【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたアルコール製剤は食品添加物であるので、洗浄力を向上させようとしても、使用できる化合物が限られており、アルコール製剤に添加する化合物を改良したとしても、洗浄力の向上には限界があった。
【0008】
本発明は、化合物の添加によらずアルコール製剤等の殺菌剤組成物の洗浄力の向上を図ったものであり、本発明の目的は、充分な殺菌力を有し、かつ、化合物の添加によらずに洗浄力が充分に向上された殺菌剤組成物を提供することである。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、殺菌剤組成物に直径100μm以下の微細気泡を含有させることにより、洗浄力が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の殺菌剤組成物は、直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%であることを特徴とする。
【0011】
本発明の殺菌剤組成物は、アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%である。
そのため、殺菌剤組成物の殺菌力が強い。
アルコールの濃度が30.00重量%未満であると、アルコールの濃度が低すぎ、殺菌力が低下する。
アルコールの濃度が86.00重量%を超えると、アルコールの濃度が高すぎるので、殺菌剤組成物が白濁したり、成分の分離が生じる原因となる。また、引火しやすくなり、取扱上の注意も必要となる。
【0012】
本発明の殺菌剤組成物は、直径100μm以下の微細気泡を含有する。
殺菌剤組成物が直径100μm以下の微細気泡を含有すると洗浄力が向上する。これは、微細気泡が破泡した際の物理力及び泡が汚れに吸着し汚れを浮き上がらせる効果によるものと考えられる。
【0013】
本発明の殺菌剤組成物では、上記微細気泡の含有割合は、10
4〜10
10個/mLであることが望ましい。
微細気泡の含有割合が10
4個/mL未満であると、微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
微細気泡の含有割合が10
10個/mLを超える殺菌剤組成物は製造コストが高くなる一方、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
【0014】
本発明の殺菌剤組成物では、上記微細気泡は、酸素、二酸化炭素、オゾン、窒素及び空気からなる群から選ばれる少なくとも一種の気体からなることが望ましい。
微細気泡はこれら気体により容易に作製することができる。
さらに、これら気体が殺菌剤組成物から揮発したとしても、これら気体は環境に害を与えにくい。
【0015】
本発明の殺菌剤組成物では、上記アルコールは、エチルアルコール及び/又はプロピルアルコールであることが望ましい。
これらアルコールは殺菌力に優れるので、これらアルコールを含む本発明の殺菌剤組成物は良好な殺菌力を有する。
【0016】
本発明の殺菌剤組成物は、さらに界面活性剤を含むことが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が界面活性剤を含むと、本発明の殺菌剤組成物の洗浄力が向上する。
【0017】
本発明の殺菌剤組成物は、さらに酸剤を含むことが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が酸剤を含むと、さらに、殺菌力が向上する。
【0018】
本発明の殺菌剤組成物は、食品添加物として用いることができる化合物のみからなることが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が、食品添加物として用いることができる化合物のみからなると、使用者の健康に影響を与えにくい。
さらに、殺菌剤組成物の製品に「食品添加物」と表示することができ、使用者に安心感を与えることができる。
なお、本明細書において「食品添加物として用いることができる化合物」とは、食品衛生法施行規則(平成二七年九月一八日厚生労働省令第一四三号による改正)の別表1に記載された指定添加物、既存添加物、天然香料及び一般飲食添加物を意味する。
【0019】
本発明の洗浄殺菌方法は、上記本発明の殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布する塗布工程と、上記塗布工程の後、上記殺菌対象物から上記殺菌剤組成物を拭き取ることにより、上記殺菌対象物を洗浄し、上記殺菌対象物に付着した細菌を殺菌する、洗浄殺菌工程とを行うことを特徴とする。
これまで説明したように、上記本発明の殺菌剤組成物は、殺菌力のみならず、洗浄力も有している。従って、本発明の殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布し、その後、殺菌剤組成物を拭き取ることにより、殺菌対象物の洗浄と殺菌とを同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の殺菌剤組成物は、直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%である。
アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%であると、殺菌力が強くなる。また、微細気泡は、殺菌剤組成物の洗浄力を向上させる。
そのため、本発明の殺菌剤組成物は、充分な殺菌力を有し、かつ、洗浄力が充分に向上されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の殺菌剤組成物について詳しく説明する。
本発明の殺菌剤組成物は、直径100μm以下の微細気泡を含有し、アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%であることを特徴とする。
【0022】
本発明の殺菌剤組成物は、アルコールの濃度が30.00〜86.00重量%である。そのため、殺菌剤組成物の殺菌力が強い。
アルコールの濃度が30.00重量%未満であると、アルコールの濃度が低すぎ、殺菌力が低下する。
アルコールの濃度が86.00重量%を超えると、アルコールの濃度が高すぎるので、殺菌剤組成物が白濁したり、成分の分離が生じる原因となる。また、引火しやすく、取扱上の注意も必要となる。
また、本発明の殺菌剤組成物におけるアルコールの濃度は、上記範囲内であれば特に限定されないが、37.88〜85.70重量%であることが望ましく、42.51〜75.87重量%であることがより望ましい。
アルコールの濃度が、37.88〜85.70重量%であると、組成物全体として食品添加物となり、より安全性が高まる。
【0023】
本発明の殺菌剤組成物では、アルコールの種類は特に限定されないが、エチルアルコール及び/又はプロピルアルコールであることが望ましく、エチルアルコールであることがより望ましい。
これらアルコールは殺菌力に優れるので、これらアルコールを含む本発明の殺菌剤組成物は良好な殺菌力を有する。
【0024】
さらに、アルコールがエチルアルコールである場合には、その濃度は、37.88〜85.70重量%であることが望ましい。
組成物全体として「食品添加物である」と表示するためにはエチルアルコールの含有量が37.88〜85.70重量%の範囲内である必要がある(アルコール製剤(食品添加物)自主基準 日本食品洗浄剤衛生協会 制定)。
つまり、エチルアルコールが、上記濃度であることは、本発明の殺菌剤組成物を「食品添加物」と表示するための一つの要件である。
【0025】
本発明の殺菌剤組成物は、直径100μm以下の微細気泡を含有する。
殺菌剤組成物が直径100μm以下の微細気泡を含有すると洗浄力が向上する。
なお、本明細書において、「微細気泡の直径」は、動的光散乱法で測定された微細気泡の直径の平均値のことを意味する。
【0026】
特に、微細気泡の直径は、0.001〜1μmであることが望ましく、0.01〜1μmであることがより望ましい。
微細気泡の直径が、1μm以下であると、殺菌剤組成物中での上昇速度が遅くなり、微細気泡を形成する気体が揮発しにくくなる。そのため、長期間、微細気泡が殺菌剤組成物中に留まることができる。
微細気泡の直径が、0.001μm未満であると、微細気泡が小さいため内部圧力が高く、気泡内部の気体の溶解速度が上がるため、微細気泡が縮小しやすくなり、殺菌剤組成物中に溶解し、消失しやすくなる。つまり、気泡状態を維持しにくくなる。一方、微細気泡の直径が0.001μm以上であると、微細気泡は充分に大きいので、殺菌剤組成物中に溶解しにくい。つまり、長期間、微細気泡が、気泡状態で、殺菌剤組成物中に留まりやすくなる。
【0027】
本発明の殺菌剤組成物では、上記微細気泡の含有割合は、特に限定されないが、10
4〜10
10個/mLであることが望ましく、10
6〜10
10個/mLであることがより望ましい。
微細気泡の含有割合が10
4個/mL未満であると、微細気泡の数が少なく、充分な洗浄力を得られにくい。
微細気泡の含有割合が10
10個/mLを超える殺菌剤組成物は製造コストが高くなる一方、洗浄力の向上が上限に近づき経済的でない。
なお、本明細書において、「微細気泡の含有割合」は、動的光散乱法で測定された割合のことを意味する。
【0028】
本発明の殺菌剤組成物では、上記微細気泡は、酸素、二酸化炭素、オゾン、窒素及び空気からなる群から選ばれる少なくとも一種の気体からなることが望ましい。
微細気泡はこれら気体により容易に作製することができる。
さらに、これら気体が殺菌剤組成物から揮発したとしても、これら気体は環境に害を与えにくい。
【0029】
本発明の殺菌剤組成物は、さらに界面活性剤を含むことが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が界面活性剤を含むと、本発明の殺菌剤組成物の洗浄力が向上する。
【0030】
界面活性剤の種類は、特に限定されないが、食品添加物として用いることができる化合物であることが望ましく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート80、レシチン、サポニン等があげられる。これらの中では、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることが望ましい。
これら界面活性剤は、単独で用いても、併用してもよい。
【0031】
界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステルを用いる場合、グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンに脂肪酸が1つ結合したエステルであるモノグリセリド、グリセリンに脂肪酸が2つ結合したエステルであるジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が3つ結合したエステルであるトリグリセリド、及び、モノグリセリドとジグリセリドの混合物(モノ・ジグリセリド混合物)があげられる。
モノグリセリドとしては、グリセリンカプリル酸エステル、グリセリンカプリン酸エステル、グリセリンラウリン酸エステル、グリセリンステアリン酸エステル、グリセリン12−ヒドロキシステアリン酸エステル、グリセリンオレイン酸エステル、グリセリンベヘン酸エステル等が挙げられる。また、ジグリセリド、トリグリセリドとしては、上記モノグリセリドの脂肪酸が2つ又は3つ結合したジグリセリド、トリグリセリドが挙げられ、モノ・ジグリセリド混合物としては上記モノグリセリドとジグリセリドの混合物があげられる。これらの中では、グリセリンカプリル酸エステル、グリセリンカプリン酸エステル、グリセリンラウリン酸エステル、ジグリセリンカプリル酸エステルを用いることが望ましい。
【0032】
界面活性剤として、ショ糖脂肪酸エステルを用いる場合、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖べヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等があげられる。
これらの中では、脂肪酸の炭素数が8〜18であるショ糖脂肪酸エステルが望ましく、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を含有することがより好ましい。
【0033】
また、界面活性剤として、ショ糖脂肪酸エステルを用いる場合、ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖ラウリン酸エステルを含有することが好ましい。
この場合、ショ糖ラウリン酸エステルと他の種類のショ糖脂肪酸エステルを含有することが好ましく、この場合、ショ糖脂肪酸エステルに占めるショ糖ラウリン酸エステルの割合が70重量%以上、100重量%未満であることが望ましい。
【0034】
界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステルを用いる場合、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンラウリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステル等のソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル等のソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル、ソルビタントリべへン酸エステル等のソルビタントリ脂肪酸エステル等があげられる。
【0035】
本発明の殺菌剤組成物が界面活性剤を含む場合、その濃度は特に限定されないが、0.01〜10重量%であることが望ましく、0.05〜0.5重量%であることがより望ましい。
界面活性剤の濃度が0.01重量%未満であると、界面活性剤の濃度が低いため洗浄力が充分に向上しない。
界面活性剤の濃度が10重量%を超えると、相対的にアルコールの濃度が低くなる。そのため、殺菌剤組成物の殺菌力が低下しやすくなる。また、溶液の濁り、分離が発生しやすく、製造コストも上がる傾向にある。
【0036】
本発明の殺菌剤組成物は、さらに酸剤を含むことが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が酸剤を含むと、さらに、殺菌力が向上する。
【0037】
酸剤の種類は、特に限定されないが、食品添加物として用いることができる化合物であることが望ましく、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、フィチン酸及びこれらの塩があげられる。これらの塩としては、例えば、ナトリウム塩や、カリウム塩等があげられ、ナトリウム塩であることが望ましい。
これら酸剤は、単独で用いても、併用してもよい。
【0038】
本発明の殺菌剤組成物が酸剤を含む場合、その濃度は特に限定されないが、0.01〜5重量%であることが望ましく、0.01〜0.5重量%であることがより望ましい。
酸剤の濃度が0.01重量%未満であると、酸剤の濃度が低いため殺菌力が充分に向上しない。
酸剤の濃度が5重量%を超えると、相対的にアルコールの濃度が低くなる。そのため、殺菌剤組成物の殺菌力が低下しやすくなる。また、溶液の安定性が低下しやすく、製造コストも上がる傾向にある。
【0039】
本発明の殺菌剤組成物は、その他の成分としてキレート剤、塩化ベンザルコニウムなどの殺菌成分、増粘剤等を含んでいてもよい。
【0040】
本発明の殺菌剤組成物は、食品添加物として用いることができる化合物のみからなることが望ましい。
本発明の殺菌剤組成物が、食品添加物として用いることができる化合物のみからなると、使用者の健康に影響を与えにくい。
さらに、殺菌剤組成物の製品に「食品添加物」と表示することができ、使用者に安心感を与えることができる。
【0041】
本発明の殺菌剤組成物のpHは、特に限定されないが、3.0〜8.0であることが望ましい。
pHが上記範囲であると、殺菌力が充分であり、殺菌剤組成物により殺菌対象物を腐食しにくい。
pHが3.0未満であると、殺菌対象物が腐食されやすくなる。
pHが8.0を超えると、人に対する安全性が低下し、また、殺菌対象物の材質への影響も生じやすくなる。
【0042】
本発明の殺菌剤組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、あらかじめ微細気泡発生装置を用いて水に微細気泡を含有させてから、微細気泡を含有した水と、アルコールとを所定量混合して殺菌剤組成物を製造してもよく、水とアルコールとを混合してから、微細気泡発生装置を用いて水とアルコールの混合物に微細気泡を含有させて殺菌剤組成物を製造してもよい。
また、界面活性剤や酸剤等のその他の添加物はどの段階で加えてもよい。
【0043】
次に、本発明の殺菌剤組成物の使用方法の一例である本発明の洗浄殺菌方法について説明する。
本発明の洗浄殺菌方法は、上記本発明の殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布する塗布工程と、上記塗布工程の後、上記殺菌対象物から上記殺菌剤組成物を拭き取ることにより、上記殺菌対象物を洗浄し、上記殺菌対象物に付着した細菌を殺菌する、洗浄殺菌工程とを行うことを特徴とする。
【0044】
(1)塗布工程
まず、上記本発明の殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布する。
殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、ハンドスプレーガンを用いて噴霧する方法や、容器から直接液を垂らす方法や、布等に殺菌剤組成物を浸み込ませ塗布する方法等があげられる。
ハンドスプレーガンを用いて殺菌剤組成物を噴霧する場合には、殺菌剤組成物の粘度を適当な範囲にすることが望ましく、E型粘度計により測定した粘度を、回転数20rpm、20℃において0〜300mPa・sとすることが望ましい。
なお、粘度が0mPa・sであるとは粘度計での測定の下限値以下の粘度であることを意味する。
また、殺菌剤組成物に増粘剤を添加することによりその粘度を調整することができる。増粘剤として食品添加物である増粘剤が好ましく、例えば、メチルセルロースや、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等があげられる。
【0045】
殺菌対象物としては、特に限定されず、食堂のテーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材等があげられる。
【0046】
(2)洗浄殺菌工程
上記(1)塗布工程の後、殺菌対象物から殺菌剤組成物を拭き取ることにより、殺菌対象物を洗浄し、殺菌対象物に付着した細菌を殺菌する。
殺菌対象物から殺菌剤組成物を拭き取る方法としては、特に限定されず、吸水性を有する布や紙等を用いる方法があげられる。
上記本発明の殺菌剤組成物は、殺菌力のみならず、洗浄力も有している。従って、本発明の殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布し、その後、殺菌剤組成物を拭き取ることにより、殺菌対象物の洗浄と殺菌とを同時に行うことができる。
【0047】
本発明の殺菌剤組成物の別の使用方法として、殺菌剤組成物を殺菌対象物に塗布し、殺菌剤組成物が揮発するのを待つ方法もあげられる。
【0048】
さらに、本発明の殺菌剤組成物は、屋外から屋内に入る際の手の殺菌や、食品加工する前の手の殺菌や、創傷部の消毒等に使用することができる。すなわち、本発明の殺菌剤組成物は、生体に対しても用いることができる。
特に、本発明の殺菌剤組成物が、食品添加物として用いることができる化合物のみからなると、安全に生体に対して用いることができる。
【0049】
また、上記の通り、本発明の殺菌剤組成物は、殺菌力のみならず、洗浄力も有しているので、汚れの洗浄を主たる目的として用いてもよい。
【実施例】
【0050】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
アルコールとしてエチルアルコール30.00重量%、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステル0.10重量%、酸剤として乳酸ナトリウム0.01重量%、及び、残分として酸素からなる微細気泡を含有する水を混合し、実施例1に係る殺菌剤組成物を製造した。
酸素からなる微細気泡を含有する水における、微細気泡の直径は0.1μmであり、含有割合は10
8個/mLであった。
【0052】
(実施例2〜7及び比較例1〜5)
表1に示すように殺菌剤組成物の原料を混合し、各実施例及び各比較例に係る洗浄剤組成物を製造した。なお、表1中、原料の数値は「重量%」を意味する。
なお、実施例3〜6で用いた微細気泡を含有する水は、含有する気体を表1のものに変更した以外は、実施例1で用いた微細気泡を含有する水と同じものを用いた。
【0053】
【表1】
【0054】
製造した各実施例及び各比較例の殺菌剤組成物を用いて、以下の試験方法により、外観評価、殺菌力評価及び洗浄力評価を行った。
【0055】
(殺菌力評価)
供試菌として大腸菌を、普通ブイヨン培地を用いて35℃、24時間培養し、その菌液を適宜希釈して菌数が10
7〜10
8CFU/mLとなるように調製した。
次に、菌液0.1mLを各実施例及び各比較例に係る殺菌剤組成物10mLに加え混合物とし、混合物を撹拌した後、25℃で30秒間静置した。
次に、当該混合物を、1白金耳だけSCD培地10mLに接種し、35℃で48時間培養した。
その後、SCD培地の濁りを目視により確認し、各実施例及び各比較例に係る殺菌剤組成物の殺菌効果を確認した。
また、供試菌として黄色ブドウ球菌を用いて同様に各実施例及び各比較例に係る殺菌剤組成物の殺菌効果を確認した。
各試験における殺菌効果に基づき、各実施例及び各比較例の殺菌効果を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
◎:大腸菌及び黄色ブドウ球菌の両方に対し、殺菌効果がある。
○:大腸菌に対してのみ、殺菌効果がある。
×:大腸菌及び黄色ブドウ球菌のいずれに対しても、殺菌効果がない。
【0056】
表1に示すように、実施例1〜7に係る殺菌剤組成物の殺菌力の評価は良好であった。特に、アルコールの濃度が、37.88〜85.70である実施例2〜7に係る殺菌剤組成物では、大腸菌及び黄色ブドウ球菌の両方に殺菌効果を示した。
一方、比較例1に係る殺菌剤組成物では、殺菌力の評価が悪かった。これは、アルコール濃度が低すぎたために、殺菌効果が得られなかったためと考えられる。
【0057】
(洗浄力評価)
本試験では、牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン0.25g及びオイルレッド0.1gを60gのクロロホルムに溶解し、油脂汚れを調製した。
この油脂汚れ0.2gを、7cm×11cmのステンレス板に塗布した。
次に、油脂汚れが塗布されたステンレス板を、各実施例及び各比較例に係る殺菌剤組成物1Lに10分間浸漬した。
次に、ステンレス板を各実施例及び各比較例に係る殺菌剤組成物から取り出し、目視により表面を観察することにより洗浄力評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
○:60%以上の油脂汚れが除去されていた。
△:30%以上、60%未満の油脂汚れが除去されていた。
×:30%未満の油脂汚れが除去されていた。
【0058】
表1に示すように、微細気泡を含む実施例1〜7に係る洗浄剤組成物では、洗浄力の評価が良好であった。
一方、微細気泡を含まない比較例2〜4に係る洗浄剤組成物では、洗浄力の評価が悪かった。
これらのことから、洗浄剤組成物が微細気泡を含むと、洗浄力が向上することが示された。
【0059】
(外観評価)
得られた各実施例及び各比較例の殺菌剤組成物の25℃における外観を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:殺菌剤組成物が透明であり、成分が分離していない。
×:殺菌剤組成物が白濁しているか、成分が分離していた。
【0060】
表1に示すように、実施例1〜7に係る殺菌剤組成物は、透明であり、成分が分離しておらず、外観評価は良好であった。
一方、比較例2及び5に係る殺菌剤組成物は、白濁しており外観評価が悪かった。この原因は、界面活性剤のエチルアルコール水溶液への溶解性、および、界面活性剤と酸剤との相性が悪かったためと考えられる。
特に、比較例5では、アルコールの濃度が86.00%を超えていたため、外観評価が悪くなったと考えられる。