【解決手段】吻合用接合子5は、第1管状体1に設けられた孔3の一方側に配置される第1部分10と、第1管状体1に設けられた孔3の他方側に配置される第2部分20と、第2管状体2の内面に係合可能に構成された第3部分30とを備える。第3部分30は、第1部分10に第1接続部40で連結され、第2部分20に第2接続部50で連結される。第1部分10は、第1リング部材11または第1のギャップ付きリング部材を備える。第2部分20は、第2リング部材21または第2のギャップ付きリング部材を備える。第3部分30は、環状部分31を備える。環状部分31は、複数の頂部32と複数の底部33とを交互に備える波形円周部を含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、実施形態の説明を行う。
【0020】
まず、
図1Aおよび
図1Bを参照して、実施形態における吻合用接合子を用いて接合された2つの管状体(第1管状体1、第2管状体2)について説明する。
図1Aに記載の例では、第1管状体1の側部と第2管状体2の端部とが接合されている。第1管状体1の側壁には孔3が設けられており、当該孔3を介して、第1管状体1の内部と第2管状体2の内部とが連通する。後述の吻合用接合子の第1部分10および第2部分20は、孔3を介して、第1管状体1の外部から第1管状体1の内部に挿入可能である。また、後述の吻合用接合子の第3部分30は、第2管状体2の内部に挿入可能である。第1管状体1に第1部分10および第2部分20を挿入する工程は、第2管状体2に第3部分30を挿入する工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0021】
なお、
図1Aに記載の例では、第2管状体2の遠位端に、2つの切り込みが設けられている。当該2つの切り込みによって、2つの舌片2A、2Bが、第2管状体2の遠位端に形成される。舌片2Aと第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。同様に、舌片2Bと第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。
【0022】
図1Bに記載の例は、孔3に連続して、切り込み3A、および、切り込み3Bが設けられている点で
図1Aに記載の例とは異なる。なお、切り込み3A、および、切り込み3Bのうちの一方だけが設けられてもよい。
図1Bに記載の例では、切り込み3Bが設けられているために、術者は、後述の吻合用接合子の第1部分10を、容易に、第1管状体1に挿入することが可能である。また、切り込み3Aが設けられているために、術者は、後述の吻合用接合子の第2部分20を、容易に、第1管状体1に挿入することが可能である。また、
図1Bに記載の例では、第2管状体2の遠位端に、4つの切り込みが設けられている。当該4つの切り込みによって、4つの舌片2A、2B、2C、2D(舌片2Aは、第2管状体2の後ろ側にあるため、図示されていない。)が、第2管状体2の遠位端に形成される。舌片2A〜2Dのそれぞれと、第1管状体1の外面とは、生体接着剤等によって接着されてもよい。
図1Bに記載の例では、舌片2Cによって、切り込み3Aが塞がれ、舌片2Dによって、切り込み3Bが塞がれている。
【0023】
なお、
図1A、
図1Bに記載の例において、第1管状体1は、例えば、冠動脈等の血管である。また、第2管状体2は、例えば、バイパス管等の血管である。バイパス管は、患者自身の血管であってもよいし、細胞組織を備えた血管であってもよいし、人工血管であってもよい。
【0024】
図2は、2つの管状体(第1管状体1、第2管状体2)を互いに接合した後の管状体内部の状態を模式的に示す図である。なお、管状体内部の状態をわかり易く示すために、第1管状体1、第2管状体2、および、プラーク7については、断面が示されており、吻合用接合子5については、斜視図が示されている。
【0025】
図2を参照して、第1管状体1の内部には、プラーク7または血栓が存在する。
図2に記載の例では、第1管状体1の側部と、第2管状体2の端部とが接合されることにより、血液が、プラーク7で塞がれた部分をバイパスして、流れる。
【0026】
接合された管状体の内部には、実施形態における吻合用接合子5が配置されている。吻合用接合子5は、第1部分10と、第2部分20と、第3部分30とを備える。第1部分10は、第1管状体1に設けられた孔3の一方側(
図2に示される第1方向とは反対方向の側)に配置される。そして、第1部分10は、第1管状体1の内面に係合している。第2部分20は、第1管状体1に設けられた孔3の他方側(
図2に示される第1方向側)に配置される。そして、第2部分20は、第1管状体1の内面に係合している。また、第3部分30は、第2管状体2の内面に係合している。
【0027】
第1部分10と第3部分30とは、第1接続部40で連結されている。
図2に記載の例では、第1部分10と第3部分30とが、1箇所のみで連結されているため、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能が高い。代替的に、第1部分10と第3部分30とが、2箇所以上で連結されてもよい(第1接続部40が2つ以上あってもよい)。ただし、この場合、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能は低下する。
【0028】
第2部分20と第3部分30とは、第2接続部50で連結されている。
図2に記載の例では、第2部分20と第3部分30とが、1箇所のみで連結されているため、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能が高い。代替的に、第2部分20と第3部分30とが、2箇所以上で連結されてもよい(第2接続部50が2つ以上あってもよい)。ただし、この場合、第1管状体1と第2管状体2との間の角度変化に対する吻合用接合子5の適応性能は低下する。
【0029】
第3部分30は、第2管状体2の内面に係合可能に構成された環状部分31を備える。環状部分31を第2方向に沿って見た時、環状部分31は閉ループを構成している。また、第3部分30は、第2方向に平行に延びる複数の細長部材35を備えていてもよい。複数の細長部材35を備える場合、第2管状体2に対する第3部分30の姿勢が安定化する。また、第3部分30は、管状体内面と係合可能な係合部36を備えていてもよい。係合部36を備える場合、第2管状体2に対する第3部分30の係合特性が向上する。
【0030】
なお、
図2に記載の例では、吻合用接合子の第1部分10および第2部分20が第1管状体1に挿入され、かつ、吻合用接合子の第3部分30が第2管状体2に挿入されているために、第1管状体1の孔3と、第2管状体2の遠位端との間の位置ずれが小さい。他方、管状体の内部に挿入される吻合用接合子を用いないで吻合を行う場合、第1管状体1の孔3と第2管状体2の遠位端との間の位置ずれが大きくなることがある。その結果、第1管状体1の一部分が、第2管状体2の遠位端に位置する開口部に向かって大きく突出するおそれがある。このような場合、突出した部分によって血液の流れが阻害されるおそれがあり、また、突出した部分によって血栓の発生が誘発されるおそれがある。
【0031】
図3を参照して、実施形態の吻合用接合子5について、更に、詳細に説明する。
図3は、実施形態の吻合用接合子を模式的に示す概略斜視図である。
【0032】
(第1部分10)
第1部分10は、第1リング部材11を備える。第1リング部材11の中心軸は、軸Xである。第1リング部材11は、閉ループを形成している。代替的に、第1部分10は、第1のギャップ付きリング部材を備えていてもよい。第1のギャップ付きリング部材は、例えば、
図3の矢印A1で図示される部分にギャップを備えるリング部材である。第1のギャップ付きリング部材は、開ループを形成する。第1部分10が第1リング部材11を備える場合には、第1リング部材11の外径は、自然状態の第1管状体1の内径よりも多少大きくなるように設定される。その結果、第1リング部材11の外面が、第1管状体1の内面に係合する。代替的に、第1部分10が第1のギャップ付きリング部材を備える場合には、外力が作用していない自然状態における第1のギャップ付きリング部材の外径(すなわち、第1のギャップ付きリング部材上の任意の2点間の距離の最大値)が、自然状態の第1管状体1の内径よりも多少大きくなるように設定される。その結果、第1のギャップ付きリング部材は、弾性力によって、第1管状体1の内面を押圧する。
【0033】
(第2部分20)
第2部分20は、第2リング部材21を備える。第2リング部材21の中心軸は、軸Xである。第2リング部材21は、閉ループを形成している。代替的に、第2部分20は、第2のギャップ付きリング部材を備えていてもよい。第2のギャップ付きリング部材は、例えば、
図3の矢印A2で図示される部分にギャップを備えるリング部材である。第2のギャップ付きリング部材は、開ループを形成する。第2部分20が第2リング部材21を備える場合には、第2リング部材21の外径は、自然状態の第1管状体1の内径よりも多少大きくなるように設定される。その結果、第2リング部材21の外面が、第1管状体1の内面に係合する。代替的に、第2部分20が第2のギャップ付きリング部材を備える場合には、外力が作用していない自然状態における第2のギャップ付きリング部材の外径(すなわち、第2のギャップ付きリング部材上の任意の2点間の距離の最大値)が、自然状態の第1管状体1の内径よりも多少大きくなるように設定される。その結果、第2のギャップ付きリング部材は、弾性力によって、第1管状体1の内面を押圧する。
【0034】
(第3部分30)
第3部分30の環状部分31は、複数の頂部32と複数の底部33とを交互に備える波形円周部である。
図2および
図3から把握されるように、頂部32は、底部33よりも、第2管状体2により深く挿入されることとなる部分である。なお、頂部32および底部33は、それぞれ、波形円周部における変曲部であってもよい。波形円周部の中心軸は、軸Yである。波形円周部は、頂部32と、頂部32と底部33とを連結する第1連結部34Aと、底部33と、底部33と頂部32とを連結する第2連結部34Bの繰り返し構造である。波形円周部は、例えば、端部のない一筆書き形状(unicursal shape)である。
図3に記載の例では、環状部分31が備える波形円周部の数は、1つである。換言すれば、第3部分30において、波形円周部である環状部分31は、他の波形円周部と直接的または間接的に連結されていない。そして、隣接する2つの頂部32を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部34Aと底部33と第2連結部34Bのみである。また、隣接する2つの底部33を互いに連結する連結部材は、当該1つの波形円周部を構成する第1連結部34Aと頂部32と第2連結部34Bのみである。
【0035】
図4には、比較例における吻合用接合子が示されている。
図4に示されるように、波形円周部310が、他の波形円周部に連結されている場合、例えば、第3部分30の根元側部分(第2方向側の部分)を挟持した時に、第3部分30の全体の収縮が不均一になりやすい。特に、第3部分30の根元側部分(第2方向側の部分)を挟持した時に、第3部分30の先端側部分(第2方向と反対方向側の部分)の縮径が不十分となる可能性がある。その結果、第3部分30の先端側部分を、第2管状体2に挿入することが困難となるおそれがある。これに対し、
図3に記載の例では、環状部分31が備える波形円周部の数が1つであるため、第3部分30の根元側部分(第2方向側の部分)を挟持した時に、第3部分30の全体が均一に収縮し易い。特に、第3部分30の根元側部分(第2方向側の部分)を挟持した時に、第3部分30の先端側部分(第2方向と反対方向側の部分)の縮径が十分となる。その結果、第3部分30の第2管状体2への挿入が容易となる。
【0036】
また、
図3に記載の例では、環状部分31(第3部分30)は、第3部分30の径方向(第2方向に垂直な方向であって、第3部分の中心軸Yから外側に向かう方向)に平行な仮想直線T1を囲むように配置された閉ループを備えていない。このため、第3部分30の収縮時に、第3部分30の全体が均一に収縮し易い。これに対し、
図4または
図5に記載の例では、環状部分が、第3部分30の径方向に平行な仮想直線T1を囲むように配置された閉ループ(
図4または
図5に記載の斜線部分が、閉ループ311、311’に該当。)を備える。このため、
図4または
図5に記載の例では、第3部分30の収縮時に、第3部分30の全体の収縮が不均一になりやすい。
【0037】
図3を参照して、第3部分30は、複数の頂部32のうちの少なくとも1つの頂部に連結され、第2方向に平行に延びる細長部材35を備える。細長部材35は、対応する頂部32によって、片持ち状態で支持される。
図3には、8つの細長部材35が示されている。しかし、細長部材35の数は、必ずしも8つである必要はなく、任意である。
【0038】
図3に記載の例では、各細長部材35の遠位端には、第2管状体2の内面と係合可能な係合部36が設けられている。係合部36は、第2管状体2の内面との係合により、第3部分30が、第2管状体2に対して、第2方向側にスライドすることを防止する。各係合部36は、例えば、角部を丸くした矢尻形状(略三角形形状)である。各係合部36は、例えば、平板状の部材によって構成される。各係合部36は、第2管状体2から取り出される方向(第2方向)への取出抵抗が、第2管状体2に挿入される方向(第2方向と反対の方向)への挿入抵抗よりも大きい。このため、第2管状体2への第3部分30の挿入が容易であるとともに、挿入後の第3部分30の第2管状体2に対する位置ずれが防止される。なお、係合部36の形状は、矢尻形状に限定されない。係合部36の形状は、釣り針の返し部のような形状を備えていてもよい(換言すれば、係合部36は、返し部を備えていてもよい。)。
【0039】
(第4部分80)
吻合用接合子5は、任意付加的に、第4部分80を備えていてもよい。第4部分80は、底部33によって片持ち支持され、かつ、第1管状体1の内面に係合可能な部分である。
図3に記載の例では、第4部分80は、1つの底部33に片持ち支持された第1弧状部材80Aと、他の1つの底部33に支持された第2弧状部材80Bとを備える。第1弧状部材80Aと第2弧状部材80Bとは、第3部分30の中心軸Yに対して、互いに対称配置されることが好ましい。吻合用接合子5が第4部分80を備える場合、第1管状体1の孔3に対する第2管状体2の遠位端の位置ずれが、より一層防止される。
【0040】
図3に記載の例では、第1弧状部材80Aの遠位端には、第1管状体1の内面と係合可能な第2係合部81Aが設けられている。また、第2弧状部材80Bの遠位端には、第1管状体1の内面と係合可能な第2係合部81Bが設けられている。第2係合部81A、81Bの形状は、それぞれ、係合部36の形状と同一形状であってもよいし、係合部36の形状と相似形状であってもよいし、係合部36の形状と異なる形状であってもよい。
【0041】
(第1接続部40)
第1接続部40は、第1部分10と第3部分30とを接続する部分である。
図3に記載の例では、第1接続部40は、第1リング部材11(または、第1のギャップ付きリング部材)と、波形円周部の底部33との間に設けられている。第1接続部40は、軸Xに平行に延びる部分を備える。このため、第1部分10が、第1管状体1の孔3から離れた位置にセットされることとなる。その結果、第1管状体1の内部にセットされた第1部分10が、孔3から抜けることが、効果的に抑制される。
図3に記載の例では、第1接続部40は、第1屈曲部41と第2屈曲部42とを備える。
【0042】
(第2接続部50)
第2接続部50は、第2部分20と第3部分30とを接続する部分である。
図3に記載の例では、第2接続部50は、第2リング部材21(または、第2のギャップ付きリング部材)と、波形円周部の底部33との間に設けられている。第2接続部50は、軸Xに平行に延びる部分を備える。このため、第2部分20が、第1管状体1の孔3から離れた位置にセットされることとなる。その結果、第1管状体1の内部にセットされた第2部分20が、孔3から抜けることが、効果的に抑制される。
図3に記載の例では、第2接続部50は、第1屈曲部51と第2屈曲部52とを備える。
【0043】
図6は、実施形態の吻合用接合子5を模式的に示す概略展開図である。
図6において、C1によって示される部分は、実際には、C2によって示される部分と同じ部分である。例えば、
図6の上側(C2上)に記載された係合部36Bは、
図6の下側(C1上)に記載された係合部36Bそのものである。
【0044】
図6に記載の例では、環状部分31(波形円周部)は、8つの頂部32と、8つの底部33とを備える。また、
図6に記載の例では、各頂部32に、細長部材35が連結されている。すなわち、細長部材35の数と、頂部32の数とが等しい。代替的に、細長部材35の数は、頂部32の数より少なくてもよい。すなわち、複数の頂部のうちの少なくとも1つには、細長部材35が設けられず、複数の頂部のうちの少なくとも1つには、細長部材35が設けられるようにしてもよい。
【0045】
(吻合用接合子の製造方法)
次に、
図7乃至
図9を参照して、吻合用接合子の製造方法について説明する。
図7は、吻合用接合子5の製造方法を示すフローチャートである。
図8は、円筒シート体70から吻合用接合子5を切り出すことを模式的に示す図である。
図9は、第1リング部材の形状を真円化し、第2リング部材の形状を真円化することを模式的に示す図である。
【0046】
第1ステップS1において、1つの円筒シート体70が準備される。
図8に示されるように、第2ステップS2において、1つの円筒シート体70から、当該円筒シート体の中心軸に平行な中心軸を備えた第3部分30と、第3部分30に第1接続部40で連結された第1部分10と、第3部分30に第2接続部50で連結された第2部分20(
図8では、図示されていない)とが切り出される。なお、
図8において、第2接続部50と第2部分20とは、円筒シート体70の手前側部分よりも奥側にあるため、図示されていない。なお、
図8に記載の例では、切り出し工程の実行中において、切り出される第1リング部材11(または、第1のギャップ付きリング部材)の中心軸と、円筒シート体70の中心軸とは、互いに垂直である。代替的に、切り出し工程の実行中において、切り出される第1リング部材11(または、第1のギャップ付きリング部材)の中心軸と、円筒シート体70の中心軸とは、互いに一致していてもよい(例えば、後述の
図15を参照。)。
図8には、円筒シート体70に切れ目90が設けられ、第1部分10と第2部分20と第3部分30とが、円筒シート体70から切り出される様子が記載されている。当該切れ目90の形成は、レーザ加工によって行われてもよいし、他の加工法によって行われてもよい。
【0047】
なお、吻合用接合子5が、第4部分80を備える場合には、第2ステップS2において、第4部分80も切り出される。切り出された直後の第4部分80は、底部33から、第3部分30の中心軸に平行に延びる延出部80A、80Bによって構成される。
【0048】
第3ステップS3において、第1リング部材11(または、第1のギャップ付きリング部材)の形状が真円化され、第2リング部材21(または、第2のギャップ付きリング部材)の形状が真円化される。なお、真円化は、厳密な意味での真円化でなくてもよい。本明細書では、真円化とは、例えば、真円化工程後におけるリング部材(または、ギャップ付きリング部材)のアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)が、真円化工程前におけるリング部材(または、ギャップ付きリング部材)のアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)よりも小さいことを意味する。
【0049】
図9には、一例として、第1リング部材11の形状と第2リング部材21の形状とを同時に真円化する様子が示されている。
図9に記載の例では、円筒状の外表面を備えた矯正工具200に、第1リング部材11と第2リング部材21とが挿入されている。
図9に示された状態において、第1リング部材11と第2リング部材21とが加熱され、その結果、第1リング部材11の形状および第2リング部材21の形状が真円化される。なお、加熱は、矯正工具200自体を加熱することによって行われてもよいし、矯正工具200を加熱室内に配置することによって行われてもよい。また、
図9に記載の例では、第1リング部材11の形状と第2リング部材21の形状とが同時に真円化されているが、代替的に、第1リング部材11(または、第1のギャップ付きリング部材)および第2リング部材21(または、第2のギャップ付きリング部材)のうちの一方の形状を真円化し、その後、他方の形状を真円化してもよい。
【0050】
なお、切り出し工程(第2ステップS2)の直後に、既に、リング部材の形状(ギャップ付きリング部材の形状)が、真円に近い場合には、第3ステップS3は、省略されてもよい。
【0051】
第4ステップS4において、第1接続部40において、第1部分10が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。折り曲げの結果、第1部分10の第3部分30に対する相対的な配置は、
図3に示される配置となる。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第4ステップS4の後に、第1接続部40(折り曲げ部)を加熱してもよい。なお、
図3に記載の例では、第1屈曲部41と第2屈曲部42とが、折り曲げ部である。
【0052】
第5ステップS5において、第2接続部50において、第2部分20が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。折り曲げの結果、第2部分20の第3部分30に対する相対的な配置は、
図3に示される配置となる。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第5ステップS5の後に、第2接続部50(折り曲げ部)を加熱してもよい。なお、
図3に記載の例では、第1屈曲部51と第2屈曲部52とが、折り曲げ部である。
【0053】
なお、第5ステップS5は、第4ステップS4よりも前に実行されてもよいし、第4ステップS4よりも後に実行されてもよいし、第4ステップS4と同時に実行されてもよい。
【0054】
なお、吻合用接合子5が、第4部分80(底部33から延びる延出部)を備える場合には、第2ステップS2の実行後に、第4部分80を構成する延出部を塑性変形させて(例えば、加熱することにより塑性変形させて)、弧状部材(第1弧状部材80A、第2弧状部材80B)を形成することが好ましい。弧状部材を形成する工程は、第3ステップS3の前であってもよいし、第3ステップS3の後であってもよいし、第3ステップと同時であってもよい。
【0055】
実施形態における吻合用接合子の製造方法では、吻合用接合子5を、1つの円筒シート体から切り出された1つの部材から製作することができる。換言すれば、実施形態の吻合用接合子において、第1部分10と、第2部分20と、第3部分30とによって構成される形状を、1つの円筒シート体70から切り出された1つの部材から作製可能な形状とすることが可能である。このため、実施形態における吻合用接合子の製造方法では、溶接、溶着等の接合工程が必ずしも必要でない。そして、吻合用接合子の製造が容易である。
【0056】
実施形態における吻合用接合子の製造方法では、円筒シート体70の曲面がそのまま、第3部分の環状部分31の形状として利用される。このため、第3部分の環状部分31については、切り出し後の塑性加工が必ずしも必要でない。
【0057】
なお、上述の実施形態における吻合用接合子の製造方法では、
図8に示されるように、円筒シート体70の第1端側領域70−1から第1部分10および第2部分20が形成され、円筒シート体70の第2端側領域70−2から第3部分30が形成される。その結果、相対的に短い長さの円筒シート体70から、吻合用接合子を製造することが可能となる。なお、第1部分10が切り出される領域と、第2部分20が切り出される領域とは、円筒シート体70の中心軸に対して互いに対称であってもよい。
【0058】
(第1変形例)
図10を参照して、実施形態の第1変形例について説明する。
図10は、実施形態の変形例の吻合用接合子を模式的に示す概略展開図である。なお、第1変形例における各構成要素について、上述の実施形態における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の図番を付す。同一の図番が付された構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0059】
図10に記載の第1変形例は、第1部分10が、リング部材ではなく、ギャップ付きリング部材11’を備える点、および、第2部分20が、リング部材ではなく、ギャップ付きリング部材21’を備える点で、
図2〜3、6〜9に記載の実施形態とは異なる。その他の点では、第1変形例は、
図2〜3、6〜9に記載の実施形態と同様である。
【0060】
図10に記載の例では、ギャップ付きリング部材11’は、第1接続部40と第1部分10との接続点から第1端14Aに向かって延びる弧状部分と、第1接続部40と第1部分10との接続点から第2端14Bに向かって延びる弧状部分とを備える。そして、第1端14Aと第2端14Bとの間にギャップ13が存在する。また、ギャップ付きリング部材21’は、第2接続部50と第2部分20との接続点から第1端24Aに向かって延びる弧状部分と、第2接続部50と第2部分20との接続点から第2端24Bに向かって延びる弧状部分とを備える。そして、第1端24Aと第2端24Bとの間にギャップ23が存在する。
【0061】
なお、第1変形例では、第1部分10と第2部分20の両者が、ギャップ付きリング部材を備えている。代替的に、第1部分10と第2部分20の一方が、リング部材を備え、第1部分10と第2部分20の他方が、ギャップ付きリング部材を備えるようにしてもよい。
【0062】
第1変形例における吻合用接合子5は、上述の実施形態における吻合用接合子と同様の効果を奏する。加えて、ギャップ付きリング部材11’およびギャップ付きリング部材21’は、弾性により自動的に拡径可能である。このため、第1変形例における吻合用接合子は、異なる内径を有する様々な第1管状体1に柔軟に適用可能である。
【0063】
(第2変形例)
図11および
図12を参照して、実施形態の第2変形例について説明する。
図11および
図12は、実施形態の第2変形例の吻合用接合子を模式的に示す概略展開図である。なお、第2変形例における各構成要素について、上述の実施形態における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の図番を付す。同一の図番が付された構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0064】
図11および
図12に記載の第2変形例は、第1接続部40に関する構成、および、第2接続部50に関する構成において、
図2〜3、6〜9に記載の実施形態とは異なる。
図11および
図12に記載の例では、第1接続部40が、接続部40Aおよび接続部40Bを備え、第2接続部50が、接続部50Aおよび接続部50Bを備えている。なお、第2変形例における吻合用接合子5において、第1リング部材11が、矢印D3で示される箇所および矢印D4で示される箇所で切断されてもよい。また、第2変形例における吻合用接合子5において、第2リング部材21が、矢印D1で示される箇所および矢印D2で示される箇所で切断されてもよい。
図12に、第1リング部材11が、矢印D3で示される箇所および矢印D4で示される箇所で切断され、第2リング部材21が、矢印D1で示される箇所および矢印D2で示される箇所で切断された後の吻合用接合子5が示されている。
【0065】
なお、
図11および
図12には、底部33によって片持ち支持された第1弧状部材80Aおよび第2弧状部材80B(
図6を参照)が記載されていない。しかし、第2変形例における吻合用接合子5は、底部33によって片持ち支持された第1弧状部材80Aおよび第2弧状部材80Bを備えていてもよい。
【0066】
(第3変形例)
図13および
図14を参照して、実施形態の第3変形例について説明する。
図13は、実施形態の第3変形例の吻合用接合子を模式的に示す概略展開図である。なお、第3変形例における各構成要素について、上述の実施形態における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の図番を付す。同一の図番が付された構成要素についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0067】
図13に記載の第3変形例は、第1部分10の構成、第2部分20の構成、第1接続部40に関する構成、および、第2接続部50に関する構成において、
図2〜3、6〜9に記載の実施形態とは異なる。
【0068】
図13に記載の例では、第1部分10は、第1リング部材11’’を備える。代替的に、第1部分10は、第1のギャップ付きリング部材を備えていてもよい。この場合、第1部分10は、矢印E1で示される箇所が切断され、矢印E1で示される箇所にギャップを形成すればよい。第1部分10は、第1接続部40を介して、第3部分30の底部33に連結されている。
図13に示される状態から、第1屈曲部41において、第1部分10を第3部分30に対して相対的に折り曲げる。その結果、
図3に示される第1部分10と第3部分30との間の配置関係が得られる。なお、
図13に記載の例では、第1接続部40の遠位端側には屈曲部(第2屈曲部)を設ける必要がない。すなわち、
図13において、符号42’で示される部分を折り曲げる必要はない。
【0069】
図13に記載の例では、第2部分20は、第2のギャップ付きリング部材21’’を備える。
図13には、第2のギャップ付きリング部材21’’のギャップ23が図示されている。第2部分20は、第2接続部50を介して、第3部分30の底部33に連結されている。
図13に示される状態から、第1屈曲部51において、第2部分20を第3部分30に対して相対的に折り曲げる。その結果、
図3に示される第2部分20と第3部分30との間の配置関係が得られる。なお、
図13に記載の例では、第2接続部50の遠位端側には屈曲部(第2屈曲部)を設ける必要がない。すなわち、
図13において、符号52’で示される部分を折り曲げる必要はない。なお、
図13に記載の例では、第1接続部40の長さが第2接続部50の長さよりも長い。
【0070】
第3変形例における吻合用接合子5は、上述の実施形態における吻合用接合子と同様の効果を奏する。
【0071】
次に、
図14および
図15を参照して、第3変形例における吻合用接合子5の製造方法について説明する。
図14は、吻合用接合子5の製造方法を示すフローチャートである。
図15は、円筒シート体70から吻合用接合子5を切り出すことを模式的に示す図である。
【0072】
第1ステップS1において、1つの円筒シート体70が準備される。
図15に示されるように、第2ステップS2において、1つの円筒シート体70から、当該円筒シート体の中心軸に平行な中心軸を備えた第3部分30と、第3部分30に第1接続部40で連結された第1部分10と、第3部分30に第2接続部50(
図15には、図示されず)で連結された第2部分20とが切り出される。なお、
図15において、第2接続部50は、円筒シート体70の手前側部分よりも奥側にあるため、図示されていない。なお、
図15に記載の例では、切り出し工程の実行中において、切り出される第1リング部材11’’(または、第1のギャップ付きリング部材)の中心軸と、円筒シート体70の中心軸とは、互いに一致している。また、切り出し工程の実行中において、切り出される第2のギャップ付きリング部材21’’の中心軸と、円筒シート体70の中心軸とは、互いに一致している。
【0073】
なお、吻合用接合子5が、第4部分80を備える場合には、第2ステップS2において、第4部分80も切り出される。切り出された直後の第4部分80は、底部33から、第3部分30の中心軸に平行に延びる延出部80A、80Bによって構成される。
【0074】
図14および
図15に記載の例では、第1リング部材11’’(または、第1のギャップ付きリング部材)は、円筒シート体70の周方向に沿って切り出される。その結果、第1リング部材11’’(または、第1のギャップ付きリング部材)の形状は、真円に近い。また、第2のギャップ付きリング部材21’’は、円筒シート体70の周方向に沿って切り出される。その結果、第2のギャップ付きリング部材21’’の形状は、真円に近い。このため、
図14および
図15に記載の例では、リング部材(または、ギャップ付きリング部材)の形状を真円化する工程を省略することが可能である。
【0075】
第3ステップS3において、第1接続部40において、第1部分10が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。折り曲げの結果、第1部分10の第3部分30に対する相対的な配置は、
図3に示される配置となる。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第3ステップS3の後に、第1接続部40(折り曲げ部)を加熱してもよい。なお、
図13乃至
図15に記載の例では、第1屈曲部41のみが、折り曲げ部である。
【0076】
第4ステップS4において、第2接続部50において、第2部分20が第3部分30に対して相対的に折り曲げられる。折り曲げの結果、第2部分20の第3部分30に対する相対的な配置は、
図3に示される配置となる。なお、折り曲げ後の形状を固定化するために、第4ステップS4の後に、第2接続部50(折り曲げ部)を加熱してもよい。なお、
図13乃至
図15に記載の例では、第1屈曲部51のみが、折り曲げ部である。
【0077】
なお、第4ステップS4は、第3ステップS3よりも前に実行されてもよいし、第3ステップS3よりも後に実行されてもよいし、第3ステップS3と同時に実行されてもよい。
【0078】
なお、吻合用接合子5が、第4部分80(底部33から延びる延出部)を備える場合には、第2ステップS2の実行後に、第4部分80を構成する延出部を塑性変形させて(例えば、加熱することにより塑性変形させて)、弧状部材(第1弧状部材80A、第2弧状部材80B)を形成することが好ましい。弧状部材を形成する工程は、第3ステップS3および第4ステップS4の前であってもよいし、第3ステップS3および第4ステップS4の後であってもよい。
【0079】
第3変形例における吻合用接合子の製造方法では、円筒シート体70の曲面がそのまま、第1部分10、第2部分20、および、第3部分30の形状として利用される。このため、第1部分10、第2部分20、第3部分30について、切り出し後の塑性加工が必ずしも必要でない。
【0080】
なお、上述の実施形態における吻合用接合子の製造方法では、
図15に示されるように、円筒シート体70の第1端側領域70−1から第1部分10および第2部分20が形成され、円筒シート体70の第2端側領域70−2から第3部分30が形成される。その結果、相対的に短い長さの円筒シート体70から、吻合用接合子を製造することが可能となる。なお、
図15を参照して、円筒シート体70の第1端側領域70’−1から第1部分10が形成され、円筒シート体70の第2端側領域70−2から第3部分30が形成され、第1端側領域70’−1と第2端側領域70−2との間の領域70−3から第2部分20が形成されると言うこともできる。
【0081】
(吻合用接合子のサイズの一例)
次に、
図16を参照して、吻合用接合子のサイズの一例を示す。外力が作用しない自然の状態における環状部分31(波形円周部)の第2方向に沿った長さL1は、例えば、2mm以上8mm以下である。長さL1が2mm未満であると、拡張時の径が不足し、吻合用接合子5の第1管状体1への係合が不十分となるおそれがある。長さL1が8mm超であると、第1管状体1と第2管状体2との接合部の近傍において、第2管状体2の屈曲性が損なわれるおそれがある。
【0082】
細長部材35の長さL2は、例えば、例えば、0.5mm以上3mm以下である。長さL2が0.5mm未満であると、吻合用接合子5の第1管状体への係合が不十分となるおそれがある。長さL2が3mm超であると、第1管状体と第2管状体との接合部の近傍において、第2管状体2の屈曲性が損なわれるおそれがある。
【0083】
各係合部(係合部36、第2係合部81A、81B)の長さL3は、例えば、0.15mm以上0.6mm以下である。係合部の面積が大きすぎると、当該係合部が管状体を押圧する単位面積当たりの押圧力が不足し、吻合用接合子5が管状体に対して滑るおそれがある。また、係合部の面積が小さすぎると、当該係合部が、管状体に係合する部分として機能しなくなるおそれがある。
【0084】
折り曲げ加工前において、第1接続部40の長さ(
図16の第2方向に沿った長さ)は、例えば、1mm以上6mm以下である。また、折り曲げ加工前において、第2接続部50の長さ(
図16の第2方向に沿った長さ)は、例えば、1mm以上6mm以下である。
【0085】
外力が作用しない自然の状態における第3部分30の外径は、例えば、2mm以上4mm以下である。
【0086】
なお、実施形態に係る吻合用接合子は、任意の生体適合性材料(例えば、超弾性特性を有し、かつ、形状記憶合金であるニッケルチタン合金を用いてもよいし、生体組織によって吸収される生体吸収性材料を用いてもよい。)によって構成されてもよい。
【0087】
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は変形例にも適用可能である。