(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-149409(P2017-149409A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】ウインドスクリーンワイパー駆動ロッド用のケーシング
(51)【国際特許分類】
B60S 1/34 20060101AFI20170804BHJP
B60S 1/38 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
B60S1/34 Z
B60S1/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-2078(P2017-2078)
(22)【出願日】2017年1月10日
(31)【優先権主張番号】16305016.4
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、カイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ミシェル、ジャラソン
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、イザベル
(72)【発明者】
【氏名】マーク、アントニー、パティソン
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AB01
3D025AC09
3D025AD02
3D025AE02
3D025AE05
3D025AE11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウインドスクリーンワイパーが使用されるときに駆動ロッドの領域のU形状湾曲部が応力を受けて変形され、これにより、ライン又はケーブルが劣化し、更には、ウインドスクリーンワイパーの噴射手段又は加熱手段への供給が損なわれることを解決するケーシングを提供すること。
【解決手段】自動車両の、ウインドスクリーンワイパー駆動ロッド用のケーシング20'であって、前記ケーシングは、前記駆動ロッドの少なくとも一部を覆うように構成されるとともに、前記駆動ロッドに対して及び/又は前記駆動ロッドに連結される少なくとも1つの要素42に対して固定するための手段を備えるケーシングにおいて、前記ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル63及び/又は少なくとも1つの流体ライン64と協働するように構成される支持及び案内手段70を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車両の、ウインドスクリーンワイパー駆動ロッド(18,19)用のケーシング(20',20'',21')であって、前記ケーシングが、前記駆動ロッドの少なくとも一部を覆うように構成されるとともに、前記駆動ロッドに対して及び/又は前記駆動ロッドに連結される少なくとも1つの要素(42)に対して固定するための手段(54,56,58,60,62)を備えるケーシング(20',20'',21')において、
前記ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル(63)及び/又は少なくとも1つの流体ライン(64)と協働するように構成される支持及び案内手段(70,70',70'',70''')を更に備える、ケーシング(20',20'',21')。
【請求項2】
前記支持及び案内手段(70,70',70'',70''')は、前記ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル(63)及び少なくとも1つの流体ライン(64)と協働するように構成される、請求項1に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項3】
前記駆動ロッド(18,19)に対して及び/又は前記駆動ロッドに連結される前記少なくとも1つの要素(42)に対して着脱可能に固定するための手段(54,56,58,60,62)を備える、請求項1又は2に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項4】
前記固定手段(54,56,58,60,62)が弾性戻り止めによる固定手段(60,62)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項5】
前記固定手段(54,56,58,60,62)が係合及び/又は連結による固定手段(54,56,58)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項6】
略U形状の断面を有する本体を備え、前記本体が上壁(52)によって連結される2つの側壁(48,50,50')を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項7】
前記支持及び案内手段が少なくとも1つのリブ(70,70''')、例えば2つのリブ(70',70'')を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項8】
前記リブ(70,70',70'',70''')又は前記リブのうちの少なくとも1つが略湾曲形状又は略直線形状である、請求項7に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項9】
前記リブ又は各リブ(70,70',70'',70''')は、長尺形状であるとともに、前記少なくとも1つの電気ケーブル(63)及び/又は前記少なくとも1つの流体ライン(64)を支持して案内するための長手方向側面(76,76',76'')を備える、請求項7又は8に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項10】
前記支持及び案内手段(70,70',70'',70''')が前記ケーシングの上面(72)又は下面(72')に位置される、請求項1から9のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項11】
前記支持及び案内手段(70,70',70'',70''')が前記ケーシングの横方向延伸部上に位置される、請求項1から10のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')。
【請求項12】
ウインドスクリーンワイパー駆動ロッド(18,19)と請求項1から11のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')とを備える、特に自動車両の、アセンブリであって、
前記駆動ロッドは、略長尺形状であるとともに、モータの出力軸に連結されるように構成される第1の長手方向端部(40)と、前記ウインドスクリーンワイパーのブレード(22)の駆動アーム(24)の一端部に連結されるように構成される第2の長手方向端部(38)とを備える、アセンブリ。
【請求項13】
前記第2の長手方向端部(38)は、前記アーム(24)の回動ピン(42)を支持し、
前記ケーシング(20',20'',21')は、係合により前記ピンに固定するための第1の手段(54,56,58)と、弾性戻り止めにより前記駆動ロッド(18,19)に固定するための第2の手段(60,62)とを備える、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
請求項11又は12に記載のアセンブリとウインドスクリーンワイパーとを備える、特に自動車両の、ワイピング装置(10,12)であって、
前記ウインドスクリーンワイパーがブレード(22)と前記ブレードを駆動するためのアーム(24)とを備え、前記アームの一端部(36)が前記駆動ロッド(18,19)の前記第2の長手方向端部(38)に連結される、ワイピング装置(10,12)。
【請求項15】
少なくとも1つの電気ケーブル(63)及び/又は少なくとも1つの流体ライン(64)を備え、その少なくとも一部(68)が、実質的に前記ケーシング(20',20'',21')の表面(72,72')と平行な平面内に延在し、前記支持及び案内手段(70,70',70'',70''')が突出形成される、請求項14に記載の装置(10,12)。
【請求項16】
ウインドスクリーンワイパーと、前記ウインドスクリーンワイパーの駆動ロッド(18,19)と、請求項1から11のいずれか一項に記載のケーシング(20',20'',21')とを備える、特に自動車両の、ワイピング装置(10,12)のための動作方法であって、前記ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル(63)及び/又は少なくとも1つの流体ライン(64)が、特にウインドスクリーンワイパー動作中に、前記支持及び案内手段(70,70',70'',70'')によって案内される、動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、とりわけ自動車両のウインドスクリーンワイパー駆動ロッド用のケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両には、従来から、ウインドスクリーンを洗浄してドライバーの周囲の視野が損なわれないようにするためのウインドスクリーンワイパーが設けられる。これらのウインドスクリーンワイパーは、一般に、角度往復運動を行う駆動アームと、長尺なワイパーブレードとを備え、ワイパーブレードは、弾性材料から形成される掻き取りブレードラバーを支持する。これらのブレードラバーは、ウインドスクリーンに擦り付いて、水を一掃し、その水をドライバーの視野から除去する。ブレードは、従来のバージョンでは、掻き取りブレードラバーを複数の別個の位置で保持することにより、ブレードラバーに湾曲形状を与えて、ブレードラバーがウインドスクリーンの任意の曲率に追従できるようにする関節結合クランプの形態を成し、或いは、「フラットブレード」として知られるより最近のバージョンでは、クランプを使用する必要なくワイパーをウインドスクリーンに適用できるようにする1つ以上の屈曲スプラインによって掻き取りブレードラバーをその全長にわたって保持する半剛体アセンブリの形態を成す。
【0003】
いずれの解決策においても、ブレードは、コネクタとアダプタとを備える接続システムによって駆動アームに取り付けられる。コネクタは、ブレードに強固に接続されるとともに一般に掻き取りブレードラバー又は「フラットブレード」に直接に圧着される構成要素であり、一方、アダプタはアームに強固に接続される。アダプタは、コネクタを駆動アームに連結固定できるようにする中間構成要素である。アダプタは、一般に、駆動アームのクレビス(clevis)の形態を成すヘッド又は端部に係合するように構成される。
【0004】
駆動アームは、角度往復運動を行うためにモータにより駆動されるようになっている。アームの端部とは反対側のアーム端は、駆動ロッドを介してモータの出力軸に接続される。駆動ロッドは、長尺な一般的形状の剛体構成要素であり、その第1の長手方向端部がモータの出力軸に連結され、その反対側の第2の端部は、一般に、アームを駆動ロッドに対して回動させることができるようにアームと連結して関節結合するためのピンを備える。アームの関節ピンは、ウインドスクリーンの平面と略平行であり、それにより、アームを移動させてアームをウインドスクリーンから離間させることができるようにし、これは、ブレードの状態をチェックして、摩耗の場合にブレードを必要に応じて交換するために、メンテナンス動作中に必要である。
【0005】
駆動ロッドの第1の端部は、モータの出力軸に対して又はモータが減速ギアと関連付けられる場合にはギア付きモータの出力軸に対して直接に連結されてもよい。これは、特に、車両の運転席側に位置されるワイピング装置(ウインドスクリーンワイパー及び駆動ロッド)に適用される。変形例では、駆動ロッドの第1の端部が接続ロッドを介してモータ又はギア付きモータの出力軸に連結されてもよい。このとき、更なる接続ロッドが駆動ロッドの中央部を車両の一部に連結する。これは、例えば、車両の助手席側に位置されるワイピング装置(ウインドスクリーンワイパー及び駆動ロッドを備える)に当てはまる。
【0006】
ウインドスクリーンワイパーの駆動ロッドは、アセンブリの審美性を向上させるためにケーシングによって覆われていてもよい。駆動ロッドケーシングは、一般に、駆動ロッドを覆うように構成される非構造的な構成要素であり、したがって単に審美的な目的を有するだけでもよい。
【0007】
加熱手段及び/又は特に窓洗浄液のための流体噴射手段を有するウインドスクリーンワイパーを設けることが知られている。これらの手段は供給源を必要とする。加熱手段は、一般に、車両のボンネットの真下に位置される電源に対して電気ケーブルを介して接続される。噴射手段は、一般に、同様に車両のボンネットの真下に位置されるポンプ及びリザーバに対して流体ラインを介して連結される。ウインドスクリーンワイパーの各ライン及び/又は各ケーブルは、ウインドスクリーンワイパーのアームに沿って延在するとともに、一般に、駆動ロッドの領域にU形状湾曲部を備える。
【0008】
ウインドスクリーンワイパーが使用されるときにこのU形状湾曲部が応力を受けて変形されることが分かってきており、これにより、ライン又はケーブルが劣化し得る、或いは更には、ウインドスクリーンワイパーの噴射手段又は加熱手段への供給が損なわれ得る。
【0009】
本発明は、この問題に対する簡単で、効果的な、費用効率が高い解決策を提案する。
【発明の概要】
【0010】
この目的のために、本発明は、特に自動車両の、ウインドスクリーンワイパー駆動ロッド用のケーシングであって、前記ケーシングが、前記駆動ロッドの少なくとも一部を覆うように構成されるとともに、前記駆動ロッドに対して及び/又は前記駆動ロッドに連結される少なくとも1つの要素に対して固定するための手段を備えるケーシングにおいて、前記ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル及び/又は少なくとも1つの流体ラインと協働するように構成される好ましくは突出する支持及び案内手段を更に備える、ケーシングを提案する。
【0011】
したがって、本発明は、特にウインドスクリーンワイパーの動作中に、駆動ロッドケーシングによってケーブル及び/又はラインを案内できるようにする。ケーシングの手段は、特に、ケーブル及び/又はラインの変形及び/又は動作を案内してもよい。したがって、従来技術と比べると、この場合、ケーシングは、その審美的機能に加えて、案内機能を有する。前述したように、ケーシングは比較的単純な構成要素であり、また、前述した手段の付加は、製造をより複雑にするものではなく、これらの手段を他の場所に、例えば中実構成要素であるとともに製造するのに費用がかかる駆動ロッドに設ける必要性を排除する。
【0012】
本発明に係るケーシングは、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は互いに組み合わせて備えてもよい。
−ケーシングは、前記駆動ロッドに対して及び/又は前記駆動ロッドに連結される前記少なくとも1つの要素に対して着脱自在に固定するための手段を備える;
−前記固定手段が弾性戻り止め(resilient detent)による固定手段を備える;
−前記固定手段が係合及び/又は連結による固定手段を備える;
−ケーシングは、略U形状の断面を有する本体を備え、前記本体が上壁によって連結される2つの側壁を備える;
−前記支持及び案内手段が少なくとも1つのリブ、例えば2つのリブを備える;
−リブ又は前記リブのうちの少なくとも1つが略湾曲形状又は略直線形状である;
−リブ又は各リブは、長尺形状を成すとともに、前記少なくとも1つの電気ケーブル及び/又は前記少なくとも1つの流体ラインのための長手方向支持及び案内側面を備える;
−前記支持及び案内手段がケーシングの上面又は下面に位置される;
−前記支持及び案内手段が前記ケーシングの横方向延伸部上に位置される;及び
−前記ケーシングは、特に前記手段と共に例えばプラスチック材料で単一の構成要素として形成される。
【0013】
本発明は、更に、ウインドスクリーンワイパー駆動ロッドと前述したケーシングとを備える、特に自動車両の、アセンブリに関し、前記駆動ロッドは、略長尺形状を成すとともに、モータの出力軸に連結されるように構成される第1の長手方向端部と、ウインドスクリーンワイパーのブレードの駆動アームの一端部に連結されるように構成される第2の長手方向端部とを備える。
【0014】
前記第2の長手方向端部が前記アームの回動ピンを支持してもよい。前記ケーシングは、係合により前記ピンに固定するための第1の手段と、弾性戻り止めにより前記駆動ロッドに固定するための第2の手段とを備えてもよい。
【0015】
本発明は、更に、先に開示されたアセンブリとウインドスクリーンワイパーとを備える、特に自動車両の、ワイピング装置であって、前記ウインドスクリーンワイパーがブレードと前記ブレードの駆動アームとを備え、前記アームの一端部が駆動ロッドの前記第2の長手方向端部に連結される、ワイピング装置に関する。
【0016】
装置が少なくとも1つの電気ケーブル及び/又は少なくとも1つの流体ラインを備え、その少なくとも一部が、実質的に前記ケーシングの表面と平行な平面内に延在し、前記支持及び案内手段が前記ケーシングから突出して形成される。
【0017】
ワイピング装置は、車両の運転席側及び/又は助手席側に位置されてもよい。
【0018】
最後に、本発明は、ウインドスクリーンワイパーと、前記ウインドスクリーンワイパーの駆動ロッドと、先に開示されたケーシングとを備える、特に自動車両の、ワイピング装置のための動作方法であって、ウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル及び/又は少なくとも1つの流体ラインが、特にウインドスクリーンワイパー動作中に、前記支持及び案内手段によって案内される、動作方法に関する。
【0019】
添付図面に関連して非限定的な例として与えられる以下の説明を読むと、本発明をより良く理解できるとともに、本発明の更なる詳細、特徴、及び、利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、自動車両ウインドスクリーンの運転席側及び助手席側のそれぞれにあるワイピング装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、自動車両ウインドスクリーンの運転席側及び助手席側のそれぞれにあるワイピング装置の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、上から見た従来技術に係るウインドスクリーンワイパー駆動ロッドのためのケーシングの概略斜視図である。
【
図4】
図4は、下から見た従来技術に係るウインドスクリーンワイパー駆動ロッドのためのケーシングの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るワイピング装置の概略斜視図である。
【
図6】
図6は、上から見た
図4のワイピング装置の駆動ロッドケーシングの概略斜視図である。
【
図7】
図7は、下から見た
図4のワイピング装置の駆動ロッドケーシングの概略斜視図である。
【
図8】
図8は、上から見た本発明に係るワイピング装置の変形実施形態の概略斜視図である。
【
図9】
図9は、下から見た本発明に係るワイピング装置の変形実施形態の概略斜視図である。
【
図11a】
図11aは、下から見た
図8及び
図9の装置の駆動ロッド及びケーシングの概略図であり、装置の動作ステップを示す。
【
図11b】
図11bは、下から見た
図8及び
図9の装置の駆動ロッド及びケーシングの概略図であり、装置の動作ステップを示す。
【
図12】
図12は、本発明に係る駆動ロッドケーシングの変形実施形態の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面は発明を実施するために発明を詳細な態様で開示し、また、当然ながら、必要に応じて前記図面を使用して発明をより良く規定できることに留意すべきである。
【0022】
以下の説明において、長手方向及び横方向という用語は、本発明に係るウインドスクリーンワイパーブレード又は駆動アームの方向性を示す。長手方向は、ブレード又はアームが延びる主軸に対応し、一方、横方向は、補完する直線、すなわち、長手方向と交差する直線、特にブレード又はアームのその回転平面内で長手方向軸に垂直な直線に対応する。長手方向に関して、外側及び内側という用語は、ブレードがアームに固定されるポイントに対して解釈されるべきであり、内側という用語は、アーム及び半ブレードが延在する部分に対応し、又は、アームが車両に固定されるポイントに対して解釈される。最後に、上側又は下側として示される方向は、ウインドスクリーンワイパーブレードの回転平面に対して垂直な向きに対応し、下側という用語はウインドスクリーンの平面を含む。
【0023】
最初に、車両ウインドスクリーン14のワイピング装置10,12を示す
図1及び
図2を参照すると、ウインドスクリーン14は、この場合、破線で概略的に示されており、車両の前方から見られている。
【0024】
図の右側のワイピング装置12は、車両の運転席側に位置され、また、図の左側のワイピング装置10は、車両の助手席側に位置される。
【0025】
ワイピング装置10,12は、特に、ウインドスクリーンワイパー16、ウインドスクリーンワイパー16の駆動ロッド19,19、及び、駆動ロッド18上のケーシング20,21を備える。
【0026】
ケーシング20,21は、
図1では見ることができ、また、
図2では、駆動ロッド18,19を見ることができるようにするために取り外されている。ケーシング20,21は、実際には容易に取り外され、したがって着脱可能である。
【0027】
各ウインドスクリーンワイパー16は、ブレード22と、ブレード22の駆動アーム24とを備え、アーム24及びブレード22は、ウインドスクリーン14の平面と略平行な軸線Yの周りでブレードをアームに関節結合できるようにする接続システム26によって互いに連結される。
【0028】
ブレード22は、フラットブレードであることが好ましく、また、長手方向本体28と、一般にゴムから形成されるワイパーブレードラバーと、ラバーを補強してウインドスクリーンに対するゴムの適用を促す少なくとも1つのスプラインとを備えてもよい。ブレード22の本体28は、ウインドスクリーンワイパーの動作を向上させるための空気力学的な上側デフレクタを備えてもよく、このデフレクタの目的は、ウインドスクリーンに対するブレードの押圧、したがってウインドスクリーンワイパーの空気力学的性能を向上させることである。ブレード22は、ラバー及びスプラインを本体28に対して掛止するためのエンドピース30又はクリップを更に備え、これらのエンドピース30は本体28の長手方向端部に位置される。ブレード22の本体28は、前述した接続システム26の一部である中間コネクタ(図示せず)をその略中央で支持する。
【0029】
接続システム26はアダプタ32を更に備え、該アダプタ32は、アーム14に強固に固定されるように構成されるとともに、軸22の長手方向軸に対して略垂直な横軸である軸線Yの周りで回動できるようにするべくブレード22のコネクタに装着される。この回動は、コネクタの相補的な手段と協働するとともに逆に前記関節軸線Yを規定するように構成される、アダプタ32を関節結合するための手段を使用して得られる。
【0030】
アーム24は、形状が長尺であるとともに、ブレード22に連結するための長手方向外側端部34を備え、この外側端部内にアダプタ32が装着され、また、アーム24は、駆動ロッド18,19に連結するための長手方向内側端部36を備える。アームは、この場合にはU形状断面を有するクレビスアームであるが、当業者に良く知られている他のタイプのものであってもよい。
【0031】
この場合、ワイピング装置10の駆動ロッド18は、ワイピング装置12の駆動ロッド19とは異なる。
【0032】
各駆動ロッド18,19は、形状が長尺であり、一般的に中実の金属部品として形成される。各駆動ロッド18,19は、アーム22に連結するための長手方向外側端部38と、電気モータ又はギア付きモータ(減速ギアと関連する電気モータを備える)の出力軸に連結するための長手方向内側端部40とを備える。この出力軸の軸線は、参照符号Xにより示されており、ウインドスクリーン14の平面に対して略垂直である。ワイピング装置10,12は軸線X周りの角度往復運動を成して駆動され、それにより、ブレード22のラバーが、ウインドスクリーン14を拭き取って、ウインドスクリーン14を覆う水及び場合により他の望ましくない要素を除去する。
【0033】
アーム24及び対応する駆動ロッド18,19の端部36,38はピン42によって互いに連結され、ピン42は、ウインドスクリーン14の平面と略平行に延在するとともに、アーム24及び駆動ロッド18,19の延在部の軸に対して略垂直である。したがって、各アーム24は、その駆動ロッド18,19に対してピン42周りで関節結合され、それにより、ブレード22のラバーがウインドスクリーンに押し付けられる位置から、ブレードのラバーがウインドスクリーンから離れるように推し進められる位置へと回動でき、その結果、ブレード22の状態をチェックしてブレードを摩耗の場合に必要に応じて交換するべくメンテナンス作業を可能にする。
【0034】
駆動ロッド19の端部40は、減速ギア/ギア付きモータの出力軸に直接に連結され、一方、駆動ロッド20の端部40は、接続ロッド44を介して出力軸に連結され、接続ロッド44の端部は、軸線Xと略平行な軸の周りに関節結合される。駆動ロッド20は、そのほぼ中央部で、他の接続ロッド46の一端部に更に連結され、接続ロッド46の反対側の端部は車両の本体に連結される。接続ロッド46の端部は、同様に、軸線Xと略平行な軸の周りで関節結合される。
【0035】
変形例において、駆動ロッド19の端部40及び駆動ロッド20とは反対側の接続ロッド44の端部は、ロッドリンクを介して単一のギア付きモータに連結され得る。
【0036】
この場合、駆動ロッド18のケーシング20は、駆動ロッド19のケーシング21と異なる。
【0037】
それぞれのケーシング20,21は、略長尺形状を成しており、略U形状の断面を有する。各ケーシングは、ケーシング20を拡大して示す
図3及び
図4において分かるように、その上縁が上壁52によって連結される2つの側壁48,50を備える。以下の説明は、ケーシング20に関連して与えられるが、ケーシング21に適用できる。
【0038】
ケーシング20の上壁52は駆動ロッド18を覆うようになっており、また、ケーシングの側壁48,50は駆動ロッドの両側を覆って延在するようになっている。ケーシング20の側壁の一方48は、接続ロッド44,46が通り過ぎて移動する切り欠き53を備えてもよい。
【0039】
上壁52は、ピン42と略平行な軸の周りで略湾曲形状を成す脚部54によって外側に延在される。各側壁48,50は、略円形の開口部58が突き抜ける脚部56によって外側に延在する。各脚部56の下端部は、その外側自由端に歯を備えるフックを形成する。開口部58は一直線に合わせられる。各脚部56の開口部58は、開口部58内にピン42を装着できるようにするために外側へ向けて開口する。これらの要素は、ピン42との係合及び/又は連結のための手段を形成する。
【0040】
図4において分かるように、ケーシング20は、弾性戻り止めにより前記駆動ロッド18に固定するための手段60を更に備える。これらの手段60は、この場合、上壁52の内面で突出して形成され、特に屈曲して弾性変形され得る2つの脚部を備える。これらの脚部60は、略平行であるとともに、壁52に対して垂直である。これらの脚部60は、その上端部によって壁52に連結されるとともに、駆動ロッド18と協働するように構成される掛止歯62をその下端部に備える。
【0041】
ケーシング20は、それを駆動ロッド18よりも上側に配置して、その外端部をピン42へ向けて傾けた後、この端部を前記ピンが脚部56の開口部58内に受けられるようにピン42に係合させることによって装着されてもよい。したがって、ケーシング20の内側端部は、ケーシングの脚部60が弾性戻り止めによって駆動ロッド18と協働するまで駆動ロッド18上へと折り重ねられる。
【0042】
図1及び
図2において分かるように、各ワイピング装置10,12には、1又は複数の電気ケーブル63及び/又は特に窓洗浄液のための1又は複数の流体ライン64が設けられる。電気ケーブル63は、一般に、アーム24及び/又はブレード22の加熱手段に電気を供給できるようにし、また、流体ライン64は、一般に、ブレード及び/又はアームに設けられる液体噴射手段に窓洗浄液を供給できるようにする。
【0043】
ケーブル63及びライン64は、駆動ロッド18,19の所までウインドスクリーンワイパーのアーム24に沿って延在して、駆動ロッド18,19においてそれらが湾曲され、その後、車両のボンネットの真下で延在し、ここでそれらが適切な電気及び流体接続手段66に接続される。
【0044】
ケーブル63及びライン64の湾曲部68にはワイピング装置の動作中に応力が加えられる。湾曲部は、変形されて、多かれ少なかれ開口Uを形成する。これらの応力は、摩耗をもたらすとともにケーブル63及びライン64の締め付けをもたらす可能性があり、これは許容できない。
【0045】
本発明は、ケーシングに設けられるとともにウインドスクリーンワイパーの少なくとも1つの電気ケーブル及び/又は少なくとも1つの流体ラインと協働するように構成される支持及び案内手段の使用によってこの問題に対する解決策を提案する。
【0046】
図5〜
図7は本発明の第1の実施形態を示し、この実施形態では、先に開示された要素が同様の参照数字により示される。
【0047】
この場合には先に開示されたワイピング装置10と同じタイプのワイピング装置10'が車両の助手席側に位置される。この装置の駆動ロッドは、図面では見ることができないが、先に開示された駆動ロッド18と同様である。
【0048】
駆動ロッドのケーシング20'は、特に
図3〜
図4に関連して先に開示された特徴の全てを備えるとともに、更に以下の特徴を備える。
【0049】
ケーシング20'は少なくとも1つのケーブル/ライン63,64のための支持及び案内手段を備え、この支持及び案内手段は図示の例ではリブ70を備える。
【0050】
リブ70はケーシング20'の上面72で突出する。リブ70は長尺な湾曲形状を成す。リブは、2つの長手方向側面、凹部74、及び、凸部76をそれぞれ備える。凸面76は、ケーブル/ライン63,64のための支持及び案内面を画定する。
【0051】
この場合、リブ70は約90°の角度延在部を有する。この場合、凸面76は、車両の前方から見てウインドスクリーン14の右上角部へ向けて方向付けられる。言い換えると、凸面76は、開口部58とは反対側のケーシング20'の長手方向端部へ向けて幾分一方側へと方向付けられる。
【0052】
この場合、リブ70は、ケーシング20'の横方向延伸部の上面72に位置される。面72は、壁52の上面と略平行であり、壁52の上面からこの場合には下方へオフセットされる。
【0053】
横方向延伸部が延び出るケーシング20'の側壁48の部分は、開口部78によって貫通される。この開口部78は、それがリブ70と対向するまで横方向延伸部へと延びる。
【0054】
ケーシング20'の上壁52は、開口部78に、該開口部78と延在部における開口部の延長部分との上側で延在する横方向フィンガ80を備える。このフィンガ80は、延在部における開口部の延長部分の外周縁に対して垂直に延びる外周縁を有し、この外周縁は、ほぼ同じ形状を成し、この場合には湾曲される。
【0055】
図7において分かるように、スタッド82、この場合には2つのスタッド82がフィンガ80の下面に設けられる。これらのスタッド82は、この面から互いに略平行にこの面に対して垂直に突出する。これらのスタッドは、ケーシング20'の長手方向軸と略平行なラインに沿って連続して配置される。
【0056】
図6において分かるように、スタッド84、この場合には2つのスタッド84が、上面72と側壁48との間の連結部に、開口部78の両側に1つずつ同様に設けられる。これらのスタッド84は、互いに略平行であるとともに垂直であり、ケーシング20'の長手方向軸と略平行なラインに沿って連続して配置される。
【0057】
スタッド82,84及びフィンガ80は、その動作中にケーブル/ライン63,64を案内して保持するのに役立つ。
【0058】
図5において分かるように、また、既に先に開示されたように、ケーブル/ライン63,64は、アーム24に沿って部分的に延在する。この場合、ケーブル/ラインは、アーム24の内側端部に位置される開口部86を通過した後、U形状に湾曲される部分68を形成し、この部分68は、リブ70の面76に当接して、フィンガ80の下側を通る。好適には、ケーブル/ライン63,64は、それが面76上でスライドするのを防止するために、一方ではスタッド82と他方ではスタッド84との間で力により係合されて締め付けられる。装置10'の動作中及びウインドスクリーンワイパーの使用中に、湾曲部は、Uの開口部が更に大きくなるという点において変形される。この変形は、面76に当接するケーブル/ライン63,64の部分に特定の曲率半径を課すリブ70によって案内される。
【0059】
以下は、本発明の他の実施例を示す
図8〜
図11bを参照する。
【0060】
この実施形態と先の実施形態との間の基本的な違いは、支持及び案内手段がこの場合にはケーシング20''の下面72'に位置されてこの場合には2つのリブ70',70''を備えることである。
【0061】
この場合、リブ70',70''は、ケーシング20''の横方向延伸部の下面72'に配置される。
【0062】
第1のリブ70'は、先に開示されたリブ70と同様であり、形状が長尺で湾曲される。第1のリブ70'は、2つの長手方向側面、凹部74'、及び、凸部76'をそれぞれ備える。凸面74'は、ケーブル/ライン63,64の支持及び案内面である。
【0063】
この場合、リブ70'は約180°の角度範囲を有する。この場合、凸面76'はケーシング20''の内側端部へ向けて方向付けられる。
【0064】
第2のリブ70''は形状が長尺で直線状である。第2のリブ70''は2つの長手方向側面を備え、そのうちの一方76''がリブ70'の面76'とほぼ対向する。この場合、リブ70''は、ケーシング20''の長手方向軸に対して所定の角度を成すとともに、駆動ロッド18に最も近接して位置されるその長手方向端部が駆動ロッドとは反対側のその長手方向端部よりもリブ70'に近い。言い換えると、リブ70',70''は、それらの間に、駆動ロッド18に近いほど狭くなる空間90を画定する。
【0065】
図8、
図9、
図11a、及び、
図11bにおいて分かるように、ケーブル/ライン63,64は、前述した空間90に入り込む前にアーム24と駆動ロッド18の一部とに沿って延在し、空間90において、ケーブル/ラインは、駆動ロッド18の近傍に位置されるリブ70',70''の端部間で保持され得る。
【0066】
装置10'の動作中及びウインドスクリーンワイパーの使用中には、装置が
図11aに示される形態から
図11bに示される形態へと移行し、また、Uの開口部が更に大きくなるため、ケーブル/ライン63,64の湾曲部68が変形されて移動するのが分かる。この変形及びこの動きは、ケーブル/ライン63,64が当接するリブ70,70''によって案内される。
【0067】
図12は本発明の更なる実施形態を示し、この実施形態において、ケーブル/ラインの支持及び案内手段70'''が設けられるケーシング21'は、助手席側のワイピング装置のケーシングではなく、運転席側のワイピング装置のケーシングである。この場合、支持及び案内手段70'''は、破線で概略的に示されており、ケーシングの側壁50'のうちの一方の内面に位置される。支持及び案内手段70'''が少なくとも1つのリブ70'''を備えてもよい。以上の説明は、特に
図3及び
図4を参照するとともに、ケーシング21'に適用可能である。
【外国語明細書】