【課題を解決するための手段】
【0012】
図13は髪及びその周囲の頭皮の模式的断面図であり、この図を用いて発毛機構を説明する。
図13に示したように、髪はいわゆる髪の毛の毛幹部1と頭皮の中にある毛根部2とから構成されている。毛髪は毛根部2にある毛母細胞5で作られるが、それらの周囲は同じ毛母細胞5から作られる毛包3という組織によって囲繞されている。この毛包3は根元から毛穴付近まで広く髪の毛を取り囲んでおり、髪が育てられる過程で非常に大切な部分である。一方、毛母細胞5の中心には毛乳頭6が存在しており、毛乳頭6は毛細血管7を通して髪に必要な栄養成分及び酵素等を受け取り、それらを毛母細胞5へ与えるとともに、髪の毛を製造する指令等を与えている。そして、指令を受けた毛母細胞5は細胞分裂を行い、分裂した細胞が固い毛に角化していくことで髪の毛が生成され、それが毛穴から外に生えて髪となるのである。
【0013】
一方、毛乳頭6からVEGFが産生されることが知られているが、その産生量を向上させるべく、VEGFの産生を促進することができれば、毛乳頭6及び毛母細胞5の周囲の血管新生がより促進されて、毛乳頭6及び毛母細胞5への血流量がより増大され、その結果、発毛効果がより向上する。
【0014】
ところで、胎盤エキスには前述した種々の作用が認められているが、本発明が完成するに至るまで、毛乳頭に対するVEGF産生促進作用を有するという報告はなされていない。
【0015】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、胎盤を凍結融解して得られた融解液に、毛乳頭からのVEGFの産生を促進させる作用が存在し、更に、胎盤を凍結融解して得られた融解液にエタノールを添加することによって、VEGF産生促進作用を増大させることができるという知見を得て本発明を完成させるに至った。
【0016】
すなわち、(1)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法は、血管内皮増殖因子を産生する細胞に作用して、その産生を促進させる血管内皮増殖因子産生促進剤を製造する方法であって、哺乳動物から胎盤を回収する工程と、回収した胎盤を凍結する工程と、凍結した胎盤を融解させる工程と、融解させた胎盤から融解液を分取する分取工程と、得られた融解液を濾過する工程とをこの順に実施することによって血管内皮増殖因子産生促進剤を得ることを特徴とする。
【0017】
ここで、胎盤を回収する工程では、衛生的な環境下、出産後できる限り迅速に胎盤を回収するのが良く、好ましくは出産後間もない新鮮な胎盤を回収する。なお、胎盤の表面に血液その他の異物が付着している場合は、可及的に除去した後に清潔な袋等の保存容器内へ回収しておくとよい。回収した胎盤は低温下に保存し、凍結器内へ収納して凍結する。凍結温度は−20℃以下が好ましい。
【0018】
次に、凍結した胎盤を融解させる。これによって胎盤を構成する細胞が破壊され、細胞内物質が融解液となって細胞外へ放出される。このような凍結融解によって細胞内物質を抽出するため、負荷を加えることなく細胞内の水溶性物質を抽出することができる一方、脂溶性ホルモンといった脂溶性物質の混入を回避することができる。なお、融解方法はどのような方法であってもよいが、例えば10℃以下の水中で融解させた場合、雑菌等の繁殖を抑制することができるため好適である。
【0019】
胎盤は袋状の膜体でその表面が覆われているため、凍結融解後に残存する膜体及び前記細胞残渣等と融解液とを固液分離して、融解液を分取する。かかる分取工程を経て得られた融解液には細かい残渣が混入しているため、濾過によって当該残渣を除去することによって血管内皮増殖因子産生促進剤を得る。なお、濾過には無菌濾過も含まれるが、膜又は中空繊維を用いる限外濾過というように、所定の分子量で濾別するものも含まれる。
【0020】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法にあっては、前述したように血管内皮増殖因子を産生する細胞に作用して、その産生を促進させる血管内皮増殖因子産生促進剤を製造する場合、哺乳動物から胎盤を回収する工程と、回収した胎盤を凍結する工程と、凍結した胎盤を融解させる工程と、融解させた胎盤から融解液を分取する工程と、得られた融解液を濾過する工程とをこの順に実施することによって血管内皮増殖因子産生促進剤を得ており、胎盤を回収してから融解液を分取するまでの間に、加熱、酵素処理、又は溶媒抽出等の処理を行っていない。従って、胎盤を構成する細胞に負荷をかけることなく水溶性物質を抽出し得、抽出された水溶性物質に分解・変性等が生じることを可及的に低減することができる。これによって、従来報告されていなかった血管内皮増殖因子産生促進作用を有する新規物質が胎盤から抽出されたものと考えられる。
【0021】
ところで、我が国では、ヒトの胎盤から抽出したエキスを主成分とし、肝硬変、更年期障害又は乳汁分泌不全等の治療に使用する薬剤が、医療機関にて永年に亘って使用されており、副作用がほとんど無い安全な薬剤として知られている。また、豚の胎盤由来のドリンク剤、豚・馬・羊その他の動物の胎盤由来のエキスは化粧品及び医薬部外品として永年使用されている。従って、胎盤を凍結融解して得られた融解液を主な成分とする血管内皮増殖因子産生促進剤にあっても、副作用を招来する虞が無いものと言える。
【0022】
一方このような血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、VEGFを産生する細胞に作用してその産生を促進させるため、当該細胞の周囲の血管に生じた障害を改善し又は防止することができる。
【0023】
(2)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法は、更に、前記融解液にエタノールを添加することを特徴とする。
【0024】
前述したように、本発明者らが更に検討した結果、濾過を行う前の融解液にエタノールを添加することによって、血管内皮増殖因子産生を促進させる作用が増大されるという知見が得られた。
【0025】
胎盤を凍結融解して得た融解液にエタノールを添加した場合、血管内皮増殖因子産生を促進させる作用がどのような機構によって増大されるかは明らかではないが、後述するように、胎盤を酵素処理してエキス成分を製造する工程でエタノールを添加した場合、血管内皮増殖因子産生が抑制されることを考慮すると、エタノールの添加によって、例えば融解液中、血管内皮増殖因子産生促進をマスクする物質を除去する、又は血管内皮増殖因子産生促進を補助する物質を遊離させる等々が生じているものと考えられる。このように、凍結融解して得た融解液とエタノールとの間に相互作用が生じており、それによって血管内皮増殖因子産生を促進させる作用が増大されるものと考えられる。
【0026】
(3)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法は、99.9容量%のエタノールを用いた場合、前記エタノールを、融解液に対して10質量%以上60質量%未満になるように添加することを特徴とする。
【0027】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法にあっては、99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールを、融解液に対して10質量%以上60質量%未満になるように添加する。99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールの添加量が融解液の10質量%未満である場合、保存安定性が低いため血管内皮増殖因子産生促進剤の保管管理及び流通に支障を来してしまう。また、エタノールの添加量が融解液の60質量%以上であると、毛乳頭細胞のVEGF産生に悪影響をもたらす。これに対して、エタノールの添加量が融解液の10質量%以上60質量%未満である場合、VEGFを産生する細胞に悪影響をもたらすことなく、所要の保存安定性を得ることができる。
【0028】
なお、エタノールの添加量は、99.9容量%のエタノールを用いた場合について示しているが、他の濃度のエタノールを用いる場合は、上記の添加量を当該エタノール濃度に応じた添加量に換算すればよい。
【0029】
(4)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法は、より好ましくは、前記エタノールを、融解液に対して10質量%以上50質量%以下になるように添加することを特徴とする。
【0030】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法にあっては、99.9容量%のエタノールを用いた場合、より好ましくは、前述したエタノールを、融解液に対して10質量%以上50質量%以下になるように添加する。エタノールの添加量が融解液の10質量%以上50質量%以下である場合、VEGFを産生する細胞に負の影響を何ら与えることなく、VEGF産生率の増大及び毛乳頭細胞の細胞増殖率の増大をより安定して得ることができるため好適である。
【0031】
(5)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法は、前記分取工程の後であって、前記エタノールを融解液に添加する前又は添加した後に、融解液を加熱する加熱工程を更に実施することを特徴とする。
【0032】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法にあっては、前述した分取工程の後であって、前記エタノールを融解液に添加する前、又は、エタノールを融解液に添加した後に、融解液を加熱する加熱工程を更に実施する。この熱処理によって、難溶性の物質及び血液に起因する赤色成分等を熱変性によって析出させ、またウィルスを不活化することができる。ここで、熱処理の温度が50℃未満である場合、十分に熱変性を生じさせることができず、また、熱処理の温度が80℃を超えると、必要な成分まで熱変性されてしまう虞がある。これに対して、熱処理の温度が50℃以上80℃以下である場合、過度な熱変性を招来することなく、不要な物質を析出し、また不活化することができるため好適である。
【0033】
(6)本発明に係る発毛剤の製造方法は、血管内皮増殖因子を産生する細胞に作用して、その産生を促進させる血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有する発毛剤を製造する方法であって、前記(1)から(5)のいずれかに記載の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法で製造された血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有させることを特徴とする。
【0034】
本発明の発毛剤の製造方法にあっては、前記(1)から(5)のいずれかに記載の血管内皮増殖因子産生促進剤の製造方法で製造された血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有させるため、前述した如く、加熱、酵素処理、又は溶媒抽出等の処理を行わずに、胎盤を構成する細胞に負荷をかけることなく水溶性物質を抽出し得、抽出された水溶性物質に分解・変性等が生じることを可及的に低減することができ、これによって従来報告されていなかった血管内皮増殖因子産生促進剤が胎盤から抽出され、該血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分とする発毛剤を製造することができる。かかる発毛剤にあっては、前述した如く安全性が高い。
【0035】
また、融解液にエタノールを添加する場合、例えば融解液中、血管内皮増殖因子産生促進をマスクする物質を除去する、又は血管内皮増殖因子産生促進を補助する物質を遊離させる等々、凍結融解して得た融解液とエタノールとの間に相互作用が生じ、それによって血管内皮増殖因子産生を促進させる作用が増大されるものと考えられる。
【0036】
ここで、99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールの添加量が融解液の10質量%未満である場合、保存安定性が低いため血管内皮増殖因子産生促進剤の保管管理及び流通に支障を来してしまう。また、エタノールの添加量が融解液の60質量%以上であると、毛乳頭細胞のVEGF産生に悪影響をもたらす。これに対して、エタノールの添加量が融解液の10質量%以上60質量%未満である場合、VEGFを産生する細胞に悪影響をもたらすことなく、所要の保存安定性を得ることができる。
【0037】
(7)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤は、血管内皮増殖因子を産生する細胞に作用して、その産生を促進させる血管内皮増殖因子産生促進剤であって、哺乳動物から胎盤を回収し、回収した胎盤を凍結し、凍結した胎盤を融解させ、融解させた胎盤から融解液を分取し、得られた融解液を濾過してなることを特徴とする。
【0038】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、哺乳動物から胎盤を回収し、回収した胎盤を凍結し、凍結した胎盤を融解させ、融解させた胎盤から融解液を分取し、得られた融解液を濾過してなり、加熱、酵素処理、又は溶媒抽出等の処理を行わずに、胎盤を構成する細胞に負荷をかけることなく水溶性物質が抽出されており、抽出された水溶性物質に分解・変性等が生じることが可及的に低減され、これによって従来報告されていなかった血管内皮増殖因子産生促進剤が胎盤から得られている。また、かかる血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、前述した如く安全性が高い。
【0039】
なお、本発明は血管内皮増殖因子産生促進剤であるものの、製造方法的な記載によって発明が特定されている。ここで、胎盤から抽出される物質には非常に多くの種類の蛋白質、ペプチド、アミノ酸、ビタミン類、脂質、糖質、ミネラル、ホルモン、代謝産物等々の成分が含まれており、また未知の成分も数多く存在する。本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤を構成する物質は、胎盤から抽出される成分の内の1成分であるのか、或は複数成分の組み合わせであるのかも明らかでなく、従って、本発明を出願する時点において、前述したように無数の成分から特定の成分を分離、分析してその作用を検討するには、著しく過大な時間及び経済的支出を要することは明らかである。よって、出願時において、血管内皮増殖因子産生促進剤を構造又は特性により直接特定することが不可能、又はおよそ実際的でないという事情があるといえる。
【0040】
(8)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤は、更に、前記融解液にエタノールが添加してあることを特徴とする。
【0041】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、前述した融解液にエタノールが添加してある。融解液にエタノールが添加された場合、例えば融解液中、血管内皮増殖因子産生促進をマスクする物質が除去される、又は血管内皮増殖因子産生促進を補助する物質が遊離される等々、凍結融解して得た融解液とエタノールとの間に相互作用が生じ、それによって血管内皮増殖因子産生を促進させる作用が増大されるものと考えられる。
【0042】
(9)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤は、99.9容量%のエタノールを用いた場合、前記エタノールを、融解液に対して10質量%以上60質量%未満になるように添加してあることを特徴とする。
【0043】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールを、融解液に対して10質量%以上60質量%未満になるように添加してある。99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールの添加量が融解液の10質量%未満である場合、保存安定性が低いため血管内皮増殖因子産生促進剤の保管管理及び流通に支障を来してしまう。また、エタノールの添加量が融解液の60質量%以上であると、毛乳頭細胞のVEGF産生に悪影響をもたらす。これに対して、エタノールの添加量が融解液の10質量%以上60質量%未満である場合、VEGFを産生する細胞に悪影響をもたらすことなく、所要の保存安定性を得ることができる。
【0044】
なお、エタノールの添加量は、99.9容量%のエタノールを用いた場合について示しているが、他の濃度のエタノールを用いる場合は、上記の添加量を当該エタノール濃度に応じた添加量に換算すればよい。
【0045】
(10)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤は、より好ましくは、前記エタノールを、融解液に対して10質量%以上50質量%以下になるように添加してあることを特徴とする。
【0046】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、99.9容量%のエタノールを用いた場合、より好ましくは、前述したエタノールを、融解液に対して10質量%以上50質量%以下になるように添加してある。エタノールの添加量が融解液の10質量%以上50質量%以下である場合、VEGFを産生する細胞に負の影響を何ら与えることなく、VEGF産生率の増大及び毛乳頭細胞の細胞増殖率の増大をより安定して得ることができるため好適である。
【0047】
(11)本発明に係る血管内皮増殖因子産生促進剤は、分取した融解液について、前記エタノールを添加する前又は添加した後に加熱してあることを特徴とする。
【0048】
本発明の血管内皮増殖因子産生促進剤にあっては、前述したように分取した溶融液について、前記エタノールを融解液に添加する前、又は、エタノールを融解液に添加した後に、融解液を加熱してある。この熱処理によって、難溶性の物質及び血液に起因する赤色成分等を熱変性によって析出され、またウィルスが不活化されている。ここで、熱処理の温度が50℃未満である場合、十分に熱変性を生じさせることができず、また、熱処理の温度が80℃を超えると、必要な成分まで熱変性されてしまう虞がある。これに対して、熱処理の温度が50℃以上80℃以下である場合、過度な熱変性を招来することなく、不要な物質を析出し、また不活化することができるため好適である。
【0049】
(12)本発明に係る発毛剤は、血管内皮増殖因子を産生する細胞に作用して、その産生を促進させる血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有する発毛剤であって、前記(7)から(11)のいずれかに記載の血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有することを特徴とする。
【0050】
本発明の発毛剤にあっては、前記(7)から(11)のいずれかに記載の血管内皮増殖因子産生促進剤を主な成分として含有するため、毛乳頭に血管内皮増殖因子の産生を促進させ、毛乳頭及び毛母細胞の周囲の血管新生がより促進されて、毛乳頭及び毛母細胞への血流量がより増大され、その結果、発毛効果がより向上する。かかる発毛剤にあっては、前述した如く安全性が高い。
【0051】
また、融解液にエタノールが添加してある場合、例えば融解液中、血管内皮増殖因子産生促進をマスクする物質が除去される、又は血管内皮増殖因子産生促進を補助する物質が遊離される等々、凍結融解して得た融解液とエタノールとの間に相互作用が生じ、それによって毛乳頭に血管内皮増殖因子産生を促進させる作用が増大されるものと考えられる。
【0052】
ここで、99.9容量%のエタノールを用いた場合、エタノールの添加量が融解液の10質量%未満である場合、保存安定性が低いため血管内皮増殖因子産生促進剤の保管管理及び流通に支障を来してしまう。また、エタノールの添加量が融解液の60質量%以上であると、毛乳頭細胞のVEGF産生に悪影響をもたらす。これに対して、エタノールの添加量が融解液の10質量%以上60質量%未満である場合、VEGFを産生する細胞に悪影響をもたらすことなく、所要の保存安定性を得ることができる。
【0053】
なお、本発明は発毛剤であるものの、その一部は製造方法的な記載によって発明が特定されているが、前同様、本発明を出願する時点において、前述したように無数の成分から特定の成分を分離、分析してその作用を検討するには、著しく過大な時間及び経済的支出を要することは明らかである。よって、出願時において、血管内皮増殖因子産生促進剤を構造又は特性により直接特定することが不可能、又はおよそ実際的でないという事情があるといえる。