(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-151029(P2017-151029A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】孔の計測システム及び計測方法
(51)【国際特許分類】
G01C 7/06 20060101AFI20170804BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
G01C7/06
G01C15/00 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-35764(P2016-35764)
(22)【出願日】2016年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 淳
(57)【要約】
【課題】計測精度に優れる孔の計測システム・方法とする。
【解決手段】孔10の計測システムを、ウィンチ装置30と、移動制御装置40と、計測器1の軌道算出手段とを有するものとする。移動制御装置40は、ホース材2を挟み込む一対の回転体41を有するものとし、回転体41の回転に応じてホース材2の送出し及び引抜きが行われる構成とする。また、このシステムを使用して、ウィンチ装置40からホース材2を操り出し、更に移動制御装置40によって送り出し、他方、移動制御装置40によってホース材2を引き抜き、ウィンチ装置30で巻き取る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器に繋がるホース材を孔内に送り出す手段と、前記ホース材を前記孔内から引き抜く手段と、前記計測器の軌道を算出する手段と、を有する孔の計測システムであって、
前記ホース材の巻取り及び操出しを行うウィンチ装置と、
このウィンチ装置から繰り出されたホース材を、前記孔内に送り出し、かつ前記孔内から引き抜く移動制御装置と、を有し、
前記移動制御装置は、前記ホース材を挟み込む少なくとも一対の回転体を有し、この回転体の回転に応じて、前記ホース材の送出し及び引抜きが行われる構成とされた、
ことを特徴とする孔の計測システム。
【請求項2】
前記ホース材に、当該ホース材の延在方向に所定の間隔をおいて基準材が複数備わり、
前記移動制御手段に、
前記ホース材の表面に当接し、当該ホース材の移動に応じて回転し、この回転を基礎として前記ホース材の移動距離を計測する距離計測器と、
前記基準材の通過を検知する検知手段と、が備わり、
当該検知手段による検知によって前記距離計測器が計測した計測値を補正する構成とされている、
請求項1に記載の孔の計測システム。
【請求項3】
前記ホース材の直径が15mm〜70mmである、
請求項1又は請求項2に記載の孔の計測システム。
【請求項4】
前記一対の回転体が、前記ホース材の延在方向に所定の間隔をおいて複数備わる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【請求項5】
地中に建て込む管体と、この管体を回転及び推進する管体支持装置と、が備わる削孔装置を有し、
前記管体支持装置は、ベースマシンに傾動自在に支持されたリーダと、このリーダに長手方向に昇降自在に搭載された回転駆動源とを有し、
前記移動制御装置は、前記リーダに搭載可能とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【請求項6】
前記ホース材の径方向への移動を拘束するガイド体を有し、
このガイド体が前記移動制御装置の上流において前記リーダに搭載可能とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【請求項7】
計測器に繋がるホース材を孔内に送り出し、前記ホース材を前記孔内から引き抜き、前記計測器の軌道を算出する、孔の計測方法であって、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の孔の計測システムを用意し、
前記ホース材を前記孔内に送り出すにあたっては、前記ウィンチ装置から前記ホース材を操り出し、更に前記移動制御装置によって前記ホース材を送り出し、
他方、前記ホース材を前記孔内から引き抜くにあたっては、前記移動制御装置によって前記ホース材を引き抜いたうえで、前記ホース材を前記ウィンチ装置で巻き取る、
ことを特徴とする孔の計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤削孔等によって形成された孔の軌道を計測するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤削孔においては、削孔が計画通り行われている必要があり、計画通りであるか否かを把握する前提として、削孔の軌道を計測する。
【0003】
この削孔の軌道を計測する方法としては、削孔管の先端部に計測器を固定し、リアルタイムに計測するいわゆる「固定式の計測方法」と、削孔、あるいは削孔管内において計測器を移動し、この計測器の移動軌跡を計測するいわゆる「挿入式の計測方法」と、が存在する(例えば、特許文献1等参照。)。
【0004】
そして、この挿入式の計測方法としては、計測器としてジャイロスコープ(ジャイロセンサー)を使用する方法が存在する(例えば、特許文献2等参照。)。
【0005】
また、この計測方法のように、単に削孔管内において移動するジャイロスコープの移動軌跡を計測するのみでは計測精度が不十分であるとして、特許文献3の計測方法も提案されている。この計測方法は、地盤上(地上)において削孔管に延長管を連結し、この延長管において基準位置座標を計測し、この基準位置座標を利用して計測データを補正することで、計測精度を向上するとするものである。
【0006】
しかしながら、この特許文献3の計測方法も、計測精度の点では、更なる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−97429号公報
【特許文献2】特開平7−280567号公報
【特許文献3】特開2011−7502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする主たる課題は、計測精度に優れる孔の計測システム及び計測方法を提供することにある。好ましくは、迅速に、かつ容易に孔の軌道を計測することができる孔の計測システム及び計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
挿入式の計測方法は、孔内において計測器を移動し、計測器の移動軌跡を計測する方法であり、計測器の移動が重要な役割を果たす。しかるに、従来、挿入式の計測方法においては、計測器の移動という点に関して、詳細な検討がなされていなかった。このことに気付き、上記課題を解決する発明として想到するに至ったのが本発明である。
【0010】
(請求項1に係る発明)
計測器に繋がるホース材を孔内に送り出す手段と、前記ホース材を前記孔内から引き抜く手段と、前記計測器の軌道を算出する手段と、を有する孔の計測システムであって、
前記ホース材の巻取り及び操出しを行うウィンチ装置と、
このウィンチ装置から繰り出されたホース材を、前記孔内に送り出し、かつ前記孔内から引き抜く移動制御装置と、を有し、
前記移動制御装置は、前記ホース材を挟み込む少なくとも一対の回転体を有し、この回転体の回転に応じて、前記ホース材の送出し及び引抜きが行われる構成とされた、
ことを特徴とする孔の計測システム。
【0011】
(請求項2に係る発明)
前記ホース材に、当該ホース材の延在方向に所定の間隔をおいて基準材が複数備わり、
前記移動制御手段に、
前記ホース材の表面に当接し、当該ホース材の移動に応じて回転し、この回転を基礎として前記ホース材の移動距離を計測する距離計測器と、
前記基準材の通過を検知する検知手段と、が備わり、
当該検知手段による検知によって前記距離計測器が計測した計測値を補正する構成とされている、
請求項1に記載の孔の計測システム。
【0012】
(請求項3に係る発明)
前記ホース材の直径が15mm〜70mmである、
請求項1又は請求項2に記載の孔の計測システム。
【0013】
(請求項4に係る発明)
前記一対の回転体が、前記ホース材の延在方向に所定の間隔をおいて複数備わる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【0014】
(請求項5に係る発明)
地中に建て込む管体と、この管体を回転及び推進する管体支持装置と、が備わる削孔装置を有し、
前記管体支持装置は、ベースマシンに傾動自在に支持されたリーダと、このリーダに長手方向に昇降自在に搭載された回転駆動源とを有し、
前記移動制御装置は、前記リーダに搭載可能とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【0015】
(請求項6に係る発明)
前記ホース材の径方向への移動を拘束するガイド体を有し、
このガイド体が前記移動制御装置の上流において前記リーダに搭載可能とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の孔の計測システム。
【0016】
(請求項7に係る発明)
計測器に繋がるホース材を孔内に送り出し、前記ホース材を前記孔内から引き抜き、前記計測器の軌道を算出する、孔の計測方法であって、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の孔の計測システムを用意し、
前記ホース材を前記孔内に送り出すにあたっては、前記ウィンチ装置から前記ホース材を操り出し、更に前記移動制御装置によって前記ホース材を送り出し、
他方、前記ホース材を前記孔内から引き抜くにあたっては、前記移動制御装置によって前記ホース材を引き抜いたうえで、前記ホース材を前記ウィンチ装置で巻き取る、
ことを特徴とする孔の計測方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、計測精度に優れる孔の計測システム及び計測方法となる。好ましくは、迅速に、かつ容易に孔の軌道を計測することができる孔の計測システム及び計測方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本形態の孔の計測システムを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
なお、以下では、計測の対象となる孔が、削孔装置を使用して地盤Gに形成された削孔10である場合を例に説明する。ただし、本発明においては、計測の対象となる孔が削孔10に限定されるものではなく、孔がどのようにして形成されたかが特に限定されるものではない。
【0020】
本形態の削孔装置は、例えば、曲がり削孔機等と言われる装置である。この削孔装置には、例えば、地盤Gに建て込む曲がり可能な外管及び内管と、外管及び内管を支持し、かつ回転及び推進する管体支持装置6とが備わる。
【0021】
管体支持装置6は、
図1に示すように、ベースマシン7によって傾動自在に支持されたリーダ8と、このリーダ8に長手方向に昇降自在に搭載された管体を回転及び推進するモーター等の駆動源とで、主に構成される。そして、本形態の計測システム・方法においては、後述するように、管体支持装置6を構成するリーダ8が有効利用されている。
【0022】
本形態の計測システムは、ホース材2の巻取り及び操出しを行うウィンチ装置30と、このウィンチ装置30から繰り出されたホース材2を、削孔10内に送り出し、また、削孔10内から引き抜く移動制御装置40と、を主に有する。
【0023】
ホース材2の先端部には、計測器たるジャイロセンサー1が繋がる。
【0024】
ウィンチ装置30及び移動制御装置40は、ホース材2を削孔10内に送り出す手段、及びホース材2を削孔10内から引き抜く手段を構成する。
【0025】
本形態の計測システムによると、ジャイロセンサー1の移動が、単にウィンチ装置30によって制御されるのではなく、ウィンチ装置30及び移動制御装置40の両者によって制御される。したがって、削孔10の計測精度に優れる。
【0026】
この点をより詳細に説明すると、ウィンチ装置30は、通常、ホース材2を巻き取る円筒状の巻き胴を有しており、この巻き胴を回転することでホース材2の巻き取りや繰り出しを行うように構成されている。しかるに、ホース材2は、巻き胴周りにおいて撓んだり、弛んだり、捻じれたりする。したがって、ホース材2の削孔10内への送り出しや、削孔10内からの引き抜きを、ウィンチ装置30の巻取りや操出しに依存させると、ジャイロセンサー1の移動速度が一定でなくなり、計測誤差の原因となる。そこで、ウィンチ装置30とともに、移動制御装置40を有するものとしたのが、本形態の計測システムである。
【0027】
移動制御装置40は、ホース材2を挟み込む少なくとも一対の回転体41を有する。この回転体41の軸心回りの回転に応じて、ホース材2の送出し及び引抜きが行われる。
【0028】
ホース材2は、削孔10の形状に沿って撓む性質を有するが、好ましくは、中空状であって、かつ弾力性を有している。ホース材2が中空状であって、かつ弾性力を有していると、当該ホース材2は一対の回転体41に挟み込まれることで若干凹むことになる。したがって、摩擦抵抗(摩擦力)のみではなく、当該凹みによっても回転体41に対するホース材2のスリップが防止され、ホース材2の送出し及び引抜きが安定的なものとなる。
【0029】
このような観点から、ホース材2としては、例えば、塩ビ管、ポリパイプ等の可撓性を有し、中空状であり、かつ弾性力を有しているものを使用すると好適である。
【0030】
また、ホース材2の直径(外径)は、例えば15mm〜70mm、好ましくは20mm〜60mm、より好ましくは25mm〜50mmである。ホース材2の直径を以上の範囲とすることで、ホース材2に対して、上記摩擦力によるグリップ力のほか、上記凹みによるグリップ力を確実に与えることができる。
【0031】
本発明者らが試験したところによると、直径60mmの塩ビ管に繋がるジャイロセンサー(長さ900mm、直径50mm)を、削孔内に210m挿入することができた。
【0032】
一方、回転体41としては、少なくともホース材2に接する周面が、例えば、合成ゴム製、天然ゴム製、シリコンゴム製のものを使用することができる。また、この回転体41としては、例えば、自動車等の古タイヤを使用すると好適である。自動車等の古タイヤは、摩擦力に優れ、更に周面に溝が形成されているため、この溝の存在によってホース材2のスリップがより確実に防止される。
【0033】
回転体41の直径は、例えば100mm〜200mm、好ましくは120mm〜180mm、より好ましくは130mm〜160mmである。回転体41の直径が小さ過ぎると、当該回転体41の回転が速くなり過ぎ、ホース材41がスリップする原因となる。他方、回転体41の直径が大き過ぎると、移動制御装置40が大型化し、例えば、後述するようにリーダ8に搭載するのが困難になる。
【0034】
一対の回転体41は、ホース材2の延在方向に所定の間隔(軸間距離)をおいて、例えば300mm〜400mmの間隔をおいて、好ましくは350mm〜370mmの間隔をおいて、より好ましくは330mm〜350mmの間隔をおいて、複数備わるのが好ましい。図示例では、一対の回転体41が2つ(二対)備わる。このように一対の回転体41がホース材2の延在方向に所定の間隔をおいて複数備わることで、回転体41に対するホース材2のスリップがより確実に防止される。
【0035】
本形態において、移動制御装置40は、管体支持装置6を構成するリーダ8に搭載されている(取り付けられている)。リーダ8の延在方向は、地盤Gの表面近傍における削孔10の軌道方向(延在方向)と一致している。したがって、移動制御装置40をリーダ8に搭載することで、ホース材2の送出し及び引抜きをより円滑化することができる。この点、ホース材2の送出しや引抜き等を手動で行うと迅速性に欠けることになる。他方、機械化すると、通常、ホース材2を削孔10内に円滑に送り出すことができなくなる。しかるに、本形態のシステムや方法によると、ホース材2を迅速に、かつ円滑に削孔10内に送り出すことができ、結果、迅速、かつ容易に孔の軌道を計測することができるようになる。
【0036】
さらに、本形態においては、リーダ8にガイド体たるガイドローラ5が搭載されている(取り付けられている)。このガイドローラ5は、ホース材2の径方向への移動を拘束するものである。また、ガイドローラ5は、移動制御装置40の上流においてリーダ8に搭載されている。ホース材2が移動制御装置40の上流においてガイドローラ5によって径方向への移動を拘束されていると、移動制御装置40におけるホース材2の送出し及び引抜きが円滑化する。特に、例えば、ホース材2を送り出す際に、ホース材2が削孔10の入口付近で引っかかってしまうといったことが起きなくなり、ホース材2の送出しが円滑化する。
【0037】
次に、以上の計測システムを使用した孔の計測方法について説明する。
削孔10の軌道を計測するにあたっては、まず、ジャイロセンサー1が削孔10の先端部に到達するまでホース材2を削孔10内に送り出す。この送出しは、ウィンチ装置30からホース材2を操り出し、更に移動制御装置40によってホース材2を送り出すことで行う。
【0038】
次に、ジャイロセンサー1を地盤G上(地上)に向けて一定の速度で移動させる。この移動は、ホース材2を削孔10から引き抜くことで行う。このホース材2の引抜きは、移動制御装置40によってホース材2を引き抜いたうえで、当該ホース材2をウィンチ装置30で巻き取ることで行う。
【0039】
以上のようにして行うジャイロセンサー1の移動に際しては、図示しない算出手段によって、ジャイロセンサー1の移動軌跡を算出する。この算出によって、削孔10の軌道を把握することができる。移動軌跡の算出値は、必要により、モニター等の表示装置で、現場において確認することができる。
【0040】
ジャイロセンサー1の移動は、一定の速度であるのが好ましく、例えば1m/秒以下の所定の速度で行うことができる。
【0041】
(その他)
移動制御手段40には、エンコーダ等の距離計測器を備え、ジャイロセンサー1の挿入距離を把握できるようにしておくと好適である。この距離計測器は、ウィンチ装置30にも備えることができる。ウィンチ装置30に備わる距離計測器からは、ジャイロセンサー1の挿入距離を参考値として把握することができる。
【0042】
ただし、このジャイロセンサー1(ホース材2)の挿入距離を計測する点に関しては、以下の形態を推奨する。
すなわち、
図2に示すように、まず、ホース材2に、複数の基準材2Aを備え付ける。この基準材2Aは、ホース材2の延在方向に所定の間隔毎に備わる。この所定の間隔は、例えば、1〜20m、好ましくは3〜15m、より好ましくは5〜10mである。
【0043】
また、基準材2Aとしては、後述する検知手段43によって検知することができる部材、例えば、ホース材2の外周回りに取り付けられた環状の部材等を例示することができる。
【0044】
一方、移動制御手段40には、ホース材2の表面に当接し、当該ホース材2の送り出しや引き抜きによる移動に応じて回転し、この回転を基礎としてホース材2の移動距離を計測する距離計測器42と、基準材2Aの通過を検知する検知手段43と、を備え付ける。
【0045】
検知手段43は、例えば、赤外線等の光波をホース材2に向けて発し、基準材2Aの通過を検知する装置を使用することができる。
【0046】
以上を前提に、検知手段43による基準材2Aの検知を基準にして距離計測器42が計測した計測値を補正するように構成する。この点、距離計測器42は、ホース材2の表面に当接し、回転することによってホース材2の移動距離を計測する装置である。したがって、極めてシンプルではあるが、ホース材2が滑ること等を原因として測定誤差が生じる可能性がある。しかるに、この測定誤差を検知手段43による基準材2Aの検知によって補正する本形態においては、測定誤差が解消され、距離計測精度が著しく向上する。
【0047】
以上のほか、移動制御手段40には、好ましくは移動制御手段40及びウィンチ装置30には、ジャイロセンサー1の移動を停止するストップ機構を備えると好適である。ストップ機構を備えることで、ジャイロセンサー1のいわゆる「しゃくり動作」が可能となり、ジャイロセンサー1が削孔10の内壁等に引っ掛かった際の対処が可能となる。
【0048】
本形態の計測システムには、ホース材2のテンションを計測するテンション計測器を備えると好適である。テンション計測器の計測値が所定値を超えた場合は、移動制御手段40やウィンチ装置30の駆動が自動的に停止するように構成しておけば、ホース材2の断裂を防止することができる。
【0049】
ホース材2内には、ジャイロセンサー1からの計測データを伝送する伝送線を通すことができる。この伝送線からの計測データは、ウィンチ装置30に備わる図示しないスリップリングを通して、ジャイロセンサー1の移動軌跡を算出する移動軌跡算出手段に伝送することができる。
【0050】
本形態では、ジャイロセンサー1を引き抜く際に当該ジャイロセンサー1の移動軌跡を計測するものとした。しかしながら、本発明は、ジャイロセンサー1を送り出すに当該ジャイロセンサー1の移動軌跡を計測することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、地盤削孔等により形成された孔の軌道を計測するシステム及び方法として適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ジャイロセンサー
2 ホース材
2A 基準材
5 ガイドローラ
6 管体支持装置
7 ベースマシン
8 リーダ
10 削孔
30 ウィンチ装置
40 移動制御手段
41 回転体
42 距離計測器
43 検知手段
G 地盤