程度以上に確保して、熱源水からの熱回収を有効に図ることができる。
【0052】
第二制御から第一制御への切替えは、次のように行われる。すなわち、ヒートポンプ4を停止した状態で、出湯温度センサ35の検出温度を第二目標温度に維持するように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整中(つまり第二制御中)、熱源温度センサ36の検出温度が設定温度未満を設定時間(たとえば60秒)継続した場合には、第一制御に戻される。つまり、ヒートポンプ4を再起動して、出湯温度センサ35の検出温度を第一目標温度に維持するように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する制御に切り替えればよい。
【0053】
但し、第二制御から第一制御への切替えは、次のように行ってもよい。すなわち、ヒートポンプ4を停止した状態で、出湯温度センサ35の検出温度を第二目標温度に維持するように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整中(つまり第二制御中)、熱源温度センサ36の検出温度が設定温度よりも低い所定温度(たとえば58℃)未満になった場合には、第一制御に戻される。つまり、ヒートポンプ4を再起動して、出湯温度センサ35の検出温度を第一目標温度に維持するように、給水路9を介した給水タンク3への給水流量を調整する制御に切り替えればよい。
【0054】
いずれにしても、蒸発器20への熱源水温度が所定に下がると、ヒートポンプ4を停止させた第二制御から、ヒートポンプ4を稼働させた第一制御に戻すことができる。このようにして、蒸発器20への熱源水温度に応じて、第一制御と第二制御との切り替えが行われる。
【0055】
本発明の給水加温システム1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、廃熱回収熱交換器6と凝縮器18との双方を介する給水路9と、廃熱回収熱交換器6を介するが凝縮器18を介さない給水分岐路11と、廃熱回収熱交換器6と凝縮器18との双方を介さない補給水路10とにより給水可能な給水タンク3を備え、給水タンク3内の水位に基づき、給水路9、給水分岐路11および補給水路10の各給水の有無を切替可能であれば、その他の構成は適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例において、過冷却器21の設置を省略してもよい。
【0056】
また、前記実施例では、給水タンク3の水位検出器26として、電極式水位検出器を用いたが、水位に応じた連続的な出力を得られるアナログ式水位検出器を用いてもよい。具体的には、給水タンク3内の水位に応じて水圧が変わることを利用した水圧式の水位検出器を用いることができるが、これに代えて圧力センサを用いることもできる。あるいは、静電容量式の水位検出器を用いることもできる。いずれの場合も、前記実施例と同様の制御を実施することができる。
【0057】
また、前記実施例では、給水分岐弁16や補給水弁15は、オンオフ制御により開閉を切り替えられたが、場合により水位に応じて開度調整されてもよい。たとえば、給水分岐弁16は、給水分岐開始水位H3にて開放された後、給水タンク3内の水位が下がるほど、段階的にまたは連続的に開度を大きくするよう制御されてもよい。また、同様に、補給水弁15は、補給水開始水位H5にて開放された後、給水タンク3内の水位が下がるほど、段階的にまたは連続的に開度を大きくするよう制御されてもよい。
【0058】
また、前記実施例では、給水路9と補給水路10との上流部を共通管路12として、その共通管路12に送水ポンプ13を設けたが、次のように構成してもよい。すなわち、図1において、送水ポンプ13の設置を省略する代わりに、給水路9と補給水路10との分岐部よりも下流において、廃熱回収熱交換器6への給水路9に給水ポンプを設ける一方、補給水路10に補給水弁15に代えてまたはそれに加えて補給水ポンプを設けてもよい。この場合において、給水路9と補給水路10とは、上流部が共通管路12として補給水タンク5に接続される以外に、個別に補給水タンク5に接続されてもよい。そして、給水弁14や給水分岐弁16を開く際、給水ポンプを作動させればよいし、補給水弁15を開く際、補給水ポンプを作動させるか、補給水弁15に代えて補給水ポンプを設置する場合、給水タンク3内の水位に応じて補給水ポンプの発停を制御すればよい。
【0059】
また、前記実施例では、給水路9と補給水路10とは、下流側において、個別に給水タンク3に接続されたが、上流側と同様に共通管路として(つまり合流させて)給水タンク3に接続されてもよい。
【0060】
また、図1では、給水タンク3への給水を貯留するために補給水タンク5を設置したが、場合により補給水タンク5の設置を省略して、給水源(たとえば硬水軟化装置)から直接に給水路9および補給水路10に水を通してもよい。
【0061】
また、前記実施例では、ボイラ2の給水タンク3への給水をヒートポンプ4で加温できるシステムについて説明したが、給水タンク3の貯留水の利用先は、ボイラ2に限らず適宜に変更可能である。
【0062】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4の熱源として熱源水を用いた例について説明したが、ヒートポンプ4の熱源流体として、熱源水に限らず、空気や排ガスなど各種の流体を用いることができる。
【0063】
また、前記実施例では、ヒートポンプ4を運転する際、圧縮機17のモータの駆動周波数を一定に維持したが、場合により、圧縮機17の吐出圧を所定に維持するように制御してもよい。あるいは、給水タンク3内の水位、または蒸発器20への熱源水温度などに基づき、圧縮機17の出力を調整してもよい。
【0064】
また、ヒートポンプ4は、単段に限らず複数段とすることもできる。ヒートポンプ4を複数段にする場合、隣接する段のヒートポンプ同士は、間接熱交換器を用いて接続されてもよいし、直接熱交換器(中間冷却器)を用いて接続されてもよい。後者の場合、低段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と高段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が低段ヒートポンプの凝縮器であると共に高段ヒートポンプの蒸発器とされる。このように、複数段(多段)のヒートポンプには、一元多段のヒートポンプの他、複数元(多元)のヒートポンプ、あるいはそれらの組合せのヒートポンプが含まれる。
【0065】
さらに、前記実施例では、ヒートポンプ4の圧縮機17は、電気モータにより駆動されたが、圧縮機17の駆動源は特に問わない。たとえば、圧縮機17は、電気モータに代えてまたはそれに加えて、蒸気を用いて動力を起こすスチームモータ(蒸気エンジン)に駆動されたり、ガスエンジンにより駆動されたりしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 給水加温システム
2 ボイラ
3 給水タンク
4 ヒートポンプ
5 補給水タンク
6 廃熱回収熱交換器
7 熱源水タンク
8 ポンプ
9 給水路
10 補給水路
11 給水分岐路
12 共通管路
13 送水ポンプ
14 給水弁
15 補給水弁
16 給水分岐弁
17 圧縮機
18 凝縮器
19 膨張弁
20 蒸発器
21 過冷却器
22 熱源供給路
23 熱源水の供給路
24 オーバーフロー路
25 熱源供給ポンプ
26 水位検出器
27 給水開始電極棒
28 給水停止電極棒
29 給水分岐開始電極棒
30 給水分岐停止電極棒
31 補給水開始電極棒
32 補給水停止電極棒
33 水位検出器
34 低水位検出電極棒
35 出湯温度センサ
36 熱源温度センサ
H1 給水開始水位
H2 給水停止水位
H3 給水分岐開始水位
H4 給水分岐停止水位
H5 補給水開始水位
H6 補給水停止水位
図1