【実施例】
【0115】
  以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0116】
<弾性回復率>
  PICODENTOR  HM500(フィッシャーインストルメンツ社製)硬度測定器を用い、面角136°のダイアモンド錐体圧子により、25℃において、0.050mN/μm
2・秒の負荷速度で、20秒かけて1.0mN/μm
2の圧力まで圧力をかけ、その後、0.050mN/μm
2・秒の除荷速度で20秒かけて圧力を0まで除荷した時の荷重と変形量とのヒステリシス曲線から、塑性変形仕事(Wplast)、弾性変形仕事量(Welast)を求めて、所定の圧力における弾性回復率(%)を下式で算出した。
  弾性回復率(%)=[Welast/(Wplast+Welast)]×100
  任意の5箇所で測定し、その平均値を弾性回復率とした。
【0117】
<平均厚み>
  防曇層の厚みは、防曇積層体の断面を、電界放出形走査電子顕微鏡S−4700(商品名;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察することで測定した。任意の5箇所で測定し、その平均値を、平均厚みとした。
【0118】
<動摩擦係数>
  Triboster  TS501(商品名;協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。面接触子にBEMCOT(登録商標)  M−3II(商品名;旭化成株式会社製)を両面テープで貼り付け、測定荷重50g/cm
2、測定速度1.7mm/s、測定距離20mmとし、任意の12箇所で測定し、その平均値を動摩擦係数とした。
【0119】
<呼気防曇性>
  25℃37%RHの環境で、防曇層の表面に対して、該表面から法線方向に5cm離れた距離から息を大きく1回吐きかけた。その後、直ちに、目視で表面を観察し、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
  ◎:  防曇層表面に外観変化が全くなかった。
  ○:  防曇層表面の一部において、白い曇り、水膜形成などの外観変化が確認された。
  ×:  防曇層表面が全体的に、白い曇り、水膜形成などの外観変化が確認された。
【0120】
<耐擦傷性>
  スチールウール(商品名:ボンスター、番手:#0000)を防曇層の表面に置き、荷重400gf/13mmφにて10往復摺動(摺動ストローク:3cm、摺動速度:6cm/s)した後、下記評価基準で、外観、及び呼気防曇性について評価した。
<<外観>>
〔評価基準〕
  ○:  外観に傷付きや白濁などの変化がなかった。
  ×:  外観に傷付きや白濁などの変化があった。
<<呼気防曇性>>
〔評価基準〕
  ○:  呼気防曇性に変化がなかった。
  ×:  呼気防曇性が劣化した。
【0121】
<防汚性>
  Sharpie  PROFESSIONAL(黒の油性マジック、商品名、Newell  Rubbermaid社製)で防曇層の表面を汚した。その後、これをティッシュ(大王製紙株式会社製、エリエール)で10回、円を描くように払拭後に、目視で表面を観察し、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
  ○:  汚れがなくなっていた。
  ×:  汚れが残っていた。
【0122】
<純水接触角>
  純水接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定した。蒸留水をプラスチックシリンジに入れて、その先端にステンレス製の針を取り付けて評価面(防曇層表面)に滴下した。
  水の滴下量:2μL
  測定温度:25℃
  水を滴下して5秒経過後の接触角を、防曇層表面の任意の10か所で測定し、その平均値を純水接触角とした。
【0123】
<ヘキサデカン接触角>
  ヘキサデカン接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定した。ヘキサデカンをプラスチックシリンジに入れて、その先端にテフロンコートステンレス製の針を取り付けて評価面(防曇層表面)に滴下した。
  ヘキサデカンの滴下量:1μL
  測定温度:25℃
  ヘキサデカンを滴下して20秒経過後の接触角を、防曇層表面の任意の10か所で測定し、その平均値をヘキサデカン接触角とした。
【0124】
<成型加工>
  作製した防曇積層体を赤外線照射により150℃で5秒間加熱後、真空圧空成型により、凹面が防曇層となるように、φ80mmの8カーブレンズ状に成型した。その後、トムソン刃でφ80mmの8カーブレンズ状防曇積層体を打ち抜いた。これをインサート成型用金型にセットし、溶融したポリカーボネートを充填後、ポリカーボネートが固化するまで冷却した。その後、金型を開き、凹面が防曇層の8カーブレンズを得た。
【0125】
<<成型加工後の呼気防曇性>>
  25℃37%RHの環境で、防曇層の表面に対して、レンズ中心部から法線方向に5cm離れた距離から息を大きく1回吐きかけた。その後、直ちに、目視で表面を観察し、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
  ◎:  防曇層表面に外観変化が全くなかった。
  ○:  防曇層表面の一部において、白い曇り、水膜形成などの、外観変化が確認された。
  ×:  防曇層表面が全体的に、白い曇り、水膜形成など、外観変化した。
【0126】
<<成型加工後の耐擦傷性>>
  スチールウール(商品名:ボンスター、番手:#0000)をレンズの防曇層側表面に置き、荷重400gf/13mmφにて10往復摺動(摺動ストローク:3cm、摺動速度:6cm/s)した後、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
  ○:外観及び呼気防曇性に変化がなかった。
  ×:外観に傷付きや白濁などの変化があり、及び/又は呼気防曇性が劣化した。
【0127】
<密着性>
  JIS  K5600−5−6(クロスカット試験法)に準拠してクロスカット密着試験を行った。100マス中、剥がれずに残った数を数えた。
  剥がれない(100マス中100マス残る)場合を、「100/100」と表し、すべて剥がれる(100マス中1マスも残らない)場合を、「0/100」と表す。
  なお、剥がれがある場合は、それが、ガラス−アンカー層間で生じているのか、又はアンカー層−防曇層間で生じているのかも確認した。
【0128】
<蒸気による曇り性>
  容器の約半分に水を入れた。入れた水をヒーターにより加熱して55℃に保持し、かつ、容器内の上部空間の大気温度を35℃に保持した。その容器に、防曇積層体(サンプル)を、水(お湯)に接しないように設置した(
図6A)。そして、防曇積層体(サンプル)の防曇層に約40℃のお湯をかけた(
図6B)。その後、
図6Aの状態に戻し、30分後に目視で曇りの様子を観察した。下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
  ◎:  防曇層表面に外観変化が全くなかった。
  ○:  防曇層表面の一部において、白い曇り、水膜形成などの、外観変化が確認された。
  ×:  防曇層表面が全体的に、白い曇り、水膜形成など、外観変化した。
【0129】
(実施例1)
<防曇積層体の作製>
  樹脂製基材として、三菱ガス化学株式会社製のFE−2000(PC基材、平均厚み180μm)を用いた。
【0130】
  次に、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、乾燥及び硬化後の平均厚みが10μmとなるように、前記樹脂製基材上に塗布した。塗布後、60℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下、照射量500mJ/cm
2で紫外線を照射して、防曇層を硬化させ、防曇積層体を得た。
【0131】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0132】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−1に示した。
【0133】
(実施例2)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0134】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR9035(サートマー社製)  60.41質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  25.89質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0135】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−1に示した。
【0136】
(実施例3)
  実施例1において、乾燥及び硬化後の防曇層の平均厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0137】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−1に示した。
【0138】
(比較例1)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0139】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR9035(サートマー社製)  51.78質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  34.52質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0140】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−1に示した。
【0141】
(比較例2)
  実施例2において、乾燥及び硬化後の防曇層の平均厚みを3μmとした以外は、実施例2と同様にして、防曇積層体を得た。
【0142】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−1に示した。
【0143】
(比較例3)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0144】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・メガファックRS−75(DIC株式会社製)  2.25質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0145】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−2に示した。
【0146】
(実施例4)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0147】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・BYK3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)  1質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0148】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−3に示した。
【0149】
(実施例5)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0150】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR415(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0151】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−4に示した。
【0152】
(実施例6)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0153】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR415(サートマー社製)  60.41質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  25.89質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0154】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−4に示した。
【0155】
(比較例4)
  実施例1において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防曇積層体を得た。
【0156】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
  ・SR415(サートマー社製)  51.78質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  34.52質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0157】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表1−4に示した。
【0158】
【表1-1】
【0159】
【表1-2】
【0160】
【表1-3】
【0161】
【表1-4】
【0162】
  表1−1〜表1−4中の略号又は商品名は以下のとおりである。
  SR9035:サートマー社製
  SR415:サートマー社製
  EB40:EBECRYL  40、ダイセルオルネクス株式会社製
  DAC−HP:オプツールDAC−HP、ダイキン工業株式会社製
  RS75:メガファックRS−75、DIC株式会社製
  BYK3500:ビックケミー・ジャパン株式会社製
  KY−1203:信越化学工業株式会社製
  184D:イルガキュア  184D、BASF社製
  IPA:イソプロピルアルコール
【0163】
  防曇層が、弾性回復率90%以上、平均厚み4μm以上、及び動摩擦係数0.40以下を満たすことで、耐久性に優れる防曇性を得ることができた。
  比較例1及び比較例4は、防曇層が平均厚み4μm以上、及び動摩擦係数0.40以下を満たしていたが、弾性回復率が90%未満であったため、耐擦傷性が劣っていた。
  防曇層の平均厚みが防曇性の耐久性向上にどのように寄与するか現時点では詳細不明であるが、比較例2より、防曇性の耐久性向上のためには、防曇層の弾性回復率及び動摩擦係数のみでなく、平均厚みが4μm以上であることが必要と判明した。
  比較例3は、防曇層が弾性回復率90%以上、及び平均厚み4μm以上であったが、動摩擦係数が0.40より大きかったため、耐擦傷性が劣っていた。
  実施例4より、良好な防汚性をも併せ持つためには、防曇層の表面の純水接触角が70°以上であり、且つヘキサデカン接触角が35°以上であることが好ましいと判明した。
【0164】
(実施例7)
<防曇積層体の作製>
  基材として、ガラス製基材(日本板硝子(株)製、フロート板ガラス、平均厚み5mm)を用いた。
【0165】
  下記アンカー層形成用樹脂組成物(1−1)を、乾燥及び硬化後厚みが1μmとなるように、前記ガラス製基材上に塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。高圧水銀ランプを用いて、空気雰囲気下、照射量500mJ/cm
2で紫外線を照射して、アンカー層(下地層)を得た。
【0166】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−1)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  65.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  35.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0167】
  次に、前記アンカー層上に、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)を、乾燥及び硬化後の平均厚みが15μmとなるように塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下、照射量500mJ/cm
2で紫外線を照射して、防曇層を硬化させ、防曇積層体を得た。
【0168】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−1)−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0169】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0170】
(実施例8)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−2)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0171】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−2)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  70.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  30.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0172】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0173】
(実施例9)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−3)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0174】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−3)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  85.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  15.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0175】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0176】
(実施例10)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−4)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0177】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−4)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  70.0質量部
  ・HEAA  (KJケミカルズ株式会社製)  30.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0178】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0179】
(実施例11)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−5)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0180】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−5)−
・UT5181(日本合成株式会社製)  70.0質量部
・A−TMM−3L  (新中村化学株式会社製)  30.0質量部
・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0181】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0182】
(実施例12)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−6)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0183】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−6)−
  ・UT5181(日本合成社製)  70.0質量部
  ・M3130  (Miwon社製)  30.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0184】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0185】
(実施例13)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−7)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0186】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−7)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  70.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  25.0質量部
  ・KBM−503(信越化学株式会社製)  5.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0187】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−1に示した。
【0188】
(実施例14)
  実施例8において、アンカー層の平均厚みを5μmに変えた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0189】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0190】
(実施例15)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−2)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0191】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−2)−
  ・SR9035(サートマー社製)  60.41質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  25.89質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0192】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0193】
(実施例16)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−3)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0194】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−3)−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0195】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0196】
(実施例17)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−4)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0197】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−4)−
  ・SR9035(サートマー社製)  60.41質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  25.89質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0198】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0199】
(実施例18)
  実施例16において、アンカー層の平均厚みを5μmに変えた以外は、実施例16と同様にして、防曇積層体を得た。
【0200】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0201】
(実施例19)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−8)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0202】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−8)−
  ・UT5181(日本合成株式会社製)  90.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  10.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0203】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0204】
(実施例20)
  実施例7において、アンカー層の平均厚みを0.1μmに変えた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0205】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−2に示した。
【0206】
(実施例21)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−8)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0207】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−8)−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・BYK3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)  1質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・イソプロピルアルコール  10質量部
【0208】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0209】
(比較例5)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−5)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0210】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−5)−
  ・SR9035(サートマー社製)  51.78質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  34.52質量部
  ・KY−1203(信越化学工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0211】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0212】
(比較例6)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−6)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0213】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−6)−
  ・SR9035(サートマー社製)  51.78質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  34.52質量部
  ・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製)  4.5質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0214】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0215】
(比較例7)
  実施例15において、乾燥及び硬化後の防曇層の平均厚みを3μmとした以外は、実施例15と同様にして、防曇積層体を得た。
【0216】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0217】
(比較例8)
  実施例8において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−7)を用いた以外は、実施例8と同様にして、防曇積層体を得た。
【0218】
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(2−7)−
  ・SR9035(サートマー社製)  69.04質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  17.26質量部
  ・メガファックRS−75(DIC株式会社製)  2.25質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  2.7質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  10質量部
【0219】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0220】
(参考例1)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−9)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0221】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−9)−
  ・UT5181(日本合成株式会社社製)  60.0質量部
  ・EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)  40.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3.0質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0222】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0223】
(参考例2)
  実施例7において、アンカー層形成用樹脂組成物として、下記組成のアンカー層形成用樹脂組成物(1−10)を用いた以外は、実施例7と同様にして、防曇積層体を得た。
【0224】
−アンカー層形成用樹脂組成物(1−10)−
  ・UT5181(日本合成株式会社社製)  70.0質量部
  ・Miramer  M300(Miwon社製)  30.0質量部
  ・イルガキュア  184D(BASF社製)  3質量部
  ・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)  900質量部
【0225】
  得られた防曇積層体について、上述の評価に供した。結果を、表4−3に示した。
【0226】
  アンカー層形成用樹脂組成物の配合を以下に整理する。
【0227】
【表2】
【0228】
  UT−5181:UT5181(日本合成株式会社製)、ウレタンアクリレート
  EB40:EBECRYL  40(ダイセルオルネクス株式会社製)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート
  HEAA:HEAA  (KJケミカルズ株式会社製)、ヒドロキシエチルアクリレート
  TMM3L:A−TMM−3L  (新中村化学株式会社製)、ペンタエリスリトールトリアクリレート
  TMP(EO)3TA:M3130  (Miwon社製)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート
  TMPTA:Miramer  M300(Miwon社製)、トリメチロールプロパントリアクリレート
  KBM503:KBM−503(信越化学株式会社製)
  Irg184D:イルガキュア  184D(BASF社製)
【0229】
  防曇層の作製に用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の配合を以下に整理する。
【0230】
【表3】
【0231】
【表4-1】
【0232】
【表4-2】
【0233】
【表4-3】
【0234】
  防曇層が、弾性回復率90%以上、平均厚み4μm以上、及び動摩擦係数0.40以下を満たすことで、耐久性に優れる防曇性を得ることができた。
  比較例5及び比較例6は、防曇層が平均厚み4μm以上、及び動摩擦係数0.40以下を満たしていたが、弾性回復率が90%未満であったため、耐擦傷性が劣っていた。
  防曇層の平均厚みが防曇性の耐久性向上にどのように寄与するか現時点では詳細不明であるが、比較例7より、防曇性の耐久性向上のためには、防曇層の弾性回復率及び動摩擦係数のみでなく、平均厚みが4μm以上であることが必要と判明した。
  比較例8は、防曇層が弾性回復率90%以上、及び平均厚み4μm以上であったが、動摩擦係数が0.40より大きかったため、耐擦傷性が劣っていた。
  実施例21より、良好な防汚性をも併せ持つためには、防曇層の表面の純水接触角が70°以上であり、且つヘキサデカン接触角が35°以上であることが好ましいと判明した。
【0235】
  基材をガラス製基材とする場合、ガラス製基材上に直接防曇層を形成するよりも、ガラス製基材と防曇層との間にアンカー層を設けることが、層間密着性を高める点で好ましい。
  また、実施例20と他の実施例との対比より、アンカー層の平均厚みは、0.5μm以上が好ましいことがわかった(実施例20)。
  更に、参考例1及び2と実施例との対比より、アンカー層は、以下の条件(1)〜(3)を満たすことが、層間密着性が優れる点で好ましいことがわかった。
  (1)前記アンカー層は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
  (2)前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における活性エネルギー硬化性成分は、ウレタン(メタ)アクリレートを65質量%以上含有する。
  (3)前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における活性エネルギー硬化性成分は、水酸基を有する活性エネルギー性硬化性成分、及びエチレンオキサイド構造を有する活性エネルギー性硬化性成分の少なくともいずれかを含有する。
  更に、実施例19と他の実施例との対比より、アンカー層は、更に以下の条件(4)を満たすことが、層間密着性がより優れる点で好ましいことがわかった。
  (4)前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における活性エネルギー硬化性成分は、水酸基を有する活性エネルギー性硬化性成分、及びエチレンオキサイド構造を有する活性エネルギー性硬化性成分の少なくともいずれかを15質量%以上含有する。
【0236】
  なお、参考例1及び2は、ガラス製基材とアンカー層との密着性が悪いことから、防曇性等の評価を行わなかった。