【課題】抄紙装置に投入される古紙の種類、繊維の希釈度合い、脱墨状態等にかかわらず、最終成果物としての仕上がり用紙の重量(厚み)にバラツキが発生せず、品質が良好な抄紙装置の提供を目的とする。
【解決手段】抄紙装置は、仕上げ部15においての重量測定部516にて測定した仕上がり用紙(単葉紙)の重量に応じて、パルパー部9から抄紙部13にかけてのパルプ懸濁液の流通経路における再生パルプ8の移送量を制御する再生パルプ量制御手段77を備えている。
古紙を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を製造するパルパー部と、前記パルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルパー部で製造されたパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第1の移送手段と、前記帯状の湿紙を乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って設定仕様に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、前記仕上げ部は、前記帯状紙を単葉紙に裁断する裁断部と、前記単葉紙を搬送する搬送装置と、搬送装置の搬送経路上において所定のタイミングで前記単葉紙を前記搬送経路上から排除する分離部を有し、前記分離部で排除した単葉紙を収納する収納部と、前記収納部に収納された単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、
前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記第1の移送手段が移送する再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とする抄紙装置。
前記第1の移送手段が、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラと、前記押圧ローラを移動させる移動手段を備えたチューブポンプであることを特徴とする請求項1に記載の抄紙装置。
古紙を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を製造するパルパー部と、前記パルプ懸濁液を脱墨する脱墨部と、前記脱墨されたパルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルパー部で製造されたパルプ懸濁液を前記脱墨部に移送する第2の移送手段と、前記第2の移送手段の下流部から脱墨部にパルプ懸濁液を移送する流通流路の途中にて、希釈液を供給する希釈液流路を合流したミキシング流路と、前記脱墨部で脱墨されたパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第3の移送手段と、前記帯状の湿紙を受け取って乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って設定仕様に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、前記仕上げ部は、前記帯状紙を単葉紙に裁断する裁断部と、前記単葉紙を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の搬送経路上において所定のタイミングで前記単葉紙を前記搬送経路上から排除する分離部を有し、前記分離部で排除した単葉紙を収納する収納部と、前記収納部に新たに収納された単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記希釈液の供給量に対する前記第2の移送手段が移送する再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とする抄紙装置。
第2の移送手段及び、第3の移送手段が、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラと、前記押圧ローラを移動させる移動手段を備えたチューブポンプである請求項4に記載の抄紙装置。
前記第3の移送手段は、定速制御手段により前記押圧ローラの移動速度を一定速度に保持すると共に、前記第2の移送手段は、前記再生パルプ量制御手段により前記押圧ローラの移動速度を、前記測定した単葉紙の重量に応じて制御することを特徴とする請求項5に記載の抄紙装置。
前記仕上げ部は、前記分離部で排除された新たな単葉紙の収納前に前記重量測定部により測定された収納部の重量と、前記新たな単葉紙の収納後に前記重量測定部により測定された収納部の重量との差分から、前記新たな単葉紙の重量を算出する重量算出部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の抄紙装置。
前記重量算出部は、基準公差値を複数記憶する記憶手段と、成果物としての単葉紙の仕様を設定する設定手段と、前記算出された新たな単葉紙の重量と前記設定された単葉紙の仕様に対応する基準公差値を比較する比較手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の抄紙装置。
前記重量算出部は、前記算出された新たな単葉紙の重量を、ユーザー任意のタイミングで表示する表示部及び/又は、前記重量の経時変化を記録する記録部を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の抄紙装置。
再生パルプを含むパルプ懸濁液を貯留するパルプ懸濁液貯留部と、前記パルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルプ懸濁液貯留部のパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第1の移送手段と、前記帯状の湿紙を乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って単葉紙に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、前記単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記第1の移送手段の再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とする抄紙装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の製紙装置においては、投入古紙の種類、繊維の希釈度合い、脱墨状態等によっては、最終成果物としての仕上がり用紙の厚みにバラツキが発生し、品質の劣悪なものとなる場合がある。
【0005】
又、従来、大型抄紙機においては、再生処理後の再生紙の厚さの測定は、通常、レーザー測定器等を使用し、再生紙そのものの「厚さ」を測定するか、あるいは、再生紙を単位長さにて巻取りを行い、巻いた再生紙の「直径」を測定し、厚さ換算するのが一般的で、前記測定された厚さに応じて、抄紙部に移送するパルプ懸濁液の流量を制御している。
しかし、前記、紙そのものの「厚さ」を測定する測定器(レーザー測定器等)は高価であり、又、巻いた再生紙の単位長さ巻取り当たりの「直径」を測定する場合、測定バラツキが大きく、さらに、前記測定方法では任意のタイミングで測定できないという問題がある。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、抄紙装置に投入される古紙の種類、繊維の希釈度合い、脱墨状態等にかかわらず、最終成果物としての仕上がり用紙の重量(厚み)にバラツキが発生せず、品質が良好な抄紙装置の提供を目的とする。
又、最終成果物としての仕上がり用紙の重量を簡易で安価な測定方法で測定可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の抄紙装置は、古紙を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を製造するパルパー部と、前記パルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルパー部で製造されたパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第1の移送手段と、前記帯状の湿紙を乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って設定仕様に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、前記仕上げ部は、前記帯状紙を単葉紙に裁断する裁断部と、前記単葉紙を搬送する搬送装置と、搬送装置の搬送経路上において所定のタイミングで前記単葉紙を前記搬送経路上から排除する分離部を有し、前記分離部で排除した単葉紙を収納する収納部と、前記収納部に収納された単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記第1の移送手段の再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の抄紙装置において、前記第1の移送手段が、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラと、前記押圧ローラを移動させる移動手段を備えたチューブポンプであることを特徴とするものである。
【0009】
そして、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の抄紙装置において、前記再生パルプ量制御手段は、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記押圧ローラの移動速度を制御することを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項4に記載の抄紙装置は、古紙を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液を製造するパルパー部と、前記パルプ懸濁液を脱墨する脱墨部と、前記脱墨されたパルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルパー部で製造されたパルプ懸濁液を前記脱墨部に移送する第2の移送手段と、前記第2の移送手段の下流部から脱墨部にパルプ懸濁液を移送する移送流路の途中にて、希釈液を供給する希釈液流路を合流したミキシング流路と、前記脱墨部で脱墨されたパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第3の移送手段と、前記帯状の湿紙を受け取って乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って設定仕様に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、
前記仕上げ部は、前記帯状紙を単葉紙に裁断する裁断部と、前記単葉紙を搬送する搬送装置と、前記搬送装置の搬送経路上において所定のタイミングで前記単葉紙を前記搬送経路上から排除する分離部を有し、前記分離部で排除した単葉紙を収納する収納部と、前記収納部に新たに収納された単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記希釈液の供給量に対する前記第2の移送手段の再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とするものである。
【0011】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の抄紙装置において、第2の移送手段及び、第3の移送手段が、可撓性チューブと、前記可撓性チューブを押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラと、前記押圧ローラを移動させる移動手段を備えたチューブポンプであることを特徴とするものである。
【0012】
更に、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の抄紙装置において、前記第3の移送手段は、定速制御手段により前記押圧ローラの移動速度を一定速度に保持すると共に、前記第2の移送手段は、前記再生パルプ量制御手段により前記押圧ローラの移動速度を、前記測定した単葉紙の重量に応じて制御することを特徴とするものである。
【0013】
更に、請求項7に記載の発明は、少なくとも請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の抄紙装置において、前記仕上げ部は、前記分離部で排除された新たな単葉紙の収納前に前記重量測定部により測定された収納部の重量と、前記新たな単葉紙の収納後に前記重量測定部により測定された収納部の重量との差分から、前記新たな単葉紙の重量を算出する重量算出部を備えることを特徴とするものである。
【0014】
更に、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の抄紙装置において、前記重量算出部は、基準公差値を複数記憶する記憶手段と、成果物としての単葉紙の仕様を設定する設定手段と、前記算出された新たな単葉紙の重量と前記設定された単葉紙の仕様に対応する基準公差値を比較する比較手段を備えることを特徴とするものである。
【0015】
更に、請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の抄紙装置において、
前記重量算出部は、前記算出された新たな単葉紙の重量を、ユーザー任意のタイミングで表示する表示部及び/又は、前記重量の経時変化を記録する記録部を備えることを特徴とするものである。
【0016】
更に、請求項10に記載の抄紙装置は、再生パルプを含むパルプ懸濁液を貯留するパルプ懸濁液貯留部と、前記パルプ懸濁液を帯状の湿紙に抄紙する抄紙部と、前記パルプ懸濁液貯留部のパルプ懸濁液を前記抄紙部に移送する第1の移送手段と、前記帯状の湿紙を乾燥させる乾燥部と、前記帯状の湿紙を乾燥させた帯状紙を受け取って単葉紙に整形する仕上げ部を備える抄紙装置において、前記単葉紙の重量を測定する重量測定部を備え、前記測定した単葉紙の重量に応じて、前記第1の移送手段の再生パルプ量を制御する再生パルプ量制御手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の古紙再生処理装置によれば、仕上がり用紙の重量(厚み)バラツキを抑えることができる。
【0018】
また、請求項2に記載の抄紙装置によれば、チューブポンプを用いれば、ポンプ内においてのパルプ懸濁液の詰まりを防ぐことができると共に、チューブポンプにおける押圧ローラの移動速度を制御することにより移送ポンプの吐出量を容易に変化させ、抄紙部に移送する再生パルプ量を制御することができる。
【0019】
そして、請求項3に記載の抄紙装置によれば、ユーザー所望の仕上がり用紙の種類(重量)に応じて、抄紙部に移送する再生パルプ量の調整が自動的に行われる為、品質上良好である。
【0020】
更に、請求項4に記載の抄紙装置によれば、脱墨部を備えることにより、古紙からインキ,トナーなど着色剤を除去し白いパルプを作成することができるとともに、仕上がり用紙の重量(厚み)バラツキを抑えることができ、仕上がり用紙が品質上さらに良好となる。
【0021】
更に、請求項5に記載の抄紙装置によれば、チューブポンプを用いれば、ポンプ内においてのパルプ懸濁液の詰まりを防ぐことができると共に、チューブポンプにおける押圧ローラの移動速度を制御することにより移送ポンプの吐出量を容易に変化させ、抄紙部に移送する再生パルプ量を制御することができる。
【0022】
更に、請求項6に記載の抄紙装置によれば、ユーザー所望の仕上がり用紙の種類(重量)に応じた調整が自動的に行われる為、品質上良好である。又、抄紙部への影響の大きい第3の移送手段を変動させることなく、前記希釈液の供給量に対する第2の移送手段におけるチューブポンプの押圧ローラの移動速度を制御する為、抄紙性能が安定する。
【0023】
更に、請求項7に記載の抄紙装置によれば、重量測定部を備えることにより、簡易に安価に、仕上がり用紙の重量を算出することができる。
【0024】
更に、請求項8に記載の抄紙装置によれば、設定された成果物としての単葉紙の仕様に応じた紙厚制御が可能である。
【0025】
更に、請求項9に記載の抄紙装置によれば、表示部は、仕上がり用紙の仕上がり具合を簡易に確認でき、又、記録部は、仕上がり用紙の経時変化をサービスマンのメンテナンスに利用することができる。
【0026】
更に、請求項10に記載の抄紙装置によれば、仕上がり用紙の重量(厚み)バラツキを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(古紙再生処理装置の全体構成)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図4において、
図1は、第1の実施例の全体構成を示すブロック図、
図2は、第2の実施例の全体構成を示すブロック図、
図3は、パルパー部の模式図(図中、第1の実施例は「脱墨部」を備えない。)、
図4は、抄紙部及び仕上げ部の模式図(第1の実施例、第2の実施例共通)である。
前記第1の実施例と第2の実施例については、以下で説明する個々の“処理部”は共通するが、構成上の大きな違いは、古紙からインク成分を取り除くための「脱墨部」を備えるかどうかの違いである(第1の実施例は「脱墨部」を備えず、第2の実施例は「脱墨部」を備える)。脱墨部を備えることにより、古紙からインキ,トナーなど着色剤を除去し白いパルプを作成することができる。
【0029】
図1〜
図4において、古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部を有しており、処理部には、給紙部1、パルパー部9、脱墨部11、抄紙部13、乾燥部14、仕上部15、白水タンク部100、排水処理タンク部101等がある。また、古紙再生処理装置は各処理部の運転を制御する制御部(不図示)を備えている。
【0030】
給紙部1は、再生原料の古紙4を供給するものであり、古紙4を細断した紙片2を貯留する貯留部3と、貯留部3に古紙4を供給する給紙装置5と、貯留部3に貯留されている紙片2を計量部6に排出する排出用サイクロン7と、貯留部3の紙片2を排出用サイクロン7へ搬送する紙片搬送ダクト16と、紙片搬送ダクト16に搬送用空気を供給して貯留部3から排出用サイクロン7へ向って流れる送気流17を発生させる送風装置18からなる。
【0031】
パルパー部9は、紙片2を離解して再生パルプを調製するものであり、パルパー槽37と、パルパー槽37内に設けた攪拌装置38を有し、計量部6において計量された紙片2を離解して再生パルプを含むパルプ懸濁液8を製造する。尚、操作者は、前記給紙部1を用いずに、古紙4を細断した紙片2を直接パルパー部9に投入してもよいし、あるいは、パルパー槽37内の攪拌装置38が十分な駆動能力があれば、古紙4を細断することなく、直接パルパー部9に投入してもよい。
【0032】
脱墨部11は、パルプ懸濁液8を脱墨して脱墨パルプを調製するものであり、蛇行した流路を形成した脱墨槽40と、脱墨槽40の下部から多数の気泡を放出する散気装置(図示省略)とを有している。
【0033】
抄紙部13は、脱墨されたパルプ懸濁液8から湿紙12を抄紙するものであり、抄紙ワイヤー部とヘッドボックス部を備えている。抄紙ワイヤー部は、複数のローラ42に巻回されたメッシュ状のベルトからなる抄紙ワイヤー43と、ローラ42の少なくと一つを回転させて抄紙ワイヤー43を紙搬送方向へ駆動するモータ等の抄紙ワイヤー駆動装置(不図示)を有している。
【0034】
ヘッドボックス部は、脱墨されたパルプ懸濁液8を抄紙ワイヤー43上に注ぐヘッドボックス44と、ヘッドボックス44にパルプ懸濁液8を移送するポンプ等の移送手段を有している。
【0035】
脱水部20は、湿紙12を脱水するものであり、複数のローラ46に巻回されたフェルトの吸水ベルト47からなり、湿紙12が抄紙ワイヤー43から吸水ベルト47に転移し、吸水ベルト47が湿紙12を吸収脱水する。
【0036】
乾燥部14は、脱水された湿紙12を乾燥するものであり、加熱装置48を内蔵した乾燥ローラ49と複数のローラ50とに金属製の第1搬送ベルト51を巻回し、複数のローラ52に網状で樹脂製の第2搬送ベルト53を巻回しており、第1搬送ベルト51と第2搬送ベルト53とは湿紙12を挟んで乾燥ローラ49の外周面上で重なり、乾燥ローラ49で湿紙12を乾燥させる。
【0037】
プレス用の一対のローラ46a、50aは、吸水ベルト47と第1搬送ベルト51を介して湿紙12を圧搾脱水するとともに、湿紙12を吸水ベルト47から第1搬送ベルト51に転移させる。
【0038】
乾燥した乾紙61は、第1搬送ベルト51の往路終端位置でスクレーパ111により第1搬送ベルト51から剥離させて仕上部15に案内する。 仕上部15は、湿紙12を乾燥して得られる乾紙61に対して仕上工程を行い、得られた再生紙62を紙受部63に排出するものであり、乾紙61を所定のサイズに切断する金属製のカッター60およびスリッター509が設けられている。
【0039】
仕上げ部15は、乾燥部14で乾燥させた帯状紙をなす乾紙61を単葉紙に裁断する裁断部をなすカッター60を備えており、カッター60は単葉紙の搬送方向の長さを再生紙62の設定サイズに仕上げるものである。又、仕上げ部15は、前記単葉紙の重量を測定する為の重量測定部516を備えている。
【0040】
図2に示すように、排水処理タンク部101は、脱墨排水系102を通して脱墨部11から流入する脱墨廃液を処理するもので、フィルターで繊維、インク、トナーを除去し、薬剤の添加により中性化して公共下水の下水配管103へ排水可能な水質にまで処理する。
【0041】
白水タンク部100は、抄紙排水系104を通して抄紙部13から流入する再生パルプを含む排水である白水を貯留するものであり、白水を白水返送系105、106を通して古紙再生処理系の各所へ返送する。
【0042】
給水源、ここでは上水配管107から用水を供給する給水配管108が白水タンク部100に接続しており、給水配管108に電磁弁からなる緊急停止用の元弁装置109を設けている。
【0043】
(本発明の制御手段の概要)
前記古紙再生処理装置は、前記仕上げ部15における重量測定部516にて測定した仕上がり用紙(単葉紙)の重量に応じて、パルパー部9から抄紙部13にかけてのパルプ懸濁液の流通経路における再生パルプの移送量を制御する再生パルプ制御手段を備えている。以下に、前記「パルプ懸濁液の流通経路」、「重量測定部」、「再生パルプ制御手段」について順を追って説明する。
【0044】
(パルプ懸濁液の流通経路)
〔第1の実施例〕
図5は、パルプ懸濁液8を移送する第1の移送手段としてチューブポンプ110を用いた場合における配管の接続状態を示す概略図である。チューブポンプ110は、パルパー部9の取出口186とヘッドボックス44の流入部45とを接続する配管92の途中位置に設けられ、前記各部の間でパルプ懸濁液を移送するようになっている。
【0045】
前記配管92のポンプ110より下流側位置は途中で分岐して、希釈液を供給する配管98と接続される。前記配管98の途中位置には、バルブ114、ポンプ112が設けられ、白水タンク部100から白水返送系105を介して配管98に流入した白水を、配管92内を流通するパルプ懸濁液に連続的に合流(ミキシング)させた上で抄紙部13に供給する。更に、配管98には流量調整弁113を設けており、配管98に流入する白水の流量を調整可能となっている。
【0046】
〔第2の実施例〕
図6は、パルプ懸濁液8を移送する第2の移送手段としてチューブポンプ115を、第3の移送手段としてチューブポンプ116を用いた場合における配管の接続状態を示す概略図である。チューブポンプ115は、パルパー部9の取出口186と脱墨部11の流入口213とを接続する配管91の途中位置に設けられ、又、チューブポンプ116は、脱墨部11の流出口214とヘッドボックス44の流入部45とを接続する配管93の途中位置に設けられ、前記各部の間でパルプ懸濁液を移送するようになっている。
【0047】
前記配管91のポンプ115より下流側位置は途中で分岐して、希釈液を供給する配管99と接続される。前記配管99の途中位置には、バルブ114、ポンプ112が設けられ、白水タンク部100から白水返送系105を介して配管99に流入した白水を、配管91内を流通するパルプ懸濁液に連続的に合流(ミキシング)させた上で脱墨部11に供給する。更に、配管99には流量調整弁113を設けており、配管91に流入する白水の流量を調整可能となっている。
【0048】
(ポンプの仕様)
第1の実施例及び、第2の実施例において、ポンプ110,112,115,116の種類は、特に限定されず、チューブポンプ、モーノポンプ、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、混流ポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ 、プランジャーポンプ、ベーンポンプ、ねじポンプ等を用いることができる。
【0049】
配管91,92,93に設けるポンプ110,115,116については、白水に比較して固形分である古紙パルプを多く含むパルプ懸濁液を移送する為、上記各種ポンプのうち特にチューブポンプを用いることが好ましい。チューブポンプを用いれば、ポンプ内においてのパルプ懸濁液の詰まりを防ぐことができると共に、チューブポンプにおける押圧ローラの移動速度を制御することにより移送ポンプの吐出量を容易に変化させることができ、移送する再生パルプ量を制御することができる。
【0050】
図5において、チューブポンプ110は、可撓性チューブ301と、前記可撓性チューブ301を支持する円弧状のガイド面303aが内部に形成されたケーシング303と、ケーシング303のガイド面303aに沿って正逆方向のいずれにも旋回可能に設けられ、ガイド面303aとの間で可撓性チューブ301を押し潰しながらパルプ懸濁液を移送する押圧ローラ304と、押圧ローラ304を正三角形の頂部に保持しつつ該押圧ローラ304を旋回させるロータ305と、ロータ305を回転駆動する移動手段としてのロータ駆動部(図示省略)とを備えている。チューブポンプ115,116についても同様の構成を有する。
【0051】
(重量測定部)
重量測定部516は、仕上げ部15にて最終成果物として仕上げられた単葉紙について、その重量を測定する。
【0052】
詳細には、
図7に示すように、仕上げ部15は、複数の搬送ローラ503、504、505、506からなる搬送装置を備えており、第1搬送ローラ503と第2搬送ローラ504の間にはカッター60が設けてあり、さらに、第2搬送ローラ504と第3搬送ローラ505の間にはスリッター509が設けている。カッター装置60にて単葉紙の搬送方向の長さを再生紙62の設定サイズに仕上げられた乾紙61は、次に、スリッター509に搬送され、前記スリッター509は単葉紙の両側縁を裁断して紙幅方向の長さを再生紙62の設定サイズに仕上げるものである。スリッター509の下方には、前記単葉紙の両側縁を裁断した裁断紙片を受ける裁断紙片廃棄箱513が配置される。
【0053】
第3搬送ローラ505と第4搬送ローラ506の間の搬送軌道上には、前記スリッター509にて裁断後の単葉紙を所定のタイミングで前記搬送軌道上から排除する分離部510が設けてある。前記所定のタイミングとは、成果物としての品質を判定する為に、前記裁断後の単葉紙について、その重量を測定するタイミングのことである。
【0054】
分離部510は、搬送軌道の一部を形成する分離爪511からなり、揺動軸512の軸心廻りに揺動自在に設けてある。分離部510は、分離爪511の上方を通過する単葉紙を第4搬送ローラ506に向けて案内することで紙受け台63に送り出す通常姿勢位置と、分離爪511が搬送軌道を外れて単葉紙を搬送軌道外の下方へ案内する分離姿勢位置とに変位する。ガイド板511の下方には、分離部510から排出する単葉紙を収容する単葉紙収容部514を設けている。
【0055】
前記単葉紙収容部514の底部には、重量センサ515が設けられ、所定のタイミングで単葉紙収納部514の重量を測定することによって単葉紙の重量を算出する。
詳細には、重量算出部79を備え、新たに排除された単葉紙の収納前に前記重量センサにより測定された単葉紙収納部の重量と、前記新たに排除された単葉紙の収納後に前記重量センサにより測定された単葉紙収納部の重量との差分から、新たに排除された単葉紙の重量を算出する。尚、前記重量センサ515は、例えば、ロードセル70を用いる。ロードセル70は、検出重量値に応じたアナログ電圧信号値を出力するものである。
【0056】
前記重量測定部516の構成を備えることにより、簡易に安価に、仕上がり用紙の重量を測定することができる。
【0057】
尚、古紙処理装置による再生紙の1回の調製作業において、前記単葉紙収容部514は、
分離部510から排出される単葉紙を十分に収容可能な容量とされていることが好ましい。
但し、単葉紙収容部514の収容可能な容量が大きすぎれば、単葉紙の収容量が少ない時と多い時においての単葉紙の重量の測定精度に差が生じることが考えられる。すなわち、ロードセル515の適合スケールによる測定精度の問題である。前記問題を解決する手段としては、以下のような構成が考えられる。
図13A、
図13Bに示すように、単葉紙収容部514が開閉式の底板517を一体的に備え、上部2箇所に固定されるロードセル515に吊り下げられている。
【0058】
前記底板517は、不図示のギアモータによりシャフト518を中心に開閉可能に構成され、単葉紙の収容量が所定の重量以上になった場合は、
図13Bのように底板517が自動的に解放され、収容されている単葉紙519が下方に排出されるように構成される。
又、前記底板517が自動的に解放され、収容されている単葉紙519が下方に排出された後、搬送ベルトにより単葉紙519を所定の場所に移送するように構成してもよい。
尚、前記所定の重量は、ロードセル515の適合スケールを維持できる範囲内に設定される。
【0059】
又、簡易に構成する方法としては、前記単葉紙の収容量が所定の重量以上になった場合は、警告音、音声メッセージ、パネル表示上の警告メッセージ等の警告を発して、操作者に対して単葉紙収容部514から単葉紙を取り出すように促してもよい。
【0060】
又、前記重量測定する単葉紙519のサイズは、必ずしも設定された成果物のサイズでなくてもよい。例えば、カッター60により成果物の設定の2分の1のサイズで裁断し、重量測定した上で計算上2倍すればよい。前記構成によれば、重量測定の為に単葉紙収容部514に収納される収容量を減らすことができる。
【0061】
図8は、再生パルプ量制御手段77に関する構成を示すブロック図である。重量算出部79は、例えばマイクロコンピュータを内蔵するもので以下のように構成されている。即ち、前記ロードセル70が出力するアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換部71と、後述するように予め設定される複数の基準公差値を記憶する記憶部73と、成果物としての単葉紙の仕様に対応する基準公差値を記憶部73から選択する基準公差値の選択部74と、ロードセル70で検出される検出値と選択部74で選択された基準公差値とを比較する比較部72と、比較部72の比較出力に基づいて検出値が基準公差範囲内である時にOKの判定出力を発生し、検出値が基準公差範囲外である時にNGの判定出力を発生する判定部76と、該判定部76の判定出力を再生パルプ量制御手段77に出力し、移送手段としてのポンプ78を制御するように構成されている。
【0062】
前記記憶部73に記憶される基準公差値は、検出対象となる単葉紙の検出値に対して予め下限値と上限値とを定めてその範囲を基準公差値として設定したものである。
そして、成果物としての単葉紙の仕様に応じた複数の基準公差値を記憶してある。
これら基準公差値の群は、作業者によるマニュアル入力部75の入力操作によって入力される。
前記測定された新たな単葉紙の重量と前記設定された単葉紙の仕様に対応する基準公差値を比較する比較部72を備えることにより、設定された成果物としての単葉紙の仕様に応じた紙厚制御が可能である。
【0063】
前記重量算出部79は、前記算出された新たな単葉紙の重量を、ユーザー任意のタイミングで表示する表示部81及び/又は、前記重量の経時変化を記録する記録部82を備える。前記表示部81は、操作パネルを備え、表示スイッチ(不図示)を押した時点の単葉紙の重量を液晶画面に表示することにより、仕上がり用紙の仕上がり具合を簡易に確認できる。又、記録部82は、プリンタを備え、単葉紙の重量の経過データをプリンタアウトすることができ、サービスマンのメンテナンス等に利用することができる。
【0064】
(再生パルプ量制御手段)
次に本実施例の動作を
図9〜
図11のフローチャートに基づいて説明する。前記本実施例の動作とは、仕上げ部15の仕上がり用紙(単票紙)の重量を定期的に自動測定し、前記測定結果に基づき、抄紙部にパルプ懸濁液を移送するための移送ポンプの吐出量(移送する再生パルプ量)をフィードバック制御する動作のことである。
【0065】
図9は、前記「フィードバック制御」についてのメインルーチンを示している。前記「フィードバック制御」は、「重量測定」のサブルーチン(ステップ1)と、「速度制御」のサブルーチン(ステップ2)で構成されており、「重量測定」のサブルーチン(ステップ1)が実行された後、「速度制御」のサブルーチン(ステップ2)が実行される。
【0066】
図10は、前記「重量測定」のサブルーチンの詳細を示している。まず、現時点が重量測定タイミングであるか確認する(ステップ3)。重量測定タイミングでなければ、リターンする(RET)。重量測定タイミングであれば、新たに排除される単葉紙の収納前に、単葉紙収納部の重量についてロードセルの出力電圧信号の読み込みを行い、重量測定を実行する(ステップ4)。次に、新たに排除される単葉紙の収納後に、単葉紙収納部の重量についてロードセルの出力電圧信号の読み込みを行い、重量測定を実行する(ステップ5)。 前記新たに排除される単葉紙の収納前に前記重量センサにより測定された単葉紙収納部の重量と、前記新たに排除された単葉紙の収納後に前記重量センサにより測定された単葉紙収納部の重量との差分から、新たに排除された単葉紙の重量を算出する(ステップ6)。
【0067】
前記重量測定タイミングとは、最終成果物として紙受け台63に送り出される仕上がり用紙(単葉紙)の処理枚数について、予め設定された所定枚数単位で重量を定期的に自動測定するタイミングである。好ましくは、前記自動測定するタイミングは、少なくとも、抄紙開始直後のタイミング及び、貯留槽(パルパー9)内のパルプ懸濁液の残量が少なくなり、パルプ懸濁液の濃度の上昇を抑えるために水を槽内に投入して希釈する(4%から2%に希釈する)タイミングで測定するのがよい。前記希釈により、抄紙部に送られるパルプ懸濁液の濃度が変動することが予想される為である。さらに、抄紙時にエラーが発生した場合に、そのエラーをリカバリするタイミングで測定するように構成してもよい。
【0068】
又、新たに排除された単葉紙の重量の算出は、前記のように、単葉紙収納部514の重量の差分をとるように構成してもよいし、新たなリジェクト紙の収納前に、毎回、単葉紙収納部514の重量をリセットした上で計測するように構成してもよい。
【0069】
図11は、前記「速度制御」のサブルーチンの詳細を示している。まず、重量算出部79において、選択部74により選択された成果物としての単葉紙の仕様に基づき、記憶部73より対応する基準公差値を読み出し、比較部72により前記算出された新たな単葉紙の重量と前記基準公差値を比較する(ステップ7)。次に、判定部76により、前記重量の比較の結果、前記基準公差値(上限値、下限値)の範囲内であるかを判定する(ステップ8)。その結果、前記基準公差値の範囲内である場合は、リターンする(RET)。 また、前記基準公差値の範囲内でない場合は、前記基準公差値の上限値を超えるかどうかを判定する(ステップ9)。その結果、前記基準公差値の上限値を超える場合は、該判定部の判定出力を再生パルプ量制御手段に出力し、前記再生パルプ量制御手段によりチューブポンプにおける押圧ローラ(304、306)の移動速度(ロータ駆動部の回転数)を、前記測定した単葉紙の重量に応じて所定量減速するように制御する(ステップ10)。 また、前記基準公差値の上限値を超ない場合(下限値を下回る場合)は、該判定部の判定出力を再生パルプ量制御手段に出力し、前記再生パルプ量制御手段によりチューブポンプにおける押圧ローラ(304、306)の移動速度(ロータ駆動部の回転数)を、前記測定した単葉紙の重量に応じて所定量増速するように制御する(ステップ11)。
【0070】
前記ステップ10、ステップ11に示す再生パルプ量制御手段は、例えば、以下のよう
に制御する。尚、その際、基準公差値は、4.5
±0.3g(A4一枚当たり)に設定する。前記ステップ10に対しては、重量の測定結果が基準公差値の上限値(4.8g)を超える場合は、基準公差値の範囲内に収まるように、押圧ローラの移動速度を所定量減速させる。前記所定量は、例えば、測定時に上限を超える値が、0.1gのときは50rpm減速させ、0.2gのとき100rpm減速させる。
【0071】
前記ステップ11に対しては、重量の測定結果が基準公差値の下限値(4.2g)を下回る場合は、基準公差値の範囲内に収まるように、押圧ローラの移動速度を所定量増速させる。前記所定量は、例えば、測定時に下限を下回る値が、0.1gのとき50rpm増速させ、0.2gのとき100rpm増速させる。
【0072】
以上の構成によれば、仕上がり用紙の重量(厚み)バラツキを抑えることができる。
【0073】
〔第1の実施例〕
次に、前記再生パルプ制御手段の基本フローを、上述の第1の実施例に適用した場合について説明する。前記「重量測定」のサブルーチンに基づき、単葉紙の重量を測定した後、さらに、前記「速度制御」のサブルーチンに基づき、再生パルプ量制御手段により、前記測定した単葉紙の重量に応じて、第1の移送手段としてのチューブポンプ110における押圧ローラ304の移動速度(ロータ駆動部の回転数)を制御することにより、移送ポンプの吐出量を変化させ、抄紙部に移送する再生パルプ量を制御する。例えば、前記移動速度の初期値として、1150rpmに設定される。又、
図5に示すように、第1の移送ポンプ110の下流部から抄紙部にパルプ懸濁液を移送する移送流路92の途中にて、希釈液を供給する希釈液流路98を合流したミキシング流路118を備えている。前記希釈液流路98は流量調整弁113を設けており、配管92に流入する白水の流量を調整可能となっている。実施例においては、10L/min一定としている。
【0074】
前記構成によれば、ユーザー所望の仕上がり用紙の種類(重量)に応じた調整が自動的に行われる為、品質上良好である。
【0075】
〔第2の実施例〕
次に、前記再生パルプ制御手段の基本フローを、上述の第2の実施例に適用した場合について説明する。前記「重量測定」のサブルーチンに基づき、単葉紙の重量を測定した後、さらに、前記「速度制御」のサブルーチンに基づき、再生パルプ量制御手段により、前記測定した単葉紙の重量に応じて、第2の移送手段としてのチューブポンプ115における押圧ローラ306の移動速度を制御することにより、移送ポンプの吐出量を変化させ、抄紙部に移送する再生パルプ量を制御する。例えば、前記移動速度の初期値として、1150rpmに設定される。尚、抄紙部へのパルプ供給量を安定させる為に(パルプ供給量の大きな変動を防ぐ為に)、第3の移送手段としてのチューブポンプ116については、押圧ローラ307の移動速度は、定速制御手段(不図示)により一定に固定されている。実施例では、2100rpm一定に固定されている。又、
図6に示すように、第2の移送手段の下流部から脱墨部にパルプ懸濁液を移送する移送流路91の途中にて、希釈液を供給する希釈液流路99を合流したミキシング流路118を備えている。前記希釈液流路99は流量調整弁を設けており、配管92に流入する白水の流量を調整可能となっている。実施例においては、10L/min一定としている。
【0076】
前記基本構成においては、第3の移送手段(チューブポンプ116)の押圧ローラ307が一定速度に固定されている為、その上流部である脱墨部11に供給されるパルプ濃度を調整する必要がある。この場合、測定した単葉紙の重量に応じて、前記希釈液の供給量に対する第2の移送手段(チューブポンプ115)の押圧ローラ306の移動速度(パルプ懸濁液の供給量)を制御すればよい。
【0077】
前記第2の実施例においては、前記希釈液流路は配管92に流入する白水の流量を一定とし、前記「速度制御」のサブルーチンに基づき、第2の移送手段における押圧ローラ306の移動速度を可変制御するように構成することで、脱墨部のパルプ濃度を調整したが、
他の制御手段として、第2の移送手段における押圧ローラ306の移動速度を一定速度に固定し、前記流入する白水の流量を可変制御するように構成することで、脱墨部のパルプ濃度を調整してもよい。又は、第2の移送手段における押圧ローラ306の移動速度及び、前記流入する白水の流量の双方の比率を可変制御するように構成することで、脱墨部のパルプ濃度を調整してもよい。
【0078】
前記構成によれば、ユーザー所望の仕上がり用紙の種類(重量)に応じた調整が自動的に行われる為、品質上良好である。又、抄紙部への影響の大きい第3の移送手段を変動させることなく、前記希釈液の供給量に対する第2の移送手段の押圧ローラの移動速度を制御する為、抄紙性能が安定する。
【0079】
次に、前記本件発明(第2の実施例)における再生パルプ制御手段によるフィードバック制御を用いた場合の実際の効果を、実測値のグラフを基に説明する。
図12Aはフィードバック制御を用いない場合、
図12Bはフィードバック制御を用いた場合の実測値のグラフである。双方共、上述した抄紙装置の抄紙工程において、最終成果物として紙受け台63に送り出される仕上がり用紙(単葉紙)の処理枚数と各々の重量を、処理枚数200枚毎のサンプリング周期で測定した測定データについて、前記処理枚数の積算値(枚)を横軸に、対応する各々の重量(g)を縦軸としてグラフに表現したものである。尚、仕上がり用紙(単葉紙)の仕様は、A4用紙(一枚;5g)に設定されている。
【0080】
図12A(フィードバック制御:無)においては、仕上がり用紙(単葉紙)の処理枚数が増えるに従って、重量は、設定値5gに対して、処理枚数500〜600枚までは約5.5gにオーバーシュートした後、5gに収束しようとする傾向にある(A部参照)。
これは、単に不安定状態から脱して当初の設定に落ち着いたに過ぎない。尚、B部は、懸濁液製造部においての槽内のパルプ懸濁液の残量が少なくなり、パルプ懸濁液の濃度の上昇を抑えるために水を槽内に投入して薄める(4%から2%に薄める)希釈タイミングである。前記希釈時におけるオーバーシュートは約5.3gで、希釈から約300枚経過しても収束していない。前記オーバーシュートは槽内の底部に溜まったパルプが濃度的に不安定な状態を作り出した為に発生する。
【0081】
図12B(フィードバック制御:有)においては、仕上がり用紙(単葉紙)の処理枚数が増えるに従って、重量は、
図12Aと同様に、一旦、約5.5gにオーバーシュートした後、5gに収束しようとする傾向にあるが、収束に要する処理枚数が約200枚であって、
図12Aに比べて圧倒的に収束時間(枚数)が早い。又、収束後の安定性も良好である(C部参照)。さらに、前記希釈時のオーバーシュートも少なく、収束時間(枚数)も早い(D部参照)。前記オーバーシュートは槽内の底部に溜まったパルプが濃度的に不安定な状態を作り出した為に発生する。
【0082】
前記両者を比較すると、仕上がり用紙(単葉紙)の設定仕様に対して、収束時間(枚数)を含めた安定性は、フィードバック制御を有する
図12Bの方が格段に良好であることがわかる。
【0083】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。例えば、第1の実施例、第2の実施例において給紙部1を備えず、操作者が古紙をパルパー部9に直接投入してもよい。その際、前記投入する古紙は、細断後の用紙でも、非細断用紙でもよい。前記非細断用紙をパルパー部9に直接投入する場合は、パルパー部の攪拌装置にパルプ懸濁液を製造する程度の十分な能力が必要となる。
又、第1の実施例、第2の実施例において、給紙部1を備えず、さらに、パルパー部9に替えて、攪拌装置38を有しない単なる貯留槽としてのパルプ懸濁液貯留部を備えるように構成してもよい。その場合、操作者が別のパルパー装置等にて作成したパルプ懸濁液を前記パルプ懸濁液貯留部に投入すればよい。又、前記パルプ懸濁液貯留部においては、単なる前記パルプ懸濁液を攪拌だけの能力を有する(パルプ懸濁液を製造する程の能力は有しない)攪拌装置を備えるように構成してもよい。前記構成によれば、装置全体が簡易で安価に構成できると共に、仕上がり用紙の重量バラツキを抑えることができる。