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特開2017-151102磁界の角度を測定する角度センサ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-151102(P2017-151102A)
(43)【公開日】2017年8月31日
(54)【発明の名称】磁界の角度を測定する角度センサ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20170804BHJP
   G01R 33/07 20060101ALI20170804BHJP
【FI】
   G01R33/02 L
   G01R33/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-30354(P2017-30354)
(22)【出願日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】16157316.7
(32)【優先日】2016年2月25日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512092667
【氏名又は名称】セニス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ブラゴジュビック,マージャン
(72)【発明者】
【氏名】ディミトゥリジュビック,ササ
(72)【発明者】
【氏名】ポポビック,ラディヴォジュ
(72)【発明者】
【氏名】ポポビック レネーラ,ドラガナ
(72)【発明者】
【氏名】スパシック,ササ
【テーマコード(参考)】
2G017
【Fターム(参考)】
2G017AA03
2G017AB07
2G017AD53
2G017AD55
2G017BA05
2G017BA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】平面内の磁界方向を測定するように構成される角度センサ、及び平面内の磁界方向を示す角度の測定方法を提供する。
【解決手段】第1の感度方向を有し、第1の電圧を供給する第1の磁界センサ1と、第2の感度方向を有し、第2の電圧を供給する第2の磁界センサ2と、第1のバイアス電流を第1の磁界センサ1に供給する第1の電流源3と、第2のバイアス電流を第2の磁界センサ2に供給する第2の電流源4と、第1の電圧及び第2の電圧の合計が0に等しくなるように、第1のバイアス電流及び第2のバイアス電流を調整するように構成される電子回路5とを備える、角度センサ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の感度方向を有し、2つの電流端子と2つの電圧端子とを有する第1の磁界センサ(1)と、
第2の感度方向を有し、2つの電流端子と2つの電圧端子とを有する第2の磁界センサ(2)と、
第1のバイアス電流Iを前記第1の磁界センサ(1)の前記電流端子に供給する第1の電流源(3)と、
第2のバイアス電流Iを前記第2の磁界センサ(2)の前記電流端子に供給する第2の電流源(4)と、
信号Uが0に等しくなるまで前記バイアス電流I及びIを変化させることによって角度センサの感度方向を回転させ、前記信号Uが0に等しいときに前記角度センサの前記感度方向から前記角度αを決定するように構成される閉制御ループを形成する電子回路と
を備え、
前記第1の磁界センサ(1)及び前記第2の磁界センサ(2)の前記電圧端子が直列に接続され、前記直列接続電圧端子上に現れる電圧が前記信号Uを供給するためにタップされて増幅される、または、前記第1の磁界センサ(1)及び前記第2の磁界センサ(2)の前記電圧端子が並列に接続され、前記並列接続電圧端子に現れる電圧が前記信号Uを供給するためにタップされて増幅される、のいずれかであり、
あるいは、
前記角度センサが、前記第1の磁界センサ(1)の前記電圧端子に結合される第1の増幅器(6)と、前記第2の磁界センサ(2)の前記電圧端子に結合される第2の増幅器(7)と、前記第1の増幅器(6)及び前記第2の増幅器(7)の出力に結合され、前記信号Uを供給する出力を有する加算結合(8)とを備える、
平面内の磁界方向を示す角度αを測定するように構成される角度センサ。
【請求項2】
前記第1の感度方向及び前記第2の感度方向が角度δを含み、
前記電子回路が、前記第1のバイアス電流IをI=I×sinδ×cosθとして、かつ、前記第2のバイアス電流をI=I×(sinδ−cosδ)×sinδ×sinθとして提供して、角度θを変化させることによって、前記角度センサの前記感度方向を回転させるように構成され、量Iが定格電流強度を示し、量θが角度を示し、
前記電子回路がさらに前記角度αをα=θ−90°またはα=θ+90°に決定するように構成される、請求項1に記載の角度センサ。
【請求項3】
前記角度δが90°である、請求項2に記載の角度センサ。
【請求項4】
第1の感度方向を有し、第1の電圧Uを供給する第1の磁界センサ(1)を提供することと、
第2の感度方向を有し、第2の電圧Uを供給する第2の磁界センサ(2)を提供することと、
第1のバイアス電流Iを前記第1の磁界センサ(1)に供給することと、
第2のバイアス電流Iを前記第2の磁界センサ(2)に供給することと、
前記第1の電圧Uと前記第2の電圧Uとの合計に比例する信号Uを形成することと、
前記信号Uが0に等しくなるまで、前記バイアス電流I及びIを調整することと、
前記信号Uが0に等しいとき、前記バイアス電流I及びIの調整された値に基づいて角度αを決定することと
を含む、平面内の磁界方向を記載する角度αの測定方法。
【請求項5】
前記信号Uが0に等しくなるまで、前記バイアス電流I及びIを調整することが、前記第1のバイアス電流IをI1=I×sinδ×cosθとして、かつ、前記第2のバイアス電流をI=I×(sinδ−cosδ)×sinδ×sinθとして提供することであって、量Iが定格電流強度を示し、量θが角度を示し、量δが前記第1の感度方向及び前記第2の感度方向が含む角度を示す、提供することによって、かつ、前記信号Uが0に等しくなるまで前記角度θを変化させることによって、行われ、
前記角度αがα=θ−90°またはα=θ+90°に決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記角度δが90°である、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面内の磁界方向を測定するように構成される角度センサ、及び平面内の磁界方向を示す角度の測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁界の方向を測定するように構成される角度センサは、たとえば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3で知られている。ホール素子の表面に並列な方向を指す磁界を測定可能な水平ホール素子を備える磁界センサは、たとえば、特許文献4で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6545462号明細書
【特許文献2】米国特許第8324891号明細書
【特許文献3】米国特許第8624587号明細書
【特許文献4】米国特許第5942895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、速くて信頼性のある角度センサを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるセンサの基本概念は、可変の感度方向を有する磁界センサを提供すること、及び、磁界センサの感度ベクトルSと磁界Bとのスカラー積がゼロ、すなわちS×B=0となるまで感度方向を回転させることにある。
【0006】
平面内の磁界方向を示す角度αを測定するように構成される角度センサは、
第1の感度方向を有する第1の磁界センサと、
第2の感度方向を有する第2の磁界センサと、
2つの電流端子と2つの電圧端子とを有する第1及び第2の磁界センサのそれぞれと、
第1のバイアス電流Iを第1の磁界センサの電流端子に供給する第1の電流源と、
第2のバイアス電流Iを第2の磁界センサの電流端子に供給する第2の電流源と、
信号Uが0に等しくなるまでバイアス電流I及びIを変化させることによって角度センサの感度方向を回転させ、信号Uが0に等しいときに角度センサの感度方向から角度αを決定するように構成される閉制御ループを形成する電子回路と
を含み、ここで、第1及び第2の磁界センサの電圧端子は直列に接続され、直列接続電圧端子上に現れる電圧は信号Uを供給するためにタップされて増幅される、または、第1及び第2の磁界センサの電圧端子は並列に接続され、並列接続電圧端子に現れる電圧は信号Uを供給するためにタップされて増幅される、のいずれかであり、あるいは、ここで、角度センサは、第1の磁界センサの電圧端子に結合される第1の増幅器と、第2の磁界センサの電圧端子に結合される第2の増幅器と、第1及び第2の増幅器の出力に結合され、信号Uを供給する出力を有する加算結合とを備える。
【0007】
第1の感度方向及び第2の感度方向は角度δを含む。好ましくは、角度δは90°である。電子回路は好ましくは、第1のバイアス電流IをI=I×sinδ×cosθとして、かつ、第2のバイアス電流をI=I×(sinδ−cosδ)×sinδ×sinθとして提供することによって(量Iは定格電流強度を示し、量θは角度を示す)、かつ、角度θを変化させることによって、角度センサの感度方向を回転させるように構成され、電子回路はさらに、角度αをα=θ−90°またはα=θ+90°に決定するように構成される。
【0008】
本発明によると、平面内の磁界方向を記載する角度αの測定方法は、
第1の感度方向を有し、第1の電圧Uを供給する第1の磁界センサを提供することと、
第2の感度方向を有し、第2の電圧Uを供給する第2の磁界センサを提供することと、
第1のバイアス電流Iを第1の磁界センサに供給することと、
第2のバイアス電流Iを第2の磁界センサに供給することと、
第1の電圧Uと第2の電圧Uとの合計に比例する信号Uを形成することと、
信号Uが0に等しくなるまで、バイアス電流I及びIを調整することと、
信号Uが0に等しいとき、バイアス電流I及びIの調整された値に基づいて角度αを決定することと
を含む。
【0009】
好ましくは、信号Uが0に等しくなるまで、バイアス電流I及びIを調整することは、第1のバイアス電流IをI=I×sinδ×cosθとして、かつ、第2のバイアス電流をI=I×(sinδ−cosδ)×sinδ×sinθとして提供することによって(量Iは定格電流強度を示し、量θは角度を示し、量δは第1の感度方向及び第2の感度方向が含む角度を示す)、かつ、信号Uが0に等しくなるまで角度θを変化させることによって、行われる。次いで方法は、角度αをα=θ−90°またはα=θ+90°に決定することをさらに含む。
【0010】
本明細書の一部に組み込まれ、その一部を構成する付属図面は、本発明の1つまたは複数の実施形態を示し、詳細説明とともに、本発明の原理及び実施態様を説明することに役立つ。図はノンスケールである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による角度センサの概略図を示す。
図2】角度センサの感度ベクトルSと磁界Bとの関係を示す図を示す。
図3】本発明による角度センサの実施形態を示す。
図4】いくつかの信号線図を示す。
図5】本発明による角度センサのさらなる実施形態を示す。
図6】ホール素子を有する本発明による角度センサの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、同じ参照番号は、異なる実施形態における同じ要素を示すために使用される。最先端のCMOS技術が、センサを作製するために使用されてもよい。
【0013】
図1は、本発明による角度センサの概略図を示す。互いに垂直に方向付けられる軸x及びyを有するデカルト座標系が、本発明を説明するために使用される。センサは、第1の磁界センサ1と、第2の磁界センサ2と、磁界センサ1及び2を作動させて、出力信号を提供するように構成される電子回路とを備える。磁界センサ1、2のそれぞれは、所定の感度方向SまたはSをそれぞれ有する。第1の磁界センサ1の感度方向Sはx軸に平行でもよく、第2の磁界センサ2の感度方向Sはy軸に平行でもよい。好ましくは、2つの磁界センサ1、2の感度方向S及びSは、互いに垂直に方向付けられる。しかしながら、磁界センサ1及び2は任意の他の方向を有してもよく、それらの感度方向S及びSは任意の角度δを含んでもよい。2つの磁界センサ1、2は理想的には、Sによって示される同じ公称感度を有する。
【0014】
第1の磁界センサ1及び第2の磁界センサ2はそれぞれ、垂直ホール素子でもよく、または、並列に並べられた垂直ホール素子からなるクラスタでもよい。あるいは、第1の磁界センサ1及び第2の磁界センサ2は、たとえば米国特許第5942895号明細書で開示されている、第1の磁界センサ1がx方向を指す磁界に敏感であり、第2の磁界センサ2がy方向を指す磁界に敏感であるような、1つまたは複数の水平ホール素子と、1つまたは複数の磁界コンセントレータとからそれぞれなってもよい。各ホール素子は、4つの電気端子、すなわち、バイアス電流を供給する働きをする2つの電流端子と、ホール電圧をタップする働きをする2つの電圧端子とを備える。磁界センサ1、2はまた、電流によってバイアスされ、電圧を供給する、たとえば、ホイートストンブリッジを形成するように結合される4つの磁気抵抗レジスタからなる磁気抵抗(MR)センサなどの、任意の他のタイプの磁界センサでもよい。したがって、磁界センサ1及び2のそれぞれは、4つの電気端子、すなわち、バイアス電流を供給するように構成される2つの電流端子と、電圧をタップするように構成される2つの電圧端子とを備える。
【0015】
センサは、第1のバイアス電流Iを提供する第1の電流源3と、第2のバイアス電流Iを提供する第2の電流源4とをさらに備える。第1の電流源3は第1の磁界センサ1の電流端子に結合され、第2の電流源4は第2の磁界センサ2の電流端子に結合される。
【0016】
センサは、第1のバイアス電流I及び第2のバイアス電流Iが以下の式によって互いに関連するような、第1の電流源3及び第2の電流源4を制御するように構成される第1の回路5をさらに備える。
=I×sinδ×cosθ (1)
=I×(sinδ−cosδ)×sinδ×sinθ (2)
ここで、パラメータIは一定の定格電流強度を示し、パラメータθは角度を示す。
【0017】
角度δが90°である場合、すなわち、感度方向S及びSが互いに直交する場合、式(1)及び(2)は以下のように変わる。
=I×cosθ (3)
=I×sinθ (4)
この場合、電圧U及びUは、以下の式によって与えられる。
=S×I×B (5)
=S×I×B (6)
ここで、Sは磁界センサ1及び2の感度の大きさを示し、B及びBはx軸またはy軸に沿った磁界の成分を示す。
【0018】
以下の実施形態では、角度δは90°であるとする。
【0019】
1つの実施形態において、センサは、第1の磁界センサ1の電圧Uを増幅するように構成される第1の増幅器6と、第2の磁界センサ2の電圧Uを増幅するように構成される第2の増幅器7とをさらに備える。増幅器6及び7は理想的には、同じゲインkを有する。第1の増幅器6及び第2の増幅器7の出力電圧は、加算結合8の入力に供給されて、そこで合計される。加算結合8の出力は以下の電圧を供給する。
U=k×(U+U)=k×S×I×(B×cosθ+B×sinθ) (7)
【0020】
理想的な場合、磁界センサの感度、磁界センサに供給される定格電流強度、及び増幅器のゲインは、両方の磁界センサについて、すべて同じである。したがって、理想的には、磁界センサは、上記のように同じ感度Sを有し、同じ定格電流強度Iが供給され、増幅器は同じゲインkを有する。理想的な場合からの逸脱がある場合、これは較正ステップにおいて、たとえば、2つの増幅器6及び7の異なるゲインを調整することによって、または、異なる定格電流強度を調整することによって、修正されることがあり、その結果、上記の式が適用される。
【0021】
別の実施形態において、第1の磁界センサ1及び第2の磁界センサ2の電圧端子は、直列または並列に接続される。直列接続電圧端子上に現れる電圧U+Uは電圧U=k×(U+U)を供給するためにタップされて増幅されてもよく、または、並列接続電圧端子に現れる電圧は電圧U=k×(U+U)を供給するためにタップされて増幅され、量kはここでもゲインを示す。
【0022】
第1の回路5と、2つの電流源3、4と、2つの磁界センサ1、2と、増幅器6、7と、加算結合8とからなるセンサ、ならびに、上記段落で記載の構造及び要素を有するセンサは、バイアス電流IまたはI、及び電圧U=k×(U+U)を供給する電圧出力のうちの1つをそれぞれ受ける、2つの電流入力を有するセンサである。センサは、感度Sの調整可能な方向を有する磁界センサとして使用することができる。xy平面内の感度Sの方向は、角度θによって与えられる。好ましくは、感度方向S及びSは互いに直交し、バイアス電流I及びIは式(3)及び(4)に従って設定される。電圧Uは、感度Sの方向を指す磁界の成分に比例する。第1の回路5は、角度θを受けるように構成される第1の入力を有する。
【0023】
角度センサは、電圧Uを受けるように構成される入力と、第1の回路5の第1の入力に結合される出力とを有する第2の回路9をさらに備える。以下において、
xy平面の磁界の実際の角度は角度αとして示され、角度センサによって決定される角度は角度αとして示される。
【0024】
第1の回路5及び第2の回路9は、電圧Uがゼロに等しくなるまで、バイアス電流I及びIを変化させるように構成される閉制御ループを形成する。本実施形態において、これは、磁界センサ1及び2に、それぞれ式(1)及び(2)に従って、バイアス電流IまたはIを供給することによって行われ、U=0まで、実行手段においては|U|≦Uまで、回路5及び9で形成される閉ループによって自動的に角度θを変化させる。ここで、Uは検出可能最小電圧を示す。U=k×(U+U)のとき、これは、第1の磁界センサ1及び第2の磁界センサ2の電圧の合計がゼロに、すなわち以下の式になるように調整されることを意味する。
+U=0 (8)
【0025】
感度ベクトルSと磁界ベクトルBとのスカラー積がゼロであるとき、すなわち、S×B=0とき、条件U=0が満たされる。この式は、角度θ及びαが以下の式のうちの1つによって互いに関連付けられることを意味する2つの解決方法を有する。
α=θ−90° (9)
α=θ+90° (10)
【0026】
図2は、キャプション付磁界センサの感度ベクトルSと磁界ベクトルBとの関係、したがって、角度θとαとの関係を示す。Sは第1の磁界センサ1の感度の大きさ及び方向を示すベクトルであり、Sは第2の磁界センサ2の感度の大きさ及び方向を示すベクトルである。
【0027】
回路5及び9は、デジタル及び/またはアナログ回路から形成されてもよい。
【0028】
本発明による角度センサの概念は、可変の感度方向を有する磁界センサを提供すること、及び、磁界センサの感度ベクトルSと磁界Bとのスカラー積がゼロ、すなわちS×B=0となるまで感度方向を回転させることにあり、S×B=0の場合にU+U=0であることを見いだすことからなる。そのため、
a)角度センサは、2つの電流端子及び2つの電圧端子をそれぞれ有する2つの磁界センサ1及び2を備える。
b)第1の磁界センサ1及び第2の磁界センサ2の電圧端子は、電圧U=k×(U+U)を供給するように結合され、ここでkは所定の増幅定数である。
c)電圧U=k×(U+U)が0になるまで、感度方向はバイアス電流I及びIを変化させることによって回転させられる。
d)軸x及びyが広がる平面の磁界の測定される方向は、S×B=0の場合、感度ベクトルSは磁界ベクトルBに垂直であるため、角度α=θ−90°または角度α=θ+90°によって与えられる。
【0029】
図3は、本発明による角度センサの実施形態を示す。角度センサは、角度センサの作動を制御するクロック信号発生器10を備える。第1の回路5は、ルックアップテーブル11と、2つのD/A(デジタルからアナログへの)変換器12及び13とを備える。2つの電流源3及び4は、電圧制御電流源である。クロック信号発生器10の各クロックパルスCK1で、第1の回路5は、その第1の入力で値θを得て、ルックアップテーブル11のデジタル値sinθ及びcosθを読みとり、D/A変換器12へデジタル値sinθを、そしてD/A変換器13へデジタル値cosθを供給して、角度αの値を更新する。D/A変換器12のアナログ出力は第1の電流源3に供給され、D/A変換器13のアナログ出力は第2の電流源4に供給される。したがって、第1の電流源3によって供給される電流はI×sinθに比例し、第2の電流源4によって供給される電流はI×cosθに比例する。電流源3及び4は、同じ定格電流Iを供給するように調整される。
【0030】
第2の回路9は、極性検出器14と、信号検出器15と、ANDゲート16と、アップ/ダウンカウンタ17とを備える。加算結合8の出力は、極性検出器14の入力、及び信号検出器15の入力に供給される。極性検出器14は、その入力の電圧Uが正またはゼロである場合は1であり、その入力の電圧Uが負である場合は0であるバイナリ出力信号を供給する。信号検出器15の出力及びクロック発生器10のクロック信号CK1は、ANDゲート16の2つの入力に供給される。信号検出器15は、入力電圧Uの大きさに基づくバイナリ出力信号を供給する。入力電圧Uの大きさが検出可能最小信号より大きい、すなわち、所定の閾値Uより大きい場合、信号検出器の出力信号は1である。その他の場合には、信号検出器の出力信号は0である。
【0031】
ANDゲート16の出力信号は、その入力のANDロジックに基づくバイナリ信号である。両方の入力信号が1である場合だけ、出力は1である。したがって、信号検出器の出力が1である場合、ANDゲートはクロックパルスCK1を通過させ、信号検出器の出力が0である場合、クロックパルスをブロックする。
【0032】
クロック信号発生器10の各クロックCK1において、アップ/ダウンカウンタ17は、極性検出器14の出力信号が1である場合、その値を1単位増加させ、極性検出器14の出力信号が0である場合、その値を1単位減少させる。アップ/ダウンカウンタ17の値は第1の回路5に供給される。電圧Uがゼロである場合、すなわちU=0の場合、アップ/ダウンカウンタ17の値は一定のままである。電圧Uがゼロでない場合、アップ/ダウンカウンタ17の値は、電圧Uがゼロに収束するまで、各クロックCK1で変化する。アップ/ダウンカウンタ17の値は、感度ベクトルSの角度θを表す。
【0033】
アップ/ダウンカウンタ17はその出力における値の限定数Nを提供し、最低値は角度θ=0°に対応し、最高値は角度θ=360°−360°/Nに対応する。数Nはたとえば、角度センサが1°の角度分解能を提供する場合、360とすることができ、または、角度センサが0.1°の角度分解能を提供する場合、N=3600とすることができる。
【0034】
本実施形態において、アップ/ダウンカウンタ17の値は、電圧Uが正であるとき増加し、電圧Uが負であるとき減少する。電圧Uがスカラー積S×B=|S|×|B|×cos(θ−α)に比例するとき、これは、感度ベクトルSがcos(θ−α)<90°の場合は反時計回りの方向で、cos(θ−α)>90°の場合は時計回りの方向で回転することを意味し、角度θとαとの関係が式(9)によって与えられるという結果を有する。したがって、回路5は、各クロックCK1でその第1の入力での角度θを読みとり、式(9)を使用して角度αを決定するように構成される。
【0035】
角度センサの作動開始時(スイッチオン時)、所定の角度θがθの開始値として使用される。θは0でもよく、または任意の他の値としてもよい。一定数のクロックCK1の後、角度θの値はU=0となる値に収束する。条件U=0が満たされるときはいつでも、出力された角度αは磁界Bの角度αを正確に表し、この条件が満たされないときはいつでも、出力された角度αは角度αを表さない。
【0036】
図4は、時間tの経過における、いくつかの信号の例示的な過程を示す。参照番号は以下を示す。
− 信号線18:磁界ベクトルBの実際の方向を表す角度α
− 信号線19:角度センサによって出力される角度α。
− 信号線20:加算結合8の出力の電圧U。
− 信号線21:極性検出器14のバイナリ出力信号。
− 信号線22:信号検出器15のバイナリ出力信号。
− 信号線23:基本クロック信号CK1。
− 信号線24:ANDゲート16のバイナリ出力。
− 信号線25:アップ/ダウンカウンタ17の出力。
【0037】
図4において、磁界ベクトルBの方向は、一定の期間、一定であり、次いで、別の一定値に変化する。角度センサのスイッチを入れた後、第1の回路5及び第2の回路9で形成されるフィードバック回路によって提供される調節のために、以下のことが発生する。
− 開始値θが条件θ=α+90°を少しも満たしていないため、電圧Uは大きな値を有する。時間が経過すると、電圧Uは段階的にゼロに収束する。
− 極性検出器14の出力信号は1であり、電圧Uが0に収束したとき0に変化する。
− 信号検出器の出力信号は1であり、電圧Uが0に収束したとき0に変化する。
− 信号検出器の出力信号が1である限り、クロック発生器10のクロックはANDゲート16を通過する。信号検出器の出力信号が0であるとき、クロック発生器10のクロックはANDゲート16を通過しない。
− アップ/ダウンカウンタ17は、極性検出器14の出力が1である限り、ANDゲート16の出力に現れる各パルスでその値を1単位増加させ、極性検出器14の出力が0である限り、ANDゲート16の出力に現れる各パルスでその値を1単位減少させる。
【0038】
時点tで、角度αが減少するとき、出力電圧Uは負になる。出力電圧Uが負になると、信号検出器15のバイナリ出力信号は0から1に変化する。次いで、ANDゲート16はクロックパルスCK1を通過させるため、信号検出器15のバイナリ出力信号が1である限り、アップ/ダウンカウンタ17は各パルスでその値を1単位減少させる。
【0039】
図5に示されるさらなる実施形態において、角度センサは、極性検出器14を備えないが、第1の増幅器6の出力に結合される極性検出器26を備える。極性検出器26は、バイナリ出力信号を供給し、それは、その入力の電圧Uが正またはゼロである場合は1であり、その入力の電圧Uが負である場合は0である。したがって、極性検出器26の出力信号は、電圧Uの符号を表し、第1の回路5の第2の入力に供給される。
【0040】
角度θは、感度方向を画定する。したがって、バイアス電流I及びIの符号は、感度ベクトルSが4つの象限のどこにあるかについて決定する。電圧Uの符号は、磁界ベクトルBが前側の象限にあるか、後側の象限にあるかを決定する。次いでこの情報は、角度θとαとの関係が式(9)または式(10)のいずれによって与えられるかを、たとえば、情報を含む以下のルックアップテーブルの使用によって決定するために使用される。角度αは以下の方法で計算される。
【0041】
【表1】
【0042】
本実施形態において、電圧Uがゼロと異なるとき、アップ/ダウンカウンタ17の値は常に増加する。これは、U<>0のとき、感度ベクトルSは常に反時計回りの方向で回転することを意味する。
【0043】
図6は、本発明による角度センサの実施形態を示し、ここで、磁界センサ1及び2は、ホール素子を備えるホールセンサである。ホールセンサのオフセット及び1/f雑音問題を減少させるまたは排除するために、よく知られているスピニング電流技術が、ホールセンサを作動させるために使用される。スピニング電流技術は、特定のスピニングクロックCK2で、各ホールセンサの電流及び電圧端子を整流する。好ましくは、4相スピニング電流技術が使用されるが、2相スピニング電流技術も使用される可能性がある。角度センサは、第1の電流源3に第1の磁界センサ1の電流端子を結合し、第1の増幅器6に電圧端子を結合する第1のスピニング電流回路27と、第2の電流源4に第2の磁界センサ2の電流端子を結合し、第2の増幅器7に電圧端子を結合する第2のスピニング電流回路28とを備える。クロック信号発生器10は、スピニングクロックCK2も発生させ、それは、4相スピニング電流技術が使用される場合は基本クロック信号CK1より4倍速く、または、2相スピニング電流技術が使用される場合は基本クロック信号CK1より2倍速い。たとえばスイッチドキャパシタフィルタとして形成される積分器29は、加算結合8の出力と接続され、4つまたは2つのスピニング電流位相上でホール電圧Uの積分を行う。
【0044】
マイクロコントローラなどを含む、他のアナログ及び/またはデジタル回路が、本発明のセンサを実現させるために使用されてもよいことは当業者には明らかである。
【0045】
本発明の実施形態と適用を示し、かつ記述してきたが、上記より多くの修正が本明細書における発明概念から離れることなく可能であることは、本開示の利点を有する当業者には明らかであるだろう。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によることより他に制限されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6