【課題】半導体装置の着脱方法において、半導体装置が軽量化され、その厚さが薄くなる場合であっても、半導体装置が反ることなく、半導体装置を半導体装置収容部に確実に着脱できること。
【解決手段】吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドにより保持された板状部材14および半導体装置16の電極面16Eが、コンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の可動接点部近傍の位置で停止され、半導体装置用ソケット2のカバー部材34がソケット本体30から離隔するように、インサーターヘッド10が上昇せしめられる直後、カバー部材34が、コイルスプリングの弾性力により、ソケット本体30から離隔されるとき、ラッチ機構32の各押え部材32Pの当接部が、板状部材14の外周面に当接し保持位置をとるもの。
半導体装置が着脱されるソケット本体に対し該半導体装置を保持または解放し着脱する搬送ロボットの吸着手段に前記半導体装置と孔を有する板状部材とを重ねて保持する動作を行わせる工程と、
前記半導体装置および板状部材を保持した搬送ロボットを移動させ、該板状部材および半導体装置の電極部を、前記ソケット本体に設けられるコンタクト端子の接点部近傍で停止させた状態で前記ソケット本体におけるラッチ機構の押え部材に、前記板状部材および半導体装置をソケット本体に保持する動作を行わせる工程と、
を含んでなる半導体装置の着脱方法。
半導体装置が着脱されるソケット本体に配され該半導体装置と孔を有する板状部材とを重ねて保持するラッチ機構の押え部材に、該半導体装置および板状部材をソケット本体の収容部に保持する動作、または解放する動作を行わせるラッチ機構駆動制御機構部と、
前記半導体装置および板状部材を保持または解放し前記ソケット本体に対し着脱する搬送ロボットの吸着手段と、
前記ラッチ機構駆動制御機構部によりラッチ機構の押え部材が前記ソケット本体の収容部から離隔されるとき、前記搬送ロボットの吸着手段に前記半導体装置および板状部材を保持する動作を行わせるとともに、前記搬送ロボットの吸着手段を移動させ、該板状部材および半導体装置の電極部を、前記ソケット本体の収容部に設けられるコンタクト端子の接点部近傍で停止させた状態で前記ラッチ機構の押え部材に、前記板状部材および半導体装置をソケット本体の収容部に保持する動作を前記ラッチ機構駆動制御機構部に行わせる制御部と、
を具備して構成される半導体装置の着脱装置。
半導体装置が着脱されるソケット本体に配され該半導体装置を保持するラッチ機構の押え部材に、該半導体装置をソケット本体の収容部に保持する動作、または解放する動作を行わせるラッチ機構駆動制御機構部と、
前記半導体装置を保持または解放し前記ソケット本体に対し着脱する搬送ロボットの吸着手段と、
前記搬送ロボットの吸着手段に保持された前記半導体装置の電極部と前記ソケット本体の収容部に設けられるコンタクト端子の接点部に対し光学的に位置決めする光学的位置決め手段と、
前記半導体装置を保持した搬送ロボットの吸着手段を移動させ、前記光学的位置決め手段に、該半導体装置の電極部を、前記ソケット本体に設けられるコンタクト端子の接点部に対し位置決めする動作を行わせるとともに、該半導体装置の電極部を、前記コンタクト端子の接点部近傍で停止させた状態で前記ソケット本体におけるラッチ機構の押え部材に、前記半導体装置をソケット本体の収容部に保持する動作を前記ラッチ機構駆動制御機構部に行わせる制御部と、
を具備して構成される半導体装置の着脱装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明に係る半導体装置の着脱方法の第1実施例が適用される半導体装置の着脱装置の全体構成を概略的に示す。
【0016】
図2において、バーンイン試験に供される半導体装置16が着脱される半導体装置用ソケット2は、所定のプリント配線基板PCB2上に複数個、縦横に配列されている配線ピッチ拡張用基板PCB1に固定されている。配線ピッチ拡張用基板PCB1は、基板接続用コネクタBCを介してプリント配線基板PCB2に電気的に接続されている。なお、
図2においては、ソケットステーションにおける代表して1個の半導体装置用ソケット2を示す。
【0017】
半導体装置用ソケット2は、例えば、オープントップタイプソケットとされ、配線ピッチ拡張用基板PCB1上に固定されるソケット本体30と、ソケット本体30内の中央の半導体装置収容部30Aに配され後述する半導体装置16と配線ピッチ拡張用基板PCB1の導電層とを電気的に接続する複数のコンタクト端子からなるコンタクト端子群36と、半導体装置収容部30A内に装着された半導体装置16を選択的にコンタクト端子群36に対し保持するラッチ機構32と、ソケット本体30に昇降動可能に支持されラッチ機構32の動作を制御するカバー部材34と、を主な要素として含んで構成されている。
【0018】
斯かる半導体装置用ソケットに供される半導体装置16は、例えば、比較的薄いBGA型の略正方形、または、長方形の半導体素子とされ、複数の電極部が縦横に所定の間隔で形成される電極面16Eを有している。複数の電極部は、例えば、0.2mmの間隔で形成されている。なお、半導体装置16は、斯かる例に限られることなく、例えば、LGA型の半導体素子とされてもよい。
【0019】
配線ピッチ拡張用基板PCB1における所定位置には、電極群が、ソケット本体30のコンタクト端子群36を構成する複数のコンタクト端子に対応して形成されている。その電極群は、基板接続用コネクタBCに接続されるコネクタ接続端部に導体層を通じて電気的に接続される。その電極群には、配線ピッチ拡張用基板PCB1上に配されるソケット本体30に設けられる複数のコンタクト端子の固定端子部が接続されている。
【0020】
ソケット本体30は、例えば、樹脂材料で成形されている。ソケット本体30の半導体装置収容部30Aには、上述の複数のコンタクト端子の可動接点部が所定の相互間隔、例えば、0.2mmの間隔で突出している。
【0021】
各コンタクト端子は、図示が省略されるが、例えば、薄板金属材料で成形され、装着される半導体装置16の各電極部に対応して形成される可動接点部と、配線ピッチ拡張用基板PCB1に固定される固定端子部と、可動接点部と固定端子部とを連結する連結部とからなる。なお、コンタクト端子は、斯かる例に限られることなく、例えば、所謂、ポゴピン(登録商標)、または、プローブピンであってもよい。
【0022】
ラッチ機構32は、ソケット本体30の半導体装置収容部30Aの周縁部に互いに向き合って設けられている。ラッチ機構32は、例えば、特許文献1にも示されるような、押え部材32Pを備えている。各押え部材32Pは、ソケット本体30の半導体装置収容部30Aを形成する壁部に回動可能に支持される基端部と、半導体装置16の外周部に選択的に当接または離隔する当接部と、基端部と当接部とを連結する連結部とを含んで構成されている。基端部には、
図5(A)および(B)に示されるように、カバー部材34が最下端となる位置をとるとき、カバー部材34の下端が係合される突起片が形成されている。また、各押え部材32Pの基端部とそれに対向するソケット本体30に形成される凹部(不図示)の底壁との間には、押え部材32Pの当接部をコンタクト端子側に近接する方向に付勢するコイルスプリング(不図示)が設けられている。これにより、ラッチ機構駆動制御機構部が、カバー部材34、および、コイルスプリングにより形成される。
【0023】
半導体装置16および後述する板状部材14が、半導体装置収容部30A内に装着される場合、
図5(A)および(B)に示されるように、押え部材32Pの当接部は、半導体装置16および板状部材14に干渉しないように半導体装置収容部30Aに対し離隔した待機位置をとり、また、半導体装置16および板状部材14が半導体装置収容部30A内に装着された後、押え部材32Pの当接部は、
図6に示されるように、半導体装置収容部30A内に侵入し半導体装置16を押え保持する保持位置をとるものとされる。
【0024】
なお、
図2に示されるように、カバー部材34が最上端となる位置をとるとき、コンタクト端子群36を構成する複数のコンタクト端子の可動接点部の先端と押え部材32Pの当接部との間の距離DAは、重ねられた半導体装置16および板状部材14における合計の厚さ以下に設定されている。これにより、必要な可動接点部の先端の変位量が、半導体装置16の厚さよりも大である場合であっても、コンタクト端子の可動接点部と押え部材32Pの当接部とが接触する虞がないのでコンタクト端子の可動接点部の損傷が回避される。
【0025】
ラッチ駆動制御機構部の一部を構成するカバー部材34は、後述する吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドに保持される重ねられた半導体装置16および板状部材14が通過する開口34aを内側に有している。カバー部材34は、ソケット本体30に対し昇降動可能にソケット本体30に支持されている。カバー部材34の内側であって開口34aの周囲に複数個設けられる凹部とソケット本体30の凹部との間には、それぞれ、カバー部材34をソケット本体30から離隔する方向、即ち、上方に向かって付勢するコイルスプリング(不図示)が設けられている。
【0026】
半導体装置用ソケット2の上方には、
図2および
図4に示されるように、カバー部材34に昇降動を行わせるとともに、半導体装置16および板状部材14を選択的に保持する吸着パッドを有する複数の吸引パイプ12A〜12Cを備えるインサーターのインサーターヘッド10が配されている。これにより、ラッチ駆動制御機構部が、インサーターヘッド10およびカバー部材34により形成されることとなる。
【0027】
インサーターは、図示が省略される搬送ロボットのアーム部に固定されている。その搬送ロボットは、所定のプログラムに従う移動経路に沿って上述のソケットステーションと後述する所定のピックアップステーションとの間を移動するものとされる。ピックアップステーションには、
図3(A)および(B)に示されるように、試験に供される所定の数量の半導体装置16が配置されているトレー6と、半導体装置16の数量と同一の数量の板状部材14が配置されるトレー4とが、設けられている。なお、斯かる例に限られることなく、トレー6における半導体装置16の数量とトレー4における板状部材14の数量とは、異なっていても良い。
【0028】
インサーターヘッド10は、
図2に示される直交座標において、インサーターに設けられるヘッド駆動部10Dにより、Z座標軸に沿って昇降動可能とされるとともに、共通の平面内に縦横に配列されている半導体装置用ソケット2の配列方向に対し平行なX座標軸、Y座標軸に沿って移動可能とされる。Z座標軸は、半導体装置16および板状部材14のソケット本体30に対する着脱方向に沿って設定されている。また、インサーターヘッド10は、ヘッド駆動部10Dにより、吸引パイプ12A〜12Cを伴ってZ座標軸の回りに回転可能とされる。また、吸引パイプ12A〜12Cは、図示が省略される浮動機構により、インサーターヘッド10に対し相対的に移動可能にインサーターヘッド10に支持されている。
【0029】
吸着手段としての吸引パイプ12Aおよび12Cの下端に、それぞれ、設けられる吸着パッドは、1個の板状部材14を保持または解放し、吸引パイプ12Bの下端に設けられる吸着パッドは、板状部材14の孔14aを介して1個の半導体装置16を保持または解放するものとされる。吸引パイプ12A、12B、12Cは、所定の間隔をもって一列に配置されている。
【0030】
各吸着パッドは、例えば、弾性材料で作られ、一方の端面に半導体装置16および板状部材を吸着する吸着面を有している。また、吸着パッドは、吸引パイプ12A〜12Cの吸引通路の一部を構成しその吸着面に開口する透孔を有している。吸着パッドの他端は、吸引パイプ12A〜12Cの一端に結合されている。吸引パイプ12A〜12Cの他端には、図示が省略される吸引ポンプを含んで構成される空気圧調整部12Dに接続されている。その空気圧調整部12Dは、後述する制御ユニットにより動作制御される。従って、試験に供される半導体装置16および板状部材14は、その吸引ポンプが作動状態とされる場合、吸引パイプ12A〜12Cからなる吸引通路を介して吸着パッドの吸着面により吸引保持されることとなる。
【0031】
板状部材14は、例えば、ポリカーボネイト、ポリエーテルイミドのような耐熱性のある樹脂材料で半導体装置16の外形寸法と略同一寸法で成形されている。約1mm程度の厚さを有する板状部材14は、略中央部に小さい孔14aを有している。なお、孔14aの位置は、吸引パイプ12Bの吸着パッドの位置に応じて適宜設定されてもよい。
【0032】
本発明に係る半導体装置の着脱装置の第1実施例において、インサーターは、さらに、半導体装置16のアライメントマーク、および、半導体装置用ソケット2のアライメントマークを撮像する移動式撮像装置を備えている。移動式撮像装置は、ハーフミラーユニット20、および、CCDカメラ22からなり、撮像装置移動機構部24を介して
図2に示されるインサーターヘッド10と半導体装置用ソケット2のカバー部材34との間となる撮影位置と、インサーター内の所定の待機位置との間を移動可能とされる。移動式撮像装置は、
図2における矢印Fの示す方向に沿ってインサーターヘッド10と半導体装置用ソケット2のカバー部材34との間に進入され、また、
図2における矢印Bの示す方向に沿ってインサーターヘッド10と半導体装置用ソケット2のカバー部材34との間から後退される。撮像装置移動機構部24は、後述する制御ユニットにより動作制御される。
【0033】
ハーフミラーユニット20は、インサーターヘッド10に向き合うリング照明灯20L1と、半導体装置用ソケット2のカバー部材34に向き合うリング照明灯20L2とをそれぞれ、ハウジングの上下端部に有している。ハーフミラーユニット20の内部における所定の光軸上には、ハーフミラー20HMが配置されている。半導体装置16のアライメントマークは、例えば、電極面16Eの周縁における所定の二箇所に互いに向き合って設けられている。また、半導体装置用ソケット2のアライメントマークは、例えば、コンタクト端子群36の周辺における所定の二箇所に互いに向き合って設けられている。なお、アライメントマークの代わりに、CCDカメラ22により認識可能な突起物のような目印であってもよい。これにより、リング照明灯20L1が点灯したとき、半導体装置16の電極面16Eからの反射光は、ハーフミラー20HMを介してCCDカメラ22の撮像部に導かれ、また、リング照明灯20L1が消灯され、リング照明灯20L2が点灯したとき、半導体装置用ソケット2におけるコンタクト端子群36周辺からの反射光は、ハーフミラー20HMを介してCCDカメラ22の撮像部に導かれることとなる。
【0034】
本発明に係る半導体装置の着脱装置の第1実施例において、加えて、インサーターヘッド10の昇降動および吸着パッドの吸着動作、撮像装置移動機構部24の駆動制御を行い上述のアライメントマークの相対位置の調整を行う制御ユニット50を備えている。
【0035】
制御ユニット50には、CCDカメラ22からの半導体装置16のアライメントマークおよび半導体装置用ソケット2のアライメントマークの位置をあらわす撮像データIPD
が供給される。
【0036】
制御ユニット50は、上述の供給される撮像データIPDに基づいて所定の画像抽出および画像変換処理を行うとともに、画像変換処理により得られたデータと登録された各アライメントマークの座標データおよび画像データとの比較を行い、位置調整制御信号を形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する中央演算処理部と、インサーター、移動式撮像装置、撮像装置移動機構部24、および、空気圧調整部12Dの動作制御用のプログラムデータ、および、試験に供される半導体装置16の種類、数量等をあらわすデータ、登録された各アライメントマークの座標データおよび画像データを格納する記憶部50Mとを含んで構成されている。また、記憶部50Mには、上述の搬送ロボットおよびインサーターに関し、予め所定のティーチングにより指定された軌道に沿った位置、姿勢等のデータも記憶されている。
【0037】
制御ユニット50には、さらに、データ入力部(不図示)が接続されている。データ入力部は、例えば、キーボートからなる入力部とされ、半導体装置16および板状部材14の装着指令データ、試験開始指令データ、試験終了指令データ等を含んでなる制御指令データ群を所定のタイミングで制御ユニット50に供給する。
【0038】
また、制御ユニット50には、表示部(不図示)が接続されている。表示部は、中央演算処理部からの表示信号に基づいて任意の半導体装置用ソケット2における半導体装置16および板状部材14の装着完了状態である表示、任意の半導体装置用ソケット2における半導体装置16の取り外し完了状態である表示等を行う。
【0039】
斯かる構成において、半導体装置用ソケット2に半導体装置16を装着するにあたり、制御ユニット50は、先ず、
図3(A)に示されるように、ピックアップステーションにおいて搬送ロボットが所定のホームポジションからトレー4の真上に移送されたとき、装着指令をあらわす制御指令データ群に基づいてインサーターヘッド10がトレー4における板状部材14に向けて所定位置まで下降し、その吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドが板状部材14を吸着した後、上昇すべく、制御信号CaおよびCbを形成し、それらをヘッド駆動部10Dおよび空気圧調整部12Dに供給する。その際、吸引パイプ12Bの吸着パッドは、板状部材14の孔14aに連通するように孔14aの周縁に当接される。これにより、インサーターヘッド10が、所定位置まで下降せしめられるとともに、吸引ポンプが作動し、吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドで板状部材14を保持した状態でインサーターヘッド10が、所定位置まで上昇せしめられた後、インサーターを伴う搬送ロボットがトレー6の真上の位置まで移送される。
【0040】
次に、板状部材14を保持した状態でインサーターヘッド10がトレー6内の半導体装置16に向け板状部材14が半導体装置16に重さなるように所定位置まで下降せしめられるとともに、吸引ポンプが作動し、
図3(B)に示されるように、板状部材14の孔14a、および、吸引パイプ12Bの吸着パッドを通じて半導体装置16が板状部材14に吸引保持された状態でインサーターヘッド10が上昇せしめられた後、インサーターを伴う搬送ロボットが、
図4に示されるように、ソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2の真上の位置まで移送される。なお、半導体装置16が、トレー6にデッドバグ状態で置かれている場合(電極面16Eが吸着パッドに向き合う場合)、半導体装置16が、先ず、ライブバグ状態にされてもよい。
【0041】
搬送ロボットが、移送された直後、制御ユニット50は、先ず、上述のアライメントマークの相対位置の調整を行うべく、
図2に示されるように、移動式撮像装置のハーフミラーユニット20を、インサーターヘッド10における吸着パッドに板状部材14を介して保持された半導体装置16と半導体装置用ソケット2のカバー部材34との間に移動させるべく、制御信号Ccを形成し、それを撮像装置移動機構部24に供給する。これにより、移動式撮像装置のハーフミラーユニット20が、インサーターヘッド10における吸着パッドに板状部材14を介して保持された半導体装置16と半導体装置用ソケット2のカバー部材34との間に移動せしめられる。続いて、リング照明灯20L1が点灯され、半導体装置16の電極面16Eからの反射光が、CCDカメラ22の撮像部に導かれた後、続いて、リング照明灯20L1が消灯され、リング照明灯20L2が点灯され、半導体装置用ソケット2におけるコンタクト端子群36周辺からの反射光が、CCDカメラ22の撮像部に導かれる。その後、移動式撮像装置は、インサーター内の待機位置に戻される。これにより、制御ユニット50は、撮像データIPDに基づいて所定の画像抽出および画像変換処理を行うとともに、画像変換処理により得られたデータと登録された各アライメントマークの座標データおよび画像データとの比較を行い、半導体装置16のアライメントマーク(アライメントマークの図心)の半導体装置用ソケット2におけるアライメントマーク(アライメントマークの図心)に対する相対位置を一致させるように、位置調整制御信号を形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、半導体装置16の電極面16Eにおける各電極部と半導体装置用ソケット2におけるコンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の接点部との位置合わせが完了する。
【0042】
続いて、
図4に示されるように、インサーターヘッド10が矢印Dの示す方向、即ち、半導体装置用ソケット2に向けて下降せしめられ、インサーターヘッド10を半導体装置用ソケット2のカバー部材34の上面に当接させた状態で、ラッチ機構32の押え部材32Pの当接部を半導体装置収容部30Aから離隔させ待機位置をとらせるべく、カバー部材34を、
図5(A)に示されるように、コイルスプリングの付勢力に抗して所定量、下降させ、最下端で保持すべく制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、
図5(B)に示されるように、吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドにより保持された板状部材14および半導体装置16が、図示が省略される浮動装置によりインサーターヘッド10の動作に追従し、半導体装置16の電極面16Eが、コンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の可動接点部近傍の位置で停止される。
【0043】
続いて、板状部材14および半導体装置16が、吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドにより保持され、所定位置に停止した状態で、インサーターヘッド10は、半導体装置用ソケット2のカバー部材34がソケット本体30から離隔するように、上昇せしめられる。その上昇開始直後、
図1に示されるように、カバー部材34が、コイルスプリングの弾性力により、ソケット本体30から離隔されるとき、ラッチ機構32の各押え部材32Pの当接部が、板状部材14の外周面に当接し保持位置をとる。ラッチ機構32の各押え部材32Pの当接部が保持位置をとったとき、または、その直後、制御ユニット50は、制御信号Cbの供給を停止する。なお、吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドのうち両方又はいずれかの吸着状態が、停止されてもよい。
【0044】
これにより、半導体装置16の電極面16Eの各電極部が、正規の位置に対し位置ずれなく、コンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の可動接点部に電気的に接続されることとなる。従って、半導体装置16が軽量でも着座にバウンドが無く、確実にラッチで押圧できる。半導体装置16の反りがある場合、一方のラッチが先に半導体装置16に当接しても他方の部分が跳ね上がることなく、安定してラッチで抑え込める。
【0045】
そして、
図6に示されるように、インサーターヘッド10が矢印Uの示す方向にさらに上昇せしめられた後、インサーターを伴う搬送ロボットが、上述したように、トレー4の真上の位置に戻され、順次、トレー4内における他の残りの板状部材14が吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドにより保持された後、吸引パイプ12Bの吸着パッドおよび孔14aを通じて上述のトレー6内の他の残りの半導体装置16が板状部材14に重なって吸引保持されることが繰り返されるとともに、ソケットステーションにおける他の残りの半導体装置用ソケット2についても、上述と同様な手順で半導体装置16および板状部材14の装着が、繰り返される。
【0046】
一方、半導体装置用ソケット2内に半導体装置16および板状部材14が保持された状態でバーンイン試験された後、半導体装置用ソケット2から半導体装置16および板状部材14を取り出すにあたっては、インサーターを伴う搬送ロボットが、ソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2の真上の位置まで移送された後、インサーターヘッド10が、半導体装置用ソケット2に向けて下降せしめられ、インサーターヘッド10を半導体装置用ソケット2のカバー部材34の上面に当接させた状態で、ラッチ機構32の押え部材32Pの当接部を板状部材14から離隔させ待機位置をとらせるべく、カバー部材34を、コイルスプリングの付勢力に抗して所定量、下降させ、最下端で保持すべく制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドが、図示が省略される浮動装置によって、インサーターヘッド10の動作に追従し、板状部材14に当接する。その直後、制御ユニット50は、吸着パッドが板状部材14および試験済みの半導体装置を保持すべく、制御信号Cbを形成し、それを空気圧調整部12Dに供給するとともに、インサーターヘッド10を上昇させるべく、制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、板状部材14および半導体装置16が、吸引パイプ12A〜12Cの吸着パッドにより保持され、インサーターヘッド10は、半導体装置用ソケット2のカバー部材34がソケット本体30から離隔するように、上昇せしめられる。従って、半導体装置用ソケット2からの試験済みの半導体装置および板状部材14の取り出しが、完了する。その後、吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドにより保持された板状部材14は、搬送ロボットにより、上述のトレー4に戻され、再利用される。試験済みの半導体装置は、搬送ロボットにより、トレー6に戻される。
【0047】
なお、上述の例においては、ピックアップステーションに、板状部材14を保管するトレー4が設けられているが、斯かる例に限られることなく、例えば、トレー4を設けることなく、板状部材14が、予め、ソケットステーションにおいて半導体装置用ソケット2におけるソケット本体30の半導体装置収容部30A内に配置されるものであってもよい。このような場合、以下のような順序(1)〜(3)で行われ、板状部材14および半導体装置16がソケット本体30の半導体装置収容部30Aに着脱可能とされる。
(1)インサーターが半導体装置用ソケット2の真上に移動した後、インサーターヘッド10がカバー部材34を押し下げた後。インサーターの吸引パイプ12Aおよび12Cの吸着パッドにより、板状部材14が吸引保持された状態で、(2)インサーターヘッド10の上昇とともにカバー部材34がコイルスプリングの弾性力により上昇され、板状部材14を吸着保持した状態でインサーターヘッド10および搬送ロボットが、ピックアップステーションにおけるトレー6に移動し、板状部材14を介して吸引パイプ12Bの吸着パッドで半導体装置16を保持した状態でソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2の真上に移動し、上述した一連の板状部材14および半導体装置16の装着動作を行い、(3)バーンイン試験終了後、上述したように、ソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2から試験済みの半導体装置および板状部材14が取り出され、試験済みの半導体装置が、トレー6に戻され、板状部材14は、半導体装置用ソケット2内に戻される。
【0048】
上述の例のように、板状部材14を用いることにより、以下のような効果がある。
1)デバイス上面の傷(ラッチによる擦り傷など)を防止できる。デバイスの破損、反りを防止できるとともに、反りを生じているデバイスを矯正することもできる。
2)板状部材の厚みを調整し、デバイス厚みの変更に対応できる。板状部材をスティフナーとして強度を持たせることにより、デバイスの破損を防止できる。
3)デバイスの変形を防止できる。
4)板状部材を透明性のある材料で作ることにより、デバイスのマーク、名称などを確認できる。材料の透明性がなくとも、デバイスのマーク、名称などを確認するために穴が開いていても良い。
5)板状部材が、熱伝導性を有することにより、ヒートシンクとして使用できる。
6)板状部材が、電気伝導性を有する材料で作られることにより、ラッチやカバーが電気導電性を有する場合、静電気対策となる。
【0049】
図7および
図8(A)および(B)は、本発明に係る半導体装置の着脱方法の一例が適用される半導体装置の着脱装置の第2実施例の構成を概略的に示す。なお、
図7および
図8(A)および(B)において、
図2に示される例における同一の構成要素について同一の符合を付して示し、その重複説明を省略する。
【0050】
図2に示される例においては、半導体装置16は、板状部材14を介して吸引パイプ12Bの吸着パッドの吸引力で保持されているが、その代わりに、
図7および
図8(A)および(B)に示される例においては、半導体装置16´が、吸引パイプ12Bの吸着パッドで直接的に保持されるように構成される。また、
図7および
図8(A)および(B)に示される例においても、上述のヘッド駆動部10D、ハーフミラーユニット20、および、CCDカメラ22からなる移動式撮像装置、撮像装置移動機構部24、および、制御ユニット50等を備えるものとされる。
【0051】
斯かる構成において、半導体装置用ソケット2に半導体装置16´を装着するにあたり、制御ユニット50は、先ず、ピックアップステーションにおいて搬送ロボットが所定のホームポジションからトレー6の真上の位置まで移送される。次に、インサーターヘッド10がトレー6内の半導体装置16に向け所定位置まで下降せしめられるとともに、吸引ポンプが作動し、吸引パイプ12Bの吸着パッドで半導体装置16´が吸引保持された状態でインサーターヘッド10が上昇せしめられた後、インサーターを伴う搬送ロボットが、
図7に示されるように、ソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2の真上の位置まで移送される。
【0052】
搬送ロボットが、移送された直後、制御ユニット50は、上述の例と同様に、アライメントマークの相対位置の調整を行う。これにより、半導体装置16´の電極面16´Eにおける各電極部と半導体装置用ソケット2におけるコンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の接点部との位置合わせが完了する。
【0053】
続いて、インサーターヘッド10が半導体装置用ソケット2に向けて下降せしめられ、インサーターヘッド10を半導体装置用ソケット2のカバー部材34の上面に当接させた状態で、ラッチ機構32の押え部材32Pの当接部を半導体装置収容部30Aから離隔させ待機位置をとらせるべく、カバー部材34を、
図8(A)に示されるように、コイルスプリングの付勢力に抗して所定量、下降させ、最下端で保持すべく制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、
図8(B)に示されるように、吸引パイプ12Bの吸着パッドにより保持された半導体装置16´が、図示が省略される浮動装置によりインサーターヘッド10の動作に追従し、半導体装置16´の電極面16´Eが、コンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の可動接点部近傍の位置で停止される。
【0054】
続いて、半導体装置16´が、吸引パイプ12Bの吸着パッドにより保持され、所定位置に停止した状態で、インサーターヘッド10は、半導体装置用ソケット2のカバー部材34がソケット本体30から離隔するように、上昇せしめられる。その上昇開始直後、カバー部材34が、コイルスプリングの弾性力により、ソケット本体30から離隔されるとき、ラッチ機構32の各押え部材32Pの当接部が、半導体装置16´の外周面に当接し保持位置をとる。ラッチ機構32の各押え部材32Pの当接部が保持位置をとったとき、または、その直後、制御ユニット50は、制御信号Cbの供給を停止する。これにより、半導体装置16´の電極面16´Eの各電極部が、正規の位置に対し位置ずれなく、コンタクト端子群36を構成するコンタクト端子の可動接点部に電気的に接続されることとなる。
【0055】
そして、インサーターヘッド10がさらに上昇せしめられた後、インサーターを伴う搬送ロボットが、上述したように、トレー6の真上の位置に戻され、順次、吸引パイプ12Bの吸着パッドによりトレー6内の他の残りの半導体装置16´が吸引保持されることが繰り返されるとともに、ソケットステーションにおける他の残りの半導体装置用ソケット2についても、上述と同様な手順で半導体装置16´の装着が、繰り返される。
【0056】
一方、半導体装置用ソケット2内に半導体装置16´が保持された状態でバーンイン試験された後、半導体装置用ソケット2から試験済みの半導体装置を取り出すにあたっては、インサーターを伴う搬送ロボットが、ソケットステーションにおける半導体装置用ソケット2の真上の位置まで移送された後、インサーターヘッド10が、半導体装置用ソケット2に向けて下降せしめられ、インサーターヘッド10を半導体装置用ソケット2のカバー部材34の上面に当接させた状態で、ラッチ機構32の押え部材32Pの当接部を半導体装置から離隔させ待機位置をとらせるべく、カバー部材34を、コイルスプリングの付勢力に抗して所定量、下降させ、最下端で保持すべく制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、吸引パイプ12Bの吸着パッドが、図示が省略される浮動装置によって、インサーターヘッド10の動作に追従し、試験済みの半導体装置の外周部に当接する。その直後、制御ユニット50は、吸着パッドが試験済みの半導体装置を保持すべく、制御信号Cbを形成し、それを空気圧調整部12Dに供給するとともに、インサーターヘッド10を上昇させるべく、制御信号Caを形成し、それをヘッド駆動部10Dに供給する。これにより、試験済みの半導体装置が、吸引パイプ12Bの吸着パッドにより保持され、インサーターヘッド10は、半導体装置用ソケット2のカバー部材34がソケット本体30から離隔するように、上昇せしめられる。従って、半導体装置用ソケット2からの試験済みの半導体装置の取り出しが、完了する。その後、吸引パイプ12Bの吸着パッドにより保持された半導体装置は、搬送ロボットにより、上述のトレー6に戻される。
【0057】
従って、一連の装着工程において、デバイスの吸着が、上側から1回だけなので、デバイスの位置の維持を行いやすい。また、着脱装置および操作工程が単純になる。半導体装置用ソケットに吸着用の穴が不要なので半導体装置用ソケットの設計自由度が増える。半導体装置用ソケットをプリント基板などに搭載した状態でも使用しやすい。
【0058】
なお、上述の例においては、本発明に係る半導体装置の着脱方法の一例が適用された半導体装置用ソケットが、オープントップタイプとされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、クラムシェルタイプの半導体装置用ソケットに適用されてもよい。インサーターは、全自動なものだけではなく、半自動、手動のものでもよい。