【解決手段】医療器材作業支援システムは、表示部12と、医療器材の作業工程に含まれる1または複数の主作業の内容を示す主作業データと、主作業を構成する1または複数の詳細作業の内容を示す詳細作業データとを記憶する記憶部10と、詳細作業データの内容を表示するか否かを選択する検出部13と、主作業データの内容を表示部12に表示させると共に、検出部13による選択に応じて詳細作業データの内容を表示部12に表示させる表示制御部11と、を備えている。
前記主作業データにより表される表示には第1色で示された部分が含まれ、前記詳細作業データにより表される表示には前記第1色とは異なる第2色で示された部分が含まれている、請求項1に記載の医療器材作業支援システム。
前記動画データは、前記医療器材を構成する複数のパーツの組み立ての際に一方の前記パーツに対する他方の前記パーツの位置決め手順を示すデータである、請求項5に記載の医療器材作業支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る医療器材作業支援システム1について説明する。
図1に示すように、医療器材作業支援システム1は、複数のユーザー端末2と、アンテナ3と、サーバー4とを備えている。複数のユーザー端末2のうち一のユーザー端末2は、管理者によって使用される。
図1においては、3つのユーザー端末2が設けられているが、医療器材作業支援システム1におけるユーザー端末2の数は、1つでも2つでもよく、4つ以上でもよい。ユーザー端末2は、アンテナ3に対して無線により情報を送受信することのできる例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット端末等である。本実施形態では、ユーザー端末2として、ユーザーが持ち運びし易くかつ表示が見易いタブレット端末を好適に用いることができる。以下では、ユーザー端末2がタブレット端末である場合を例に説明する。なお、ユーザー端末2はアンテナ3と有線により通信を行ってもよい。アンテナ3は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)によりサーバー4に接続されている。サーバー4には、医療器材に対する作業に関係する各種情報が保存されている。ユーザー端末2は、アンテナ3を介してサーバー4に対して情報の送受信を行うことができる。
【0012】
本実施形態の医療器材作業支援システム1は、ユーザーが医療器材に対する作業工程、例えば医療器材の洗浄や組み立て等の作業工程を遂行する際に、その作業手順をユーザーの力量、換言すれば習熟性に応じて当該ユーザーに示して支援するものである。以下、本実施形態の医療器材作業支援システム1による作業支援について詳しく説明する。
【0013】
最初に、医療器材作業支援システム1が用いられる作業工程(以下、医療作業工程と呼ぶ)について説明する。医療作業工程は、医療器材を用いる手術工程に向けて実施される作業工程である。医療器材とは、例えば鉗子、剪刃、メス、メスホルダー、カニューレ、鑷子、開創器、スケール、ゾンデ、エレバ、ラスパ、吸引管、開胸器、閉胸器、持針器、注射器、金属ボール、膿盆、コップ、ピン、ミラー、やすり、開口器、クレンメ、ハンドピース、エレパトリューム、ノミ、鋭匙、剥離子、鏡、縫合針、スタンツェ、受水器、針、圧子、ブジー、通気管、骨片打ち込み棒、リウエル、ラジオペンチ、ハンマー、角度計、穿孔器、スポイト、金属綿棒、浣腸器、シリンジ等の器材である。但し、上記例は一部を列挙したものに過ぎず、医療器材は上記例に限定されるものではない。
図2に示すように、医療作業工程には、手術工程に向けた例えば5つの工程がある。詳しくは、医療作業工程は、例えば回収工程、洗浄工程、組立工程、減菌工程、および保管工程等を含む。回収工程は、手術後の医療器材を回収する工程である。洗浄工程は、回収された手術後の医療器材を分解した状態で洗浄装置により洗浄する工程である。組立工程は、洗浄後の医療器材を組み立てる工程である。減菌工程は、組立後の医療器材に対して減菌処理を行う工程である。保管工程は、減菌処理後の医療器材を手術に向けて保管する工程である。医療器材作業支援システム1は、上記医療作業工程を構成する5つの工程のうち少なくとも一つの工程で用いられる。
【0014】
医療器材作業支援システム1のユーザー端末2(
図1参照)は、
図3に示すように、記憶部10、表示制御部11、表示部12、検出部13、確認部14、および検出部15を備えている。記憶部10は、例えばハードディスクやメモリ等により実現可能である。表示制御部11、検出部13、確認部14、および検出部15は、公知のパーソナルコンピュータ、汎用コンピュータやタブレット端末などに設けられるCPU(中央演算処理装置)と、CPUが実行するプログラム等が格納されたROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)等により実現可能である。前記のROMには、医療器材に対する作業を支援するためのプログラムが記憶されている。前記プログラムは、例えばCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)等の記録媒体KBから読み込まれる。なお、前記プログラムを、インターネットを通じてダウンロードするようにしてもよい。表示部12は例えばタブレット端末のタッチパネル等である。なお、ユーザー端末2をパーソナルコンピュータとした場合には、表示部12をディスプレイとすることができる。
【0015】
記憶部10には、医療器材に対する作業を支援するための作業手順を示す写真、イラストレーションおよび動画の各データが予め記憶されている。記憶部10には、医療作業工程に含まれる1または複数の主作業の内容を示す主作業データと、前記主作業を構成する1または複数の詳細作業の内容を示す詳細作業データとが記憶されている。主作業とは、ある医療作業工程における主要な作業である。詳細作業とは、ある医療作業工程(例えば、洗浄工程等)における主作業を完了するために要される詳細な作業である。すなわち、主作業は、1または複数の詳細作業により成り立ち、全ての詳細作業を完了すれば、その詳細作業が属する主作業が完了することとなる。言い換えれば、詳細作業は、主作業を細かく噛み砕いて分割した作業の意である。例えば、上述の洗浄工程(
図2参照)には、医療器材を各パーツに分解、医療器材のパーツをトレイ上の所定位置に配置、トレイを洗浄装置内に配置、洗浄装置による洗浄、洗浄後のパーツの乾燥処理、といった5つの主作業が含まれる。詳細作業の例を挙げる。例えば医療器材を各パーツに分解する主作業の詳細作業としては、当該医療器材の第1部材の分解、第2部材の分解、および第3部材の分解、といったような3つの作業が挙げられる。表示制御部11は、記憶部10に記憶された作業手順を示す上記データを表示部12に表示させるように構成されている。なお、検出部13、確認部14および検出部15の詳細については後述する。
【0016】
表示部12の表示例について説明する。なお、以下に説明する表示部12の表示例は一例であって、これに限定されるものではない。
図4に示すように、表示部12には、表示領域12a,12b,12bc,12c,12d,12e,12f,12g,12hが設けられている。表示領域12aには、後述する複数の詳細作業の内容が表示される。表示領域12bには、医療器材に対する作業の内容が画像(つまり写真、イラストレーション、または動画)により表示される。表示領域12bcには、医療器材に対する作業の内容が文字によって表示される。表示領域12bcは、表示領域12bの下方に配置されている。例えば、表示領域12bには、並んで配置された3種のハンドピースの写真が表示される。そして、表示領域12bcには、例えば「ハンドピースの目視検査」といった文字が表示される。このように、表示領域12bcによる表示は、表示領域12bの表示内容の理解を補助するものである。つまり、表示領域12bの表示と表示領域12bcの表示とは紐付けられている。表示領域12cには、品質重点作業として設定された主作業の内容が表示領域12bに表示される際に、確認ボタンが表示される。表示領域12cに表示される確認ボタン(後述の確認部14に相当)は、上記品質重点作業として設定された主作業が完了したときにユーザーにより押下される。この確認ボタンが押下されないと、次ステップの主作業の内容が表示されない、または作業完了を示す完了表示が実行されないように構成されている。これによって、ユーザーに念入りに作業および確認させることにより、品質重点作業として設定された主作業の品質が担保されるようになっている。
図3の検出部15は、ユーザーにより確認部14が押下されたか否かを検出する。同図の表示制御部11は、検出部15により上記検出があった場合に、表示部12に次ステップの主作業の内容を表示させ、または完了表示を実行させる。なお、ユーザーが上記確認ボタンを押下すると、その情報が履歴としてサーバー4(
図1参照)に残るように構成されており、上述の管理者が、ユーザーにより確実に品質重点管理(ゲート管理ともいう)が行われたことをサーバー4にアクセスして容易に確認することができる。
【0017】
また、表示領域12dには、一の医療作業工程に含まれる複数の主作業のうち現在の主作業のページ数が表示される。表示領域12eには、現在の主作業に詳細作業が設定されている場合に、例えば「詳細」といった文字が表示される。これにより、ユーザーは、詳細作業の内容が表示可能なことを認識することができる。そして、ユーザーは、後述するように、その指先を表示部12に触れさせた状態で払う(この操作は一般にフリックと呼ばれる)ことにより、詳細作業の内容を表示させることができる。なお、ユーザー端末2としてパーソナルコンピュータを用いる場合には、ユーザーが詳細作業の内容を視認する際に押下するためのボタンを表示領域12eに設けるようにしてもよい。このように、ユーザーの選択によって、詳細作業の内容の表示および非表示が決定されるようになっている。この場合、初心者ユーザーによって詳細作業の内容が表示されてもよいし、ベテランユーザーであっても詳細作業を念入りに確認したいときには表示するようにしてもよい。
図3の検出部13は、ユーザーにより表示領域12bに対してフリックが行われたか否かを検出する。同図の表示制御部11は、検出部13により前記フリックが検出された場合に、表示部12に詳細作業の内容を示す表示を実行させる。表示領域12gには、主作業の中に含まれる詳細作業の全数と、表示領域12bに現在表示されている詳細作業のページ数とが表される。例えば、詳細作業の全数が6つで、表示領域12bに現在表示されている詳細作業のページ数が2ページである場合、6つの色抜き丸表示のうち2つの丸表示が塗り潰されて表示される。これによって、ユーザーは、ある主作業の中に含まれている詳細作業の全数と、現在表示されている詳細作業のページ数とを明確に把握することができる。表示領域12fには、上述の品質重点作業を示すマークが表示される。表示領域12hには、医療器材作業支援システム1を終了させるためのボタンが表示される。ユーザーは、医療器材作業支援システム1を終了させたいときに、表示領域12hの前記ボタンを押下する。
【0018】
以下、表示部12における主作業および詳細作業の表示例について説明する。医療作業工程における主作業および詳細作業は、例えば次のように表示される。
図5(a)に示すように、表示部12の表示領域12bには、最初の主作業の内容として、例えば上段トレイおよび下段トレイに医療器材が無作為に配置された状態を示す写真が表示される。また、表示部12の表示領域12bcには、例えば「上下段トレイに医療器材を配置」といった文字が例えば白色で表示される。この表示領域12bcにおいて、上記文字の背景色は例えば青色に設定されている。なお、以降の主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色についても、品質重点作業が設定されている場合を除き青色に設定されている。ユーザーは、表示部12を視認しつつ、上段トレイおよび下段トレイに複数の医療器材を無作為に配置する作業を遂行する。なお、前記作業が完了すれば、ユーザーは表示領域12bに触れ、その指先を例えば左方向(つまり紙面左方向)にフリックする。これにより、表示領域12bに次ステップの主作業(つまり後述の
図5(b)の作業)の内容を表示させることができる。逆に、ユーザーは、上記状態から指先を右方向(つまり紙面右方向)にフリックすることで、表示領域12bに最初のステップの主作業の内容を表示させることができる。このように、ユーザーは、左方向にフリックすることで次ステップの主作業の内容を表示させることができ、右方向にフリックすることで前ステップの主作業の表示に戻すことができる。
【0019】
続いて、
図5(b)に示すように、表示領域12bには、所定の医療器材が下段トレイの所定位置に配置された状態を示す写真が表示される。所定の医療器材とは、例えばハンドピースやモータ等である。ただし、上記所定の医療器材はこれらに限定されるものではない。表示領域12bcには、例えば「下段器材入れ込み完成」といった文字が表示される。この場合、ユーザーは、表示部12を視認しつつ、所定の医療器材を下段トレイの所定位置に配置する作業を遂行する。
【0020】
ここで、
図5(b)の主作業に詳細作業が設定されている場合、上述の通り表示領域12eに「詳細」という文字が表示される。これによって、ユーザーは現在表示されている主作業に詳細作業が含まれていることを認識することができる。このとき、ユーザーは、
図5(b)の主作業の詳細作業を確認したいときには、
図5(b)の状態の表示領域12bに触れ、その指先を例えば上方向(つまり紙面上方向)にフリックする。これにより、表示領域12bに詳細作業の内容を表示させることができる。この場合、
図5(e)に示すように、表示領域12bには、例えば2つのモータが下段トレイの所定位置に配置された状態を示す写真が表示される。また、表示領域12bcには、例えば「モータ2種を所定位置にしっかりと配置する」といった文字が例えば白色で表示される。この表示領域12bcにおいて、上記文字の背景色は例えば緑色に設定されている。以降の詳細作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色も緑色に設定されている。なお、詳細作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色は、主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色と異なっていればよく、緑色に限定されるものではない。ユーザーは、表示部12を視認しつつ、2つのモータを下段トレイの所定位置にそれぞれ配置する作業を遂行する。
【0021】
上述したように、表示領域12gには、主作業の中に含まれる詳細作業の全数と、表示領域12bに現在表示されている詳細作業のページ数とが表される。ユーザーは、表示領域12gの表示に基づいて、まだ表示されていない詳細作業が存在するか否かを判断することができる。まだ表示されていない詳細作業が存在する場合には、ユーザーは上記と同様にフリック操作を行う。これにより、表示領域12bに次の詳細作業の内容を表示させることができる。この場合、
図5(f)に示すように、表示領域12bには、例えば2つのハンドピースが下段トレイの所定位置に配置された状態を示す写真が表示される。また、表示領域12bcには、例えば「ハンドピース2種を所定位置にしっかりと配置する」といった文字が表示される。ユーザーは、表示部12を視認しつつ、2つのハンドピースを下段トレイの所定位置にそれぞれ配置する作業を遂行する。
【0022】
続いて、
図5(b)の主作業の次の主作業の内容を表示させる方法について説明する。上述の通り、表示領域12dには現在の主作業のページ数が表示されるので、ユーザーは表示領域12dの表示に基づいて、まだ表示されていない主作業が存在するか否かを判断することができる。ここでは、
図5(b)の主作業の次の主作業が存在することとする。まず、ユーザーは、
図5(f)の状態から下方向に2回フリック操作を行うことにより、表示領域12bの表示を
図5(b)の表示に戻す。そして、ユーザーは、
図5(b)の状態から左方向にフリック操作を行う。これにより、
図5(c)に示すように、次の主作業の内容が表示領域12bに表示され、ユーザーは所定の作業を遂行する。
図5(c)においては、
図5(c)の主作業が上述の品質重点作業であることを示す確認ボタンが表示領域12cに表示されている。品質重点作業である主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色は例えば赤色に設定されている。なお、品質重点作業としての主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色は、主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色および詳細作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色と異なっていればよく、赤色に限定されるものではない。なお、
図5(g)および(h)に
図5(c)の主作業に属する詳細作業の内容が表示されている状態を図示したが、これらを表示させる方法および
図5(c)の表示に戻す方法は上記と同じであるため、説明を省略する。
【0023】
次に、ユーザーは、上述と同じ方法によって表示領域12bの表示を
図5(c)の表示に戻す。そして、ユーザーは、
図5(c)の状態から左方向にフリック操作を行う。これにより、
図5(d)に示すように、全ての主作業が完了した旨、換言すると一つの医療作業工程が完了した旨を示す完了表示が表示領域12bに表される。なお、
図5(c)の主作業の次の主作業がある場合には、
図5(d)の完了表示の代わりに、当該次の主作業の内容が表示されることとなる。以上の通り、主作業および詳細作業の表示例について説明したが、詳細作業の確認が不要な場合には、ユーザー(例えばベテランユーザー)は左方向にフリック操作を順に行うことによって、
図5(a),(b),(c),(d)の表示、すなわち主作業の内容のみを表示させることができる。なお、初心者ユーザーであっても、同様に全ての詳細作業の確認を省略してもよいし、一部の詳細作業のみを確認対象としてもよい。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、手術に向けて実施される作業工程における主作業の内容が表示部12にされ、当該主作業を構成する詳細作業の内容が選択的に表示部12に表示される。すなわち、詳細作業の内容については表示することもできるし、表示しないようにすることもできる。例えば、作業に熟練したベテランユーザーは詳細作業の内容を表示しないようにすることができ、一方で作業に慣れていない初心者ユーザーは詳細作業の内容を表示するようにすることができる。このように、ユーザーの作業力量に応じて詳細作業の表示および非表示を選択することができるため、従来のように冗長に記載された作業手順書の全ての内容に目を通すことで相当時間を要するようなことがなくなる。本実施形態の医療器材作業支援システム1では、例えばベテランユーザーであれば、既に熟練して理解している詳細作業の表示を省略することができる。また、初心者ユーザーであっても、作業力量に応じて詳細作業の表示を省略することができる。このことによって、医療器材に対する作業の効率を向上することができる。したがって、医療器材の準備が遅延することが許されない手術に向けて万全の準備を整えることができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色が例えば青色に設定され、詳細作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色が例えば緑色に設定されている。このように、主作業の内容を示す表示領域12bcと詳細作業の内容を示す表示領域12bcとが異なる色で表されることによって、ユーザーに対して注意喚起でき、ユーザーは主作業の内容と詳細作業の内容とを分けて認識し易くなる。
【0026】
また、本実施形態によれば、品質重点作業として設定された主作業の内容を表示する表示領域12bcの背景色が例えば赤色に設定されている。このように、品質重点作業を示す背景色が、通常の主作業(つまり、品質重点作業として設定された主作業を除いた主作業)を示す背景色および詳細作業を示す背景色と異なることによって、ユーザーに対して注意喚起でき、ユーザーは品質重点作業であることを認識し易くなる。
【0027】
また、本実施形態によれば、品質重点作業として設定された主作業が完了したときに、ユーザーは表示領域12cの確認ボタンを押下する必要がある。この確認ボタンが押下されないと、次ステップの主作業の内容が表示されない、または作業完了を示す完了表示が実行されないように構成されている。これによって、ユーザーに念入りに作業および確認させることにより、品質重点作業として設定された主作業の品質が担保される。
【0028】
また、本実施形態によれば、表示領域12bにおいて詳細作業の内容は写真データに基づく写真に表示される。このように、写真で表示することによって、詳細作業の内容にリアリティーを持たせることができる。このことによって、ユーザーは実際の医療器材と見比べて詳細作業の内容を把握し易くなる。
【0029】
以上、本実施形態に係る医療器材作業支援システム1について述べたが、当該医療器材作業支援システム1は上記技術的特徴に限定されるものではなく、次のような変形を施して実施することが可能である。
【0030】
上記実施形態では、詳細作業の内容を写真により表示することにしたが、これに限定されるものではない。詳細作業の内容を動画により表示するようにしてもよい。例えば、上述の組立工程(
図2参照)において医療器材を構成する複数のパーツの組み立ての際に、一方のパーツに対する他方のパーツの位置決め手順を動画により表示することができる。これにより、ユーザーは、上記位置決めの作業をスムーズに遂行することができる。
【0031】
また、上記実施形態では、詳細作業の内容を写真により表示することにしたが、これに限定されるものではない。詳細作業の内容をイラストレーションにより表示するようにしてもよい。例えば、医療器材の内部構成を写真で表すことは比較的困難であるので、このような場合に当該内部構成をイラストレーションの断面図により表示することができる。また、前記内部構成をイラストレーションの拡大図により表示するようにしてもよい。このように、医療器材に対する作業の内容に応じて、写真、動画およびイラストレーションのうち何れを採用するかを決定することができる。
【0032】
また、上記実施形態では、ユーザー端末2として、タブレット端末を採用する場合を説明したが、これに限定されるものではない。ユーザー端末2としては、パーソナルコンピュータやスマートフォン等も採用することができる。パーソナルコンピュータを採用する場合には、ユーザーはディスプレイの表示を視認しつつマウスの操作によって表示の切り替えを行うことができる。なお、スマートフォンを採用する場合の表示の切り替えについては、タブレット端末における上述の操作と基本的に同じである。
【0033】
さらに、上記実施形態では、医療作業工程が回収工程、洗浄工程、組立工程、減菌工程、および保管工程のうち少なくとも一つの工程を含む場合について説明したが、当該医療作業工程は上記5つの工程以外の工程を含んでもよい。すなわち、医療作業工程は、手術工程に向けて実施される工程であることを充足するものであればよい。