特開2017-148768(P2017-148768A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社幸袋テクノの特許一覧

<>
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000003
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000004
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000005
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000006
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000007
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000008
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000009
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000010
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000011
  • 特開2017148768-異物分離装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-148768(P2017-148768A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】異物分離装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/04 20060101AFI20170804BHJP
   B07B 13/14 20060101ALI20170804BHJP
   B07B 13/18 20060101ALI20170804BHJP
   B65G 15/42 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   B07B13/04 C
   B07B13/14
   B07B13/18
   B65G15/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-35430(P2016-35430)
(22)【出願日】2016年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】503110266
【氏名又は名称】株式会社幸袋テクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】吉見 偉雄
(72)【発明者】
【氏名】祖田 強
(72)【発明者】
【氏名】末廣 隆之
(72)【発明者】
【氏名】川崎 尭
【テーマコード(参考)】
3F024
4D021
【Fターム(参考)】
3F024CA04
3F024DA02
3F024DA04
4D021JA01
4D021JA13
4D021JB02
4D021JB03
4D021KA06
4D021KB05
4D021LA20
4D021MA08
(57)【要約】
【課題】 廃棄物中に含まれる異物、特に細長い異物等が含まれていても、適切に分離し得る異物分離装置を提供すること。
【解決手段】 コンベアベルト3の上面に複数の突起6を千鳥状に配列し、隣接する各突起6の間隔は原料Sが各突起6間を通過して下方に転動し得る間隔であって、かつ、異物Qの長さよりも短い間隔として異物Qの通過を阻止し得るように構成し、コンベアベルト3における廃棄物の投入位置4の裏面側に、廃棄物の落下の衝撃を和らげる緩衝機構7を設けると共に、コンベアベルト3における裏面側に、コンベアベルト3を振動させる振動機構8を設け、かつ投入位置4より上流側において、コンベアベルト3の上方位置に異物の下方への転動を阻止する異物落下防止ブラシ9を固定することにより異物分離装置を構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に走行する傾斜したベルトコンベア機構のコンベアベルトの上面に、所定高さから廃棄物を投入し、上記コンベアベルトと共に該コンベアベルト上端方向に上昇する異物と、上記コンベアベルトの上面を転動して該コンベアベルト下端方向に下降する原料とに分離する異物分離装置において、
上記コンベアベルトの上記上面に複数の突起が、上記コンベアベルトの長手方向に沿って連続的に配列され、
左右に隣接する上記各突起の間隔は、上記原料が上記各突起の間を通過して下方に転動し得る間隔であって、かつ、異物の長さよりも短い間隔であって当該異物の通過を阻止し得るように構成され、
上記コンベアベルトにおける上記廃棄物の投入部位置の裏面側に、上記廃棄物の落下の衝撃を和らげる緩衝機構が設けられていると共に、
上記コンベアベルトにおける上記裏面側に、上記コンベアベルトを振動させる振動機構が設けられ、
かつ上記投入部位置より上流側において、上記コンベアベルトの上方位置に異物落下防止ブラシが設けられているものであることを特徴とする異物分離装置。
【請求項2】
上記複数の突起は、一単位が上記コンベアベルトの進行方向に直交する一列の配列であり、該一列の配列が上記コンベアベルトの長手方向に沿って所定間隔を以って連続的に配置されているものである請求項1記載の異物分離装置。
【請求項3】
上記複数の突起は、一単位が「V」字状の配列であり、該「V」字状の配列が上記コンベアベルトの長手方向に沿って連続的に配置されているものである請求項1記載の異物分離装置。
【請求項4】
上記突起の「V」字状の配列が上記コンベアベルトの長手方向に所定数連続して配置され、その後方位置に、上記突起の存在しない一定長さの空白領域が設けられ、その後方位置に、再び上記突起の「V」字状の配列が所定数連続して配置され、
上記「V」字状の配列と上記空白領域が交互に連続的に設けられているものである請求項3記載の異物分離装置。
【請求項5】
上記緩衝機構は、上記コンベアベルトの裏面側にコンベアベルト幅方向に配置され、外周面に上記コンベアベルトの裏面側に接する弾性体を被覆された緩衝ローラにより構成されたものである請求項1〜4の何れかに記載の異物分離装置。
【請求項6】
上記振動機構は、上記コンベアベルトの裏面側にベルト幅方向に配置され、外周面に上記コンベアベルトの裏面側に接する軸方向の複数の突条を有している振動ローラにより構成されたものである請求項1〜5の何れかに記載の異物分離装置。
【請求項7】
上記振動ローラは、上記コンベアベルトの裏面に接して上記コンベアベルトの進行に追従して回転する振動ローラ、及び/又は、駆動モータにより強制的に回転駆動する振動ローラにより構成されているものである請求項6に記載の異物分離装置。
【請求項8】
上記ベルトコンベア機構を傾斜状態で設置するための機枠が設けられると共に、上記機枠の下端部に高さ調整機構が設けられ、上記高さ調整機構により上記機枠の高さを調整可能とすることにより、上記ベルトコンベア機構の傾斜角度を変更し得るように構成したものである請求項1〜7の何れかに記載の異物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石、砕石等の固形産業廃棄物中に含まれる異物を除去するための異物分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、異物を含む固形物からなる産業廃棄物を傾斜ベルトコンベア上に投入し、傾斜ベルトコンベアの走行に応じて、比較的重量のある有用な物(鉱石、砕石、かん、瓶等)はベルトコンベアを下降させ、軽量の異物(電気コード等)はベルトコンベアを上昇させることにより、異物を選別する装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、固形の産業廃棄物を傾斜ベルトコンベアに投入し、廃棄物の重量に応じて、ベルトコンベア上の異なる軌跡を斜めに通過させることにより、軽量物、中量物、重量物を選別する装置が提案されている(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−232297号公報
【特許文献2】特開平7−116609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の装置は、上昇するベルトコンベア上に廃棄物を落下させるものであるが、例えば細長い異物であっても、転動性のあるもの(例えば円柱状のパイプ等)は、傾斜ベルトコンベアを転動下降して、有用物と共に下方の移送コンベア上に落下するおそれがあり、その選別の正確性に課題がある。
【0006】
また、特許文献2の装置は、傾斜ベルトコンベア上に設けられたボールにより仕切られた軌跡を、廃棄物の重量に応じて通過させる構成であり、廃棄物の形状が転動性の高い塊状のものであれば良いが、転動性の低い廃棄物、例えば細長い物等はボールに引っ掛かって適切な軌跡を通過せず、選別性が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、廃棄物中に含まれる異物、特に細長い異物等が含まれていても、適切に分離し得る異物分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、上方に走行する傾斜したベルトコンベア機構のコンベアベルトの上面に、所定高さから廃棄物を投入し、上記コンベアベルトと共に該コンベアベルト上端方向に上昇する異物と、上記コンベアベルトの上面を転動して該コンベアベルト下端方向に下降する原料とに分離する異物分離装置において、上記コンベアベルトの上記上面に複数の突起が、上記コンベアベルトの長手方向に沿って連続的に配列され、左右に隣接する上記各突起の間隔は、上記原料が上記各突起の間を通過して下方に転動し得る間隔であって、かつ、異物の長さよりも短い間隔であって当該異物の通過を阻止し得るように構成され、上記コンベアベルトにおける上記廃棄物の投入部位置の裏面側に、上記廃棄物の落下の衝撃を和らげる緩衝機構が設けられていると共に、上記コンベアベルトにおける上記裏面側に、上記コンベアベルトを振動させる振動機構が設けられ、かつ上記投入部位置より上流側において、上記コンベアベルトの上方位置に異物落下防止ブラシが設けられているものであることを特徴とする異物分離装置により構成される。
【0009】
このように構成すると、例えば塊状の原料と細長い異物又は扁平な異物からなる廃棄物をコンベアベルト上に投入すると、コンベアベルト上に落下した廃棄物は緩衝機構によって不要な振動(跳ね返り)を抑制されると共に、振動機構によるコンベアベルトの規則的な振動によりコンベアベルト上を上下に振動させられ、これにより廃棄物中の原料と異物が効率的に分離される。塊状の原料は、傾斜したコンベアベルト上において、突起と突起の間を通過しながら下方に転動し、下方に落下させ、異物は突起と突起の間に引っ掛かる為、コンベアベルトと共に上方に上昇する。従って、廃棄物中の原料と異物を効率的に分離し、ベルトコンベア機構の下端側に原料を移送し、ベルトコンベア機構の上端側に異物を移送することができる。コンベアベルト上には複数の突起を配置しているので、細長い異物と原料を効率的に分離することができる。仮に異物が転動して上流側に移行したとしても、上流側の異物落下防止ブラシに当接してそれ以上の下降を阻止することができ、異物落下防止ブラシに当接した異物は上記突起に引っ掛かることにより、上方に移動させることができる。
【0010】
第2に、上記複数の突起は、一単位が上記コンベアベルトの進行方向に直交する一列の配列であり、該一列の配列が上記コンベアベルトの長手方向に沿って所定間隔を以って連続的に配置されているものである上記第1記載の異物分離装置により構成される。
【0011】
このように構成すると、2つの突起がコンベアベルトの進行方向に直交する方向に同一高さで配列されているので(例えば図10参照)、上記2つの突起に異物を安定して引っ掛けることが可能となる。
【0012】
第3に、上記複数の突起は、一単位が「V」字状の配列であり、該「V」字状の配列が上記コンベアベルトの長手方向に沿って連続的に配置されているものである上記第1記載の異物分離装置により構成される。
【0013】
このように構成すると、塊状の原料をコンベアベルトの下端方向に容易に転動させることができるし、比較的細長い異物については、突起に容易に係止させて、上昇させることができ、廃棄物中の原料と異物を効率的に分離することができる。
【0014】
第4に、上記突起の「V」字状の配列が上記コンベアベルトの長手方向に所定数連続して配置され、その後方位置に、上記突起の存在しない一定長さの空白領域が設けられ、その後方位置に、再び上記突起の「V」字状の配列が所定数連続して配置され、上記「V」字状の配列と上記空白領域が交互に連続的に設けられているものである上記第3記載の異物分離装置により構成される。
【0015】
このように構成すると、上記空白領域において、原料の転動速度を加速することができるため、比較的転動性の悪い原料であっても、当該原料と異物とを確実に分離することができる。
【0016】
第5に、上記緩衝機構は、上記コンベアベルトの裏面側にコンベアベルト幅方向に配置され、外周面に上記コンベアベルトの裏面側に接する弾性体を被覆された緩衝ローラにより構成されたものである上記第1〜4の何れかに記載の異物分離装置により構成される。
【0017】
このように構成すると、廃棄物の投入部に対応するコンベアベルトの裏面に、上記緩衝ローラを配置することにより、コンベアベルトの走行、及び、廃棄物の分離動作を邪魔することなく、投入部からコンベアベルト上に投入された廃棄物の不要な振動を抑制し得るものである。
【0018】
第6に、上記振動機構は、上記コンベアベルトの裏面側にベルト幅方向に配置され、外周面に上記コンベアベルトの裏面側に接する軸方向の複数の突条を有している振動ローラにより構成されたものである上記第1〜の何れかに記載の異物分離装置により構成される。
【0019】
このように構成すると、例えば、緩衝機構に隣接して、コンベアベルトの裏面側に振動ローラを設けることにより、廃棄物を規則的に振動させて、コンベアベルト上において、原料と異物を適切に分離することができる。
【0020】
第7に、上記振動ローラは、上記コンベアベルトの裏面に接して上記コンベアベルトの進行に追従して回転する振動ローラ、及び/又は、駆動モータにより強制的に回転駆動する振動ローラにより構成されているものである上記第6に記載の異物分離装置により構成される。
【0021】
このように構成すると、例えば、投入部の下流側には強制的に回転駆動される振動ローラを設け、投入位置からコンベアベルト上を上昇しても依然として原料と異物が分離していない場合に、コンベアベルトを大きく振動させて当該位置にて原料と異物を確実に分離させると共に、投入位置より上流側では、追従して回転する振動ローラを設けて、コンベアベルトを比較的小さく振動させて、原料と異物との分離を促進することにより、廃棄物中の原料と異物の分離を効率的に行うことができる。
【0022】
第8に、上記ベルトコンベア機構を傾斜状態で設置するための機枠が設けられると共に、上記機枠の下端部に高さ調整機構が設けられ、上記高さ調整機構により上記機枠の高さを調整可能とすることにより、上記ベルトコンベア機構の傾斜角度を変更し得るように構成したものである上記第1〜7の何れかに記載の異物分離装置により構成される。
【0023】
このように構成すると、例えばベルトコンベア機構の上下部を高さの異なる2つの機枠に載置することにより、上記機枠によりベルトコンベア機構を所定角度の傾斜状態で設置することができる。また、上記機枠の下端部に高さ調整機構として、例えば複数のブロック体を重ねておくことで、上記ブロック体の枚数を変化させることにより、ベルトコンベア機構の傾斜角度を変化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば塊状の原料と比較的細長い異物又は扁平な異物を含む廃棄物を、上記原料と異物に効率的に分離することができる。即ち、塊状の原料は、傾斜したコンベアベルト上において、突起と突起の間を通過しながら転動し、下方に落下させ、異物は突起と突起の間に引っ掛けて、コンベアベルトと共に上方に上昇させることができ、従って、廃棄物中の原料と異物とを効率的に分離することができるものである。
【0025】
また、異物を突起に引っ掛けて上昇させるため、ベルトコンベア機構の傾斜角度を大きく(急傾斜)にとることができ、結果として原料が転動し易くなり、原料と異物の分離効率を容易に向上させることができる。
【0026】
また、塊状の原料をコンベアベルトの下端方向に容易に転動させることができるし、比較的細長い異物については、突起に容易に係止させて、上昇させることができ、廃棄物中の原料と異物を効率的に分離することができる。
【0027】
また、コンベアベルト上に設けた突起の空白領域において、原料の転動速度を加速することができ、比較的転動性の悪い原料であっても、当該原料と異物とを確実に分離することができる。
【0028】
また、廃棄物の投入部に対応するコンベアベルトの裏面に、上記緩衝ローラを配置することにより、コンベアベルトの走行、及び、廃棄物の分離動作を邪魔することなく、投入部からコンベアベルト上に投入された廃棄物の不要な振動を抑制し得るものである。
【0029】
また、例えば、緩衝機構に近接して、コンベアベルトの裏面側に振動ローラを設けることにより、廃棄物を規則的に振動させて、コンベアベルト上において、原料と異物を適切に分離することができる。
【0030】
また、強制的に回転駆動される振動ローラを設けてコンベアベルトを大きく振動させることができ、追従して回転する振動ローラを設けてコンベアベルトを比較的小さく振動させることができ、これらの振動ローラを適宜配置することにより、廃棄物中の原料と異物の分離を効率的に行うことができる。
【0031】
また、ベルトコンベア機構の傾斜角度を変化させることが可能となり、例えば転動性の悪い原料の場合は、ベルトコンベア機構自体の傾斜角度を大きくする等により、分離効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る異物分離装置の一部断面側面図である。
図2】同上分離装置の平面図である。
図3】同上分離装置のベルトコンベア機構の側面図である。
図4】同上分離装置の振動ローラの側面図である。
図5】同上分離装置の廃棄物搬送用コンベアの側面図である。
図6】同上分離装置のコンベアベルトの斜視図である。
図7】同上分離装置のコンベアベルトの一部平面図である。
図8】同上分離装置の他の実施形態のコンベアベルトの斜視図である。
図9】同上分離装置の他の実施形態のコンベアベルトの一部平面図である。
図10】同上分離装置の他の実施形態のコンベアベルトの一部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る異物分離装置について詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明において、廃棄物としての鉱石、砕石、固形産業廃棄物中に含まれる異物、特に細長いもの(例えば針金、電気コード、切断された鉄筋、円柱状のパイプ等)、或いは、細長く扁平なもの(切断された鉄板片、モルタル片等)を、比較的転動性の良い塊状の鉱石、砕石、固形産業廃棄物と分離することを目的とする。上記鉱石、砕石、固形産業廃棄物は、分離した後、各種材料として再利用されるものであり、上記異物は再利用されることなく廃棄されるものである。
【0035】
そこで、以下、「廃棄物」の内、再利用される上記鉱石、砕石、固形産業廃棄物等を「原料S」、廃棄される上記針金、電気コード、鉄筋、鉄板片、モルタル片等を「異物Q」という。
【0036】
また、以下の説明において、図1の傾斜したベルトコンベア機構2の中央の投入位置4を中心として、低位置の始端部を「下端」、始端部側を「下方」、「上流」、「前方」といい、高位置の終端部を「上端」、終端部側を「上方」、「下流」、「後方」という。また、コンベアベルト3に直交する方向を「上下方向」といい、コンベアベルト3の進行方向(矢印A方向)を「長手方向」、「進行方向」等といい、コンベアベルト3の進行方向に直交する方向を「幅方向」、「左右方向」等という。
【0037】
図1に異物分離装置1の全体構成を示し、まずは全体構成を説明する。同図において、上方(矢印A方向)に走行し得る傾斜したベルトコンベア機構2のコンベアベルト3の上面3’の投入位置4に、所定高さに設けた廃棄物搬送用コンベア20の先端の投入部5から廃棄物を投入し、上記コンベアベルト3上面3’に落下した廃棄物の内、上記コンベアベルト3と共に該コンベアベルト3上端3a方向に上昇する異物と、上記コンベアベルト3の上面を転動して該コンベアベルト2下端3b方向に下降する原料とに分離するように構成される。
【0038】
上記コンベアベルト3の上記上面3’には、図6に示すような弾性体からなる複数の突起6を、上記コンベアベルト3の長手方向に沿って千鳥状に連続的に配列し、隣接する上記各突起の間隔t1,t2は(図7参照)、上記原料Sが上記各突起6の間を通過して下方に転動し得る間隔であって、かつ、異物Qの長さよりも短い間隔であって当該異物の通過を阻止し得るように構成する。従って、原料Sは上記突起6,6の間を下方に転動し、異物Qは上記突起6,6に引っ掛かって上方に搬送されるように構成されている。
【0039】
上記コンベアベルト3における上記廃棄物の投入部5の位置の裏面3”側に、上記廃棄物の落下の衝撃を和らげる緩衝機構7が設けられており、さらに、上記コンベアベルト3における上記裏面3”側に、上記コンベアベルト3を振動させる振動機構8を設け、上記緩衝機構7によって上記コンベアベルト3上に落下する廃棄物の衝撃を吸収して不要な跳ね返りを抑止すると共に、上記振動機構8の振動によって廃棄物を上下に振動させることにより、原料と異物を分離させるものである。
【0040】
さらに、上記投入部5位置より上流側において、上記コンベアベルト3の上方位置に異物落下防止ブラシ9(トラップ装置)を固定し、該異物落下防止ブラシ9はそのブラシ部9aの下縁9a’(図6参照)が上記コンベアベルト3の上面3’に近接又は接触するように設けられており、上記各突起6に引っ掛からずに下方に落ちようとする異物を堰き止めて、上記突起6に係止させ、上昇させる機能を有するものである。これにより異物の回収効率を向上させるものである。
【0041】
上記コンベア機構2は、上端のヘッドプーリ10を軸支する上端フレーム11と、下端のテールプーリ12を軸支する下端フレーム13と、上記上端フレーム11と上記下端フレーム13を接続するものであり、上記緩衝機構7、上記振動機構8を支持する直線フレーム14,14’(図2参照)とを具備しており、上記ヘッドプーリ10と上記テールプーリ12との間に上記コンベアベルト3が張設されている。
【0042】
そして上記上端フレーム11の下部は当該コンベア機構2を傾斜状態で支持するための背の高い上側機枠25上に固定されており、上記下端フレーム13の下部は背の低い下側機枠26上に固定されており、これにより当該コンベア機構2は、水平面より約30度傾斜した状態で上記両機枠25,26上に固定されている。
【0043】
上記上端フレーム11にはコンベアベルト3に直交する方向の門型フレーム11aが固定されており、当該門型フレーム11aの上面には駆動モータM1が固定されている。そして、当該駆動モータM1の駆動軸に接続されたプーリ16と、上記ヘッドプーリ10間に張設された駆動ベルト18を介して、当該コンベアベルト3は当該駆動モータM1の駆動によって矢印A方向に回転駆動されるものである。
【0044】
図2図5に示すように、上記廃棄物搬送用コンベア20は、上記コンベアベルト3とは直交する方向であって、その投入部5が、上記ベルトコンベア機構2の中間部の上方に位置するように、機枠21上に上り傾斜状態に固定設置されている。従って、廃棄物は、当該廃棄物搬送用コンベア20のコンベアベルト29上を上方(矢印B方向)に搬送され、その上端の投入部5から上記コンベアベルト3上に落下供給されるように構成されている。
【0045】
尚、上記左右の直線フレーム14,14’(図2参照)における上記コンベアベルト3の両端部には、コンベアベルト3の上面3’より上方に突出する落下防止用の左右スカート14a,14a’が設けられている。これにより、投入部5からコンベアベルト3上に投入された廃棄物の外部への漏れを防止する。
【0046】
上記コンベアベルト3の上記突起6は、図6図7に示すように、5個の突起6から構成された「V」字状の配列からなる一単位の配列Pを、「V」字の先端がコンベアベルト3の下側を向くように、上記コンベアベルト3の長手方向に沿って連続的に配置し、前後に配列された各突起6は相互に千鳥状に配列されるように、位置を前後、左右にずらして配列されている。また、ベルトコンベア3の中心には長手方向に一直線状に突起6が配列されている。
【0047】
そして、上記千鳥状に配列される突起6の左右方向は、上記間隔t1,t2を設けることで、上記原料が下降し得るように構成し、また、コンベアの進行方向(コンベアの長手方向)には、各突起6間は一定の間隔Tとなるように構成している(図7参照)。
【0048】
このように構成することにより、転動性の良い塊状の原料Sは、コンベアベルト3の上記突起6,6間を通過して下方に落下して行き、扁平の異物Qは、上記突起6,6間に引っ掛かり、コンベアベルト3によって上方に移送され、これにより原料と異物を効率的に分離することができる。
【0049】
図6に示すように、上記異物落下防止ブラシ9は、本体は硬質体の板状体とその下部に設けられたブラシ部9aにより構成され、上記コンベア機構2の下端のテールプーリ―12側のベルト上面に垂直に固定されている。この異物落下防止ブラシ9の上記下部は、ゴム板等の弾性体板、或いは、弾性体によるすだれ状部材(ブラシ部9a)により構成されており、当該ブラシ部9aの下縁9a’が上記突起6の上端6’に接触する位置、或いは、コンベアベルト3の上面3’に接触する位置又は近接する位置に固定されている。この異物落下防止ブラシ9は、直線フレーム14,14’間に門型のフレームを設け、当該フレームに固定することができる。尚、上記ブラシの概念には、所謂すだれ状のものに限らず、比較的柔らかい板状の弾性体板をも含む。
【0050】
これにより、仮に、上記突起6の上を転動して下降してくる異物があったとしても、当該異物落下防止ブラシ9により堰き止められるため、堰き止められた状態において、上昇移動するコンベアベルト3の突起6間に引っ掛かり、結果として、上記突起6によって上方に移送されるように構成している。
【0051】
上記緩衝機構7は、上記コンベアベルト3の裏面3”側に、コンベアベルト3の幅方向に配置され、図3に示すように、外周面に上記裏面3”に接する複数の弾性体22’を被覆された一対の緩衝ローラ22,22により構成されている。これらの緩衝ローラ22は、その中心軸22a,22a(図2参照)を左右の上記直線フレーム14,14’に回転自在に軸支され、そのローラ外周面の弾性体22’が上記コンベアベルト3の裏面3”に接触した状態となっている(図6参照)。
【0052】
また、これらの緩衝ローラ22,22は、上記投入部5の下方のコンベアベルト3の裏面3”に位置するように構成されている。即ち、上記投入部5から廃棄物が投入され、コンベアベルト3に落下するとき、当該落下の衝撃を緩和して、廃棄物の不規則な跳ね返りを防止し、上記振動機構8の規則的な振動により、原料と異物の効率的な分離を促進させるためである。また、これらの緩衝ローラ22,22は上記コンベアベルト3の裏面3”の損傷を抑制する機能をも有している。
【0053】
上記緩衝ローラ22,22は、その左右方向の長さ(幅)は上記ベルトコンベア3の幅と同一であり、ローラ表面に被覆される弾性体は、例えばゴム紐を上記ローラ22の外周全体に隙間なく巻き付けること、或いは、筒状の弾性体を上記ローラ22の外周に嵌合すること等により構成することができる。この緩衝ローラ22,22は上記コンベアベルト3の裏面3”に接しているため、コンベアベルト3の矢印A方向に走行により、図3の矢印C方向に回転するものである。
【0054】
上記振動機構8は、上記コンベアベルト3の裏面3”側にベルト幅方向に配置された振動ローラ23a〜23dであって(図3参照)、外周面に上記裏面3”側に接する軸方向の複数の円筒状の突条24を有しているものである(図4参照)。
【0055】
具体的には、上記緩衝ローラ22の上流側に2個の振動ローラ23a,23bが上記直線フレーム14,14’に回転自在に軸支され、上記緩衝ローラ22,22の下流側に振動ローラ23c,23dが上記直線フレーム14,14’に回転自在に軸支されている。
【0056】
上記各振動ローラの内、上記振動ローラ23cのみは、直線フレーム14上に固定された駆動モータM2(図1参照)により矢印C方向に強制的に回転駆動される(強制振動ローラ23c)。各振動ローラ23a〜23dは何れも、外周面に軸方向の5本の突条24が、外周方向に一定角度(角度72度ずつ隔てて)固定されており、当該突条24が上記コンベアベルト3の上記裏面3”に接触している(図4参照)。
【0057】
従って、上記振動ローラ23cが矢印C方向に回転駆動されると、上記複数の突条24が上記コンベアベルト3の裏面3”に順次接触することにより、コンベアベルト3に対して上下方向(図4のI,I’方向)の振動を与えることができるように構成されている。また、他の振動ローラ23a,23b,23d(追従振動ローラ)は、各々の突条24が上記コンベアベルト3の裏面3”に接触しているため、コンベアベルト3の矢印A方向の走行により、矢印C方向に追従して回転駆動されるが、このとき、各突出条24が上記コンベアベルト3の裏面3”に当接するため、上記コンベアベルト3における上記振動ローラ23a,23bの位置、及び、上記振動ローラ23dの位置においても、コンベアベルト3に対して上下方向の振動を与えることができる。
【0058】
上記突条24の円筒の直径は、上記駆動モータM2にて駆動される振動ローラ23cの突条24が最も大きく、他の3つの振動ローラ23a,23b,23dの突条24の円筒の直径は上記振動ローラ23cの直径よりも若干小さく形成されている。従って、上記コンベアベルト3の振動は、上記振動ローラ23c近傍では最も大きな振幅にて振動し、上記振動ローラ23a,23b,23dの位置では比較的小さい振幅にて振動する。従って、上記コンベアベルト3の矢印A方向に進行する往路側は、緩衝ローラ22,22の上流側と下流側において、全体として上下方向に規則的に振動し、特に、上記振動ローラ23c近傍においては、他の位置と比較して大きな振幅で振動するように構成されている。
【0059】
これは、上記投入部5から落下する廃棄物において、コンベアベルト3上における比較的規則的な振動によって、廃棄物を上下動させることにより、原料と異物を効果的に分離するためであり、仮に、原料と異物が分離することなく、緩衝ローラ22,22より下流側に移動しても、上記振動ローラ23cによる大きな振幅にて上下動させることにより、コンベアベルト3の上端3aに移行するまでに、原料Sと異物Qを確実に分離させるためである。尚、廃棄物の性質等により、追従振動ローラのみ、或いは、強制振動ローラのみを設けても良い。
【0060】
上記機枠25,26は、上記ベルトコンベア機構2を傾斜状態で設置するためのブロックであり(図1参照)、上記機枠25は上記上端フレーム11を支持した状態で上記地面G上に固定されており、上記機枠26は上記下端フレーム13を支持した状態で上記地面G上に固定され、両機枠25,26の高低差によって上記ベルトコンベア機構2の傾斜角度が決定される。これらの機枠25又は26の下部には、複数のブロック体25a,26aを挿入することにより、各機枠25,26の高さを調整可能に構成している。これにより、廃棄物の種類、例えば原料の形状(転動性の良し悪し等)、異物の形状等により、最適なベルトコンベア機構2の傾斜角度(例えば水平面に対して27度〜30度)を設定し得るように、当該ベルトコンベア機構2の傾斜角度を変更し得るように構成されている。
【0061】
本発明は上述のように構成されており、以下、その動作について説明する。
【0062】
本実施形態では、廃棄物は鉱石、砕石等の塊状の転動性の良い原料Sと、針金、電気コード、切断された比較的長い鉄筋等の比較的細長い異物Qを含むものとする。
【0063】
また、廃棄物搬送用コンベア20は矢印B方向に駆動されており、かつ駆動モータM1、M2が駆動されることにより、ベルトコンベア機構2のコンベアベルト3は矢印A方向に進行しており、かつ振動ローラ23cが矢印C方向に回転駆動された状態である。よって、緩衝ローラ22,22及び他の振動ローラ23a,23b,23dは、上記コンベアベルト3の走行によって矢印C方向に回転している。
【0064】
この結果、コンベアベルト3の上記振動ローラ23c近傍が上下方向に比較的大きく規則的に振動しており、かつコンベアベルト3の上記振動ローラ23a,23b,23d近傍も上下方向に比較的小さく規則的に振動している状態となる。
【0065】
かかる状態において、廃棄物は、廃棄物搬送用コンベア20の始端のコンベアベルト29上に供給され、これらの廃棄物は、当該コンベア20のコンベアベルト29上を矢印B方向に上昇して行き、当該廃棄物搬送用コンベア20の上端の投入部5に至り、該投入部5から矢印H方向(図1参照)に落下していく。
【0066】
すると、廃棄物は、上記コンベアベルト3の上面3’の投入位置4に落下供給される。上記コンベアベルト3の上面3’に落下した廃棄物は、コンベアベルト3上面3’に当接するが、上記投入位置4の裏面3”に緩衝ローラ22,22が位置しているので、上記落下した廃棄物はこれら緩衝ローラ22,22の外周の弾性体22’,22’によって落下の衝撃が吸収され、不要な跳ね返りが抑制され、大きく跳ね返ることなく、またコンベア外部に飛散することなく、コンベアベルト3上面3’に落下する。この時点で塊状の原料Sの一部は、傾斜しているコンベアベルト3上において突起6間を下方に向けて転がり始める。
【0067】
また、上記コンベアベルト3は矢印A方向に上昇しており、その上面3’には複数の突起6を有しているので、上記上面3’に落下した廃棄物は、複数の突起6に引っ掛かり、一部はコンベアベルト3の走行と共に、上昇する。その後、直ちに、上記振動ローラ23cにおける比較的大きく上下振動している位置に至るので、かかるコンベアベルト3の上下振動により、廃棄物がコンベアベルト3上において、上下方向に規則的に飛び跳ね、これにより、原料Sと異物Qの分離が促進される。
【0068】
上記廃棄物は、ベルト3上を上下に飛び跳ねることにより、塊状の原料Sと細長い異物Qとが離脱、分離し、塊状の原料Sは、突起6,6間を下方に向けて転がり始め、異物Qは突起6,6間に引っ掛かってコンベアベルト6と共に上昇する。
【0069】
上記投入位置4の上流側(下方)においては、振動ローラ23a,23bの回転により、コンベアベルト3は小振幅の上下振動を繰り返しているので、下方に転動する塊状の原料Sも上下に振動し、これにより原料Sに小さい異物Qが絡まっているような場合は、当該位置(上流側の振動機構8の位置)において原料Sと異物Qの分離が促進される。当該位置で分離された異物Qは上記突起6,6間に絡まって、コンベアベルト3と共に上昇する。
【0070】
上記下方に転動する塊状の原料Sは、コンベアベルト3上の突起6,6間を転動し、異物落下防止ブラシ9の下方を通過し、最終的にテールプーリ12から下方に落下して、集積部27内に集積される。尚、上記集積部27に代えて搬送コンベアを設けても良い。
【0071】
上記振動ローラ23cにて分離された異物Qは、突起6,6間に引っ掛かり、そのままコンベアベルト3と共に下流側に上昇する。コンベアベルト3の上記振動ローラ23cよりさらに下流側は、振動ローラ23dにより小さく上下方向に振動しているので、仮に、異物Qに引っ掛かり、上記振動ローラ23cを通過した原料Sがあっても、当該位置にて異物から分離され、当該原料Sは、突起6,6間を下方に転動していくことができる。
【0072】
上記突起6,6に引っ掛かり、コンベアベルト6の上端まで行った異物Qは、上記ヘッドプーリ10から下方に落下し、集積部28に集積される。尚、集積部28に代えて搬送コンベアを設けても良い。
【0073】
また、上記コンベアベルト3上において、異物Qが原料Sから分離されたが、突起6,6間にうまく引っ掛からずに、下方に転動した場合は、必ず、異物落下防止ブラシ9に当接するので、当該位置より下方への異物Qの転動は阻止される。当該異物落下防止ブラシに当接した異物Qは順次上方に移動する何れかの突起6,6間に引っ掛かり、その後、コンベアベルト3の上昇に伴って上昇することができる。従って、異物Qがコンベアベルト3を下方に転動し、原料集積部27に至ることはない。
【0074】
図8は、本発明のコンベアベルト3の他の実施形態であり、図6のコンベアベルト3との違いは、V字に並んだ突起6を連続させるのではなく、V字配列の突起6を4列設けた後、突起6の存在しない空白領域Zを設け、再び、V字配列の突起6を4列設け、この配列を繰り返し設けた点である。即ち、突起6の一部を間引くことにより、上記空白領域Zを設ける。
【0075】
このように構成すると、上記空白領域Zを通過する原料を加速することができ、これにより転動性の悪い原料であっても、コンベアベルト3の上面3’を下方に向けて円滑に転動させることができる。この空白領域Zにて加速した原料は、加速しているため次のV字配列の突起6が到来しても、次のV字領域の上記突起6,6間を円滑に下方に転動させることができる。
【0076】
図9は、本発明のコンベアベルト3のさらに他の実施形態であり、図7のコンベアベルト3との違いは、図7のコンベアベルト3の突起6は、コンベアベルト3の進行方向に対して直交方向(左右方向)に向いた状態で固定されているのに対し、図9のコンベアベルト3の突起6は、コンベアベルト3の進行方向に対して平行方向(前後方向)に向いた状態で固定されているものである。
【0077】
このように構成すると、突起6,6間の間隔t1’,t2’は、図7の実施形態の突起6,6間の間隔t1,t2より広くなるので、より大きな原料にも対応可能であると共に、転動性の比較的良くない原料も、円滑に下方に向けて転動させることができる。
【0078】
図10に示すものは、本発明のコンベアベルト3のさらに他の実施形態であり、上記複数の突起6は、一単位がコンベアベルト3の進行方向に直交する一列の配列Rであり、該一列の配列Rが上記コンベアベルト3の長手方向に沿って所定間隔Z’を以って連続的に配置されているものでる。このZ’の間隔は任意の間隔であり、一列Rの各突起6,6間を通過した原料Sを、図8の実施形態と同様に、加速させることができ、転動性の悪い原料であっても円滑に転動させることができる。尚、個々の上記突起6は、その幅がコンベアベルト3の進行方向に対して平行となるように当該コンベアベルト3上面3’に設けられている。
【0079】
このように構成すると、2つの突起6,6がコンベアベルト3の進行方向に直交する方向、即ち左右方向に同一高さ(同一位置)に配列されているので、上記2つの突起6,6間に異物を、隣接する同一高さの突起6,6により安定して引っ掛けることができるという効果がある。
【0080】
本発明によれば、例えば塊状の原料Sと比較的細長い異物Q又は扁平な異物Qを含む廃棄物を、上記原料と異物に効率的に分離することができる。即ち、塊状の原料は、傾斜したコンベアベルト3上において、突起6と突起6の間を通過しながら転動し、下方に落下させ、異物は突起と突起6の間に引っ掛かる為、コンベアベルト3と共に上方に上昇させることができ、従って、廃棄物中の原料と異物を効率的に分離することができるものである。
【0081】
また、異物Qを突起6に引っ掛けて上昇させるため、ベルトコンベア機構2の傾斜角度を大きく(急傾斜)にとることができ(例えば水平面から27度〜30度)、結果として原料が転動し易くなり、原料Sと異物Qの分離効率を容易に向上させることができる。
【0082】
また、比較的長い円筒状のパイプ等、転動性の良い異物も高い精度で、原料と分離することができる。
【0083】
また、塊状の原料をコンベアベルトの下端3b方向に容易に転動させることができるし、比較的細長い異物については、突起6に容易に係止させて、上昇させることができ、廃棄物中の原料と異物を効率的に分離することができる。
【0084】
また、コンベアベルト3上に設けた突起6の空白領域Zにおいて、原料の転動速度を加速することができ、比較的転動性の悪い原料Sであっても、当該原料と異物とを確実に分離することができる。
【0085】
また、廃棄物の投入部5に対応するコンベアベルト3の裏面3”に、上記緩衝ローラ22を配置することにより、コンベアベルト3の走行、及び、廃棄物の分離動作を邪魔することなく、投入部からコンベアベルト3上に投入された廃棄物の不要な振動を抑制し得るものである。
【0086】
また、例えば、緩衝機構7に近接して、コンベアベルト3の裏面3”側に振動ローラ23a〜23dを設けることにより、廃棄物を規則的に振動させて、コンベアベルト3上において、原料と異物を適切に分離することができる。
【0087】
また、強制的に回転駆動される振動ローラ23cを設けてコンベアベルト3を大きく振動させることができ、追従して回転する振動ローラ23a,23b,23dを設けてコンベアベルト3を比較的小さく振動させることができ、これらの振動ローラを適宜配置することにより、廃棄物中の原料と異物の分離を効率的に行うことができる。
【0088】
また、ベルトコンベア機構2の傾斜角度を変化させることが可能となり、例えば転動性の悪い原料の場合は、ベルトコンベア機構自体の傾斜角度を大きくする等により、分離効率を高めることができる。
【0089】
特に、転動性の悪い原料の場合は、
(1)投入部5の高さを上げて、コンベアベルト3の落下時の廃棄物(原料S及び異物Q)のコンベアベルト3上に当接後の跳ね返りを良くして、上方に跳ね返ったときに、当該上空にて原料と異物との分離を促進すること、
(2)ベルトコンベア機構2の傾斜角度を急にする。
(3)強制振動ローラ23c及び/又は追従振動ローラ23a等の突条24の数を増加又は減少し、或いは、突条24の直径を大きくすることにより、コンベアベルト3の振動数、振幅を大きくする。
(4)突起6の一部に空白領域Zを設けて、原料Sを加速させる。
等の何れか又は任意の組み合わせにより、転動性を向上させ、異物との分離効率を容易に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る異物分離装置によれば、従来、分離が難しかった、塊状の原料と、比較的細長い異物或いは扁平の異物とを効率良く分離することができ、例えば、商業ビル等の建築物を解体した時に発生するコンクリート製の塊状のブロックと、切断された鉄筋等の分離、その他、各種の廃棄物の分離作業に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 異物分離装置
2 ベルトコンベア機構
3 コンベアベルト
3’ 上面
3” 裏面
3a 上端
3b 下端
4 投入位置
6 突起
7 緩衝機構
8 振動機構
9 異物落下防止ブラシ
9a 下端部
22 緩衝ローラ
22’ 弾性体
23a〜23d 振動ローラ
24 突条
25,26 機枠
P 配列
Q 異物
S 原料
t1,t2 間隔
M2 駆動モータ
Z 空白領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10