特開2017-148850(P2017-148850A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-148850(P2017-148850A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】配管溶接用ガスシールド装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/00 20060101AFI20170804BHJP
【FI】
   B23K37/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-34930(P2016-34930)
(22)【出願日】2016年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】516058757
【氏名又は名称】内田 良紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】内田 良紀
(57)【要約】
【課題】 配管の歪み等に起因するバックシールド部材と配管の内面との間の隙間の発生を防ぐと共に、部品点数を減らして製造コストの低減を可能にした配管溶接用ガスシールド装置を提供する。
【解決手段】 配管溶接用ガスシールド装置10は、ガスが供給されるバックシールド部材1と、バネ部材2と、バックシールド部材1と連結し、バネ部材2によって付勢された可動可能なシャフト部材3を備えており、バックシールド部材1には、配管4の内面に当接可能な補正シールド板5が着脱自在に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが供給されるバックシールド部材と、
バネ部材と、
前記バックシールド部材と連結し、前記バネ部材によって付勢された可動可能なシャフト部材を備えた配管溶接用ガスシールド装置であって、
前記バックシールド部材には、配管の内面に当接可能な接触面を備えた補正シールド板が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする配管溶接用ガスシールド装置。
【請求項2】
ガスが供給されるバックシールド部材と、
バネ部材と、
前記バックシールド部材と連結し、前記バネ部材によって付勢された可動可能なシャフト部材と、
前記シャフト部材と連結するクランプ部材と、
前記クランプ部材に固定される軸部材と、
前記軸部材を保持する軸受スタンドを備えた配管溶接用ガスシールド装置であって、
前記バックシールド部材には、配管の内面に当接可能な接触面を備えた補正シールド板が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする配管溶接用ガスシールド装置。
【請求項3】
曲率半径の異なる複数の補正シールド板を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管溶接用ガスシールド装置。
【請求項4】
バックシールド部材は、補正シールド板の取付け位置を位置決めする位置決めピンを備え、補正シールド板は、前記位置決めピンが挿入される位置決め穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配管溶接用ガスシールド装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2本の金属製配管の開先を突き合わせて、該突き合わせた開先の外周面を溶接する際に使用する配管溶接用ガスシールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、2本の金属製配管の開先を突き合わせて、該突き合わせた開先の外周面を溶接する際に、溶接欠陥の原因となる空気中の酸素を排除する為、内周面側を不活性ガスによってバックシールドする装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のTIG溶接用バックシールド治具は、脚体側に対して横軸芯の周りに回転可能に保持された回転体と、横軸芯に対して直交する方向に出退すべく回転体に保持されたスライド軸と、このスライド軸を退入すべく付勢する付勢具と、この付勢具に抗してスライド軸を突出させる操作具と、スライド軸の先端に取り付けられ、配管の内面に対応させた円弧状のバックシールド要具とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭59−2953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際に使用される配管の内面はその断面が真円ではないことから、上記特許文献1に記載のTIG溶接用バックシールド治具を使用した場合には、円弧状のバックシールド用具と配管の内面との間に隙間が生じ、酸化を防ぐことができたとしても溶接された内周面の肉盛部が黒色に変化したスラグが発生する。したがって、後工程における洗浄研磨により、スラグを除去することが必須となっていた。また、特許文献1に記載のTIG溶接用バックシールド治具は、回転体から突出させた3本の脚体の先端を配管の内面に当接させることによって、回転体を保持しており、バックシールド治具の製造コストが高くなるものであった。また、外径が同じであっても内径が異なる2つの配管を溶接する場合に、特許文献1に記載のTIG溶接用バックシールド治具を使用した場合には、配管の内面に対して斜めに当接することとなるので、隙間が発生し易くなっていた。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、配管の歪み等の原因によって生じるバックシールド部材と配管の内面との間の隙間の発生を防ぐと共に、部品点数を減らして製造コストの低減を可能にした配管溶接用ガスシールド装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明はガスが供給されるバックシールド部材と、バネ部材と、前記バックシールド部材と連結し、前記バネ部材によって付勢された可動可能なシャフト部材を備えた配管溶接用ガスシールド装置であって、前記バックシールド部材には、配管の内面に当接可能な接触面を備えた補正シールド板が着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の配管溶接用ガスシールド装置の発明は、補正シールド板によって、配管の歪み等によって生じる配管の内面とバックシールド部材との間の隙間を塞ぐことができることから、バックシールド部材内部の空気中の酸素を確実に排除することができ、溶接後の後工程において洗浄研磨を必要とせず、配管溶接に係る製造コストを低減させることができる。また、配管溶接用ガスシールド装置の部品点数を減らすことによって、同装置の製造コストを低減させることができる。さらに、補正シールド板によって、配管を内側から押圧することができ、配管溶接用ガスシールド装置を配管内に確実に固定することができる。
【0009】
請求項2の発明は、ガスが供給されるバックシールド部材と、バネ部材と、前記バックシールド部材と連結し、前記バネ部材によって付勢された可動可能なシャフト部材と、前記シャフト部材と連結するクランプ部材と、前記クランプ部材に固定される軸部材と、前記軸部材を保持する軸受スタンドを備えた配管溶接用ガスシールド装置であって、前記バックシールド部材には、配管の内面に当接可能な接触面を備えた補正シールド板が着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の配管溶接用ガスシールド装置の発明は、補正シールド板によって、配管の歪み等によって生じる配管の内面とバックシールド部材との間の隙間を塞ぐことができることから、バックシールド部材内部の空気中の酸素を確実に排除することができ、溶接後の後工程において洗浄研磨を必要とせず、配管溶接の製造コストを低減させることができる。また、補正シールド板によって、配管を内側から押圧することができ、配管溶接用ガスシールド装置を配管内に確実に固定することができる。さらに、シャフト部材と連結するクランプ部材と、クランプ部材に固定される軸部材と、軸部材を保持する軸受スタンドとを備えているので、配管又は配管溶接用ガスシールド装置を回転させて溶接作業をすることができ、配管溶接に係る製造コストを更に低減させることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、曲率半径の異なる複数の補正シールド板を備えていることを特徴としている。これにより、直径が異なる配管にも対応することができると共に、配管とバックシールド部材との間に生じる隙間を確実に塞ぐことができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、バックシールド部材は、補正シールド板の取付け位置を位置決めする位置決めピンを備え、補正シールド板は、前記位置決めピンが挿入される位置決め穴が形成されていることを特徴としている。これにより、補正シールド板の取付け作業又は、交換作業を容易に行うことができるので、配管溶接に係る製造コストを更に低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び2の発明では、溶接後の後工程において洗浄を必要とせず、配管溶接に係る製造コストを低減させることができる。また、配管溶接用ガスシールド装置の部品点数を減らすことによって、同装置の製造コストを低減させることができる。また、配管溶接用ガスシールド装置を配管内に確実に固定することができる。さらに、請求項2の発明では、配管又は配管溶接用ガスシールド装置を回転させて溶接作業をすることができ、配管溶接に係る製造コストを更に低減させることができる。
【0014】
請求項3の発明では、直径が異なる配管にも対応することができると共に、配管とバックシールド部材との間に生じる隙間を確実に塞ぐことができる。また、請求項4の発明で、補正シールド板の取付け作業又は、交換作業を容易に行うことができるので、配管溶接の製造コストを更に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図。(b)第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図。
図2】本発明の配管溶接用ガスシールド装置を構成する補正シールド板を示す正面図。
図3】本発明の配管溶接用ガスシールド装置の使用状態の一例を示す説明図。
図4】(a)第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図。(b)第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図。
図5】第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を軸受スタンドで軸支している状態を示す説明図。
図6】(a)第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図。(b)第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図。
図7】(a)第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を自動溶接機と共に連動させた状態を示す説明図。(b)回転軸固定板の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る配管溶接用ガスシールド装置の第1実施形態を示しており、図1(a)は、第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図、図1(b)第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図である。また、図2は、本発明の配管溶接用ガスシールド装置を構成する補正シールド板を示す正面図である。これらの図を用いて配管溶接用ガスシールド装置の第1実施形態を説明する。
【0017】
第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10は、内部にガスが供給されると共に、配管4の内面に押し当てられる方向に付勢されている正面視円弧状であって、上方に開口部1cを備えた箱状のバックシールド部材1と、バネ部材2と、バックシールド部材1と連結し、バネ部材2によって付勢された可動可能な第1シャフト部材3とを備えている。
【0018】
第1シャフト部材3は、一方の端部がバックシールド部材1のアーム部1dに固定されており、基板6aに固定されたシャフトホルダーベアリング8によって、上下方向の可動のみに規制されている。そして、バックシールド部材1は、上方の開口部1cが、バネ部材2によって、配管4の内面方向に付勢されている。また、基板6aには、第1シャフト部材3が挿脱可能な開口が形成されている。そして、上方の基板6aと下方の基板6bとは、第2のシャフト部材7、7によって連結されている。第2シャフト部材7、7は、一方の端部が上方の基板6aに固定され、他方の端部が下方の基板6bに固定されている。
【0019】
そして、バックシールド部材1には、配管4の内面に当接させる際に、配管4の横断面の真円からの誤差により生じる隙間を塞ぐ補正シールド板5が着脱自在に取り付けられている。前述したとおり、バックシールド部材1は、正面視円弧状であって、上方に開口部1cを備えた箱状に形成されており、所定径の配管の横断面が真円であれば、バックシールド部材1の開口部が配管4の内面に当接して隙間が生じることは無い。しかしながら、製造される配管4は真円であることはなく、歪みが生じている。したがって、真円を前提として形成されたバックシールド部材1の開口部1cの縁面を配管4の内面に押し当てると、所々に隙間が生じることとなる。この隙間を塞ぐ補正を行うのが補正シールド板5の一つの役割である。この補正シールド板5は、バックシールド部材1の表面及び裏面に取り付けられるものであり、配管の内面に当接する正面視円弧状の当接部5aと、バックシールド部材1に着脱自在に取り付けられる取付部5bとを有している。尚、補正シールド板5は、バックシールド部材1の両面に取り付けることができるが、片方の面のみに取り付けて使用することもできる。
【0020】
配管4は、同じ内径であっても生じている歪みは種々あることから、外縁の円弧の曲率半径が異なる複数種類の補正シールド板5を準備しておくことが好ましい。そして、補正シールド板5をバックシールド部材1の表面及び裏面の両方に取り付ける際に、隙間が最小となる補正シールド板5を選択して取り付けるのである。
【0021】
尚、補正シールド板5の外縁に耐熱テープを貼り付けることによって、配管4の内面の補正シールド板5と接触する部分に傷が付くのを防ぐことができる。また、バックシールド部材1の両側部と補正シールド板5、5との間に生じる隙間に耐熱テープを貼り付けることによって、バックシールド部材1の内部の空気中の酸素を確実に排除することができる。また、配管4の内径寸法が大きく変わる場合には、第2シャフト部材7、7を適切な長さのものに取り換えると共に、適切な補正シールド板5を選択することによって対応することができる。尚、第2シャフト部材7、7は、長手方向の長さが調節可能な構造のものを採用することもできる。
【0022】
補正シールド板5のバックシールド部材1への取り付け方法は、様々な方法が考えられるが、一例として、バックシールド部材1に、補正シールド板5の取付け位置を位置決めする位置決めピンを形成し、補正シールド板5の取付部5bに、位置決めピンが挿入される位置決め穴が形成されている構造を採用することができる。
【0023】
第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10は、下方に、バックシールド部材1と同形状の支持部材9を設置している。支持部材9は、ガスが供給されない点を除いて上方に設置されたバックシールド部材1と同様の機能を果たしている。即ち、配管4の内面に当接させる際に、配管4の横断面の真円からの誤差により生じる隙間を塞ぐ補正シールド板5が着脱自在に取り付けられており、第1シャフト部材3は、一方の端部が支持部材9のアーム部9aに固定されている。また、基板6bに固定されたシャフトホルダーベアリング8によって、上下方向の可動のみに規制されている。そして、支持部材9は、下方の開口部9bが、バネ部材2によって、配管4の内面方向に付勢されている。
【0024】
第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10は、上述のように構成されており、補正シールド板5によって、配管4の歪みによって生じる配管4とバックシールド部材1との間の隙間を塞ぐことができることから、バックシールド部材1の内部の空気中の酸素を確実に排除することができ、溶接後の後工程において洗浄研磨を必要とせず、配管溶接に係る製造コストを低減させることができる。また、配管溶接用ガスシールド装置10の部品点数を減らすことによって、同装置10の製造コストを低減させることができる。さらに、補正シールド板5によって、配管4を内側から押圧することができ、配管溶接用ガスシールド装置10を配管内に確実に固定することができる。
【0025】
尚、第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10の変形例として、下方の支持部材9を、上方のバックシールド部材1と同じものに取り換えて使用することもできる。この場合には、設置方向を斜めにずらし、配管4の内部の斜め上方と斜め下方とに各々バックシールド部材1が配置されるようにすれば、溶接作業を2箇所で同時に行うことができ、溶接作業時間を短縮することができる。
【0026】
図3は、本発明の配管溶接用ガスシールド装置の使用状態の一例を示す説明図である。この図に示している配管4Aと配管4Bの溶接は、外径が同寸法で、内径が配管4Bの方が小さい場合、即ち、配管4Aの肉厚4aが、配管4Bの肉厚4bよりも小さい場合を示している。この場合に、補正シールド板5を使用しない通常のバックシールド部材1のみで各々の配管を溶接しようとすると、バックシールド部材1の配管4A及び4Bの内面に押し当てられる開口部の端部1a及び1bが、内面に対して斜めに当接することとなるので、隙間が発生し易くなると共に、バックシールド部材1が配管4A及び4Bの内径方向に平行に設置できなくなるので、バックシールド部材1が配管4A及び4Bの内面を押圧することにより、固定されるジャッキとしての機能が低下することとなる。
【0027】
一方、図3に示すように、補正シールド板5を使用した場合には、バックシールド部材1の配管4Bの内面に押し当てられる開口部の端部1aは、配管4Bの内面に対して面接触することとなる。また、補正シールド板5の当接部5aは、配管4Aの内面に対して面接触することとなる。これにより、隙間が発生し難くなる。さらに、バックシールド部材1が配管4A及び4Bの内径方向に平行に設置されるので、バックシールド部材1が配管4A及び4Bの内面を押圧することにより、固定されるジャッキとしての機能を維持することができる。
【0028】
尚、補正シールド板5は、図3に示すように、一方の配管4A側のバックシールド部材1に設置する場合と、配管4A、4Bの両方に設置する場合とがあるが、あらかじめ複数の補正シールド板5を準備しておくことによって、配管4A又は配管4Bの内面に対して面接触する最適な補正シールド板を選択することが可能となる。
【0029】
図4(a)は、第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図であり、図4(b)第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図である。また、図5は、第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を軸受スタンドで軸支している状態を示す説明図である。これらの図を用いて、第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置について説明する。
【0030】
第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置20において、バックシールド部材1、バネ部材2、第1シャフト部材3、基板6、シャフトホルダーベアリング8の構成は、第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10と同様である。第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10と異なる点は、基板6に一端が連結されるシャフト部材11の他端が基板12に連結されている点と、基板12にクランプ部材13が固定されている点である。
【0031】
第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置20では、クランプ部材13、13が上方及び下方から固定軸(軸部材)14に固定されており、固定軸(軸部材)14は、軸受クランプ15によって回転しないように固定されている。したがって、配管溶接用ガスシールド装置20によって、配管4の外周全体を溶接する場合には、以下の作業手順により行うことができる。先ず、作業者がバックシールド部材1をバネ2が圧縮する固定軸(軸部材)14方向に引っ張ることによって配管4の内面とバックシールド部材1の接触面との間に隙間が生じる。この状態で、配管4を回転させた後、再度、配管4の内面にバックシールド部材1の接触面を接触させることによって配管4の溶接位置をずらすことができる。
【0032】
尚、第2実施形態の配管溶接用ガスシールド装置20も第1実施形態の配管溶接用ガスシールド装置10と同様に、下方の支持部材9を、上方のバックシールド部材1と同じものに取り換えて使用することもできる。この場合には、設置方向を斜めにずらし、配管4の内部の斜め上方と斜め下方とに各々バックシールド部材1が配置されるようにすれば、溶接作業を2箇所で同時に行うことができ、溶接作業時間を短縮することができる。
【0033】
図6(a)は、第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を配管内に設置した状態を示す正面図であり、図6(b)は、第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を示す右側面図である。また、図7(a)は、第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置を自動溶接機と共に連動させた状態を示す説明図であり、図7(b)は、回転軸固定板の側面図である。これらの図を用いて、第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置について説明する。
【0034】
第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置30は、図6に示すように、下方の支持部材16において、配管4の内面と接触する箇所に複数のローラーベアリング17a、17b、17cが設置されている。このローラーベアリング17a、17b、17cは、回転軸(軸部材)18に固定された配管溶接用ガスシールド装置30の配管4内部での回転時に、配管4の内面に接触しつつ回転するので、配管4の内面に傷が付くのを防いでいる。尚、上方のバックシールド部材1には、配管4との接触面に弾性を備えた耐熱テープ(図示せず)が取り付けられており、この耐熱テープによって、配管溶接用ガスシールド装置30の配管4内部での回転時に、配管4の内面に傷が付くのを防ぐと共に、隙間が発生してガスが漏れるのを防いでいる。
【0035】
上述のように構成された第3実施形態の配管溶接用ガスシールド装置30は、図7に示すように設置されるので、以下に説明する。先ず、溶接される2つの配管4A、4Bのうち、一方の配管4B側の外周に自動溶接機用のレール19が設置される。また、このレール19上を移動する自動溶接機21が設置される。そして、自動溶接機21の回転軸(軸部材)22と、配管溶接用ガスシールド装置30の回転軸(軸部材)18は、回転軸固定板23の固定部23a、23bに各々固定される。また、配管溶接用ガスシールド装置30の回転軸(軸部材)18の端部は、軸受15aによって回転可能な状態で軸支されている。
【0036】
上述のように設置された配管溶接用ガスシールド装置30は、自動溶接機21が作業者によらず自動的に、2つの配管4A、4Bを溶接しつつ、レール19上を移動するに際して連動して配管4A、4B内部を回転することとなるので、さらに製造コストを低減させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の配管溶接用ガスシールド装置は、2本の金属製配管の開先を突き合わせて、該突き合わせた開先の外周面を溶接する際に使用される。
【符号の説明】
【0038】
1 バックシールド部材
2 バネ部材
3 第1シャフト部材
4、4A、4B 配管
5 補正シールド板
5a 当接部
5b 取付部
6、6a、6b、12 基板
7 第2シャフト部材
8 シャフトホルダーベアリング
9、16 支持部材
10、20、30 配管溶接用ガスシールド装置
11 シャフト部材
13 クランプ部材
14 固定軸(軸部材)
15 軸受
17a、17b、17c ローラーベアリング
18、22 回転軸(軸部材)
19 レール
21 自動溶接機
23 回転軸固定板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7