特開2017-14805(P2017-14805A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017014805-畳 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-14805(P2017-14805A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】畳
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20161222BHJP
【FI】
   E04F15/02 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-132503(P2015-132503)
(22)【出願日】2015年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】515180860
【氏名又は名称】前田 朝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
(72)【発明者】
【氏名】前田 朝雄
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA09
2E220AA13
2E220AD01
2E220AD06
2E220AD13
2E220BA01
2E220GA02X
2E220GA22X
2E220GA24X
2E220GA25X
2E220GB53X
(57)【要約】
【課題】 天然素材を使用し、通気性を向上させ、カビ、ダニ等が発生する要因の低減を図り、使用の快適性の向上を図る。
【解決手段】 畳床Fの表面に畳表Eを被覆したもので、畳床Fを、細長状の多数の藁材を含んで形成される下層Faと、細長状の多数の藁材を含んで形成され表面に畳表Eが被覆される上層Fbと、下層Faと上層Fbとの間に介装される中間層Fcとを備えて構成し、この中間層Fcを、細長状の多数の茅材Kを集合させた集合体10を備えて構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳床の表面に畳表を被覆した畳であって、上記畳床を、細長状の多数の藁材を含んで形成される下層と、細長状の多数の藁材を含んで形成され表面に上記畳表が被覆される上層と、上記下層と上層との間に介装される中間層とを備えて構成した畳において、
上記畳床の中間層を、細長状の多数の茅材を集合させた集合体を備えて構成したことを特徴とする畳。
【請求項2】
上記中間層を、上記茅材の集合体のみで構成したことを特徴とする請求項1記載の畳。
【請求項3】
上記茅材の集合体を、各茅材の長手方向が一方向に沿うように集合させて形成したことを特徴とする請求項2記載の畳。
【請求項4】
上記茅材の任意の位置の直径Dは、2mm≦D≦8mmであることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の畳。
【請求項5】
上記下層の厚さをHa、上層の厚さをHb、中間層の厚さをHcとしたとき、10mm≦Ha≦25mm、10mm≦Hb≦25mm、10mm≦Hc≦25mm、且つ、50mm±2.0mm≦Ha+Hb+Hc≦55mm±2.0mmにしたことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の畳。
【請求項6】
上記下層を、稲藁を刻んだ切藁の切藁層と、該切藁層を支持し稲藁を主材とする下配と、該下配を被覆する通気性の裏面シートとを備えて構成し、
上記上層を、稲藁を主材とする上配と、該上配を支持し稲藁を主材とする大手配とを備えて構成したことを特徴とする請求項5記載の畳。
【請求項7】
上記上層に、上記中間層に接して上記大手配を支持する通気性の単板を設けたことを特徴とする請求項6記載の畳。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畳に係り、特に、畳床に天然素材を主に使用して衛生的な快適性を奏する畳に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畳は、畳床の表面に畳表を被覆したもので、畳床は、例えば、全体が藁の藁床、あるいは、中間に発泡ポリスチレン等の合成樹脂発泡体層を介装したものなどがある(例えば、特開平9−72072号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−72072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の畳においては、畳床全体が藁床の場合には、天然素材なので、これによる心地よさはあるが、比較的細い藁が密に集合しているので、通気性が必ずしも十分でないという問題があった。また、中間に発泡ポリスチレン等の合成樹脂発泡体層を介装した畳床においても、合成樹脂発泡体層の通気性が十分とはいえない。そのため、水分の発散が必ずしも円滑ではなく、そのため、カビ、ダニ等が発生する要因になっている。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、天然素材を使用し、通気性を向上させ、カビ、ダニ等が発生する要因の低減を図り、使用の快適性の向上を図った畳を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の畳は、畳床の表面に畳表を被覆した畳であって、上記畳床を、細長状の多数の藁材を含んで形成される下層と、細長状の多数の藁材を含んで形成され表面に上記畳表が被覆される上層と、上記下層と上層との間に介装される中間層とを備えて構成した畳において、上記畳床の中間層を、細長状の多数の茅材を集合させた集合体を備えて構成している。
【0007】
これにより、茅材は藁材に比較して、太く、全長に亘って間隔を隔てた複数の節のあるものが多く、比較的硬いこともあって、藁材よりは大きな隙間が形成される。そのため、通気性が極めてよくなり、カビ、ダニ等が発生する要因の低減が図られ、使用の快適性が向上させられる。また、通気性が良いことから、例えば水をこぼすようなことがあって、水が畳床に染み込んでも、速やかに乾燥が行われる。更に、茅材は天然素材であることから、心地よさが確保される。
【0008】
そして、必要に応じ、上記中間層を、上記茅材の集合体のみで構成している。製造が容易になる。
また、必要に応じ、上記茅材の集合体を、各茅材の長手方向が一方向に沿うように集合させて形成した構成としている。集合させ易く、製造が容易になる。集合体は、複数あってこれらを積層しても良く、その場合、隣接する集合体の長手方向が互いに交差するように配置して良い。
【0009】
更に、必要に応じ、上記茅材の任意の位置の直径Dは、2mm≦D≦8mmである構成としている。藁よりも大きな隙間を確実に形成することができる。
【0010】
更にまた、必要に応じ、上記下層の厚さをHa、上層の厚さをHb、中間層の厚さをHcとしたとき、10mm≦Ha≦25mm、10mm≦Hb≦25mm、10mm≦Hc≦25mm、且つ、50mm±2.0mm≦Ha+Hb+Hc≦55mm±2.0mmにした構成としている。中間層の茅材の隙間を確実に確保することができる。また、規格に合った厚さの畳を形成することができる。
【0011】
また、必要に応じ、上記下層を、稲藁を刻んだ切藁の切藁層と、該切藁層を支持し稲藁を主材とする下配と、該下配を被覆する通気性の裏面シートとを備えて構成し、上記上層を、稲藁を主材とする上配と、該上配を支持し稲藁を主材とする大手配とを備えて構成している。上層及び下層により、ある程度の弾力性を確保することができる。
【0012】
この場合、上記上層に、上記中間層に接して上記大手配を支持する通気性の単板を設けたことが有効である。中間層の茅材は比較的太いので表面が凸凹しているが、中間層の上に単板が接して上層を支持することになるので、平坦になり上層を安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、畳床の中間層を、細長状の多数の茅材を集合させた集合体を備えて構成したので、茅材は藁材に比較して、太く、全長に亘って間隔を隔てた複数の節のあるものが多く、比較的硬いこともあって、藁材よりは大きな隙間が形成される。そのため、通気性が極めてよくなり、カビ、ダニ等が発生する要因の低減を図ることができ、使用の快適性を向上させることができる。また、通気性が良いことから、例えば水をこぼすようなことがあって、水が畳床に染み込んでも、速やかに乾燥を行なわせることができる。更に、茅材は天然素材であることから、心地よさを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る畳を示す部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る畳について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る畳Tは、畳床Fの表面に畳表Eを被覆したものである。畳表Eは、例えば、い草を麻糸や綿糸で織り込んだ織物である。尚、合成繊維を織ったもの、あるいは、合成樹脂の表面に畳表の目を型押ししたシート状のものなどを用いることができる。畳表Eは畳床Fの互いに対向する一つの両側面を覆って設けられるとともに、他の両側面には織物からなる周知の畳縁Gが縫付けられる。
【0016】
畳床Fは、細長状の多数の藁材を含んで形成される下層Faと、細長状の多数の藁材を含んで形成され表面に畳表Eが被覆される上層Fbと、下層Faと上層Fbとの間に介装される中間層Fcとを備えて構成されている。
【0017】
下層Faの厚さをHa、上層Fbの厚さをHb、中間層Fcの厚さをHcとしたとき、10mm≦Ha≦25mm、10mm≦Hb≦25mm、10mm≦Hc≦25mm、且つ、50mm±2.0mm≦Ha+Hb+Hc≦55mm±2.0mmに設定されている。規格に合った厚さの畳Tを形成することができる。中間層Fcの厚さHcは、望ましくは、18mm≦Hc≦22mmである。実施の形態では、Ha=13mm、Hb=17mm,Hc=20mmにしている。
【0018】
下層Faは、稲藁を刻んだ切藁の切藁層1と、切藁層1を支持し稲藁を主材とする下配2と、下配2を被覆する通気性の防虫紙3と、これを被覆する裏面シート4とを備えて構成されている。
上層Fbは、稲藁を主材とする上配5と、上配5を支持し稲藁を主材とする大手配6と、大手配を支持する通気性の単板7とを備えて構成されている。単板7は、例えば、木製のベニヤ板などで構成される。
【0019】
中間層Fcは、細長状の多数の茅材Kを集合させた集合体10を備えて構成され、また、茅材Kの集合体10のみで構成されている。茅材Kの任意の位置の直径Dは、2mm≦D≦8mmである。茅材Kの集合体10は、各茅材Kの長手方向が一方向に沿うように集合させて形成されている。
【0020】
そして、周知の畳床製造機において、下層Fa,中間層Fc及び上層Fbの順に積層され、これらが麻等の糸を貫通させて縫合されて互いに結束させられ、畳床Fが作成される。この場合、中間層Fcを茅材Kの集合体10のみで構成しているので、製造が容易になる。また、茅材Kの集合体10を、各茅材Kの長手方向が一方向に沿うように集合させて形成しているので、集合させ易く、この点でも製造が容易になる。その後、畳表Eを被覆し、畳縁Gを縫付けて、畳Tを完成させる。
【0021】
従って、実施の形態に係る畳Tによれば、畳床Fにおいて、中間層Fcの茅材Kは藁材に比較して、太く、全長に亘って6〜12cm程度の間隔の節もあり、比較的硬いこともあって、藁材よりは大きな隙間が形成される。そのため、通気性が極めてよくなり、カビ、ダニ等が発生する要因の低減が図られ、使用の快適性が向上させられる。また、通気性が良いことから、例えば水をこぼすようなことがあって、水が畳床Fに染み込んでも、速やかに乾燥が行われる。更に、茅材Kは天然素材であることから、心地よさが確保される。
【0022】
また、中間層Fcの厚さHcは、10mm≦Hc≦25mm、望ましくは、18mm≦Hc≦22mmにしているので、中間層Fcの茅材Kの隙間を確実に確保することができる。
【0023】
また、下層Faを、稲藁を刻んだ切藁の切藁層1と、切藁層1を支持し稲藁を主材とする下配2とを備えて構成し、上層Fbを、稲藁を主材とする上配5と、上配5を支持し稲藁を主材とする大手配6とを備えて構成しているので、上層Fb及び下層Faにより、ある程度の弾力性を確保することができる。また、中間層Fcの茅材Kは比較的太いので表面が凸凹しているが、中間層Fcの上に単板7が接して上層Fbを支持することになるので、平坦になり上層Fbを安定して支持することができる。
【0024】
尚、上記実施の形態において、茅材Kの集合体10は、1つであるが、集合体10は、複数あってこれらを積層しても良く、その場合、隣接する集合体10の長手方向が互いに交差するように配置して良い。また、下層Fa及び上層Fbの構成は上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。更に、畳Tの大きさは、適宜の大きさに設定して良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
T 畳
E 畳表
G 畳縁
F 畳床
Fa 下層
Fb 上層
Fc 中間層
1 切藁層
2 下配
3 防虫紙
4 裏面シート
5 上配
6 大手配
7 単板
K 茅材
10 集合体
図1