特開2017-150772(P2017-150772A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2017150772-空調システム 図000003
  • 特開2017150772-空調システム 図000004
  • 特開2017150772-空調システム 図000005
  • 特開2017150772-空調システム 図000006
  • 特開2017150772-空調システム 図000007
  • 特開2017150772-空調システム 図000008
  • 特開2017150772-空調システム 図000009
  • 特開2017150772-空調システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-150772(P2017-150772A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170804BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20170804BHJP
   F25B 29/00 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   F24F11/02 102L
   F24F11/02 102V
   F24F7/06 C
   F25B29/00 381
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-35052(P2016-35052)
(22)【出願日】2016年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 弥
(72)【発明者】
【氏名】小松原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】中本 正彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
【テーマコード(参考)】
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
3L058BG04
3L260AA06
3L260AB04
3L260AB07
3L260BA49
3L260CB09
3L260CB62
3L260EA03
3L260EA07
3L260EA13
3L260EA27
3L260FB01
3L260HA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハンチング運転となってしまう室外機を減少させ安定した制御を行うことが可能な空調システムを提供する。
【解決手段】第1冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第1系統の複数のコイルと、第2冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第2系統の複数のコイルと、温度制御された空気を加湿する水膜加湿器と、温度制御される前の空気の温度を検知する第1温度センサと、温度制御される前の空気の湿度を検知する第1湿度センサと、検知される温度及び湿度に基づいて冷暖同時型室外機の稼働及び停止を制御する主制御部とを有し、検知される温度及び湿度から算出されたエンタルピーに基づいて、第2冷暖同時型室外機を稼働し第1冷暖同時型室外機を停止する第1モードと、室外機の双方を稼働する第2モードとの切り換えを、エンタルピーの閾値を変更して行う(ステップS204、S205)。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷暖同時型室外機と、
第2冷暖同時型室外機と、
前記第1冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第1系統の複数のコイルと、
前記第2冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第2系統の複数のコイルと、
前記複数のコイルで温度制御された空気が導入され、導入された空気を加湿する水膜加湿器と、
前記複数のコイルで温度制御される前の空気の温度を検知する第1温度センサと、
前記複数のコイルで温度制御される前の空気の湿度を検知する第1湿度センサと、
前記第1温度センサで検知される温度、及び、前記第1湿度センサで検知される湿度に基づいて、
前記第1冷暖同時型室外機の稼働及び停止を制御すると共に、及び前記第2冷暖同時型室外機の稼働及び停止を制御する主制御部と、を有し、
前記主制御部は、
前記第1温度センサで検知される温度、及び、前記第1湿度センサで検知される湿度からエンタルピーを算出し、算出されたエンタルピーに基づいて、
前記第2冷暖同時型室外機を稼働し前記第1冷暖同時型室外機を停止する第1モードと、
前記第1冷暖同時型室外機及び前記第2冷暖同時型室外機の双方を稼働する第2モードと、の切り換えを行うと共に、
前記第1モードと、前記第2モードとを切り換えるためのエンタルピーの閾値を変更することを特徴とする空調システム。
【請求項2】
空気の加熱を行う加熱コイルと、空気の冷却を行う冷却コイルと、からなり、前記加熱コイルで空気を加熱すると共に、前記冷却コイルで空気を冷却することで空気の温度を制御する複数のコイルと、
前記複数のコイルの各コイルへの冷媒の供給量を制御することで、前記加熱コイルの加熱量又は前記冷却コイルの冷却量を制御するコイル制御部と、
前記複数のコイルで温度制御された空気が導入され、導入された空気を加湿する水膜加湿器と、
前記複数のコイルで温度制御された後で、前記水膜加湿器に導入される前の空気の温度を検知する第2温度センサと、
前記第2温度センサで検知される温度に基づいて、前記コイル制御部に対する制御信号を出力する主制御部と、を有し、
前記主制御部は、
前記第2温度センサで検知される温度が、所定時間以上目標温度より高いとき、前記コイル制御部に対して、前記加熱コイルの加熱量を小さくする制御信号を出力し、
前記第2温度センサで検知される温度が、所定時間以上目標温度より低いとき、前記コイル制御部に対して、前記加熱コイルの加熱量を大きくする制御信号を出力することを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、恒温恒湿が求められるクリーンルームなどの室内の空調に好適な空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業用クリーンルームの空調システムにおいては、熱源システムを用いて冷水・温水を製造し、配管システムにより外気処理空調機に冷水・温水を供給し、冷水・温水により外気の温度・湿度を制御し、これをクリーンルームに供給するようにしていた。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平08−114347号公報)には、外気温度の低い冬期に冷却塔を冷熱源とすると共に、外気温度の高い夏期に冷凍機を冷熱源とする熱源システムが開示されている。
【特許文献1】特開平08−114347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような冷却塔や冷凍機を用いた熱源システムは高価であるために、クリーンルーム用の空調システムを構築するためには、相応のコストをかけざるを得なかった。
【0005】
そこで、室外機と、この室外機から冷媒を得て、この冷媒により外気の温度調整を行い室内に導入する外気処理空調機とからなる、汎用のマルチ型空冷ヒートポンプパッケージを、クリーンルーム用の空調システムに転用することが考えられる。このような転用によれば、クリーンルーム用の空調システムのコストを大幅に抑制することが期待できる。
【0006】
汎用のマルチ型空冷ヒートポンプパッケージを用いたクリーンルーム用空調システムでは、複数の室外機を用いることが多い。複数の室外機を用いるような場合、吸い込み外気の温湿度がゾーンの切替わり部で行き来すると、複数の室外機のうちの一部が、ハンチング運転となるため、前記ゾーンが変わった場合、ある程度時間をおいてから室外機のオンオフの制御をする対策を行う。
【0007】
現状システムにおいては、室外機の運転状況を変更する判定のための閾値としてはエンタルピーを用いており、このエンタルピーの閾値は、固定値で与えられている。
【0008】
しかしながら、前述のように、室外機の運転ゾーンの切替わり部で空気状態が行き来する場合、室外機のオンオフの制御の時間遅れをとっても頻度が減るだけで、ハンチングすることには変わりなく制御が乱れる要因が残されている、という問題があった。
【0009】
また、現状システムにおいて、暖房低負荷ゾーン、冷房低負荷ゾーンでは、低負荷対応運転として、加熱コイルによる過加熱後に目標値に合わせるように冷却する制御を行っている。このような加熱コイルによる過加熱の加熱量についても、固定値で与えられている。
【0010】
しかしながら、加熱コイルの過加熱量を固定値で与えてしまうと、外気条件により想定通りに制御できない場合がある、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明に係る空調システムは、第1冷暖同時型室外機と、第2冷暖同時型室外機と、前記第1冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第1系統の複数のコイルと、前記第2冷暖同時型室外機で生成された冷媒の供給を受けて温度制御を行う第2系統の複数のコイルと、前記複数のコイルで温度制御された空気が導入され、導入された空気を加湿する水膜加湿器と、前記複数のコイルで温度制御される前の空気の温度を検知する第1温度センサと、前記複数のコイルで温度制御される前の空気の湿度を検知する第1湿度センサと、前記第1温度センサで検知される温度、及び、前記第1湿度センサで検知される湿度に基づいて、前記第1冷暖同時型室外機の稼働及び停止を制御すると共に、及び前記第2冷暖同時型室外機の稼働及び停止を制御する主制御部と、を有し、前記主制御部は、前記第1温度センサで検知される温度、及び、前記第1湿度センサで検知される湿度からエンタルピーを算出し、算出されたエンタルピーに基づいて、前記第2冷暖同時型室外機を稼働し前記第1冷暖同時型室外機を停止する第1モードと、前記第1冷暖同時型室外機及び前記第2冷暖同時型室外機の双方を稼働する第2モードと、の切り換えを行うと共に、前記第1モードと、前記第2モードとを切り換えるためのエンタルピーの閾値を変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る空調システムは、空気の加熱を行う加熱コイルと、空気の冷却を行う冷却コイルと、からなり、前記加熱コイルで空気を加熱すると共に、前記冷却コイルで空気を冷却することで空気の温度を制御する複数のコイルと、前記複数のコイルの各コイルへの冷媒の供給量を制御することで、前記加熱コイルの加熱量又は前記冷却コイルの冷却量を制御するコイル制御部と、前記複数のコイルで温度制御された空気が導入され、導入された空気を加湿する水膜加湿器と、前記複数のコイルで温度制御された後で、前記水膜加湿器に導入される前の空気の温度を検知する第2温度センサと、前記第2温度センサで検知される温度に基づいて、前記コイル制御部に対する制御信号を出力する主制御部と、を有し、前記主制御部は、前記第2温度センサで検知される温度が、所定時間以上目標温度より高いとき、前記コイル制御部に対して、前記加熱コイルの加熱量を小さくする制御信号を出力し、前記第2温度センサで検知される温度が、所定時間以上目標温度より低いとき、前記コイル制御部に対して、前記加熱コイルの加熱量を大きくする制御信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空調システム1は、モード間の切り換えを行うためのエンタルピーの閾値を変更するので、このような本発明の空調システム1によれば、ハンチング運転となってしまう室外機を減少させることができ、安定した制御を行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明の空調システム1は、検知される温度が、所定時間以上目標温度より高いか低いかにより、加熱コイルの加熱量を制御するので、このような本発明の空調システム1によれば、外気条件によることなく、想定通りの制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る空調システム1の概要を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る空調システム1による外気処理を空気線図によって説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係る空調システム1における第1モード、第2モードの相違を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る空調システム1におけるモード切り替え処理のフローチャートを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る空調システム1における閾値変更処理のフローチャートを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る空調システム1におけるモード切り替え処理、閾値変更処理の概念を説明する図である。
図7】本発明の実施形態に係る空調システム1における加熱量調整処理のフローチャートを示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る空調システム1における加熱量調整処理の概念を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る空調システム1の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る空調システム1の概要を模式的に示す図である。本発明に係る空調システム1は、特にクリーンルームに設けられ、クリーンルーム内に清浄で、温度及び湿度が調整された空気を供給することを想定している。
【0017】
本発明に係る空調システム1は、汎用のマルチ型空冷ヒートポンプパッケージを基に、構成されている。マルチ型空冷ヒートポンプパッケージは、冷媒を作り出す室外機と、ケーシング内に納められているコイルを有する外気処理空調機10と、前記冷媒を前記コイルに流す配管とから主に構成されているが、本発明に係る空調システム1では、このような構成を、少なくとも2系統以上設けるようにしている。なお、図面では、室外機やコイル、配管などは模式的に示されている。
【0018】
ここで、本発明に係る空調システム1で用いる汎用のマルチ型空冷ヒートポンプパッケージの室外機としては、冷たい冷媒と温かい冷媒とを同時に生成することができる冷暖同時型の室外機を想定している。本発明に係る空調システム1では、第1冷暖同時型室外機51と第2冷暖同時型室外機52との少なくとも2系統の室外機を有している。なお、以下、2系統の室外機を備えた空調システム1を例に説明するが、系統数は2系統以上の任意の系統数とすることができる。
【0019】
本発明に係る空調システム1では、冷暖切換型ではなく、冷暖同時型の室外機を用いるようにしている。このようにする理由は、外気処理空調機10における運用として、冷却コイルと再熱コイルを同時に利用する運転パターンが多いため、熱源機側での排熱利用が可能となり省エネ運転となるからである。
【0020】
空調システム1のケーシング11内には、外気OAが取り入れられ、温度湿度が調整され、給気SAとして、不図示のクリーンルームに供給される。
【0021】
ケーシング11には、送風ファン22を動作させることで、常に外気OAを取り込み、クリーンルームに給気SAとして供給することで、クリーンルーム内を常に正圧に維持するような運用がなされている。
【0022】
ケーシング11に取り込まれた空気は、プレフィルタ13及び中性能フィルタ14を流れることで、空気中の塵などが除去される。
【0023】
第1冷暖同時型室外機51は、指令された温度の冷媒を生成し、この冷媒を図示する配管を通して、ケーシング11内の第1系統の複数のコイル61に循環させている。本実施形態においては、第1列a,bのコイル、第3列bのコイルが、第1系統コイル61である。
【0024】
また、第2冷暖同時型室外機52は、指令された温度の冷媒を生成し、この冷媒を図示する配管を通して、ケーシング11内の第2系統の複数のコイル62に循環させている。本実施形態においては、第1列cのコイル、第2列a、bのコイル、第3列aのコイルが、第2系統コイル62である。
【0025】
なお、第1冷暖同時型室外機51の系統のコイルを第何列のどのコイルとするか、或いは、第2冷暖同時型室外機52の系統のコイルを第何列のどのコイルとするかなどは任意に設定することができ、本実施形態に限定されるものではない。
【0026】
また、第何列のどのコイルを、どの系統の冷暖同時型室外機のコイルとするか、などは適宜設定することができる。さらに、本発明においては、冷暖同時型室外機の系統数は、2以上であれば任意とすることができる。
【0027】
第1系統の複数のコイル61のうち一部は空気の加熱を行う加熱コイルとして、また、その残りは空気の冷却を行う冷却コイルとして運用する。
【0028】
また、同様に、第2系統の複数のコイル62のうち一部は空気の加熱を行う加熱コイルとして、また、その残りは空気の冷却を行う冷却コイルとして運用する。
【0029】
なお、本発明に係る空調システム1においては、保護制御のバックアップ運転を行う際に、同一の列内でコイルのバイパスを回避するために、第1列、第2列、第3列の中に、異なる冷媒系統の冷媒配管を平均的に配列させるコイル構造としている。これにより、保護制御のバックアップ運転時のコイルのバイパスエアを小さくすることができる。
【0030】
第1列のコイル、第2列のコイルを通過した空気は温度調整され、さらに、水膜加湿器17で湿度が制御され、第3列のコイルで再熱され、温度上昇され、HEPAフィルタ25を通過し、給気SAとしてクリーンルームに供給される。
【0031】
ケーシング11内において、第1系統の複数のコイル61、第2系統の複数のコイル62に導入される前の空気の温度及び湿度(外気の温度及び湿度に等しい)は、それぞれ第1温度センサ71、第1湿度センサ72によって検知される。第1温度センサ71、第1湿度センサ72のそれぞれで検知された温度データ、湿度データは、主制御部30に送信され、主制御部30における制御のために利用される。
【0032】
また、第1系統の複数のコイル61、第2系統の複数のコイル62で温度制御された後で、水膜加湿器17に導入される前の空気の温度は、第2温度センサ81によって検知される。第2温度センサ81で検知された温度データは、主制御部30に送信され、主制御部30における制御のために利用される。
【0033】
以上のように、構成される本発明に係る空調システム1によって、外気OAが取り入れられ、給気SAとして、クリーンルームに供給される際の、温度湿度の調整例について説明する。図2は本発明の実施形態に係る空調システム1による外気処理を空気線図によって示した図である。
【0034】
図2において、(a)ゾーンは冷房高負荷ゾーンであり、第1冷暖同時型室外機51及び第2冷暖同時型室外機52を同時に稼働することを想定しているゾーンである。また、(b)ゾーンは冷房高負荷ゾーンであり、第2冷暖同時型室外機52のみを稼働することを想定している。また、(c)ゾーンは冷房低負荷ゾーンであり、第2冷暖同時型室外機52のみを稼働することを想定している。また、(d)ゾーンは送風ゾーンであり、第1列コイル及び第2列コイルを稼働しないことを想定している。また、(e)ゾーンは暖房低負荷ゾーンであり、第2冷暖同時型室外機52のみを稼働することを想定している。また、(f)ゾーンは暖房高負荷ゾーンであり、第2冷暖同時型室外機52のみを稼働することを想定している。また、(g)ゾーンは暖房高負荷ゾーンであり、第1冷暖同時型室外機51及び第2冷暖同時型室外機52を同時に稼働することを想定しているゾーンである。
【0035】
なお、(c)の冷房低負荷ゾーンおよび(e)の暖房低負荷ゾーンでは、汎用空調機の最小能力での過剰能力を回避するために、一旦暖房してから 冷房することで能力を調整する制御方法を採用する。このような制御によれば、冷暖同時型室外機を用いる本発明に係る空調システム1においては、廃熱を利用することができ、エネルギーロスを抑制することができる。
【0036】
本実施形態では、乾球温度及び絶対湿度が、図2に示す空気線図における点(5)の空気を給気SAとしてクリーンルームに供給することを前提として、以下に説明する。また、点(1)の空気は、外気OAの乾球温度及び絶対湿度を示している。
【0037】
図2における点(1)乃至点(5)の乾球温度及び絶対湿度は、図1における(1)乃至(5)の場所における乾球温度及び絶対湿度と対応している。
【0038】
(e)の暖房低負荷ゾーンでは、乾球温度及び絶対湿度が点(1)である外気OAは、第1列のコイル(加熱コイルとして利用されているコイル)で加熱されることにより、乾球温度及び絶対湿度が点(2)となる。次に、第2列のコイル(冷却コイルとして利用されているコイル)で冷却されることにより、目標湿球温度一定のライン上の点(3)に戻される。
【0039】
続いて、水膜加湿器17には、不図示の水供給部から滴下する水が常時供給される状態が維持されており、水膜加湿器17を通過する点(3)の空気は、相対湿度略100%の点(4)の空気とされる。続いて、第3列のコイル(再熱コイル)によって、乾球温度及び絶対湿度が点(5)の空気とされ、給気SAとしてクリーンルームに供給される。
【0040】
以上のように、本発明に係る空調システム1においては、図2に示す空気線図において、点(1)に示される乾球温度及び絶対湿度である外気OAを、目標点である点(5)として調整して、クリーンルームに供給するようにしている。
【0041】
主制御部30は、本発明に係る空調システム1において、基本となる制御を司るものであり、マイクロコンピューターなどの情報処理装置を用いることができる。主制御部30は、第1系統の複数のコイル61及び第2系統コイルの複数のコイル62の各コイルに冷媒を供給する際のバルブを制御する複数のコイル制御部40を制御するように制御信号を送信するようになっている。また、主制御部30は、第1冷暖同時型室外機51や第2冷暖同時型室外機52などに対して制御指令を出したり、これらの運転状態なども把握したりすることができるようになっている。
【0042】
次に、以上のように構成される空調システム1における制御について説明する。本発明に係る空調システム1においては、第1モード及び第2モードの2つのモードを有している。
【0043】
より具体的には、主制御部30は、冷房高負荷ゾーンである(b)ゾーンでは、第2冷暖同時型室外機52のみを稼働し、第1冷暖同時型室外機51を停止する第1モードで空調システム1を制御する。
【0044】
また、主制御部30は、冷房高負荷ゾーンである(a)ゾーンは冷房高負荷ゾーンでは、第1冷暖同時型室外機51及び第2冷暖同時型室外機52を同時に稼働する第2モードで空調システム1を制御する。
【0045】
図3は本発明の実施形態に係る空調システム1における第1モード、第2モードの相違を説明する図である。なお、以下、このような第1モード、第2モードについては、冷房時を例に説明するが、同様の考え方は暖房時にも適用可能である。
【0046】
本発明に係る空調システム1のように、第1冷暖同時型室外機51及び第2冷暖同時型室外機52の複数の室外機を用いるような場合、吸い込み外気の温湿度が、ゾーンの境界((a)−(b)間の境界)で行き来すると、複数の室外機のうちの一部が、ハンチング運転となる可能性が高い。
【0047】
そこで、本発明に係る空調システム1では、ゾーン間の行き来の頻度が高い状況下においては、第1モードと、第2モードとを切り換えるためのエンタルピーの閾値を変更する制御を行う。
【0048】
以下、本発明に係る空調システム1における冷房時における制御例について説明する。図4は本発明の実施形態に係る空調システム1におけるモード切り替え処理のフローチャートを示す図である。なお、フローチャートは、主制御部30によって、所定の時間間隔で定期的に実行されることが想定される。
【0049】
また、図6は、本発明の実施形態に係る空調システム1におけるモード切り替え処理、閾値変更処理の概念を説明する図である。
【0050】
図4において、ステップS100でモード切り替え処理が開始されると、続いて、ステップS101に進み、第1温度センサ71により温度データを取得し、ステップS102で、第1湿度センサ72により湿度データを取得する。
【0051】
ステップS103では、第1温度センサ71で取得された温度データ、及び、第1湿度センサ72で取得された湿度データからエンタルピーを算出する。このようなエンタルピーの算出は、テーブルやマップ(いずれも不図示)を参照することで、行うことができる。
【0052】
ステップS104では、算出されたエンタルピーを参照し、モードを切り換える際の判定条件である閾値を通過したか否かが判定される。ここで、このようなモード切り換えの際の閾値であるエンタルピーは、(a)ゾーンと(b)ゾーンとの間の一点鎖線で示されるものである。なお、この一点鎖線で示される閾値はデフォルトに設定されているものであり、閾値は後述する変更処理により変更され得るものである。
【0053】
ステップS104における判定の結果がNOであれば、ステップS109に進み処理を終了する。一方、ステップS104における判定の結果がYESであれば、ステップS105に進む。
【0054】
ステップS105では、算出したエンタルピーは、閾値の低い方から高い方へと、通過したのか否かが判定される。
【0055】
ステップS105における判定がYESである場合には、ステップS106に進み、モードは(第1モード)から(第2モード)へと切り換えられる。
【0056】
一方、ステップS105における判定がNOである場合には、ステップS108に進み、モードは(第2モード)から(第1モード)へと切り換えられる。
【0057】
ステップS107では、モード切り替えの頻度を算出しておき、モード切り替えの頻度情報を記憶しておく。このモード切り替えの頻度情報は、モード切り替えの際のエンタルピーの閾値を変更するときに用いられる。ステップS109で、モード切り替え処理を終了する。
【0058】
次に、上記のようなモード切り替え処理で利用されるエンタルピーの閾値を変更する処理について説明する。図5は本発明の実施形態に係る空調システム1における閾値変更処理のフローチャートを示す図である。
【0059】
図5において、ステップS200で、閾値変更処理が開始されると、続いて、ステップS201に進み、直近の時間幅において、モード切り替え頻度が所定値以上であるか否かが判定される。なお、前記の時間幅の長さについては適宜設定することができる。
【0060】
ステップS201の判定がNOであれば、ステップS206に進み、モード切り替え処理のためのエンタルピーの閾値をデフォルト値に保持し、ステップS207に進み、閾値変更処理を終了する。
【0061】
このようなフローチャートにおける処理の流れからも分かるように、モード切り替え頻度が高くないような場合には、モード切り替え処理のためのエンタルピーの閾値はデフォルトから変更されるものではない。
【0062】
ステップS202では、空調システム1が第1モードの状態にある第1モード時間と、空調システム1が第2モードの状態にある第2モード時間とを比較し、続く、ステップS203で、(第1モード時間)<(第2モード時間)であるか否かが判定される。
【0063】
ステップS203における判定がYESであれば、ステップS204に進み、閾値のエンタルピーをより低く設定する。このように、空調システム1が第2モードの状態にある時間が長い場合には、モード切り替えトリガーとなるエンタルピーを下げることで、ハンチングとなる可能性を低減させる。
【0064】
一方、ステップS203における判定がNOであれば、ステップS205に進み、閾値のエンタルピーをより高く設定する。このように、空調システム1が第1モードの状態にある時間が長い場合には、モード切り替えトリガーとなるエンタルピーを上げることで、ハンチングとなる可能性を低減させる。
【0065】
ステップS207では、閾値変更処理を終了する。
【0066】
以上のように、本発明の空調システム1は、モード間の切り換えを行うためのエンタルピーの閾値を変更する処理を行うので、このような本発明の空調システム1によれば、ハンチング運転となってしまう室外機を減少させることができ、安定した制御を行うことが可能となる。
【0067】
ところで、水膜加湿器17の前段において、第1系統の複数のコイル61及び第2系統コイルの複数のコイル62のうち、加熱コイルとして用いているものがあるが、加熱コイルの過加熱量を固定値で与えてしまうと、外気条件により想定通りに制御できない場合がある。
【0068】
そこで、本発明に係る空調システム1においては、以下のように加熱コイルとして用いられるコイルの加熱量を制御することでこれを解消するようにしている。
【0069】
図7は本発明の実施形態に係る空調システム1における加熱量調整処理のフローチャートを示す図である。また、図8は本発明の実施形態に係る空調システム1における加熱量調整処理の概念を説明する図である。
【0070】
図7において、ステップS300で、加熱量調整処理が開始されると、続いて、ステップS301に進み、第2温度センサ81により温度データを取得する。
【0071】
続くステップS302では、第2温度センサ81で取得された温度データが目標温度であるか否かが判定される。なお、このステップにおける目標温度は不感帯を有することが好ましい。
【0072】
ステップS302における判定がYESであれば、ステップS306に進み、加熱コイルの加熱量はそのままとする制御信号を出力し、ステップS308に進み処理を終了する。
【0073】
一方、ステップS302における判定がNOであれば、ステップS303に進み、ステップS303で、予め設定されている所定時間が経過したか否かが判定される。
【0074】
ステップS303における判定がNOであればステップS306に進み、加熱コイルの加熱量はそのままとする制御信号を出力し、ステップS308に進み処理を終了する。これに対して、ステップS303における判定がYESであれば、ステップS304に進む。
【0075】
ステップS304では、第2温度センサ81で取得された温度データが目標温度より高いか否かを判定する。
【0076】
ステップS304における判定がYESである場合には、加熱コイルによる過加熱量が大きく目標湿球温度より高い状態(図8(h)参照)が継続しているものと判断し、ステップS305に進み、加熱コイルの加熱量を小さくする制御信号を出力する。
【0077】
一方、ステップS304における判定がNOである場合には、加熱コイルによる過加熱量が小さく目標湿球温度より低い状態(図8(l)参照)が継続しているものと判断し、ステップS307に進み、加熱コイルの加熱量を大きくする制御信号を出力する。
【0078】
ステップS308で、加熱量調整処理を終了する。
【0079】
以上のような本発明の空調システム1は、第2温度センサ81で検知される湿球温度が、所定時間以上目標温度より高いか低いかにより、加熱コイルの加熱量を制御するので、このような本発明の空調システム1によれば、外気条件によることなく、想定通りの制御を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
1・・・空調システム
10・・・外気処理空調機
11・・・ケーシング
13・・・プレフィルタ
14・・・中性能フィルタ
17・・・水膜加湿器
20・・・再熱コイル
22・・・送風ファン
25・・・HEPAフィルタ
30・・・主制御部
35・・・テーブル
40・・・コイル制御部
51・・・第1冷暖同時型室外機
52・・・第2冷暖同時型室外機
61・・・第1系統コイル
62・・・第2系統コイル
71・・・第1温度センサ
72・・・第1湿度センサ
81・・・第2温度センサ
82・・・第2湿度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8