【課題手段】搬送手段によって上方から搬送されたシートは、傾斜したシート積載トレイ51に排出されて、パドルホィール77の掻き込み動作により、規制ストッパ64まで移送されて載置位置に保持される。そして、規制ストッパ64は、保持したシートを折り処理装置41による折り処理位置まで移送する。また、規制ストッパ64に保持されたシートは、その両側縁部が一対のシート側縁調整部材121,122と当接することで位置調整される。このシート側縁調整部材121,122による位置調整を行うか否か、そして位置調整を行う場合には、載置位置又は折り処理位置の何れで行うかは、シートサイズの大きさや高精度の折り処理を要求されているか否かで決定する。
前記規制手段が規制するシート規制位置はシートのサイズに応じて異なり、前記シート規制位置から前記所定の位置に移動する際の方向は、該シートのサイズが所定のサイズを超える場合は前記シート規制位置よりも上方に、前記所定のサイズ以下の場合は下方に移動する請求項3に記載のシート処理装置。
前記規制手段で規制するシートが所定の枚数を超える場合、前記移動手段は前記規制手段で規制されたシートに対して前記位置調整手段で位置調整を行った後に前記シート規制位置から前記所定の位置に移動させる請求項5に記載のシート処理装置。
前記位置調整手段は、前記規制手段が規制するシート端縁と交わる端縁の内、少なくとも一方と当接して位置調整する位置調整部材を有し、前記シート規制位置に支持されたシートが所定枚数を超えて前記所定の位置に移動する際には、前記位置調整部材を該シートから所定距離離れたガイド位置に位置させる前記請求項6に記載のシート処理装置。
前記位置調整部材は、前記シート規制位置でシートの位置調整を行う第1の調整位置と、前記所定の位置に移動した後にシートの位置調整を行う第2の調整位置を有する請求項7に記載のシート処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明によるシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。
【0012】
画像形成システム100は、同図に示すように、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナーユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給紙部2と画像印刷部3と排紙部4とデータ処理部5とを備えている。
【0013】
給紙部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給紙経路6に繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給紙部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給紙機構とが内蔵されている。給紙経路6には、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストローラ対とが設けられている。
【0014】
給紙経路6には、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0015】
画像印刷部3は、例えば静電印刷機構で構成されており、回転する感光ドラム9と、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器10、現像器11、クリーナー(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、感光ドラム9に発光器10で光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器11でトナーを付着させる。
【0016】
この感光ドラム9に画像形成するタイミングに合わせて、給紙経路6からシートを画像印刷部3に送り、転写チャージャー12で該シート上に画像を転写し、排紙経路14に配置されている定着ローラ13で定着させる。排紙経路14には、排紙ローラ15と排紙口16とが配置され、後述するシート処理装置Bに画像形成したシートを搬送する。
【0017】
スキャナーユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン17と、プラテン17に沿って往復動するキャリッジ18と、光電変換手段19と、キャリッジ18によるプラテン17上の原稿からの反射光を光電変換手段19に案内する縮小光学系20とを備える。光電変換手段19は、縮小光学系20からの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像印刷部3へ出力する。
【0018】
また、スキャナーユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン21を備えている。フィーダーユニットA3は、給紙トレイ22と、給紙トレイ22から送り出したシートを走行プラテン21に案内する給紙経路23と、走行プラテン21を通過した原稿を収納する排紙トレイ24で構成される。給紙トレイ22からの前記原稿は、走行プラテン21を通過する際に、キャリッジ18と縮小光学系20とで読み取られる。
【0019】
図2は、画像形成装置Aから送られてくる画像を形成されたシートを後処理するシート処理装置Bの構成を示している。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口26を設けた装置ハウジング27を備える。装置ハウジング27は、搬入口26を像形成装置Aの排紙口16に連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0020】
シート処理装置Bは、搬入口26から導入されるシートを搬送するシート搬入経路28と、シート搬入経路28から分岐される第1排紙パス30、第2排紙パス31及び第3排紙パス32と、第1経路切換手段33と、第2経路切換手段34とを備える。第1及び第2経路切換手段33、34は、それぞれシート搬入経路28を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパーガイドで構成されている。
【0021】
第1経路切換手段33は、図示しない駆動手段によって、搬入口26からのシートを第1排紙パス30及び第2排紙パス31の方向に案内するモードと、第3排紙パス32に案内するモードとに切り換えられる。第1排紙パス30と第2排紙パス31とは、一旦第1排紙パス30に導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排紙パス31にスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0022】
第2経路切換手段34は、シート搬入経路28を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段33の下流側に配置されている。第2経路切換手段34は、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段33を通過したシートを第1排紙パス30に導入するモードと、一旦第1排紙パス30に導入されたシートを第2排紙パス31にスイッチバック搬送するモードとに切り換えられる。
【0023】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1と第2処理部B2と第3処理部B3とを備える。更にシート搬入経路28には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット40が配置されている。
【0024】
第1処理部B1は、シート搬入経路28を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排紙パス30の下流端の排紙口35から搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング27の外側に設けられた積載トレイ36に排出する綴じ処理部である。第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置37と、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット38とを備える。第1排紙パス30の下流端には、排紙口35からシートを排出するため、及び第1排紙パス30から第2排紙パス31にスイッチバック搬送するための排出ローラ対39が設けられている。
【0025】
第2処理部B2は、第2排紙パス31からスイッチバック搬送されてくる複数のシートをシート束にし、該シート束を綴じ処理した後、折り処理を行う。第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置41と、第2排紙パス31に搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置の直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット42とを備える。折り処理されたシート束は、排出ローラ43によって、装置ハウジング27の外側に設けられた積載トレイ44に排出される。
【0026】
第3処理部B3は、第3排紙パス32から送られてくるシートを、搬送方向に直交する方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング27の外側に設けられた積載トレイ46に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0027】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排紙パス31から搬入され、集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置41と、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット42とを備える。図示される綴じ処理ユニット42は、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープル装置である。綴じ処理ユニット38には、針無しでシート束を綴じ処理する針無し綴じ装置を用いることもできる。
【0028】
折り処理装置41にシートを搬入するために、第2排紙パス31にシート搬送路48が接続されている。第2排紙パス31からシート積載トレイ51に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路48の下流側には、該シート搬送路の一部を構成するシート積載トレイ51が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。積載トレイ51は、第2排紙パス31に配置されるローラによる搬送手段から搬送されたシートを載置する傾斜した載置部を構成している。そして、シート積載トレイ51の直ぐ上流側には、シート搬送路48を挟んで綴じ処理ユニット42とその針受け部42aとが、対向位置に設けられている。
【0029】
シート積載トレイ51の一方の側には、折りローラ対52が、シート積載トレイ51に積載されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対52は、互いにローラ面を圧接させた折りローラ53,54からなり、その圧接部55をシート積載トレイ51に向けて配置されている。折りローラ53,54は、シート積載トレイ51に搬入されるシートの搬入方向に沿って上流側と下流側に、それぞれシート積載トレイ51との間隔を略等しくして並置されている。折りローラ53,54は二つ折りにされたシートをニップして、第2排紙パス31からシート積載トレイ51に搬送されるシートの搬送方向に関して交差する方向の折り目を形成するが、ローラには限定されず、回転ベルトなどで構成することもできる。更に、折りローラ対52は、各折りローラ53,54の軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成してもよい。
【0030】
シート積載トレイ51を挟んで折りローラ対52の反対側には、突き押し部材としての折りブレード56が配置されている。折りブレード56は、その先端を折りローラ対52の圧接部55に向けて、ブレードキャリア57に担持されている。ブレードキャリア57は、シート積載トレイ51を略直角に横断する向きに、即ち第2排紙パス31からシート積載トレイ51に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0031】
図3における前後方向即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア57を挟んでその両側には、1対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム体58(図中には、後側の一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム体58は、その偏心位置に設けられた回転軸59を中心に、図示しない駆動モーター等の駆動手段によって回動する。カム体58には、その外周縁に沿ってカム溝60が形成されている。
【0032】
カム溝60は、回転軸59からの半径が最大となる第1カム面60aと、その周方向両側に半径が第1カム面60aより小さい第2カム面60bとからなるカムプロフィルを有する。ブレードキャリア57には、カムフォロワとして、カム溝60に摺動自在に嵌合するカムピン(図示せず)が設けられている。
【0033】
ブレードキャリア57は、前記駆動モーターによりカム体58を回転させると、前記カムプロフィルに従ってシート積載トレイ51に接近又は離反する向きに走行する。これによって、
図3に示すように、折りブレード56の先端がシート搬送路48に進入していない位置である初期位置と、折りローラ対52の圧接部55に挟まれる最大突き押し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き押し経路Pに沿って、折りブレード56を直線状に進退自在に移動させることができる。そして、折りブレード56がシートを圧接部55に突き刺すことでシートが折り込まれる。したがって、折りローラ対52と折りブレード56とは、折り手段を構成している。
【0034】
シート積載トレイ51の下端には、搬入されたシートの先端を当接させて規制するための規制ストッパ64が配置されている。規制ストッパ64は、載置部であるシート積載トレイ51に載置されるシートの搬送方向側の端縁に当接して、該シートを規制して載置位置に保持する規制手段として機能する。そして、この規制ストッパ64は、シート昇降機構65によって、シート積載トレイ51に沿って昇降可能に設けられている。
【0035】
シート昇降機構65は、シート積載トレイ51の裏側に該シート積載トレイに沿ってその上端及び下端付近に配置された1対のプーリーと、この両プーリー66,67に巻き掛けられた伝動ベルト68とからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ64は、伝動ベルト68上に固定されている。駆動側のプーリー66又は67を駆動モーター等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ64が、
図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それによりシート積載トレイ51に沿ってシート又はシート束を移動させることができる。
【0036】
シート昇降機構65は、シート又はシート束を規制ストッパ64に支持されている載置位置から折り処理位置まで移送させるが、シートの搬送方向での長さ寸法が所定の値を超える場合は、規制ストッパ64を上昇させることで折り処理位置に移送するが、長さ寸法が所定の値以下の場合には、規制ストッパを下降させることで折り処理位置に移送することになる。したがって、シート昇降機構65は、規制ストッパ64に支持されたシート又はシート束を折り処理位置に移動する移動手段を構成している。
【0037】
折り処理装置41はパドルホィール77を備えている。このパドルホィール77は、
図10(a)に示すように、シート積載トレイ51の幅方向に沿って4枚のパドル77aが並設されたパドル77a列を回転軸を挟み対称に配置して構成している。このパドルホィール77が回転することで、二組の列の各パドル77aがシート積載トレイ51内に順次出没するようになっている。このようなパドルホィール77は、シート積載トレイ51内に導入されてくるシートを規制ストッパ64まで搬送することで、該シートに対して搬送方向の位置調整を行う支持規制位置調整手段として機能し、図示しないモータ等の駆動手段によって駆動する。
【0038】
折り処理装置41は更に、シート積載トレイ51と折りローラ対52との間に配置された、案内部としてのシート案内部材を備える。
図4に示す折り処理装置41は、下流側の折りローラ54側に、シート案内部材71が配置されている。シート案内部材71は、前記折りローラの軸線方向に沿って延在する板状部材で構成することができる。シート案内部材71は、第2排紙パス31からシート積載トレイ51に搬送されるシートの搬送方向に関して、折りローラ54の下流側に配置された基端部72と、基端部72の上流に位置して折りローラ54のローラ面に接触する接触部としての先端部73とを有する。シート案内部材71がローラ54に接触する接触部は、シート案内部材71に一体的に設けられている。
【0039】
シート案内部材71の基端部72は、シート積載トレイ51の外側に固設されたブラケット74内に収容されている。先端部73は、基端部72の回転軸72aを中心に、折りローラ54の回転軸心に接近する方向及び離反する方向に、揺動可能に軸支されている。シート案内部材71は、ブラケット74との間に介装された圧縮コイルばね75によって、折りローラ54側に常時付勢されている。それにより、シート案内部材71の先端部73は、折りローラ54を回転させたとき、そのローラ面に常に摺接するようになっている。これにより、シート案内部材71の基端部72は、折りローラ54のローラ面の回転位置に対応して揺動し得るように構成される。
【0040】
シート案内部材71の先端部73は、前記シート搬送方向の下流側から上流側を向いて折りローラ54の回転軸心に略対応する位置又はそれを越える位置で、折りローラ54の前記ローラ面に接するように配置される。これにより、シート案内部材71は、先端部73から下流側即ち圧接部55とは反対側で、折りローラ54のローラ面の内、シート積載トレイ51側の端部を覆うように設けられる。言い換えると、シート案内部材71は、折りローラ54のローラ面を、折りローラ対の圧接部55及びその周辺を除いて覆うように設けられている。
【0041】
そして、シート案内部材71の先端部73と基端部72との間には、下流側に向けてシート積載トレイ51との間隔が徐々に狭まるように緩やかな案内面としての傾斜面76が形成されている。この傾斜面76は、ローラ54に接触する接触部と一体的に、回転軸72aを中心に揺動する。シート案内部材71を例えば金属や硬質プラスチックの板材で形成することによって、傾斜面76の摩擦係数は、少なくとも、ゴム材料等の高い摩擦係数の材質で形成される前記折りローラよりも大幅に小さい。
【0042】
かかる傾斜面76と、先端部73が折りローラ54の前記ローラ面に接していることによって、
図5に示すように、シート積載トレイ51に搬入されるシートSの先端は、たとえカールしていても、該シート積載トレイから途中で折りローラ対52側に逸れて該折りローラ対の周面に引っ掛かったり、シート案内部材71の先端部73との隙間に挟まれることなく、確実にシート積載トレイ51に戻される。従って、折り処理装置41に搬入されるシートのジャムを有効に抑制することができる。
【0043】
更に、シート束がシート積載トレイ51から綴じ処理のためにシート搬送路48を上流側に搬送される際、及び綴じ処理後に折り処理のために下流側に搬送される際に、折りローラ対52に最も近い側のシートが折りローラ54の表面に接触して、それより内側のシートとの間でずれを生じる虞が解消される。それによって、シート束のシート同士のずれによる折れ目がシート面に生じたり、一部のシートが綴じ部から外れることを防止することができる。
【0044】
図6は、折りブレード56によりシート積載トレイ51内のシート束Sbを2つ折りに折り曲げて、折りローラ対52の圧接部55に押し込んだ状態を示している。このとき、シート束Sbの最も外側即ち折りローラ対52側のシートS0は、シート案内部材71の傾斜面76に案内されて、圧接部55に送り込まれる。上述したように、傾斜面76の摩擦係数が小さいので、シートS0は傾斜面76に摺接してスムーズに移動する。そのため、シートS0とそれより内側のシートとの間でずれが生じたり、シートどうしがずれたまま折り処理される虞が解消される。
【0045】
折りローラ対52の各折りローラ53,54は、
図4に示すように、そのローラ面81,82が、それぞれ回転軸83,84の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面81a,82aと、前記回転軸の回転軸心からの距離が前記第1ローラ面の半径R1より小さい第2ローラ面81b,82bとを有する。第1ローラ面81a,82aは、通常のローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成されている。これに対し、第2ローラ面81b,82bは、摩擦係数が第1ローラ面81a,82aより小さいプラスチック樹脂材料等で形成されている。
【0046】
折りローラ53,54の回転軸83,84は、共通の駆動モーター等の駆動手段によって回転駆動される。それにより、互いに第1ローラ面81a,82a及び第2ローラ面81b,82bの回転位置を常に同期させることができる。回転軸83,84は、カム体58と共通の駆動モーターによって駆動することもできる。
【0047】
折り処理を開始する前の初期位置では、
図4に示すように、第2ローラ面81b,82bを折りブレート56の突き押し経路Pに関して対称位置に、シート搬送路48側を向くように配置される。シート案内部材71の先端部73は、上述したように圧縮コイルばね75で付勢されているので、折りローラ54の回転位置に拘わらず、第1ローラ面82a及び第2ローラ面82bのいずれにも同様に摺接する。即ち、シートの案内部であるシート案内部材71は、回転部である折りローラ54の回転位置に対応して、その周面である第1ローラ面82a及び第2ローラ面82bと接しつつ移動し得るように構成されている。
【0048】
そして、シート積載トレイ51は、載置されたシートの端縁に沿った方向、すなわちシートの搬送方向と交差する方向の位置調整を行う位置調整手段を更に備えている。位置調整手段は、
図7に示すように、図中矢印で示すシート搬入方向に直交する向きに離隔して対称に配置された一対の位置調整部材であるシート側縁調整部材121,122を有する。シート側縁調整部材121,122は、シート搬入方向に直交する向きに互いに接近離反し得るように、それぞれ上端121a,122a及び下端121b,122bが、装置ハウジング27側に固定されたガイド部(図示せず)によって移動可能に保持されている。
【0049】
シート側縁調整部材121,122は、シート搬入方向に沿って延長する断面コ字形のフレーム部材からなり、前記コ字形の開口部を互いに対向させて平行に配設されている。シート側縁調整部材121,122の前記コ字形の内面は、シート積載トレイ51内のシートの側縁をシート搬入方向に直交する向きに、即ちシートの幅方向に整合させて位置調整するためのシート側縁規制面123,124を画定する。特に、断面コ字形のシート側縁規制面123,124は、シート積載トレイ51内のシートの側縁をシート幅方向だけでなく、シートの厚み方向即ちシート積載トレイ51(シート搬送路48)の厚み方向にも、規制することができる。尚、本例では、シート側縁調整部材121,122の両方が移動可能としているが、一方のみ移動可能に構成しても、シートの端縁方向に沿った位置調整を行うことができる。
【0050】
各シート側縁調整部材121,122には、長手方向中央付近の折りブレード56側の外面に、それぞれ他方の前記シート側縁調整部材に向けて直線状に延長するガイドレール部材125,126が一体に固定されている。ガイドレール部材125,126は、シート搬入方向に所定の間隔をもって、図中上下に並列に、少なくともそれぞれの先端側が部分的に重なるように配置されている。
【0051】
ガイドレール部材125,126の上下に互いに対向する側辺には、それぞれラック127,128が、シート側縁調整部材121,122が互いに接近離反する際に、シート搬入方向に一定の間隔を保持するように形設されている。両ラック127,128には、装置ハウジング27側に回動自在に軸支された共通のピニオン129が同時に噛合している。
【0052】
ピニオン129には、それと同軸にかつ折りブレード56側に、従動側のプーリー130が一体回動可能に装着されている。プーリー130には、装置ハウジング27側に固定されたシート側縁整合用のモーター131の出力軸に連結された駆動側のプーリー(図示せず)との間で動力伝達可能に、伝動ベルト132が巻き掛けられている。
【0053】
従って、シート側縁調整部材121,122は、モーター131を駆動してピニオン129を回転させることによって、シートの幅方向に互いに接近又は離反するように、同期して等しい距離を移動する。これにより、シート積載トレイ51内のシートの位置がシート幅方向にずれている場合には、該シートをその側辺にシート側縁規制面123又は124を当接させて、所望の調整位置に移動させることができる。
【0054】
上記構成による画像形成システムの電気回路の全体構成を、
図18に示すブロック図によって説明する。画像形成装置Aは、上記した画像形成ユニットA1とスキャナーユニットA2とフィーダーユニットA3の電気回路である画像形成回路部101と、この画像形成回路部101の各動作を統括して制御する画像形成制御部100とを備えている。シート処理装置Bは、シート処理の動作を統括して制御するシート処理制御部200を備えて、第1及び第2処理部B1,B2に含まれる各装置の駆動を制御する。例えば、第2処理部B2であれば、綴じ処理ユニット38,42の綴じ駆動部201、パドルホィール77を駆動する規制位置調整駆動部202、シート側縁調整部材121,122を駆動する位置調整駆動部203、折りローラ対52及び折りブレード56を駆動する折り駆動部204、規制ストッパ64を駆動する規制移動駆動部205等の動作を制御する。
【0055】
そして、画像形成制御部100からシート処理制御部200へは、折り処理/綴じ処理の何れを行うかの指示信号、シート折りを高精度で行うか否かの指示信号、画像形成装置Aからシート処理装置Bに送るシートのサイズ及び送る枚数等を示す信号SAが送られる。また、画像形成回路部101からシート処理制御部200へは、画像形成したシートをシート処理装置Bに送るタイミング等を示すSBが送られ、シート処理制御部200は、この信号SBの入力によりシートの受け取りを開始する。
【0056】
画像形成システムの動作を
図8A及び
図8Bに示すフローチャートを参照して説明する。
【0057】
画像形成システムは、画像形成制御部100の制御により画像形成装置Aで印刷を行った後(ステップS01)、シート処理装置Bに向けて排出する(ステップS02)。続いて、画像形成装置Aからシート処理装置Bへのシートが受け渡されると(ステップS03)、シート処理制御部200は、送られてくるシートを第1及び第2処理部B1,B2の何れで処理するのかを、このとき、画像形成制御部100から送られてくる信号SAに基づいて判別する(ステップS04)。
【0058】
このとき第1処理部B1での処理である場合には、シート処理制御部200は、シートを第1処理部B1で処理するモードでの制御を行なう。第1処理部B1での処理動作は、本発明とは直接係わりがなく説明しない。
【0059】
第2処理部B2での処理である場合には、シート処理制御部200の制御によって、シート処理装置Bは次のステップS1からの動作を行なう。
【0060】
先ず、シート処理制御部200は、画像形成制御部100からの信号SAに基づいて、シートの折り処理又は綴じ処理の何れが指示されているかを判別する(ステップS1)。この場合、綴じ処理が指示されているときは、綴じ処理モードの制御に進む。
【0061】
そして、シート処理制御部200は、画像形成制御部100によって折り処理が指示されているときには、同様に信号SAによって、画像形成制御部100から示されている折り処理を施すシート枚数が、所定枚数未満であるか否かを判別する(ステップS2)。
【0062】
シート処理制御部200は、画像形成装置Aから搬入口26へと順次送られてくるシート枚数が所定枚数未満のときには、ステップS3の処理に進む。シート処理制御部200のステップS3での制御により、折り処理装置41には、第2排紙パス31を通してシートSが積載トレイ51へ排出されて、
図9(a)に示すように、このシートSが載置部に載置される(ステップS4)。ここで、パドルホィール77のパドル77aが矢印方向に回転することで(
図9(b)に図示)、シートSは掻き込まれる(ステップS5)。これにより、シートSは、
図10に示すように、規制ストッパ64に達する載置位置まで移送される。シートSは、この移送の過程で搬送方向での位置調整が行われることになる。さらに、後続して送られてくるシートも同様に、パドルホィール77に掻き込まれて載置位置まで移送される。
【0063】
こうして、所定枚数未満の全てのシートSが規制ストッパ64に到達すると、
図11に示すように、次に規制ストッパ64がシートSの搬送方向での長さ寸法に応じて、上方又は下方に移動して、シートSの中央部を折り処理装置41の折り処理ブレード56と対向する所定の折り処理位置まで移動させる(ステップS6)。
【0064】
この場合、ステップS7でシートの上方への移動であることを判別すると、シートSが載置位置から折り処理位置まで移動したとき整合動作が行われる(ステップS9)。整合動作は、モーター131が回転することで、
図12(a)に示すように、シート側縁調整部材121,122が初期位置から、シート積載トレイ51内のシートの幅寸法に対応して所定の同じ距離だけ移動して、シートSはその幅方向の中央位置が、シート積載トレイ51のシートの搬送方向での中心線と一致するように位置調整される。よって、シートSは、第2の調整位置である折り処理位置において、シート側縁調整部材121,122により整合されて位置調整される。
【0065】
続いて、
図12(b)に示すように、シート側縁調整部材121,122が退避して整合を解除すると(ステップS10)、折りブレード56がシートの中央部を折りローラ53,54のニップ位置に押し込むことで折り処理が実行される(ステップS11)。
【0066】
ステップS6において、シートSがサイズの小さいシートで規制ストッパ64を下方に移動させているときには、ステップS8で前記画像形成制御部100から高精度の折り処理が指示されているか否かを判別し、高精度処理のときは(ステップS8の「YES」)、ステップS9からの処理となり、整合動作の後、シート側縁調整部材121,122を退避させて折り処理となる。これに対して、高精度処理でない場合には(ステップS8の「YES」)、整合動作は行なわれずシートSの移動後にステップS11で折り処理を行う。折り処理後は、シートは積載トレイ44に排出されて(ステップS12)、画像形成システムとしての動作を全て終了する。
【0067】
したがって、折り処理するシートSが所定枚数未満の小さいサイズのシートで、且つ高精度の折り処理を行わない場合には、シート側縁調整部材121,122の整合動作による位置調整を行わない。これは、パドルホィール77がシートSを掻き込む回転を行ったときに、シートの搬送方向の位置調整が行われているために、シート側縁調整部材121,122による位置調整を省略している。したがって、この場合は、整合動作に要する時間が省略されるため生産性の向上が図れる。
【0068】
そして、シートSが1枚であったり又は所定枚数未満と少ない場合には、シートSを折り処理位置まで移動させる際、シートSの腰が弱く搬送遅れによる座屈が原因となる撓みを生じることがある。このような撓みが生じていても、折りブレード56による折りローラ53,54のニップ位置への押し込みを行う前に、シート側縁調整部材121,122により整合動作を行なうことで、シートSの撓みは直立姿勢に矯正される。よって、シートSの中央部に正確に折り目を形成する精度の高い折り処理となる。
【0069】
次に、ステップS2の処理で、シート処理制御部200が折り処理するシートが所定枚数以上であると判別(ステップS2の「YES」)したときの動作を、
図8Bのフローチャートによって説明する。
【0070】
第2排紙パス31を通してシートSが積載トレイ51に排出されてきて(ステップS13)、このシートSが載置部に載置されると(ステップS14)、パドルホィール77のパドル77aが回転することで、シートSは掻き込まれる(ステップS15)。そして、シートSは、規制ストッパ64に達する載置位置まで移送されるが、ここまでは
図9及び
図10で説明したのと同じ動作である。このとき、前述したように、規制ストッパ64に達するまでの間、シートSに対して搬送方向での位置調整が行われている。
【0071】
シートSが載置位置まで移送されると、前記画像形成制御部100から高精度の折り処理が指示されているか否かを判別し(ステップS16)、高精度処理が指示されているときには、ステップS17での整合動作となる。すなわち、シート側縁調整部材121,122が初期位置から、シート積載トレイ51内のシートの幅寸法に対応して所定の同じ距離だけ移動して、シートはその幅方向中央位置が、シート積載トレイ51のシートの搬送方向での中心線と一致するように位置調整される。この場合、シートSは、載置位置である第1の調整位置で、シート側縁調整部材121,122が整合することで位置調整される。
【0072】
続いて、シート側縁調整部材121,122が退避して整合を解除すると(ステップS18)、位置調整した当該シートが折り処理する最終シートか否かを判別し(ステップS19)、最終シートでないときにはステップS13の処理に戻り、第2排紙パス31から排出される2枚目以降のシートSの処理となる。したがって、折り処理するシートSが所定枚数以上で且つ高精度処理の場合には、シートが第2排紙パス31から排出される毎に、シートSの幅方向の整合動作を繰り返すことで、シート積載トレイ51内で複数のシートを所定の幅方向の位置で整合させて集積することができる。
【0073】
図13は、整合動作において、第2排紙パス31を通して排出されてくるシートS´が、既に規制ストッパ64に達して保持されているシートSと幅方向にずれを生じて送られてきた場合を示している。このようなシートS´が送られてきて(ステップS13)、
図13(a)に示すように、載置部に載置されたとき(ステップS14)、パドルホィール77のパドル77aが回転することで、シートS´は
図13(b)に示すように、掻き込まれる(ステップS15)。
【0074】
そして、
図14に示すように、シートS´がシートSと同様に、規制ストッパ64で保持されたとき、シート側縁調整部材121,122による整合動作により(ステップS17)、シートS´のシートSに対してのずれが
図15に示すように矯正される。
【0075】
一方、画像形成制御部100から高精度の折り処理が指示されていない場合には(ステップS16の「NO」)、ステップS17及びステップ17での動作は行われずに、第2排紙パス31からシートが排出されてくるたびに、整合による位置調整を行うことなくシート積載トレイ51内にシートを集積させていく。
【0076】
こうして、全てのシートSがシート積載トレイ51に導入されると、シート側縁調整部材121,122は、このシート束の両側縁に向けて移動するが、この場合、
図16に示すように、側縁に当接するのではなく、側縁から若干の隙間を残して接近する(ステップS20)。
【0077】
そして、規制ストッパ64に保持されたシート束は、規制ストッパ64が上方に移動することで、
図17(a)に示すように、シート束の中央部を折り処理装置41の折り処理ブレード56と対向する折り処理位置まで上昇させる(ステップS21)。このときの上昇動作でシート束のシートに幅方向での乱れが生じても、シートの側縁に接近した位置に在るシート側縁調整部材121,122と触れるために、この乱れは矯正される。
【0078】
シートが折り処理位置まで移動すると、画像形成制御部100から高精度の折り処理が指示されているか否かを判別し(ステップS22)、高精度処理が指示されているときには、ステップS23で整合動作が行われる。ここでの整合は、シート束が折り処理位置まで移動された後の動作であるから、前述のステップS9での整合動作と同じく第2の調整位置での整合による位置調整が行われる。
【0079】
そして、
図17(b)に示すように、シート側縁調整部材121,122が退避して(ステップS24)、折りブレード56がシート束の中央部を折りローラ53,54の圧接部55に押し込むことで折り処理が実行される(ステップS25)。折り処理後は、シートは積載トレイ44に排出されて(ステップS26)、画像形成システムとしての動作を全て終了する。
【0080】
このように、シートSが所定枚数以上で且つ高精度処理の場合には、シートSが第2排紙パス31から送られて来る毎に第1の調整位置での整合動作を行うと共に、全てのシートSが規制ストッパ64に保持された後には、更に折り処理位置まで上昇した後にも、この第2の調整位置でも整合動作が行われる。所定枚数以上の大量のシートSを移動するときには、姿勢の乱れるシートが混じる可能性が高いために、このように第1及び第2の両方の調整位置で整合することで、折り処理精度の向上を図っている。
【0081】
これに対して、高精度の折り処理が要求されていない場合には、シート側縁調整部材121,122の整合による位置調整は行わないが、パドルホィール77の掻き込みによってシートの該端縁に沿った方向の位置調整が行われているために、ある程度の折り処理精度を確保されている。よって、この場合は、このシート束を折り処理位置まで上昇させるときの整合動作を省略することで、折り処理時間の短縮化が図れる。
【0082】
以上、詳述したように、本発明に係わるシート処理装置Bの折り処理装置41は、シートサイズや折り処理に求められている精度に応じて、シート側縁調整部材121,122による位置調整を省略している。
【0083】
すなわち、シートが所定枚数以上で高精度処理が求められている場合には、シートが規制ストッパ64に保持される度にシート側縁調整部材121,122による第1の調整位置での位置調整を行ない、さらに最終シートの位置調整が行われた後に規制ストッパ64によって折り処理位置まで移送した後にも第2の調整位置で位置調整を行なっている。そして、シートが所定枚数以上で高精度処理が求められていない場合には、シート側縁調整部材121,122による位置調整を省略している。
【0084】
シートが所定枚数未満の場合には、高精度処理の要求の有り無しに係らず、規制ストッパ64によって折り処理位置まで移送してからのシート側縁調整部材121,122による第2の調整位置での位置調整を行っている。しかしながら、所定枚数未満でシートサイズが大きく、且つ高精度処理が求められていない場合には、シート側縁調整部材121,122による位置調整を省略している。