(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-150134(P2017-150134A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】木造軸組大型パネル構法用大型パネル
(51)【国際特許分類】
E04B 1/10 20060101AFI20170804BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
E04B1/10 C
E04B2/56 605B
E04B2/56 605C
E04B2/56 611C
E04B2/56 605D
E04B2/56 605J
E04B2/56 602K
E04B2/56 604F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-30808(P2016-30808)
(22)【出願日】2016年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】709002521
【氏名又は名称】庄内鉄工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514162911
【氏名又は名称】斎藤 勝実
(74)【代理人】
【識別番号】100184767
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098556
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々 紘造
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 勝実
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002EB12
2E002EB15
2E002EC02
2E002EC03
2E002NA01
(57)【要約】
【課題】
軸組とパネルが一体となった木造軸組大型パネル構法用の大型パネルの枠体を不要として、枠材のない大型パネルを提供すること。
【解決手段】
柱、及び/又は横架材が平面材上に一体構成され、該柱、該横架材に平行して接する枠材が存在しない、木造軸組大型パネル構法用の大型パネル。
大型パネルには当然必要なものとされていた枠体を不要にすることで、枠体を製造したり取り付けたりする手間を削減すると共に、枠体に使う無駄な材料も削減することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱、及び/又は横架材が平面材上に一体構成され、該柱、該横架材に平行して接する枠材が存在しない、木造軸組大型パネル構法用の大型パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造軸組大型パネル構法で使用する大型パネルに関する。更に詳しくは、合板のような平面材に軸組を配置する際に必要であった枠体を不要とする大型パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
木造軸組構法とは、建物の主要部が木材でできており、主に柱や梁などの軸材によって建物を構成する構法のことをいう。我が国の住宅の多くがこの構法でつくられている。
この木造軸組構法において、工期の短縮や精度の向上を目的として、様々な工夫が行われている。例えば、工場で木材を必要な長さに切断し、継手、仕口の加工まで行うプレカットがある。プレカットを行えば、現場での作業を軽減して工期を短縮できるとともに、加工のばらつきを防止して精度の向上をはかることができる。さらに、現場で、軸組をしてその軸間にパネルを嵌めこんで壁とする木造軸組パネル構法がある。この構法によれば、パネルを工場で製造することで、より工期は短縮されるとともに、精度の向上もはかることができる。
【0003】
最近では、更に進んで、軸組までもパネルに組み込んで(例えば、特許文献1)、現場では、軸組とパネルが一体となった大型パネルを組み立てるという木造軸組大型パネル構法も考えられている(例えば、特許文献2)。大型パネルに組み込む柱や、桁などの横架材の位置は、家が傾いたり歪んだりしないように、極めて高い精度が要求されるが、この構法で使われる大型パネルは、壁一面に及ぶほど大きいために、柱や横架材といった軸の位置が狂いやすい。それゆえ、通常のパネルに相当するような大きさの枠体を合板のような平面材にとりつけ、これをガイドのように利用して軸組を平面材にとりつけることで、精度を確保しつつ、大型パネルを製造していた。加えて、軸組パネル構法で、軸組にパネルを嵌め込む作業を、工場内に持ち込むという意味でも、軸組を枠体に沿って組み込んで大型パネルを製造するというのが自然であった。
その結果、施工後の建物は軸組に平行して接する形で枠材が存在することとなっていた。しかし、本来、木造軸組構法には、上記枠材は存在しないものであり、精度を確保するために、木造軸組パネル構法では、組み込まざるを得ないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−18840号公報
【特許文献2】特開2002−21181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、パネルを大型化する際に必要な枠体がなくとも柱や横架材などの軸材の位置の精度を維持し、枠体を製造したり取り付けたりする余分な手間を削減すると共に、枠体に使う無駄な材料が不要となる、木造軸組大型パネル構法のための大型パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために種々検討の結果、従来当然とされていた軸組と枠体とを組み合わせて大型パネルを製造する方法に変えて、合板のような平面材上にコンピュータで位置出しして軸組を配することで、枠体を使用しない大型パネルである本発明に到達した。すなわち本発明は以下の通りである。
【0007】
1.柱、及び/又は横架材が平面材上に一体構成され、該柱、該横架材に平行して接する枠材が存在しない、木造軸組大型パネル構法用の大型パネル。
【発明の効果】
【0008】
工場において、枠体を製造したり、取り付けたりする手間を削減できるとともに、枠体にもちいていた無駄な材料も不要となる木造軸組大型パネル構法用大型パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】大型パネルの軸組正面図の一例。枠体は存在しない。
【
図2】大型パネルの軸組正面図の他の例。
図1同様、A、Bいずれにも枠体は存在しない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の柱は、通柱を除くすべての柱を含むことができ、例えば、間柱、管柱が含まれる。また横架材には、土台、胴差、桁を含むことができるが、家の外周面に沿わない横架材、例えば梁は含まない。この外周面は、家の内と外を隔てる面だけでなく、例えば、家に車庫や店舗が組み込まれている場合、居住スペースとこれらを隔てる面も含む。さらに、大型パネルには筋交のような補強材を組み込んでもよい。平面材は、例えば、合板、石膏ボードで作られ、組み立てた時に軸材より家の外側に位置する。平面材の外側に外装材がとりつけられていてもよい。柱や横架材は、この平面材にとりつけられる。柱と横架材で囲まれた空間には断熱材や各種配線を配することができる。
【0011】
合板のような平面材上での軸材同士の結合は、金具で行っても、継手、仕口で行ってもよいが、より好ましくは金具で行うことである。軸材を配置した後は、その軸材で囲まれた空間に断熱材を取り付けることができる。
【0012】
本発明に枠体は不要である。従来の大型パネルでは、部品を構成するパネルの周囲を囲む枠体(必ずしも完全に囲む必要はない)が存在するので、大型パネルを組み立てると、柱や横架材に沿って枠材が配置されることになった。枠体は、ドアや窓など開口部の枠体でなく、あくまで柱や、桁などの横架材などをはめ込むときにガイドの役割をしたり、断熱材の仕切りの役割を果たすものであり、釘や接着剤などによって、平行して接する柱や、桁などの横架材に取り付けられていた。しかし、本発明においては、合板のような平面材を用意し、これにコンピュータと治具で位置だしを行って正確にそして精度高く、軸材を平面材に配置していくことで、枠体を不要とした。
【0013】
このようにしてできた、大型パネルは、現場へと運ばれ、組み立てられる。組み立てる際には通柱を現場で組み立てることは必ずしも必要としない。大型パネルを組み合わせて、通常は角度をつけて大型パネルと大型パネルを結合し側壁とするが、角度をつけずに並べて、より大きいパネルとすることもできる。結合は、金具で行っても、継手、仕口で行ってもよい。また、現場で梁をかけてもよい。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明を実施例で説明する。
【0015】
実施例1
[大型パネルの製造]
大型パネルの製造は工場で行った。まず、軸組を配置する大型合板を用意した。さらにこの合板に組み込む、適当な長さ、数の、管柱、間柱、筋交、桁、及びその他の横架材を準備した。用意した合板にコンピュータと治具で位置だしをして、準備した管柱、間柱等を、正確に、精度高く、配置し、合板に金具で固定した。そして、これら相互を金具で結合した(
図1)。
図1の1は管柱、2は間柱、3は筋交、4は桁、5はその他の横架材を示している。さらに、軸材で囲まれた空間に断熱材と各種配線を配置して、大型パネルを作成した。
[大型パネルによる家の外周面の構築]
この大型パネルを現場に運び、大型パネルを、土台の上に設置した。同じく土台の上に設置した他の大型パネルと金具で結合し、家の外周面を構築した。外周面の構築と並行して、梁をかけるとともに、床パネル、屋根パネルを設置した。
【0016】
実施例2
[大型パネルの製造]
大型パネルの製造は工場で行った。まず、軸組を配置する大型合板を用意した。さらにこの合板に組み込む、適当な長さ、数の、管柱、間柱、窓枠、桁、及びその他の横架材を準備した。用意した合板にコンピュータと治具で位置だしをして、準備した管柱、間柱等を、正確に、精度高く、配置し、合板に金具で固定した。そしてこれら相互を金具で結合した。さらに、軸材で囲まれた空間に断熱材と各種配線を配置して、大型パネルを作成した(以上、
図2A、Bそれぞれを作成した。)。
図2の6は窓枠を示している。
[大型パネルによる家の外周面の構築]
この大型パネルを現場に運び、2つの大型パネル(
図2A、B)を、土台の上に並べて設置し、より大きい、一面の壁とした。さらに、同じく土台に設置した他の大型パネルと角度をつけて、金具で結合し、家の外周面を構築した。外周面の構築と並行して、梁をかけるとともに、床パネル、屋根パネルを設置した。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の大型パネルには、枠体が不要で、枠体を製造したり、組み込んだりする余分な手間がなくなるので、木造軸組大型パネル構法で建築物を組み立てる際に有用である。
【符号の説明】
【0018】
1.管柱
2.間柱
3.筋交
4.桁
5.その他の横架材
6.窓枠