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特開2017-148006高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-148006(P2017-148006A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20170804BHJP
   B01D 24/00 20060101ALI20170804BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20170804BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20170804BHJP
   B01D 24/40 20060101ALI20170804BHJP
   B01D 24/42 20060101ALI20170804BHJP
   B01D 29/92 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   A01K63/04 A
   B01D29/08 520A
   B01D29/08 530D
   B01D29/08 540A
   B01D29/38 510B
   B01D29/38 520A
   B01D29/42 501B
   B01D29/42 510
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-35253(P2016-35253)
(22)【出願日】2016年2月26日
(11)【特許番号】特許第6060395号(P6060395)
(45)【特許公報発行日】2017年1月18日
(71)【出願人】
【識別番号】511140529
【氏名又は名称】三晃海洋開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(72)【発明者】
【氏名】濱 博昭
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA00
2B104ED05
2B104ED30
2B104ED36
(57)【要約】
【課題】各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高所貯水槽を別途設置する必要のない、高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置を提供する。
【解決手段】ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽1と、高架貯水槽1の下部に配置された逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽2と、逆洗用水水槽2の下部に配置されたろ過室3と、ろ過室3の下部に配置された処理水水槽4と、ろ過室3と処理水水槽4との間に配置されたろ過材10とを有し、処理水の貯水時には、ろ過室3に送水された水がろ過材10によりろ過処理された後、処理水水槽4を経由して逆洗用水水槽及び高架貯水槽1に送られて貯水され、処理水の供給時には、高架貯水槽1に貯水された水が重力により供給され、ろ過材10の逆洗時には、逆洗用水水槽2に貯水された水が重力により処理水水槽4に送られてろ過材10を洗浄した後、ろ過室3を経由して外に排出されるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、前記高架貯水槽の下部に配置された逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽と、前記逆洗用水水槽の下部に配置されたろ過室と、前記ろ過室の下部に配置された処理水水槽と、前記ろ過室と前記処理水水槽との間に配置されたろ過材とを有し、
処理水の貯水時には、前記ろ過室に送水された水が前記ろ過材によりろ過処理された後、前記処理水水槽を経由して前記逆洗用水水槽及び前記高架貯水槽に送られて貯水され、
処理水の供給時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、
ろ過材の逆洗時には、前記逆洗用水水槽に貯水された水が重力により前記処理水水槽に送られて前記ろ過材を洗浄した後、前記ろ過室を経由して外に排出されるようにしたことを特徴とする高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類等の飼育水槽の飼育水として海水等をろ過処理するための、砂ろ過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、魚介類等の飼育水槽の飼育水として用いる海水等をろ過するための砂ろ過装置が用いられているが、不純物が混じった海水等のろ過を続けると、装置内のろ過室のろ過材の機能が低下する。そのため、作業員が装置内のろ過室に入り込み、ろ過材の取り替えや補修、点検をする必要があり、その作業は極めて煩雑であった。
【0003】
これに対して、砂ろ過装置の上部に、逆洗用水としてろ過処理後の処理水を貯水する逆洗用水水槽を設け、逆洗時に重力を利用してろ過材の洗浄を行うようにした重力式自動逆洗砂ろ過装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、図3及び図4を参照して、従来の重力式自動逆洗砂ろ過装置について説明する。図3は、従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置を利用したろ過処理施設を示す平面図であり、図4は、従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。なお図4には、同一の構成の重力式自動逆洗砂ろ過装置を2台記載している。
【0005】
ろ過処理施設には、複数の重力式自動逆洗砂ろ過装置200が配置されている。重力式自動逆洗砂ろ過装置200は、逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽2と、逆洗用水水槽2の下部に配置されたろ過室3と、ろ過室3の下部に配置された処理水水槽4と、ろ過室3と処理水水槽4との間に配置されたろ過材10とを有している。
【0006】
そして、処理水の貯水時には、図示しないポンプによりろ過室3に送水された水が、ろ過材10によりろ過処理された後、処理水水槽4を経由して逆洗用水水槽2に送られて貯水されるようになっている。また、ろ過材10の逆洗時には、逆洗用水水槽2に貯水された水が重力により処理水水槽4に送られてろ過材10を洗浄した後、ろ過室3を経由して外に排出されるようになっている。
【0007】
一方、重力式自動逆洗砂ろ過装置200によりろ過処理された水は、送水管26を経由して一次貯水槽5に貯水される。そして、ポンプ40の揚力により送水管27を経由して高架貯水槽7に送水されて貯水され、必要に応じて重力により各飼育水槽へと供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−223586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ろ過処理された水を各飼育水槽へ供給するまで貯水しておくための高架貯水槽7は、重力による供給のための位置エネルギーを確保する必要から高い位置(例えば、7〜8m)に設置する必要がある。そのため、これまでは基礎9の上に架台8を設けてその上に設置していた。
【0010】
しかしながら、ろ過処理施設の老朽化に伴い、高架貯水槽7についても改修が必要となるが、大量のろ過処理された水を高い位置に貯水するためには、基礎9や架台8も含めた大規模な工事が必要となり、工期が長くなりコスト負担も大きい。また、ろ過処理施設を新設する場合にも同様の問題が生じる。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、各飼育水槽へろ過処理された水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要のない、高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、前記高架貯水槽の下部に配置された逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽と、前記逆洗用水水槽の下部に配置されたろ過室と、前記ろ過室の下部に配置された処理水水槽と、前記ろ過室と前記処理水水槽との間に配置されたろ過材とを有し、処理水の貯水時には、前記ろ過室に送水された水が前記ろ過材によりろ過処理された後、前記処理水水槽を経由して前記逆洗用水水槽及び前記高架貯水槽に送られて貯水され、処理水の供給時には、前記高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、ろ過材の逆洗時には、前記逆洗用水水槽に貯水された水が重力により前記処理水水槽に送られて前記ろ過材を洗浄した後、前記ろ過室を経由して外に排出されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽と、高架貯水槽の下部に配置された逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽と、逆洗用水水槽の下部に配置されたろ過室と、ろ過室の下部に配置された処理水水槽と、ろ過室と処理水水槽との間に配置されたろ過材とを有している。そして、処理水の貯水時には、ろ過室に送水された水がろ過材によりろ過処理された後、処理水水槽を経由して逆洗用水水槽及び高架貯水槽に送られて貯水され、処理水の供給時には、高架貯水槽に貯水された水が重力により供給され、ろ過材の逆洗時には、逆洗用水水槽に貯水された水が重力により処理水水槽に送られてろ過材を洗浄した後、ろ過室を経由して外に排出されるようになっている。
【0014】
従って、ろ過処理した水は、上部の高架貯水槽に貯水して必要に応じて重力により供給先である各飼育水槽に供給することができるので、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がない。重力式自動逆洗砂ろ過装置は逆洗用水を貯水するものであるため、元々基礎を頑丈に設計する必要があり、高架貯水槽を追加したとしても基礎工事が大幅に増加することはない。特に、既存の重力式自動逆洗砂ろ過装置を代替えする場合には、既存の基礎が有効に活用できる。
【0015】
このように、本発明によれば、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要のない、高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。
図3】従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置を利用したろ過処理施設を示す平面図である。
図4】従来例に係る重力式自動逆洗砂ろ過装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100の説明図である。なお、図1は、処理水の貯水時及び処理水の供給時の水の流れを示しており、図2は、ろ過材の逆洗時の水の流れを示している。また図1及び図2には、同一の構成の高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置を2台記載している。
【0018】
図1及び図2に示すように、高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100は、主として、高架貯水槽1、逆洗用水水槽2、ろ過室3及び処理水水槽4から構成されている。
【0019】
高架貯水槽1は、逆洗用水水槽2の上部に配置されており、ろ過処理した水を貯水するためのものである。逆洗用水水槽2は、高架貯水槽1の下部に配置されており、ろ過処理した水をろ過材の逆洗用水として貯水するようになっている。
【0020】
ろ過室3は、逆洗用水水槽2の下部に配置されており、図示しないポンプにより送水された海水が入る部分である。ろ過室3の下部には、処理水水槽4が配置されている。ろ過室3と処理水水槽4との間には、ろ過材10が配置されている。
【0021】
次に、図1を参照して、処理水の貯水時の水の流れについて説明する。処理水の貯水時には、図示しないポンプの圧力により、水(海水等)が送水管21を経由してろ過室3に送水される。ろ過室3に送水された水は、ろ過材10を上から下に通過してろ過処理された後、処理水水槽4に送られる。そして、処理水水槽4に送られた水は、送水管22を経由して、逆洗用水水槽2に送られて逆洗用水として貯水される。さらに、逆洗用水水槽2内の水が一定量に達したことをセンサ等が感知すると、次に送水管23、送水管24を経由して高架貯水槽1に送られて貯水される。ろ過室3→処理水水槽4→逆洗用水水槽2及び高架貯水槽1への水の流れは、いずれもろ過室3に水を供給する図示しないポンプの圧力により行われる。
【0022】
次に、図1を参照して、処理水の供給時の水の流れについて説明する。処理水の飼育水槽への供給時には、高架貯水槽1に貯水された水が、重力により送水管25を経由して供給先である各飼育水槽へと供給される。
【0023】
次に、図2を参照して、ろ過材の逆洗時の水の流れについて説明する。ろ過材10の逆洗時には、逆洗用水水槽2に貯水された水が重力により送水管22を経由して処理水水槽4に送られてろ過材10を下から上に通過して洗浄した後、ろ過室3に設けられた排水管30の排水口31を経由して、排水口32から外に排出される。逆洗用水水槽2→処理水水槽4→ろ過室3→排水管30への水の流れは、いずれも逆洗用水水槽2に貯水された水の重力により行われる。
【0024】
なお、処理水の貯水時、処理水の供給時及びろ過材の逆洗時には、それぞれの水の流れに応じて各送水管に設置された弁(バルブ)が適宜開閉される。
【0025】
高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100を構成する高架貯水槽1、逆洗用水水槽2、ろ過室3及び処理水水槽4は、例えばFRPにより一体的に形成される。製造にあたっては、内部型枠とし外部FRP機械巻方式により製造することが好ましい。
【0026】
高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100の下には、基礎6が構築されている。基礎6は、高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100の各槽に入る水の量を勘案して構築する。
【0027】
本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100は、ろ過処理された水を貯水する高架貯水槽1と、高架貯水槽1の下部に配置された逆洗時の水を貯水する逆洗用水水槽2と、逆洗用水水槽2の下部に配置されたろ過室3と、ろ過室3の下部に配置された処理水水槽4と、ろ過室3と処理水水槽4との間に配置されたろ過材10とを有している。そして、処理水の貯水時には、ろ過室2に送水された水がろ過材10によりろ過処理された後、処理水水槽4を経由して逆洗用水水槽2及び高架貯水槽1に送られて貯水され、処理水の供給時には、高架貯水槽1に貯水された水が重力により供給され、ろ過材10の逆洗時には、逆洗用水水槽2に貯水された水が重力により処理水水槽4に送られてろ過材10を洗浄した後、ろ過室3を経由して外に排出されるようになっている。
【0028】
従って、ろ過処理した水は、上部の高架貯水槽1に貯水して必要に応じて重力により供給先である各飼育水槽に供給することができるので、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高架貯水槽を別途設置する必要がない。重力式自動逆洗砂ろ過装置は逆洗用水を貯水するものであるため、元々基礎を頑丈に設計する必要があり、高架貯水槽1を追加したとしても基礎工事が大幅に増加することはない。特に、既存の重力式自動逆洗砂ろ過装置を代替えする場合には、既存の基礎が有効に活用できる。
【0029】
このように、本実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置100によれば、各飼育水槽へろ過処理水を供給するための高所貯水槽を別途設置する必要がなく、工事費用の削減や設置場所の有効活用にも効果的である。
【0030】
以上、本発明の実施形態に係る高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 高架貯水槽
2 逆洗用水水槽
3 ろ過室
4 処理水水槽
5 一次貯水槽
6 基礎
7 高架貯水槽
8 架台
9 基礎
21 送水管
22 送水管
23 送水管
24 送水管
25 送水管
26 送水管
27 送水管
30 排水管
31 排水口
32 排水口
40 ポンプ
100 高架貯水槽付重力式自動逆洗砂ろ過装置
200 重力式自動逆洗砂ろ過装置
図1
図2
図3
図4