(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-150235(P2017-150235A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】連結土嚢袋およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/04 20060101AFI20170804BHJP
【FI】
E02B3/04 301
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-33884(P2016-33884)
(22)【出願日】2016年2月25日
(71)【出願人】
【識別番号】500136153
【氏名又は名称】日水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】小藤 秀人
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118GA42
2D118GA43
2D118GA46
(57)【要約】
【課題】この発明が解決しようとする課題は、土嚢袋にさらに工夫・改良を重ね、設置作業が迅速に行なえ、土嚢袋に適宜な重量を与えることにより耐圧にも耐える連結土嚢袋およびその使用方法を開発・提供することにある。
【解決手段】 土嚢袋(1)において、土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋1袋分、あるいは複数袋分の間隔部(X)を設け、該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結した連結土嚢袋であり、土嚢袋(1)は一重構造の麻袋であり、該袋内部に、水溶紙にくるまれた吸水性ポリマーを入れた吸水性土嚢であることを特徴とし、さらに、土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢1袋分、あるいは2袋分の間隔部(X)を設け、該間隔部(X)に連結部材(2)で連結した連結土嚢袋、多数個をフレキシブルコンテナバック(Z)に充填するものから構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土嚢袋(1)において、
土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋1袋分、あるいは複数袋分の間隔部(X)を設け、
該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結した
ことを特徴とする連結土嚢袋。
【請求項2】
前記連結部材(2)が、土嚢袋(1)と同じ素材である
ことを特徴とする請求項1記載の連結土嚢袋。
【請求項3】
前記土嚢袋(1)が、一重構造の麻袋であり、
該袋内部に、水溶紙にくるまれた吸水性ポリマーを入れた
吸水性土嚢である
ことを特徴とする請求項1または2記載の土嚢袋。
【請求項4】
土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢1袋分、あるいは2袋分の間隔部(X)を設け、
該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結した連結土嚢袋、多数個を
フレキシブルコンテナバック(Z)に充填する
ことを特徴とする連結土嚢袋の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、連結土嚢袋およびその使用方法に関するものである。
【0002】
従来、土嚢は、堤防の決壊、高潮等の水害に対し、布袋内に土砂を詰め袋を縛り、これらを決壊箇所に複数個並べ複数段積み上げることにより水や土砂の移動を妨げて被害を低減するものである。
【0003】
しかし、袋に土砂を詰め込む作業の煩雑さから、アクアブロック(登録商標)という袋の中に吸水性ポリマーを入れた土嚢が本願出願人より開発され、この袋を水を張った容器内に浸すことにより袋内が膨張し、重さ20kgの土嚢になり、近年この土嚢が利用されている。例えば、特許文献1のように。
【0004】
また、水溶紙もしくは水溶性樹脂フィルム袋に水膨潤性吸水樹脂を入れた中材を含む土壌袋キットであって、中材を挿入した袋の開放部から水道水を供給して開口部を紐で縛る土嚢袋キットは存在した。例えば、特許文献2のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3128193号公報
【特許文献2】特許第5663691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、土嚢袋にさらに工夫・改良を重ね、設置作業が迅速に行なえ、土嚢袋に適宜な重量を与えることにより耐圧力に優れた連結土嚢袋およびその使用方法を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の連結土嚢袋は、
土嚢袋において、
土嚢袋と土嚢袋との間に、土嚢袋1袋分、あるいは複数袋分の間隔部を設け、
該間隔部に連結部材を設けて連結した
ことを特徴とする。
【0008】
そして、
前記連結部材が、土嚢袋と同じ素材である
ことを特徴とする。
【0009】
さらに、
前記土嚢袋が、一重構造の麻袋であり、
該袋内部に、水溶紙にくるまれた吸水性ポリマーを入れた
吸水性土嚢である
ことを特徴とする。
【0010】
次に、この発明の連結土嚢袋の使用方法は、
土嚢袋と土嚢袋との間に、土嚢1袋分、あるいは2袋分の間隔部を設け、
該間隔部に連結部材を設けて連結した連結土嚢袋、多数個をフレキシブルコンテナバッ クに充填する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、土嚢袋と土嚢袋との間に、土嚢袋1袋分、あるいは複数袋分の間隔部を設け、該間隔部に連結部材を設けて連結することにより、土嚢袋単体(1個分)の重量だけでなく連結された土嚢袋の重量を有し、さらに上下・左右に位置する連結土嚢袋がそれぞれ噛み合った状態で複数段積み重ねられる結果、堅牢であり耐圧強度が増し、例えば、住宅まわりから入り込む水を阻止したり、河川の決壊箇所から市街地や田畑に流れ込む水を阻止することが可能である。
【0012】
また、土嚢袋の素材が、麻袋を使用するため滑りにくく、また、使用後は燃やすことができ環境に優しく、吸水時間の短縮ならびに内部の吸水性ポリマーの流出が少なくなる等の効果を有する。
【0013】
さらに、決壊箇所が激しい場合には、この発明の連結土嚢袋を大型の袋(フレキシブルコンテナバック)に詰め込むことにより、簡易、迅速に作業ができる等の極めて有益なる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施例を示し、(A)は、平面図であり、(B)は、斜視図であり、(C)は、
図1(A)a−a断面図である。
【
図3】この発明のさらに別の使用状態を示す説明図である。
【
図4】この発明の他の実施例を示し、(A)は、平面図であり、(B)は、斜視図であり、(C)は、
図4(A)a−a断面図である。
【
図6】この発明のさらに別の使用状態を示し、(A)は、二段重ねの場合、(B)は一段重ねの場合をそれぞれ示す説明図である。
【
図7】この発明に使用する容器の一実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明について詳細に説明する。尚、この発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0016】
先ず、この発明の連結土嚢袋の一実施例を
図1に基づいて詳述すると、土嚢袋(1)において、土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋1袋分の間隔部(X)を設け、該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結したことを特徴とする連結土嚢袋から構成されるものである。
【0017】
そして、前記連結土嚢袋における土嚢袋(1)の素材の一例を述べると、麻糸を用い、縦糸と横糸を用いて麻布シートを織り、該麻布シートを二つ折りにして一重構造の麻袋を形成し、該袋内部に、水溶紙が溶解し易い紙袋(即ち,水溶袋)に吸水性ポリマーをくるみ、或いは、周囲を溶け易い糊で糊付けした紙袋に吸水性ポリマーを収納し、これら袋内に、紙袋収納型ポリマーを三個入れて、該袋の横辺と底辺を内縫いとし、他の開口部辺を外縫いとして麻袋としたものである。
【0018】
さらに、前記土嚢袋(1)と連結部材(2)との連結手段の一例を述べると、土嚢袋(1)と連結部材(2)とを縫着により連結するものであり、製造作業・製造工程が簡単であり、また、前記連結部材(2)の素材は、土嚢袋(1)と同一素材である麻布シートで構成したものであり、土嚢袋(1)と同一素材を用いることにより、原料コストの低減が図れるものである。
【0019】
さらに、前述のように前記土嚢袋(1)は、厚さは2mmの麻袋であるが、約3分で水を吸収し、重さ20Kgの土嚢となるものである。但し、前記土嚢袋(1)は、一例に過ぎず、他の構成をした袋内に土砂を入れる土嚢袋であってもよいものである。
【0020】
そして、本願発明の連結土嚢袋のうち前記間隔部(X)に、土嚢袋(1)を1袋分あけた連結土嚢袋の使用方法の一例を述べると、
図2には一段重ねの使用前・後の説明図、
図3には二段重ねの使用前・後の説明図にそれぞれ示すように、前者は、地面(Y)に土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋が1個入る連結土嚢袋3組を、土嚢袋(1)1個分の間隔を保持してそれぞれ並設し、次に、これら並設した3組の連結土嚢袋の上に、新たに3組の連結土嚢袋を、連結部材の上に一方の土嚢袋を嵌着し、他方の土嚢袋を、1個分の間隔を保持した部分に嵌着し、他の2組の連結土嚢袋も同様に行ない一段目を形成するものである。このように、順次、三段、四段と積み重ねてゆくものである。
【0021】
次に、この発明の連結土嚢袋の他の実施例について
図4に基づいて詳述すると、土嚢袋(1)において、土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋2袋分の間隔部(X′)を設け、該間隔部(X′)に連結部材(2′)を設けて連結したことを特徴とする連結土嚢袋から構成されるものである。なお、土嚢袋(1)の素材や、土嚢袋(1)と連結部材(2′)との連結手段は前述したものと同様である。
【0022】
そして、本願発明の連結土嚢袋のうち前記間隔部(X)に、土嚢袋(1)を2袋分間隔をあけた連結土嚢袋の使用方法の一例を述べると、
図5には一段重ねの使用前・後の説明図であり、
図6(A)は、二段重ねの使用前・後の説明図であり、さらに
図6(B)には一段重ねの使用前・後の説明図である。そして、
図5に示す使用方法は、地面(Y)に土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋が2個入る連結土嚢袋3組を、それぞれ両端の土嚢袋(1)が隣接の土嚢袋(1)と間隔を設けないでそれぞれ並設し、次に、これら並設した3組の連結土嚢袋の上に、新たに3組(但し、2組は完全な状態の連結土嚢袋を示し、残り1組は、左右にそれぞれ連結土嚢袋の半分が図示されている。)を設け、これらの連結土嚢袋の連結部材(2′)が、前記の間隔を設けないで並設された2つの土嚢袋(1)連接された上に被せるように載置することにより、一段目を形成するものである。
【0023】
次に、一段目から複数段を積み重ねる場合には、前述の一段目を形成する方法と同じであるが、二段目、三段目とピラミット状に積み重ねる場合には、
図6(A)に示すように、二段目に、前記連結土嚢袋(1)2組を隣接の土嚢袋(1)と間隔部を設けないでそれぞれ並設し、次に、これらの連結土嚢袋(1)の外側に位置する土嚢袋(1),(1)をそれぞれ連結部材(2′)側に向けて折り曲げ、それぞれの連結部材(2′)の間隔を1袋分の間隔に狭めて、その上から新たに1組の連結土嚢袋の連結部材(2′)を連接された土嚢袋(1)(1)上に被せて積み重ねるものである。
【0024】
また、他の方法として
図6(B)に示すように、先ず、2組分の土嚢袋(1)の間隔を有する間隔部を有する連結土嚢袋を載置し、一方の土嚢袋(1)を、他方の土嚢袋(1)側に折り曲げ、連結部材(2′)の間隔部を1袋分の間隔に形成し、この1袋分の間隔部に、新たな連結土嚢袋の一方を嵌着し、残った1袋分の間隔部に、さらに新たな連結土嚢袋の一方の土嚢袋(1)を嵌着し、順次新たな連結土嚢袋の土嚢袋で嵌着し、最後の連結土嚢袋は、他方の土嚢袋(1)を連結部材(2′)方向に折り曲げて終了するものである。
【0025】
次に、この発明の連結土嚢袋の使用方法の一実施例を
図7に基づいて説明すると、土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢1袋分、あるいは2袋分の間隔部(X)を設け、該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結した連結土嚢袋、あるいは、土砂を入れた土嚢袋多数個を、フレキシブルコンテナバック(Z)に充填することを特徴とする連結土嚢袋の使用方法から構成されるものである。
【0026】
なお、フレキシブルコンテナバック(Z)とは、
図7に示すように、ポリエチレンやポリプロピレン等の丈夫な化学繊維で織られたシートとベルトより構成され、穀物や飼料、土砂などの粉状物質を梱包・輸送する容器である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の連結土嚢袋およびその使用方法の技術を確立し、実施することにより、産業上利用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1,1 土嚢袋
2,2′連結部材
X,X′間隔部
Y 地面
Z フレキシブルコンテナバック
【手続補正書】
【提出日】2017年6月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、水溶紙にくるまれた吸水性ポリマーを入れた吸水性の土嚢袋(1)において、
土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋1袋分、あるいは2袋分の間隔部(X)を設け、
該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結し、
該連結部材に土嚢袋を嵌着して、上下・左右に位置する連結土嚢袋がそれぞれ噛み合った状態で複数段積み重ねて使用する
ことを特徴とする連結土嚢袋。
【請求項2】
前記連結部材(2)が、土嚢袋(1)と同じ素材である
ことを特徴とする請求項1記載の連結土嚢袋。
【請求項3】
前記土嚢袋(1)が、前記連結部材(2)と同じ素材であり、
且つ、一重構造の麻袋であり、
該袋内部に、水溶紙にくるまれた吸水性ポリマーを入れた吸水性土嚢である
ことを特徴とする請求項1または2記載の連結土嚢袋。
【請求項4】
土嚢袋(1)と土嚢袋(1)との間に、土嚢袋1袋分、あるいは2袋分の間隔部(X)を設け、
該間隔部(X)に連結部材(2)を設けて連結し、該連結部材に土嚢袋を嵌着して、
上下・左右に位置する連結土嚢袋がそれぞれ噛み合った状態で複数段積み重ねて使用する連結土嚢袋、多数個を
フレキシブルコンテナバック(Z)に充填して使用する
ことを特徴とする連結土嚢袋の使用方法。