(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-149560(P2017-149560A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】スリング用コーナープロテクタ
(51)【国際特許分類】
B66C 1/12 20060101AFI20170804BHJP
B66C 1/18 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
B66C1/12 M
B66C1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-35628(P2016-35628)
(22)【出願日】2016年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】598143033
【氏名又は名称】丸善織物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】高宮 雅史
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004LB04
3F004LC06
(57)【要約】
【課題】 スリングを用いた荷物の搬送を容易且つ確実に行うことができるスリング用コーナープロテクタを提供する。
【解決手段】 搬送される荷物の角部に沿うように互いに連結された第1の支持部材10および第2の支持部材20と、第1の支持部材10および第2の支持部材20の表面側にそれぞれ設けられた第1のガイド部材40および第2のガイド部材50とを備え、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、スリングを案内するガイド部41,51をそれぞれ有しており、ガイド部41,51の案内方向が変化するように第1の支持部材10および第2の支持部材20に回動自在に支持されたスリング用コーナープロテクタ1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される荷物の角部に沿うように互いに連結された第1の支持部材および第2の支持部材と、
前記第1の支持部材および第2の支持部材の表面側にそれぞれ設けられた第1のガイド部材および第2のガイド部材とを備え、
前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、スリングを案内するガイド部をそれぞれ有しており、前記ガイド部の案内方向が変化するように前記第1の支持部材および第2の支持部材に回動自在に支持されたスリング用コーナープロテクタ。
【請求項2】
前記第1の支持部材および第2の支持部材は、屈曲用回動軸を介して互いに回動可能とされており、
前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、それぞれの回動軸の軸方向が、前記屈曲用回動軸の軸方向と直交する請求項1に記載のスリング用コーナープロテクタ。
【請求項3】
前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、前記ガイド部から垂下して前記第1の支持部材および第2の支持部材の側面とそれぞれ係合する係合部を備える請求項1または2に記載のスリング用コーナープロテクタ。
【請求項4】
前記ガイド部におけるスリングとの当接面には、案内方向と平行に複数の細溝が形成されている請求項1から3のいずれかに記載のスリング用コーナープロテクタ。
【請求項5】
前記第1の支持部材および第2の支持部材の裏面側には、複数の突部が形成されている請求項1から4のいずれかに記載のスリング用コーナープロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリング用コーナープロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
玉掛け作業においては、荷物の鋭い角部によりスリング等の吊り具が損傷しないように、コーナープロテクタで保護することが従来から行われている。例えば、特許文献1には、矩形板状の芯材の外面に帯状のベルト部を備える建材保護吊り具が開示されている。この建材保護吊り具は、建材の角部に沿って芯材を凹溝で折り曲げ、スリングベルトをベルト部に取り付けて使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−86142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建材保護吊り具は、例えばスリングベルトの吊り角度が大きい場合に、ベルト部によるスリングベルトの案内方向が実際のスリングベルトの延在方向と一致せず、スリングベルトに屈曲やねじれが生じ易いという問題があった。このため、スリングベルトの耐久性が低下すると共に、建材の安定した搬送が困難になるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、スリングを用いた荷物の搬送を安全且つ確実に行うことができるスリング用コーナープロテクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、搬送される荷物の角部に沿うように互いに連結された第1の支持部材および第2の支持部材と、前記第1の支持部材および第2の支持部材の表面側にそれぞれ設けられた第1のガイド部材および第2のガイド部材とを備え、前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、スリングを案内するガイド部をそれぞれ有しており、前記ガイド部の案内方向が変化するように前記第1の支持部材および第2の支持部材に回動自在に支持されたスリング用コーナープロテクタにより達成される。
【0007】
このスリング用コーナープロテクタにおいて、前記第1の支持部材および第2の支持部材は、屈曲用回動軸を介して互いに回動可能とされていることが好ましく、前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、それぞれの回動軸の軸方向が、前記屈曲用回動軸の軸方向と直交することが好ましい。
【0008】
また、前記第1のガイド部材および第2のガイド部材は、前記ガイド部から垂下して前記第1の支持部材および第2の支持部材の側面とそれぞれ係合する係合部を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記ガイド部におけるスリングとの当接面には、案内方向と平行に複数の細溝が形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記第1の支持部材および第2の支持部材の裏面側には、複数の突部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスリング用コーナープロテクタによれば、スリングを用いた荷物の搬送を安全且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスリング用コーナープロテクタの斜視図である。
【
図2】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの平面図である。
【
図3】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの側面図である。
【
図4】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの正面図である。
【
図5】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの背面図である。
【
図6】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの作動を示す平面図である。
【
図7】
図1に示すスリング用コーナープロテクタの使用方法を説明するための側面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るスリング用コーナープロテクタの要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスリング用コーナープロテクタの斜視図である。また、
図2から
図5は、それぞれ
図1に示すスリング用コーナープロテクタの平面図、側面図、正面図および背面図であり、
図3および
図4は、
図2に示すスリング用コーナープロテクタをそれぞれ矢示A方向および矢示B方向に見た図である。
図1から
図5に示すように、スリング用コーナープロテクタ1は、互いに連結された第1の支持部材10および第2の支持部材20と、これら第1の支持部材10および第2の支持部材20の表面側にそれぞれ設けられた第1のガイド部材40および第2のガイド部材50とを備えている。第1の支持部材10、第2の支持部材20、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、例えば、ポリウレタン等の合成樹脂や金属材料等から形成される。
【0014】
第1の支持部材10および第2の支持部材20は、基端部から先端部に向けて幅が徐々に狭くなるように湾曲する板状またはブロック状の部材であり、それぞれの基端部に形成された複数の突出部13,23同士が組み合わされている。各突出部13,23の貫通孔には、金属棒からなる屈曲用回動軸30が挿通されており、第1の支持部材10と第2の支持部材20とが回動可能に連結されている。
図5に示すように、第1の支持部材10および第2の支持部材20の裏面側には、複数の突部11,21がドット状に配置されており、更にマグネット12,22が埋設されている。
【0015】
第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、玉掛け作業時にスリングベルトを案内するガイド部41,51をそれぞれ備えている。ガイド部41,51は、円弧状の先端部が互いに対向するように配置されており、スリングベルトが当接する当接面42,52と、当接面42,52の幅方向両側に配置された一対の保持爪43,44;53,54とを備えている。一対の保持爪43,44;53,54は、互いに対向する鉤状の部材であり、スリングベルトの幅方向両側を保持してスリングベルトを案内する。当接面42,52には、スリングベルトの案内方向と平行に複数の細溝45,55が形成されている。
【0016】
ガイド部41,51の裏面側は、
図2等に破線で示す回動軸47,57により、それぞれ第1の支持部材10および第2の支持部材20に回動可能に支持されている。回動軸47,57の軸方向は、屈曲用回動軸30の軸方向と直交しており、第1の支持部材10および第2の支持部材20が互いに屈曲するように回動すると共に、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、それぞれ第1の支持部材10および第2の支持部材20の表面に沿って回動する。
【0017】
また、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、ガイド部41,51の基端部から垂下する係合部46,56を備えている。係合部46,56は、それぞれ第1のガイド部材40および第2のガイド部材50を回動させることで、第1の支持部材10および第2の支持部材20の側面と係合し、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50の回動を係止する。係合部46,56の下面には、第1の支持部材10および第2の支持部材20に設けられた突部11,21と同じ高さ位置に、複数の突部48,58が設けられている。
【0018】
図2に示すように、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50の案内方向が、屈曲用回動軸30の軸方向と平面視において直交する状態においては、
図5に示すように、第1の支持部材10および第2の支持部材20の係合部46,56が、第1の支持部材10および第2の支持部材20の先端側面に接触して保持される。この状態から第1のガイド部材40を一方向に回動させると、
図6に示すように、第1の支持部材10の幅方向一方側の側面に係合部46が当接して係止され、他方向に回動させると、第1のガイド部材40が破線で示す位置で係止される。このように、第1のガイド部材40の回動範囲を、所定の回動範囲αに規制することで、作業時の取扱性を良好にすることができる(第2のガイド部材50についても同様)。この回動範囲αは、実際の搬送時に想定される状況を考慮して適宜設定すればよく、例えば120°である。
【0019】
上記の構成を備えるスリング用コーナープロテクタ1は、
図7に示すように、第1の支持部材10および第2の支持部材20を、屈曲用回動軸30まわりに回動させて荷物Lの角部に沿って屈曲させ、それぞれの裏面側を荷物Lの表面に当接させた後、スリングベルトSをガイド部41,51に挿通することにより、荷物LをスリングベルトSで吊り上げて搬送することができる。
【0020】
第1の支持部材10および第2の支持部材20の裏面側には、弾性を有する複数の突部11,21が設けられているので、これら突部11,21が荷物Lに密着し、適度なグリップ力が生じる。したがって、荷物Lの搬送中に、第1の支持部材10および第2の支持部材20と荷物Lとの間ですべりが生じるのを抑制することができる。また、第1の支持部材10および第2の支持部材20は、裏面側にマグネット12,22が設けられているので、荷物Lが磁性材料からなる場合には、マグネット12,22の吸着力によっても荷物Lに密着する。
【0021】
第1のガイド部材40および第2のガイド部材50は、第1の支持部材10および第2の支持部材20の表面に沿って回動自在に支持されているので、スリングベルトSの吊り角度等に応じて第1のガイド部材40および第2のガイド部材50が自然に回動する。これにより、第1のガイド部材40および第2のガイド部材50の案内方向と、スリングベルトSの延在方向とを、容易に一致させることができるので、スリングベルトSの屈曲やねじれを抑制して安定した吊り上げが可能になり、荷物Lを確実に搬送することができる。
【0022】
ガイド部41,51におけるスリングベルトSとの当接面42,52には、案内方向に沿って複数の細溝45,55が形成されているので、スリングベルトSと当接面42,52との間に生じる摩擦力を低減することができ、作業性を良好にすることができる。
【0023】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、ガイド部41,51が案内するスリングをスリングベルトSとしているが、必ずしもベルト状のものに限定されるものではなく、例えば、ワイヤーロープやチェーン等であってもよい。
【0024】
また、第1の支持部材10および第2の支持部材20に形成された突部11,21は、本実施形態のようなドット状以外に、屈曲用回動軸30と平行に延びるストライプ状であってもよく、あるいは、格子状等であってもよい。
【0025】
また、
図8に示すように、第1の支持部材10および第1のガイド部材40は、成形容易や軽量化等の目的で、保持爪43,44や突出部13等に多数の切欠部43a,44a,13aを有する構成であってもよい。
図8に示す保持爪43,44は、スリングベルト(図示せず)の幅方向両側を案内するガイド部43b,44bの間隔が、先端側に向けてテーパ状に拡がるように形成されており、これによってスリングベルトの回動範囲をより拡げることができる。
【0026】
更に、
図8に示す第1の支持部材10は、同じ形状のものを第2の支持部材として組み合わせることができるように各突出部13が配置されており、これによって製造コストの低減が図られている。なお、第2のガイド部材についても、
図8に示す第1のガイド部材40と同様の形状にすることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 スリング用コーナープロテクタ
10 第1の支持部材
11 突部
20 第2の支持部材
21 突部
30 屈曲用回動軸
40 第1のガイド部材
41 ガイド部
45 細溝
46 係合部
47 回動軸
50 第2のガイド部材
51 ガイド部
55 細溝
56 係合部
57 回動軸