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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-151099(P2017-151099A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】単純化されたモーターモジュール
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/14 20060101AFI20170804BHJP
【FI】
   G04C3/14 K
   G04C3/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-24659(P2017-24659)
(22)【出願日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】16156912.4
(32)【優先日】2016年2月23日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】マルタン・ジュフェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ラヴニュー
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト・ベンヤミン・ケーヘンビュール
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101BA02
2F101BG01
2F101BG04
2F101BG08
2F101BG12
2F101BG13
2F101BG14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純でありかさばりが減少したモーターモジュールを提供する。
【解決手段】ローターがマウントされた第1の厚みを有するメインプレートによって形成されたステーター111を有するモーターモジュール100に関する。ステーター111は、各端において、第1の厚みよりも小さい厚みを有する受容ゾーンを有するように構成しており、第2の厚みを有する棒で形成されたコイル芯121にモーターのコイルを形成しているコイルワイヤ123が巻かれており、このコイル芯121が、受容ゾーンに固定され、モーターは、さらに、第3の厚みを有しステーター111に固定されているプリント回路131を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の厚み(E1)を有しローターがマウントされているメインプレートによって形成されたステーターを有するモーターモジュール(100)であって、
前記ステーター(111)は、各端において受容ゾーン(113)を有するように構成しており、
この受容ゾーン(113)の厚み(E’1)は、第1の厚み(E1)よりも小さく、
第2の厚み(E2)を有する棒によって形成されたコイル芯(121)は、これらの受容ゾーンへ固定されており、
この棒には、前記モーターモジュールのコイルを形成しているコイルワイヤ(123)が巻かれており、
前記モーターモジュールは、さらに、第3の厚み(E3)を有しステーターに固定されているプリント回路(131)を有する
ことを特徴とするモーターモジュール。
【請求項2】
当該モーターモジュール(100)が組み立てられているときの厚み(E5)が、前記ステーター(111)、前記コイル芯(121)及び前記プリント回路(131)の厚み(E1、E2、E3)の合計よりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載のモーターモジュール。
【請求項3】
当該モーターモジュール(100)が組み立てられているときの厚み(E5)が、前記ステーター(111)の厚み(E1)と、前記プリント回路(131)の厚み(E3)又は前記受容ゾーン(113)の厚み(E’1)と、前記コイル芯(121)の厚み(E2)と巻かれた前記コイルワイヤ(123)の厚み(E4)との和と等しい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモーターモジュール。
【請求項4】
前記ステーター(111)の厚み(E1)と前記プリント回路(131)の厚み(E3)との和は、前記受容ゾーン(113、114)の厚み(E’1)と、前記コイル芯(121)の厚み(E2)と巻かれた前記コイルワイヤ(123)の厚み(E4)との和と等しい
ことを特徴とする請求項3に記載のモーターモジュール。
【請求項5】
前記ステーター(111)の前記メインプレートは、前記メインプレートの中央部分(112)において狭くなっており、これによって、各端において、受容ゾーン(113)を形成している
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のモーターモジュール。
【請求項6】
前記ステーターの前記メインプレートは、中央部分(112)を有し各端において受容ゾーン(113)があるように構成しており、
これらの受容ゾーン(113)は、前記メインプレートの長手軸に対して実質的に垂直に延在しており、これによって、前記コイル芯(121)が収容される受容体を形成している
ことを特徴とする請求項5に記載のモーターモジュール。
【請求項7】
前記プリント回路(131)は、前記モーターモジュールの前記コイルワイヤ(123)が接続される接続領域(133)どうしを接続している導電性トラック(132)を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のモーターモジュール。
【請求項8】
前記プリント回路(131)は、前記モーターモジュールの制御ユニットを支えている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のモーターモジュール。
【請求項9】
タイムベースと制御ユニットにパワー供給するための電池を支える基礎プレートを有する腕時計用ムーブメントであって、
前記制御ユニットが、ディスプレー手段を駆動する歯車列と連係するモーターモジュールを制御する電子モジュールにマウントされており、
前記モーターモジュールは、請求項1〜8のいずれかに記載のモーターモジュールである
ことを特徴とする腕時計用ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローターがマウントされたステーターと、コイルと、及び電子モジュールとを有するモーターモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
時刻を示す針を備える電子腕時計が現在知られている。このような腕時計は、時間基準として用いられる信号を提供するために、石英で作られたタイムベースを有する。この信号は、マイクロコントローラを備える制御ユニットに送信される。このマイクロコントローラ自体が針を動かすためのステッパータイプの電気モーターを制御する。
【0003】
図1に、伝統的に用いられているモーターモジュール1を示しており、これは、伝統的に、以下の3つの要素を有する。すなわち、ステーター2と、コイルワイヤ4に周囲を巻かれているコイル芯3によって構成しているコイルと、及び石英やマイクロコントローラが上に組み立てられるプリント回路を有する電子モジュールである第3の要素5とである。
【0004】
図1に示す実施形態において、ステーター2は、その中央部分において狭くなっており、これによって、各端において受容ゾーンを形成している。このような受容ゾーンによって、コイル芯3にステーター2を固定することができ、コイル芯3のまわりにおいてコイルワイヤ4が巻かれる。このときに、コイル芯3は、芯に巻かれたコイルワイヤ4がステーター2の狭くなったゾーンに収容されるように構成している。
【0005】
次に、第3の要素である電子モジュール5が、コイル芯3に固定される。
【0006】
この構成の課題は、モーターモジュールがかさばるということである。これは、この構成が積み重なった3つの要素を有し、これらの厚みが加算されるためである。
【0007】
結果的に、この厚みを許容するほどに、腕時計のケースの寸法が大きくなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、単純でありかさばりが減少したモーターモジュールを提案することによって、従来技術の課題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、ローターがマウントされた第1の厚みを有するメインプレートによって形成されたステーターを有するモーターモジュールに関する。前記ステーターは、各端において、第1の厚みよりも小さい厚みを有する受容ゾーンを有するように構成しており、第2の厚みを有する棒で形成されたコイル芯にモーターのコイルを形成しているコイルワイヤが巻かれており、このコイル芯が、前記受容ゾーンに固定され、モーターは、さらに、第3の厚みを有しステーターに固定されているプリント回路を有する。
【0010】
第1の好ましい実施形態において、モーターモジュールは、組み立てられたモーターモジュールの厚みが、ステーター、コイル芯及びプリント回路の厚みの合計よりも小さいように構成している。
【0011】
第2の好ましい実施形態において、モーターモジュールは、組み立てられたモーターモジュールの厚みが、ステーターの厚みと、プリント回路の厚み又は受容ゾーンの厚みと、コイル芯の厚みと巻かれたコイルワイヤの厚みとの和に等しいように構成している。
【0012】
第3の好ましい実施形態において、モーターモジュールは、ステーターの厚みとプリント回路の厚みとの和が、受容ゾーンの厚みと、コイル芯の厚みと巻かれたコイルワイヤの厚みとの和に等しいように構成している。
【0013】
第4の好ましい実施形態において、ステーターのメインプレートは、その中央部分において狭くなっている。これによって、各端において受容ゾーンを形成する。
【0014】
第5の好ましい実施形態において、ステーターのメインプレートは、中央部分があり、各端において受容ゾーンを有するように構成しており、これらの受容ゾーンは、メインプレートの長手軸に対して実質的に垂直に延在しており、これによって、コイル芯が収容される受容体を形成している。
【0015】
別の好ましい実施形態において、プリント回路は、モーターモジュールのコイルワイヤが接続されている接続領域どうしを接続する導電性トラックを有する。
【0016】
別の好ましい実施形態において、プリント回路は、モーターの制御ユニットを支えている。
【0017】
本発明は、さらに、タイムベースと制御ユニットにパワー供給する電池を支えている基礎プレートを有する腕時計用ムーブメントに関する。この制御ユニットは、ディスプレー手段を駆動する歯車列と連係しているモーターモジュールを制御する電子モジュールにマウントされており、このモーターモジュールは、前記モーターモジュールのいずれかである。
【0018】
添付図面に示されている本発明の少なくとも1つの実施形態についての専ら例(これに限定されない)としてのみ示されている下記の詳細な説明を読むことで、本発明の目的、利点及び特徴が明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来技術のモーターモジュールを示している概略斜視図である。
図2】本発明に係るモーターモジュールを示している概略斜視図である。
図3】本発明に係るモーターモジュールを示している概略斜視図である。
図4】本発明に係るモーターモジュールを示している概略斜視図である。
図5】本発明に係るモーターモジュールを示している概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2に、本発明に係るモーターモジュールを示している。このモーターモジュールは、電子腕時計のムーブメント(図示せず)内に搭載することができるモジュールである。このような電子腕時計のムーブメントは、様々な要素が配置されている基礎プレートを有する。この基礎プレートは、前記腕時計用ムーブメントにパワー供給する電池を支えるために用いられるが、タイムベースと制御ユニットが配置されているプリント回路を支えるためにも用いられる。また、この基礎プレートは、針又はディスクのようなディスプレー手段を駆動する歯車列を支えるようにはたらく。
【0021】
このように、モーターモジュールは、歯車列を駆動するモーターを支え制御ユニットによって制御されるモジュールである。したがって、このモーターモジュールは、電気信号を受け、それらを機械的運動、すなわち、歯車列につながれたモーターの回転、に変換することができるように構成している。
【0022】
図2によると、モーターモジュール100は、以下の3つの要素によって形成されている。第1の要素110は、ステーター/ローター要素である。すなわち、モーターのステーターとローターである。第2の要素120は、芯要素である。すなわち、まわりにコイルワイヤが巻かれる軟鉄製のプレートである。このコイルは、ローター/ステーターアセンブリー110と連係して機能する。電気的パルスがコイルを通り抜けるとき、芯からステーターの中へと磁場が伝搬する。この磁場の影響の下で、ローターが動き、その磁性の影響の下で自身の位置を変えるように、半回転回転する。パルスの極性は、磁場がステーターを通り抜ける方向を決める。ローターが、半回転した後に、最初のステップとは反対の磁気的状態を作るように自身を配置する際に、前のパルスとはパルスの符号が異なることが、(依然として同じ回転方向にて)再び半回転して戻ることを可能にするために必要である。このサイクルは、モーターを回すために絶え間なく繰り返される。
【0023】
第3の要素130は、プリント回路131である。このプリント回路は、モーターと制御ユニットの間のインタフェースを形成する部品である。実際に、制御ユニットは、モーターにパルスを送るメンバーである。したがって、これらの制御ユニットとモーターの間の電気接触を可能にする手段を有することが必要である。本例においては、プリント回路を用いる。このプリント回路は、制御ユニットをコイルに接続するために接続領域又はコネクターと連係している少なくとも2つの導電性トラックを支えるように用いられる。
【0024】
図2及び3に示す第1の要素110は、第1の厚みE1を有するステーター111を有する。このステーター111は、中央部分112を有するメインプレートの形態であり、各端において受容ゾーン113を形成するように構成している。これらの受容ゾーン113は、ステーターを形成しているメインプレートの長手軸に対して実質的に垂直に延在しており、第1の要素110を第2の要素120と組み立てるために用いられる。実際に、第2の要素120は、第2の厚みE2を有するコイル芯121によって形成されている。このコイル芯121は、棒の形態であり、この棒のまわりにコイルワイヤ123が巻かれる。これによって、付加的な厚みE4が加わる。さらに、この棒の各端において、固定ゾーン124がある。これらの固定ゾーン124は、好ましいことに、第1の要素110の受容ゾーン113と完全に連係するように構成している。また、これらの受容ゾーン113は、棒よりも小さい厚みを有する。同様に、中央部分に対して垂直に延在している受容ゾーン113に対する第1の要素110のステーター111の形が、受容体の外観となって、その中に第2の要素120の巻かれたコイルワイヤ123を収容することができるようにすることができる。
【0025】
好ましいことに、本発明によると、第1の要素110の受容ゾーン113は、中央部分の厚みE1よりも小さい厚みE’1を有する。この特徴によって、第1の要素110と第2の要素120によって形成されるアセンブリーの厚みを小さくすることが可能になる。
【0026】
固定のために、受容ゾーン113と固定ゾーン124にそれぞれ、スタッド又はリベットを用いることができるように、貫通穴を設けることができる。
【0027】
したがって、第3の要素130は、モーターと制御ユニットの間のインタフェースを形成するプリント回路131である。このプリント回路131は、第3の厚みE3を有するエポキシ製のプレートの形態である。このプレート上に導電性トラック132が配置される。したがって、このプリント回路131を用いる目的は、本発明に係るモーターモジュール内において一体化するためである。図2の実施形態において、プリント回路131は、2つの接続領域133を有する。これは、ワイヤーを介してコイルと導電性トラックへの接続を可能にする。この導電性トラックは、接続領域133を制御ユニットに接続することを可能にし、プリント回路131と電池の間の電気的接続を形成するようにコンタクト細長材134を構成することができる。制御ユニットのマイクロコントローラを、プリント回路131上又は異なるプリント回路上に配置することができる。
【0028】
巧妙なことに、本発明によると、この構成によって、組み立てられたモーターモジュール100の厚みE5が3つの要素110、120、130の合計厚みE1、E2及びE3よりも小さいように、3つの要素110、120、130を一緒に組み立てることが可能になる。特に、異なる要素110、120、130の厚みは、ステーター111の厚みE1とプリント回路131の厚みE3が、受容ゾーンの厚みE’1と、コイル芯121の厚みE2と巻かれたコイルワイヤの厚みE4との和を超えないように計算して決めることができる。このことによって、好ましいことに、既知のモーターモジュールと比較して著しく小さくなった厚みを有するモーターモジュール100が可能になる。このような既知のモーターモジュールにおいては、厚みはそれを形成している要素の厚みの合計である。本発明は、空間の最適化を可能にする特定の構成を提案するものである。
【0029】
このモーターモジュール100をマウントするために、第1の段階は、図3に示すようにステーター111を用意することを伴う。このステーター111は、固定に寄与する穴114a、114bを形成するように機械加工される。そして、ステーター111には、プリント回路131を固定する穴114a及び芯要素を固定する穴114bが設けられる。また、ステーター111は、あらかじめマウントされ、ローターと組み合わさる。
【0030】
第2の段階において、導電性トラック132、接続領域133及びコンタクト細長材134が作られ固定される段階を経たプリント回路131が用意される。さらに、プリント回路131は、プレートに形成される固定用の穴を形成するように機械加工される。これによって、ステーター111のプリント回路を固定する穴114aとの連係が可能になる。この第2の段階は、プリント回路131及びステーター111を固定することによって行われる。これらの2つの要素110、130は、一方が他方上にあり、穴どうしが互いに向き合うように軸一致するように構成している。そして、全体がリベット又はスタッド126で固定される。
【0031】
第3の段階において、巻かれたコイルワイヤ123を備え固定用の穴125があるコイル芯121を有するコイル要素120がマウントされる。これらの固定用の穴125は、ステーター111の各端において受容ゾーン113に配置された固定用の穴114bと連係して用いられるように構成している。これらの2つの固定用の穴125、114bは、スタッド又はリベット126を介して一緒に保持される。
【0032】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上記の本発明の異なる実施形態に対して、当業者にとって明白である様々な修正及び/又は改善及び/又は組み合わせを行うことができることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0033】
1、100 モーターモジュール
2、111 ステーター
3、121 コイル芯
4、123 コイルワイヤ
5 電子モジュール
112 中央部分
113、114 受容ゾーン
120 芯要素
124 固定ゾーン
114a、114b、125 穴
126 リベット又はスタッド
131 プリント回路
132 導電性トラック
133 接続領域
134 コンタクト細長材
図1
図2
図3
図4
図5