【課題】ベンゼンなどの有害な揮発性成分を放出せずに高解像度、高耐熱性、高透明性のパターンを形成することができ、またパターン形成の際における現像残渣や溶け残り等、難溶物の再付着によるパターン欠陥が低減された、経時安定性に優れたポジ型感光性シロキサン組成物の提供。
【解決手段】フェニル基を有するポリシロキサンと、ジアゾナフトキノン誘導体と、特定の含窒素複素環構造を有する光塩基発生剤の水和物または溶媒和物と、有機溶剤を含んでなる溶剤とを含んでなることを特徴とする、ポジ型感光性シロキサン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるポジ型感光性シロキサン組成物(以下、簡単に「組成物」ということがある)は、ポリシロキサン、ジアゾナフトキノン誘導体、特定の光塩基発生剤の水和物または溶媒和物、有機溶剤を含んでなるものである。この組成物に含まれる各成分について、更に詳しく説明すると以下の通りである。
【0015】
(I)ポリシロキサン
本発明による組成物は、置換または非置換のフェニル基で置換されたポリシロキサンを含んでなる。ここでフェニル基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基、アミノ基などで置換されていてもよい。フェニル基は二つ以上の置換基で置換されていてもよい。置換されたフェニル基としては、具体的には、トリル基、キシレニル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基などが挙げられる。
【0016】
一般にポリシロキサンは、Si−O−Si結合を含む重合体をさす。本発明においては非置換の無機ポリシロキサンの水素の一部が、置換または非置換のフェニル基で置換された有機ポリシロキサンが用いられる。このようなポリシロキサンは一般にシラノール基またはアルコキシシリル基を有するものである。このようなシラノール基およびアルコキシシリル基とはシロキサン骨格を形成するケイ素に直接結合した水酸基およびアルコキシ基を意味する。ここで、シラノール基およびアルコキシシリル基は、組成物を用いて硬化膜を形成させるときに硬化反応を促進する作用があるため、ポリシロキサンはこれらの基を有することが好ましい。
【0017】
本発明において用いられるポリシロキサンは、その骨格構造は特に制限されず、目的に応じて任意のものから選択することができる。ポリシロキサンの骨格構造は、ケイ素原子に結合している酸素数に応じて、シリコーン骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が2)、シルセスキオキサン骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が3)、およびシリカ骨格(ケイ素原子に結合する酸素原子数が4)に分類できる。本発明においては、これらのいずれであってもよい。ポリシロキサン分子が、これらの骨格構造の複数の組み合わせを含んだものであってもよい。
【0018】
また、本発明においてポリシロキサンは本発明の効果を損なわない限りフェニル基以外の置換基を含んでいてもよい。このような置換基としては、シロキサン構造を構成するSi−O結合を含まない置換基、具体的にはアルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびアリール基、およびこれらの基の水素原子が不飽和炭化水素基に置換された基などが挙げられる。
【0019】
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、シラノール基またはアルコキシシリル基以外の反応性基、例えばカルボキシル基、スルホニル基、アミノ基などがポリシロキサンに含まれてもよいが、これらの反応性基は一般に塗布組成物の保存安定性を劣化させる傾向にあるため、少ないことが好ましい。具体的にはケイ素原子に結合している水素または置換基の総数に対して、10mol%以下であることが好ましく、全く含まれないことが特に好ましい。
【0020】
また、本発明による組成物は、基材上に塗布、像様露光、および現像によって硬化膜を形成させるためものである。このため、露光された部分と未露光の部分とで溶解性に差異が発生することが必要である。例えば、形成される被膜の2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHということがある)水溶液への溶解速度が50Å/秒以上であれば露光−現像によるポジ型パターンの形成が可能であると考えられる。しかし、形成される被膜の膜厚や現像条件によって要求される溶解性が異なるので、現像条件に応じたポリシロキサンを適切に選択すべきである。
【0021】
しかしながら、単に溶解速度が速いポリシロキサンを選択すると、パターン形状の変形、残膜率の低下、透過率の減退などの問題点が発生することもある。そのような問題点を改良するために、溶解速度が遅いポリシロキサンを組み合わせたポリシロキサン混合物を用いることができる。
【0022】
このようなポリシロキサン混合物は、例えば
(H)プリベーク後の膜が、1.19質量%TMAH水溶液に可溶であり、その溶解速度が1,500Å/秒以下である第一のポリシロキサン、
(M)プリベーク後の膜の、2.38質量%TMAH水溶液に対する溶解速度が500Å/秒以上あるポリシロキサン、
(L)プリベーク後の膜の、5質量%TMAH水溶液に対する溶解速度が200Å/秒以上、1000Å/秒以下であるポリシロキサン
を含むものである。
【0023】
そして、上記TMAH水溶液に対する溶解速度の異なる少なくとも2種類以上のポリシロキサン混合物の2.38%TMAH水溶液に対する溶解速度が、100〜4,000Å/秒であれば、2.38%TMAH水溶液を現像液とする感光性ポリシロキサン組成物を構成することができる。このため、前記少なくとも2種類以上のポリシロキサン、具体的には、ポリシロキサン(H)、(M)、および(L)の量は、用いられるポリシロキサン(H)、(M)、および(L)の溶解特性を勘案し、これらの混合物の2.38%TMAH水溶液に対する溶解速度が前記100〜4,000Å/秒を満足するような量とされる。
【0024】
本発明による組成物を用いてパターンを形成する際には、基材上に前記ポジ型感光性シロキサン組成物を塗布して塗膜を形成し、露光後現像が行われる。現像後は、硬化被膜を形成するため、好ましくは200℃以上の温度で加熱されるが、このとき現像後のパターンがフローすることがある。この熱フローを抑制し、パターン形状を維持するためにポリシロキサン(H)と(M)と、ポリシロキサン(L)の合計質量の質量比は95/5から30/70であることが好ましい。ポリシロキサン(L)が70質量部を超えると、感度が著しく低下し実用的ではなくなる。ポリシロキサン(L)の割合が5質量部以下では、パターン形状が維持できない。
【0025】
ポリシロキサン(H)、(M)および(L)各々の質量平均分子量(Mw)は800〜8,000であることが好ましく、800〜5,000程度がより好ましい。質量平均分子量(Mw)が800より小さいと、「パターン」だれ防止効果が小さく、一方8,000以上では、現像時の溶け残りで十分解像度が得られず、感度も低下する。
【0026】
以下に、ポリシロキサン(H)、(M)および(L)について、さらに具体的に説明するが、溶解速度の違いは、酸触媒の材料については、反応時間の長短によって、また、アルカリ触媒の材料については、反応時に仕込む水の量を増減することにより調整できることから、反応時間や水の量を適宜調整する以外は、ポリシロキサン(H)、(M)および(L)は、以下に示す手順で同様に製造することができる。したがって、以下の説明において、ポリシロキサン(H)、(M)、および(L)の区別をする必要がない場合は、単に「ポリシロキサン」ということもある。
【0027】
原料として用いられるシラン化合物は、任意のものを用いることができるが、例えば下記一般式(Ia)で表されるものを用いることができる。
R
10n1Si(OR
11)
4−n1 (Ia)
【0028】
式中、R
10は、置換または非置換のフェニル基、任意のメチレンが酸素で置き換えられてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基または炭素数6〜20で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール基を表し、R
11は水素または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。ここで、置換または非置換のフェニル基は前記した通りである。すなわちフェニル基は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、水酸基、アミノ基などで置換されていてもよく、またフェニル基は二つ以上の置換基で置換されていてもよい。n1は0または1である。これら一般式(Ia)のシラン化合物は、2種以上が併用されてもよい。なお、本発明においてポリシロキサンの混合物が用いられる場合、いずれかのポリシロキサンが、置換または非置換のフェニル基を含んでいればよい。すなわち、用いられるポリシロキサンが、一般式(Ia)のシラン化合物を原料として製造されるものである場合、原料に用いられるシラン化合物のうちのいずれか置換または非置換のフェニル基を含んでいればよい。
【0029】
一般式(Ia)中、R
10の、任意のメチレンが酸素で置き換えられてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数6〜20で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール基としては、ナフチル基などが挙げられる。それら基の中でも、メチル基は、原料が入手し易く、硬化後の膜硬度が高く、高い薬品耐性を有ることから、好ましい化合物である。
【0030】
R
10としてメチル基を用いた場合、ポリシロキサン(I)中のR
10のメチル基の含有量が少ないと、レジスト剥離液への耐性が劣り、逆に、含有量が多すぎるとシロキサン活性が高くなって、不溶物生成の原因となる。そのため、ポリシロキサン(I)における一般式(Ia)のR
10がメチル基で示されるシラン化合物の割合は、20モル%〜80モル%であることが好ましい。また、各ポリシロキサン(H)、(M)、および(L)においても、これらの少なくともいずれかは、ポリシロキサンを製造するために用いられる一般式(Ia)のR
10がメチル基で示されるシラン化合物の割合が、20モル%〜80モル%であることが好ましいし、ポリシロキサン(H)、(M)、および(L)から選択される2種類のポリシロキサン混合物についても、少なくともいずれかの混合物のR
10がメチル基で示されるシラン化合物の割合が、20モル%〜80モル%であることが好ましい。さらに、各ポリシロキサン(H)、(M)、および(L)のいずれもが、20モル%〜80モル%であることがより好ましい。
【0031】
また、R
10は、一般式(Ia)のシラン化合物が複数の化合物からなる場合、これら複数の化合物中のR
10は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0032】
一方、R
11の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などが挙げられる。R
11は、それぞれ同じでも異なっていてもよいし、一般式(Ia)のシラン化合物が複数の化合物からなる場合、これら複数の化合物中のR
11は、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
【0033】
上記一般式(Ia)で示されるシラン化合物のうちn1=1であらわされる具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランは、入手しやすく好ましい化合物である。
【0034】
また、一般式(Ia)で示されるシラン化合物のうちn1=0であらわされるシラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、その中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどは反応性が高く、好ましい。
【0035】
ポリシロキサン(H)、(M)および(L)の混合物において、n1=0のシリカ構造体の含有量が増えると、架橋密度が向上し、「パターン」の熱だれ現象は緩和されていく。ポリシロキサン(H)は「パターン」の熱だれ防止効果を有するが、難溶成分を含むため、現像残渣の点からは好ましいものでない。前記したように、シリカ構造体の含有量を増やすことにより「パターン」の熱だれ現象が緩和されていくことから、難溶成分を含むポリシロキサン(H)の配合量を低下させることができるが、n1=0のシリカ構造体の含有量が増えすぎると、ポリシロキサンの反応活性が高くなり現像中に難溶成分を生成させてしまうことがある。この点から、ポリシロキサン混合物中における、一般式(Ia)のn=0のシリカ構造体の含有量としては5モル%から30モル%であることが好ましい。例えば、ポリシロキサン(H)としては、n1=0のシリカ構造体の含有量は、好ましくは30モル%以下であり、ポリシロキサン(M)としては、好ましくは30モル%以下であり、ポリシロキサン(L)としては、好ましくは30モル%以下である。
【0036】
本発明のポリシロキサンは、上記一般式(Ia)で示されるシラン化合物を、塩基性あるいは酸性触媒の存在下で加水分解・縮合し生成される。
【0037】
また、ポリシロキサン(L)として、塩基性触媒を用いて合成されたポリシロキサンを用いると、「パターン」の熱だれ防止効果の優れた感光性シロキサン組成物が形成されることから好ましい。
【0038】
製造する際は有機溶媒、触媒および水の混合溶液に、一般式(Ia)で示されるシラン化合物の混合液を滴下し、加水分解および縮合反応をさせ、必要に応じて中和や洗浄による精製、また濃縮により所望の有機溶媒に置換することで製造することができる。
【0039】
反応に使用する有機溶媒は、単独もしくは複数を組み合わせて使用することができる。溶媒について具体例を示すと、ヘキサン、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒を挙げることができ、その使用量はシラン化合物の混合液の0.1〜10質量倍であり、0.5〜5質量倍が好ましい。
【0040】
シラン化合物の混合液の滴下および反応温度は0〜200℃であり、5〜60℃が好ましく、滴下温度と反応温度が同じでも異なってもよい。反応時間は、上記一般式(Ia)で表されるシラン化合物の構造の置換基R
12によっても異なるが、通常は数十分から数十時間であり、加水分解および縮合反応における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、例えば、触媒量、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
【0041】
塩基性触媒としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノ基を有するアルコキシシラン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、陰イオン交換樹脂やテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。触媒量はシラン化合物の混合物に対して0.0001〜10モル倍が好ましい。
【0042】
塩基性触媒を用いる場合には、加水分解度は水の添加量により調整することができる。水の添加量は、用いられるシラン化合物の種類および量等により異なるものの、一般には、ポリシロキサン(H)を合成する場合には、一般式(Ia)で表されるシラン化合物の加水分解性アルコキシ基に対し、水を0.01〜10モル倍、好ましくは0.5〜0.9モル倍の割合で反応させることが望ましく、ポリシロキサン(M)を合成する場合には、一般式(Ia)で表されるシラン化合物の加水分解性アルコキシ基に対し、水を0.01〜10モル倍、好ましくは1.4〜2.0モル倍の割合で反応させることが望ましく、ポリシロキサン(L)を合成する場合には、一般式(Ia)で表されるシラン化合物の加水分解性アルコキシ基に対し、水を0.01〜10モル倍、好ましくは0.9〜1.4モル倍の割合で反応させることが望ましい。
【0043】
反応終了後は、酸性化合物を中和剤として用いて反応溶液を中性もしくは酸性よりに中和してもよい。酸性化合物の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸等の無機酸や、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、乳酸、アクリル酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸の多価カルボン酸およびその無水物、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸等の有機酸また陽イオン交換樹脂等が挙げられる。
【0044】
中和剤の量は、ポリシロキサンを含む反応液のpHに応じて、適宜、選択されるが、塩基性触媒に対して、好ましくは0.5〜1.5モル倍、より好ましくは1〜1.1モル倍である。
【0045】
一方、酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量は、酸の強さにもよるが、シラン化合物の混合物に対して0.0001〜10モル倍が好ましい。
【0046】
酸性触媒を用いる場合、用いられるシラン化合物の種類および量等により異なるものの、一般には、加水分解度は攪拌時間により調整することができる。一般に、ポリシロキサン(H)を合成する場合には、攪拌時間は1〜5時間が好ましく、ポリシロキサン(M)を合成する場合には、攪拌時間は5〜8時間が好ましく、ポリシロキサン(L)を合成する場合には、攪拌時間は8〜12時間が好ましい。
【0047】
反応終了後、塩基性触媒を使用した際と同様に、反応溶液を中和してもよい。酸性触媒を使用した場合には、塩基性化合物が中和剤として使用されるが、中和に用いられる塩基性化合物の例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、陰イオン交換樹脂やテトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。中和剤の量は、酸性触媒に対して、好ましくは0.5〜1.5モル倍、より好ましくは1〜1.1モル倍である。
【0048】
中和後は、中和液を塗膜または貯蔵安定性の必要性に応じて、洗浄し精製してもよい。条件としては中和液に疎水性有機溶剤と必要に応じて水を添加し、混合および接触させて、少なくともポリシロキサンを疎水性有機溶剤に溶解する。疎水性有機溶剤としては、ポリシロキサンを溶解し、水と混和しない化合物を使用する。水と混和しないとは、水と疎水性有機溶剤とを十分混合した後、静置すると、水層および有機層に分離することを意味する。
【0049】
好ましい疎水性有機溶剤としては、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、ブタノールなどのアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられる。上記疎水性有機溶剤は、反応で用いられた反応溶媒と同一であってよいし、異なってもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。洗浄によりこれまでに使用した塩基性触媒、酸性触媒、中和剤ならびにそれらの塩、さらに反応の副生成物であるアルコールや水の大半は水層に含まれ、有機層から実質的に除かれるが洗浄回数は必要とされる塗膜特性あるいは貯蔵安定性などの特性に応じて適宜設定される。
【0050】
洗浄の温度は、特に制限されないが、好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは10℃〜60℃である。また、水層と有機層とを分離する温度もまた、特に限定されないが、好ましくは0℃〜70℃、分液時間を短縮する観点から、より好ましくは10℃〜60℃である。
【0051】
洗浄後は、ポリシロキサンを含む、洗浄に用いた疎水性溶媒の溶液のまま使用してもよいが、目的に応じて濃縮により溶媒や残存する反応の副生成物であるアルコールや水を除去したり、濃度の変更や他の溶媒に置換してもよい。濃縮は常圧(大気圧)または減圧下で実施することができ、濃縮度は留出量を制御することで任意に変更できる。濃縮時の温度は30〜150℃であり、好ましくは40〜100℃である。また目的の溶媒組成になるよう適時所望の溶媒を添加しさらに濃縮することで溶媒置換することもできる。
【0052】
以上により本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられるポリシロキサン(H)、(M)および(L)を製造することができ、それらを混合することによって、ポリシロキサン(I)が得られる。
【0053】
なお、現在、現像液としては一般的に2.38%TMAH水溶液が用いられているため、ポリシロキサン(M)およびポリシロキサン(I)の溶解速度を上記の範囲に設定したが、仮に、これとは異なるTMAH濃度の水溶液が現像液として用いられる場合においては、ポリシロキサン(M)およびポリシロキサン(I)の溶解速度は、使用された現像液に対する溶解速度が、上記2.38%TMAH水溶液を現像液として用いたときの溶解速度と同じような範囲になるようにされれば、本発明と同様の効果を得ることができる。また、現像液としてTMAH以外の水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液が用いられる場合であっても同様である。
【0054】
(アルカリ溶解速度(ADR)の測定、算出法)
ポリシロキサン(H)、(M)および(L)あるいは、これらの混合物のTMAH水溶液に対する溶解速度は、次のようにして測定、算出する。
【0055】
ポリシロキサンをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAという)に35質量%になるように希釈し、室温でスターラーで1時間撹拌させながら溶解する。温度23.0±0.5℃、湿度50±5.0%雰囲気下のクリーンルーム内で、調製したポリシロキサン溶液を4インチ、厚さ525μmのシリコンウエハ上にピペットを用い1ccシリコンウエハの中央部に滴下し、2±0.1μmの厚さになるようにスピンコーティングし、その後100℃のホットプレート上で90秒間加熱することにより溶剤を除去する。分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製)で、塗布膜の膜厚測定を行う。
次に、この膜を有するシリコンウエハを、23.0±0.1℃に調整された、所定濃度のTMAH水溶液100mlを入れた直径6インチのガラスシャーレ中に静かに浸漬後、静置して、被膜が消失するまでの時間を測定した。ここで、TMAH恣意溶液の濃度はポリシロキサンの種類に応じて変更した。具体的には、ポリシロキサン(H)については1.19%水溶液、ポリシロキサン(M)とポリシロキサン(H)、(M)および(L)の混合物については2.38%水溶液、ポリシロキサン(L)については5%水溶液を用いた。溶解速度は、ウエハ端部から10mm内側の部分の膜が消失するまでの時間で除して求める。溶解速度が著しく遅い場合は、ウエハをTMAH水溶液に一定時間浸漬した後、200℃のホットプレート上で5分間加熱することにより溶解速度測定中に膜中に取り込まれた水分を除去した後、膜厚測定を行い、浸漬前後の膜厚変化量を浸漬時間で除することにより溶解速度を算出する。上記測定法を5回行い、得られた値の平均をポリシロキサンの溶解速度とする。
【0056】
(II)ジアゾナフトキノン誘導体
本発明による組成物は、ジアゾナフトキノン誘導体を含んでなる。ジアゾナフトキノン誘導体を含んでなる組成物は、露光された部分が、アルカリ現像液に可溶になることにより現像によって除去されるポジ型レジストを形成する。本発明のジアゾナフトキノン誘導体は、フェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物であり、特に構造について制限されないが、好ましくはフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とのエステル化合物であることが好ましい。ナフトキノンジアジドスルホン酸としては、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸、あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸を用いることができる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物はi線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を選択することが好ましい。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を混合して用いることもできる。
【0057】
フェノール性水酸基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、以下の化合物が挙げられる(商品名、本州化学工業(株)製)。
【0060】
ジアゾナフトキノン誘導体の添加量は、ナフトキノンジアジドスルホン酸のエステル化率、あるいは使用されるポリシロキサンの物性、要求される感度・露光部と未露光部との溶解コントラストにより最適量は異なるが、好ましくはポリシロキサン(H)、(M)および(L)の合計質量に対して1〜20質量%であり、さらに好ましくは3〜15質量%である。ジアゾナフトキノン誘導体の添加量が1質量%より少ない場合、露光部と未露光部との溶解コントラストが低すぎて、現実的な感光性を有さない。また、さらに良好な溶解コントラストを得るためには3質量%以上が好ましい。一方、ジアゾナフトキノン誘導体の添加量が20質量%より多い場合、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなることによる塗布膜の白化が起こったり、熱硬化時に起こるキノンジアジド化合物の分解による着色が顕著になるため硬化膜の無色透明性が低下することがある。また、ジアゾナフトキノン誘導体の耐熱性は、ポリシロキサンに比較すると劣るため、添加量が多くなると熱分解により硬化物の電気絶縁性の劣化やガス放出の原因となって、後工程の問題になることがある。また、硬化物がモノエタノールアミン等を主剤とするようなフォトレジスト剥離液に対する耐性が低下することがある。
【0061】
(III)光塩基発生剤の水和物または溶媒和物
本発明による組成物は、以下の一般式(IIIa)で表される光塩基発生剤の水和物または溶媒和物を含んでなる。
【化4】
ここで、xは、1以上6以下の整数である。
R
1〜R
6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモウム基、置換基を含んでもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、置換基を含んでもよい炭素数6〜22の芳香族炭化水素基、置換基を含んでもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、または置換基を含んでもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基である。
これらのうち、R
1〜R
4は、特に水素原子、水酸基、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、または炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、R
5およびR
6は、特に水素原子が好ましい。
R
1〜R
4のうち2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。このとき、その環状構造はヘテロ原子を含んでいてもよい。
Nは含窒素複素環の構成原子であり、その含窒素複素環は1つ以上のヒドロキシアルキル基を有する。このヒドロキシアルキル基は、環のいずれの位置に結合していてもよいが、パラ位またはオルト位に結合していることが好ましい。その含窒素複素環は1つ以上の、前記ヒドロキシアルキルと異なる、置換基を含んでもよい炭素数1〜20、特に1〜6の脂肪族炭化水素基をさらに有していてもよい。含窒素複素環においては、置換基に水酸基を有すると溶解性が上がり沸点が上がるので好ましい。
【0062】
R
1〜R
4は、使用する露光波長により適宜選択することが好ましい。ディスプレイ向け用途においては、例えばg、h、i線に吸収波長をシフトさせるビニル基、アルキニル基などの不飽和炭化水素結合官能基や、アルコキシ基、ニトロ基などが用いられ、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0063】
本発明において、光塩基発生剤は、式(IIIa)で表されるものであれば、特に限定されないが、例えば以下が挙げられる。
【化5】
【0064】
本発明による組成物は、水和または溶媒和された状態で光塩基発生剤を含む。光塩基発生剤を無水物の状態で組成物とした場合には、本発明の効果が十分に発揮されない。ここで、無水物とは、水和も溶媒和もしていない化合物をいうものとする。光塩基発生剤の無水物を水和または溶媒和する方法は特に限定されず公知の方法が利用できる。例えば、光塩基発生剤無水物に対し10倍モル以上の水または溶媒を加え、室温以上の温度で1時間程度撹拌させる。ここで、溶媒和物の場合は、溶媒が光塩基発生剤および水に可溶であり、かつ水より沸点の低いことが望ましく、例えば、THFなどが挙げられる。また、炭素数6以下のアルコールも好ましい。得られた混合物をエバポレータで余分な溶媒を留去して、水和物または溶媒和物を得ることができる。得られた化合物が水和または溶媒和されていることは赤外線吸収スペクトル(IR)、
1H−NMRまたは示唆熱・熱重量分析(TG−DTA)などで確認することが出来る。
また、水または溶媒に光塩基発生剤を無水物の状態で混合および撹拌し、得られた水和物または溶媒和物を単離することなく使用することも可能である。無水物または無溶媒和物をそのまま使用した場合には本発明の効果は発現しないが、無水物に上記操作を行うことで、有意に本発明の効果を生じさせる。
【0065】
本発明による光塩基発生剤に対して、水和に用いられる水または溶媒和に用いられる溶媒の組成比は、ゼロを超えていれば十分な経時安定性を担保できる。具体的には、式(IIIa)の化合物1モルに対して、水または溶媒が0.1モル以上であることが好ましく、1モル以上であることがより好ましい。
【0066】
一般式(IIIa)の化合物は、露光するとシス型に反転し不安定になる為に分解温度が下がり、ベーク温度が100℃程度であってもシロキサンのポリマー触媒として作用する。発生する塩基はシロキサンに組み込まれているフェニル基と主鎖とを分解させることなく、後工程で起こる加熱焼成の際の硬化触媒として寄与する。よって、焼成中にベンゼンを排出することなく望みの形状を得ることができる。
【0067】
光塩基発生剤の添加量は、使用されるポリシロキサンの物性により最適量は異なるが、好ましくはポリシロキサン(H)、(M)および(L)の合計質量に対して0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。光塩基発生剤の添加量が0.01質量%より少ない場合、シラノールの縮合触媒としての機能が十分に発揮されず、硬化縮合の前に熱によるポリマーの熱フローが起こる可能性がある。一方、光塩基発生剤の添加量が10質量%より多い場合、焼成後に得られる膜の透過率を著しく損なう可能性がある。また、レジスト剥離液等の薬品耐性を低下させることがある。
【0068】
(IV)有機溶剤
本発明による組成物は、有機溶剤を含んでなる。
【0069】
有機溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。かかる溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられ、その使用量は塗布方法や塗布後の膜厚の要求によって異なる。
【0070】
例えば、スピン塗布の場合は、感光性シロキサン組成物のうちの固形分の割合が15質量%以上65質量%以下になったりするが、大型基板で使用されるスリット塗布では通常5質量%以上40質量%以下である。本発明のポジ型感光性シロキサン組成物の特性は、溶剤の量により大きく変わるものではない。
【0071】
本発明による組成物は、前記した(I)〜(IV)を必須とするものであるが、必要に応じて更なる化合物を組み合わせることができる。これらの組み合わせることができる材料について説明すると以下の通りである。なお、組成物全体にしめる(I)〜(IV)以外の成分は、全体の質量に対して、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下である。
【0072】
(V)添加剤
本発明による組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、現像液溶解促進剤、スカム除去剤、密着増強剤、重合阻害剤、消泡剤、界面活性剤、または増感剤などが挙げられる。
【0073】
現像液溶解促進剤、またはスカム除去剤は、形成される被膜の現像液に対する溶解性を調整し、また現像後に基板上にスカムが残留するのを防止する作用を有するものである。このような添加剤として、クラウンエーテルを用いることができる。クラウンエーテルとして、最も単純な構造を有するものは、一般式(−CH
2−CH
2−O−)
nで表されるものである。本発明において好ましいものは、これらのうち、nが4〜7のものである。クラウンエーテルは、環を構成する原子総数をx、そのうちに含まれる酸素原子数をyとして、x−クラウン−y−エーテルと呼ばれることがある。本発明においては、x=12、15、18、または21、y=x/3であるクラウンエーテル、ならびにこれらのベンゾ縮合物およびシクロヘキシル縮合物からなる群から選択されるものが好ましい。より好ましいクラウンエーテルの具体例は、21−クラウン−7エーテル、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、12−クラウン−4−エーテル、ジベンゾ−21−クラウン−7−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−15−クラウン−5−エーテル、ジベンゾ−12−クラウン−4−エーテル、ジシクロヘキシル−21−クラウン−7−エーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロヘキシル−15−クラウン−5−エーテル、およびジシクロヘキシル−12−クラウン−4−エーテルである。本発明においては、これらのうち、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテルから選択されるものが最も好ましい。
その添加量はポリシロキサンの総質量100質量部に対して、0.05〜15質量部が好ましく、さらに0.1〜10質量部が好ましい。
【0074】
また、本発明による組成物には、必要に応じ界面活性剤が含有されてもよい。界面活性剤は、塗布特性、現像性等の向上を目的として添加される。本発明で使用することのできる界面活性剤としては、例えば非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0075】
上記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシ脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシピロピレンブロックポリマー、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンアルコールのポリエトキシレート、アセチレングリコールのポリエトキシレートなどのアセチレングリコール誘導体、フッ素含有界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M(株)製)、メガファック(商品名、DIC(株)製)、スルフロン(商品名、旭硝子(株)製)、または有機シロキサン界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業(株)製)などが挙げられる。前記アセチレングリコールとしては、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0076】
またアニオン系界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸のアンモニウム塩または有機アミン塩、アルキル硫酸のアンモニウム塩または有機アミン塩などが挙げられる。
【0077】
さらに両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、ラウリル酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインなどが挙げられる。
【0078】
これら界面活性剤は、単独でまたは2種以上混合して使用することができ、その配合量は、本発明の感光性シロキサン組成物に対し、通常50〜5,000ppm、好ましくは100〜3,000ppmである。
【0079】
また、本発明の感光性シロキサン組成物には、必要に応じ増感剤を添加することができる。本発明のポジ型感光性シロキサン組成物で好ましく用いられる増感剤としては、クマリン、ケトクマリンおよびそれらの誘導体、チオピリリウム塩、アセトフェノン類等、具体的には、p−ビス(o−メチルスチリル)ベンゼン、7−ジメチルアミノ−4−メチルキノロン−2、7−アミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−ピリジルメチルヨージド、7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−メチルキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、7−ジエチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−ジメチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、7−エチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−カルボエトキシキノリジノ−<9,9a,1−gh>クマリン、3−(2’−N−メチルベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、N−メチル−4−トリフルオロメチルピペリジノ−<3,2−g>クマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−ベンゾチアゾリルエチルヨージド、3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、並びに下記化学式(Va)で表されるピリリウム塩およびチオピリリウム塩などの増感色素が挙げられる。増感色素の添加により、高圧水銀灯(360〜430nm)などの安価な光源を用いたパターニングが可能となる。
【0081】
また、増感剤として、アントラセン骨格含有化合物を用いることもできる。具体的には、下記一般式(VIb)で表される化合物が挙げられる。
【化7】
式中、R
31はそれぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基、およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択される置換基を示し、R
32はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、およびカルボアルコキシ基からなる群から選択される置換基を示し、kはそれぞれ独立に0、1〜4から選ばれる整数である。
【0082】
このようなアントラセン骨格を有する増感剤を使用する場合、その添加量はポリシロキサンの総質量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
【0083】
重合阻害剤としては、ニトロン、ニトロキシドラジカル、ヒドロキノン、カテコール、フェノチアジン、フェノキサジン、ヒンダードアミンおよびこれらの誘導体の他、紫外線吸収剤を添加することが出来る。その中でもカテコール、4−t−ブチルカテコール、3−メトキシカテコール、フェノチアジン、クロルプロマジン、フェノキサジン、ヒンダードアミンとして、TINUVIN 144、292、5100(BASF社製)、紫外線吸収剤として、TINUVIN 326、328、384−2、400、477(BASF社製)が好ましい。これらは単独または複数を組み合わせて使用することができ、その添加量はポリシロキサンの総質量100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましい。
【0084】
消泡剤としては、アルコール(C
1〜
18)、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、グリセリンモノラウリレート等の高級脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)(Mn200〜10,000)、ポリプロピレングリコール(PPG)(Mn200〜10,000)等のポリエーテル、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル等のシリコーン化合物、および下記に詳細を示す有機シロキサン系界面活性剤が挙げられる。これらは単独または複数を組み合わせて使用することができ、その添加量はポリシロキサンの総質量100質量部に対して、0.1〜3質量部とすることが好ましい。
【0085】
密着増強剤は、本発明による組成物を用いて硬化膜を形成させたときに、焼成後にかかる応力によりパターンが剥がれることを防ぐ効果を有する。密着増強剤としては、イミダゾール類やシランカップリング剤などが好ましく、イミダゾール類では、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシエチルベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−アミノイミダゾールが好ましく、2−ヒドロキシベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−ヒドロキシイミダゾール、イミダゾールが特に好ましく用いられる。
これらは単独または複数を組み合わせて使用することができ、その添加量はポリシロキサンの総質量100質量部に対して、0.05〜15質量部とすることが好ましい。
【0086】
本発明における組成物の塗膜の形成は、一般的な塗布方法、即ち、浸漬塗布、ロールコート、バーコート、刷毛塗り、スプレーコート、ドクターコート、フローコート、スピンコート、スリット塗布等、従来感光性シロキサン組成物の塗布方法として知られた任意の方法により行うことができる。また基材としては、シリコン基板、ガラス基板、樹脂フィルム等の適当な基板上で行うことができる。基材がフィルムである場合には、グラビア塗布も可能である。所望により塗膜の乾燥工程を別に設けることもできる。塗膜は、必要に応じて1回または2回以上繰り返して塗布することにより所望の膜厚とすることができる。
【0087】
本発明の感光性シロキサン組成物の塗膜を形成した後、その塗膜の乾燥、および溶剤残存量を減少させるため、その塗膜をプリベーク(加熱処理)することが好ましい。プリベーク工程は、一般に70〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度で、ホットプレートによる場合には10〜180秒間、好ましくは30〜90秒間、クリーンオーブンによる場合には1〜30分間実施することができる。
【0088】
本発明のポジ型感光性シロキサン組成物のパターン形成方法について説明する。所望のパターンは、当該ポジ型感光性シロキサン組成物の塗膜を形成し、プリベーク処理した後、該塗膜に光をパターン状に照射する。このような光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライド、キセノン等のランプやレーザーダイオード、LED等を使用することができる。照射光としてはg線、h線、i線などの紫外線が通常用いられる。半導体のような超微細加工を除き、数μmから数十μmのパターニングでは360〜430nmの光(高圧水銀灯)を使用することが一般的である。中でも、液晶表示装置の場合には430nmの光を使用することが多い。このような場合に、本発明の感光性シロキサン組成物に増感色素を組み合わせると有利であることは上述した通りである。照射光のエネルギーは、光源や初期の膜厚にもよるが、一般に10〜2000mJ/cm
2、好ましくは20〜1000mJ/cm
2とする。照射光エネルギーが10mJ/cm
2よりも低いと組成物が十分に分解せず、反対に2000mJ/cm
2よりも高いと、露光過多となり、ハレーションの発生を招く場合がある。
【0089】
パターン状に照射するためには一般的なフォトマスクを使用すればよく、そのようなフォトマスクについては当業者であれば周知である。照射の際の環境は、一般に周囲雰囲気(大気中)や窒素雰囲気とすればよい。また、全面に膜を形成する場合には、全面露光すればよい。本発明においては、パターン膜とは、このような全面に膜が形成された場合をも含むものである。
【0090】
また、現像の際に用いられる現像液としては、従来知られている感光性シロキサン組成物の現像に用いられている任意の現像液を用いることができる。好ましい現像液としては、水酸化テトラアルキルアンモニウム、コリン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属メタ珪酸塩(水和物)、アルカリ金属燐酸塩(水和物)、アンモニア水、アルキルアミン、アルカノールアミン、複素環式アミンなどのアルカリ性化合物の水溶液であるアルカリ現像液が挙げられ、特に好ましいアルカリ現像液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液である。これらアルカリ現像液には、必要に応じ更にメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶剤、あるいは界面活性剤が含まれていてもよい。アルカリ現像液により現像が行われた後には、通常水洗がなされる。その後、透明膜として使用する場合は、ブリーチング露光を行うことが好ましい。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のジアゾナフトキノン誘導体が光分解して、膜の光透明性がさらに向上する。ブリーチング露光の方法としては、PLAなどの紫外可視露光機を用い、100〜2,000mJ/cm
2程度(波長365nm露光量換算)を全面に露光する。
【0091】
現像後、パターン膜を加熱することにより、塗膜の硬化が行われる。加熱条件としては、塗膜の硬化が行える如何なる温度であってもよく、通常150〜400℃であり、好ましくは200〜350℃である。150℃以下では、未反応のシラノール基が残存し、十分な薬品耐性を示さない。また、シラノール基の極性は、高い誘電率を誘起させる。したがって、誘電率を下げる場合は200℃以上で硬化させることが好ましい。
【0092】
こうして得られた架橋硬化膜は、400℃以上の耐熱性を有し、また膜の光透過率は95%以上、比誘電率も4以下、好ましくは3.3以下である。このため、アクリル系材料にはない光透過率、比誘電率特性を有しており、フラットパネルディスプレー(FPD)など、前記したような各種素子の平坦化膜や層間絶縁膜、透明保護膜などとして、さらには、低温ポリシリコン用層間絶縁膜あるいはICチップ用バッファーコート膜などとして、多方面で好適に利用することができる。また、硬化物を光学デバイス材料などとして用いることもできる。
【実施例】
【0093】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例、比較例により何ら限定されるものではない。
【0094】
<合成例>
先ず、本発明のポリシロキサンの合成例を以下に示す。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、HLC−8220GPC型高速GPCシステム(商品名、東ソー株式会社製)およびSuper Multipore HZ−N型GPCカラム(商品名、東ソー株式会社製)2本を用いて測定した。測定は、単分散ポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを展開溶媒として、流量0.6ミリリットル/分、カラム温度40℃の分析条件で行った。
【0095】
<合成例1(ポリシロキサン(H)の合成:アルカリ触媒合成)>
撹拌機、温度計、冷却管を備えた2Lのフラスコに、25質量%TMAH水溶液39.2g、イソプロピルアルコール(IPA)800ml、水2.0gを仕込み、次いで滴下ロートにフェニルトリメトキシシラン39.7g、メチルトリメトキシシラン34.1g、テトラメトキシシラン7.6gの混合溶液を調整した。その混合溶液を10℃にて前記フラスコ内に滴下し、同温で3時間撹拌した後、10%HCl水溶液を加え中和した。中和液にトルエン400ml、水100mlを添加し、2層に分離させ、得られた有機層を減圧下濃縮することで溶媒を除去し、濃縮物に固形分濃度40質量%となるようにPGMEAを添加調整した。
【0096】
得られたポリシロキサンの分子量(ポリスチレン換算)をGPCにて測定したところ、質量平均分子量(以下「Mw」と略記することがある。)=1,400であった。また、得られた樹脂溶液をシリコンウエハにプリベーク後の膜厚が2μmになるようにスピンコーター(MS−A100(ミカサ製))により塗布し、プリベーク後1.19%TMAH水溶液に対する溶解速度(以下「ADR」と略記することがある。)を測定したところ、700Å/秒であった。
【0097】
<合成例2(ポリシロキサン(M)の合成:アルカリ触媒合成)>
TMAH水溶液を32.5gに変更した他は合成例1と同様に合成した。
【0098】
得られたポリシロキサンの分子量(ポリスチレン換算)をGPCにて測定したところ、Mw=1,850であった。また、得られた樹脂溶液をシリコンウエハにプリベーク後の膜厚が2μmになるようにスピンコーターにより塗布し、プリベーク後2.38%TMAH水溶液に対するADRを測定したところ、1,200Å/秒であった。
【0099】
<合成例3(ポリシロキサン(L)の合成:アルカリ触媒合成)>
TMAH水溶液を25.5gに変更した他は合成例1と同様に合成した。
【0100】
得られたポリシロキサンの分子量(ポリスチレン換算)をGPCにて測定したところ、Mw=2,800であった。また、得られた樹脂溶液をシリコンウエハにプリベーク後の膜厚が2μmになるようにスピンコーターにより塗布し、プリベーク後5%TMAH水溶液に対するADRを測定したところ、420Å/秒であった。
【0101】
<実施例1(ポジ型感光性シロキサン組成物)>
ポリシロキサン溶液の固形分換算で(H):(M):(L)=(20質量%):(30質量%):(50質量%)の割合で混ぜた後、ポリシロキサン混合物を40%のPGMEA:ガンマブチロラクトン9:1の溶液に調整し、4−4’−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェノール)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノールのジアゾナフトキノン2.0モル変性体(以下「PAC」と略す。)をポリシロキサン溶液に対して6質量%、光塩基発生剤として3−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1−(1−(4−ヒドロキシメチルピぺリジン))−2−プロペン−1−オン(PBG−1)の1水和物をポリシロキサン溶液に対して1質量%添加した。また界面活性剤として信越化学工業社製AKS−10を、ポリシロキサン溶液に対して0.1質量%加え、感光性シロキサン組成物を得た。
【0102】
この感光性シロキサン組成物を、スピンコートにてシリコンウエハ上に塗布し、塗布後ホットプレート上100℃で90秒間プリベークし、1μmの膜厚になるように調整した。プリベーク後、ニコンFX−604(NA=0.1)のg、h線露光機を用い150mJ/cm
2で露光し、2.38%TMAH水溶液で100秒間現像後、純水によるリンスを行った。その後、SEM観察を行うことにより、3μmのラインアンドスペース(L/S)パターンおよびコンタクトホール(C/H)パターンが、残渣等なく抜けていることが確認された。
【0103】
(経時安定性評価)
3μmのライン&スペース幅が1:1の線幅になる露光量を組成物の必要露光量をし、5℃で30日間保管後の必要露光量が±5%増減範囲、またはパターンの線幅が±5%増減していなければ保存安定性に問題なしと判断した。
当該感光性シロキサン組成物では感度、パターン形状の変化は見られなかった。
【0104】
(芳香族由来成分の評価)
シリコン基板上に各ポジ型感光性組成物の溶液をそれぞれスピンナーにより塗布し、塗布膜厚が0.6μmの塗膜を形成した。この塗膜について、シリコンウェハー表面微量有機化合物分析装置(SWA256型、ジーエルサイエンス株式会社製)、および質量分析装置(HP7890B/5977A型アジレント・テクノロジー株式会社製)により分析を行った。300℃まで2時間かけて徐々に昇温させ、0.6μmの塗膜から発生するベンゼンに関するピーク面積を求めた。測定結果は表1の通りであった。なお、この値が低いとき、硬化膜の芳香族基由来の成分の発生量が少なく、硬化膜の芳香族基由来アウトガス成分の発生は低いと判断できる。
【0105】
誘電率測定は、Solid State Measurements社495を用いて水銀プローブ法で行った。比誘電率は、水銀プローブ方式のキャパシタンス測定装置495型(Solid State Instrument社製)を用い、測定周波数100KHzでC−V測定を実施し、得られた飽和キャパシタンスより算出した。このとき、測定サンプルの調製は、当該感光性シロキサン組成物をスピンコートにてシリコンウエハ上に塗布し、塗布後ホットプレート上100℃で90秒間プリベークし、0.5μmの膜厚に調整した。次に、ニコンFX−604(NA=0.1)のg、h線露光機を用いパターン形成時に照射する露光量(実施例1の場合は320mJ/cm
2)で全面露光した後、露光後再加熱をホットプレート上100℃で90秒間ベークを行い、2.38%TMAH水溶液に30秒間浸漬させ、純水によるリンスを行った後、250℃で焼成硬化させた。得られた硬化物の比誘電率は3.3であった。
【0106】
<実施例2〜12>
実施例1に対して、表1に示す通りに組成およびプロセス条件を変更した組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果は表1−1、1−2に示す通りであった。
【0107】
【表1-1】
【表1-2】
*:PBG3・水和物、PBG4・水和物、およびPBG5・水和物は、1水和物以上である。
露光は、ニコンFX−604(NA=0.1)のg、h線露光機に遮光部、露光部のエリア幅が1:1の線幅のマスクを用いて行った。表中の露光量は、現像後得られたパターンをSEMで観察し、得られた最小パターンの遮光部、露光部のエリア幅が1:1の間隔になったときの露光量を指す。
【0108】
<比較例1〜5>
実施例1に対して、表1に示す通りに組成およびプロセス条件を変更した組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果は表2に示す通りであった。
【表2】
【化8】
【0109】
<比較例6>
比較例1同様の組成物に対し最後に水を光塩基発生剤の10モル倍量を加えて組成物を調整し、実施例1と同様に評価した。得られた結果は表3に示す通りであった。
【表3】