【解決手段】対象物の走査方向と略直交する方向に沿って設けられた光源から照射され、偏光子によって偏光された光は、ステージに載置された対象物のうちの、第1方向の偏光成分の光が照射される第1領域、及び第1方向と異なる方向である第2方向の偏光成分の光が照射される第2領域の少なくとも一方へ照射される。
前記偏光照射部は、前記偏光子と前記ステージとの間に設けられた第1遮光部であって、前記第1光源から照射された光の一部を遮光する第1遮光板と、前記第2光源から照射された光の一部を遮光する第2遮光板と、を有する第1遮光部を有することを特徴とする請求項2に記載の偏光光照射装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る偏光光照射装置1の概略を示す正面図である。偏光光照射装置1は、例えば、光源からの光を偏光膜を通過させて偏光を得、この偏光をガラス基板等(以下、対象物Wという)の被露光面に照射して、液晶パネル用の配向膜等を生成するものである。特に、対象物Wのダミー領域の活用度を高めるために、1つの対象物W内に、複数の大きさのセル(例えば、ビッグサイズのセルとスモールサイズのセル)を複数個配置するMMG(Multi−Model on Glass)方式の露光をする場合に有用である。
【0022】
以下、対象物Wの搬送方向をy方向とし、搬送方向に直交する方向をx方向とし、鉛直方向をz方向とする。
【0023】
偏光光照射装置1は、主として、偏光照射部10と、ステージ20と、ステージ駆動部30と、を有する。
【0024】
偏光照射部10は、対象物Wに偏光を照射する。偏光照射部10については後に詳述する。
【0025】
ステージ20は、x方向(対象物Wの走査方向と略直交する方向)及びy方向(対象物Wの走査方向)に移動可能に設けられる。ステージ20の上面には、対象物Wが載置される。
【0026】
ステージ駆動部30は、y方向に延設されたステージガイドレール31と、アクチュエータ等を有する駆動部32と、を有する。駆動部32は、ステージガイドレール31(すなわち、走査方向)に沿ってステージ20を移動させる(
図1の太矢印参照)。また、駆動部32は、ステージ20を走査方向(y方向)と略直交するシフト方向(x方向)にシフト量(後に詳述)だけ移動させる。ステージ駆動部30がステージ20を移動させる構成は、すでに公知であるため、説明を省略する。
【0027】
次に、偏光照射部10について詳細に説明する。
図2は、偏光照射部10の概略を示す平面図である。
図3は、偏光照射部10を側面から見たときの概略を示す要部透視図である。
【0028】
偏光照射部10は、主として、光源11と、特定波長透過フィルタ12と、偏光子13と、遮光部14と、リフレクタ15と、を有する。なお、
図2では、特定波長透過フィルタ12及びリフレクタ15の図示を省略している。
【0029】
光源11は、複数のランプ11xを含む。ランプ11xは、棒状であり、偏光していない光(例えば、紫外光)を照射する。ランプ11xとして、光配向処理に必要な短波長紫外光(例えば、254nm波長光)を効率よく発光するロングアークランプを用いることができる。
【0030】
ランプ11xは、長手方向がy方向に沿うように設けられる。複数のランプ11xをx方向に並べて設けることで、x方向に沿って延びる光源列11a、11b、11c、11dが配置される。光源列11a、11b、11c、11dは、y方向に隣接して設けられる。なお、光源列11a、11b、11c、11dのそれぞれに含まれるランプ11xの数は
図2に示す形態に限られない。また、
図2では、光源11は4つの光源列11a、11b、11c、11dを有するが、光源11が有する光源列の数も4つに限られない。
【0031】
ランプ11xから照射された光は、リフレクタ15で反射され、特定波長透過フィルタ12と、偏光子13を通過して、対象物Wに照射される(
図3参照)。
【0032】
光源11の下側(−z側)、すなわち光源11とステージ20との間には、特定波長透過フィルタ12、偏光子13及び遮光部14が設けられる(
図3参照)。特定波長透過フィルタ12及び偏光子13は、1つのランプ11xに対して1個ずつ設けられ、遮光部14は、光源列11a、11d毎に設けられる。
【0033】
特定波長透過フィルタ12は、特定の波長範囲の光だけを透過し、他の波長の光を吸収するようにつくられたフィルタである。特定波長透過フィルタ12は、板状のガラス(石英ガラス等)である透明基板上に、特定の波長範囲の光だけを透過させるバンドパスフィルタのフィルタ層が形成されている。ただし、透明基板上に形成されるフィルタはバンドパスフィルタに限られず、例えばローカットフィルタや反射フィルタであってもよい。
【0034】
偏光子13は、無偏光の光を偏光するものであり、特定波長透過フィルタ12の下側(−z側)に設けられる。偏光子13は、ランプ11x毎に1つずつ設けられてもよいし、ランプ11x毎に2つ以上設けられてもよい。
【0035】
偏光子13としては、入射角度依存性の少ないワイヤーグリッド偏光子が用いられる。ワイヤーグリッド偏光子とは、透明基板13a(
図3参照)の表面に金属線13b(
図3参照)が形成されたものである。金属線13bのピッチを入射する光の波長以下にすることで、金属線13bの長手方向に略平行な偏光成分を反射し、金属線13bの長手方向と略直交する偏光成分を通過させる。金属線13bは、例えばアルミニウムで形成される。
図3においては、金属線13bの長手方向を図示している。
【0036】
偏光子13は、偏光方向が異なる2種類の偏光子13A、13Bを有する。
図3に示すように、偏光子13Aは、金属線13bの長手方向がy方向に沿っており、x方向の偏光成分を通過させる。偏光子13Bは、金属線13bの長手方向がx方向に沿っており、y方向の偏光成分を通過させる。このように、偏光子13A、13Bとは、通過させる偏光成分の方向が異なる。
【0037】
光源列11a、11b、11cに位置するランプ11xの下には、偏光子13Aが設けられる。光源列11dに位置するランプ11xの下には、偏光子13Bが設けられる。図中、偏光光の向きを白抜き矢印で模式的に示す。
【0038】
図2に示すように、異なる偏光子13A、13Bが設けられた光源列11a、11dについては、光源列11a、11dに位置するランプ11xのx方向の位置は同じである。それに対し、同じ偏光子13Aが設けられた光源列である光源列11a、11b、11cについては、光源列11aに位置するランプ11xと、光源列11bに位置するランプ11xと、光源列11cに位置するランプ11xとは、それぞれ所定量(以下、ずれ量Sという)だけx方向にずれている。そして、この所定量に基づいてシフト量が定められる(後に詳述)。
【0039】
なお、偏光子13は、ワイヤーグリッド偏光子に限られず、任意の方向の光のみを透過させる様々な種類の偏光子を用いることができる。
【0040】
遮光部14は、偏光子13を通過した偏光光を遮光して、対象物Wに偏光光が照射されないようにする。
【0041】
遮光部14は、遮光板14aを有する。
図3に示すように、遮光板14aは、偏光子13の下側、すなわち偏光子13とステージ20との間に設けられる。本実施の形態では、2枚の遮光板14aを有し、光源列11a、11dのそれぞれに遮光板14aが1枚ずつ設けられる。
図2に示すように、光源列11aに設けられた遮光板14aは、光源列11aに位置するランプ11xから照射された光の一部を遮光し、光源列11dに設けられた遮光板14aは、光源列11dに位置するランプ11xから照射された光の一部を遮光する。
【0042】
偏光光を効率的に遮光するため、遮光板14aは、対象物Wにできるだけ近い位置に設けられる。本実施の形態では、ランプ11xと対象物Wとの距離が130〜140mm程度であり、遮光板14aと対象物Wとの距離が2mm程度である(
図3参照)。
【0043】
また、遮光部14は、主として、x方向に沿った軸14b(
図2参照)と、遮光板14aを軸14bに沿って移動させるアクチュエータ等の遮光板駆動部14c(
図4参照)と、を有する。したがって、遮光板14aは、光源列11a、11dに沿って(x方向に)移動可能である。
【0044】
図4は、偏光光照射装置1の電気的な構成を示すブロック図である。偏光光照射装置1は、主として、制御部101、記憶部102、入力部103、出力部104を含んで構成される。
【0045】
制御部101は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部102に格納されたプログラムにしたがって動作する。本実施の形態では、この制御部101は、点灯領域(後に詳述)に位置するランプ11xのみを点灯させる光源制御部101a、遮光板駆動部14cを制御する遮光板制御部101b、及び駆動部32を制御するステージ制御部101cとして機能する。制御部101の詳しい動作の内容については、後に詳述する。
【0046】
記憶部102は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等であり、制御部101によって実行されるプログラム等を保持するとともに、制御部101のワークメモリとして動作する。
【0047】
入力部103は、キーボードやマウス等の入力デバイスを含む。本実施の形態では、入力部103から、対象物Wに関する情報が入力される。出力部104は、ディスプレイ等である。
【0048】
このように構成された偏光光照射装置1の作用について説明する。
図5は、偏光光照射装置1の処理の流れを示すフローチャートである。処理を行う前には、ステージ20は
図1に示す初期位置にある。
【0049】
入力部103から対象物Wに関する情報が入力されると、まず、光源制御部101aは、点灯領域を決定し、遮光板制御部101bは、遮光板14aの位置を決定する(ステップS10)。以下、ステップS10の処理について詳細に説明する。
【0050】
対象物Wに関する情報とは、例えば、対象物Wは領域Waと領域Wbとを有し、領域Wa(
図2参照)はy方向に沿った偏光光を照射させる領域であり、領域Wb(
図2参照)はx方向に沿った偏光光を照射させる領域であることを示す情報である。
【0051】
点灯領域は、x方向の位置で表される。光源制御部101aは、光源列11d(y方向の偏光成分が透過)について、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Waのx方向の位置を点灯領域と決定する。また、光源制御部101aは、光源列11a(x方向の偏光成分が透過)について、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Wbのx方向の位置を点灯領域と決定する。
【0052】
記憶部102には、ランプ11xのそれぞれついて番号と位置とを関連付けた情報(ランプ11xについての情報)が記憶されている。光源制御部101aは、ランプ11xについての情報に基づいて、点灯領域に位置するランプ11xがどれであるかを判定することができる。
【0053】
また、遮光板制御部101bは、遮光板14aの端部が点灯領域の境界と略一致し、遮光板14aが点灯領域と重ならない位置を、遮光板14aの位置として決定する。
【0054】
次に、光源制御部101aは、ステップS10で決定された点灯領域に位置するランプ11xを点灯させる(ステップS12)。
図2においては、点灯領域に位置するランプ11xに対して網掛け表示をしている。それと共に、遮光板制御部101bは、遮光板駆動部14cを介して遮光板14aを軸14bに沿って移動させて、ステップS10で決定された位置に遮光板14aを移動させる(ステップS12)。
図2においては、遮光板14aを網掛け表示している。
【0055】
図5の説明に戻る。ステージ制御部101cは、駆動部32を介してステージ20(すなわち、対象物W)を走査方向であるy方向に移動(一往復)させて、偏光照射部10から照射された光を対象物Wの被露光面に照射して配向膜等を生成する露光処理を行う(ステップS14)。
【0056】
図6は、偏光照射部10の一部を模式的に示す図であり、光源列11aに位置するランプ11x、特定波長透過フィルタ12、偏光子13A及び遮光板14aを例示したものである。
図6において、ランプ11xから照射される光を細い2点鎖線で示す。
【0057】
遮光板14aが配置されていない部分については、ランプ11xから照射された光は、特定波長透過フィルタ12及び偏光子13を通過して対象物Wに照射される。それに対し、遮光板14aが配置されている部分については、ランプ11xから照射された光は、特定波長透過フィルタ12及び偏光子13を通過するが、遮光板14aでさえぎられて対象物Wに照射されない。
【0058】
遮光板14aは、端部が点灯領域の境界と略一致し、かつ点灯領域と重ならない位置に設けられているため、点灯領域以外の領域については、対象物Wに偏光光が照射されない。
【0059】
このように、ステップS14では、遮光板14aで遮光されなかった光のみが対象物Wの被露光面に照射される。本実施の形態では、領域Waには、光源列11dから照射された光のうちのy方向の偏光光のみが照射され、それと同時に、領域Wbには、光源列11aから照射された光のうちのx方向の偏光光のみが照射される。なお、露光処理自体は一般的な処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0060】
図5の説明に戻る。ステージ制御部101cは、規定の露光回数だけ露光処理(ステップS14)が行われたか否かを判定する(ステップS16)。露光回数は、シフト量等に基づいて予め定められており、記憶部102に記憶されている。また、シフト量は、ずれ量S(
図2参照)に基づいて予め定められており、記憶部102に記憶されている。例えば、シフト量は、ずれ量Sの1/2の値、ずれ量Sの1/4の値等である。また、例えば、ずれ量Sが144mmであり、シフト量が24mmである場合には、露光回数は6回(=144mm/24mm)である。
【0061】
露光回数だけ露光処理が行われていない場合(ステップS16でNO)には、ステージ制御部101cは、駆動部32を介して、ステージ20をシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS18)。それと共に、遮光板制御部101bは、遮光板駆動部14cを介して、遮光板14aをシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS18)。なお、シフト方向は、予め定められており、記憶部102に記憶されている。
【0062】
そして、ステージ制御部101cは、ステージ20及び遮光板14aをシフト方向にシフト量だけ移動させた状態において、露光処理を行う(ステップS14)。
【0063】
露光回数だけ露光処理が行われた場合(ステップS16でYES)には、ステージ制御部101cは、1枚の対象物Wに対する処理を終了する。
【0064】
ここで、遮光板14aを設け、点灯領域のランプ11xのみ点灯させた場合において、
図5に示す処理により対象物Wがどのように露光されるかについて説明する。
図7は、露光条件(点灯領域、シフト量、シフト方向等)の一例を示す図であり、
図8は、
図7に示す露光条件で対象物Wに偏光光を照射した場合において、対象物Wにおける偏光光の照射量を示す図である。
【0065】
図7においては、x方向が48mm、192mm、336mm及び480mmの位置にランプ11xが設けられている。また、
図7においては、点灯領域はx≧192mmであり、x方向=192mm、336mm及び480mmに位置するランプ11xが点灯されている。
図7では、点灯領域に位置するランプ11xを網掛け表示している。
【0066】
また、遮光板14aは、1回目の露光時(シフト方向に対象物Wが移動されていない場合)において、端部のx方向の位置が192mmとなり、かつ点灯領域と重ならないように(すなわち、遮光板14aのx方向の位置が192mm以下となるように)設けられる。また、
図7は、シフト方向が−x方向、シフト量が24mmで6回露光処理が行われたことを示す。
【0067】
図8の横軸の数字は1回目の露光時における対象物Wのx方向の位置を示す。
図8に示すように、シフト方向に対象物Wが移動されていない状態における点灯領域(xが192mm以上)に相当する領域においては、対象物Wに偏光光が安定して照射されている。それに対し、遮光板14aが設けられている領域に対しては、対象物Wに偏光光が照射されていない。また、遮光板14aが設けられているため、シフト方向に対象物Wが移動されていない状態における点灯領域の端部近傍において、露光量は急激に変化しており、露光量が安定しない領域は狭くなっている。
【0068】
本実施の形態によれば、同一の対象物に対して、異なる方向の偏光光を同時に照射することができる。例えば、ある光源列(例えば、光源列11a)から照射された光を、走査方向と略直交する又は略平行な第1方向の偏光成分を透過させる偏光子(例えば、偏光子13A)を透過させて、対象物Wのある領域(例えば、領域Wa)に照射させることができる。そして、それと同時に、別の光源列(例えば、光源列11d)から照射された光を、第1方向と異なる方向である第2方向の偏光成分を透過させる偏光子(例えば、偏光子13B)を透過させて、対象物Wの領域Waとは異なる領域(例えば、領域Wb)に照射させることができる。これにより、所定の方向である第1方向の偏光成分の光と、第1方向と異なる方向である第2方向の偏光成分の光とを同時に対象物Wに照射し、領域Wa、Wbにおいてそれぞれ向きの異なる配向膜等を同時に生成することができる。例えば、領域Waにスモールサイズのセルを形成し、領域Wbにビッグサイズのセルを形成することで、MMGに対応可能であり、対象物Wのダミー領域の活用度を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、点灯領域に隣接する位置に遮光板14aを設けることで、1枚の対象物Wに対して異なる方向の偏光光を同時に照射する場合に、異なる偏光成分の光を照射させる領域(例えば、領域Wa、Wb)を隣接して設けることができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、点灯領域に位置するランプ11xのみを点灯するため、熱が過度に発生することを防止することができる。これは、長手方向が走査方向に沿って設けられたランプ11xを用いる場合にのみ可能である。
【0071】
また、本実施の形態によれば、長手方向が走査方向に沿って設けられたランプを用いることで、ランプからの光の出射角度θ(
図6参照)を大きし、遮光板が設けられている領域と設けられていない領域との境界における露光量の変化をより急峻にすることができる。その結果、例えば、領域Waに形成するスモールサイズのセルと、領域Wbに形成するビッグサイズのセルとの距離を近くし、より効率的に対象物Wを活用することができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、制御部101が自動的に点灯領域や遮光板14aの位置を決定するため、対象物Wに応じて自動的に露光を行うことができる。
【0073】
なお、本実施の形態では、偏光子13Aが透過させる偏光成分の向きと、偏光子13Bが透過させる偏光成分の向きとは略直交するが、それぞれの偏光子が透過させる偏光の成分はこれに限られない。例えば、光源列11a、11b、11cの下側に設けられる偏光子は、走査方向と略直交する方向(又は、略平行な方向)の偏光成分を通過させ、光源列11dの下側に設けられる偏光子は、走査方向と略直交する方向(又は、略平行な方向)から5度〜10度程度傾いた方向の偏光成分を通過させてもよい。また、光源列11a、11b、11cの下側に設けられる偏光子は、走査方向と略直交する方向又は略平行な方向でもよいし、走査方向と関係のない所定の方向でもよい。そして、この所定の方向は、対象物Wに形成するパネル(セル)の仕様に基づいて定めることができる。
【0074】
また、本実施の形態では、制御部101が対象物Wに関する情報に基づいて点灯領域及び遮光板14aの位置を決定したが、点灯領域や遮光板14aの位置を作業者が決定し、記憶部102に記憶させても良い。また、本実施の形態では、制御部101が点灯領域にあるランプ11xを自動的に点灯し、遮光板14aを自動的に移動させたが、作業者が手動で点灯領域のランプ11xを点灯させたり、作業者が手動で遮光板14aを配置したりしてもよい。
【0075】
<第1の実施の形態の変形例1>
すでに説明したように、偏光光照射装置1は、対象物Wに同時に異なる方向の偏光光を照射することで、領域Wa、Wbにおいてそれぞれ向きの異なる配向膜等を同時に生成したが、1方向の偏光光のみを対象物Wに照射することもできる。
【0076】
図9は、偏光照射部10を用いて1方向の偏光光のみを対象物Wに照射する場合について説明する図である。
【0077】
遮光板14aを光源列11a、11dのランプ11xと重ならない位置まで移動させ、光源列11a、11b、11cのランプ11xを点灯させる(
図9網掛け表示参照)。これにより、偏光子13Aを通過したx方向の偏光光のみを対象物Wに照射させることができる。
【0078】
このように、偏光光照射装置1は、異なる方向の偏光光を同時に照射することもできるし、1方向の偏光光のみを照射させることもできる。なお、1方向の偏光光のみを照射させる場合についても、処理の流れは
図5に示す場合と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、各光源列11a、11dにそれぞれ遮光板14aを1枚ずつ用いたが、遮光板14aの数はこれに限られない。
【0080】
第2の実施の形態は、各光源列11a、11dにそれぞれ複数の遮光板14aを用いる形態である。以下、第2の実施の形態の偏光光照射装置について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第2の実施の形態の偏光光照射装置との差異は、遮光板14aの数のみであるため、以下、第2の実施の形態の偏光光照射装置における偏光照射部10Aについてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0081】
図10は、偏光照射部10Aについて説明する図である。偏光照射部10Aは、主として、光源11と、特定波長透過フィルタ12(図示省略)と、偏光子13と、遮光部14Aと、リフレクタ15(図示省略)と、を有する。遮光部14Aは、各光源列11a、11dにそれぞれ3枚ずつ設けられた遮光板14aを有する。
【0082】
光源制御部101aは、光源列11dについて、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Wcのx方向の位置を点灯領域と決定する。また、光源制御部101aは、光源列11aについて、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Wdのx方向の位置を点灯領域と決定する。
図10においては、点灯領域に位置するランプ11xを網掛け表示している。
【0083】
また、遮光板制御部101bは、光源列11aに設けられた遮光板14a及び光源列11dに設けられた遮光板14aの端部が点灯領域の境界と略一致し、遮光板14aが点灯領域と重ならない位置を、遮光板14aの位置として決定する。
図10においては、遮光板14aを網掛け表示している。
【0084】
本実施の形態においても、対象物Wに対して、異なる方向の偏光光を同時に照射することができる。なお、処理の流れは、
図5に示す場合と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
なお、遮光板14aの枚数を多くすることで、
図10における点灯領域以外の領域を全て覆うように遮光板14aを配置することができる。したがって、点灯領域以外の領域を全て遮光板14aで覆う場合には、光源列11a、11dのランプ11xを全て点灯したとしても、点灯領域に位置するランプ11xのみを点灯した場合と同様の効果を得ることができる。
【0086】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、遮光板14aを用いて遮光を行ったが、遮光板は必須ではない。
【0087】
第3の実施の形態は、遮光板14aを用いない形態である。以下、第3の実施の形態の偏光光照射装置について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第3の実施の形態の偏光光照射装置との差異は、遮光部14の有無のみであるため、以下、第3の実施の形態の偏光光照射装置における偏光照射部10Bについてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0088】
図11は、偏光照射部10Bについて説明する図である。偏光照射部10Bは、主として、光源11と、特定波長透過フィルタ12(図示省略)と、偏光子13と、リフレクタ15(図示省略)と、を有する(遮光部14は設けられていない)。
【0089】
図12は、第3の実施の形態の偏光光照射装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
入力部103から対象物Wに関する情報が入力されると、まず、光源制御部101aは、点灯領域を決定する(ステップS11)。例えば、光源制御部101aは、光源列11dについて、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Weのx方向の位置を点灯領域と決定する。また、光源制御部101aは、光源列11aについて、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Wfのx方向の位置を点灯領域と決定する。
【0091】
次に、光源制御部101aは、ステップS10で決定された点灯領域に位置するランプ11xを点灯させる(ステップS13)。
図12においては、点灯領域に位置するランプ11xを網掛け表示している。
【0092】
ステージ制御部101cは露光処理を行い(ステップS14)、規定の露光回数だけ露光処理が行われたか否かを判定する(ステップS16)。露光回数だけ露光処理が行われていない場合(ステップS16でNO)には、ステージ制御部101cは、駆動部32を介して、ステージ20をシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS19)。そして、ステージ制御部101cは、ステージ20をシフト方向にシフト量だけ移動させた状態において、露光処理を行う(ステップS14)。
【0093】
露光回数だけ露光処理が行われた場合(ステップS16でYES)には、ステージ制御部101cは、1枚の対象物Wに対する処理を終了する。
【0094】
本実施の形態においても、対象物Wに対して、異なる方向の偏光光を同時に照射することができる。ただし、本実施の形態においては、遮光板14aを設けないため、異なる方向の偏光光を照射させる領域We、Wfを隣接させることができない。したがって、効率的に配向膜等を生成するためには、遮光板14aを設けることが望ましい。また、領域We、Wfをできるだけ近くするためには、ランプ11xからの出射角度θ(
図6参照)をできるだけ大きく(例えば、略45度以下)することが望ましい。そして、ランプ11xからの出射角度θをできるだけ大きくするためには、長手方向がy方向に沿うように設けた棒状のランプ11xを、x方向に複数並べてx方向に沿って延びる光源列11a、11b、11c、11dとした光源11を用いることが望ましい。
【0095】
<第4の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、長手方向がy方向に沿うように設けられたランプ11xをx方向に複数並べて光源列を形成したが、光源の形態はこれに限られない。
【0096】
第4の実施の形態は、x方向に沿った長いランプを用いる形態である。以下、第4の実施の形態の偏光光照射装置について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第4の実施の形態の偏光光照射装置との差異は、光源の形態のみであるため、以下、第4の実施の形態の偏光光照射装置における偏光照射部10Cについてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0097】
図13は、偏光照射部10Cについて説明する図である。偏光照射部10Cは、主として、光源11Aと、特定波長透過フィルタ12(図示省略)と、偏光子13と、遮光部14Bと、リフレクタ15(図示省略)と、を有する。
【0098】
光源11Aは、x方向に沿って設けられたランプ11yを2本有する。2本のランプ11yは、y方向に隣接して設けられる。なお、ランプ11yの本数は2本に限られない。
【0099】
ランプ11yの下側には、複数の偏光子13A、13Bが隣接して設けられる。遮光部14Bは、2本のランプ11yに対してそれぞれ設けられた複数の遮光板14aと、軸14bと、を有する。
【0100】
第3の実施の形態の偏光光照射装置においては、入力部103から対象物Wに関する情報が入力されると、遮光板制御部101bは、対象物Wに関する情報に基づいて遮光板14aの位置を決定し、決定された位置へと遮光板14aを移動させる。なお、
図13においては、遮光板14aに対して網掛け表示をしている。
【0101】
次に、光源制御部101aはランプ11yを点灯し、ステージ制御部101cは露光処理を行う。
【0102】
本実施の形態においても、対象物Wに対して、異なる方向の偏光光を同時に照射することができる。なお、本実施の形態では、光源制御部101aは無くてもよい。また、ランプ11yから照射された光を遮光するため、遮光板14aを多数設けることが望ましい。
【0103】
また、本実施の形態においても、遮光板14aをランプ11yと重ならない位置まで移動させ、一方のランプ11yのみを点灯させることにより、偏光子13A又は偏光子13Bを通過した1方向の偏光光のみを対象物Wに照射させることができる。
【0104】
<第5の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、所定の方向である第1方向の偏光成分の光と、第1方向と異なる方向である第2方向の偏光成分の光とを同時に対象物Wに照射して、対象物Wに領域Wa、Wbを同時に生成したが、第1方向の偏光成分の光と第2方向の偏光成分の光とを同時に対象物Wに照射しなくても、第1方向の偏光成分の光が照射される領域と、第2方向の偏光成分の光が照射される領域とを対象物Wに生成することができる。
【0105】
第5の実施の形態は、第1方向の偏光成分の光が照射された領域と、第2方向の偏光成分の光が照射された領域とを、別個の露光動作により対象物Wに生成する形態である。以下、第5の実施の形態の偏光光照射装置2について説明する。第1の実施の形態の偏光光照射装置1と、第5の実施の形態の偏光光照射装置2とで同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0106】
図14は、偏光光照射装置2の概略を示す正面図である。偏光光照射装置2は、主として、偏光照射部10Dと、ステージ20と、ステージ駆動部30Aと、を有する。偏光光照射装置2は、偏光照射部10Dの両側に2個のステージ20が設けられている。
【0107】
偏光照射部10Dは、対象物Wに偏光を照射する。偏光照射部10Dについては後に詳述する。ステージ20は、第1の位置と第2の位置との間で回転可能に設けられる。ステージ駆動部30Aは、ステージガイドレール31と、駆動部32と、ステージ20をxy平面に沿って回転させる回転駆動部33と、を有する。回転駆動部33は、図示しない回動軸とアクチュエータ等を有し、ステージ20を第1の位置と第2の位置との間で略90度回転させる。なお、ステージ20を回転させる構成は、すでに公知であるため、説明を省略する。また、ステージ20を回転させる角度は略90度に限定されない。
【0108】
次に、偏光照射部10Dについて詳細に説明する。
図15は、偏光照射部10Dの概略を示す平面図である。
図16は、偏光照射部10Dを側面から見たときの概略を示す要部透視図である。
【0109】
偏光照射部10は、主として、光源11Bと、特定波長透過フィルタ12と、偏光子13Aと、遮光部14Cと、リフレクタ15と、を有する。なお、
図15では、特定波長透過フィルタ12、偏光子13A及びリフレクタ15の図示を省略している。
【0110】
光源11Bは、長手方向がy方向に沿うように設けられた複数のランプ11xを含む。複数のランプ11xをx方向に並べて設けることで、x方向に沿って延びる光源列11e、11f、11g、11hが配置される。光源列11e、11f、11g、11hは、y方向に隣接して設けられる。積算照射量を均一化するため、4列の光源列11e、11f、11g、11hの間のずれ量Sは、各光源列11e、11f、11g、11hにおけるランプ11x間の距離Lの4分の1である。例えば、距離Lが144mmの場合は、ずれ量Sは36mm(144mm/4=36mm)である。
【0111】
なお、本実施の形態では、光源11Bは、4列の光源列11e、11f、11g、11hを有するが、光源11Bの形態はこれに限られず、3列の光源列を有していてもよい。3列の光源列を有する場合には、距離Lが144mmとすると、ずれ量Sは48mm(144mm/3=48mm)である。
【0112】
光源列11e、11f、11g、11hに位置するランプ11xの下には、x方向の偏光成分を通過させる偏光子13Aが設けられる。なお、偏光子13Aは、1つのランプ11xに対して1個ずつ設けられてもよいし、1つのランプ11xに対して2つ以上設けられてもよい。
【0113】
遮光部14Cは、偏光子13Aの下側、すなわち偏光子13Aとステージ20との間に設けられ、偏光子13Aを通過した偏光光を遮光して、対象物Wの光照射が不要な箇所に偏光光が照射されないようにする。遮光部14Cは、x方向に移動する遮光板14dと、y方向に移動する遮光板14eと、を有する。遮光板14d、14eは、遮光板14aと同様に、対象物Wにできるだけ近い位置に設けられる。
【0114】
遮光板14dは、y方向に沿った長さが、光源11Bのy方向の長さ以上である。遮光板14dは、x方向に沿って延設された軸(図示せず)に設けられており、アクチュエータ等の遮光板駆動部14f(
図17参照)によりx方向に沿って移動可能である。
【0115】
遮光板14eは、x方向の長さが、光源11Bのx方向の長さ以上である。遮光板14eは、y方向に沿って延設された軸(図示せず)に設けられており、アクチュエータ等の遮光板駆動部14g(
図17参照)によりy方向に沿って移動可能である。遮光板14eは、ステージ20との位置関係を保ったまま、ステージ20とともにy方向に移動する(後に詳述する)。
【0116】
遮光板14d、14eは、側面(x方向又はy方向)から見たときに、周縁が斜めに切断されている。
図16に示すように、切断された部分の辺は、鉛直方向(z方向)に対してランプ11xからの出射角度θ(
図6参照)だけ傾いている。本実施の形態では、θ=略60度である。
【0117】
図17は、偏光光照射装置2の電気的な構成を示すブロック図である。偏光光照射装置2は、主として、制御部101A、記憶部102、入力部103、出力部104を含んで構成される。
【0118】
制御部101Aは、制御部101と同様、演算装置であるCPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部102に格納されたプログラムにしたがって動作する。本実施の形態では、この制御部101Aは、遮光板駆動部14f、14gを制御する遮光板制御部101d、及び駆動部32及び回転駆動部33を制御するステージ制御部101eとして機能する。制御部101Aの詳しい動作の内容については、後に詳述する。
【0119】
このように構成された偏光光照射装置2の作用について説明する。
図18は、偏光光照射装置2の処理の流れを示すフローチャートである。
図19〜22は、偏光光照射装置2が+y側に位置するステージ20に載置された対象物Wを露光処理するときの流れを説明する図である。
図19は、一度目の露光処理の模式図であり、
図20は、二度目の露光処理の模式図であり、
図21は、三度目の露光処理の模式図であり、
図22は、四度目の露光処理の模式図である。
図19〜22において、偏光光が照射される領域に網掛け表示をしている。
【0120】
処理に先立ち、制御部101Aは、まず全てのランプ11xを点灯させる。また、制御部101Aは、処理に先立ち、ステージ20を第1の向き(
図19参照)にする(ステージ20が第2の向きになっている場合には、ステージ20を回転させる)。そして、制御部101Aは、ステージ20に対象物Wが載置された後に、
図18に示す処理を開始する。
【0121】
さらに、制御部101Aは、処理に先立ち、対象物Wに関する情報を入力部103を介して取得する。本実施の形態において、対象物Wに関する情報とは、例えば、対象物Wは領域Wcと領域Wd(
図19、21等参照)とを有し、領域Wcはステージ20が第1の向きにあるときにx方向に沿った偏光光を照射させる領域であり、領域Wdはステージ20が第2の向きにあるときにx方向に沿った偏光光を照射させる領域であることを示す情報である。なお、本実施の形態では、領域Wc、Wdは、走査方向に沿った又は走査方向と略直交する方向に沿った帯状の領域であり、隣接して設けられる。領域Wc、Wdは、ステージ20が第1の向きにあるとき(
図19、20参照)には走査方向に沿った帯状の領域であり、ステージ20が第2の向きにあるとき(
図21、22参照)に走査方向と略直交する方向に沿った帯状の領域である。
【0122】
また、対象物Wは、領域Wc、Wdの間にグレーゾーンWe(
図23〜25参照)を有する。グレーゾーンWeとは、領域Wcに照射される偏光成分の光と、領域Wdに照射される偏光成分の光と、が照射される領域である。グレーゾーンWeには、セルが形成されない。
【0123】
遮光板制御部101dは、対象物Wに関する情報に基づいて、露光時に遮光板14dを配置する位置を決定する(ステップS20)。露光時に遮光板14dを配置する位置は、光源11Bを走査方向に沿って帯状に覆う位置であり、露光前に対象物Wがステージ20に載置されたときにおける領域Wc以外の領域に相当する位置である。遮光板14dのy方向に沿った長さは、光源11Bのy方向の長さ以上であるため、遮光板14dは、光源11Bの走査方向に沿った全域を覆う。
【0124】
そして、遮光板制御部101dは、遮光板駆動部14fを介して、ステップS20で決定された位置へ遮光板14dを移動させる(ステップS22)。
図19、20においては、光源11Bにおける、領域Wd及びグレーゾーンWe(つまり、領域Wc以外の領域)に相当する位置を覆うように、遮光板14dが移動されている。これにより、対象物に応じて自動的に不要な光を遮光することができる。実際には、遮光板14dは光源11Bの下側にあるが、説明のため、
図19、20では遮光板14dを実線で記載している。また、
図19、20ではグレーゾーンWeの図示を省略している。なお、遮光板14eは、光源11Bを覆わない位置にある。
【0125】
制御部101Aは、1回目の露光処理を行う(ステップS24)。具体的には、光源11Bのランプ11xが全て点灯し、遮光板14dにより光源11Bが一部覆われた状態で、ステージ制御部101eは、駆動部32を介してステージ20(すなわち、対象物W)を走査方向であるy方向に移動させて、光源11Bから照射された光を対象物Wの被露光面に照射して配向膜等を生成する。ステップS24では、
図19に示すように、ステージ20を−y方向に移動させて1回目の露光処理を行う。
【0126】
1回目の露光処理(ステップS24)終了後、ステージ制御部101eは、
図20に示すように、駆動部32を介して、ステージ20をシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS26)。それと共に、遮光板制御部101dは、
図20に示すように、遮光板駆動部14fを介して、遮光板14dをシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS26)。例えば、シフト量は、ずれ量S(
図15参照)の1/2の値、ずれ量Sの1/4の値等であり、記憶部102に記憶されている。
【0127】
ステージ20及び遮光板14dをシフト方向にシフト量だけ移動させた(ステップS26)ら、制御部101Aは、2回目の露光処理を行う(ステップS28)。1、2回目の露光処理(ステップS24、S28)により、領域Wc及びグレーゾーンWeに、対象物Wの長手方向と略直交する方向の偏光成分(本実施の形態における第1方向)の光が照射される。ステージ20及び遮光板14dをシフト方向にシフト量だけ移動させて2回目の露光処理を行うため、領域Wcに偏光光を安定して照射することができる。2回目の露光処理では、ステージ20を+y方向に移動させる点(
図20参照)以外は、1回目の露光(ステップS24)と同じであるため、説明を省略する。
【0128】
2回目の露光処理(ステップS28)終了後、遮光板制御部101dは、
図21に示すように、遮光板駆動部14fを介して、遮光板14dを、光源11Bを覆わない位置へと移動させる(ステップS30)。また、ステージ制御部101eは、
図21に示すように、回転駆動部33を介してステージ20(すなわち、対象物W)を略90度回転させる(ステップS32)。
【0129】
遮光板制御部101dは、対象物Wに関する情報に基づいて、露光時に遮光板14eを配置する位置を決定する(ステップS34)。露光時に遮光板14eを配置する位置は、ステージ20が第2の向きにあるときに、直前(1回目及び2回面)に露光された領域である領域Wcを覆う位置であり、対象物W(すなわち、ステージ20)との関係で決定される。ステージ20が略90度回転されている(第2の向き)ため、領域Wcはx方向に沿っている。遮光板14eは、x方向の長さが、光源11Bのx方向の長さ以上であるため、領域Wc全体を覆うことができる。
【0130】
制御部101Aは、3回目の露光処理を行う(ステップS36)。まず、ステージ制御部101eは、駆動部32を介して、ステージ20を第2の向きでy方向(
図21では−y方向)に移動させる(ステップS361)。
【0131】
遮光板制御部101dは、遮光板14eとステージ20との位置関係が、ステップS34で決定された位置関係となったか否かを判定する(ステップS363)。遮光板14eとステージ20との位置関係が、ステップS34で決定された位置関係となっていない場合(ステップS363でNO)は、ステップS361に戻る。
【0132】
遮光板14eとステージ20との位置関係が、ステップS34で決定された位置関係となった場合(ステップS363でYES)は、制御部101Aは、遮光板14eをステージ20と同時に同じ速度で(遮光板14eをステージ20とを同期させて)y方向(
図21では−y方向)へ移動させる(同期スキャン)(ステップS365)。
【0133】
ステップS36の処理について、
図23、24、25を用いて説明する。なお、
図23〜25ではステージ20を省略している。また、図中、太矢印は、遮光板14e及び対象物Wの移動の様子を示し、網掛け部は、光源11Bからの光が照射される領域を示す。
【0134】
図23は、遮光板14eとステージ20との位置関係が、ステップS34で決定された位置関係となったときの光源11B、遮光板14e及び対象物W(ステージ20)の位置関係を模式する図である。このように、遮光板14eにより領域Wcに光が照射されない状態が、ステップS34で決定された位置関係(ステップS363でYES)である。
【0135】
図24は、遮光板14eを対象物W(ステージ20)と共にy方向(ここでは−y方向)へ移動させている状態を示す図である。ステージ制御部101eは、駆動部32を介してステージ20(すなわち、対象物W)を−y方向に移動させ、それと共に、遮光板制御部101dは、遮光板駆動部14gを介して、遮光板14eを−y方向に移動させる。これにより、ステップS34で決定された位置に遮光板14eを保つように、遮光板14eをステージ20と共に走査方向へ移動される。
【0136】
図25は、
図24に示す状態から遮光板14e及び対象物W(ステージ20)をさらにy方向(ここでは−y方向)へ移動させて、遮光板14eが光源11Bの下を通過し終わった状態を示す図である。光源11Bからの光は、領域Wd及びグレーゾーンWeに照射され、領域Wcには照射されない。
【0137】
このように、遮光板14eを対象物W(ステージ20)と共にy方向へ移動させることで、光源11Bからの光が領域Wcに照射されないように、不要光を自動的に遮光することができる。
【0138】
なお、遮光板14eの周縁では、上端面が切断されており、その角度はランプ11xからの出射角度θ(
図6参照)と略同じである。したがって、光源11Bから照射された光を確実に遮光することができる。
【0139】
図18の説明に戻る。3回目の露光処理(ステップS36)終了後、ステージ制御部101eは、
図22に示すように、駆動部32を介して、ステージ20をシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS38)。それと共に、遮光板制御部101dは、
図22に示すように、遮光板駆動部14gを介して、遮光板14eをシフト方向にシフト量だけ移動させる(ステップS38)。
【0140】
その後、制御部101Aは、4回目の露光処理を行う(ステップS40)。3、4回目の露光処理(ステップS36、S40)により、領域Wd及びグレーゾーンWeに、対象物Wの長手方向と略平行方向の偏光成分(本実施の形態における第2方向)の光が照射される。また、
図21、22ではグレーゾーンWeの図示を省略している。4回目の露光処理では、ステージ20を+y方向に移動させる点(
図22参照)以外は、3回目の露光処理(ステップS36)と同じであるため、説明を省略する。これにより、1枚の対象物Wに対する露光処理が終了される。
【0141】
以上、偏光光照射装置2の処理の流れを、偏光照射部10Dの+y側に位置するステージ20を例に説明したが、偏光照射部10Dの−y側に位置するステージ20についても同様の処理を行う。偏光光照射装置2はステージ20を2個有するため、1つのステージ20に対して対象物Wの取り出しや載置を行なっている間に、他のステージ20に載置された対象物Wに対して露光処理を行うことができる。
【0142】
本実施の形態によれば、同一の対象物に対して、異なる方向の偏光光を照射することができる。例えば、シフト方向に移動する遮光板14dと、走査方向に移動する遮光板14eとを設け、対象物Wを回転させない状態と、対象物Wを回転させた状態とでそれぞれ露光処理を行うことで、1種類の偏光子13Aで(複数種類の偏光子13A、13Bを用いることなく)、異なる方向の偏光成分の光を同一の対象物Wに照射することができる。また、それぞれの露光処理で遮光板14d、14eを用いて不要な光を遮光することで、同一の対象物Wに、第1方向の偏光成分の光が照射される領域Wcと、第1方向と異なる方向である第2方向の偏光成分の光が照射される領域Wdと、を形成することができる。したがって、同一の対象物W内で異なる偏光方向の露光を行うMMGに対応することができる。
【0143】
また、本実施の形態によれば、遮光板14d、14eが光源11B又は対象物Wを覆わないようにするだけで、通常の基板に対して通常の露光処理(例えば、全てのランプ11xを点灯させた一往復の露光)を行うことができる。例えば、ランプ11xの点灯、消灯を繰り返す場合には、ランプ11xの点灯状態、消灯状態が安定するまでに30分程度の時間がかかるため、複数の種類の基板(例えばMMG基板と通常の基板)を連続して露光することができない。それに対し、本実施の形態では、全てのランプ11xが常時点灯しているため、遮光板14d、14eの位置を変えることで、複数の種類の基板を連続して露光することができる。
【0144】
なお、本実施の形態では、長手方向がy方向に沿うように設けられたランプ11xをx方向に複数並べて光源列11e、11f、11g、11hを形成したが、x方向に沿った長いランプ11y(
図13参照)を用いることもできる。
【0145】
また、本実施の形態では、遮光板14d、14eをそれぞれ2枚ずつ設けたが、遮光板14d、14eの枚数はこれに限定されない。例えば、遮光板14d、14eは、それぞれ、1枚であってもよいし、3枚以上であっても良い。また、遮光板14d、14eの大きさも
図15等に示す大きさに限定されない。
【0146】
また、本実施の形態では、まず遮光板14dが光源11Bの一部を覆った状態で領域Wcの露光処理を行い、次に遮光板14eが領域Wcを覆った状態で領域Wdの露光処理を行ったが、領域Wc、Wdを露光する順番はこれに限られず、領域Wdの露光処理を行った後で領域Wcの露光処理を行っても良い。
【0147】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0148】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行とは、厳密に平行の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、例えばAの近傍であるときに、Aの近くであって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。