【解決手段】 圧力流体を供給する流体圧源3とワークWに対して圧力流体を噴出させる検出ノズル2との間に接続された検出圧通路11に、この検出圧通路11の圧力を検出値として検出する圧力検出手段Sが設けられる。この圧力検出手段Sは判定部18が接続され、この判定部18に記憶部19が接続されている。そして、上記記憶部19には、ワークWと基準面1との隙間量などに応じて変化する圧力を設定値として複数記憶させており、基準面1にワークWが本着座する状態に応じた設定値が記憶され、この設定値と上記検出値とを上記判定部で対比して、この対比結果が出力される。
上記圧力検出手段は、上記圧力検出通路にオリフィスが設けられ、このオリフィス前後の差圧が検出され、この検出結果を検出値として出力する請求項1に記載の位置検出装置。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として
図4,5に示すものが従来から知られている。
この従来の位置検出装置は、表面を基準面1としたテーブルTと、このテーブルTに載せたワークWとの間に、検出ノズル2を介して圧力流体を供給するとともに、テーブルTとワークWとの間からの圧力流体の漏れ量に応じて変化する圧力を検出し、その圧力に応じてワークWがテーブルTに適切な状態で載せられているかどうかを検出するものである。
【0003】
以下には、この従来の位置検出装置を
図4,
図5を用いて説明する。
上記装置をさらに詳しく説明すると、
図5に示すように、表面を基準面1としたテーブルTには、ホールクランプHを設けている。このホールクランプHは、
図5に示すように、周方向に複数設けた爪部8と、これら複数の爪部8に囲われたカムロッド7とからなる。
【0004】
そして、上記複数の爪部8の外側には、上記周方向に沿って滑り止め用の凹凸8aが形成されている。また、上記カムロッド7は、爪部8に囲われた部分が、先端に向かうにしたがって拡径されるとともに、上記爪部8に対して軸方向に移動可能にしている。
したがって、カムロッド7を
図5に示した状態から爪部8内に引き込めば引き込むほど、爪部8に対してカムロッド7の外径が拡大するとともに、その拡大にともなって爪部8が外側に開くことになる。
【0005】
さらに、上記テーブルTは、その表面を基準面1とするとともに、この基準面1に開口する小孔からなる検出ノズル2を形成している。一方、この検出ノズル2を、高圧の圧力流体を吐出する流体圧源3に接続するとともに、これら検出ノズル2及び流体圧源3に対して第1圧力スイッチ4と,第2圧力スイッチ5とを並列に接続している。
上記第1,2圧力スイッチ4,5のいずれも、検出ノズル2から圧力流体を噴出させた状態で、ワークWと基準面1との間に形成される隙間量に応じて変化する圧力を検出するためのものである。
【0006】
そして、上記第1圧力スイッチ4の検出値は、ワークWがテーブルTの基準面1に対して、目的の精度を維持して着座しているかどうか、すなわち本着座の状態を維持しているかどうかを判定するために用いられる。
また、第2圧力スイッチ5の検出値は、ホールクランプHに対してワークWのセッティング状態、すなわち仮着座の状態を判定するために用いられる。
【0007】
そして、上記ホールクランプHでワークWをクランプするときには、先ず、爪部8を、
図5に示すように、ワークWのクランプ孔6に挿入する。爪部8をクランプ孔6に挿入したら、その挿入状態を保ちながら、カムロッド7を爪部8側に引き込む。カムロッド7を引き込めば、上記したように爪部8が外側に開いて、クランプ孔6の内面に圧接するので、ワークWをしっかりクランプすることができる。
【0008】
このようにホールクランプHでワークWをクランプしたら、そのクランプ状態を維持して、ホールクランプHを下方に引き付け、ワークWをテーブルTに密着させる。
ただし、ワークWが上記基準面1に対して斜めになっていたりすると、クランプ孔6とホールクランプHとの軸中心がずれた状態になる。このような状態で、ホールクランプHを無理やり引っ張りこむと、ホールクランプHが破損したり、あるいはクランプ孔6を傷つけたりしてしまう。
【0009】
そこで、先ず、ホールクランプHとクランプ孔6との軸中心が一致しているかどうかの仮着座状態を判定する。その後に、ワークWを基準面1側にさらに強くひきつけて本着座に移行するようにしている。
そして、上記第2圧力スイッチ5は、仮着座状態を検出するものである。すなわち、クランプ孔6とホールクランプHとの軸中心が不一致ということは、原則としてワークWが基準面1に対して傾いていることになる。このようにワークWが基準面1に対して傾いていれば、検出ノズル2とワークWとの間に隙間ができるので、その分、圧力流体の漏れ量も多くなり、第2圧力スイッチ5が検出する圧力も異なってくる。
【0010】
上記第2圧力スイッチ5は、クランプ孔6とホールクランプHとの軸中心が一致している状態で、ワークWが上記基準面1に所定距離近づいたときの圧力を設定し、その設定圧に達しているときにYESの信号を出力し、設定圧に対して誤差があるときにNOの信号を出力するようにしている。
そして、上記のようにしてYESの信号が出力されたら、ホールクランプHをさらに引き込み、その引き込み力でワークWを基準面1に密着させる。この密着状態で発生する圧力を第1圧力スイッチ4で検出する。この第1圧力スイッチ4は、ワークWを基準面1に正確に密着しているときの圧力を設定圧とし、その設定圧を上回ったときにYESの信号を出力し、設定圧に対して誤差があるときにNOの信号を出力するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のようにした従来の位置検出装置では、第1圧力スイッチ4と第2圧力スイッチ5とを別々に設けているので、それら圧力スイッチを設けるスペースが必要になるとともに、圧力スイッチの数に応じてコストと管理負担とが増大するという問題があった。
また、圧力スイッチ内にオリフィスを設け、このオリフィス前後の差圧を検出するようにしたときには、次のような問題が発生する。すなわち、各圧力スイッチのオリフィスが、流体圧源3及び検出ノズル2に対して並列に接続されることになるので、そのオリフィスの合計開口面積が大きくなってしまう。
【0013】
このようにオリフィスの合計開口面積が大きくなれば、全体的に絞り効果が小さくなってしまう。そのために、圧力スイッチに合計開口面積の大きなオリフィスを用いたときには、検出精度が落ちてしまうという問題があった。
また、このような問題を解消しようとすれば、オリフィス径を極端に小さくしなければならない。しかし、オリフィス径を小さくするにも限界があった。
【0014】
この発明の目的は、ワークと基準面との隙間量を検出する複数の検出値を、1つの圧力検出手段で検出することができる位置検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、圧力流体を供給する流体圧源と、テーブルの基準面に開口させた検出ノズルとを接続する検出圧通路を設けている。また、この検出圧通路の圧力を検出し、この検出結果を検出値として出力する圧力検出手段と、この圧力検出手段に接続され、上記検出値が入力される判定部と、この判定部に接続され、ワークと基準面との隙間量などに応じて変化する圧力を設定値として複数記憶させた記憶部とを備えている。そして、上記記憶部には、基準面にワークが仮着座する状態、又は基準面にワークが本着座する状態、あるいは両方の状態に応じた設定値が記憶され、この設定値と上記検出値とを上記判定部で対比して、この対比結果が出力される点に特徴を有する。
なお、仮着座とは、ワークの底面に設けられたクランプ孔にテーブルの基準面から突出させたホールクランプを挿入させ、所定の間隔を保って、ワークが基準面に載置されている状態をいう。また、本着座とは、ワークが基準面に密着して載置されている状態をいう。
【0016】
第2の発明の上記圧力検出手段は、上記圧力検出通路にオリフィスが設けられ、このオリフィス前後の差圧が検出され、この検出結果が検出値として出力される点に特徴を有する。
【0017】
第3の発明は、上記記憶部に、ワークが非載置の状態で、所定の供給圧力を維持させた圧力流体を上記検出ノズルから噴出させたときのオリフィス前後の差圧が設定値として記憶されるとともに、ワークが非載置の状態時で、上記所定の供給圧力を維持させた圧力流体を上記検出ノズルから噴出させたときのオリフィス詰まりの状態、又は検出ノズル詰まりの状態、あるいは両方の状態に対応するオリフィス前後の差圧が設定値として記憶された点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、記憶部に設定値を複数記憶させ、基準面にワークが仮着座する状態、又は基準面にワークが本着座する状態、あるいは両方の状態に応じた設定値が記憶されているので、仮着座の状態や、本着座の状態に係るワークの載置状態の他、複数の状態を判定できるようになった。このように、複数の設定値を1つの圧力検出手段で判定できるので、目的とする設定値ごとに、個々の圧力スイッチを設ける必要がなくなった。
したがって、1つの圧力検出手段で足りるので、設置スペースも少なくてすみ、設置コストも軽減される。
【0019】
第2の発明によれば、オリフィス前後の差圧を検出値としているので、流体圧源の吐出する圧力流体が変動しても、ワークと基準面との隙間量などに応じて変化する差圧にはあまり影響がないため、安定して判定結果を得ることができる。
また、第2の発明は、目的とする設定値の数にかかわらず、検出圧通路上に設けられた1つのオリフィスのみで足りるので、常に圧力検出精度が変わらない環境を維持できる。
【0020】
また、第3の発明によれば、検出ノズル詰まりと、オリフィス詰まりとの2つの状態を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を用いてこの発明の第1実施形態について説明する。
この第1実施形態の位置検出装置は、表面を基準面1としたテーブルTと、このテーブルTに載せたワークWとの間に、検出ノズル2を介して圧力流体を供給するとともに、テーブルTとワークWとの間からの圧力流体の漏れ量に応じて変化する圧力を検出し、その圧力に応じてワークWがテーブルTに適切な状態で載せられているかどうかを検出するものである。
【0023】
この装置は、
図1に示すように、上記テーブルTが、その表面を基準面1とするとともに、この基準面1に開口する小孔からなる検出ノズル2を形成している。そして、配管を介して上記検出ノズル2に接続する下流ポート10を一端に設けた検出圧通路11を備えている。さらに、この検出圧通路11の他端側には上流ポート12を設けるとともに、この上流ポート12に配管を介して高圧の圧力流体を吐出する流体圧源3を接続している。
したがって、検出圧通路11を介して上記下流ポート10及び上流ポート12が連通するとともに、流体圧源3と検出ノズル2とが検出圧通路11を介して連通することになる。
【0024】
この検出圧通路11上には、圧力検出手段Sが設けられている。
この圧力検出手段Sは、上記検出圧通路11上にオリフィス13が設けられ、このオリフィス13よりも上流ポート12側には、第1圧力センサ14が設けられるとともに、このオリフィス13よりも下流ポート10側には、第2圧力センサ15が設けられている。そして、これら第1圧力センサ14と第2圧力センサ15とは、オリフィス13前後に生じる圧力値P1,P2を基に演算する演算部16に接続されている。
このように、第1実施形態の圧力検出手段Sは、上記オリフィス13、2つの圧力センサ14,15、及び演算部16とで構成される。
【0025】
この演算部16には、第1圧力センサ14と第2圧力センサ15とが検出した圧力が、電圧信号又は電流信号として入力される。そして、これら圧力値P1,P2を基に引き算や割り算、あるいは所定の計算式に基づいた差圧値が算出され、この差圧値を検出値として電圧信号又は電流信号が出力される。
なお、圧力検出手段Sが出力する検出値とは、電圧信号又は電流信号、あるいはこれらの値を所定の変換式に基づいて変換したもの等を広く含むものである。
【0026】
この第1実施形態の検出値は、ワークWがテーブルTの基準面1に対して、目的の精度を維持して着座している状態を確認するとともに、ホールクランプHに対してワークWが適切なセッティング状態にあるかを検査している。すなわち本着座の状態を維持しているかどうかと、仮着座の状態が適切であるかどうかを判定するために用いられる。
【0027】
このように演算部16から出力された検出値は、圧力検出手段Sと接続する判定部18に入力される。この判定部18は記憶部19に接続されている。
この記憶部19には、ワークWと基準面1との隙間量などに応じて変化する差圧を設定値として、あらかじめ複数記憶させており、基準面1にワークWが仮着座する状態、又は基準面1にワークWが本着座する状態、あるいは両方の状態に応じた設定値が記憶されている。
そして、上記判定部18は、上記設定値と上記検出値とを対比して、この設定値に応じた仮着座の状態や、本着座の状態などの適否を判定して、この判定結果が信号として出力されるようにしている。
【0028】
また、この第1実施形態の装置は、表面を基準面1としたテーブルTに、ホールクランプHを設けている。このホールクランプHは、
図5に示すように、周方向に複数設けた爪部8と、これら複数の爪部8に囲われたカムロッド7とからなる。
そして、上記複数の爪部8の外側には、上記周方向に沿って滑り止め用の凹凸8aが形成されている。また、上記カムロッド7は、爪部8に囲われた部分が、先端に向かうにしたがって拡径されるとともに、上記爪部8に対して軸方向に移動可能にしている。
したがって、カムロッド7を
図5に示した状態から爪部8内に引き込めば引き込むほど、爪部8に対してカムロッド7の外径が拡大するとともに、その拡大にともなって爪部8が外側に開くことになる。
このように、ワークWをホールクランプHでクランプして、ワークWが加工される際にワークWがテーブルTから動かないようにしている。
【0029】
以下に、この位置検出装置の制御と作用を、
図2に示すフローチャートを用いて説明する。
この第1実施形態の位置検出装置において、ステップS1で、記憶部19にワークWを基準面1に載せた仮着座の設定値A1と、ホールクランプHでクランプさせた後のワークWを基準面1に載せた本着座の設定値A2とを、あらかじめ記憶させている。
この仮着座とは、ワークWの底面に設けられたクランプ孔6に上記テーブルTから突出させたホールクランプHを挿入させ、このワークWとテーブルTの表面である基準面1とが所定の間隔量を保って、ワークWが基準面1に載置されている状態をいう。また、本着座とは、ワークWと基準面1とが密着して載置されている状態をいう。
【0030】
次に、ロボットなどが運んできたワークWは、このワークWの底面に設けられたクランプ孔6にホールクランプHが挿入された状態で、表面を基準面1としたテーブルT上に載せられる。
このワークWが所定の状態でテーブルT上に載せられると、ステップS2で、仮着座の状態でワークWの載置が終了した信号が装置に入力される。
【0031】
続いて、このワークWが基準面1に載置された状態が、適切な仮着座の状態か否かを検査する。
ステップS2で、上記ワークWの仮着座終了信号が入力されると、ステップS3に進み、流体圧源3が圧力流体を供給して、検出ノズル2から圧力流体が噴出される。そして、第1圧力センサ14の圧力値P1と第2圧力センサ15の圧力値P2とを、それぞれ検出する。
【0032】
このとき、ワークWと基準面1との隙間量が小さければ小さいほど、オリフィス13よりも下流ポート10側の圧力が高まる。そして、オリフィス13よりも下流ポート10側に接続された第2圧力センサ15は、このオリフィス13よりも下流ポート10側の圧力を圧力値P2として検出している。
また、オリフィス13よりも上流ポート12側に接続された第1圧力センサ14は、オリフィス13よりも上流ポート12側の圧力、つまり流体圧源3の供給圧を圧力値P1として検出している。
このように検出された圧力値P1,P2は電圧信号又は電流信号として、第1圧力センサ14と第2圧力センサ15とに接続する演算部16に出力される。
【0033】
ステップS4で、演算部16は、第1圧力センサ14と第2圧力センサ15とから送られてきた圧力値P1,P2が入力され、引き算や割り算、あるいは所定の計算式に基づいた差圧値が算出され、この差圧値を検出値Pとして電圧信号又は電流信号を出力する。
【0034】
次に、ステップS5で、演算部16から出力された検出値Pは、圧力検出手段Sと接続する判定部18に入力される。この判定部18は、記憶部19と接続している。
そして、上記判定部18は、記憶部19にあらかじめ記憶させた仮着座の設定値A1と上記検出値Pとを対比する。このように、あらかじめ記憶部19に記憶されている設定値A1と比較され、上記検出値Pと上記設定値A1とが同じ値又は設定範囲内にあるか、判定される。
【0035】
この判定部18で設定された設定値A1が検出された場合には、クランプ孔6とホールクランプHとの軸中心が一致している状態であってワークWと基準面1との隙間量が適切であり、仮着座が適切に行われたものと判定して、YESの信号を出力する。そして、ステップS6に進み、仮着座OK信号を出力する。
一方で、設定された設定値A1に対して誤差がある場合には、仮着座が適切に行われなかったと判定し、NOの信号を出力する。そして、ステップS13に進み、仮着座NO信号を出力し、ホールクランプHのクランプ動作を中止させる。
【0036】
なお、設定された圧力に対して誤差がある場合とは、設定値や設定範囲に満たない場合と、これらの値を超えた検出値が検出された場合とがある。上記設定値や設定範囲に満たない場合には、上記のようにNOの信号を出力する。しかし、これらの値を超えた場合には、仮着座が適切でないと判定する場合と、仮着座として適正であると判定する場合とのいずれかの判定がされる。このような場合には、必要とされる装置に応じて判定結果を変更できるようにしている。いずれの場合にしても、仮着座と、後述する本着座との2つの状態を検知している。
【0037】
また、この仮着座が適切に行われなかった場合とは、ホールクランプHとクランプ孔6との軸中心が一致せずに、ホールクランプHがクランプ孔6に対して斜めになっている状態が想定される。このような状態で、ホールクランプHのカムロッド7を無理やり引っ張りこむと、ホールクランプHが破損したり、あるいはクランプ孔6を傷つけたりしてしまう。
他にも、ワークWと基準面1との間に切削屑等のゴミや油、水滴等が付着した状態などが想定される。
【0038】
ステップ13の仮着座NO信号は、想定されるこれらの問題の状態を改善する機会を与えるものである。このような問題を解決し、次にステップS14に進み、ワークWがあらためて載置し直される。ワークWが載置された後、ステップS2に戻り、各ステップを繰り返す。
【0039】
ステップS6の仮着座OK信号に基づいて、ステップS7に進み、ホールクランプHがクランプ動作を開始する。
上記ホールクランプHでワークWをクランプするときには、ワークWのクランプ孔6に爪部8が挿入された状態を保ちながら、カムロッド7を爪部8側に引き込む。カムロッド7を引き込めば、上記したように爪部8が外側に開いて、クランプ孔6の内面に圧接するので、ワークWをしっかりクランプすることができる。
【0040】
このようにホールクランプHでワークWをクランプしたら、そのクランプ状態を維持して、さらにホールクランプHを下方に引き付け、ワークWをテーブルTに密着させる。
このクランプ動作は、流体圧源3が圧力流体を供給して、検出ノズル2から圧力流体を噴出させた状態で、ワークWで検出ノズル2を塞ぐようにして基準面1上に着座させる。そして、このクランプ動作が終了した時点で、ステップS8に進みワークWの本着座終了信号を装置に入力する。
【0041】
次に、ワークWが基準面1に載置された状態が、適切な本着座の状態か否かを確認する。
ステップS8で、上記ワークWの本着座終了信号が装置に入力されたあと、ステップS9では、流体圧源3が圧力流体を供給させた状態で、第1圧力センサ14の圧力値P´1と第2圧力センサ15の圧力値P´2とを、それぞれ検出する。
このとき、ワークWと基準面1との間に隙間がなく密着していれば、検出ノズル2から圧力流体が噴出しないため、オリフィス13よりも下流ポート10側の圧力は、流体圧源3の供給圧となっている。言い換えれば、ワークWが基準面1上にぴったりと着座していれば、オリフィス13前後の圧力が等しくなっている。つまり、差圧が生じない状態になっている。
【0042】
一方、ワークWを着座させた際に、ワークWと基準面1との間にゴミや油、水滴等が入りこんで隙間が生じていると、検出ノズル2から圧力流体が噴出するため、検出圧通路11において、オリフィス13よりも下流ポート10側の圧力が低下する。つまり、差圧が生じる状態になっている。
このように検出された圧力値P´1,P´2は、電圧信号又は電流信号として、第1圧力センサ14と第2圧力センサ15に接続する演算部16に出力される。
【0043】
ステップS10で、演算部16は、第1圧力センサ14と第2圧力センサ15とから送られてきたそれぞれの電圧信号又は電流信号を入力し、引き算や割り算、あるいは所定の計算式に基づいて差圧値が算出され、この差圧値を検出値P´として電圧信号又は電流信号を出力する。
【0044】
次に、ステップS11で、演算部16から出力された検出値P´は、圧力検出手段Sと接続する判定部18に入力される。
そして、上記判定部18は、記憶部19にあらかじめ記憶させた本着座の設定値A2と上記検出値P´とを対比する。このように、記憶部19にあらかじめ記憶されている設定値A2と比較され、上記検出値P´と上記設定値A2とが同じ値又は設定範囲内にあるか、判定される。
【0045】
この判定部18で設定された設定値A2が検出された場合には、ワークWと基準面1との隙間量が適切であり、本着座が適切に行われたものと判定して、YESの信号を出力する。そして、ステップS12に進み、本着座OK信号を出力して、ステップを終了する。この本着座OK信号に基づいて、加工機械等による作業を開始させる。
【0046】
一方で、設定された設定値A2を検出しない場合には、本着座が適切に行われなかったと判定して、NOの信号を出力する。そして、ステップS15に進み、本着座NO信号を出力して、ホールクランプHのクランプ動作を中止させる。
この本着座NO信号に基づいて、ステップS14に進み、ワークWがあらためて載置し直され、その後、ステップS2に戻り、各ステップを繰り返す。
このように、第1実施形態では、仮着座の状態と、本着座の状態との、2つのワークWの載置状態を検知している。
【0047】
なお、これら2つのワークWの載置状態を検知するだけでなく、この第1実施形態では、検出ノズル2や検出圧通路11上のオリフィス13の目詰まり状態を検査することができる。この検査は、ワークWがテーブルTに載置されていない状況のときに行われる。そのため、ロボットがワークWをテーブルTに載せる直前や、ワークWの加工が終了し、ワークWをテーブルTから移動させた後に、検査を行う。
【0048】
ワークWが非載置の状態で、所定の供給圧力を維持させた圧力流体を上記検出ノズル2から噴出させたときのオリフィス13前後の差圧を設定値として上記記憶部19に記憶させる。さらに、ワークWが非載置の状態で、所定の供給圧力を維持させた圧力流体を上記検出ノズル2から噴出させたときのオリフィス13詰まりの状態、又は検出ノズル2詰まりの状態、あるいは両方の状態に対応するオリフィス13前後の差圧を設定値として記憶部19にあらかじめ記憶させておく。
【0049】
そして、ワークWが非載置の状態で、所定の供給圧力を維持させた圧力流体を検出ノズル2から噴出させて、オリフィス13の前後の差圧を検出し、この検出値を判定部18に出力する。この判定部18では、オリフィス13詰まり、又は検出ノズル2詰まりの設定値と上記検出値とを対比し、上記検出ノズル2の状態やオリフィス13の状態を判定する。この判定結果が信号として出力される。
【0050】
このとき、検出ノズル2詰まりが発生している場合には、オリフィス13よりも下流ポート10側の圧力が高まり、このオリフィス13よりも下流ポート10側と上流ポート12側との差圧は、所定の供給圧力を維持させた時の差圧よりも差が少なくなる。
また、オリフィス13詰まりが発生している場合には、オリフィス13よりも下流ポート10側の圧力が低下し、このオリフィス13よりも下流ポート10側と上流ポート12側との差圧は、所定の供給圧力を維持させた時の差圧よりも差が大きくなる。
このように、検出ノズル2詰まりと、オリフィス13詰まりとの2つの状態を検知することができる。
【0051】
この第1実施形態は、記憶部19に設定値を複数記憶させ、基準面1にワークWが仮着座する状態、又は基準面1にワークWが本着座する状態、あるいは両方の状態に応じた設定値が記憶されているので、仮着座の状態や、本着座の状態に係るワークWの載置状態の他、複数の状態を判定できるようになった。このように、複数の設定値を1つの圧力検出手段となる圧力検出手段Sで判定できるので、目的とする設定値ごとに、個々の圧力スイッチを設ける必要がなくなった。
したがって、1つの圧力検出手段Sで足りるので、設置スペースも少なくてすみ、設置コストも軽減される。
【0052】
また、オリフィス13前後の差圧を検出値としているので、流体圧源3の吐出する圧力流体が変動しても、ワークWと基準面1との隙間量などに応じて変化する圧力差にはあまり影響がないので、安定して判定結果を得ることができる。
さらに、目的とする設定値の数にかかわらず、検出圧通路11上に設けられた1つのオリフィス13のみで足り、常に圧力検出精度が変わらない環境を維持できる。
【0053】
図3を用いてこの発明の第2実施形態について説明する。
なお、この第2実施形態においては、上記第1実施形態における圧力検出手段Sに係る構成と制御とが上記第1実施形態と異なり、その他の構造および作用については同じである。したがって、ここでは、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明することとする。
【0054】
図3に示すように、第2実施形態の圧力検出手段Sは、検出圧通路11上にオリフィス13を設けている。このオリフィス13よりも上流ポート12側及びオリフィス13よりも下流ポート10側には、この上流ポート12側と下流ポート10側とを結ぶ差圧センサ20が設けられている。この差圧センサ20は、オリフィス13前後に生じる差圧に基づいて変化する差圧値を検出値として、電圧信号又は電流信号を判定部18に出力する。
このように、第2実施形態の圧力検出手段Sは、上記オリフィス13と差圧センサ20とで構成されている。
【0055】
なお、差圧センサ20とは、比較する圧力同士をセンサ内に導き、その比較する圧力間に薄い膜が設けられ、比較する圧力同士の差圧に応じて生じる電気的な抵抗の変化を検出値としている。
また、差圧センサ20が出力する検出値とは、電圧信号や電流信号、あるいはこれらの値を所定の変換式に基づいて変換したもの等を広く含むものである
このように出力された検出値は、圧力検出手段Sと接続する判定部18に入力される。
その他の構造は第1実施形態と同じである。
【0056】
次に、この第2実施形態の位置検出装置の制御と作用とについて説明する。
この第2実施形態では、仮着座と本着座の検出値を検出する手段が異なっているだけで、その他の制御と作用は同じである。
このワークWが基準面1に載置された状態が、適切な仮着座の状態か否かを検査するステップでは、
図2に示したフローチャート上のステップS3とステップS4とが差圧センサ20で同時に行われ、検出値Pを判定部18に出力する。
【0057】
また、ワークWが基準面1に載置された状態が、適切な本着座の状態か否かを確認するステップでは、フローチャート上のステップS9とステップS10とが、差圧センサ20で同時に行われ、検出値P´を判定部18に出力する。
その他の制御と作用は第1実施形態と同じである。
【0058】
なお、上記各実施形態においては、ワークWの載置状態、検出ノズル2の状態、又はオリフィス13の状態について説明したが、この発明はこれらの状態の確認に限らず、ワークWの位置を確認する位置検出装置において広く用いることができる。