【解決手段】吻合用接合子5は、第1管状体1に設けられた孔3の一方側に配置される第1部分10と、第1管状体1に設けられた孔3の他方側に配置される第2部分(20;20’)と、第2管状体2の内面に係合可能に構成された第3部分30とを備える。第3部分30は、第1部分10に第1接続部40で連結され、第2部分(20;20’)に第2接続部50で連結される。第1部分10は、第1方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第1環状部分11を備える。第2部分20(;20’)は、第1方向に沿って見た時に開ループ形状を有するギャップ(23;23’)付き第2環状部分(21;21’)を備える。また、第3部分30は、第2方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第3環状部分31を備える。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、実施形態の説明を行う。
【0021】
まず、
図1Aおよび
図1Bを参照して、実施形態における吻合用接合子を用いて接合された2つの管状体(第1管状体1、第2管状体2)について説明する。
図1Aに記載の例では、第1管状体1の側部と第2管状体2の端部とが接合されている。第1管状体1の側壁には孔3が設けられており、当該孔3を介して、第1管状体1の内部と第2管状体2の内部とが連通する。後述の吻合用接合子の第1部分10および第2部分20は、孔3を介して、第1管状体1の外部から第1管状体1の内部に挿入可能である。また、後述の吻合用接合子の第3部分30は、第2管状体2の内部に挿入可能である。第1管状体1に第1部分10および第2部分20を挿入する工程は、第2管状体2に第3部分30を挿入する工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0022】
なお、
図1Aに記載の例では、第2管状体2の遠位端に、2つの切り込みが設けられている。当該2つの切り込みによって、2つの舌片2A、2Bが、第2管状体2の遠位端に形成される。舌片2Aと第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。同様に、舌片2Bと第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。
【0023】
図1Bに記載の例は、孔3に連続して、切り込み3A、および、切り込み3Bが設けられている点で
図1Aに記載の例とは異なる。なお、切り込み3A、および、切り込み3Bのうちの一方だけが設けられてもよい。
図1Bに記載の例では、切り込み3Bが設けられているために、術者は、後述の吻合用接合子の第1部分10を、容易に、第1管状体1に挿入することが可能である。また、切り込み3Aが設けられているために、術者は、後述の吻合用接合子の第2部分20を、容易に、第1管状体1に挿入することが可能である。また、
図1Bに記載の例では、第2管状体2の遠位端に、4つの切り込みが設けられている。当該4つの切り込みによって、4つの舌片2A、2B、2C、2D(舌片2Aは、第2管状体2の後ろ側にあるため、図示されていない。)が、第2管状体2の遠位端に形成される。舌片2A〜2Dのそれぞれと、第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。
図1Bに記載の例では、舌片2Cによって、切り込み3Aが塞がれ、舌片2Dによって、切り込み3Bが塞がれている。
【0024】
なお、
図1A、
図1Bに記載の例において、第1管状体1は、例えば、冠動脈等の血管である。また、第2管状体2は、例えば、バイパス管等の血管である。バイパス管は、患者自身の血管であってもよいし、細胞組織を備えた血管であってもよいし、人工血管であってもよい。
【0025】
図2は、2つの管状体(第1管状体1、第2管状体2)を互いに接合した後の管状体内部の状態を模式的に示す図である。
図2は、第1管状体1、第2管状体2、および、吻合用接合子5を、第1方向と第2方向とに平行な面に沿って仮想的に半分に割ったときのそれぞれの半体を示している。なお、吻合用接合子5の第2部分20のみについては、半体ではなく、全体が図示されている。
【0026】
図2を参照して、第1管状体1の内部には、プラーク7または血栓が存在する。
図2に記載の例では、第1管状体1の側部と、第2管状体2の端部とが接合されることにより、血液が、プラーク7で塞がれた部分をバイパスして、流れる。
【0027】
接合された管状体の内部には、実施形態における吻合用接合子5が配置されている。吻合用接合子5は、第1部分10と、第2部分20と、第3部分30とを備える。第1部分10は、第1管状体1に設けられた孔3の一方側(
図2に示される第1方向とは反対方向の側)に配置される。そして、第1部分10は、第1管状体1の内面に係合している。第2部分20は、第1管状体1に設けられた孔3の他方側(
図2に示される第1方向側)に配置される。そして、第2部分20は、第1管状体1の内面に係合している。また、第3部分30は、第2管状体2の内面に係合している。
【0028】
第1部分10と第3部分30とは、第1接続部40で連結されている。
図2に記載の例では、第1部分10と第3部分30とが、1箇所のみで連結されているため、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能が高い。代替的に、第1部分10と第3部分30とが、2箇所以上で連結されてもよい(第1接続部40が2つ以上あってもよい)。ただし、この場合、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能は低下する。
【0029】
第2部分20と第3部分30とは、第2接続部50で連結されている。
図2に記載の例では、第2部分20と第3部分30とが、1箇所のみで連結されているため、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能が高い。代替的に、第2部分20と第3部分30とが、2箇所以上で連結されてもよい(第2接続部50が2つ以上あってもよい)。ただし、この場合、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能は低下する。
【0030】
第1部分10は、第1方向に平行に延びる複数の第1細長部材15を備えていてもよい。複数の第1細長部材15を備える場合、第1管状体1に対する第1部分10の姿勢が安定化する。また、第1部分10は、管状体内面と係合可能な第1係合部16を備えていてもよい。第1係合部16を備える場合、第1管状体1に対する第1部分10の係合特性が向上する。
【0031】
第2部分20は、第1方向に平行に延びる複数の第2細長部材25、27を備えていてもよい。複数の第2細長部材を備える場合、第1管状体1に対する第2部分20の姿勢が安定化する。また、第2部分20は、管状体内面と係合可能な第2係合部26、28を備えていてもよい。第2係合部を備える場合、第1管状体1に対する第2部分20の係合特性が向上する。
【0032】
第3部分30は、第2方向に平行に延びる複数の第3細長部材35を備えていてもよい。複数の第3細長部材35を備える場合、第2管状体2に対する第3部分30の姿勢が安定化する。また、第3部分30は、管状体内面と係合可能な第3係合部36を備えていてもよい。第3係合部36を備える場合、第2管状体2に対する第3部分30の係合特性が向上する。
【0033】
なお、
図2に記載の例では、吻合用接合子の第1部分10が第1管状体1に挿入され、吻合用接合子の第3部分30が第2管状体2に挿入されているために、第1管状体1の孔3と、第2管状体2の遠位端との間の位置ずれが小さい。他方、管状体の内部に挿入される吻合用接合子を用いないで吻合を行う場合、第1管状体1の孔3と第2管状体2の遠位端との間の位置ずれが大きくなることがある。その結果、第1管状体1の一部分が、第2管状体2の遠位端に位置する開口部に向かって大きく突出するおそれがある。このような場合、突出した部分によって血液の流れが阻害されるおそれがあり、また、突出した部分によって血栓の発生が誘発されるおそれがある。
【0034】
図3は、実施形態の吻合用接合子の第1部分10を第1方向に沿って見た時の図である。
図3には、第1部分10の中心軸Xが示されている。
図3に示されるように、第1部分10は、第1方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第1環状部分11(斜線で示される部分)を備える。
【0035】
図4は、実施形態の吻合用接合子の第2部分を第1方向に沿って見た時の図である。
図4には、第2部分20の中心軸Xが示されている。
図3、4に記載の例では、第2部分20の中心軸Xと、第1部分10の中心軸Xとは一致している。
図4に示されるように、第2部分20は、第1方向に沿って見た時に開ループ形状を有するギャップ23付きの第2環状部分21(斜線で示される部分)を備える。なお、ギャップ付の第2環状部分21は、開ループ形状を有する円弧状部分と言うこともできる。また、ギャップ23は、第2部分20の一端と、第2部分20の他端との間の空間である。
図4に記載の例では、第2部分20が、開ループ形状を有するため、第2部分20をよりフレキシブルに変形させることが可能である。その結果、第2部分20の第1管状体1への挿入が容易となる。また、第2部分20が、開ループ形状を有するため、第2部分20は、弾性力によって、第1管状体1の内面を押圧可能である。
【0036】
なお、
図4に記載の例では、第1管状体1の内部に配置された第2部分20を中心軸Xに沿って見た時、ギャップ23の幅に対応する円周角θは、0度より大きく180度以下である。円周角θが180度より大きくなると、第1管状体1に対する第2部分20の係合特性が低下するおそれがある。
【0037】
図5は、実施形態の吻合用接合子の第3部分30を第2方向に沿って見た時の図である。
図5には、第3部分30の中心軸Yが示されている。
図5に示されるように、第3部分30は、第2方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第3環状部分31(斜線で示される部分)を備える。
【0038】
図6を参照して、実施形態の吻合用接合子5について、更に、詳細に説明する。
図6は、実施形態の吻合用接合子を、第1方向に垂直且つ第2方向に垂直である方向からみた時の模式図である。なお、
図6において、第1部分10の手前側の半分、第3部分30の手前側の半分については、図面の複雑化を避けるために記載が省略され、第1部分10の奥側の半分、第3部分30の奥側の半分のみが図示されている。また、実際には、第2部分20の第2環状部分21は、第1方向に垂直な面内に配置される(例えば、実際には、
図6の点Bで示される部分は、
図6の点Aで示される部分と重なって見えないはずである。)が、第2部分20の形状を容易に把握できるようにするために、第2環状部分21は、意図的に、第1方向に垂直な面に対して、傾斜するように記載されている。
【0039】
(第1部分10)
図6を参照して、第1部分10の第1環状部分11は、複数の頂部12と複数の底部13とを交互に備える波形円周部である。
図2および
図6から把握されるように、頂部12は、底部13よりも、第1管状体1により深く挿入されることとなる部分である。なお、頂部12および底部13は、それぞれ、波形円周部における変曲部であってもよい。波形円周部は、頂部12と、頂部12と底部13とを連結する第1連結部14Aと、底部13と、底部13と頂部12とを連結する第2連結部14Bの繰り返し構造である。波形円周部は、例えば、端部のない一筆書き形状(unicursal shape)である。
図6に記載の例では、第1環状部分11が備える波形円周部の数は、1つである。換言すれば、第1部分10において、波形円周部である第1環状部分11は、他の波形円周部と直接的または間接的に連結されていない。そして、隣接する2つの頂部12を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部14Aと底部13と第2連結部14Bのみである。また、隣接する2つの底部13を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部14Aと頂部12と第2連結部14Bのみである。
【0040】
図7には、比較例における吻合用接合子が示されている。
図7に示されるように、波形円周部310が、他の波形円周部に連結されている場合、例えば、第1部分10の根元側部分(第1方向側の部分)を挟持した時に、第1部分10の全体の収縮が不均一になりやすい。特に、第1部分10の根元側部分(第1方向側の部分)を挟持した時に、第1部分10の先端側部分(第1方向と反対方向側の部分)の縮径が不十分となる可能性がある。その結果、第1部分10の先端側部分を、第1管状体1に挿入することが困難となるおそれがある。これに対し、
図6に記載の例では、第1環状部分11が備える波形円周部の数が1つであるため、第1部分10の根元側部分(第1方向側の部分)を挟持した時に、第1部分10の全体が均一に収縮し易い。特に、第1部分10の根元側部分(第1方向側の部分)を挟持した時に、第1部分10の先端側部分(第1方向と反対方向側の部分)の縮径が十分となる。その結果、第1部分10の第1管状体1への挿入が容易となる。
【0041】
また、
図6に記載の例では、第1環状部分11(第1部分10)は、第1部分10の径方向(第1方向に垂直な方向であって、第1部分の中心軸Xから外側に向かう方向)に平行な仮想直線T1を囲むように配置された閉ループを備えていない。このため、第1部分10の収縮時に、第1部分10の全体が均一に収縮し易い。これに対し、
図7または
図8に記載の例では、第1環状部分が、第1部分の径方向に平行な仮想直線T1を囲むように配置された閉ループ(
図7または
図8に記載の斜線部分が、閉ループ311、311’に該当。)を備える。このため、
図7または
図8に記載の例では、第1部分10の収縮時に、第1部分10の全体の収縮が不均一になりやすい。
【0042】
図6を参照して、第1部分10は、複数の頂部12のうちの少なくとも1つの頂部に連結され、第1方向に平行に延びる第1細長部材15を備える。第1細長部材15は、対応する頂部12によって、片持ち状態で支持される。
図6には、4つの第1細長部材15が示されているが、実際には、手前側にも、他の4つの第1細長部材15が存在する。なお、第1細長部材15の数は、必ずしも8つである必要はなく、任意である。また、
図6に記載の例では、底部13には、第1方向に平行に延びる細長部材が設けられていない。代替的に、底部13に、第1方向に平行に延びる細長部材が設けられていてもよい。
【0043】
図6に記載の例では、各第1細長部材15の遠位端には、第1管状体1の内面と係合可能な第1係合部16が設けられている。第1係合部16は、第1管状体1の内面との係合により、第1部分10が、第1管状体1に対して、第1方向側にスライドすることを防止する。各第1係合部16は、例えば、角部を丸くした矢尻形状(略三角形形状)である。各第1係合部16は、例えば、平板状の部材によって構成される。各第1係合部16は、第1管状体1から取り出される方向(第1方向)への取出抵抗が、第1管状体1に挿入される方向(第1方向と反対の方向)への挿入抵抗よりも大きい。このため、第1管状体1への第1部分10の挿入が容易であるとともに、挿入後の第1部分10の第1管状体1に対する位置ずれが防止される。なお、第1係合部16の形状は、矢尻形状に限定されない。第1係合部16の形状は、釣り針の返し部のような形状を備えていてもよい(換言すれば、第1係合部16は、返し部を備えていてもよい。)。
【0044】
(第3部分30)
図6を参照して、第3部分30の第3環状部分31は、複数の頂部32と複数の底部33とを交互に備える波形円周部である。
図2および
図6から把握されるように、頂部32は、底部33よりも、第2管状体2により深く挿入されることとなる部分である。なお、頂部32および底部33は、それぞれ、波形円周部における変曲部であってもよい。波形円周部は、頂部32と、頂部32と底部33とを連結する第1連結部34Aと、底部33と、底部33と頂部32とを連結する第2連結部34Bの繰り返し構造である。波形円周部は、例えば、端部のない一筆書き形状(unicursal shape)である。
図6に記載の例では、第3環状部分31が備える波形円周部の数は、1つである。換言すれば、第3部分30において、波形円周部である第3環状部分31は、他の波形円周部と直接的または間接的に連結されていない。そして、隣接する2つの頂部32を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部34Aと底部33と第2連結部34Bのみである。また、隣接する2つの底部33を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部34Aと頂部32と第2連結部34Bのみである。
【0045】
図6に記載の例では、第3環状部分31が備える波形円周部の数は、1つである。このため、第3部分30の根元側部分(第2方向側の部分)を挟持した時に、第3部分30の先端側部分(第2方向と反対方向側の部分)の縮径が十分となる。その結果、第3部分30の第2管状体2への挿入が容易となる。
【0046】
また、
図6に記載の例では、第3環状部分31(第3部分30)は、第3部分30の径方向(第2方向に垂直な方向であって、第3部分30の中心軸Yから外側に向かう方向)に平行な仮想直線T2を囲むように配置された閉ループを備えていない。このため、第3部分30の収縮時に、第3部分30の全体が均一に収縮し易い。
【0047】
図6を参照して、第3部分30は、複数の頂部32のうちの少なくとも1つの頂部に連結され、第2方向に平行に延びる第3細長部材35を備える。第3細長部材35は、対応する頂部32によって、片持ち状態で支持される。
図6には、4つの第3細長部材35が示されているが、実際には、手前側にも、他の4つの第3細長部材35が存在する。なお、第3細長部材35の数は、必ずしも8つである必要はなく、任意である。また、
図6に記載の例では、底部33には、第2方向に平行に延びる細長部材が設けられていない。代替的に、底部33に、第2方向に平行に延びる細長部材が設けられていてもよい。
【0048】
図6に記載の例では、各第3細長部材35の遠位端には、第2管状体2の内面と係合可能な第3係合部36が設けられている。第3係合部36は、第2管状体2の内面との係合により、第3部分30が、第2管状体2に対して、第2方向側にスライドすることを防止する。各第3係合部36は、例えば、角部を丸くした矢尻形状(略三角形形状)である。各第3係合部36は、例えば、平板状の部材によって構成される。各第3係合部36は、第2管状体2から取り出される方向(第2方向)への取出抵抗が、第2管状体2に挿入される方向(第2方向と反対の方向)への挿入抵抗よりも大きい。このため、第2管状体2への第3部分30の挿入が容易であるとともに、挿入後の第3部分30の第2管状体2に対する位置ずれが防止される。なお、第3係合部36の形状は、矢尻形状に限定されない。第3係合部36の形状は、釣り針の返し部のような形状を備えていてもよい(換言すれば、第3係合部36は、返し部を備えていてもよい。)。
【0049】
(第2部分20)
図6を参照して、第2部分20の第2環状部分21は、第2接続部50から一方側に延びる第1円弧部分21Aと、第2接続部50から他方側に延びる第2円弧部分21Bとを備える。
【0050】
第1円弧部分21Aには、第1円弧部分21Aの遠位端22Aと第2接続部50との間において、第2細長部材25が設けられてもよい。第2細長部材25は、第1方向に平行に延びる。第2細長部材25は、第1円弧部分21Aから両側に(第1方向側、および、第1方向と反対方向側に)延びる。第2細長部材25の第1方向側の端部には、第1方向側第2係合部26−2が設けられ、第2細長部材25の他端部には、他端側第2係合部26−1が設けられている。第1方向側第2係合部26−2は、第2部分20が第1方向と反対の方向に移動することを防止し、他端側第2係合部26−1は、第2部分20が第1方向に移動することを防止する。第1方向側第2係合部26−2の形状、および、他端側第2係合部26−1の形状は、第1係合部16の形状と同一形状であってもよいし、第1係合部16の形状と相似形状であってもよいし、第1係合部16の形状と異なる形状であってもよい。なお、第2細長部材25の長さは、第1細長部材15の長さより短くてもよい。また、第2細長部材25の長さは、第3細長部材35の長さより短くてもよい。
【0051】
第1円弧部分21Aの遠位端22Aには、端部細長部材27Aが設けられてもよい。端部細長部材27Aは、第1方向に平行に延びる。端部細長部材27Aは、第1円弧部分21Aから両側に(第1方向側、および、第1方向と反対方向側に)延びる。端部細長部材27Aの第1方向側の端部には、第1方向側第2係合部28A−2が設けられ、端部細長部材27Aの他端部には、他端側第2係合部28A−1が設けられている。第1方向側第2係合部28A−2は、第1円弧部分21Aの遠位端22Aが第1方向と反対の方向に移動することを防止し、他端側第2係合部28A−1は、第1円弧部分21Aの遠位端22Aが第1方向に移動することを防止する。第1方向側第2係合部28A−2の形状、および、他端側第2係合部28A−1の形状は、第1係合部16の形状と同一形状であってもよいし、第1係合部16の形状と相似形状であってもよいし、第1係合部16の形状と異なる形状であってもよい。なお、端部細長部材27Aの長さは、第1細長部材15の長さより短くてもよい。また、端部細長部材27Aの長さは、第3細長部材35の長さより短くてもよい。
【0052】
第2円弧部分21Bには、第2円弧部分21Bの遠位端22Bと第2接続部50との間において、第2細長部材25が設けられてもよい。第2細長部材25は、第1方向に平行に延びる。第2細長部材25は、第2円弧部分21Bから両側に(第1方向側、および、第1方向と反対方向側に)延びる。また、第2細長部材25の第1方向側の端部には、第1方向側第2係合部26−2が設けられ、第2細長部材25の他端部には、他端側第2係合部26−1が設けられている。第2円弧部分21Bに設けられる第2細長部材25、第1方向側第2係合部26−2、他端側第2係合部26−1の構成は、それぞれ、第1円弧部分21Aに設けられる第2細長部材25、第1方向側第2係合部26−2、他端側第2係合部26−1の構成と同様である。このため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0053】
第2円弧部分21Bの遠位端22Bには、端部細長部材27Bが設けられてもよい。端部細長部材27Bは、第1方向に平行に延びる。端部細長部材27Bは、第2円弧部分21Bから両側に(第1方向側、および、第1方向と反対方向側に)延びる。端部細長部材27Bの第1方向側の端部には、第1方向側第2係合部28B−2が設けられ、端部細長部材27Bの他端部には、他端側第2係合部28B−1が設けられている。第1方向側第2係合部28B−2は、第2円弧部分21Bの遠位端22Bが第1方向と反対の方向に移動することを防止し、他端側第2係合部28B−1は、第2円弧部分21Bの遠位端22Bが第1方向に移動することを防止する。端部細長部材27B、第1方向側第2係合部28B−2、他端側第2係合部28B−1の構成は、それぞれ、端部細長部材27A、第1方向側第2係合部28A−2、他端側第2係合部28A−1の構成と同様である。このため、繰り返しとなる説明は省略する。
【0054】
図9は、実施形態の吻合用接合子を模式的に示す概略展開図である。
図9において、C1によって示される部分は、実際には、C2によって示される部分と同じ部分である。例えば、
図9の上側(C2上)に記載された第1係合部16Bは、
図9の下側(C1上)に記載された第1係合部16Bそのものであり、
図9の上側(C2上)に記載された第3係合部36Bは、
図9の下側(C1上)に記載された第3係合部36Bそのものである。
【0055】
図9に記載の例では、第1環状部分11(波形円周部)は、8つの頂部12と、8つの底部13とを備え、第3環状部分31(波形円周部)は、8つの頂部32と、8つの底部33とを備える。すなわち、
図9に記載の例では、第1環状部分11(波形円周部)における頂部の数と、第3環状部分31(波形円周部)における頂部の数とが等しい。なお、第1管状体1の内径と、第2管状体2の内径とが互いに異なる場合等には、第1環状部分11(波形円周部)における頂部の数と、第3環状部分31(波形円周部)における頂部の数とが互いに異なっていてもよい。
【0056】
(吻合用接合子の製造方法)
次に、
図10乃至
図12を参照して、吻合用接合子の製造方法について説明する。
図10は、吻合用接合子5の製造方法を示すフローチャートである。
図11は、円筒シート体70から吻合用接合子5を切り出すことを模式的に示す図である。
図12は、
図6の領域Dを拡大した図である。
【0057】
第1ステップS1において、1つの円筒シート体70が準備される。
図11に示されるように、第2ステップS2において、1つの円筒シート体70から、第1方向に平行な中心軸を備えた第1部分10と、第1方向に平行な中心軸を備えた第2部分20と、第1部分10に第1接続部40で連結され、第2部分20に第2接続部50で連結され、かつ、前記第1方向に平行な中心軸を備えた第3部分30とが切り出される。
図11には、円筒シート体70に切れ目80が設けられ、第1部分10と第2部分20と第3部分30とが、円筒シート体70から切り出される様子が記載されている。当該切れ目80の形成は、レーザ加工によって行われてもよいし、他の加工法によって行われてもよい。
【0058】
なお、第2ステップS2(切り出し工程)の直後において、第1部分10は、第1方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第1環状部分11を備える。また、第2部分20は、第1方向に沿って見た時に開ループ形状を有するギャップ23付き第2環状部分21を備える。また、第3部分30は、第1方向に沿って見た時に閉ループ形状を有する第3環状部分31を備える。
【0059】
第3ステップS3において、第1接続部40において、第1部分10が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。折り曲げの結果、第1部分10の第3部分30に対する相対的な配置は、
図6に示される配置となる。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第3ステップS3の後に、第1接続部(折り曲げ部)を加熱してもよい。
【0060】
第4ステップS4において、第2接続部50(
図11には図示されず)において、第2部分20が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。
図12には、折り曲げ後の、第2接続部50の状態が示されている。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第4ステップS4の後に、第2接続部(折り曲げ部)を加熱してもよい。なお、第4ステップS4は、第3ステップS3よりも前に実行されてもよいし、第3ステップS3よりも後に実行されてもよいし、第3ステップS3と同時に実行されてもよい。
【0061】
実施形態における吻合用接合子の製造方法では、吻合用接合子5を、1つの円筒シート体から切り出された1つの部材から製作することができる。換言すれば、実施形態の吻合用接合子において、第1部分10と、第2部分20と、第3部分30とによって構成される形状を、1つの円筒シート体70から切り出された1つの部材から作製可能な形状とすることが可能である。このため、実施形態における吻合用接合子の製造方法では、溶接、溶着等の接合工程が必ずしも必要でない。そして、吻合用接合子の製造が容易である。
【0062】
実施形態における吻合用接合子の製造方法では、円筒シート体70の曲面がそのまま、第1部分の第1環状部分11の形状、第2部分の第2環状部分21の形状、および、第3部分の第3環状部分31の形状として利用される。このため、実施形態における吻合用接合子の製造方法は、第1部分と第2部分と第3部分とを備える複雑な形状を有する吻合用接合子の製造方法であるにもかかわらず、上述の第3ステップS3における折り曲げ加工、および、上述の第4ステップS4における折り曲げ加工以外の塑性加工が必ずしも必要でない。また、円筒シート体70の曲面がそのまま、第1部分の第1環状部分11の形状、第2部分の第2環状部分21の形状、および、第3部分の第3環状部分31の形状として利用される結果、第1環状部分11の真円度、第2環状部分21、および、第3環状部分31の真円度が高い。
【0063】
なお、実施形態における吻合用接合子の製造方法では、円筒シート体70の外面であった部分が、第1部分の外面(第1管状体1に接する面)として利用され、円筒シート体70の外面であった部分が、第2部分の外面(第1管状体1に接する面)として利用され、円筒シート体70の外面であった部分が、第3部分の外面(第2管状体2に接する面)として利用されている。また、実施形態における吻合用接合子の製造方法では、
図13に示されるように、円筒シート体70の第1方向と反対方向側の領域である第1端側領域70−1から第1部分10が形成され、円筒シート体70の第1方向側の領域である第2端側領域70−2から第3部分30が形成され、第1端側領域70−1と第2端側領域70−2との間の領域70−3から第2部分20が形成される。その結果、相対的に短い長さの円筒シート体70から、吻合用接合子を製造することが可能となる。
【0064】
次に、
図14を参照して、吻合用接合子のサイズの一例を示す。外力が作用しない自然の状態における吻合用接合子5の全長L1(折り曲げ加工前の全長)は、例えば、4mm以上14mm以下である。全長L1が4mm未満であると、吻合用接合子5の第1管状体1又は第2管状体2への係合が不十分となるおそれがある。全長L1が14mm超であると、第1管状体1と第2管状体2との接合部の近傍において、管状体の屈曲性が損なわれるおそれがある。
【0065】
外力が作用しない自然の状態における第1環状部分11(波形円周部)の第1方向に沿った長さL2は、例えば、2mm以上8mm以下である。長さL2が2mm未満であると、拡張時の径が不足し、吻合用接合子5の第1管状体1への係合が不十分となるおそれがある。長さL2が8mm超であると、第1管状体1と第2管状体2との接合部の近傍において、第1管状体1の屈曲性が損なわれるおそれがある。同様に、折り曲げ加工前において、自然の状態における第3環状部分31(波形円周部)の第1方向に沿った長さL3は、例えば、2mm以上8mm以下である。
【0066】
第1細長部材15の長さL4は、例えば、例えば、0.5mm以上3mm以下である。長さL4が0.5mm未満であると、吻合用接合子5の第1管状体への係合が不十分となるおそれがある。長さL4が3mm超であると、第1管状体と第2管状体との接合部の近傍において、第1管状体1の屈曲性が損なわれるおそれがある。同様に、第3細長部材35の長さL5は、例えば、例えば、0.5mm以上3mm以下である。
【0067】
折り曲げ加工前において、第1接続部40の第1方向に沿った長さは、例えば、1mm以上8mm以下である。また、折り曲げ加工前において、第2接続部50の第1方向に沿った長さは、例えば、1mm以上8mm以下である。
【0068】
外力が作用しない自然の状態における第1部分10の外径は、例えば、2mm以上4mm以下である。また、外力が作用しない自然の状態における第3部分30の外径は、例えば、2mm以上4mm以下である。
【0069】
各係合部(第1係合部16、第2係合部26、28、第3係合部36)の長さL6は、例えば、0.15mm以上0.6mm以下である。係合部の面積が大きすぎると、当該係合部が管状体を押圧する単位面積当たりの押圧力が不足し、吻合用接合子5が管状体に対して滑るおそれがある。また、係合部の面積が小さすぎると、当該係合部が、管状体に係合する部分として機能しなくなるおそれがある。
【0070】
(変形例)
図15および
図16を参照して、実施形態の変形例における吻合用接合子5’について説明する。
図15は、変形例における吻合用接合子5’を用いて2つの管状体(1、2)を互いに接合した後の管状体内部の状態を模式的に示す図である。
図15は、第1管状体1、第2管状体2、および、吻合用接合子5’を、第1方向と第2方向とに平行な面に沿って仮想的に半分に割ったときのそれぞれの半体を示している。また、
図16は、変形例の吻合用接合子5’を模式的に示す概略展開図である。
【0071】
変形例における吻合用接合子5’の各構成要素に関し、上述の実施形態における吻合用接合子5の構成要素と同様の機能を有する構成要素については、同一の図番が付されている。同一の図番が付された構成要素について、繰り返しとなる説明は省略する。
【0072】
変形例における吻合用接合子5’における第2部分20’の構成は、上述の実施形態における吻合用接合子5’における第2部分20の構成と異なっている。
図15を参照して、第2部分20’は、第2接続部50’(折り曲げ部)を介して、第3部分30に接続されている。第2部分20’は、第2環状部分21’を備える。なお、
図15から把握することは困難であるが、第2環状部分21’は、上述の実施形態における第2環状部分21がギャップ23を有しているのと同様に、ギャップ23’を有している。ギャップ23’は、
図16に図示されている。
【0073】
図16を参照して、第2部分20’の第2環状部分21’は、複数の頂部120’と複数の底部130’とを交互に備える波形形状部である。
図15および
図16から把握されるように、頂部120’は、底部130’よりも、第1管状体1により深く挿入されることとなる部分である。なお、頂部120’および底部130’は、それぞれ、波形形状部における変曲部であってもよい。波形形状部は、頂部120’と、頂部120’と底部130’とを連結する第1連結部140’Aと、底部130’と、底部130’と頂部120’とを連結する第2連結部140’Bの繰り返し構造である。波形形状部は、例えば、2つの端部(127A’、127B’で示される部分を参照。)を有する一筆書き形状(unicursal shape)である。
図16に記載の例では、第2環状部分21’が備える波形形状部の数は、1つである。換言すれば、第2部分20’において、波形形状部である第2環状部分21’は、他の環状部分と直接的または間接的に連結されていない。そして、隣接する2つの頂部120’を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形形状部を構成する第1連結部140’Aと底部130’と第2連結部140’Bのみである。また、隣接する2つの底部130’を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形形状部を構成する第1連結部140’Aと頂部120’と第2連結部140’Bのみである。
【0074】
図16に記載の例において、第2環状部分21’は、ギャップ23’を有するギャップ付き環状部分である。よって、第2環状部分21’を第1方向に沿って見た時、第2環状部分21’は、開ループ形状を有する。なお、
図16に記載の例では、第2環状部分21’の第1端には、第1の端部細長部材127’Aが設けられており、第2環状部分21’の第2端には、第2の端部細長部材127’Bが設けられている。そして、第1の端部細長部材127’Aと第2の端部細長部材127’Bとの間に、ギャップ23’が形成されている。
【0075】
図16を参照して、第2部分20’は、複数の頂部120’のうちの少なくとも1つの頂部に連結された第2細長部材125’を備える。第2細長部材125’は、対応する頂部120’によって、片持ち状態で支持される。
図16に記載の例では、各第2細長部材125’は、螺旋状に湾曲した部材である。換言すれば、各第2細長部材125’は、仮想的な螺旋の一部分と一致する形状を有する。また、
図16に記載の例では、各第2細長部材125’の遠位端には、第1管状体1の内面と係合可能な第2係合部126’が設けられている。第2係合部126’は、第1管状体1の内面との係合により、第2部分20’が、第1管状体1に対して、第1方向(
図15を参照)とは反対方向側にスライドすることを防止する。
【0076】
図16に記載の例では、第3部分30は、第1接続部40を介して、第1部分10に接続されている。また、第2部分20’は、第2接続部50’を介して、第3部分30に接続されている。なお、
図16に記載の例における第2接続部50’の長さは、
図9に記載の例における第2接続部50の長さよりも長い。
【0077】
変形例における吻合用接合子5’は、
図10を参照して説明された上述の実施形態における吻合用接合子5と同様の工程で作製可能である。よって、吻合用接合子5’の製造方法についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0078】
変形例における吻合用接合子5’および吻合用接合子5’の製造方法は、上述の実施形態における吻合用接合子5および吻合用接合子5の製造方法と同様の効果を奏する。
【0079】
なお、実施形態に係る吻合用接合子は、任意の生体適合性材料(例えば、超弾性特性を有し、かつ、形状記憶合金であるニッケルチタン合金を用いてもよいし、生体組織によって吸収される生体吸収性材料を用いてもよい。)によって構成されてもよい。
【0080】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。