(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-150160(P2017-150160A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】車両用サイドドアの駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/75 20150101AFI20170804BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20170804BHJP
B60N 2/44 20060101ALI20170804BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20170804BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20170804BHJP
【FI】
E05F15/75
B60J5/04 C
B60N2/44
A47C7/62
E05F15/611
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-31274(P2016-31274)
(22)【出願日】2016年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 幹雄
【テーマコード(参考)】
2E052
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052EA01
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA01
2E052GC02
2E052GC06
2E052GD03
3B084JC01
3B087DE08
(57)【要約】
【課題】更なる利便性の向上を図る。
【解決手段】シートの座部に配設した第1着座センサ31と、シートの背もたれ部に配設した第2着座センサ32と、第2着座センサ32がONとなった場合に検出信号を出力する検出信号出力部33と、車両本体に対してサイドドアが開いていることを検出するドア検出センサ20と、車両本体及びサイドドアの間に介在し、駆動信号が与えられた場合に車両本体に対してサイドドアを動作させる電動モータ11と、ドア検出センサ20によってサイドドアが開いていることを検出し、かつ検出信号出力部33から検出信号が出力された場合に電動モータ11に対してサイドドアを閉じるように駆動信号を出力するドア開閉制御部100とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体の側面にヒンジを介して開閉可能に支持させたサイドドアを動作させる駆動装置において、
前記車両本体に対して前記サイドドアが開いている状態で乗員がシートに着座したことを検出した場合に前記サイドドアを閉じる方向に動作させることを特徴とする車両用サイドドアの駆動装置。
【請求項2】
前記シートに乗員が着座したことを検出する着座検出手段と、
前記車両本体及び前記サイドドアの少なくとも一方に配設し、前記車両本体に対して前記サイドドアが開いていることを検出するドア検出手段と、
前記車両本体及び前記サイドドアの間に介在し、駆動信号が与えられた場合に前記車両本体に対して前記サイドドアを動作させる駆動アクチュエータと、
前記ドア検出手段によって前記サイドドアが開いていることを検出し、かつ前記着座検出手段が乗員の着座を検出した場合に前記駆動アクチュエータに駆動信号を出力する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドドアの駆動装置。
【請求項3】
前記着座検出手段は、前記シートの座部に配設した第1着座センサと、前記シートの背もたれ部に配設した第2着座センサと、少なくとも前記第2着座センサがONとなった場合に検出信号を出力する検出信号出力部とを有したことを特徴とする請求項2に記載の車両用サイドドアの駆動装置。
【請求項4】
前記検出信号出力部は、前記第1着座センサ及び前記第2着座センサがともにONとなった場合に検出信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の車両用サイドドアの駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両本体の側面にヒンジを介して開閉可能に支持させたサイドドアを動作させる駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
四輪自動車のように、車両本体の側面にヒンジを介して開閉可能に支持されたサイドドアを備える車両においては、電動モータ等の駆動アクチュエータの駆動により、サイドドアの開閉を行うようにしたものがある。この種の車両によれば、例えば乗車後に手を触れることなくサイドドアを閉じることが可能となり、利便性の点で有利となる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−226444号公報
【特許文献2】特開2006−256362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の車両では、乗員が携帯端末のスイッチや車内に設けられたスイッチが操作された場合に駆動アクチュエータが駆動されるものである。このため、両手が塞がっている状況においては、サイドドアを閉じることが難しく、更なる利便性の向上が要求されている。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、利便性を向上することのできる車両用サイドドアの駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用サイドドアの駆動装置は、車両本体の側面にヒンジを介して開閉可能に支持させたサイドドアを動作させる駆動装置において、前記車両本体に対して前記サイドドアが開いている状態で乗員がシートに着座したことを検出した場合に前記サイドドアを閉じる方向に動作させることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上述した車両用サイドドアの駆動装置において、前記シートに乗員が着座したことを検出する着座検出手段と、前記車両本体及び前記サイドドアの少なくとも一方に配設し、前記車両本体に対して前記サイドドアが開いていることを検出するドア検出手段と、前記車両本体及び前記サイドドアの間に介在し、駆動信号が与えられた場合に前記車両本体に対して前記サイドドアを動作させる駆動アクチュエータと、前記ドア検出手段によって前記サイドドアが開いていることを検出し、かつ前記着座検出手段が乗員の着座を検出した場合に前記駆動アクチュエータに駆動信号を出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述した車両用サイドドアの駆動装置において、前記着座検出手段は、前記シートの座部に配設した第1着座センサと、前記シートの背もたれ部に配設した第2着座センサと、少なくとも前記第2着座センサがONとなった場合に検出信号を出力する検出信号出力部とを有したことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述した車両用サイドドアの駆動装置において、前記検出信号出力部は、前記第1着座センサ及び前記第2着座センサがともにONとなった場合に検出信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乗員がシートに着座することでサイドドアを閉じることができるため、各種スイッチを操作する必要がない。従って、両手が塞がっている状況にあっても、シートに座ればサイドドアが閉じられることとなり、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態であるサイドドアの駆動装置を適用した車両を概念的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した車両において運転席のサイドドアを省略した側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した車両に搭載した駆動装置の制御系を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した駆動装置のドア開閉制御部が実行するドア閉じ制御処理の内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る車両用サイドドアの駆動装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1及び
図2は、本発明の実施の形態であるサイドドアの駆動装置を適用した車両を示したものである。ここで例示する車両は、車両本体Bの両側にそれぞれ前サイドドアD及び後サイドドアDが設けられた4ドアタイプの四輪自動車である。前サイドドアD及び後サイドドアDは、それぞれ中空状に構成したドア本体DMと、ドア本体DMの上部に枠状に設けたサッシュDSとを備えて構成したものである。個々のサイドドアDは、ドア本体DMの前面に設けた上方ヒンジH及び下方ヒンジHによって車両本体Bに連結してあり、上下方向に沿ったヒンジ軸を中心に回転することによって車両本体Bの乗降用開口BKを開閉することが可能である。
【0014】
サイドドアDのサッシュDSには、ウインドウガラスWGが配設してある。ウインドウガラスWGは、ドア本体DMの内部に配設した図示せぬ昇降機構により昇降ガイドGGに沿って上下方向に移動可能に配設してある。ウインドウガラスWGが上方に移動した場合には、サッシュDSの開口を閉じることが可能である。ウインドウガラスWGが下方に移動した場合には、ウインドウガラスWGがドア本体DMの内部に収容されるため、サッシュDSの開口を開くことができる。
【0015】
また、それぞれのサイドドアDには、ドア本体DMの内部に個別の駆動ユニット10が設けてあるとともに、車両本体Bとの間に個別のドア検出センサ(ドア検出手段)20が設けてある。
【0016】
駆動ユニット10は、車両本体Bに対するサイドドアDの開閉を補助するためのものである。図には明示していないが、本実施の形態では、駆動アクチュエータである電動モータ11(
図3参照)と、減速機及び出力軸を備えて駆動ユニット10が構成してあり、駆動ユニット10の出力軸がリンク機構を介して車両本体Bに連結してある。すなわち、サイドドアDに設けたラッチが車両本体Bのストライカに噛み合っていない状態において電動モータ11を駆動すれば、減速機、出力軸及びリンク機構を介してサイドドアDがヒンジ軸を中心として回転することになる。減速機としては、遊星歯車機構等のように複数の歯車によって構成したものを適用すれば良い。また、電動モータ11から出力軸までの間には、サイドドアDが手動操作された場合に電動モータ11からの動力伝達を断つようにクラッチ機構を介在させることが好ましい。駆動ユニット10を取り付ける位置は、ドア本体DMの内部においてヒンジHが取り付けられた前面と昇降ガイドGGとの間の内部空間である。
【0017】
ドア検出センサ20は、車両本体Bに対するサイドドアDの開閉状態を検出し、その検出信号を自身の識別情報とともに後述のドア開閉制御部(制御手段)100に出力するものである。ドア検出センサ20としては、例えば接触型のものを車両本体Bに配設し、サイドドアDが閉じている場合にのみ接触子がサイドドアDに接触するように設定すれば良い。
【0018】
またこの車両には、それぞれのシートSに個別の着座検出ユニット30が配設してある。着座検出ユニット30は、乗員がシートSに着座しているか否かを検出し、その検出結果を自身の識別情報とともに後述のドア開閉制御部100に出力するものである。本実施の形態では、シートSの座面を構成する座部SZ及び背もたれ面を構成する背もたれ部SMのそれぞれに配設した個別の着座センサ31,32と、2つの着座センサ31,32の検出結果に応じて検出信号を出力する検出信号出力部33とを備えて着座検出ユニット30が構成してある。着座センサ31,32としては、例えば、薄板状に構成した感圧式のものを適用することができる。すなわち、着座センサ31,32としては、荷重が加えられていない場合、継続してOFFとなり、荷重が加えられた場合にのみONに切り替わるものを適用し、座部SZの内部表面及び背もたれ部SMの内部表面のそれぞれに配設すれば良い。なお、以下においては便宜上、座部SZに配設したものを第1着座センサ31と称し、背もたれ部SMに配設したものを第2着座センサ32と称して区別する場合がある。
【0019】
図3は、上述の車両に搭載した駆動装置の制御系を示すブロック図である。
図3中に示したドア開閉制御部100は、ドア検出センサ20及び着座検出ユニット30の検出結果に基づいて駆動ユニット10の電動モータ11に制御信号を出力するものである。ドア開閉制御部100には、予めサイドドアDごとに、ドア検出センサ20及び2つの着座センサ31,32の識別情報と対応する電動モータ11の識別情報とが関連づけてメモリ101に格納してある。また、
図3の例においては、検出信号出力部33として、第2着座センサ32がONとなった場合に検出信号を出力するものを適用している。なお、ドア開閉制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現しても良いし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現しても良い。
【0020】
図4は、上述した駆動装置のドア開閉制御部100が所定のサイクルタイムで繰り返し実行するドア閉じ制御処理の内容を示したフローチャートである。以下、このフローチャートに従って駆動装置のドア開閉制御部100で実施されるドア閉じ制御処理の内容について説明する。
【0021】
ドア閉じ制御処理においてドア開閉制御部100は、ドア検出センサ20を通じてサイドドアDが開放されているか否かを監視する(ステップS101)。ドア検出センサ20からの検出信号によってサイドドアDが閉じた状態にあると判断した場合、ドア開閉制御部100は、以降の手順を経ることなく今回の処理を終了する(ステップS101:NO→リターン)。これに対してドア検出センサ20からの検出信号によってサイドドアDが開放されたと判断した場合、ドア開閉制御部100は、該当するサイドドアDの着座検出ユニット30を通じて乗員がシートSに着座したか否かを判断する(ステップS101:YES→ステップS102)。
【0022】
ここで、乗員がシートSに正しく着座すると、第1着座センサ31に加えて第2着座センサ32がONの状態となる。このため、着座検出ユニット30からドア系閉制御部100に対して検出信号が出力されることになる。従って、ステップS102において手順がステップS103、ステップS104及びステップS105に順次移行し、サイドドアDが閉塞するまで該当するサイドドアDの電動モータ11に対してサイドドアDを閉じる方向の駆動信号を出力される。これにより、例えば、両手が塞がれているような状況下であっても、乗員がシートSに着座さえすれば、何らの操作を行うことなく、開いた状態のサイドドアDが自動的に閉じられることになり、利便性が向上する。
【0023】
一方、第1着座センサ31及び第2着座センサ32の双方がOFFのままであった場合、あるいは第1着座センサ31のみがONとなった場合には、着座検出ユニット30から検出信号は出力されないため、以降の手順を経ることなく今回の処理が終了する(ステップS:NO→リターン)。従って、例えば乗員がシートSの座部SZに荷物を置いたり、単に膝をついた場合等には、検出信号が出力されず、乗員が着座されたと判断されるおそれがなく、不用意にサイドドアDが閉じることはない。
【0024】
なお、上述した実施の形態では、4つのサイドドアDを備えた車両の駆動装置を例示しているが、サイドドアDを備えた車両であれば、その他のものにももちろん適用することが可能である。また、複数のサイドドアDを備えた車両に対してすべてのサイドドアDを駆動する必要はなく、例えばドライバーが着座するシートSへの出入口となる乗降用開口BKのサイドドアDのみ駆動したり、タクシーであれば客が出入りする乗降用開口BKのサイドドアDのみ駆動するようにしても良い。さらに、駆動ユニット10を設ける位置は、サイドドアDの内部である必要はなく、車両本体B側に駆動ユニット10を設けても良い。
【0025】
また、上述した実施の形態では、第2着座センサ32がONとなった場合に第1着座センサ31の検出結果に関わらずドア開閉制御部100に検出信号を出力するようにしているが、第1着座センサ31及び第2着座センサ32がともにONになった場合にのみドア開閉制御部100に検出信号を出力するようにしても良い。
【0026】
さらに、上述した実施の形態では、サイドドアDが閉塞されるまで駆動ユニット10を動作させるようにしているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、ラッチユニットとしてハーフラッチとなった場合にフルラッチまで駆動する駆動源を有したものを適用した車両に対しては、ハーフラッチを検出した時点で駆動ユニットへの駆動信号を停止させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0027】
10 駆動ユニット
11 電動モータ
20 ドア検出センサ
30 着座検出ユニット
31 第1着座センサ
32 第2着座センサ
33 検出信号出力部
100 ドア開閉制御部
101 メモリ
B 車両本体
D サイドドア
H ヒンジ
S シート
SM 背もたれ部
SZ 座部