【解決手段】支持部材1は、衣類における左右の乳房を覆う一対のカップ部11に装着されて、各乳房を支持するためのものであり、保形性を有するとともに長尺なシート状に構成され、自然状態において、各乳房の形状に沿うように長手方向Xの両端1a、1bが近付くように湾曲形成されて各乳房の形状に沿って設けられ、上縁20は、上方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第1曲線部21と、該上方側第1曲線部より前記一対のカップ部間側に連続されるとともに、下方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第2曲線部22と、を有し、上方側第1曲線部が、長手方向の一端1aから、一対のカップ部間側における他端1bとの中間点Pを超える位置まで設けられている。
下縁は、各乳房下側の輪郭線に沿うように、長手方向の両端から中央部に向かうに従って下方に向けて凸の下方側曲線部を有していることを特徴とする請求項1に記載の支持部材。
前記カップ部の頂部から下方に直線上に延長される延長線が、前記上方側第1曲線部に交差するように、前記支持部材が前記カップ部に装着されていることを特徴とする請求項7に記載のカップ付き衣類。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたブラジャー100は、
図8に示すように、ワイヤー101の支持に加えて、ボーン102により支持することで、バストの脇側への流れを抑制していたが、例えば、乳房のサイズが大きい場合には、ワイヤー101により各乳房を十分に支持することが出来ない場合がある。このため、ワイヤー101から乳房がはみ出してしまい、乳房がブラジャー100のカップより脇側に流れる脇流れを抑制するのが困難だった。
【0005】
本発明は、乳房の脇流れを抑制しつつこれを押し上げることで、豊かな胸元の形成を図った支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために本発明は以下の構成を備える。
即ち、本発明は、衣類における左右の乳房を覆う一対のカップ部に装着されて、各乳房を支持するための支持部材であって、保形性を有するとともに長尺なシート状に構成され、自然状態において、長手方向の両端が近付くように湾曲形成されて各乳房の形状に沿って設けられ、上縁は、上方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第1曲線部と、該上方側第1曲線部より前記一対のカップ部間側に連続されるとともに、下方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第2曲線部と、を有し、前記上方側第1曲線部が、長手方向の一端から、前記一対のカップ部間側における他端との中間点を超える位置まで設けられていることを特徴とする支持部材である。
【0007】
本発明においては、下縁は、各乳房下側の輪郭線に沿うように、長手方向の両端から中央部に向かうに従って下方に向けて凸の下方側曲線部を有していてもよい。
【0008】
本発明においては、網み目状に構成されていてもよい。
【0009】
また、本発明においては、通気孔が形成されていてもよい。
【0010】
さらに、また、本発明においては、複数枚のシートが積層されて構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明の支持部材の製造方法は、複数枚のシートを積層し、熱溶着により固着することを特徴とする支持部材の製造方法である。
【0012】
一方、本発明のカップ付き衣類は、衣類における左右の乳房を覆う一対のカップ部と、支持部材と、を備えたことを特徴とするカップ付き衣類である。
【0013】
また、本発明においては、カップ部の頂部から下方に直線上に延長される延長線が、上方側第1曲線部に交差するように、支持部材がカップ部に装着されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持部材が、各乳房をカップ部の頂部に向けて押し上げるようにカップ部の下縁に沿って装着された状態で着用されることにより、各乳房にフィットしつつ、各乳房がシート状の支持部材によりその面で押される。また、支持部材は保形性を有し、自然状態において、長手方向の両端が近付くように湾曲しているから、各乳房が支持部材の長手方向の両端により挟まれた状態で持ち上げられる。ここで、上方側第1曲線部が、長手方向の一端から、一対のカップ部間側における他端との中間点を超える位置まで設けられているから、乳房の挟んで押し上げられた部分が、上方側第2曲線部の上方側に寄せられて露出する。
【0015】
上方側第2曲線部が形成されていることにより、支持部材の上縁における一対のカップ部間側に、下方に向けて凸の切欠き部が形成されていることとなる。このような切欠き部が形成されていることにより、各乳房の膨らみを潰すように当該乳房が圧迫されることを抑制しつつ、支持部材により挟んで押し上げられた部分が上方側第2曲線部の上方に露出されて、深い谷間が形成されることとなる。これにより、乳房の脇流れを抑制しつつ豊かな胸元の形成を図ることができる。
【0016】
また、本発明において、下縁は、各乳房下側の輪郭線に沿うように、長手方向の両端から中央部に向かうに従って下方に向けて凸の下方側曲線部を有しているのがよい。下方側曲線部が設けられていることにより、乳房が各乳房下側の輪郭線まで支持部材により支持される。これにより、乳房の脇流れを十分に抑制しつつ、乳房を、上方側第2曲線部の上方側に十分に寄せ上げることができる。
【0017】
さらに、本発明において、支持部材は、網み目状に構成されているのがよい。これにより、支持部材を、外力が付与された状態と、外力が付与されていない自然状態と、で適度に変形するように構成することができるとともに、支持部材が折れ難くなるように構成することができる。
【0018】
さらに、本発明において、支持部材は、通気孔が形成されているのがよい。これにより、支持部材が装着された場所が汗ばんでしまうなどの違和感を、着用者に感じさせることの抑制を図ることができる。
【0019】
さらに、また、支持部材は、シートが複数枚積層されて構成されているのがよい。これにより、積層するシートの枚数を調整することで、変形抵抗(変形させるのに必要な力)を適度なものとすることができる。
【0020】
本発明の支持部材の製造方法によれば、複数枚のシートが、例えば、接着剤により積層されつつ固着されている場合よりも、経時変化によりシートが剥がれてしまう等の劣化を抑制しつつ、長期の使用に耐え得る支持部材を形成することができる。
【0021】
また、本発明のカップ付き衣類によれば、カップ部の頂部から下方に直線上に延長される延長線が、上方側第1曲線部に交差するように、支持部材がカップ部に装着されているから、このようなカップ付き衣類を着用することで、支持部材が乳房の所定位置に自然と位置決めされることとなり、乳房の挟んで押し上げられた部分が、上方側第2曲線部の上方に寄せられて露出する。この寄せられて露出した部分により、深い谷間が形成されることとなる。このようにして、乳房の脇流れを抑制しつつ豊かな胸元の形成を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の例示的一態様である実施形態にかかるカップ付き衣類としてのブラジャーを
図1〜
図4を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる支持部材1が装着されたカップ付き衣類を示す平面図である。
図2は、
図1に示された支持部材1を示す斜視図である。
図3は、
図1に示された支持部材1を示す平面図である。
図4(A)は、
図2中のI−I線に沿う断面図であり、(B)は、
図2中のII−II線に沿う断面図である。
【0024】
図1に示すように、支持部材1は、左右の乳房を覆う一対のカップ部11それぞれに内蔵(装着)されるものである。この支持部材1が、例えば、カップ部11の頂部Tより下縁側に装着された状態でブラジャー10を着用することにより、着用者の各乳房を、各カップ部11の頂部Tに向けて押し上げるためのものである。本実施形態において、支持部材1は、カップ付き衣類としてのブラジャー10のカップ部11に内蔵されている。なお、本実施形態では、カップ付き衣類の一例としてブラジャー10を説明しているが、本発明はこれに限らず、水着、チューブトップ、ボディスーツ、ブラスリップ、ビスチェ等、その他の各種のカップ付き衣類に適用することができる。
【0025】
ここで、例えば、中高年層では、乳房が下垂して乳房の上側部分が削げたり、乳房が脇流れしてしまい、豊かな胸元を演出することが難しい場合がある。また、低年層であっても、乳房が脇流れしてしまうことで、豊かな胸元を演出することが難しい場合がある。このため、乳房の脇流れを抑制しつつ、これをカップ部11の頂部Tに向けて押し上げることで、豊かな胸元を演出したいという要望がある。この要望に応えるために本願の発明者は、低〜高年層全てに適用可能な支持部材1を発明した。
【0026】
ブラジャー10(カップ付き衣類)は、
図1、
図2に示すように、左右の乳房を覆うとともに支持部材1が内蔵(装着)された一対のカップ部11と、これら一対のカップ部11を連結するとともに一対のカップ部11を下から支える土台部5と、土台部5に連続されて背中側に巻かれる一対のベルト(図示しない)と、各カップ部11と各ベルトに架け渡される一対の肩ストラップ6と、を備えて構成されている。一対のベルトは、ホック(図示しない)により留められるように構成されている。一対のカップ部11は、それぞれ、中心に向かうに従って前方に向けて突出する略半球状に形成されている。
【0027】
支持部材1は、
図1に示すように、保形性を有するとともに長尺なシート状に構成されている。この支持部材1は、各乳房をカップ部11の頂部Tに向けて押し上げるように、支持部材1の下縁30(下方側曲線部)が、カップ部11の下縁に沿った状態で着用されるものである。この支持部材1は、着用者の乳房に対応するカップ部11のサイズに応じた大きさとなるように形成されている。なお、本実施形態において支持部材1は、
図1に示すように、カップ部11に装着された状態で、その大部分がカップ部11の頂部Tより下縁側に位置するような大きさに形成されている。
【0028】
なお、本明細書において、矢印X、矢印Y、矢印Zは互いに直交する方向を示している。また、支持部材1の長手方向(長尺方向)を矢印Xで示し、幅方向を矢印Yで示し、厚み方向を矢印Zで示す。支持部材1は、幅方向Yが着用者の起立方向に沿うようにカップ部11に装着されているから、支持部材1の幅方向を「上下方向」と記す場合もある。
【0029】
また、支持部材1は、外力が付与された状態と、外力が付与されていない自然状態と、で適度に変形するように構成されている。そして、支持部材1は、
図4に示すように、自然状態において、長手方向Xの両端1a、1bが互いに近付くように湾曲形成(
図4(A)に示す)されている。さらに支持部材1は、幅方向Yの上下端1c、1dが互いに近付くように僅かに湾曲形成(
図4(B)に示す)されている。このように支持部材1は、
図4に示すように、長手方向Xと幅方向Yとの両方に湾曲形成されていることで、各乳房の形状に沿うように構成されている。このように構成されていることで、各乳房が支持部材1の両端1a、1bにより挟まれた状態で持ち上げられるから、支持部材1が着用者の各乳房にフィットしつつ、着用者に違和感を覚えさせることなく、各乳房を所望の形状に形作ることができる。
【0030】
支持部材1は、
図2、
図3に示すように、平面視の全体形状が小判型形状に形成されているとともに、一対のカップ部11間側(前中心側)の上縁の一部が切り欠かれて構成されている。この支持部材1は、装着状態において上方側に位置する上縁20と、上縁20の下方側に対向する位置にある下縁30と、を有して構成されている。
【0031】
以下では、上縁20と下縁30との境界のうち、脇側の境界を「支持部材1における長手方向Xの一端1a」と記し、カップ部11間側の境界を「支持部材1における長手方向Xの他端1b」と記すことにする。支持部材1における長手方向Xの一端1aは、支持部材1の脇側の最端部に位置し、支持部材1における長手方向Xの他端1bは、支持部材1のカップ部11間側の最端部に位置している。
【0032】
支持部材1の上縁20は、
図2、
図3に示すように、上方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第1曲線部21と、上方側第1曲線部21のカップ部11間側に連続形成されているとともに、下方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第2曲線部22と、上方側第2曲線部22のカップ部11間側に連続形成されているとともに、上方に向けて凸の曲線状に形成された上方側第3曲線部23と、一端が上方側第3曲線部23に連続されるとともに、他端が長手方向Xの他端1bと同じ位置にあるように、上方に向けて凸の円弧状に形成された上方側第4曲線部24と、を有して構成されている。上方側第1曲線部21と上方側第2曲線部22との境界aは、中間点Pよりカップ間11側に位置している。即ち、上方側第1曲線部21は、長手方向Xの一端1aから、他端1bとの中間点Pを超える位置(境界a)まで連続形成されている。
【0033】
上方側第1曲線部21は、上方側第1カーブ25、上方側第2カーブ26及び、上方側第3カーブ27を有して構成されている。上方側第1曲線部21は、上方側第1カーブ25の脇側の一端が、長手方向Xの一端1aと同じ位置になるように形成され、上方側第3カーブ27のカップ部11間側の他端が、境界aと同じ位置になるように形成されているとともに、上方側第1カーブ25、上方側第2カーブ26、上方側第3カーブ27の順で設けられている。
【0034】
また、上方側第1曲線部21は、曲率半径が小さい急な上方側第1カーブ25で立ち上がり、上方側第1カーブ25より曲率半径が大きい緩やかな上方側第2カーブ26、上方側第2カーブ26よりさらに曲率半径が大きい緩やかな上方側第3カーブ27と成るように形成されている(上方側第1カーブ25の曲率半径<上方側第2カーブ26の曲率半径<上方側第3カーブ27の曲率半径)。
【0035】
また、上方側第2曲線部22は、上方側第1カーブ25と等しい曲率半径となるような急なカーブを有して構成され(上方側第2曲線部22の曲率半径=上方側第1カーブ25の曲率半径)、上方側第3曲線部23は、上方側第3カーブ27と略等しい曲率半径となるような緩やかなカーブを有して構成されている(上方側第3曲線部23の曲率半径=上方側第3カーブ27の曲率半径)。
【0036】
このような上縁20は、上方側第2曲線部22から成るとともに、下方に向けて凸の切欠き部22´を有している。この切欠き部22´の底部22aは、中間点Pと他端1bとの略中間部分に位置しているとともに、一端1aと他端1bとを結ぶ線より上方側に位置している。
【0037】
なお、本実施形態では、上方側第1曲線部21は、「上方側第1カーブ25の曲率半径<上方側第2カーブ26の曲率半径<上方側第3カーブ27の曲率半径」となるような上方に向けて凸の曲線状に構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。上方側第1曲線部は、上方に向けて凸の曲線状に構成されていれば、「上方側第1カーブ25の曲率半径<上方側第2カーブ26の曲率半径<上方側第3カーブ27の曲率半径」となるように形成されていなくともよい。即ち、上方側第1曲線部は、上方に向けて凸の曲線状に構成されていればよく、例えば、曲率が徐々に変化する曲率変化を有する曲線から構成されていてもよい。
【0038】
下縁30は、
図2、
図3に示すように、長手方向Xの一端1aに連続されるとともに上方側第1曲線部21と上下に対向する位置にある下方側第1曲線部31と、下方側第1曲線部31のカップ部11間側に連続されるとともに上方側第2曲線部22と上下に対向する位置にある下方側第2曲線部32と、下方側第2曲線部32のカップ部11間側に連続されるとともに上方側第3曲線部23と上下に対向する位置にある下方側第3曲線部33と、を有して構成されている。この下縁30は、下方側第1曲線部31は曲率半径が最も小さくなるように形成され、下方側第3曲線部33、下方側第2曲線部32の順に曲率半径が大きくなるように形成されている(下方側第1曲線部31の曲率半径<下方側第3曲線部33の曲率半径<下方側第2曲線部32の曲率半径)。
【0039】
また、支持部材1は、
図3、
図4(A)(B)に示すように、線状の部材が編まれて構成されたシート2が複数枚(本実施形態では3枚)積層されて構成されている。本実施形態において、シート2は、線状の部材として、ポリエステル系繊維であるポリエチレンテレフタレートが編まれて構成されている。このように構成されていることにより、支持部材1を、外力が付与された状態と、外力が付与されていない自然状態と、で適度に変形するように構成することができるとともに、支持部材1を折れ難くしている。また、積層するシート2の枚数を4枚以上或いは2枚にしてもよく、シート2を積層せずに1枚で用いてもよい。このように積層するシート2の枚数を調整することで、変形抵抗(変形させるのに必要な力)を適度なものにすることができる。
【0040】
次に、支持部材1の製造方法について説明する。まず、複数枚のシート2を積層し、この状態で熱溶着により固着する。これにより形成されたシート材2A(
図3に示す)を支持部材1の出来上がり形状となるように切断し、長手方向Xの両端1a、1bが近付くように湾曲する(
図4(A)に示す)ように、そして、幅方向Yの上下端1c、1dが近付くように湾曲する(
図4(B)に示す)ように熱成形する。こうして、支持部材1を製造する。このように積層された複数枚のシート2(シート材2A)は、熱溶着により固着されていることにより、例えば、接着剤により積層されつつ固着されている場合よりも、経時変化により各シート2が剥がれてしまう等の劣化を抑制しつつ、長期の使用に耐え得る支持部材1を形成することができる。
【0041】
こうして製造された支持部材1は、例えばダブルラッセルを用いて形成された袋(図示しない)に挿入された状態で、カップ部11の着用者側の面(裏面)に、各乳房下の輪郭線に下縁30が沿うように適宜な位置に配置する。支持部材1が挿入された袋をカップ部11の裏面に溶着或いは縫合して配置してもよい。ここでダブルラッセルとは、経編という方法で編まれた蜂の巣状のハニカム構造をもった通気性の良い生地のことであり、 二重になっているので強い弾力を有している。さらに、速乾性も有りさらっとした感触で着用者の不快感を軽減する生地である。
【0042】
このような支持部材1は、
図1に示すように、その下縁30がカップ部11の下縁に沿って装着された状態で、カップ部11の頂部Tから下方に直線上に延長される延長線TLが、上方側第1曲線部21に交差するように、支持部材1がカップ部11に装着される。これによれば、支持部材1が、各乳房下側の輪郭線に沿うように着用者に装着される。そして、支持部材1が、各乳房をカップ部11の頂部Tに向けて押し上げるようにカップ部11の下縁に沿って装着された状態で着用されることにより、各乳房にフィットしつつ、各乳房がシート状の支持部材1によりその面で押される。また、支持部材1は保形性を有し、自然状態において、長手方向Xの両端1a、1bが近付くように湾曲しているから、各乳房が支持部材1により挟まれた状態で持ち上げられる。ここで、上方側第1曲線部21が、長手方向の一端1aから、一対のカップ部11間側における他端1bとの中間点Pを超える位置まで連続して設けられているから、乳房の挟んで押し上げられた部分が、上方側第2曲線部22の上方側に寄せられて露出する。
【0043】
さらに、上方側第2曲線部22が形成されていることにより、支持部材1の上縁20における一対のカップ部11間側に、下方に向けて凸の切欠き部22´が形成されていることとなる。このような切欠き部22´が形成されていることにより、各乳房の膨らみを潰すように当該乳房が圧迫されることを抑制しつつ、支持部材1により挟んで押し上げられた部分が上方側第2曲線部22の上方に露出されて、深い谷間が形成されることとなる。これにより、乳房の脇流れを抑制しつつ豊かな胸元の形成を図ることができる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0045】
上述した本実施形態において、シート2は、線状の部材が編まれて構成されたシートから構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。支持部材1は、保形性を有する扁平な部材から構成されていれば、その他の樹脂製、或いは金属製等の各種素材から構成されていてもよく、これら異なる部材を組み合わせることで構成されていてもよく、線状材が織られた織物(布)から構成されていても、その素材単体で或いは積層されて構成されていてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、シート2を構成する線状の部材としては、ポリエステル系繊維であるポリエチレンテレフタレートを用いて構成されているが、ポリエチレンテレフタレートとは別のポリエステル系繊維は勿論、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド繊維、炭素繊維、金属繊維等から構成されていてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、支持部材1は、自然状態において、幅方向Yの上下端1c、1dが互いに近付くように湾曲形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。支持部材1は、自然状態において、幅方向Yの上下端1c、1dが互いに近付くように湾曲形成されていなくてもよく、支持部材1は、自然状態において、幅方向Yの上下端1c、1dを結ぶ線が真っ直ぐとなるような板状であってもよい。また、支持部材1Aは、
図5に示すように、自然状態において、各乳房の形状に沿うように幅方向Yの上下端1c、1dが近付くように湾曲しているとともに、幅方向Yの下端1cから所定地点1eまでの湾曲の曲率半径が、幅方向Yの上端1dから所定地点1eまでの湾曲の曲率半径よりも小さくなるように形成されていてもよい。また、支持部材1Bは、
図6に示すように、自然状態において、各乳房の形状に沿うように幅方向Yの下端1cと所定地点1eとが近付くように一方側(Z方向)に凸に湾曲しているとともに、幅方向Yの上端1dと所定地点1eとが近付くように一方側とは逆の他方側に凸に湾曲するように形成されていてもよい。即ち、幅方向Yの上端1dから所定地点1eまでの湾曲が、幅方向Yの下端1cから所定地点1eまでの湾曲とは逆に湾曲するように形成されていてもよい。なお、
図5、
図6において、上述した実施形態と同一構成乃至同一機能を有する部分には、同一符号を付して説明を省略する。これにより、支持部材1A、1Bの上端1dが皮膚に食い込むように乳房を圧迫することを抑制しつつ、支持部材1A、1Bが、着用者の各乳房により一層フィットして、乳房を各カップ部11部の頂部Tに向けて押し上げることができる。
【0048】
また、
図7に示すように、上述した支持部材1A、1Bに、さらに通気孔7が形成されていてもよい。この通気孔7は、複数枚のシート2が積層されたシート材2Aに所定間隔をあけて貫通孔が形成されることで構成されている。このように、支持部材1A、1Bに複数の通気孔7が形成されていることにより、支持部材1A、1Bが装着されていることの違和感を覚えさせることなく、乳房を所望の形状に形作ることができる。なお、
図7において、上述した実施形態と同一構成乃至同一機能を有する部分には、同一符号を付して説明を省略する。貫通孔を設ける場合には、積層される前の各シート2において、その一部が重なるように予め貫通孔を形成しておき、積層された際に、積層された貫通孔の一部同士が重なるように構成されていてもよい。また、シート2は、メッシュ状に織られて構成されていてもよい。この場合には、貫通孔を形成する必要がない。
【0049】
前述した各実施形態は本発明の好ましい形態を示したに過ぎず、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々改変して実施することができる。かかる改変によってもなお本発明の支持部材、カップ付き衣類及び、支持部材の製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。