特開2017-150170(P2017-150170A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-150170断熱板材、及び屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-150170(P2017-150170A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】断熱板材、及び屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウス
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20170804BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20170804BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20170804BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20170804BHJP
   E04C 2/36 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   E04B1/76 100D
   E04B1/343 Q
   E04C2/26 V
   E04B1/80 100P
   E04C2/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-31562(P2016-31562)
(22)【出願日】2016年2月23日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ガルバリウム鋼板
(71)【出願人】
【識別番号】591117170
【氏名又は名称】佐竹鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 貞巳
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA04
2E001FA16
2E001GA06
2E001GA20
2E001HB02
2E001HB04
2E001HB07
2E001HD11
2E162CB02
2E162CD11
2E162CE10
2E162EA11
(57)【要約】
【課題】
コンテナ、仮設ハウス等の屋外設置物の屋根部及び側壁部の断熱性を高めて、特に、夏期における内部温度の上昇を抑制することである。
【解決手段】
内部に中空部3を有する中空構造板A1 の一面にガルバリウム鋼板Gが一体に貼着され、当該ガルバリウム鋼板Gの表面に遮熱塗料が塗布された断熱板材P1 により、コンテナC1 (C2 )の屋根部32及び側壁部31を構成する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有する中空構造板の一面にガルバリウム鋼板が一体に貼着され、当該ガルバリウム鋼板の表面に遮熱塗料が塗布されていることを特徴とする断熱板材。
【請求項2】
前記中空構造板の中空部は連続していることを特徴とする請求項1に記載の断熱板材。
【請求項3】
前記中空構造板は、樹脂製であって、千鳥状に配置された無数の中空円錐台状の補強体の両面に薄板材が溶着されることで、内部に連続した中空部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱板材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱板材により、屋根部及び側壁部が形成されていることを特徴とする屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性能が高く、軽量でしかも高い剛性を有する断熱板材、及び当該断熱板材により屋根部及び側壁部を形成した屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外設置されるコンテナ、或いは仮設ハウスの夏期における内部温度は、太陽光によって、相当な高温となる。コンテナの場合には、保管物の性能にも影響を及ぼすと共に、短時間であっても、人がコンテナ内に入って保管物の出入れ時において、過度の暑さによる苦痛を伴う。
【0003】
従来の屋外設置型のコンテナC’の屋根部及び側壁部は、図2(b)に示されるように、いずれもベニヤ板51の表面にガルバリウム鋼板Gが一体に貼着された板材P11が用いられていた。よって、上記板材P11は、安価に製作できる利点はあるが、ベニヤ板の断熱性は低いので、夏期における内部温度は、50°を超えることがある。なお、図2(b)において、52は、床面に貼られたベニヤ板を示す。
【0004】
一方、仮設ハウスにおいても、同様の問題があり、例えば、特許文献1に示されるように、仮設ハウスとしての構造上の工夫は多くなされているが、屋根部及び側壁部の構造を工夫して、夏期にエアコンを使用する場合において、消費電力の節減を図るという工夫は少ない。例えば、従来の仮設ハウスH’で実施されている屋根部の断熱構造として、図4(b)に示されるように、樹脂発泡体等から成る断熱材61の表面にガルバリウム鋼板Gが貼着された断熱板材P12が使用され、断熱材61の裏面(室内側面)は、石膏ボード62で覆った構造が知られている。また、側壁部は、屋根部の断熱材61に比較して薄い断熱材61’の表面にガルバリウム鋼板Gが貼着されて、断熱材61’の裏面(内側面)は、プリント合板(化粧合板)63が貼着された断熱板材P13が使用されていた。なお、図4(b)において、64は、床板材を示す。
【0005】
このように、仮設ハウスにおける上記各断熱板材P12,P13を使用した屋根部及び側壁部の断熱構造は、一般の断熱材を用いているにすぎないため、断熱性が低いのに加えて、屋根部及び側壁部の各断熱板材P12,P13は、いずれも断熱材61,61’の一面又は両面に薄板材が貼着された構造であるので、十分な強度を有していないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−36362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、屋外設置されるコンテナ又は仮設ハウスの屋根部及び側壁部の断熱性を高めて、特に、夏期における内部温度の上昇を抑制することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、内部に中空部を有する中空構造板の一面にガルバリウム鋼板が一体に貼着され、当該ガルバリウム鋼板の表面に遮熱塗料が塗布されていることを特徴とする断熱板材である。
【0009】
請求項1の発明に係る断熱板材を太陽光に接する部分に配置して使用すると、中空構造板は、中空部の存在により断熱作用を果たすのに加えて、当該中空構造板の一面(使用状態では外面)に貼着されたガルバリウム鋼板自体の有する高い熱反射性能と、当該ガルバリウム鋼板の表面に塗布された遮熱塗料とによる遮熱作用を果たし、前記断熱作用と遮熱作用との相乗によって、太陽光に接する部分に使用された場合には、中空構造板の単体の断熱性を超える高い断熱性が得られる。しかも、中空構造板は、その中空構造により軽量であるため、取り扱いに優れ、屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウスの屋根部又は側壁部として使用した場合において、コンテナ又は仮設ハウス自体の軽量化が図られる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記中空構造板の中空部は連続していることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、中空構造板の内部に設けられている中空部が連続していて、中空部に存在している空気が内部の温度差により流通可能であるために、中空構造板自体の断熱性が一層に高められる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記中空構造板は、樹脂製であって、千鳥状に配置された無数の中空円錐台状の補強体の両面に薄板材が溶着されることで、内部に連続した中空部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、中空構造板を構成する両面の薄板材は、千鳥状に配置された無数の中空円錐台状の補強体で連結された形態となっていて、両面の薄板材の間の空間部のうち無数の中空円錐台状の補強体を除く部分が連続した中空部となっているため、中空構造板は、軽量を維持したまま、その強度が高められる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱板材により、屋根部及び側壁部が形成されていることを特徴とする屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウスであって、断熱板材の具体的な用途を特定したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る断熱板材は、中空構造による断熱作用と、ガルバリウム鋼板自体及びその表面に塗布された遮熱塗料による遮熱作用によって、高い断熱性を有しているうえに、中空構造のために軽量であるので、本発明に係る断熱板材を屋外設置型のコンテナ又は仮設ハウスの屋根部及び側壁部に使用した場合には、太陽光による内部温度の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a),(b)は、いずれも本発明に係る屋外設置型のコンテナC1 ,C2 の斜視図である。
図2】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る屋外設置型のコンテナC1 (C2 )及び従来のコンテナC’の模式的部分縦断面図である。
図3】本発明に係る屋外設置型の仮設ハウスHの斜視図である。
図4】(a),(b)は、それぞれ本発明に係る屋外設置型の仮設ハウスH及び従来構造の仮設ハウスH’の模式的部分縦断面図である。
図5】(a) は、本発明に係る断熱板材P1 の中空構造板A1 とガルバリウム鋼板Gとを分離させた状態の斜視図であリ、(b)は、部分拡大横断面図である。
図6】(a) は、本発明に係る断熱板材P2 の中空構造板A2 とガルバリウム鋼板Gとを分離させた状態の斜視図であリ、(b)は、部分拡大横断面図である。
図7】(a) は、本発明に係る断熱板材P3 の中空構造板A3 とガルバリウム鋼板Gとを分離させた状態の斜視図であリ、(b)は、部分拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、最良の複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1の断熱板材P1 は、図5に示されるように、中空構造板A1 の一面にガルバリウム鋼板Gが貼着され、当該ガルバリウム鋼板Gの表面に遮熱塗料が塗布されて塗膜Kが形成されている。中空構造板A1 は、樹脂成形品であって、中空円錐台状の一対の補強単体1aの一方を反転させて、直径の小さな側を一体に接続させることで補強体1が形成され、無数の補強体1の両面に薄板状の表板材2が一体に溶着された構成である。このため、隣接する補強体1の間には、連続した中空部3が形成される。
【0019】
ガルバリウム鋼板Gは、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板であって、めっき層に含まれる亜鉛のイオン化傾向が鉄よりも大きいために、水中等の腐食環境下においては、鉄よりも亜鉛が先に溶け出すことで、原板である鉄の腐食を防止する構造の鋼板であって、70〜75%の高い熱反射性能により遮熱性に優れる。また、ガルバリウム鋼板Gは、自身の有する高い遮熱性に加えて、その表面に塗布した遮熱塗料の塗膜Kの遮熱性とが相乗して、一層高い遮熱性を有する。
【0020】
断熱板材P1 の板厚T1 は、約22mmであって、中空構造板A1 の骨組構造によって、内部に連続した中空部3を有していながら、軽量で、しかも高い剛性を有する。
【実施例2】
【0021】
実施例2の断熱板材P2 を構成する中空構造板A2 は、図6に示されるように、一対の表板材11の間に、所定間隔をおいて多数の補強板材12が、前記各表板材11と直交して一体となった構成であって、樹脂の連続押出成形により成形され、一対の表板材11と隣接する補強板材12との間に多数の独立した中空部13が形成されている。また、一対の表板材11の間に、所定間隔をおいた多数の補強板材12が、前記一対の表板材11と直交して配置されて、各表板材11と多数の補強板材12とが一体化された構成であるため、断面視における中空部13の占有面積が大きいのにもかかわらず、高い剛性を有する構造が実現される。中空構造板A2 の一方の表板材11には、ガルバリウム鋼板Gが貼着され、当該ガルバリウム鋼板Gの表面には、遮熱塗料の塗布による塗膜Kが形成される。
【0022】
断熱板材P2 の板厚T2 は、約8mmであって、前記中空構造板A2 の一方の面に、ガルバリウム鋼板Gが貼着され、当該ガルバリウム鋼板Gの表面に遮熱塗料が塗布されたものである。
【実施例3】
【0023】
実施例3の断熱板材P3 を構成する中空構造板A3 は、図7に示されるように、一対の表板材21の間に、無数の中空円錐台状の補強体22が千鳥状に配置されて、前記一対の表板材21と無数の補強体22とが一体に溶着された構成である。断熱板材P3 は、中空構造板A3 の一面にガルバリウム鋼板Gが貼着されて、当該ガルバリウム鋼板Gの表面に遮熱塗料が塗布された構成である。無数の補強体22の間には、連続した中空部23が形成される。断熱板材P3 の板厚T2 は、約5mmである。
【0024】
従って、実施例3の断熱板材P3 は、実施例1の断熱板材P1 に対して中空構造板A1 を構成する無数の補強体1を補強体22に変更した構成となる。
【0025】
図1及び図2(a)に示される屋外設置型の各コンテナC1 ,C2 は、シャッター又は扉を有する出入れ開口を除く計3面の側壁部31は、いずれも断熱板材P1 で構成され、屋根部は、断熱板材P2 で構成されている。よって、側壁部及び屋根部を構成していて、内部に連続した中空部3,13を有する中空構造板A1 ,A2 の断熱作用と、ガルバリウム鋼板G及び当該ガルバリウム鋼板Gの表面に塗布された遮熱塗料による塗膜Kとによる遮熱作用との相乗によって、屋外設置されることで、太陽光により加熱される各コンテナC1 ,C2 の側壁部31及び屋根部32は、各中空構造板A1 の単体の断熱作用を遥かに超える高い断熱性が得られることで、内部の温度の上昇が抑えられる。
【0026】
また、中空構造板A1 は、その中空構造により軽量であって、取り扱いに優れるうえに、高い剛性を有しているため、屋外設置型のコンテナC1 ,C2 の側壁部31又は屋根部32として使用した場合において、コンテナC1 (C2 )自体の軽量化が図られて、その設置及び撤去、並びに運搬が容易となると共に、屋外設置物でありながら、高い強度を有する側壁部31及び屋根部32を実現できる。
【0027】
図3及び図4(a)に示される屋外設置型の仮設ハウスHは、側壁部41及び屋根部42の双方を断熱板材P1 で構成したものである。
【0028】
屋外設置された本発明に係るコンテナC1 (C2 )は、各側壁部31及び屋根部32を介する太陽熱の熱伝導作用により、日中におけるコンテナの内部温度は、太陽熱よりも高くなる。そして、外気温が高くなる程、本発明に係るコンテナC1 (C2 )と、従来構造のコンテナC’との内部温度差は大きくなり、外気温が30°Cを超える場合には、内部温度差は、7〜10°Cと極めて大きくなることを実験で確認し、本発明に係る断熱板材P1 の高い断熱性を確認できた。
【0029】
また、本発明に係る断熱板材P1 〜P3 の用途は、上記した屋外設置型のコンテナC1 ,C2 又は仮設ハウスHの側壁部31,41又は屋根部32,42に限られず、屋外設置型であって、可搬性の簡易建物の断熱性が求められる部分には適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 〜A3 :中空構造板
1 ,C2 :コンテナ
G:ガルバリウム鋼板
H:仮設ハウス
K:遮熱塗料による塗膜
1 〜P3 :断熱板材
1,22:補強体
1a:補強単体
3,13,23:中空部
31,41:側壁部
32,42:屋根部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7