(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-15136(P2017-15136A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】ガスケット、球面継手および排気管
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20161222BHJP
F16J 15/12 20060101ALI20161222BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20161222BHJP
F16L 27/04 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
F16J15/10 L
F16J15/12 H
F01N13/08 E
F16L27/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-130413(P2015-130413)
(22)【出願日】2015年6月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】貝田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄治
(72)【発明者】
【氏名】若松 勇志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】西谷 洋佐
【テーマコード(参考)】
3G004
3H104
3J040
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA01
3G004BA04
3G004DA01
3G004DA11
3G004EA05
3G004FA04
3H104JA03
3H104JC04
3H104JD03
3H104LA03
3H104LA14
3H104LA18
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA16
3J040EA45
3J040FA01
3J040FA11
3J040HA03
3J040HA20
(57)【要約】
【課題】組付作業の作業性に優れ、かつ異音の発生を防止することのできるガスケット、球面継手および排気管を提供する。
【解決手段】ガスケット4は、大径側端面40と、小径側端面41と、球面状の外周面42と、を有する円筒体であり、金網等の補強材および膨張黒鉛等の耐熱材により形成され、自動車の排気管2a、2bを連結する球面継手1に用いられる。ガスケット4の排気管2aが挿入される挿入穴43の内周面44は、排気管2aに対してシメシロとなるシメシロ部45と、排気管2aに対してクリアランスを形成するクリアランス部46とが、円周方向に交互に配置され、これにより径方向に弾性変形可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管に装着されるガスケットであって、
弾性変形可能な補強材および圧縮変形可能な耐熱材により形成され、
前記排気管が挿入される挿入穴の内周面は、前記排気管に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部が円周方向に交互に配置されて、径方向に弾性変形可能に構成されている
ことを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットであって、
前記挿入穴の内周面の径方向断面形状は、
中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成される形状である
ことを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスケットであって、
前記挿入穴の内周面の径方向断面形状は、
前記排気管の中心から所定距離だけオフセットされた点を中心とし、半径が前記排気管の外周面の半径と前記所定距離との合計値に対してマイナス公差となる値に設定された複数の円を、前記排気管の中心の回りに等間隔で配置し、当該複数の円それぞれの前記排気管の外周面との交差線分を接続することにより形成される形状である
ことを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のガスケットであって、
前記シメシロ部のシメシロ量および前記クリアランス部のクリアランス量は、0より大きい1.5mm以下の値に設定されている
ことを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のガスケットであって、
前記ガスケットは、金網を含む補強材と、膨張黒鉛を含む耐熱材と、を有する
ことを特徴とするガスケット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のガスケットであって、
外周面が球面形状である
ことを特徴とするガスケット。
【請求項7】
一方の排気管と他方の排気管とを連結する球面継手であって、
前記一方の排気管の端部に装着される請求項6に記載のガスケットと、
前記他方の排気管の端部に設けられ、前記ガスケットの球面状の外周面と摺接する球面状の内周面を有するガスケット座と、を備える
ことを特徴とする球面継手。
【請求項8】
ガスケットが装着される排気管であって、
前記排気管の前記ガスケットが装着される部分の外周面は、前記ガスケットの内周面に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部が円周方向に交互に配置されている
ことを特徴とする排気管。
【請求項9】
請求項8に記載の排気管であって、
前記排気管の前記ガスケットが装着される部分の外周面の径方向断面形状は、
中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成される形状である
ことを特徴とする排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスケットおよび排気管に関し、特に、自動車の排気管同士を連結する球面継手に好適なガスケットおよび排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排気システムでは、排気管同士を球面継手で連結し、エンジンから排気管に伝わる振動を球面継手により減衰させて、この振動が車体に伝わるのを抑制している。特許文献1には、自動車の排気管同士を連結する球面継手に好適なガスケットが開示されている。
【0003】
このガスケット(球帯状シール)は、球面状の外周面を有する円筒体であり、連結する排気管同士の一方の排気管の端部に装着され、他方の排気管の端部に設けられたガスケット座(凹球面シール座)の球面状の内周面と摺接する。また、ガスケットの内周面には、円周方向に等間隔に配置された複数のリブが軸方向に沿って形成されている。これらのリブは、膨張黒鉛等の圧縮変形可能な耐熱材で形成され、ガスケットを排気管に装着する際に潰れる。このため、ガスケットを排気管に装着すると、リブが排気管と確実に接触して、ガスケットの排気管からの脱落が防止される。したがって、特許文献1に記載のガスケットによれば、排気管への組付作業を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−185648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排気システムには、エンジンから排気管に伝わる振動、走行中に車体を介して路面から排気管に伝わる振動等により、様々な方向の応力が加わる。そして、球面継手により連結される排気管同士にねじり応力が加わると、排気管に装着されたガスケットが回転して、異音を発生させることがある。特許文献1に記載のガスケットにおいて、この問題を解決するためには、ガスケットの内周面に形成されるリブの数を増やすか、より硬度の高い耐熱材でリブを形成して、排気管に装着されたガスケットの円周方向のフリクションを増やす必要がある。しかしながら、これに伴い、ガスケットを排気管に装着する際の軸方向のフリクションも増大する。その結果、ガスケットを排気管に装着するために、インパクト等の工具を用いて高い圧力を加えなければならず、排気管への組付作業の作業性が悪化する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組付作業の作業性に優れ、かつ異音の発生を防止することのできるガスケット、球面継手、および排気管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のガスケットは、金網等の弾性変形可能な補強材および膨張黒鉛等の圧縮変形可能な耐熱材を用いた。また、ガスケットの排気管が挿入される挿入穴の内周面を、排気管に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部を円周方向に交互に配置して、径方向に弾性変形可能に構成した。例えば、挿入穴の内周面の径方向断面形状を、中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成される形状とした。
【0008】
例えば、本発明は、排気管に装着されるガスケットであって、
弾性変形可能な補強材および圧縮変形可能な耐熱材により形成され、
前記排気管が挿入される挿入穴の内周面は、前記排気管に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部が円周方向に交互に配置されて、径方向に弾性変形可能に構成されている。
【0009】
また、本発明は、一方の排気管と他方の排気管とを連結する球面継手であって、
前記一方の排気管の端部に装着され、球面状の外周面を有する前記ガスケットと、
前記他方の排気管の端部に設けられ、前記ガスケットの球面状の外周面と摺接する球面状の内周面を有するガスケット座と、を備える。
【0010】
また、本発明の排気管は、ガスケットが装着される部分の外周面を、ガスケットの内周面に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部を円周方向に交互に配置して、径方向に弾性変形可能に構成した。例えば、排気管のガスケットが装着される部分の外周面の径方向断面形状を、中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成される形状とした。
【0011】
例えば、本発明は、ガスケットが装着される排気管であって、
前記排気管の前記ガスケットが装着される部分の外周面は、前記ガスケットの内周面に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部が円周方向に交互に配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ガスケットに金網等の弾性変形可能な補強材および膨張黒鉛等の圧縮変形可能な耐熱材を用いるとともに、ガスケットの排気管が挿入される挿入穴の内周面を、排気管に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部を円周方向に交互に配置して、径方向に弾性変形可能に構成している。あるいは、排気管のガスケットが装着される部分の外周面を、ガスケットの挿入穴の内周面に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部が円周方向に交互に配置して、径方向に弾性変形可能に構成している。このため、ガスケットを排気管に装着する際に、ガスケットの内周面が径方向外方に拡大して、あるいは排気管のガスケットが装着される部分の外周面が径方向内方に縮小して、容易に装着できるとともに、装着後は、ガスケットの内周面が径方向内方に縮小する方向に復元力が作用し、あるいは排気管のガスケットが装着される部分の外周面が径方向外方に拡大する方向に復元力が作用し、排気管に装着されたガスケットの円周方向のフリクションが増大して、連結される排気管同士にねじり応力が加わった場合にガスケットが回転するのを防止することができる。したがって、本発明によれば、組付作業の作業性に優れ、かつ異音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る球面継手1の断面図である。
【
図2】
図2は、球面継手1の動作原理を説明するための図である。
【
図3】
図3(A)は、ガスケット4の正面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示すガスケット4のA−A断面図であり、
図3(C)は、ガスケット4の背面図である。
【
図4】
図4は、ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る球面継手1の断面図である。
【0016】
本実施の形態に係る球面継手1は、自動車の排気管2a、2bを連結するために用いられる。図示するように、球面継手1は、エンジン側の排気管2aに取り付けられたフランジ3およびガスケット4と、リアマフラー側の排気管2bに取り付けられたフランジ付きガスケット座5と、排気管2a、2bを連結するバネ付きボルト6およびナット7と、を備えている。
【0017】
フランジ3は、排気管2aに装着され、排気管2aの端部20aからガスケット4の軸O方向の長さLだけ軸方向内方の位置において、溶接等によって排気管2aに固定される。また、フランジ3には、バネ付きボルト6を挿入するためのボルト孔30が形成されている。
【0018】
ガスケット4は、大径側端面40と、小径側端面41と、球面状の外周面42と、を有する円筒体であり、大径側端面40がフランジ3と当接し、小径側端面41が排気管2aの端部20aと面一となるか、あるいは端部20aより突出するように、排気管2aに装着される。また、ガスケット4は、金網等の補強材および膨張黒鉛等の耐熱材により形成される。
【0019】
フランジ付きガスケット座5は、大径開口部50と、小径開口部51と、ガスケットの外周面42と略同径の球面状の内周面52と、軸O方向に沿って小径開口部51と一体的に形成され、排気管2bが挿入される円筒部53と、大径開口部50から径方向外方に向けて大径開口部52と一体的に形成されたフランジ54と、を有する。円筒部53は、小径開口部51が排気管2bの端部20bと面一となるか、あるいは端部20bより突出するように排気管2aに装着された状態で、溶接等によって排気管2bに固定される。フランジ54には、バネ付きボルト6を挿入するためのボルト孔55が形成されている。
【0020】
バネ付きボルト6は、フランジ3のボルト孔30およびフランジ54のボルト孔55を介してナット7と螺合することにより、ガスケット4の球面状の外周面42を、フランジ付きガスケット座5の球面状の内周面52に押し当てる方向に付勢しながら、排気管2a、2bを連結する。
【0021】
ガスケット4の球面状の外周面42およびフランジ付きガスケット座5の球面状の内周面52は、バネ付きボルト6およびナット7によって排気管2a、2bが連結されることにより、互いに接触する。そして、この互いに接触するガスケット4の球面状の外周面42およびフランジ付きガスケット座5の球面状の内周面52の最大静止摩擦力は、外周面42および内周面52の摩擦特性と、バネ付きボルト6およびナット7による付勢力(外周面42を内周面52へ押し当てる力)と、により決定される。
【0022】
なお、
図1に示す球面継手1では、フランジ3を排気管2aに溶接等により固定しているが、フランジ3を排気管2aに一体的に形成してもよい。同様に、フランジ付きガスケット座5を排気管2bに溶接等により固定しているが、フランジ付きガスケット座5を排気管2bに一体的に形成してもよい。
【0023】
図2は、球面継手1の動作原理を説明するための図である。
【0024】
図示するように、球面継手1は、互いに接触するガスケット4の外周面43とフランジ付きガスケット座5の内周面52との間に最大静止摩擦力を発生させるトルクT(内周面52により特定される球の中心Cを回転中心とするトルク)以上の曲げモーメントが生じた場合に摺動が発生する。これにより、球面継手2よりエンジン側の排気管2aからリアマフラー側の排気管2bへ伝わる振動を減衰させることができる。
【0025】
つぎに、ガスケット4について、より詳細に説明する。
【0026】
図3(A)は、ガスケット4の正面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示すガスケット4のA−A断面図であり、
図3(C)は、ガスケット4の背面図である。
【0027】
上述したように、ガスケット4は、大径側端面40と、小径側端面41と、球面状の外周面42と、を有する円筒体であり、金網等の補強材および膨張黒鉛等の耐熱材により形成される。また、図示するように、排気管2aが挿入される挿入穴43の内周面44は、排気管2aに対してシメシロとなるシメシロ部45と、排気管2aに対してクリアランスを形成するクリアランス部46とが、円周方向に交互に配置されて、径方向に弾性変形可能に構成されている。
【0028】
図4は、ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を説明するための図である。
【0029】
図4に示すガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状は、中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成される。この形状は、つぎのようにして決定される。まず、排気管2aの中心Oから所定距離dだけオフセットされた点Pa〜Pfを中心とし、半径r1が排気管2aの外周面21aの半径r2と所定距離dとの合計値r2+dに対してマイナス公差となる値に設定された複数の円8a〜8fを、排気管2aの中心Oの回りに等間隔で配置する。つぎに、これらの円8a〜8fそれぞれの排気管2aの外周面21aとの交差線分80a〜80fを、それぞれ円周方向に隣接する線分80a〜80fとの交点81a〜81fで接続する。これにより、形成される形状をガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状とする。
【0030】
ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を
図4に示す形状とすることにより、交点81a〜81fを含む部分がクリアランス部46となり、交差線分80a〜80fの排気管2aの外周面21aより径方向内方に位置する部分82a〜82bがシメシロ部45となって、シメシロ部45およびクリアランス部46が円周方向に交互に配置される(
図3参照)。なお、シメシロ部45のシメシロ量およびクリアランス部46のクリアランス量は、0より大きい1.5mm以下の値に設定することが好ましい。
【0031】
なお、ここでは、中心が排気管2aの中心Oから所定距離dだけオフセットされ、半径r1が排気管2aの外周面21aの半径r2と所定距離dとの合計値r2+dに対してマイナス公差となる値に設定された円として、6個の円8a〜8bを用いているが、円の数は2以上であればよい。
【0032】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0033】
本実施の形態では、ガスケット4に金網等の弾性変形可能な補強材および膨張黒鉛等の圧縮変形可能な耐熱材を用いるとともに、排気管2aが挿入されるガスケット4の挿入穴43の内周面44を、排気管2aに対してシメシロとなるシメシロ部45およびクリアランスを形成するクリアランス部46を円周方向に交互に配置して、径方向に弾性変形可能に構成している。このため、ガスケット4を排気管2aに装着する際に、ガスケット4の挿入穴43の内周面44が径方向外方に拡大して、容易に装着できるとともに、装着後は、ガスケット4の挿入穴43の内周面44が径方向内方に縮小する方向に復元力が作用し、排気管2aに装着されたガスケット4の円周方向のフリクションが増大して、互いに連結される排気管2a、2bにねじり応力が加わった場合にガスケット4が回転するのを防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、組付作業の作業性に優れ、かつ異音の発生を防止することができる。
【0034】
また、本実施の形態では、ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を、排気管2aの中心Oから所定距離dだけオフセットされた点Pa〜Pfを中心とし、半径r1が排気管2aの外周面21aの半径r2と所定距離dとの合計値r2+dに対してマイナス公差となる値に設定された複数の円8a〜8fを、排気管2aの中心Oの回りに等間隔で配置し、これらの円8a〜8fそれぞれの排気管2aの外周面21aとの交差線分80a〜80fを、それぞれ円周方向に隣接する線分80a〜80fとの交点81a〜81fで接続することにより形成している。これにより、ガスケット4の挿入穴43の内周面44に、シメシロ部45およびクリアランス部46が円周方向に交互に配置され、径方向に弾性変形可能とすることができる。
【0035】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上記の実施の形態では、排気管2aの中心Oから所定距離dだけオフセットされた点Pa〜Pfを中心とし、半径r1が排気管2aの外周面21aの半径r2と所定距離dとの合計値r2+dに対してマイナス公差となる値に設定された複数の円8a〜8fを、排気管2aの中心Oの回りに等間隔で配置し、これらの円8a〜8fそれぞれの排気管2aの外周面21aとの交差線分80a〜80fを、それぞれ円周方向に隣接する線分80a〜80fとの交点81a〜81fで接続することにより、ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を形成している。しかし、本発明はこれに限定されない。ガスケット4の挿入穴43の内周面44は、排気管2aに対してシメシロとなるシメシロ部45およびクリアランスを形成するクリアランス部46が円周方向に交互に配置されて、径方向に弾性変形可能に構成されていればよい。
【0037】
また、上記の実施の形態では、ガスケット4の挿入穴43の内周面44を、排気管2aの円筒形状の外周面に対してシメシロとなるシメシロ部45およびクリアランスを形成するクリアランス部46を円周方向に交互に配置して径方向に弾性変形可能に構成し、このガスケット4を排気管2aに装着している。しかし、本発明はこれに限定されない。ガスケット4の挿入穴43の内周面44を円筒形状にするとともに、排気管2aのガスケット4が装着される部分の外周面を、ガスケット4の挿入穴43の内周面44に対してシメシロとなるシメシロ部およびクリアランスを形成するクリアランス部を円周方向に交互に配置して径方向に弾性変形可能に構成して、この排気管2aにガスケット4を装着してもよい。
【0038】
例えば、排気管2aのガスケット4が装着される部分の外周面を、
図4に示すガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状と同様に、中央部が径方向外方に膨らんだ複数の円弧状線分を接続することにより形成する。この場合、ガスケット4を排気管2aに装着する際に、排気管2aのガスケット4が装着される部分の外周面が径方向内方に縮小して、容易に装着できるとともに、装着後は、排気管2aのガスケット4が装着される部分の外周面が径方向外方に拡大する方向に復元力が作用し、排気管2aに装着されたガスケット4の円周方向のフリクションが増大して、連結される排気管2a、2b同士にねじり応力が加わった場合にガスケット4が回転するのを防止することができる。
【0039】
また、上記の実施の形態では、自動車の排気管2a、2bを連結するために用いられる球面継手1を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガスケットおよび排気管に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1:球面継手、 2a、2b:排気管、 3:フランジ、4:ガスケット、5:フランジ付きガスケット座、 6:バネ付きボルト、 7:ナット、 8a〜8f:ガスケット4の挿入穴43の内周面44の径方向断面形状を構成する円、 20a:排気管2aの端部、 20b:排気管2bの端部、 21a:排気管2aの外周面、 30:フランジ3のボルト孔、 40:ガスケット4の大径側端面、 41:ガスケット4の小径側端面41、 42:ガスケット4の外周面、 43:ガスケット4の挿入穴、 44:挿入穴43の内周面、 45:内周面44のシメシロ部、 46:内周面44のクリアランス部、 50:フランジ付きガスケット座5の大径開口部、 51:フランジ付きガスケット座5の小径開口部、 52:フランジ付きガスケット座5の内周面、 54:フランジ、 55:フランジ54のボルト孔、 80a〜80f:円8a〜8fの排気管2aの外周面21aとの交差線分、 81a〜81f:交差線分80a〜80fの交点、 82a〜82f:交差線分80a〜80fの排気管2aの外周面21aより径方向内方に位置する部分