【解決手段】実施形態に係る樹脂製パネルは、芯材と、補強材と、芯材および補強材を覆う表皮材と、被締結部材と、を備える。補強材3は、芯材のおもて面に設けられる第1板と、芯材の裏面に設けられる第2板と、第1板と第2板とを連結する連結板とを有する。被締結部材は、表皮材と、補強材の第1板または第2板とを貫通する締結部材によって表皮材上に取り付けられている。
前記芯材には、前記補強材の第1板および第2板の少なくともいずれか一方の板を載置するための凹部が形成され、それによって、前記芯材のおもて面と前記補強材の第1板のおもて側板面とが同一平面となる、または、前記芯材の裏面と前記補強材の第2板の裏側板面とが同一平面となることを特徴とする、
請求項1または2に記載された樹脂製パネル。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)第1の実施形態
以下、本発明の樹脂製パネルの第1の実施形態である樹脂製ボードについて説明する。
図1に、第1の実施形態の樹脂製ボード1を含む樹脂製容器100の斜視図を示す。
図1に示すように、樹脂製容器100は、容器本体10と、容器本体10の蓋として機能する樹脂製ボード1とを含む。樹脂製ボード1はヒンジ部材5L,5Rを有している。容器本体10の収納空間10aが樹脂製ボード1によって開閉可能となるように、樹脂製ボード1と容器本体10がヒンジ部材5L,5Rによって連結されている。つまり、ヒンジ部材5L,5Rを支点として樹脂製ボード1が容器本体10に対して回動可能に構成されている。ヒンジ部材5L,5Rは、容器本体10のヒンジ取付面12にリベットによって連結されている。本実施形態のヒンジ部材5L,5Rは、被締結部材の一例である。
【0015】
(1−1)樹脂製ボードの構成
次に、本実施形態の樹脂製ボード1の構成について、
図2〜5を参照して説明する。
図2は、第1の実施形態の樹脂製ボード1の平面図である。
図3は、
図2のA−Aの拡大断面図である。
図4は、第1の実施形態の樹脂製ボード1において芯材23に対する補強材3の取付例を説明する図である。
図5は、補強材3が取り付けられた実施形態の樹脂製ボード1の一部を示す平面図である。
【0016】
図1および
図2に示すように、樹脂製ボード1は、概ね直方体の形状をなしており、樹脂積層体2とヒンジ部材5L,5R(以下、個別に、あるいは総称して、「ヒンジ部材5」ともいう。)を有する。後述するが、樹脂積層体2には補強材3が内装されている。ヒンジ部材5L,5Rは、樹脂積層体2の外縁近傍において補強材3とともにリベットR(
図2に示す例では、各ヒンジ部材につき4箇所)で締結されている。
【0017】
図3を参照すると、樹脂積層体2は、おもて面および裏面をそれぞれ構成する熱可塑性樹脂の樹脂シートである第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22によって、芯材23を挟み込むようにしたサンドイッチ構造となっている。第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22は、芯材23と補強材3を覆い、樹脂製ボード1の表皮材を構成する。
【0018】
第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22は、その樹脂材料を限定せず、発泡樹脂でもよいし、非発泡樹脂でもよいが、樹脂製ボード1の剛性を確保するために非発泡樹脂から形成されることが好ましい。例えば、成形性を考慮して、表皮材シートSA,SBは、主材料であるポリプロピレン(PP)にポリスチレン(PS)とスチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体樹脂(SEBS)を混合させてもよい。
【0019】
芯材23は樹脂製ボード1の体積に占める割合が大きいため、軽量化のために発泡剤を用いて発泡させた発泡樹脂で構成されていることが好ましい。芯材23の樹脂材料の例として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のアクリル誘導体のいずれか、又は2種類以上の混合物に発泡剤を添加した材料が挙げられる。芯材23は、例えばビーズ法型内発泡成形法によって成形される。
発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤およびその混合物のいずれを用いてもよい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。
芯材23の発泡倍率は、1.5〜15倍の範囲であり、代表的には4倍、好ましくは2.5〜10倍である。なお、発泡倍率とは、発泡前の混合樹脂の密度を、発泡後の発泡樹脂の見かけ密度で割った値である。
【0020】
第1の樹脂シート21、第2の樹脂シート22、および芯材23は、剛性及び強度を増加させる目的で、ガラスフィラーを混入した樹脂材料を用いて成形するようにしてもよい。
ガラスフィラーとしては、ガラス繊維、ガラスクロスやガラス不織布などのガラス繊維布、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラスなどが挙げられる。ガラスの種類としては、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラスなどが挙げられる。
なお、ガラスフィラーに限らず、剛性を上げるためのタルク、炭酸カルシウム、珪灰石(Wollastonite)、マグネシウム系材料等の無機フィラー、カーボンファイバー等を混入させてもよい。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の樹脂製ボード1では、芯材23に対して補強材3が取り付けられる。補強材3は、芯材23のおもて面に設けられる第1板31と、芯材23の裏面に設けられる第2板32と、第1板31および第2板32を連結する連結板33とを有しており、断面がコの字状(若しくはUの字状)をなしている。補強材3の第1板31は、第1の樹脂シート21と接するおもて側板面311と、芯材23と接する裏側板面312を有する。補強材3の第2板32は、芯材23と接するおもて側板面321と、第2の樹脂シート22と接する裏側板面322とを有する。連結板33は、芯材23の側壁面と接する内側板面331と、補強材3の端面を形成する外側板面332とを有する。
【0022】
補強材3の材料は特に限定するものではないが、樹脂製ボード1の強度を確保するために、好ましくはアルミニウムなどの金属製あるいは硬質のプラスチック製である。補強材3は、例えば押出成形によって成形される。
【0023】
図3に示すように、ヒンジ部材5L,5Rには、取付用の開口RH(リベットRが貫通する開口)が設けられている。この開口RHを通して樹脂積層体2にリベットR(締結部材の一例)が締結されている。すなわち、本実施形態の樹脂製ボード1において、ヒンジ部材5L,5Rは、表皮材である第1の樹脂シート21と、補強材3の第1板31とを貫通するリベットRによって、樹脂製ボード1のおもて側に取り付けられている。リベットRを締結するときには、第1の樹脂シート21上の締結位置に、第1の樹脂シート21および補強材3が貫通するようにドリルで孔を開け、その孔にリベットRを差し込む。
【0024】
補強材3において、リベットRが貫通する第1板31の板厚t1は、連結板33の板厚t2よりも小さいことが好ましい。これは、以下の理由による。第1に、第1板31の板厚t1を小さくすることで、リベットR締結用の開孔作業が容易に行うことができるとともに軽量化が可能になるためである。第2に、連結板33は、ヒンジ部材5が動作するときに負荷が大きく掛かる部位であるため、連結板33の強度を高めるために連結板33の板厚t2を大きくしておくことが好ましいためである。
【0025】
なお、本実施形態の樹脂製ボード1では、第1板31の板厚t1、さらには第2板32の板厚を比較的小さくした場合であっても、所要の剛性および強度を確保することができる。これは以下の理由による。第1に、後述するように、樹脂製ボード1を製造するときに、芯材23と補強材3は第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22となる溶融樹脂に溶着させられることから、補強材3およびその周囲では、第1の樹脂シート21と芯材23と補強材3とが一体構造となっているためである。第2に、
図3に示すように、補強材3は芯材23を挟み込む形態を有しているため、ヒンジ部材5の開閉のいずれの方向に対しても所要の剛性および強度を得るのに有利に働く構成となっているためである。
また、補強材3によって所要の剛性および強度を確保することができるため、第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22を薄肉化することが可能である。
【0026】
図4に示すように、本実施形態の樹脂製ボード1では、芯材23のおもて面231の外縁および裏面232の外縁にそれぞれ、凹部231aおよび凹部232aが形成されている。
図4の段階S10,S11に順に示すように、断面がコの字状の補強材3を外側から凹部231aおよび凹部232aに差し込むことによって、補強材3が芯材23に取り付けられる。補強材3が芯材23に取り付けられた状態では、補強材3の第1板31が芯材23の凹部231aに載置され、補強材3の第2板32が芯材23の凹部232aに載置される。また、補強材3の連結板33の内側板面331が芯材23の側壁面235bに当接する。段階S11に示す図には、リベットR締結用の開口RH(2箇所)の位置が点線で示されている。
【0027】
好ましくは、補強材3が芯材23に取り付けられた状態では、芯材23のおもて面231と、補強材3の第1板31のおもて側板面311とが同一平面となり、芯材23の裏面232と、補強材3の第2板32の裏側板面322とが同一平面となるように、凹部231a,232aの凹み量が設定される。それによって、樹脂製ボード1のおもて面および裏面がそれぞれ同一平面となるため、樹脂製ボード1の美観が損なわれることがない。
【0028】
図4に示すように、芯材23の側壁面235aを基準とした凹部231aの奥行きをL1とし、補強材3の取付方向における凹部231aの幅をL2とし、補強材3の第1板31の取付方向の幅をL3とする。ここで、凹部231aに補強材3が隙間なく係合する場合、L3=L2+t2(t2は、
図3に示したように補強材3の連結板33の板厚である。)が成り立つ。この場合、好ましくは、L1>L3となるように設定される。言い換えれば、L1>L2+t2となるように芯材23を設定することが好ましい。すなわち、
図5に示すように、補強材3が芯材23に取り付けられた状態では、平面視で見た場合に補強材3の外側板面332が、芯材23の側壁面235a(つまり、芯材23の外縁)によって画定される基準線ELよりも内側に位置することが好ましい。
なお、基準線ELとは、芯材23の最も外側の周縁によって画定される仮想線を意味する。例えば、
図4に示したように、本実施形態の芯材23では、凹部231a,232aが形成される部位の側壁面235bが、凹部231a,232aが形成されていない部位の側壁面235aよりも内側に位置しているが、基準線ELは、芯材23の最も外側の周縁である側壁面235aを平面視で見た仮想線によって決定される。
【0029】
L1>L3とすることが好ましい点について、
図6を参照してさらに説明する。
図6は、側壁面235aを基準とした凹部231aの奥行きL1と、補強材3の第1板31の取付方向の幅L3との関係についての3パターンを示している。
図6(a)は、本実施形態の例であり、
図5に示したようにL1>L3の場合である。
図6(b)および
図6(c)は、それぞれ本実施形態の例とは異なり、L1=L3の場合およびL1<L3の場合を示す参考例である。
【0030】
後述するように、補強材3が取り付けられた芯材23は、分割金型の型締めの際に溶融樹脂シートに溶着させられる。このとき、
図6(a)に示すように、補強材3の第1板31および第2板32が、芯材23を平面視で見たときに、芯材23の外縁によって画定される基準線ELよりも内側に配置されている場合(つまり、L1>L3の場合)には、溶融樹脂シートとの溶着のために芯材23を長手方向が鉛直方向と一致するようにしたとき(つまり、
図6のDOWNを鉛直下方となるように配置したとき)、芯材23の凹部231aの側壁が補強材3の連結板33を支持することから、補強材3が芯材23から脱落し難くなる。そのため、芯材23から補強材3が脱落して金型を損傷させる可能性を低減させることができる。
また、
図6(a)に示すように、L1>L3の場合には、補強材3の外側板面332が、芯材23の側壁面235aから内側へ離れているため、後述する樹脂製ボード1の製造時において、芯材23が溶融樹脂シートPに対して僅かにずれることで補強材3の内側板面331が分割金型のピンチオフ部に僅かに近づいたとしても、分割金型の型締めのときに分割金型が補強材3を挟んでしまう可能性は低い。
【0031】
図6(b)に示すように、L1=L3の場合には、芯材23の凹部231aの側壁が補強材3の連結板33を支持する点では、
図6(a)の場合と同様であるが、補強材3の外側板面332が基準線ELよりも内側にないため、芯材23による補強材3の保持力は
図6(a)の場合ほど十分ではない。
図6(c)に示すように、L1<L3の場合には、補強材3の連結板33の外側板面332が基準線ELよりも外側にあるため、連結板33が芯材23の凹部231aの側壁によって支持されず、芯材23による補強材3の保持力が小さい。そのため、芯材23から補強材3から脱落して金型を損傷させる可能性がある。
また、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、L1≦L3の場合(特に、L1<L3の場合)には、後述する樹脂製ボード1の製造時において、芯材23が溶融樹脂シートPに対してずれることで補強材3の内側板面331が分割金型のピンチオフ部に近づき、分割金型の型締めのときに分割金型が補強材3を挟んでしまう懸念がある。
以上から、L1>L3とすることが好ましいことが分かる。
【0032】
(1−2)樹脂製ボードの製造方法
次に、本実施形態の樹脂製ボード1の製造方法について、
図7〜11を参照して説明する。
図7〜11はそれぞれ、第1の実施形態の樹脂製ボードの製造方法を順に説明するための図である。
【0033】
先ず、
図7に示すように、押出装置(図示せず)から溶融樹脂シートP,Pが鉛直下方に押し出され、一対の分割金型51,52の形成面51a,52aの間に供給される。この時点で、一対の分割金型51,52は開位置にある。
なお、分割金型51,52にはそれぞれ、密閉空間内の空気を吸引するための真空装置(図示せず)が備えられている。真空装置は、真空チャンバと、当該真空チャンバと形成面とを連通する連通路とを含む。
【0034】
次に、
図8に示すように、形成面51a,52aの周囲にある摺動部511,521を突出させて、その端面を溶融樹脂シートP,Pに接触させる。これにより、溶融樹脂シートP,Pと一対の分割金型51,52の形成面51a,52aとの間に密閉空間が形成される。そして、真空チャンバと形成面51a,52aの間に設けられた連通路によって、密閉空間内の空気を吸引する。この吸引により、2枚の溶融樹脂シートP,Pがそれぞれ、一対の分割金型51,52の形成面51a,52aに押圧させられ、
図9に示すように、形成面51a,52aに沿った形状、すなわち、樹脂製ボード1の略外形に合うように賦形(形成)される。
【0035】
次に、
図10に示すように、補強材3が取り付けられた芯材23をマニピュレータ90に保持させ、マニピュレータ90を用いて一対の分割金型51,52の間で芯材23を位置決めする。そして、形成面51a,52aのいずれかに賦形された溶融樹脂シートPに対して押し付けるようにして芯材23を溶着させる。このとき、
図5に示したように、補強材3の外側板面332が、芯材23の外縁によって画定される基準線ELよりも内側に形成されているため、芯材23から補強材3が脱落する可能性は低い。
【0036】
芯材23をいずれの溶融樹脂シートPに溶着させた後は、
図11に示すように、分割金型51,52を型締めする。この型締めによって、芯材23の両方の面(おもて面231および裏面232)と、補強材3の第1板31および第2板32が溶融樹脂シートP,Pに溶着させられる。それによって、補強材3の周囲では、芯材23と、補強材3と、表皮材となる第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22とが一体的に接合される。さらに、一対の分割金型51,52のピンチオフ部(図示せず)において、一対の溶融樹脂シートP,Pの周縁が溶着させられ、パーティングラインが形成される。
【0037】
最後に、一対の分割金型51,52を再び開位置に移動させ、成形した樹脂製ボード1を形成面51a,52aから離間させ、パーティングラインまわりに形成されたバリを、カッター等で切断して除去する。以上で、樹脂製ボード1が完成する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の樹脂製ボード1によれば、芯材23のおもて面と裏面に載置した補強材3を、第1の樹脂シート21および第2の樹脂シート22からなる表皮材で覆い、当該表皮材と、補強材3の第1板31とを貫通するリベットRによってヒンジ部材5L,5Rを表皮材上に取り付けるようにした。そのため、従来のように、表皮材のみに孔を開けてリベットでヒンジ部材を取り付ける場合と比較して、本実施形態の樹脂製ボード1では、補強材3によってヒンジ部材の負荷を支えることができるため、表皮材を薄肉化することができる。例えば、従来の樹脂シートの厚みが2mmであったのに対して、本実施形態の樹脂製ボード1の樹脂シートの厚みを1mmとすることができた。
以上から、本実施形態の樹脂製ボード1によれば、従来よりも軽量化するとともに、ヒンジ等の被締結部材を強固に取り付けることができる。
また、補強材3は、ヒンジ部材の取付位置にのみ設ければよいため、樹脂製ボード1全体に占める大きさは比較的小さくて済む。
【0039】
(2)第2の実施形態
以下、本発明の樹脂製パネルの第2の実施形態である樹脂製ボードについて、
図12および
図13を参照して説明する。
図12は、第2の実施形態の樹脂製ボードにおいて補強材の芯材に対する取付例を説明する図である。
図13は、第2の実施形態の変形例に係る樹脂製ボードにおいて補強材の芯材に対する取付例を説明する図である。
図12および
図13は、それぞれ
図4に対応する図である。
本実施形態では、芯材と補強材の取付態様が第1の実施形態と異なる。なお、第1の実施形態と同一の内容については、重複説明を省略する。
【0040】
先ず
図12を参照すると、本実施形態の補強材3Aは、芯材23Aのおもて面231Aに設けられる第1板31Aと、芯材23Aの裏面232Aに設けられる第2板32Aと、第1板31Aおよび第2板32Aを連結する連結板33Aとを有しており、断面が概ねH形状をなしている。連結板33Aは、第1板31Aと第2板32Aの各々の中央部を連結している。
【0041】
芯材23Aのおもて面231Aの外縁および裏面232Aの外縁にそれぞれ、凹部231Aaおよび凹部232Aaが形成されている。凹部231Aaと凹部232Aaの間には、補強材3Aの連結板33Aが挿入される切り込み237Aが形成されている。なお、切り込み237Aは、芯材23の成形後にカッター等で切断することで設けられる。
図12の段階S20,S21に順に示すように、断面がH形状の補強材3Aの連結板33Aを切り込み237Aに挿入することによって、補強材3Aが芯材23Aに取り付けられる。補強材3Aが芯材23Aに取り付けられた状態では、補強材3Aの第1板31Aが芯材23Aの凹部231Aaに載置され、補強材3Aの第2板32Aが芯材23Aの凹部232Aaに載置される。
【0042】
図12に示す補強材3Aでは、芯材23Aのおもて側に設けられる第1板31Aに、リベットRの締結用のヒンジ部材5L,5Rの開口RH(点線で示す。)が4箇所形成される。芯材23Aの裏側に設けられる第2板32AにはリベットRの締結用の孔を形成する必要がないことから、軽量化のために第1板31Aよりも幅小化されている。
【0043】
好ましくは、補強材3Aが芯材23Aに取り付けられた状態では、芯材23Aのおもて面231Aと、補強材3Aの第1板31Aのおもて側板面311Aとが同一平面となり、芯材23Aの裏面232Aと、補強材3Aの第2板32Aの裏側板面322Aとが同一平面となるように、凹部231Aa,232Aaの凹み量が設定される。それによって、樹脂製ボードのおもて面および裏面がそれぞれ同一平面となるため、樹脂製ボードの美観が損なわれることがない。
【0044】
図12に示すように、芯材23Aの側壁面235Aを基準とした凹部231Aaの奥行きをL1とし、補強材3Aの第1板31Aの取付方向の幅をL3とすると、好ましくは、L1>L3となるように設定される。すなわち、
図12に示すように、補強材3Aが芯材23Aに取り付けられた状態では、平面視で見た場合に補強材3Aの端面3Aeが、芯材23Aの側壁面235A(つまり、芯材23の外縁)よりも内側に位置することが好ましい。こうすることで、補強材3Aが芯材23Aの側壁面235Aよりも内側に入り込むため、製造時に補強材3Aが芯材23Aから脱落して金型を損傷させる可能性を低減させることができる。
また、補強材3Aの端面3Aeが、芯材23Aの端面235Aから内側へ離れているため、補強材3Aが芯材23Aに取り付けられた後に僅かに外側へずれることが生じたとしても、本実施形態の樹脂製ボードの製造時において、分割金型の型締めのときに分割金型が補強材3Aを挟んでしまう可能性を低減させることができる。
【0045】
第1の実施形態では、補強材3の連結板33の内側板面331が芯材23の側壁面235bに当接する構成としたため、補強材3を側壁面235aよりも内側に配置させようとすると、側壁面235b(凹部231a,232aの部位の側壁面)を側壁面235aよりも芯材23の内側に配置させることが必要となる。そのため、表皮材の内部の一部(樹脂製ボード1を平面視した場合の、補強材3よりも外側の部分;
図5において外側板面332と基準線ELの間の部分)に芯材23が存在しない空間が形成される。それに対して本実施形態では、補強材3Aの連結板33Aを切り込み237Aに挿入するように構成したため、芯材23Aの側壁面235Aを凹部231Aa,232Aaの位置であるか如何を問わず、同一平面とすることができる。そのため、補強材3Aを側壁面235aから大きく離して内側に配置させる場合であっても、芯材が存在しない空間が形成されることに起因する、樹脂製パネルの強度および剛性の局所的な低下を防止できる。
【0046】
図12に示す例では、補強材3Aを芯材23Aに取り付けた状態において、連結板33Aを挟んで両側に2箇所ずつのリベット用の開口RHが位置する場合を示したが、補強材3Aの構成や切り込み237Aの位置は、リベットの締結位置に応じて適宜変更することができる。例えば、
図13に示す例では、補強材3Aを芯材23Aに取り付けた状態において、連結板33Aを挟んで一方の側に4箇所のリベット用の開口RHが位置する場合を示している。この場合、切り込み237Aの位置に応じて補強材3Aの連結板33Aの位置が設定される。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の樹脂製パネルは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
【0048】
図14に、各実施形態の変形例に係る樹脂製ボードを示す。
図14(a)は、第1の実施形態に係る樹脂製ボードの芯材23の変形例の一部分を示す斜視図である。
図14(b)は、第2の実施形態に係る樹脂製ボードの芯材23Aの変形例の一部分を示す斜視図である。
図14(a)に示す芯材23は、上述した第1の実施形態と同様に、断面がコの字状の補強材3が取り付けられる場合の変形例である。
図14(a)に示す芯材23は、凹部231aにおいてリベット用の開口RHに対応する位置に半円状の切欠きCを形成した点が、
図4に示した芯材23と異なる。リベット用の開口RHに対応する位置に切欠きCを形成することで、樹脂積層体を成形後においてドリルで孔を開けるときに、ドリルによって芯材23が削られないため、芯材23の削り屑によって樹脂製ボード1が汚れるということがなくなる。
【0049】
図14(b)に示す芯材23Aは、上述した第2の実施形態と同様に、断面がH形状の補強材3Aが取り付けられる場合の変形例である。
図14(b)に示す芯材23Aは、凹部231Aaにおいてリベット用の開口RHに対応する位置に凹みD(4箇所)を形成した点が、
図13に示す芯材23Aと異なる。凹みDも
図14(a)と同様に、樹脂積層体を成形後においてドリルで孔を開けるときに、凹みDがあるためにドリルによる芯材23の削り量が少なくなるため、芯材23の削り屑によって樹脂製ボード1が汚れる可能性が低くなる。なお、凹みDに代えて開口RHに相当する位置において芯材23に貫通孔を設けてもよいが、その場合には、左右の金型が型締め時に当接することになるため、金型の磨耗を促進する上では好ましくない。そこで、
図14(b)の場合には、貫通孔ではなく凹みDを設定している。
【0050】
上述した各実施形態において、必ずしも芯材のおもて面および裏面の両方の面がそれぞれ、補強材のおもて側の板面および裏側の板面と同一平面となる必要はなく、使用用途に応じて、おもて側または裏側のいずれか一方の側で同一平面としてもよい。例えば、樹脂製ボードの通常の使用状態においておもて側のみが人目に触れる場合には、おもて側のみを同一平面としてもよい。
上述した実施形態では、樹脂積層体2のおもて側の面(第1の樹脂シート21のおもて面)にヒンジ部材5L,5Rを取り付ける場合について説明したが、その限りではない。樹脂積層体2の裏側(第2の樹脂シート22の裏面)にヒンジ部材5L,5Rを取り付けてもよい。ヒンジ部材を取り付ける面は樹脂製ボードの機能に応じて適宜決定される。
上述した実施形態において、補強材の第1板(31,31A)の板厚と第2板(32,32A)の板厚は、異なっていてもよい。例えば、リベットによる締結を行わない第2板(32,32A)は孔を形成しなくてもよいため、その板厚は第1板(31,31A)の板厚とは無関係に決定することができる。
【0051】
上述した実施形態では、被締結部材の一例としてヒンジを挙げたが、この例に限られない。被締結部材は、締結手段を用いて取り付け可能な部材であれば如何なる部材でもよく、例えば、様々な用途に使用される金属製または樹脂製のブラケットであってもよい。